技術士第二次試験 平成28年度 総合技術監理

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※択一正解は、技術士会の公表正解に関して、臨時掲示板での議論を参考に解説を加えたものです。
 異論や情報などありましたら、掲示板あるいはメールにてお願いします。


択一問題

2-1 次の40問題を解答せよ。(解答欄に1つだけマークすること。)
なお、法令及び制度については、特に記載のあるものを除き、平成28年4月1日時点のものとする。

【経済性管理】

 

1-1-1 問題解決法に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。

 

①総合技術監理を行う技術者には、個別の技術業務における特定の課題の解決を目的とする場合でも傭職的視点から総合的な判断を下せる能力が求められる。

②ブレイン・ストーミング法では、議論を深めるために、あえて他人の意見を批判することも許容される。

③デルファイ法では、それまでの回答結果をフィードバックし、他の回答者の意見を見てもらいながら同一内容のアンケート調査を繰り返して回答者の意見を収散させていく。

④特性要因図を作成する際には、準備としてブレイン・ストーミングを行っておくことが望ましい。

⑤階層化意思決定法(AHP)は複数の人間が連帯して意思決定をする場合であっても使用することができる。

 

【正解は②】

他人の批判はしないことがルール。

 

 

1-1-2 生産方式及びそのサプライチェーンマネジメントへの応用に関する次の(ア)~(オ)の記述のうち、不適切なものの数はどれか。

 

(ア)生産システム全体にプッシュ型生産方式を採用すると、需要に変動がある場合に効率的となる。

(イ)JIT生産方式の基本システムである「かんばん方式」では、外されている「引き取りかんばん」の数だけ部品を生産することにより、在庫量を最適化する。

(ウ)サプライチェーンマネジメントにおいて管理の対象となる工程は、原材料の調達から生産、出荷、流通までであり、販売は対象とならない。

(エ)制約条件の理論(TOC)によれば、ボトルネックより前の工程ではプッシュ型生産方式により、後の工程ではプル型生産方式により生産を行う。

(オ)JIT生産方式が日本の自動車業界で成功したのは、この生産方式を部品メーカーなど関連する多くの会社にまで普及させることができたからである。

 

①1 ②2 ③3 ④4 ⑤5

 

【正解は④】

(オ)以外が誤り。青本p.44~45参照。

1-1-3 Webを用いてオンラインで商品を売るビジネスを展開したい。事業開始に必要なのはWebシステムの構築費用のみであり、年初に200万円を必要とする。3年間は同じ商品・ビジネスモデルが可能と予測しており、この200万円の資金を3年間で回収したい。3年とも同額の利益を年末に得ることを条件としたとき、資金回収が可能となる1年間あたりに最小限必要な利益に最も近い値はどれか。ただし年利率は3%であるとする。

 

①63万円 ②65万円 ③67万円 ④69万円 ⑤71万円

 

【正解は⑤】

200万円=x/1.033+x/1.032+x/1.03より、x≒71万円。

 

 

1-1-4 経済性管理で用いられる数理的手法に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。

 

①数理計画問題において、変数のとりうる値が連続的なものと整数など離散的なものとでは、一般には後者の方が解の候補が制限されるので解くのが容易である。

②所与の制約条件の下で複数の目的関数を最大化又は最小化するような多目的最適化においてパレート最適解を考える場合、最良解の決定は意思決定者の選好によらざるを得ない。

③シミュレーションのためのモデルを構築する際には、スピーディーに意思決定できるよう、極力精徴なモデルを作成した上でモデルから得られた解答をそのまま実務に使うことが望ましい。

④日程計画におけるスケジューリングは、作業部署ごとの日程計画や作業順序の決定を通じて、納期日を決めるためのものである。

⑤数理計画問題をはじめとする最適化手法は、問題の構造など理論的な背景を理解するために必要な一方、現実の問題を解くために使用されることはなく、実用に供する解を得たい場合にはシミュレーションを用いる。

 

【正解は②】

 青本p.63のパレート最適解説明参照。

 

 


 

1-1-5 つぎのPERTにおける図で,線の上のA~Gの記号は作業を、括弧内の数値は作業時間を示している。いま、総所要時間(最終作業の最早終了時間)を3時間短縮する必要がある。短縮することが可能な作業は、B、C、Gであり,それぞれ1時間の短縮当たり5万円、4万円、6万円の費用がかかる。このとき最も短縮費用を安くする方法として適切なものはどれか。

  

①Bを1時間、Cを1時間、Gを1時間短縮する。

②Bを1時間、Cを2時間、Gを1時間短縮する。

③Bを0時間、Cを0時間、Gを3時間短縮する。

④Bを1時間、Cを3時間、Gを0時間短縮する。

⑤Bを1時間、Cを2時間、Gを0時間短縮する。

 

【正解は④】

短縮費用がG>B>Cなので、Cをもっとも多く短縮する。よって②④⑤に絞られる。あとは試算すれば④が17万円で最小。

 

 


 

1-1-6 品質管理に関する次の文章中の[(ア)]に入る用語を説明する記述として、次のうち、最も適切なものはどれか。

 

品質管理では、「品質方針」に基づいた「品質計画」「品質管理(QC)の実践」「[(ア)]」「品質改善」といったステップがあり、通常はPDCAサイクルとして運用されている。

 

①このステップでは、品質の不良をなくし、よりよい品質の製品を生み出していくための能力を高めることに焦点を合わせた活動が行われる。

②このステップでは、品質要求事項が満たされるという確信を顧客に与えることに焦点を合わせた活動が行われる。

③このステップでは、種々のQc手法や仕組みを利用しながら、品質要求事項を満たすことに焦点を合わせた活動が行われる。

④このステップでは、品質目標を設定し、品質目標を達成するために必要な運用プロセス及び関連する資源を規定することに焦点を合わせた活動が行われる。

⑤このステップでは、品質に関する組織の全体的な意図及び方向づけの内容について、経営層から正式に表明する活動が行われる。

 

【正解は②】

(ア)はCheckで、品質保証になる。④がPlan、③がDo、①がActionであることは明らかで、⑤は方針なので、消去法でも②となる。

 

 

1-1-7 財務諸表作成の基となる企業会計原則に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。

 

①組織活動を秩序正しく、細大漏らさず、確実な帳簿記録に基づいて財務諸表を作成する。

②財務諸表により結果報告するだけでなく、その導出において採用した処理の原則、手続、方法をも公開する。

③一度採用した処理の原則、手続、方法を毎期継続して適用し、みだりに変更しない。

④重要な処理・表示は厳密な報告を必要とし、重要でない処理・表示は簡便な方法による報告が容認される。

⑤予想の損失は計上せず、予想の利益は計上する。

 

【正解は⑤】

予想利益は計上せず、予想損失は計上する。

 

 


 

1-1-8 活動基準原価計算(Activity Based Costing:ABC)に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。

 

①活動基準原価計算は、活動ごとに発生した原価を正しく把握して振り分ける原価計算の方法である。

②活動基準原価計算を行う時の生産活動の単位を、アクティビティと呼ぶ。

③活動基準原価計算では、コストを発生させる要因を、資源の消費量と活動の消費量とに分類する。

④活動基準原価計算は、製造部門だけでなくサービス部門にも適用が可能である。

⑤活動基準原価計算が開発された背景として、製造業における直接費の増大があげられる。

 

【正解は⑤】

直接費ではなく間接費。

 


 

【人的資源管理】

 

1-1-9 働くことへの動機付けに関する次の(ア)~(エ)の記述のうち、適切なものの数はどれか。

 

(ア)マズローは、人間の欲求には5 段階あるとし、それは物質的欲求、安定欲求、連帯欲求、周囲からの尊敬欲求、自己実現欲求であるとした。

(イ)人間行動のモデルとしてマクレガーのX理論をとる管理者は、部下はもともと仕事が嫌いでできれば仕事を怠けたいと思っていると考え、部下に対して事細かに指示し、任せるということをしない。

(ウ)働くことの動機付けには、労働意欲、達成意欲、協調意欲を引き出すためのインセンテイブを与えることが重要である。

(エ)成果主義を企業に取り入れると、個人が行った行動に対してのフィードバックが短期的かつ明確にされ、他者との評価・処遇が開く場合が多くみられる。

 

①0 ② 1 ③2 ④3 ⑤4

 

【正解は⑤→④】 正解公表後に訂正、「不適切な出題として受験者全員に得点を与える」となった。

(ア)~(ウ)は青本p.70に記載あり。(エ)もおおむね適切な内容だが、誤りとして後日訂正。

 

 

1-1-10 平成27年版労働経済の分析(厚生労働省:労働経済白書)の中で、我が国の労働経済の動向に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。

 

①2014年度平均で完全失業率は17年ぶりの低水準となり、有効求人倍率も23年ぶりの高水準となるなど、雇用情勢は着実に改善が進んでいる。

②我が国の労働生産性を欧米諸国と比較すると、上昇率、水準とも遜色ない。

③1990年代半ば以降、労働者の総実労働時間はパートタイム労働者比率の上昇等により減少しているが、パートタイムを除いた一般労働者の総実労働時間は大きく変化していない。

④労使双方への調査によると、所定外労働時間が発生する理由としては、業務の繁閑が激しい、突発的な業務が生じやすい、人手が不足している、などを労使ともに多く挙げている。

⑤人口が集積し、人口密度が高い地域ほど、労働生産性の水準が高いという関係がみられる。

 

【正解は②】

日本の労働生産性はOECD加盟国中21位と低水準である。

 

 


 

1-1-11 労働基準法に基づく労働時間休日に関する次の記述の, [ ア ]~[ オ ]に入る数字の合計値として最も適切なものはどれか。

 

使用者は、原則として、労働者に、休憩時間を除き1日に[ ア ]時間、1週間に[ イ ]時間を超えて労働させてはならない。

使用者は,労働者に対して,毎週少なくとも[ ウ ]回の休日か, 4週間を通じ[ エ ]日以上の休日を与えなければならない。

使用者は、原則として、労働者が、 6カ月以上継続勤務し、その6カ月間の全労働日の8割以上を出勤した場合は,[ オ ]日(継続又は分割)の有給休暇を与えなければならない。

 

①63 ②68 ③71 ④73 ⑤78

 

【正解は①】

8+40+1+4+10=63。

 

 

1-1-12 リーダーシップ行動理論の基本理論としてPM理論がある。これは、組織の目標達成や課題解決に関する機能に関する行動力の大小をそれぞれP, p,組織の維持を目的とする機能に関する行動力の大小をそれぞれM,m で表し、リーダーシップのタイプを2文字の組合せによる4類型で表したものである。次の記述のうち、最も適切なものはどれか。

 

①Pm型のリーダーは、組織をまとめるのに適している。

②pM型のリーダーは、仕事はできるが人望のないリーダーとなりやすい。

③業績や組織が安定した組織では, pm型のリーダーがリーダーシップを発揮できる。

④Pm型とpM型のリーダーを比較すると、組織の生産性はpM型がPm型より高くなりやすいが、 メンバーのやる気はPm型がpM型より高くなりやすい。

⑤PM理論はリーダー個人の評価にとどまらず、人と人の組合せによる組織としての対処にも有効である。

 

【正解は⑤】

⑤以外はすべて逆。Pが突進型、Mがまとめ型。

 

 


 

1-1-13 雇用に関する次の(ア)~(オ)の記述のうち、男女雇用機会均等法(雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律)において禁止されている行為に該当するものの数はどれか。

 

(ア)守衛、警備員のうち防犯上の要請から男性に従事させることが必要である職務を行う労働者の募集について、男性に限定すること。

(イ)女性労働者が男性労働者と比較して相当程度少ない総合職の採用に当たって、採用の基準を満たす者の中から男性より女性を優先して採用すること。

(ウ)時間外労働や深夜業の多い職務への配置に当たって、その対象を男性労働者のみとすること。

(エ)一般職社員のほとんどが女性である会社において、一般職社員の中から、女性のみを対象とした窓口業務研修を行うこと。

(オ)期間を定めて雇用される女性労働者について、妊娠・出産を理由に契約の更新をしないこと。

 

①1 ②2 ③3 ④4 ⑤5

 

【正解は③】

ウ~オが禁止事項で、アとイは適正。

 

 

1-1-14 職務設計及び雇用管理に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。

 

①日本型の属人主義は、職務の概念が暖昧な点に特徴があり、職務に合わせて人を配置する欧米型の職務主義に比べると、人に合わせて職務を配分する傾向がある。

②職務設計は、組織の各構成員によって遂行される特定の職務の義務、権限、責任を決定するプロセスであり、技能の多様化などの本質的な動機付け要因を含んでいることが期待される。

③雇用管理では、採用条件と選考方法を明確にすること、従業員を適正に配置すること、公正で適切な処遇を行うことが重要な事項である。

④近年の人事管理の複線化と呼ばれる動きとして、総合職と一般職を区分する複線型人事制度、勤務地の地理的範囲で区分する勤務地限定社員制度、高度な専門能力を有する社員のための専門職制度などがある。

⑤日本における雇用の特徴として、年功序列、終身雇用、産業別組合の3 点が挙げられてきたが、近年、産業の成熟化などにより、これらを維持することが難しくなってきている。

 

【正解は⑤】

 年功序列、終身雇用、企業別組合。青本p.78参照。

 

 


 

1-1-15 従業員の採用・配置に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。

 

①従業員の採用に当たっては、要員計画を作成したうえで、どのような能力の人材(能力要件)を何人採用するか(採用人数)を決めることが重要である。

②紹介予定派遣は、労働者派遣のうち、派遣元事業主が派遣労働者及び派遣先に対して、職業紹介(予定を含む)を行うものである。

③インターンシップは、学生が企業等において実習・研修的な就業体験をする制度であり、教育的意義のほか企業等に対する理解促進などの意義がある。

④直接雇用の従業員ではない事業所内請負社員や派遣社員に対し、企業は直接指揮・命令を行うことはできない。

⑤個人の希望を重視する異動の仕組みとして、社員が仕事やキャリアなどの希望を申告する自己申告制度や、明示した業務に従事したい社員を募集する社内公募制度などがある。

 

【正解は④】

派遣社員に対しては直接指揮・命令可能。

 

 

1-1-16 人事考課管理に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。

 

①透明性の原則は、人事評価の基準、手続き、結果などを被評価者に公開することによって、従業員の評価に対する納得性を高めようとするものである。

②失敗することを厳しく評価する減点主義では、従業員の間に失敗をせず無難に過ごそうとする傾向が生じるおそれがある。

③一般的な評価基準は、能力、姿勢、業績という3つの領域から構成され、能力はインプットで安定的であるが、姿勢、業績はアウトプットで短期に変動する。

④目標管理による業績の評価方法では、業績は評価期間の初めに設定された業務目標の達成度と難易度の2つの要素を組合せて評価される。

⑤主として賞与には姿勢評価と業績評価を反映し、昇給や昇進にはそれとともに長期的な視野を含めるために能力評価も反映することが一般的である。

 

【正解は③】

 能力・姿勢がインプットで業績がアウトプット。

 

 


 

【情報管理】

 

1-1-17 サイバーセキュリティ基本法では、地方公共団体、重要社会基盤事業者(国民生活及び経済活動の基盤であって、その機能が停止し、又は低下した場合に国民生活又は経済活動に多大な影響を及ぼすおそれが生ずるものに関する事業を行う者)、サイバー関連事業者(インターネットその他の高度情報通信ネットワークの整備、情報通信技術の活用又はサイバーセキュリティに関する事業を行う者)、大学、国民それぞれの役割を規定している。これらの役割に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。

 

①地方公共団体は、国との適切な役割分担を踏まえて、サイバーセキュリティに関する自主的な施策を策定し、及び実施する責務を有する。

②重要社会基盤事業者は、そのサービスを安定的かつ適切に提供するため、サイバーセキュリティの重要性に関する関心と理解を深め、自主的かつ積極的にサイバーセキュリティの確保に努めるとともに、国又は地方公共団体が策定するサイバーセキュリティに関する施策を実施する責務を有する。

③サイバー関連事業者は、その事業活動に関し、自主的かつ積極的にサイバーセキュリティの確保に努めるとともに、国又は地方公共団体が実施するサイバーセキュリティに関する施策に協力するよう努めるものとする。

④大学その他の教育研究機関は、サイバーセキュリティに係る人材の育成並びにサイバーセキュリティに関する研究及びその成果の普及に努めるとともに、国又は地方公共団体が実施するサイバーセキュリティに関する施策に協力するよう努めるものとする。

⑤国民は、サイバーセキュリティの重要性に関する関心と理解を深め、サイバーセキュリティの確保に必要な注意を払うよう努めるものとする。

 

【正解は②】

「施策を実施する責務を有する」→「施策に協力するよう努めるものとする」。

 

 


 

1-1-18 近年注目されているIoT のコンセプトは、自動車、家電、施設などあらゆるモノがインターネットにつながり情報のやり取りをすることで、モノのデータ化やそれに基づく自動化などが進展し、新たな価値を生み出すというものである。下図は, IoT デバイス数を予測も含め成長率の観点から自動車、産業、医療、コンシューマ、 コンピュータ、通信の6 つの分野に区分してプロットしたものであるが、次のうち、(ア) 、(イ) 、(ウ)に該当する分野の組合せとして最も適切なものはどれか。

  

①(ア)自動車、(イ)通信、(ウ)産業

②(ア)通信、(イ)自動車、(ウ)産業

③(ア)自動車、(イ)産業、(ウ)通信

④(ア)産業、(イ)自動車、(ウ)通信

⑤(ア)通信、(イ)産業、(ウ)自動車

 

【正解は③】

IoTに関して今はデバイス数が少なくこれから成長するのは自動車。逆にデバイス数は多いがすでに成長していて今後の成長率は高くないのが通信。

 

 


 

1-1-19 知的財産権及び著作権に関する次の(て)~(オ)の記述のうち、不適切なものの数はどれか。

 

(ア)特許権の存続期間は、出願から最長20年であるが、存続期間の延長登録があったものは最長25年である。

(イ)商標権の存続期間は、登録の日から10年であるが、存続期間の更新登録の申請により10年の存続期間を何度でも更新することができる。

(ウ)実用新案権の存続期間は、出願の日から最長20年である。

(エ)著作権の存続期間は、創作した時点から死後50年であるが、団体名義の著作物は公表後70年である。

(オ)昨年施行された商標法改正により、動き商標、ホログラム商標、色彩のみからなる商標、音商標、位置商標の5つのタイプが新たに対象となった。

 

①1 ②2 ③3 ④4 ⑤5

 

【正解は②】

(ウ)は10年、(エ)は団体名義でも50年(ただし映画は70年)

 

 

1-1-20 情報セキュリティを支える暗号技術及び認証に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。

 

①生体認証は、指紋や眼球の虹彩、声紋などの身体的特徴によって本人確認を行う認証方式のことであり、事前の登録は不要である。

②TLSは,TCP/IPネットワークでデータを暗号化して送受信するプロトコルの一つで公開鍵証明書が偽造されていないことを前提としている。

③アクセス制御は、セキュリティ機能の一つで、アクセス権を設定・識別し、操作や行動を許可したり拒否したりすることである。

④WEPは、無線LANのセキュリティ規格の一つであるが、脆弱性があるため使用しないことが推奨されている。

⑤ストリーム暗号は、共通鍵暗号方式の種類の一つで、データを1ビット単位あるいは1バイト単位で逐次暗号化していく方式である。

 

【正解は①】

事前の登録は必要。

 

 


 

1-1-21 事業者による従業員のマイナンバーの扱いに関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。

 

①従業員からマイナンバーを取得する際には、必ず利用目的を明示しなければならない。

②従業員からマイナンバーを取得する際は、マイナンバー記載の住民票の写しによって身元確認と番号確認を行う。

③マイナンバーを社員番号として利用してはいけない。

④翌年度以降に継続して雇用契約がある場合であれば、マイナンバーが記載された書類を保管し続けることができる。

⑤平成28年1月以降、税や社会保障の手続きで従業員などのマイナンバーを記載する必要が生じる。

 

【正解は②】

身元確認まではできない。

 

 

1-1-22 組織における情報管理に関する次の(ア)~(オ)の記述のうち、不適切なものの数はどれか。

 

(ア)組織活動において意思決定を着実に行うには、組織内に存在する情報を体系的に整理するとともに、組織内の意思決定問題の内容と種類について体系的に把握しておくことが大切である。

(イ)組織外に開示される情報には、説明責任を果たすための組織活動報告及び広告・宣伝のためのPR情報などがある。

(ウ)技術情報やノウハウのような市場競争力にかかわる情報や、顧客情報については非開示とされることが多い。

(エ)財務諸表のような組織活動に関する説明責任を果たすための情報や、環境アカウンタビリティのような社会的説明責任を果たすための情報は、適切に開示すべきである。

( オ)不適切な対応により社会的信頼性が失われることを防ぐには、あらかじめ不測の事態を想定して、どのような情報をどのようにして開示するかといった緊急時における情報の開示基準を検討しておく必要がある。

 

①0 ②1 ③2 ④3 ⑤4

 

【正解は①】

すべて適切。

 

 


 

1-1-23 次の知識共有に関する記述のうち、ナレッジ・マネジメントの説明として最も適切なものはどれか。

 

①従業員の個人知や職場の人間関係などを把握し、管理側から非公式組織へ積極的にアプローチすることで、従業員のモラルを高め、作業効率を向上させる。

②プロジェクトメンバーの知識に合わせて担わす役割を適切に調整することで、アウトプットである生産物を望んだ品質水準で期限内に計画した予算内で生産する。

③組織運営上の人材に対する要求を明らかにし、求められる知識が身に付くように教育・訓練を実施することで、組織が必要とする人材を養成する。

④職場内に編成した小集団に、主体的に生産技術、改善、安全衛生などの特定の目標を設定させ、かつ計画を立てさせることで、組織知を創造する。

⑤個人の持つ形式知や暗黙知を組織全体で蓄積・共有化し、有効活用することで、組織全体の生産性や意思決定のスピードを向上させる。

 

【正解は⑤】

 ナレッジを組織として蓄積・共有化することがポイント。

 

 


 

1-1-24 次のうち、情報分野の用語G2B, B2C,M2M,G2Cと、その説明の組合せとして最も適切なものはどれか。

 

(ア)電子商取引の類型の一つで、政府や自治体から企業などの事業者に向けて行われるもの。電子化・ネット化された公共調達や入札、受発注業務などのことを意味する。

( イ)機械と機械が通信ネットワークを介して互いに情報をやり取りすることにより、自律的に高度な制御や動作を行うこと。情報機器以外の機械にセンサーや処理装置、通信装置などを組み込んで、データ収集や遠隔監視・制御などを行うことを意味する。

(ウ)行政のサービスや手続きなどを電子化し、住民・国民がインターネットなどを通じて利用できるようにすること。行政と住民間で行われる申請や届出、手続きなどの電子化・ネット化などのことを意味する。

(エ)企業と個人(消費者)間の商取引、あるいは、企業が個人向けに行う事業のこと。一般消費者向けの製品の製造・販売や、消費者向けサービスの提供、個人と金融機関の取引などのことを意味する。

 

①G2B:(ア)、B2C:(イ)、M2M:(ウ)、G2C:(エ)

②G2B:(ウ)、B2C:(ア)、M2M:(イ)、G2C:(エ)

③G2B:(エ)、B2C:(イ)、M2M:(ア)、G2C:(ウ)

④G2B:(ア)、B2C:(エ)、M2M:(イ)、G2C:(ウ)

⑤G2B:(ウ)、B2C:(エ)、M2M:(ア)、G2C:(イ)

 

【正解は④】

Gが行政、Bが企業、Cが消費者、Mが機械の意味。

 


 

【安全管理】

 

1-1-25 安全管理の未然防止活動に関する次の(ア)~(オ)の記述のうち、適切なものの数はどれか。

 

( ア)ヒヤリハットが発生したとき、時間をかけて十分に原因を検討してから報告する。

(イ)小集団活動の成果を社内報告会で報告させ、優秀な活動事例を表彰する。

(ウ)改善提案に対して、速やかに対応するための打ち合わせを設ける。

(エ)定期点検活動は継続して実施することが重要であり、熟練や技量による判断基準やチェック方法にムラがでないように毎年同じチェックリストを用いる。

( オ)未然防止活動で小規模の設備改良や運用改善で対応できない場合は、より信頼性・安全性の高いシステムに更新することも必要となる。

 

①0 ②1 ③2 ④3 ⑤4

 

【正解は④】

(ア)と(エ)が誤り。青本p.152およびp.150参照。

 

 

1-1-26 製造物責任に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。

 

①製造物責任法では、製造物は「製造又は加工された動産」と定義され、一般的には大量生産・大量消費される工業製品や単体ソフトウェアなどが対象とされる。

②製造物責任法における欠陥とは、当該製造物が通常有すべき安全性を欠いていることをいう。したがって安全性にかかわらないような単なる品質上の不具合は欠陥にはあたらない。

③製造物責任法における製造業者とは、当該製造物を業として製造・加工又は輸入した者をいう。

④製造物責任法では、損害賠償の請求権は、被害者又はその法定代理人が損害及び賠償義務者を知った時から3年間請求を行わないとき、時効によって消滅する。

⑤消費者を対象に日常使用する製品による人身事故の発生を防ぐ目的で、消費生活用製品安全法が制定されている。

 

【正解は①】

単体ソフトウェアは動産ではない。

 

 


 

1-1-27 労働安全衛生法に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。

 

①労働安全衛生法は、「労働災害防止」のための諸対策を推進することにより、労働者の安全と健康の確保及び快適な職場環境の形成を目的として制定された。

②労働者とは、職業の種類を問わず、事業又は事務所に使用されるもので、賃金を支払われる者をいう。ただし、同居の親族のみを使用する事業又は事務所に使用される者及び家事使用人を除く。

③事業者は、労働者を雇い入れたときや労働者の作業内容を変更したときは、その従事する業務に関する安全又は衛生のための教育を行わなければならない。

④事業者は、労働者に対し、定期に医師による健康診断を行う義務がある。また、雇い入れ時の健康診断が推奨されている。

⑤産業医は、事業者に対し労働者の健康管理等について必要な勧告をすることができ、事業者はその勧告を尊重しなければならない。

 

【正解は④】

雇用時の健康診断は推奨ではなく義務。

 

 

1-1-28 危機管理活動に関する次の(ア)~(オ)の記述のうち、適切なものの数はどれか。

 

(ア)危機管理の対象となる不測事態は、爆発・火災等の産業災害や地震・水害等の自然災害であり、労働争議・スキャンダルなどは経営問題であるので対象外である。

(イ)危機管理活動にあたっては、組織トップが自ら直接実行するという強い意志を示す必要がある。

(ウ)緊急事態発生時には事前に策定し訓練を行った危機管理マニュアルに従って活動が行われるべきであり、現場の管理担当者はいかなる場合でもマニュアルに沿って活動すべきである。

(エ)緊急事態が去った後の復旧や平常状態に戻すための対策もマニュアル化することにより、少しでも短い時間で平常状態に戻すことが災害による被害を減らすことになる。

(オ)危機管理のためには、設備の故障やヒューマンエラーの防止などのセーフティだけでなく、警備活動などが含まれるセキュリティも考慮すべきである。

 

①0 ②1 ③2 ④3 ⑤4

 

【正解は④】

ア(対象外ではない)とウ(いかなる場合でも、ではない)が誤り。

 

 


 

1-1-29 リスクの特性を理解し、マネジメントに反映するために, FN(事故発生頻度・被害者数)曲線によって統計的にリスクを表現することがある。下図はA国における、道路交通、鉄道、航空の死亡事故のFN曲線を示したもので、下表はその事故データの統計値である。下図の横軸は死者数N,縦軸はNを上回る死者数が発生した事故の年あたりの数Fである。下図の(ア) 、(イ) 、(ウ)に該当する語句の組合せとして最も適切なものはどれか。

 

①(ア)道路交通、(イ)鉄道、(ウ)航空

②(ア)道路交通、(イ)航空、(ウ)鉄道

③(ア)鉄道、(イ)道路交通、(ウ)航空

④(ア)航空、(イ)鉄道、(ウ)道路交通

⑤(ア)航空、(イ)道路交通、(ウ)鉄道

 

【正解は①】

F=1のところで読めばよい。

 

 


 

1-1-30 内閣府による「PFI 事業におけるリスク分担等に関するガイドライン」では、協定等の締結の時点においてその影響を正確には想定できない不確実性のある事由によって損失が発生する可能性をリスクと呼び、「リスクを最もよく管理することができる者が当該リスクを分担する」ことを基本として、公共施設等の管理者等と選定事業者の間でリスク分担を取り決めることとされている。PFI事業におけるリスク分担に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。

 

①リスクの顕在化をより小さな費用で防ぎ得る対応能力やリスクが顕在化するおそれが高い場合に追加的支出を極力小さくし得る対応能力の有無、かつ、リスクが顕在化する場合のその責めに帰すべき事由の有無に応じて、リスクを分担する者を検討する。

②リスクの分担方法については、当該者のリスクが顕在化した場合に負担し得る追加的支出の負担能力を勘案しつつ、一方がすべてを負担する方法や、双方が一定割合を負担する方法などをリスクごとに検討する。

③協定等の当事者のリスク分担における対応が、選定事業における資金調達のコスト等の条件に大きな影響を与えることに留意し、経済的合理性を勘案した分担内容とする。

④物価の変動、金利の変動、為替レートの変動、税制の変更等は、事業者の費用増や利益の減少の要因となり得ることから、分担のあり方について協定等で取り決めておくことが望ましい。

⑤天災等のように、 当事者の行為とは無関係に外部から生じる不可抗力については、予め分担を取り決めないことが望ましい。

 

【正解は⑤】

取り決めるべき。

 

 


 

1-1-31 法令違反行為を労働者が通報した場合、解雇等の不利益な取り扱いから保護し、事業者のコンブライアンス(法令遵守)経営を強化するために、公益通報者保護制度が設けられている。公益通報者保護制度に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。

 

①本制度において保護の対象となる労働者には、正社員派遣労働者、アルバイト、パートタイマーなどのほか、公務員も含まれる。

②通報先は、事業者内部、権限のある行政機関、その他の事業者外部のいずれかであり、その選択は、事業者の内部規程により指定される。

③国民の生命、身体、財産その他の利益の保護にかかわる法令に違反する犯罪行為、又は、最終的に刑罰につながる行為が通報対象である。

④労務提供先とは、労働者が労務を提供する事業者のことであり、雇用元(勤務先)の事業者だけでなく、派遣先の事業者も含まれる。

⑤グループ企業においては、グループ各社が、親会社の通報窓口を、事業者内部の通報先として指定してもよい。

 

【正解は②】

内部規定ではなく法において保護されるための要件によって通報先が定められている。

 

 

1-1-32 職場のパワーハラスメントとは、職場内での優位性を背景に、業務の適正な範囲を超えて、精神的・身体的苦痛を与える、又は、職場環境を悪化させる行為をいう。職場のパワーハラスメントに関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。

 

①業務の適正な範囲を一律に定義することは困難であるため、パワーハラスメントの規定は、就業規則、労使協定等のルールに明確化しないことが望ましい。

②職場内での優位性は、人間関係や専門知識、経験などの様々な優位性などとは関わりなく、職務上の地位によって判断される。

③パワーハラスメント行為は、「身体的な攻撃」「精神的な攻撃」「人間関係からの切り離し」「過大な要求」「過小な要求」の5つの類型によって定義される。

④パワーハラスメント問題が発生した場合、企業は、その行為に加担していなくとも、法的責任が問われる場合がある。

⑤近年、ひどい嫌がらせ等を理由とする精神障害等での労災保険の支給決定件数は減少傾向にあるが、労働基準監督署等への相談は増加を続けている。

 

【正解は④】

民法715条使用者責任により、使用者も責任を負う。

 


 

【社会環境管理】

 

1-1-33 平成27年版環境・循環型社会・生物多様性白書による我が国の環境の現状に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。

 

①大気環境については、二酸化窒素(NO2)はほぼ全ての測定局で環境基準を達成しているが、光化学オキシダントは環境基準の達成状況が全国的に極めて低い。

②水環境については、公共用水域の人の健康の保護に関する環境基準の達成率が平成25年度では約80%である。

③市街地の土壌汚染については、汚染事例の判明件数は長期的に増加傾向にある。

④騒音及び振動の苦情件数は近年増加傾向にあるが、悪臭の苦情件数は減少している。

⑤難分解性、高蓄積性等の性質を持つポリ塩化ビフェニル(PCB)などの特に有害な化学物質については、環境中の濃度レベルは横ばい又は漸減傾向にある。

 

【正解は②】

80%ではなくほぼ100%。80%なのは海域の環境基準達成率。

 

 


 

1-1-34 次のうち、環境に関する用語についての(ア)~(オ)の記述に対応する略語の組合せとして最も適切なものはどれか。

 

( ア)生産者がその生産した製品が使用され、廃棄された後においても、当該製品の適正なリサイクルや処分について一定の責任を負うという考え方である。

(イ)ビルや工場の省エネ化に必要な、技術・設備・人材・資金などを包括的に提供するサービスである。

(ウ)廃棄物を排出する事業者は、事業活動によって生じた産業廃棄物を自らの責任において処理しなければならないという考え方の基となった原則である。

(エ)有害性のおそれがある化学物質の環境への排出量及び廃棄物に含まれている移動量を登録して公表する仕組みである。

(オ)事業者が化学物質や製品を他の事業者に出荷する際に、その相手方に対して該当する化学物質に関する情報を提供するためのものである。

 

①(ア)EPR、(イ)SDS、(ウ)PPP、(エ)PRTR、(オ)ESCO

②(ア)EPR、(イ)ESCO、(ウ)PPP、(エ)PRTR、(オ)SDS

③(ア)PPP、(イ)ESCO、(ウ)EPR、(エ)SDS、(オ)PRTR

④(ア)PPP、(イ)PRTR、(ウ)EPR、(エ)ESCO、(オ)SDS

⑤(ア)SDS、(イ)PRTR、(ウ)EPR、(エ)PPP、(オ)ESCO

 

【正解は②】

単なる用語知識なので説明省略。

 

 

1-1-35 放射性物質汚染対処特措法(平成二十三年三月十一日に発生した東北地方太平洋沖地震に伴う原子力発電所の事故により放出された放射性物質による環境の汚染への対処に関する特別措置法)に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。

 

①事故により原子力事業所外に飛散したコンクリートの破片その他の廃棄物の処理は、関係原子力事業者が行う。

②特定廃棄物の収集、運搬、保管及び処分は国が実施する。

③特定廃棄物は、対策地域内廃棄物、特別管理廃棄物、指定廃棄物の3つをいう。

④除染特別地域については、国が除染計画を策定し、除染事業を実施する。

⑤汚染状況重点調査地域については、指定された市町村が除染実施計画を定め、除染実施区域を決定する。

 

【正解は③】

特定廃棄物は対策地域内廃棄物、指定廃棄物の2つ。

1-1-36 日本のエネルギー問題に関する次の(ア)~(エ)の記述のうち、適切なものの数はどれか。

 

( ア)日本は2004年末まで世界最大の太陽光発電導入国だったが、急速に導入量を増加させたドイツに首位を奪われた結果、 2013年末において、太陽光発電の累積導入量で世界第2位となっている。

(イ)東日本大震災後の原子力発電所の稼働停止により、電力の化石燃料依存度は2013年度には約9割となり, 2010年度の約6割から大きく上昇した。

(ウ)将来の有望な二次エネルギーである水素について, 2013年から水素ステーションの先行整備が開始され、翌年には世界に先駆けて燃料電池自動車の市販が開始された。

(エ)太陽光発電により発電された電気を対象として一定の価格で電力会社が買い取る「固定価格買取制度」が日本でも2012年7月から開始され、 2014年度からは風力、バイオマス等の全ての再生可能エネルギーにより発電された電気に拡充された。

 

①0 ②1 ③2 ④3 ⑤4

 

【正解は③】

ア(首位が中国で日本は3位)、エ(2012年→2009年、2014年→2012年)が誤り。

 

 

1-1-37 環境影響評価に関する次の(ア)~(エ)の記述のうち、適切なものの数はどれか。

 

(ア)環境影響評価法においては、第一種事業及び第二種事業のうち、第二種事業に対してスクリーニングの手続きが定められている。

(イ)地方自治体が制定する環境影響評価に関する条例においては、環境影響評価法で定められた手続き以外のものを規定することはできない。

(ウ)事業者は、環境影響評価書を作成した時は、公告・縦覧した上で、住民への説明会を開催し、意見を求めなければならない。

(エ)第一種事業及び第二種事業を実施しようとする者は、計画段階配慮事項についての検討を行った結果について、計画段階環境配慮書を作成しなければならない。

 

①0 ②1 ③2 ④3 ⑤4

 

【正解は②】

イ(規定できる)、ウ(説明会は不要)、エ(第二種は事業者が任意で実施)が謝り。

 

 


 

1-1-38 ライフサイクル・アセスメント(LCA)に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。

 

①LCAは、製品及びサービスにおけるライフサイクル全般にわたっての総合的な環境負荷を客観的に評価する手法の一つである。

②ISO及びJISによる標準化においては, LCAは大きく分けると、 目的と調査範囲の設定、インベントリ分析、影響評価、結果の解釈の4つの要素から構成されている。

③ライフサイクル・インベントリ分析を行う際に、リサイクルエ程がある場合には、環境負荷がどの製品に帰属するのか単純に分析できない。

④影響評価は、分類化、特性化、重み付けという3つのステップで行われる。

⑤LCAの手法のひとつである産業連関法は、特に新技術やリサイクルを含めた分析に適している。

 

【正解は⑤】

新技術やリサイクルは産業連関表に取り入れられていないので分析できない。

 

 

1-1-39 組織の環境管理活動に関する次の(ア)~(オ)の記述のうち、適切なものの数はどれか。

 

(ア)環境アカウンタビリテイとは、企業などの組織において、財務的な事項だけでなく、非財務的な自然・環境に関わる事項を含めて社会に報告する責任を有するという考え方である。

(イ)環境報告書は、組織の環境管理活動の内容を組織外に公開するためのもので、一定規模以上の企業には作成が義務付けられている。

(ウ)環境管理システムは、環境に関する経営方針(環境方針)を体系的に実行していくためのシステムである。

(エ)エコアクション21の主たる目的は、大手事業者が環境保全の取り組みを体系的に展開していくための仕組みを提供することである。

(オ)環境会計には、環境会計情報が環境報告書などを通じて社会に開示される外部報告的な性質と、環境保全に取り組む際に合理的な意思決定を行うためのツールとして利用できる内部管理的な性質の2つの側面がある。

 

①1 ②2 ③3 ④4 ⑤5

 

【正解は③】

イ(環境報告書作成は民間企業は任意)、エ(エコアクション21は中小企業対象)が誤り。

 

 


 

1-1-40 次のうち、環境調査の対象となる動植物と調査手法の組合せとして最も適切なものはどれか。

(対象となる動植物)

ア昆虫

イ陸上植物

ウほ乳類

エ鳥類

(調査手法)

A ラインセンサス法

B ライトトラップ法

C フィールドサイン法

D コドラート法

 

①(ア)A、(イ)B、(ウ)C、(エ)D

②(ア)B、(イ)A、(ウ)D、(エ)C

③(ア)B、(イ)D、(ウ)C、(エ)A

④(ア)C、(イ)D、(ウ)B、(エ)A

⑤(ア)C、(イ)A、(ウ)B、(エ)D

 

【正解は③】

昆虫-ライトトラップ(光で誘引)、植物-コドラード(区画内調査)がポイント。

 


記述問題

1-2 次の問題について解答せよ。

近年、科学技術は急速に進展しており、新しい技術の導入によって様々な事業活動がその内容や形態を変化させている。このような科学技術の進展に関心を払い、それに見合ったより高度な業務を遂行できるように日々努めることは、総合技術監理部門の技術士に要求される重要な役割の一つである。

 そこで、あなたがこれまでに経験した、あるいはよく知っている事業(事業全体もしくはその一部である特定の業務、継続的若しくは繰り返して行う複数プロジェクトの集合体などでも良い。)を一つ取り上げ、その事業において最近の科学技術の進展が引き起こした事業の内容や形態の変化とその影響、及び将来の科学技術の進展に伴ってその事業の内容や形態が大きく変化する可能性とその変化が及ぼす影響や課題などについて、総合技術監理の視点から以下の(1)〜(4)の問いに答えよ。ここでいう総合技術監理の視点とは、「業務全体を俯瞰し、経済性管理、安全管理、人的資源管理、情報管理、社会環境管理に関する総合的な分析、評価に基づいて、最適な企画、計画、実施、対応等を行う」立場からの視点をいう。

 なお、定量的な記述が可能なものについては、総体的な表現(「大きい」、「小さい」、「高い」、「低い」など)を避け、出来るだけ数値(概略でよい。)を用いて記述すること。書かれた論文を評点する際、考察における視点の広さ、記述の明確さと論理的なつながり、そして論文全体のまとまりを特に重視する。

(1) 論文に置いてあなたが取り上げる事業の内容を次の①〜③に沿って示せ。この際、以後の問い(2)、(3)、(4)の解答に必要な内容を含めて帰すこと。
(問い(1)ついては、問い(2)と併せて答案用紙3枚以内にまとめ、解答せよ。)①事業の名称及び目的を記せ。
②事業の規模及び担当する組織の人数や構成を記せ。
③事業の置かれている背景状況及び事業上の制約を示し、それを踏まえて事業内容の概略を記せ。

(2) 取り上げた事業に最近(必ずしも直近でなくとも、5年前とか10年前でもよい。)導入された技術で、事業の内容や形態に比較的大きな影響を与えたものを一つ取り上げ、この技術導入によって、事業の内容や形態がどのように変化したか、またその変化の影響はどのように評価できるかを、次の①〜③に沿って示せ。
(問い(2)については、問い(1)と併せて答案用紙3枚以内にまとめ、解答せよ。)
①取り上げる技術の名称とその機能及びこの技術が導入された理由を記せ。
②この技術導入により事業の内容や形態がどのように変化したかを記せ。
③この技術導入による事業への影響について、その評価をメリット、デメリット、トレードオフ等に留意して記せ。

(3) 遠からぬ将来(将来の具体的な時期は問わない。)、新技術の導入により、この事業に今存在する課題の一つが、部分的あるいは完全に解決されるであろう状況について、次の①〜③に沿って示せ。
(問い(3)については、答案用紙を替えて1枚以内にまとめよ。)
①想定する新技術の名称とその機能を記せ。
②この新技術により部分的あるいは完全に解決されるであろう課題を記せ。
③この新技術導入により課題がどのように解決されるか、また解決されない部分があるとしたらそれは何かを記せ。

(4) さらに遠い将来(将来の具体的な時期は問わない。)、より一段と進んだ将来技術(その実現性は問わない。)により、この事業に存在する課題の幾つかが解決され、事業の内容や形態が大きく変化する可能性について、予想される変化の状況及びこの将来技術が導入されたとしても残るであろう課題等について、次の①〜③に沿って示せ。
(問い(4)については、答案用紙を替えて1枚以内にまとめよ。)
①想定する将来技術の名称とその機能を記せ。
②この将来技術の導入により事業の内容や形態がどのように変化するであろうかを記せ。
③この将来技術が導入されたとしても残るであろう課題、また導入により新たに生じる可能性のある課題を記せ。

記述問題の解説
 新技術の導入に伴うメリット・デメリットを論ずる問題です。新技術の導入は生産性の向上という効果がありますが、なお残る課題(残留リスク)、新たに生ずる課題(二次リスク)が常にあります。
 たとえば設計図面を手書きしていたのがCADに取って代わられた結果、製図時間は大幅に短縮されましたし、電子化等のメリットも生みました。しかしディスプレイ上の作業ゆえに全体閲覧性に劣るがゆえのミスが発生したり、新たな問題も発生しました(二次リスク)し、二次元の図面で三次元のものを表すがゆえの情報伝達の限界もあります(残留リスク)。さらに近い将来はこれを三次元CAD化するだけでなく調査設計段階から三次元モデルを導入し、施工・維持管理の各段階での三次元モデルに連携・発展させることで、一連の建設生産システムの効率化や品質向上を目指すCIMのようなシステム導入が見込まれますが、たとえば土木なら土木の専門スキルと三次元の世界を理解するスキルを併せ持つ人材の確保育成や三次元モデルの妥当性判断ができる人材あるいはシステムの確保などの課題が出てきます。
 このように、実際に経験した(あるいは見聞した)技術導入→近い将来の技術導入→遠い将来の技術導入と、同じテーマで発展的に並べ、課題・リスクが徐々に解消・最小化されていくとともに残留リスクや二次リスクがどのように残ったり発生したりするかを考察させる問題です。
 高得点を取るための条件は、以下のとおりと思われます。
①設問(1)に対して、過去に経験した・見聞した業務および技術導入をあげること(将来の仮想事例を上げている人が非常に多い)
②実際の導入事例→近い将来の導入→遠い将来の導入と、できるだけ同じテーマで発展的に並べていく(途中でテーマが変わってしまっている人が多い)
③導入事例ではデメリットとして残留リスク・二次リスク、近い将来の導入技術では残留リスクを、遠い将来の導入技術では残留リスクと二次リスクを書く(残留リスクを書くべきところで二次リスクを書いている人が多い)