技術士第二次試験 平成20年度 総合技術監理

過去問題Topへ

※択一正解は、技術士会の公表正解に関して、臨時掲示板での議論を参考に解説を加えたものです。
 異論や情報などありましたら、掲示板あるいはメールにてお願いします。


択一問題

  1. 工程管理に関する(ア)〜(オ)の記述のうち、不適切なものの数を(1) 〜(5) から選び答えよ。

    (ア)工程管理の主な目的は、事業計画に従った精算を実現することによって納期を遵守することにある。
    (イ)負荷計画とは、作業部署におけるオーダの作業順序を決定し、作業の開始と終了の予定時刻を設定する機能である。
    (ウ)手順計画とは、オーダ毎に必要な作業と手順を設定し、各オーダの作業内容を工程計画や作業計画の形で作成する機能である。
    (エ)進行管理とは、生産活動の開始後にその実行を統制する機能である。
    (オ)日程計画とは、オーダを作業部署に割り当て、生産能力と負荷をバランスさせる機能である。


    (1) 1 (2) 2 (3) 3 (4) 4 (5) 5

    正解は2
    ※(イ)は日程計画、(オ)は負荷計画で、両者を入れ替えてあります。青本p.39。

  2. ISO10006に関する次の記述のうち、最も不適切なものを選び答えよ。

    (1) ISO10006とは、ISOによって制定された「プロジェクトマネジメントにおける品質の指針」である。

    (2) ISO10006は、ISO9000と併せて活用することが前提となっている。

    (3) ISO10006では、プロジェクトマネジメントにおける品質について考える場合、プロセスの品質とプロジェクトの製品の品質の2つの側面が存在するということを前提としている。

    (4) ISO10006の序文では、「品質マネジメントの経験が無くとも、プロジェクトマネジメントの経験があれば利用可能」であることが明記されている。

    (5) ISO10006は、大小様々な複雑性をもつプロジェクト、及び長期又は短期の異なる環境でのプロジェクトに適用できる。


    正解は4
    ※序文では、「品質マネジメントの経験を持ち、かつ、プロジェクトマネジメントの経験がある人を対象として作られた」と明記してあります。青本p.215。

  3. 次に上げる(ア)〜(オ)の品質管理における手法のうち、新QC7つの道具に含まれていない手法の数を(1) 〜(5) の中から選び答えよ。

    (ア)マトリクス図 (イ)系統図 (ウ)チェックシート (エ)親和図 (オ)パレート図

    (1) 0 (2) 1 (3) 2 (4) 3 (5) 4

    正解は3
    ※ウ、オはQC7つ道具です。青本p.34。

  4. 活動基準原価計算(Activity Based Costing; ABC)の説明として、最も不適切なものを選び答えよ。

    (1) 活動基準原価計算では、間接費の製品毎の配賦基準として、主に生産量や操業度が用いられる。

    (2) 活動基準原価計算は、1980年代後半に米国で開発された手法であり、背景には製造業での間接費の増大があった。

    (3) 活動基準原価計算は、原価を発生させる本当の要因を明らかにし、製品毎に発生した原価を正しく把握して振り分ける方法である。

    (4) 活動基準原価計算で重要となるのは、アクティビティとコストドライバーである。

    (5) 各アクティビティの原価をコストドライバーで除してコストドライバーレートを求めれば、効率の悪い工程等を把握するための情報が得られる。


    正解は1
    ※生産量や操業度を基準とするのは、サービス業などには不向きな伝統的原価計算です。ABCは製品やサービスを顧客に提供するまでに行われる営業活動や採用活動などの活動(アクティビティ)を基準・指標として、それに要した資源(時間や労力など)に応じて、製品・サービスに間接費配賦を行う方法で、従来原価管理とは無縁とされていた銀行、病院、自治体などでも取り入れられています。

  5. 生産と調整などに関する次の略語の説明のうち、最も不適切なものを選び答えよ。

    (1) APP(Aggregate Production Planning)は、生産計画の第一ステップに位置するものであり、大日程計画と言い換えることもできる。

    (2) MPS(Master Requirements Planning)は、総合生産計画による製品全体の生産計画を製品アイテム谷に分解するための機能をもつ。

    (3) MRP(Material Production Schedule)は、生産量決定を経た後に、製品アイテムを構成する部品や原材料の生産や調達を決定するための機能を持つ。

    (4) ERP(Enterprise Resource Planning)は、企業全体の経営資源を有効に総合的に計画、管理し、経営の効率化を図るための手法・概念である。

    (5) CALS(Commerce At Light Speed)は、主として発注時期を確定するために、各部品の待ち時間や、移動時間などの見積もりを迅速にするためのシステムである。


    正解は5
    ※CALSは、調達から生産、保守、更新に至るまでの情報をITで一元管理するものです。また、略語がいろいろありますが、わが国で「CALS/EC」に取り入れられているのは、「Continuous Acquisition and Life-cycle Support」のほうです。

  6. ある年度末に、ある事業に1500万円の投資をした。この投資により次の年度末からx万円の収入が各年度末に3年間のみ得られるとする。年利率を考慮した場合、各年度末に得られるx万円の収入がいくら以上ならば、この投資を回収できるか。(1) 〜(5) の中から、xに当てはまる最小の数値を選び答えよ。ただし、xは均等資金額として計算することとし、年利率は5%とする。

    (1) 520 (2) 540 (3) 560 (4) 580 (5) 600

    正解は3
    ※青本p.51に計算式があります。

  7. ある製品は、まず工程1で加工し、次に工程2で加工して生産される。工程1には機械Aが1台あり、工程2には機械Bと機械Cがある。工程2では、機械Bか機械Cのどちらかで加工すればよい。機械Aの運転状況は、稼働時間100時間、故障時間10時間の割合である。また、機械B、機械Cの信頼度は、それぞれ0.900、0.850である。なお、機械は稼働中に不良品を発生させないこととする。工程1、2の全体における信頼度に最も近いものを、(1) 〜(5) の中から選び答えよ。ただし、有効数字は3桁で計算せよ。

    (1) 0.700 (2) 0.780 (3) 0.800 (4) 0.880 (5) 0.900

    正解は5
    ※システム信頼性の問題で、一次試験基礎科目(設計・計画分野)の基礎レベルです。
     システムは、下図に示すようになります。(システムを頭に入れるため、まずはこういう図を書かれることをお勧めします)
       
     ここで工程1〜2は直列です。したがって、 全体の信頼度=工程1の信頼度×工程2の信頼度 となります。
     工程1には機械Aしかありませんから、 
    工程1の信頼度=機械Aの信頼度 で、これは稼働時間100、故障時間10なので、全体で110時間のうち100時間稼動。
      ∴100/110=0.909。
     工程2には機械Bと機械Cがあり、これはどちらかを選べるので並列です。
     よって 
    工程2の信頼度=1-(1-機械Bの信頼度)×(1-機械Cの信頼度) で、機械Bの信頼度が0.900、機械Cの信頼度が0.850です。
      ∴1-(1-0.9)×(1-0.85)=1-0.1×0.15=1-0.015=0.985。
      ∴全体の信頼度=0.909×0.985=0.895。
     よって最も近いのは選択肢(5)です。
     もし機械Aの信頼度を「100のうち10エラーなので信頼度0.9」と勘違いすると、 0.9×0.985=0.887 となって、選択肢(4)のほうが近くなるので誤答してしまいます。
     機械Aの信頼度だけズバリ書いてないのは、そういうワナが仕掛けてあるんですね。


  8. 下表のように各作業の所要日数と先行作業(その作業を開始する前に完了しているべき作業)が与えられている。作業D、Eに新技術を導入することにより、作業Dの所要日数を8日から5日に、作業Eの所要日数を10日から6日に短縮できた。その新技術導入により作業全体の短縮の総所要日数は、導入前に比べて短縮されているが、その短縮日数を(1) 〜(5) の中から選び答えよ。

    作業:A 所要日数:9 先行作業:なし
    作業:B 所要日数:12 先行作業:なし
    作業:C 所要日数:6 先行作業:A
    作業:D 所要日数:8 先行作業:A
    作業:E 所要日数:10 先行作業:B,C
    作業:F 所要日数:7 先行作業:B,C,D


    (1) 2日 (2) 3日 (3) 4日 (4) 5日 (5) 6日

    正解は2
    ※ネットワーク工程の問題ですので、まずは下図のようなアローダイヤグラムを書いて条件を整理しましょう。
      
    (当初工程) (短縮後工程)
     先行作業が複数あるときは、わかりにくくならないようにダミーを積極的に使いましょう。
     当初工程の経路と所要日数は下記のようになり、クリティカルパス(CP)は経路1の25日です。
      (経路1) A→C→E   9+6+10=25日
      (経路2) A→C→F   9+6+7=22日
      (経路3) A→D→F   9+8+7=24日
      (経路4) B→E   12+10=22日
      (経路5) B→F   12+7=19日
     このうちDを5日に、Eを6日に短縮した結果が上図の右になります。CPは
      (経路1) A→C→E   9+6+6=21日
      (経路2) A→C→F   9+6+7=22日
      (経路3) A→D→F   9+5+7=21日
      (経路4) B→E   12+6=18日
      (経路5) B→F   12+7=19日
     となって、経路2の22日となります。つまり、短縮日数は25日−22日=3日となります。
     単純に「作業Dが3日短縮+作業Eが4日短縮=合計7日短縮」と考えてしまうと答えになります。
     当初CPだった経路1の短縮日数だけを考えると4日で(3)を選んでしまいます。
     新技術導入による短縮で、CPが変わることをちゃんと導けるかどうかですね。


  9. (ア)〜(オ)に示す組織として与えるインセンティブの説明のうち、不適切なものの数を(1) 〜(5) の中から選び答えよ。

    (ア)物質的インセンティブは、給与や賞与などの報酬や褒賞で報いることによってインセンティブを与える方法である。
    (イ)評価的インセンティブは、組織内での行動を、賞賛などの形で評価することによりインセンティブを与える方法である。
    (ウ)人的インセンティブは、職場で接する人々の人間的魅力、居心地の良さ、組織への所属意識の向上によってインセンティブを与える方法である。
    (エ)理念的インセンティブは、思想や価値観の追求を達成欲求の源泉とするようなインセンティブを与える方法である。
    (オ)自己実現インセンティブは、組織が常に自分をよりよい方向に育成してくれている、また達成感を持って仕事を行っていると思えるような自己実現のためのインセンティブを与える方法である。


    (1) 0 (2) 1 (3) 2 (4) 3 (5) 4

    正解は1
    ※すべて適切な記述です。5つのインセンティブは的確に理解しておきましょう。字面暗記でなくイメージをしっかりと。

  10. (ア)〜(エ)に示す組織文化のタイプを説明している文章のうち、適切なものの数を(1) 〜(5) の中から選び答えよ。

    (ア)挑戦タイプ:変化をチャンスとして受け止め、積極的にイノベーションを引き起こそうとする。
    (イ)トップ主導タイプ:強い権限を持つトップが牽引するため、変化に対して硬直的である。
    (ウ)分権管理タイプ:権限を分権化し、成果を管理することで協働を図る。
    (エ)巨艦タイプ:上意下達型で業務を進めていくため、安定した組織であるが、変化への対応が遅れるおそれもある。


    (1) 0 (2) 1 (3) 2 (4) 3 (5) 4

    正解は3
    ※(イ)と(エ)が不適切です。よって適切なものの数は2。
     (イ)・・・・× ワンマン経営はトップの意思一つで良くも悪くも一気に変わりえます。
     (エ)・・・・× 巨艦タイプは合議制です。上意下達だと、上が「こうしろ」といえば一斉に動くので、ササッと変化できます。


  11. 人的資源開発に関する次の記述のうち、不適切なものが2つある。その組み合わせとして正しいものを(1) 〜(5) の中から選び答えよ。

    (ア)教育訓練体系には、階層別教育訓練、職能別教育訓練、課題別教育訓練があるが、新入社員教育や管理職研修は職能別教育訓練にあたる。
    (イ)人的資源開発のプロセスは、必要性の決定、目標設定、開発手法選択、メディア選択、プログラムの実施、プロセス・プログラムの評価で進められる。
    (ウ)人事考課管理は、従業員のモチベーションに大きな影響を与えるものであり、理念として、客観性、公平性の他、透明性、減点主義が重要である。
    (エ)教育訓練方法には、OJT、OFF-JT、自己啓発があり、教育スタッフは主にOFF-JT、組織の管理者は、OJTと自己啓発に責任を持つことになる。
    (オ)人事考課管理と教育訓練管理は、相互にそれぞれの結果・成果を反映させる必要がある。


    (1) ア、ウ (2) ア、オ (3) イ、エ (4) イ、オ (5) ウ、エ

    正解は1
    ※ア:職能別ではなく階層別、ウ:減点主義ではなく加点主義です。

  12. 次の説明文は、代表的な組織形態の1つであるマトリクス組織について説明したものである。ア〜エに入る用語の組み合わせとして、最も適切なものを(1) 〜(5) の中から選び答えよ。

    (ア)組織も(イ)組織もそれぞれ特徴があるが、マトリクス組織とはその2つを併せたような組織である。組織の全体的な編成原理について1つの軸を中心にとるのではなく、(ウ)(エ)の二元的な組織編成を行うものである。

    (1)  (ア)階層別 (イ)営業部制 (ウ)階層 (エ)営業
    (2)  (ア)職能別 (イ)事業部制 (ウ)職能 (エ)事業
    (3)  (ア)営業部制 (イ)生産部制 (ウ)営業 (エ)生産
    (4)  (ア)ライン部門制 (イ)スタッフ部門制 (ウ)ライン (エ)スタッフ
    (5)  (ア)職能別 (イ)能力別 (ウ)職能 (エ)能力


    正解は2
    ※マトリクス組織を正しく理解していれば一発です。

  13. 成文労働関係法は、大きく憲法第27条の労働権にもとづくものと第28条の団結権に基づくものに分けられる。(ア)〜(オ)に示した法律のうち、憲法第27条労働権に基づく労働関係法を全て挙げている組み合わせを、(1) 〜(5) の中から選び答えよ。

    (ア)育児・介護休業法 (イ)労働組合法 (ウ)労働基準法 (エ)労働関係調整法 (オ)労働安全衛生法

    (1) ア、イ、エ (2) ア、ウ、オ (3) イ、ウ、エ、オ (4) イ、エ (5) ウ、オ


    正解は2
    ※これはもう知識問題ですね。

  14. 労働時間制度の弾力化に関する次の記述の空欄(ア)〜(ウ)に入る用語の組み合わせとして、最も適切なものを(1) 〜(5) の中から選び答えよ。

    (ア)制度は、1ヶ月又は数ヶ月で平均して1週間当たりの労働時間が週法定労働時間を超えない範囲で各自の労働時間を決めることができる。また、(イ)制度は、労使の協定に基づいて(イ)を決める。(ウ)制度は、(ウ)の必要性が認められる研究開発などの労働について(イ)を適用する。

    (1) (ア)法定労働時間 (イ)みなし労働時間 (ウ)変形労働時間
    (2) (ア)変形労働時間 (イ)法定労働時間 (ウ)裁量労働
    (3) (ア)法定労働時間 (イ)フレックスタイプ (ウ)みなし労働時間
    (4) (ア)変形労働時間 (イ)みなし労働時間 (ウ)裁量労働
    (5) (ア)フレックスタイム (イ)法定労働時間 (ウ)みなし労働時間


    正解は4
    ※労働時間制度の基礎知識問題です。

  15. いわゆるパートタイム労働者(短時間労働者)に関する記述(ア)〜(オ)のうち、適切なものの数を(1) 〜(5) の中から選び答えよ。

    (ア)法律上、同一の事業所に雇用され、同種の業務に従事する通常の労働者に比べて、1週間当たりの労働時間が短い労働者をいう。
    (イ)同一の事業所に雇用され、同種の業務に従事する通常の労働者とは異なり、労働基準法の適用は受けない。
    (ウ)法律上、勤務開始から6ヶ月間継続勤務し、勤務すべき日の8割以上勤務した労働者に、有給休暇を与えることが事業主に義務づけられる。
    (エ)法律上、勤務開始から1年間以上継続勤務した労働者に、退職手当を与えることが事業主に義務づけられている。
    (オ)失業保険(雇用保険)は、同一の事業所に雇用され、同種の業務に従事する通常の労働者と同様に適用になるが、労災保険(労働者災害補償保険)は適用にならない。


    (1) 1 (2) 2 (3) 3 (4) 4 (5) 5

    正解は2
    ※適切なのは(ア)と(ウ)。
     (イ)・・・・× 労基法はパートタイムにも適用されます。

     (エ)・・・・× パートタイムに対してはそのような義務はありません。ただし雇用条件として文書明示が義務化されています。
     (オ)・・・・× 労災保険は、雇用関係にあるすべての労働者に適用になります。 (保険料は、全額が事業主負担)
             なお、失業保険は正社員と同様ではなく、正社員は半年、パートは1年以上の勤務が必要です。

  16. 近年、雇用形態が多様化してきているが、労働者派遣法における労働者派遣事業に関する次の記述(ア)〜(エ)には適切なものと不適切なものが含まれている。その組み合わせとして正しいものを(1) 〜(5) の中から選び答えよ。

    (ア)派遣元と派遣先との間に労働者派遣契約が締結され、この契約に基づいて派遣元が派遣先に労働者を派遣する。
    (イ)派遣先は、労働者に直接、通勤手当を支払う。
    (ウ)派遣元は、労働者は指揮命令する。
    (エ)派遣された労働者は、雇用形態として非直用に区分される。


    (1) (ア)適切(イ)適切(ウ)不適切(エ)適切
    (2) (ア)適切(イ)不適切(ウ)適切(エ)不適切
    (3) (ア)適切(イ)不適切(ウ)不適切(エ)適切
    (4) (ア)不適切(イ)不適切(ウ)不適切(エ)適切
    (5) (ア)不適切(イ)適切(ウ)適切(エ)不適切


    正解は3
    ※(イ)と(ウ)が不適切です。派遣元、派遣先、派遣労働者の関係は下図のようになります。
        
     (ア)・・・・○ 図のとおりです。
     (イ)・・・・× 図のように派遣先と動労者の間には雇用関係はありませんから、直接の賃金支払いはありません。
     (ウ)・・・・× 図のように指揮命令関係は派遣先と動労者の間にあります。派遣元が指揮命令することもありません。
     (エ)・・・・× 図のように派遣先と動労者の間には雇用関係はありませんから、非直用です。


  17. 情報システムの信頼性・安全性水準の確保において、情報システムの開発を委託する発注者(以下、利用者)と請け負う受注者(以下、供給者)に関する次の記述のうち、最も不適切なものを選び答えよ。

    (1) 情報システム障害により生ずる損害は、一般に、利用者ではなく、情報システムを開発した供給者が負うべきものである。

    (2) 利用者が原因となる情報システム障害には、発注仕様の誤りや慣れによる操作の誤りなどがある。

    (3) 利用者にとって、ビジネスニーズ及び取り巻く環境の変化を予測し、常に情報システムの改善に努める必要があるので、保守・運用段階の重要性も認識しなければならない。

    (4) 利用者の経営層は、経営戦略と情報戦略双方に通じた人材を再考情報責任者(CIO)に登用し、情報システムの信頼性・安全性向上に努めなければならない。

    (5) 利用者及び供給者は、網羅的かつ定量的手法を取り入れたプロジェクトマネジメント手法を確立し、経験則のみによらないマネジメントを行うべきである。


    正解は1
    ※消去法でも常識感覚でもわかります。

  18. 緊急時の特徴と情報収集に関する(ア)〜(オ)の記述のうち、不適切なものの数を(1) 〜(5) の中から選び答えよ。

    (ア)緊急事態は、発見が困難な場合もあるので、具体的な緊急事態となる事象を検討し、その事象をできるだけ早く発見するための仕組みを構築することが重要である。
    (イ)情報収集が必要となる緊急事態としては、自然災害だけでなく、火災や危険物漏えいなどの物的被害、情報漏えいなどの情報リスクも考えておく必要がある。
    (ウ)緊急時に収集可能な情報は、不確定なので、収集すべき情報内容の事前整理は不要であり、むしろ情報収集方法を中心に検討すべきである。
    (エ)緊急時は、通常ではあり得ない行動をとってしまう可能性があるため、必ず正しい情報のみを用いて判断しなければならない。
    (オ)緊急時は不確定な情報や誤った情報が錯綜するため、連絡経路の多重化を避けるべきである。


    (1) 0 (2) 1 (3) 2 (3) 4 (5) 4

    正解は4
    ※(ウ)、(エ)、(オ)が不適切です。
     (ウ)・・・・× 収集すべき情報内容の事前整理ができていないと、要・不要な情報が混乱します。
     (エ)・・・・× そもそも情報の信頼性が不確定なことが多いので、このようにすると動けなくなります。
     (オ)・・・・× 連絡経路が単線だと、それがダウンした場合に情報が入らなくなります。よって多重化は必要です。


  19. 情報ネットワークを利用した情報通信における通信内容の保護・規制に関する次の記述のうち、最も不適切なものを選び答えよ。なお、以下の記述に示された法律は、平成20年4月1日時点で施行されているものを対象とする。

    (1) 通信傍受法(犯罪捜査のための通信傍受に関する法律)では、セクシャルハラスメントやプライバシー侵害などの個人の権利を侵害する犯罪について、裁判官の許可を得た上で、通信の傍受を認めている。

    (2) 社内ネットワーク利用規制を規定するなどの措置を講じた上で、企業は従業員のメールの内容を監視することができる。

    (3) 電気通信事業者が通信内容を調べ、通常時においてファイル共有ソフトからの通信をユーザに無断で遮断することは電気通信事業法で禁じられている。

    (4) わいせつな文書、図面その他の物を不特定多数が閲覧する電子掲示板へ投稿することは刑法で禁じられている。

    (5) 通信の秘密を侵してはならないことは、日本国憲法に書かれている。


    正解は1
    ※(1)・・・・× 通信傍受が認められるのは、薬物・銃器・集団密航・組織的殺人だけです。

  20. 公的な申請や文書の電子化に関する次の記述のうち、最も不適切なものを選び答えよ。なお、以下の記述に示された法律は、平成20年4月1日時点で施行されているものを対象とする。
    (注)e−文書法とは、「民間事業者等が行う書面の保存等における情報通信の技術の利用に関する法律」「民間事業者等が行う書面の保存等における情報通信の技術の利用に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律」の2つの法律を総称したものである。

    (1) 2007年の総務省発表によると、国の行政機関のオンライン化対象手続きの90%以上はオンライン化されたが、件数ベースでのオンライン利用率は20%にも満たない。

    (2) 公開鍵基盤(PKI)は、電子申請における他人のなりすましや通信途中での改ざんを防ぐことに用いられている。

    (3) いわゆるe−文書法により、法令で保存が義務づけられた文章は、電子化が認められるようになったが、紙での保存が義務づけられた文章も残っている。

    (4) 電子署名・認証法(電子署名及び認証業務に関する法律)の施行により、パスワードによる本人確認が手続き署名や押印と同時に適用できるようになった。

    (5) 電子化されたデータがある時刻に存在していたことを証明するためには、タイプスタンプ(時刻証明情報)を用いることができる。


    正解は4
    ※電子署名法では、電子署名は公開鍵暗号方式に基づくデジタル署名方式になっています。(RSA、DSA、ECDSA の3方式を指定しています)

  21. ソフトウェアの著作権に関する次の記述のうち、最も適切なものを選び答えよ。

    (1) ソフトウェアの不具合の修正は、同一性保持権の侵害になる。
    (2) 違法に複製されたプログラムと知りながら業務において使用した場合には、著作権侵害になる。
    (3) 著作権は、登録しないと効力を持たない。
    (4) 企業内で違法コピーを行った場合、企業は罰せられないが、コピー行為を直接行った者は刑事罰を受ける。
    (5) 類似しているユーザインターフェースは、直ちに著作権侵害になる。


    正解は2
    ※常識感覚でわかります。

  22. 個人情報保護に関する次の記述のうち、最も適切なものを選び答えよ。

    (1) 従業者が業務上使用している携帯電話等の電話帳に登録されている氏名と電話番号のデータは、個人情報データベース等に該当しない。

    (2) 社員のデータベースしか持っていない場合は、個人情報取扱事業者とならない。

    (3) 名簿業者から個人の名簿を購入することは、個人情報保護法違反になる。

    (4) 第三者提供について本人の同意を得た個人データの分析を委託する場合、委託元は、委託者の監督責任を負う。

    (5) 社員の所属部署と内線番号の表を作成して、社内で閲覧できるようにすることは、第三者提供にあたる。


    正解は4
    ※下請けに依頼して、下請けから個人情報が漏れたら委託元の責任も問われます。

  23. 知的財産権に関する次の記述のうち、最も不適切なものを選び答えよ。

    (1) 知的財産権は、知的創造物と営業上の標識に大別される。
    (2) 特許権は、産業財産権(工業所有権)に含まれる。
    (3) 営業秘密は、不正競争防止法で保護される。
    (4) 商号は、商法で保護される。
    (5) データベースは、著作権ではない。


    正解は5
    ※データベースも著作権の対象になります。

  24. (ア)〜(オ)に示す情報セキュリティに関する記述のうち、不適切なものの数を(1) 〜(5) の中から選び答えよ。

    (ア)情報リスクには、自然災害などの偶発的なものの他に、コンピュータウイルスなどの人為的なものが含まれる。
    (イ)ソーシャルハッキングは、セキュリティソフトがあれば対処できる。
    (ウ)情報セキュリティポリシーの基本方針は、実際に守るべき規程を具体的に記述し、適用範囲や対象者を明確にしたものである。
    (エ)利用者や管理者の意図に反してインストールされ、利用者の個人情報やアクセス履歴などの情報を収集するプログラム等を、スパイウェアと呼ぶ。
    (オ)持ち出すデータを暗号化しておけば、情報漏えいは起こらない。


    (1) 1 (2) 2 (3) 3 (4) 4 (5) 5

    正解は3
    ※(イ)、(ウ)、(オ)が誤りです。
     (イ)・・・・× ソーシャルハッキングは後ろから盗み見るとかゴミを調べるとかしてパスワードを盗むものなので、ソフトで防げません、
     (ウ)・・・・× セキュリティポリシーはあくまでポリシーであり、具体的な適用範囲などはそれにしたがって別途定めます。
     (オ)・・・・× そんな甘いものではありません。


  25. リスク管理に関する次の記述のうち、最も不適切なものを選び答えよ。

    (1) 社会的受容(Public Acceptance)とは、対象となる事象の持つ正負両面を考慮し、その上でそのリスクを社会が受け入れることをいう。

    (2) リスクアセスメントを実施した結果として、リスクを保有することもある。

    (3) 安全性向上のための設備導入や教育訓練による意識向上は、リスク回避の対策の1つである。

    (4) カタストロフィー・バイアスとは、極めてまれにしか起きない被害規模の巨大なリスクに対して、リスクの過大視が起こる傾向のことである。

    (5) バージン・バイアスとは、経験したことのないリスクに対して、リスクを過大に、もしくは過小に評価し、正確なリスク認知を得られない可能性のことである。


    正解は3
    ※リスク回避ではなくリスク低減です。リスク回避はリスクが発生するもとになる事業や行為をやめることです。

  26. リスクコミュニケーションに関する次の記述のうち、最も不適切なものを選び答えよ。

    (1) 対象のネガティブな側面ばかりでなく、ポジティブな側面についても公正に伝える。
    (2) 関係者に及ぼす可能性のある被害の回避・低減は、目的の1つである。
    (3) 一般人にも分かりやすいように、正確な専門用語を重点的に使用する。
    (4) 専門家、NGOなどの中立的な第三者に仲介してもらうのも有効である。
    (5) 関係者の誤解や理解不足による問題発生の防止に寄与する。


    正解は3
    ※専門用語ばかり使っては、いよいよもって理解できません。

  27. 労働安全衛生法(平成18年4月1施行)に関する次の記述のうち、最も不適切なものを選び答えよ。

    (1) 職場における労働者の安全と健康を確保するとともに、快適な職場環境の形成を促進することを目的としている。

    (2) 元方事業者は、関係請負人の労働者が、当該仕事に関し、労働安全衛生法令に違反していると認め、是正指示をするときは、関係請負人を介して行わなければならないとしている。

    (3) 他人に仕事を請け負わせる者には、施行方法、工期等について、安全で衛生的な作業の遂行を損なうおそれのある条件を付さない配慮を求めている。

    (4) 労働者には、事業者等が実施する労働災害の防止措置への協力が求められている。

    (5) 事業者には、労働者を雇い入れたときに、その業務に関する安全又は衛生のための教育を実施することが義務づけられている。


    正解は2
    ※(2)・・・・× 直接指示できます。

  28. 労働災害に関する次の記述のうち、最も不適切なものを選び答えよ。

    (1) 4日以上の休業を要する労働災害が発生した場合、遅延なく、労働者死傷病報告書を所轄労働基準監督署長に提出しなければならない。

    (2) わが国では、労働災害の発生頻度を表す度数率は、100万延実労働時間当たりの労働災害による死傷者数で表す。

    (3) わが国では、労働災害の重さの程度を表す強度率は、1000延実労働時間当たりの労働災害のための失われた延労働損失日数で表す。

    (4) 労働基準監督署による労働安全衛生違反による送検(司法処分)は、労働災害の発生があった場合に限られている。

    (5) 安全配慮義務とは、労働契約に基づき企業に課せられた民事上の責任要件の1つである。


    正解は4
    ※そのような限定があったら、明らかな違反でも災害に至るまで口は出せないことになってしまいます。

  29. プラント設計などにおいては、「本質安全設計」という考え方がある。(ア)〜(オ)の記述のうち、「本質安全」又は「本質安全設計」の考え方を反映したものとして、適切なものの数を(1) 〜(5) の中から選び答えよ。

    (ア)熱好感媒体を利用する際、可燃性物質ではなく、不燃性物質で代替すること。
    (イ)トラブルが生じても拡大しにくいように、安全装置を多重化して設置すること。
    (ウ)毒性のある原料物質を、生産量の増減に合わせ、相当量を一カ所に保管すること。
    (エ)落下すると怪我をする恐れがある場所に、安全のために柵をつけること。
    (オ)作業場等における設置機械類や操作盤等から、鋭利な突起物をなくすこと。


    (1) 1   (2) 2   (3) 3   (4) 4   (5) 5

    正解は2
    ※本質安全とは、そもそも事故が起こらないこと、何か事故に結びつくような要因事象が発生しても、それが顕在化したい(事故に至らない)ことです。
     (ア)・・・・○ もし火がついても燃えないということで本質安全になります。
     (イ)・・・・× これは機能安全・制御安全で、そもそも事故が起こらなくするのではなく、事故を拡大せず済ませる機構です。
     (ウ)・・・・× これが安全措置だとは思えません。逆にそこで何かあったら大変ですから危なく、分散したほうが安全でしょう。
     (エ)・・・・× これは機能安全・制御安全です。落下しても怪我をしないようにするとか、落下しようがない構造にするのが本質安全です。
     (オ)・・・・○ もし衝突しても怪我をしないということで本質安全になります。


  30. (ア)〜(オ)の記述のうち、タンパー・プルーフ(いたずら防止、タンパー・レジスタントとも言う)が主目的とは考えられないものの数を(1) 〜(5) の中から選び答えよ。

    (ア)特殊な専用工具でないと回らないようなネジで、ガスメータの蓋を固定する。
    (イ)自転車の左ペダルのネジを逆ネジにする。
    (ウ)鍋がふきこぼれて炎が消えた場合、ガスコンロのガスを自動的に止めるようにする。
    (エ)飲料などペットボトルの蓋は、本体からねじ切れないと開けられないようにする。
    (オ)電気洗濯機の脱水機で、回転が止まらないと蓋が開かないようにする。


    (1) 0   (2) 1   (3) 2   (4) 3   (5) 4

    正解は4
    ※該当するのは(ア)、(エ)です。タンパー・プルーフは問題文のとおりイタズラ防止ですが、犯罪防止でもあります。

  31. 下図に示すイベントツリーにおいて、次の(1) 〜(5) の対策を講じることができるものとする。初期事象がもたらす最終事象のリスクの合計値を最も小さくするものはどれか、(1) 〜(5) の中から選び答えよ。なお、ここでは「最終事象のリスク=被害×発生確率」で表現されるものとする。


    (1) 初期事象の発生確率を、図の値の5/6にする対策
    (2) 進展キーAの失敗確率を、図の値の1/3にする対策
    (3) 進展キーBの失敗確率を、図の値の1/4にする対策
    (4) 進展キーCの失敗確率を、図の値の1/6にする対策
    (5) 最終事象4の被害を、図の値の2/3にする対策


    正解は3
    ※最終事象のリスク値(=発生確率×被害規模)を整理して考えます。ここで前処理として次のことをします。
      ・初期事象発生確率0.06は全最終事象に共通→すべてのリスク値に乗じられる・・・・発生確率を1にしてしまう。
      ・進展キーBとCは成功確率が0.5で全部同じ→Aで成功・失敗に分岐したあとは最終事象は同じ生起確率になる・・・・BとCの成功・失敗確率を全部1にしてしまう。
      ・Aの成功・失敗確率は6:4=3:2→Aの成功確率を3、失敗確率を2にする。
      ・被害は最大公約数である1000で割り、最終事象1が1、2が3、3が2、4が4にする。
     これらは、リスク値が掛け算であり、大小比較問題であることによります。これをしておくと後が楽です。
      最終事象1のリスク値=(初期発生確率×A成功確率×B成功確率)×1=1×3×1×1=3
      最終事象2のリスク値=(初期発生確率×A成功確率×B失敗確率)×3=1×3×1×3=9
      最終事象3のリスク値=(初期発生確率×A失敗確率×C成功確率)×2=1×2×1×2=4
      最終事象4のリスク値=(初期発生確率×A失敗確率×C失敗確率)×4=1×2×1×4=8
     よって合計リスク値=24になります。以下、対策によるリスク値の減少分をみていきます。
      (1)・・・・リスク値計算式より明らかなように、事象1〜4の合計リスク値全部に「×5/6」されますから、合計リスク値は24×5/6=4×5=20です。
      (2)・・・・事象3・4のほうは失敗確率が1/3の2/3になりますが、事象1・2の成功確率がその分増えて3+2×2/3=3+4/3=13/3になります。
          よってリスク値は、事象1・2が13/3×(1+3)=13×4/3=52/3=17強、事象3・4が2/3×(2+4)=2×6/3=4で、合計21強になります。
      (3)・・・・事象2が1/4になり、事象1はその分アップします。リスク値は事象1が(1+3/4)×3=21/4、事象2が1/4×9=9/4です。よって合計(21+9)/4=30/4=7.5。
          事象3・4は変わりません。よって合計リスク値は7.5+4+8=19.5になります。
      (4)・・・・事象4が1/6になり、事象3はその分アップします。リスク値は事象3が(1+5/6)×4=44/6、事象4が1/6×8=8/6です。よって合計(44+8)/6=52/6=9弱。
          事象1・2は変わりません。よって合計リスク値は3+9+9=21弱になります。
      (5)・・・・事象4のリスク値のみが変化し、2/3になりますから、8×2/3=16/3=5強。その他は変わらないので、合計3+9+4+5強=21強。
     以上により、(3)が最小になります。上記計算はすべて暗算でできます。もちろん電卓があればもっと早くなります。
     ポイントは、「0.06」「0.6」「1000」などの与えられた数値をそのまま馬鹿正直に使わず揃えてしまうこと、端数を「強」「弱」という形でファジーなまま処理することです。

  32. 危機管理マニュアル(以下、マニュアル)に関する次の記述のうち、最も不適切なものを選び答えよ。

    (1) マニュアルに実効性をもたせるために、活動の実施者を記載する。
    (2) マニュアルに訓練による経験をフィードバックすることも重要である。
    (3) マニュアルは、他部署の活動との関連が把握しやすいように工夫する。
    (4) マニュアルは、危機時に要求される緊急時対応を円滑に実施するために策定する。
    (5) マニュアルは、あらゆる危機を想定したものになっていなければならない。


    正解は5
    ※そんなことが不可能なのは感覚的にもわかります。

  33. 循環型社会の形成に向けた次の記述のうち、最も不適切なものを選び答えよ。

    (1) 循環型社会形成推進基本法では、循環型社会の形成に向け、国、地方公共団体、事業者及び国民の責務が明らかにされている。

    (2) 循環型社会形成推進基本法では、発生抑制、再使用、再生利用、熱回収、新技術開発といった5段階の優先順位に基づき廃棄物処理やリサイクルを行うよう明記している。

    (3) 市場経済に循環型社会の形成を織り込んでいくために、環境政策として、適正な費用負担方式の導入、税制などの経済的手法の導入、グリーン購入の一層の推進などの取り組みがなされている。

    (4) 拡大生産者責任とは、生産者が、その生産した製品が使用され、廃棄された後においても、当該製品の適正なリサイクルや処分について一定の責任をおうという考え方である。

    (5) 3Rイニシアティブとは、3Rを通じて、地球規模での循環型社会の構築を目指すことである。


    正解は2
    ※発生抑制(リデュース)→再使用(リユース)→再生利用(リサイクル)→熱回収→適正処分の5段階です。つまり3Rの後にまだ熱回収と適正処分があるわけですね。
     ゴミを出さないようにしよう、出してしまったら再利用しよう、使えなくなったら再生しよう、再生できなかったらせめて熱だけ回収しよう、それもダメなら適正に処理しようということです。


  34. 環境基本法に基づき、政府は大気の汚染等に係わる環境上の条件として環境基準を定めるものとされている。平成20年4月現在、環境省により環境基準が設定されている大気汚染物質の組み合わせとして正しいものを、次の中から選び答えよ。

    (1) 二酸化硫黄、一酸化炭素、ハイドロフルオロカーボン
    (2) 一酸化炭素、浮遊粒子状物質、一酸化二窒素
    (3) 一酸化二窒素、二酸化硫黄、ダイオキシン類
    (4) 浮遊粒子状物質、二酸化炭素、ベンゼン
    (5) 二酸化窒素、光化学オキシダント、ベンゼン


    正解は5
    ※これは単なる知識問題になります。

  35. 省エネルギーに関する(ア)〜(オ)の記述のうち、不適切なものの数を(1) 〜(5) の中から選び答えよ。

    (ア)エネルギーの使用の合理化に関する法律(以下この問において「省エネ法」という。)において、燃料資源の有効な利用を行うために規制する分野は、工場、輸送、建築物及び機械器具の4分野である。
    (イ)省エネ法に基づき、エネルギーの使用の合理化を総合的に進める見地から、環境大臣がエネルギーの使用の合理化に関する基本方針を定めている。
    (ウ)トップランナー方式とは、エネルギー消費機器のうち省エネ法で指定するものの省エネルギー基準を、各々の機器において、エネルギー消費効率が現在商品化されている製品のうち、最も優れている機器の性能以上にするというものである。
    (エ)政府が定める平成19年度の「夏季の省エネルギー対策について」においては、冷房中の室温は26℃を目途にすることとされていた。
    (オ)京都議定書において定められた第1約束期間における温室効果ガス排出量の日本の削減目標値は、1990年レベルと比べて12%減である。


    (1) 1 (2) 2 (3) 3 (4) 4 (5) 5

    正解は3
    ※以下により、(4)のみ適切です。
     (ア)・・・・○ その通り。
     (イ)・・・・× 環境大臣ではなく経済産業大臣です。よくある「入れ替え」ですね。
     (ウ)・・・・○ その通り。
     (エ)・・・・× 26℃ではなく28℃です。これはほとんど誰でも知っています。
     (オ)・・・・× 12%でなく6%です。これも知らない人はいないでしょう。
     後の2つは楽勝ですが(ア)〜(ウ)が少々難しいので、迷った人も多かったようです。

  36. 環境の社会経済評価手法に関する次の記述のうち、最も不適切なものを選び答えよ。

    (1) 仮想評価法は、実際のデータに基づくのではなく、擬制市場の下で実験的に個人の支払意志額や受け入れ意志額を測定する手法である。

    (2) トラベルコスト法は、ある環境サービスへの支払意志額を、その環境サービスまでのアクセス費用で代替して測定しようとする方法である。

    (3) コンジョイント分析は、環境全体の包括的な評価には向いているが、属性間の関係を知るためには向いていない。

    (4) 表明選好型評価は、個々人の選好を測定し、その結果を用いて環境に対する評価を行う手法である。

    (5) 顕示選好型評価には、ヘドニック価格法などの手法がある。


    正解は3
    ※参考:こちら
     コンジョイント分析は各属性の関係や全体への影響を知るのに剥いています。

  37. 環境に配慮した事業活動を促進するための仕組みに関する次の記述のうち、最も不適切なものを選び答えよ。

    (1) 環境マネジメントシステムとは、企業などの組織が環境管理を体系的に実行していくための体制・手続き等の仕組みのことである。

    (2) 環境マネジメントシステムでは、環境目的及び目標を設定し、プラグラムを明確にして、PDCAサイクルをまわし、環境負荷低減と地球環境保全を図る。

    (3) 環境報告ガイドライン〜持続可能な社会をめざして〜(2007年版)では、環境報告の活動方策として、株式等の出資者や地域住民、マスコミ、関係するNPO等といった外部のステークホルダーに対して、説明会や記者会見、意見交換会等の機会を設けることが期待できる。

    (4) ISO14000シリーズでは、二酸化炭素排出量、廃棄物排出量及び総排出量を、必ず把握すべき項目として共通的に規定している。

    (5) 環境活動評価プログラム(エコアクション21)では、環境活動レポートを作成して公表することが、認証・登録のための要求事項となっている。


    正解は4
    ※ISO14000シリーズではなくエコアクション21の規定です。

  38. 環境影響評価法に基づいて行われる環境アセスメントの手続きでは、いくつかの実施項目が定めているが、第2種事業における環境アセスメントの時系列的な順序として適切なものを次の中から選び答えよ。

    (1) スコーピング、スクリーニング、アセスメントの実施、環境影響評価書の作成、事後調査
    (2) スコーピング、アセスメントの実施、スクリーニング、環境影響評価書の作成、事後調査
    (3) スコーピング、アセスメントの実施、スクリーニング、事後調査、環境影響評価書の作成
    (4) スクリーニング、スコーピング、アセスメントの実施、事後調査、環境影響評価書の作成
    (5) スクリーニング、スコーピング、アセスメントの実施、環境影響評価書の作成、事後調査


    正解は5
    ※第2種事業の場合、そもそもアセス法対象になるかどうかの判断が必要で、これがスクリーニングです。この時点で(4)か(5)ですね。
     その後、計画段階で方法書を作って住民意見を反映させます。これがスコーピング。そしてアセスを実施します。ここまで(4)も(5)も同じです。
     そして評価書を作って事後調査(モニタリング)へと進みますので、(5)です。


  39. 地球温暖化の原因となっている温室効果ガスについて、京都議定書の基準年である1990年における日本の基準年排出量は二酸化炭素換算でおおよそどれくらいか、次の中から最も適切なものを選び答えよ。

    (1) 126万トン (2) 1260万トン (3) 1億2600万トン (4) 12億6000万トン (5) 126億トン

    正解は4
    ※これはまあ知識問題ではありますが、しょっちゅう耳にする数値ですね。

  40. 次に示した環境ラベルの説明の中で、最も不適切なものを選び答えよ。ただし、カラーのラベルについても白黒で示していることに留意すること。

    (1) ライフサイクル全体を考慮して環境保全に資する商品を認定し表示するマークであり、ISO14024に則ったタイプT環境ラベルである。
    (2) 古紙パルプ配合率100%の再生紙であることを示す自主的なマークであり、3R活動推進フォーラムによって定められたタイプU環境ラベルである。
    (3) 分別回収を促進するための識別表示マークであり、紙製容器包装リサイクル推進協議会に登録した事業者の自主的活動として、製品に表示している。
    (4) 製品の環境情報を、ライフサイクル・アセスメント手法を用いて定量的に表示することが求められており、製品の環境負荷を定量的に表示することを特徴とするタイプV環境ラベルである。
    (5) 環境にやさしいパソコンやディスプレイを選択する目安となるよう、環境に配慮した設計・製造や情報公開等に関する基準を満たした製品に表示している。

    正解は3
    ※容器包装リサイクル法では、アルミ缶・スチール缶・紙・プラ・ペット・ガラスビンなどについて、消費者・事業者・地方公共団体の役割分担を決めており、事業者は事業において用いた・製造した・輸入した量の容器包装についてリサイクルする義務があります。


記述問題

2−2 次の問題について解答せよ。(指示された答案用紙の指定の枚数以内にまとめること。)

 総合技術監理は、業務に潜在するリスクの抽出と対応を行いながら得るべき利得の最大化を目指すため、場合により相反する側面を総合技術監理の視点から適切に考慮し、最適な総合的判断とその実行を推進することが求められる。この要求に応えるためには、事業やプロジェクトの遂行にいて、複数の観点からその望ましい遂行の姿を明確にして、その実現のための障害の可能性を5つの管理分野にわたって考慮し、適切な対処を行う必要がある。

 このような観点を踏まえて総合技術監理の視点から、あなたの現在担当している、あるいは過去に担当した事業又はプロジェクトを念頭に置いてその望ましい遂行のあり方について、以下の(1)〜(3)の設問に答えよ。ここでいう総合技術監理の視点とは、「経済性管理」、「安全管理」、「人的資源管理」、「情報管理」、「社会環境管理」の5つを言う。

(1) あなたが検討の対象とする事業又はプロジェクトの概要とその望ましい業務遂行及び管理の目標を、答案用紙1枚にまとめよ。その際、「総合技術監理では、事業やプロジェクトの成果や要求事項及びプロセスのあるべき姿を明確にして、その目標とする状況を確保するために必要十分な事項を管理していく」という観点を重視して、目標を設定せよ。なお、取り上げる業務は、あなたが直接関与していない他業種の業務であっても十分見解を述べられるものであれば取り上げても良い。

(2)(1)で挙げた目標を達成できない可能性をリスクとして総合技術監理の5つの視点のうち3つについて、その対象とした事業やプロジェクトに即して具体的に記述せよ。
その際、「社会環境管理」、「経済性管理」については必ず記述し、あとの1つは自分で選択して記述せよ。解答は、答案用紙2枚にまとめよ。
 なお、「リスク分析は、管理分野ごとに求められるそれぞれの要求事項を確実に照査し、存在するリスクの抽出を体系的に行うと共にその根本原因を把握することが重要である」という観点を重視して、記述せよ。

(3)上記で把握されたリスクの顕在化を未然に防止し、事業又はプロジェクトを最適化するための方策について、総合技術監理の視点を用いて答えよ。解答は、解答用紙2枚にまとめよ。
 その際、「リスクへの対応は、リスクの分析に基づき、対策効果の有効性及び反映すべき要求事項に対する可能な限りの対応を総合的に検討して内容を決定する。そのことにより、マネジメントの最適化を図り、事業又はプロジェクトの目標を達成する。」という総合技術監理の観点にも十分留意して、記述せよ。