技術士第二次試験 平成18年度 総合技術監理

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※択一正解は、技術士会の公表正解に関して、臨時掲示板での議論を参考に解説を加えたものです。
 異論や情報などありましたら、掲示板あるいはメールにてお願いします。


択一問題

問1 ISO9001品質マネジメントシステム(2000年版)を構成している大項目として含まれていない要求事項はどれか。次の中から選び答えよ。

(1) 経営者の責任  (2) 現場の責任  (3) 資源の運用管理  (4) 製品実現  (5) 測定,分析及び改善
正解は2
大項目は、品質マネジメントシステム、経営者層の責任、経営資源の管理、製品の実現化、測定分析および改善。青本p.214

問2 品質管理活動におけるQC的問題解決の手法として用いられるQC7つ道具と新QC7つ道具に関する次の記述のうち,最も不適切なものを選び答えよ。

(1) QC7つ道具は,主として数値データを扱うことに適しているとされている。
(2) 新QC7つ道具は,主として言語データの分析に適しているとされている。
(3) QC7つ道具の主な活用段階は確認(Check)段階であり,新QC7つ道具の主な活用段階は計画(Plan)段階である。
(4) パレート図は,2組の母集団からサンプルを取り,原因系と結果系の関係を示した図である。
(5) 親和図は,言語データを関連事項ごとに分類・集約した図である。
正解は4
4はQC7つ道具である散布図の説明です。青本p.34

問3 JIT(ジャストインタイム)生産方式に関する次の記述のうち,最も不適切なものを選び答えよ。

(1) JIT生産方式は,プッシュ型生産方式である。
(2) JIT生産方式は,自動車業界以外の製造業にも普及している。
(3) JIT生産方式は,必要な物を必要な時に必要なだけ生産するという理念に基づいている。
(4) JIT生産方式は,仕掛在庫や部品在庫をできる限り減らすために開発された。
(5) かんばん方式を用いているJIT生産方式における前工程では,外されている生産指示かんばんに基づいて生産する。
正解は1
JITはプッシュ型ではなくプル型生産方式です。青本p.44

問4 次の記述は,サプライチェーンマネジメント(SCM)に関する説明である。説明の空欄(ア),(イ),(ウ)に入る適切な言葉の組み合わせを選び答えよ。

SCMは,原材料の調達から生産,出荷,流通,販売,さらには回収までも,(ア)を利用して一括管理し,その内容を生産計画の立案やマーケテイングに活用することによって,効率的な企業活動を支援するためのシステムである。また,SCMでは,顧客満足を最大にするように数学的モデルを組み上げ,(イ)の各種手法などを利用して最適な計画を立てる。このときの基本的な考えとなるのが(ウ)である。

(ア) (イ) (ウ)
(1) 情報ネットワーク オペレーションズ・リサーチ 総合的品質管理(TQC)
(2) 企業系列 オペレーションズ・リサーチ 制約条件の理論(TOC)
(3) 情報ネットワーク 品質管理 総合的品質管理(TQC)
(4) 企業系列 品質管理 総合的品質管理(TQC)
(5) 情報ネットワーク オペレーションズ・リサーチ 制約条件の理論(TOC)
正解は5
青本記述そのままの出題です。青本p.45

問5 企業における会計についての次の記述のうち,最も不適切なものを選び答えよ。

(1) 財務会計は,株主,金融機関など組織の外部者に対して,組織の財務状態を報告するためのものである。
(2) 貸借対照表は,借方(資産+負債)と貸方(資本)が一致するように作成されるものである。
(3) 原価計算は,企業などにおける組織活動で消費される経営資源の消費額を計算するものである。
(4) 活動基準原価計算は,製造業での間接費増大を背景として開発された。
(5) 減価償却費は,支出を伴わない費用である。
正解は2
(1)・・・・○ 青本p.46
(2)・・・・× 借方(資産)と貸方(負債+資本)です。青本p.53
(3)・・・・○ 青本p.47
(4)・・・・○ 青本p.49
(5)・・・・○ 青本p.53

問6 1,000万円の資金を投資し,2年間で毎年均等に投資資金を回収するとき,毎年の最低限の資金回収額に最も近いものを選び答えよ。なお,年利率は10%とする。

(1) 570万円  (2) 580万円  (3) 590万円  (4) 600万円  (5) 610万円
正解は2
毎年の最低限の資金回収額=均等資金額をM、資金額をP、年利率をi、回収年数をnとすると、M=P{i(1+i)}/{(1+i)-1}・・・・青本p.51
P=1,000万円、i=0.1、n=2を代入すれば、M=576.2万円。

問7 設備保全の活動についての次の説明に関して,最も不適切なものを選び答えよ。

(1) 事後保全の活動:設備に故障が発見された段階で,その故障を取り除く方式の保全活動。
(2) 改良保全の活動:故障が起こりにくい設備への改善,または性能向上を目的とした保全活動。
(3) 予防保全の活動:計画・設計段階から過去の保全実績または情報を用いて不良や故障に関する事項を予知・予測し,これらを排除するための対策を織り込む保全活動。
(4) 定期保全の活動:従来の故障記録,保全記録の評価から周期を決め,周期毎に行う保全活動。
(5) 予知保全の活動:設備の劣化傾向を設備診断技術などによって管理し,故障に至る前の最適な時期に最善の対策を行う保全活動。
正解は3
予防保全ではなく保全予防の記述です。青本p.57
選択肢のうち、(3)と(5)が同じ予防保全について書いてあり、これで(3)か(5)のどちらかだろうという当りをつけることはできるようになります。
設備計画段階で行う設備保全活動は、保全予防のみであることを青本から読み取っていれば、一発解答です。

問8 TPM(Total Productive Maintenance)の説明について,最も不適切なものを選び答えよ。

(1) 生産システム効率化の極限追求(総合的効率化)をする企業体質づくりを目標にしている活動である。
(2) 生産システムのライフサイクル全体を対象とし,災害ゼロ・不良ゼロ・故障ゼロなどあらゆるロスを未然防止する仕組みを現場現物で構築する活動である。
(3) 生産部門をはじめ,開発,営業,管理などの全部門で行う活動である。
(4) TPMの保全活動には,劣化防止,劣化測定,劣化回復がある。
(5) 現場が自発的に組織し,自主的に運営する小集団が実施する活動である。
正解は5
全員参加の生産保全であり、トップから第一線従業員にいたるまで全員が参加し、重複小集団活動により、ロス・ゼロを達成しようとします。青本p.58

問9 労働基準法や労働時間制度に関する次の説明のうち,正しいものを選び答えよ。

(1) 使用者は,研究開発やソフトウェア開発の技術者,コンビニエンスストア従業員などのような業務時間の変則的な労働者に対して,フレックス・タイム制を採用しなければならない。
(2) 使用者は,従業員に法定労働時間を超えて労働させる時間を従業員と協議のうえ定めた場合には,その合意内容を労働基準監督署には届ける必要はない。
(3) 時間外労働の場合には,会社は30%以上の割増貸金を払わなければならない。
(4) 変形労働時間制度,みなし労働時間制度,裁量労働制度は,労働時間管理の弾力化策である。
(5) 育児休業制度では,夫婦は同時には休業取得をできないが,夫婦が交代を繰り返しながら休業取得することはできる。
正解は4
(1)・・・・× そのような強制はされません。青本p.76
(2)・・・・× 三六協定。届け出ないと労基法違反で処罰対象になります。青本p.76欄外
(3)・・・・× 時間外労働割増賃金は25%以上です。青本p.77
(4)・・・・○ 選択肢の3つにフレックス・タイム制度を加えたものが労働時間管制度の弾力化です。青本p.76
(5)・・・・× 育児休業休暇は一人の子供に対し、1回しか取得できないので、繰り返しはできません。

問10 次の(ア)〜(オ)の労働法規のうち,憲法27条に基づく労働権に関する法律はいくつあるか,正しいものを選び答えよ。

(ア)職業安定法
(イ)労働者派遣法
(ウ)労働関係調整法
(エ)労働組合法
(オ)職業能力開発促進法

(1) 0  (2) 1  (3) 2  (4) 3  (5) 4
正解は4
ア、イ、オが該当します。ウとエは憲法28条団結権に関する法律です。青本p.75
覚えていなくても、「働く権利」と考えれば感覚的にわかると思います。

問11 職務設計において中核的職務特性と呼ばれるものとして,次の中から不適切なものを選び答よ。

(1) 技能の多様化
(2) 業務の柔軟性
(3) 仕事の有意味性
(4) 自律性
(5) フィードバック
正解は2
「5つの中核的職務特性」は、(1)技能の多様化、(2)仕事の一貫性、(3)仕事の有意味性、(4)自律性、(5)フィードバックです。青本p.80

問12 近年,雇用形態が多様化してきているが,従業員の一般的な区分に関する次の記述のうち,誤っているものを選び答えよ。

(1) 従業員区分の中で直用とは正社員を指す。
(2) 正社員は,技能職と事務・技術職に区分される。
(3) 主として一般職は補助的業務,総合職は基幹的業務を受け持つ。
(4) 非正社員には,嘱託,有期契約社員,出向,パート,アルバイトなどがある。
(5) 請負作業員は非直用に区分される。
正解は1
直用は、長期雇用を前提とする正社員、短期雇用を前提とする非正社員に分かれます。青本p.81

問13 プロジェクトにおける人的資源管理に関する次の記述のうち,最も不適切なものを選び答えよ。

(1) プロジェクト組織の構造設計,権限と責任の明確化などを検討する必要がある。
(2) メンバーの選定に当たっては,知識・経験・適性などを考慮して行う必要がある。
(3) 一見関係無いと思える分野の人材が必要となることもあり,計画段階で十分に検討する必要がある。
(4) 人員の不適切な配置に対応するため,計画と現実の整合に関し,日常の点検を継続実施する必要がある。
(5) 人員の選定は,組織の和を保つために選定理由を明らかにしないで行うことが望ましい。
正解は5
プロジェクト要員の剪定は、知識・経験・適性などを考慮し、透明性を持ってセンバーの選定を行います。青本p.84

問14 人的資源開発に関する次の記述のうち,不適切なものを選び答えよ。

(1) 一般に,人的資源開発プロセスは,組織形態や組織文化の分外.職務分析と個人分折から出発してPDCAサイクルとして運用すべきものである。

(2) 組織においては,一般に,課題設定能力,職務遂行能力、対人能力、問題解決能力などを向上させるために,人材の教育訓練が行われる。

(3) 教育訓練の成果を人事考課管理などに適切に反映させることも,教育訓練管理の重要な活動要素である。

(4) 人的資源開発は,開発の必要性の決定,目標設定,開発手法選択,メディア選択,プログラムの実施の5段階のプロセスとして考えることができる。

(5) QCサークル活動は,小集団活動の一つであり,従業員の積極性に大きく依存した活動である。
正解は4
選択肢記載の5段階の後に、6段階目として「プロセス・プログラムの評価」があります。青本p.86
PDCAなりPlan-Do-Seeなりの発想が身についておれば、常識感覚で応えられます。

問15 企業などの組織における教育訓練手法・技法に関する(ア)〜(オ)の説明のうち,不適切なものはいくつあるか,正しいものを選び答えよ。

(ア)知識教育は,商品や技術に関する専門的な情報や仕事の手続きを知識として理解させることを目的として,講義や見学により実施される。
(イ)技能教育は,知識を活用して仕事に生かす技能を伸ばすことを目的として,実習などの形式で実施される。
(ウ)態度教育は,職場の同僚と協力する姿勢や仕事に積極的に取り組む態度を向上させ,対人能力を高めることを目的とし,討議やロールプレイングにより実施される。
(エ)問題解決能力の開発には,ケース・スタディや課題研究法が用いられる。
(オ)創造性開発のために,ブレイン・ストーミングやイメージ・トレーニングが用いられる。

(1) 0  (2) 1  (3) 2  (4) 3  (5) 4
正解は1
すべて、青本p.87に記載の通りです。

問16 人事考課に関する次の説明のうち,最も不適切なものを選び答えよ。

(1) 人事考課においては,一般的に透明性と加点主義を重視すべきである。
(2) 人事考課の領域を業務プロセスから見れば,能力と姿勢はインプット,業績はアウトプットである。
(3) 人事考課において業績を重視する方法を用いれば,組織への貢献を評価することができるが,短期の成果を求める傾向が生じる恐れがある。
(4) 人事考課では,変動しやすい姿勢と業績はやや短期で評価し,変動が少ない能力はやや長期で評価する。
(5) 人事考課において業績評価は昇進や昇給の評価に反映させず,賞与の評価に反映させるべきである。
正解は5
(1)〜(4)は青本記載の通り。
(5)は、賞与には姿勢評価と行政評価、昇給や昇進は姿勢評価と行政評価に加えて長期的視野を含めるために能力評価も反映させることが一般的です。青本p.89

問17 緊急時の情報管理についての記述で,最も不適切なものを選び答えよ。

(1) 緊急時の情報管理では,通常時と比べて情報連絡の当、事者や手段が機能不全に陥る場合がある。
(2) 緊急時に情報が錯綜しないように,連絡経路の多重化は避けなければならない。
(3) 緊急時に必要となる情報の種類や内容について,事前に検討しておく必要がある。
(4) 緊急時の広報の目的には,安全と安心の確保がある。
(5) 緊急時の情報伝達では,通常時の連絡経路では時間的に間に合わない場合がある。
正解は2
緊急時に利用可能な伝達手段確保が重要であり、そのためには、情報伝達が困難となる場合を想定して、連絡経路や回線の多重化及び代替伝達手段についても検討を行っておく必要があります。青本p.106

問18 情報セキュリティの考え方に関して,最も適切なものを選び答えよ。

(1) 情報セキュリティを確保するためには,技術的な対策だけではなく,人的,組織的,制度的,物理的な側面などにおいても対策を講じる必要がある。
(2) 情報セキュリティの維持とは,セキュリティの3要素である,機密性,保全性,可用性を維持することである。
(3) 情報セキュリティの管理は,情報システム部門の責任であり,他の部門は関与する必要はない。
(4) 情報セキュリティポリシー(情報セキュリティ基本方針)は,情報システム部門の強い意思を組織内外に伝えるものである。
(5) 情報セキュリティは,情報(個人情報・機密情報・組織情報等)のみの保護を対象とした取り組みである。
正解は1
(1)・・・・○ 
(2)・・・・× 保全性でなく完全性です。
(3)・・・・× 全社的取り組み。青本p.122
(4)・・・・× 情報システム部門ではなく、組織の長が主導するし、組織全体として取り組む。青本p.122
(5)・・・・× 情報システムの機能を守ることも含まれる。青本p.121

問19 「不正アクセス行為の禁止等に関する法律」(不正アクセス禁止法)についての記述で,最も不適切なものを選び答えよ。

(1) 原則として,他人のID及びパスワードを利用してネットワークなどにアクセスしてはならない。
(2) 不正アクセス行為あるいはそれを助長する行為には,罰則規定(懲役又は罰金)がある。
(3) 原則として,他人のID及びパスワードを教えたりして,不正アクセスを助長する行為をしてはならない。
(4) 不正アクセス行為が行われたと認められる場合には,アクセス管理者はただちに関係機関こ届け出なければならない。
(5) アクセス管理者は不正アクセス行為を防止するよう努めなければならない。
正解は4
参考:こちら

問20 個人情報について適切な保護措置を講ずる体制を整備している事業者を認定する制度であるプライバシーマーク制度についての記述で,最も不適切なものを選び答えよ。

(1) プライバシーマークの認定を受けるためには,「個人情報の保護に関する法律」を満たし,かつより高い保護レベルのコンプライアンス・プログラムを確立する必要がある。
(2) プライバシーマークは,環境マネジメントシステム(ISO14001)とは異なり,法人単位でしか認定を受けることができない。
(3) プライバシーマークは,店頭,封筒,宣伝・広告用資料,説明書,名刺,ホームページなどで使うことができる。
(4) プライバシーマークの認定を受けた事業者が,情報漏洩等の事件を起こした場合は,付与機関より改善の勧告を受けたり,認定を取り消されたりすることがある。
(5) 過去6ヶ月以上,5,000件を超える個人情報を取扱っている事業者はプライバシーマークの認定を受けなければならない。
正解は5
プライバシーマーク認定を受けるのではなく、個人情報保護法の適用を受けます。

問21 組織の情報開示についての次の記述の中で,最も不適切なものを選び答えよ。

(1) 組織内には組織外の顧客や投資家などの意思決定に用いられる情報も存在する。このような情報は,内容の誤りや情報量の不足により,結果的に組織が不利益を被る可能性もある。

(2) 不祥事が発生した場合などの緊急時に組織が情報を開示しない,あるいは不正確な情報を開示するといった対応によって,この組織の社会的信頼性が失われることもある。

(3) 組織における情報の開示は,社会のニーズに柔軟に対応するため,開示基準をあらかじめ定めるよりも,求められた時点でケースごとに対処するのがよい。

(4) 顧客情報は,原則として外部に漏らしてはいけない情報であり,情報セキュリティとして取り扱うべき情報である。

(5) 組織の説明責任としての情報公開が,その組織の社会的信頼性や製品・サービスの理解に結び付くことが認知されるようになり,積極的に情報開示を実施することが重要になった。
正解は3
開示基準を組織内で明確にすることが必要です。青本p.94、p.96
これは常識感覚でわかります。

問22 ネットワーク社会と著作物に関する取り扱いについて,次の記述の中で誤っているものを選び答えよ。

(1) 組織内の情報ネットワークの運用規程などを検討する場合,法律とともに倫理の観点から検討を行うことが重要であるが,法律や倫理規定だけでは対応できない局面も増えてきている。

(2) 著作権法によれば,著作物は私的利用などの限られた範囲内で,複製・引用・転載を行うことが可能である。

(3) 組織内のネットワーク利用規則に基づいてメールの内容を監視することは,第三者が通信内容を不正に閲覧することの禁止の対象とはならない。

(4) 国が作成し公表した白書を引用して非営利の試験で問題を作成した。試験問題には出典と引用範囲が明示してあるので,試験後はそのままホームページ上に掲載してよい。

(5) 店舗内の雰囲気をよくするために,有線音楽放送を通常の受信装置を用いて流した。この際,聴衆から料金を受け取らない場合は,著作者の許諾を得る必要はない。
正解は4(となっているが5も正解と思う)
(1)・・・・○ 青本p.110
(2)・・・・○ 青本p.111
(3)・・・・○ 青本p.111
(4)・・・・× 著作権法第32条2に「国若しくは地方公共団体の機関、独立行政法人又は地方独立行政法人が一般に周知させることを目的として作成し、その著作の名義の下に公表する広報資料、調査統計資料、報告書その他これらに類する著作物は、説明の材料として新聞紙、雑誌その他の刊行物に転載することができる。ただし、これを禁止する旨の表示がある場合は、この限りでない。」とありますので、問題ないように思われるのですが、
 ●不特定多数への公表ということになるHP掲載が問題。
 ●掲載するのは白書ではなく試験問題なので、試験問題の著作権に触れる。
といった点が著作権法に抵触するのではないかと思いますが、よくわかりません。
(5)・・・・× これはつまりつまりBGMということです。BGMの著作権取り扱いについては、日本音楽著作権協会の
こちらのページが参考になります。それによると、レコードやCDなどの録音物と有線放送は異なるということで「お目こぼし」対象だったものが、平成14年4月から有料として料金支払対象になったとあります。ただし、有線放送業者が利用料金の中にこれを含め、店に変わって使用料を払うということもできます。また例外は、
 ●非営利の公共施設等で、入館料や施設への入場料を受けない場合
 ●福祉、医療、教育機関、会社や工場で従業員のためのBGM、露店など短時間かつ軽微の利用は当分の間使用料は免除
ということになっています。
なお、演奏内容が営利を目的としない演奏、入場料なし、出演者に報酬なしの場合、つまりチャリティーコンサートなどの場合は、著作権の管理対象外となります(著作権法38条)。注意しなければならないのは、この規定は、音楽を利用する側が営利目的かどうかではなく、演奏事態が営利目的かどうかということです。
また、テレビやFMラジオ放送などは、そのままかけ流している場合は対象外となります。ただし、FM音楽番組を録音したテープを流すと対象になります。

以上に照らせば、明らかに選択肢5は違法です。有線放送業者との利用契約の中に使用料が入っているとしても、それは放送業者が代わって著作権手続きをしているので、「許可を得る必要はない」ということにはなりません。また、「店舗」とあるので、例外にも該当しません。ここで「料金を受け取らない場合はOK」とありますが、それ自体が営利目的かどうかは関係ありません。流している音楽そのものが非営利目的で演奏されたものでない限り、対象外となるのは上記の条件だけです。この選択肢は「店舗」ですから、どちらにも当てはまりません。
以上のことから、選択肢4だけでなく5も間違いです。よってこの問題は出題ミスと私は考えます。情報・ご意見等ありましたら
メールにてお願いいたします。

問23 迷惑メールに関する琴の記述のうち,最も不適切なものを選び答えよ。

(1) 迷惑メールはメールアドレスを変更しなくても,インターネットサービスプロバイダのブロックサービスや,セキュリティソフトなどを用いればある程度は受け取らずにすむ。

(2) 複数のメールアドレスを使い分け,信頼できる相手にのみ教えるメールアドレスとそうでないメールアドレスを使い分けることで,迷惑メールが選別しやすくなる。

(3) 身に覚えのないメールに「メール送信の停止を希望する場合,下記メールアドレスに連絡してください」とあったが,メールアドレスの実在確認を目的とするアドレス収集業者の可能性もあるので,不用意に連絡しないほうがよい。

(4) 迷惑メールにあるURLをクリックしただけで,「契約が成立しました」,「申し込みを受け付けました」などと,不当な料金を請求する詐欺をフィッシング詐欺という。

(5) すべての迷惑メール受信者が,迷惑メールの宣伝などの内容にひっかからないようにすることが,迷惑メールを減らすために重要である。
正解は4
これはワンクリック詐欺です。フィッシング(Phishing)詐欺は、たとえば銀行を装ってメールして受信者に偽HPにアクセスするよう仕向け、そのHPでクレジットカード番号、ID、パスワード等を入力させて個人金融情報を不正入手しようとするものです。

問24 次の情報処理関連用語の説明のうち,最も不適切なものを選び答えよ。

(1) 「スパイウェア」とは,コンピュータ利用者のホームページへのアクセス履歴や入力した個人情報を利用者が気付かないうちに収集するソフトウェアである。

(2) 「侵入検知システム」とは,不正アクセスがないかネットワーク及びサーバを監視し,パターン照合により不正アクセスと思われるパケットを検知して管理者に通報するシステムである。

(3) 「HUB(ハブ)」とは,異なるネットワーク間のルーティングを行う装置である。

(4) 「グリッド・コンピューティング」とは,ネットワークを介して複数のコンピュータをシームレスにつなぎ合わせ処理性能を高める技術である。

(5) 「VPN」とは,公衆回線をあたかも専用回線であるかのように安全に,かつコストを抑えて利用できるサービスやある。
正解は3
これはルータのことです。

問25 ISO/IEC GUIDE51:1999(安全面一規格に安全に関する面を導入するためのガイドライン)にはリスクについての視点から安全の定義が記されている。この考え方は安全の概念を理解する上でも重要なものである。リスク管理における安全の説明として,最も適切なものを選び答えよ。

(1) 安全とは,リスクが無い状態でなくてはならない。
(2) 安全とは,リスクが受容されないレベルよりも小さい状態でなくてはならない。
(3) 安全とは,大きな被害をもたらす事故が一切発生しない状態でなくてはならない。
(4) 安全とは,それ以上リスクを低減できない状態でなくてはならない。
(5) 安全とは,以前よりもリスクが小さくなっている状態でなくてはならない。
正解は2
ISO/IECガイド51における安全の定義として、「人への危害または損傷の危険性が,許容可能な水準に抑えられている状態」 、「受け入れ不可能なリスクが存在しないこと」 、「受け入れることの出来ないリスクからの開放」 があります。

問26 年間平均で1,800時間働く従業員が50人いた事業所において,ある年,労働災害により2名の死傷者が出た。この事業所の当該年の労働災害発生率(年千人率)として最も近いものを選び答えよ。

(1) 0.022  (2) 11.1  (3) 20  (4) 22・2  (5) 40
正解は5
「千人率」は時間に関係なく、千人あたりの死傷者です。1,000÷50×2=40

問27 近年,精神障害等の労災補償認定件数は増加傾向にあり,職場のメンタルヘルスの重要性は高まっていると考えられる。職場におけるメンタルヘルス対策として,最も不適切なものを選び答えよ。

(1) 産業医などの産業保健スタッフが,健康診断時に個人のストレス状況を把握する。
(2) 気軽に専門家に相談できる体制を整備する。
(3) 管理監督者に対して,メンタルヘルスに関する知識教育を実施する。
(4) うつ病になった職員に対しては,早く元気を取り戻すように励ますことを心がける。
(5) 長時間の時間外労働を行った職員には,面接指導を行う。
正解は4
これは言ってはいけません。社会常識です。

問28 事業継続計画(BCP)に関する以下の説明のうち,最も不適切なものを選び答えよ。

(1) 被災後に活用できる資源に制限があることを認識し,継続すべき重要業務は絞り込む。
(2) 重要業務の継続に不可欠で,再調達や復旧に時間や手間がかかり,復旧の制約となりかねない重要な要素(ボトルネック)を洗い出し,重点的に対処する。
(3) 事業内容によらず事業の中断時間をゼロにすることを目標として計画を立てる。
(4) 緊急時の経営や意思決定,管理などのマネジメント手法の1つに位置づけられ,危機管理や緊急時対応の要素を含んでいる。
(5) 事業に著しいダメージを与えかねない重大被害を想定して計画を作成する。
正解は3
「事業内容によらず」が間違い。

問29 安全を確保するためのフェールセーフに最もあてはまらない考え方を次の中から選び答えよ。

(1) オートマチックの自動車のスタート時に,フットブレーキを踏まないとギアが入らない。
(2) プラント装置の空気駆動の調整弁は,空気の供給が停止した場合,プロセス状態が安全側になるよう開動作あるいは閉動作する。
(3) 鉄道用信号機の制御回路が故障した場合,表示が赤信号になる。
(4) 加圧水型原子炉の制御棒は,電気が切れると重力により炉内に落下する。
(5) 使用中の石油ストーブが転倒したときに,火が消える。
正解は1
フェイルセーフ(fail safe)は、なんらかの装置、システムにおいて、誤操作、誤動作による障害が発生したした場合、常に安全側に制御することです。(ウィキペディアより)
(1)・・・・× フールプループの代表例としてあげられています。たとえば
こちら
(2)・・・・○ まさにフェールセーフ。安全側になるように動作します。
(3)・・・・○ 列車運行を停止させる方向に働きます。ウィキペディアにも例示されています。
(4)・・・・○ 原子力防災の代表的なフェールセーフです。参考:
こちら
(5)・・・・○ 使用中の石油ストーブが転倒したときに,火が消える。フェールセーフの代表例の一つで、よく例としてあげられます。たとえば
こちら

問30 複雑なシステムで故障が発生した時,この故障がどのような原因で発生したかを人間のエラーと環境条件も考慮して解析するのに最も適切な手法を選び答えよ。

(1) チェックリスト方式
(2) FMEA
(3) HAZOP手法
(4) イベントツリー手法
(5) フォールトツリー手法
正解は5
ヒューマンエラーと環境を配慮できるのはフォールトツリーです。青本p.161

問31 トライポッド理論によるヒューマンエラーの要因分類項目に含まれないものを,次の中から選び答えよ。

(1) ハードウェア
(2) 設計
(3) コミュニケーション
(4) 組織
(5) 性格
正解は5
青本p.168

問32 危機管理に関する次の記述のうち,最も不適切なものを選び答えよ。

(1) 危機管理は,学問体系の視点からみると危機に対する対策のとり方に共通性を見出し,それを体系化したものである。
(2) 危機管理活動には,大別して緊急事態対応段階/事後復旧段階の2つの段階がある。
(3) 危機に至らないようにするためには,セーフティとセキュリティの2つの視点での対応が必要である。
(4) 危機管理活動で少しでも短い時間で平常状態に戻すためには,復旧対策をマニュアル化しておく必要がある。
(5) 危機管理の対象となる不測事態には,組織内の経営問題,自然災害,産業災害,犯罪などが含まれる。
正解は2
準備段階、事前作業段階、緊急事態対応段階、事後復旧段階の4つがあります。青本p.157

問33 制度による環境の社会的評価に関する次の説明文の中の(ア)から(ウ)に入る言葉の組み合わせで,適切なものを選び答えよ。

環境に対する政治的制度による社会的評価の一例として,大気汚染,騒音,(ア)には法律に基づく「環境基準」が定められている。また,行政による社会的評価に基づく裁量的対策の一例として,(イ)などによる経済的・誘導的手法がある。一方,裁判所が下す社会的評価の一つに環境劣化による健康などへの直接被害の場合があり,この評価は1960年代から始まる(ウ)から本格化した。

(ア) (イ) (ウ)
(1) 振動 税やデポジット 建設差し止め裁判
(2) 振動 土地買い上げ・管理契約 四大公害裁判
(3) 土壌汚染 税やデポジット 四大公害裁判
(4) 土壌汚染 土地買い上げ・管理契約 四大公害裁判
(5) 振動 土地買い上げ・管理契約 建設差し止め裁判
正解は3
青本p.187。振動には環境基準がないことを知っていれば、かなり楽になります。

問34 下図は,環境利用を直接規制するよりも税等の経済的規制の方が社義一よ効率的であるとの考え方を示す1例であり,次のア)〜ウ)を前提とする。

ア)図中の3つの斜線は,それぞれ企業A,B,Cの限界便益(便益曲線を環境利用水準で微分して得られる値)を表し,傾きが等しい直線とする。
イ)企業Bの限界便益直線は点G(X,T)を通り,かつKX=XL(長さ)とする。
ウ)各企業は自社の純便益(環境利用に伴う便益から費用を除いたもの)が最大となる環境利用水準を選択するものとし,ここでは環境利用に伴う費用は税金のみとする。

このとき,環境利用水準をXに規制する場合と比較して,環境利用に対してTだけ税金をかける場合の方が,どれだけ3杜により生み出される便益(税金分を含む)の総計が多くなるか。この増加分に相当する面積を図中の(1) 〜(5) に示す領域の中から選び,その番号を答えよ。


正解は4
青本p.190

問35 環境影響評価法に基づく環境アセスメント制度に関する次の記述のうち,最も不適切なものを選び答えよ。

(1) 意見提出できる人の条件は,事業が実施される都道府県内に居住していることである。

(2) いわゆるスクリーニング,スコービングの導入により事業計画の早い段階から地域に応じた環境アセスメントができるようにしている。

(3) 環境基準達成といった「目標クリア型」に留まらず,できる限り環境への影響を小さくする「ベスト追求型」の観点を取り入れている。

(4) 環境保全措置について,その検討状況を含めて環境影響評価準備書に記載するなど,準備書が理解されやすくなっている。

(5) 基本的に,環境大臣に環境影響評価書の写しが送付された全ての事業に対して,環境大臣が必要に応じて意見を述べることができる。
正解は1
意見を提出する者の制限はありません。

問36 CSR(企業の社会的責任)に関する次の記述のうち,最も不適切なものを選び答えよ。

(1) 目的,具体的内容やそのプライオリティは,社会情勢や組織等によらず基本的に普遍である。
(2) 広範なステークホルダーとの関係・交流を重視する考え方である。
(3) 組織として積極的に社会貢献を高めようとする考え方である。
(4) 企業評価の一つの尺度となりつつある。
(5) ISO(国際標準化機構)ではCSRに代えてSR(社会的責任)という呼称を用いて国際規格化の検討を進めている。
正解は1
社会情勢の変化に応じたものであるべきです。

問37 UNEP(国連環境計画)の環境適合設計に関するマニュアル(Eco Design:1997年)に用意されているチェックリストの大項目として含まれていないものを選び答えよ。

(1) 低環境負荷材料の選択
(2) 製造技術の最適化
(3) 流通システムの最適化
(4) 使用時の環境負荷の削
(5) 製品寿命の長期化
正解は5
製品寿命の長期化ではなく、最適化。参考:こちら

問38 次の我が国における廃棄物処理制度等に関する記述で,最も不適切なものを選び答えよ。

(1) 産業廃棄物は,排出する事業者が自らの責任において処理しなくてはならない。
(2) 平成12年度から平成15年度までの全国の産業廃棄物の年間総排出量は,4億トン前後で推移している。
(3) 廃棄物を排出する事業者が全ての廃棄物処理の流れを管理し,適正処理を履行する仕組みとしてマニフェスト制度がある。
(4) 市町村は,当該市町村の区域内の一般廃棄物の処理に関する計画を定めなければならない。
(5) 廃棄物の処理及び清掃に関する法律(廃棄物処理法)の目的に,廃棄物の排出の抑制や適正な処理を行うことによる,生活環境の保全と公衆衛生の向上がある。
正解は3
マニュフェストは産業廃棄物に適用されます。

問39 次の環境会計に関する記述で,不適切なものを選び答えよ。

(1) 環境会計の一つの側面に外部報告があるが,これは企業などが環境保全への取り組み姿勢や具体的な対応状況などを,環境報告書などを通じ社会に開示することである。

(2) 環境会計の内部管理の側面として,企業などが環境保全への取り組みに際し,合理的な意思決定を行うツールとして利用できる点がある。

(3) 環境省が発行する環境会計ガイドラインでは,環境保全計画,環境保全コスト,および環境保全効果を,環境会計の構成要素としている。

(4) 環境省が発行する環境会計ガイドラインでは,企業などが事業活動に投入する資源のうち,総エネルギー投入量は熱量に換算した単位で定量化されるとしている。

(5) 経済産業省の発行する環境管理会計手法ワークブックでは,企業などの環境に配慮した経営の意思決定をする際,使用可能な具体的手法を提案している。
正解は3
環境保全計画ではなく、保全対策に伴う経済効果。参考:こちら

問40 次の環境に関する国際条約(通称名)の内容説明で,最も不適切なものを選び答えよ。

(1) バーゼル条約    規制対象有害廃棄物の国境を越える移動及びその処分の規制
(2) ストックホルム条約 アスベストなど,無機発がん性物質の製造・使用,輸出入の禁止ないし制限
(3) ラムサール条約   特に水鳥の生息地として国際的に重要な湿地と,そこに生息・生育する動植物の保全と,湿地の適正な利用促進
(4) ワシントン条約   絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引の規制
(5) ロンドン条約    陸上発生の廃棄物などの投棄による海洋汚染の防止
正解は2
ストックホルム条約は、残留性有機汚染物質に関する条約。

記述問題
 次の問題について解答せよ。(解答問題番号を明記し,指示された答案用紙の枚数にまとめること。)

 業務管理を合理的に実行するためには,総合技術監理の視点から予め業務チェックリストを作成し,業務管理を行うことが望ましい。ここでいう総合技術監理の視点とは,「経済性管理」,「安全管理」,「人的資源管理」,「情報管理」,「社会環境管理」の5つを言う。

総合技術監理の視点から以下の(1),(2)の問題に答えよ。

  1. 業務チェックリストを以下の要領で,(1)−1,(1)−2あわせて答案用紙4枚以内で作成せよ。

    (1)−1 チェックリストを作成する対象として,あなたが従事した,または従事している業務から1つ採り上げ,その内容を300字程度(答案用紙は1行24字)で簡潔に記述せよ。

    (1)−2 その業務に関して,チェックリストとして作成すべき事項を,計画時,実施時の2つのフェーズに分け,計画時のチェック項目を「経済性管理」と「社会環境管理」の2つの視点から,また実施時のチェック項目として,「安全管理」,「人的資源管理」・「情報管理」の3つの視点の中から2つを選んで以下の記述要領に従って記述せよ。

    【記述要領】
    ・チェック項目の記述に際しては,各管理の視点ごとに重要と思われるものから3つ以上書くこと。(記述例参照)
    ・各フェーズで記述の対象とした2つの管理の視点にまたがるチェック項目は,どちらか一方に記述すること。
  2. 業務状況が変化した場合の変更管理の考え方を,(1)に記した業務を前提として,総合技術監理の視点から答案用紙1枚以内で記述せよ。なお,この記述は,新たな答案用紙から始めること。
    検討の条件となる業務状況の変化は以下の通りとする。
    「業務実施時の後半において,納期達成のためには今の人的リソースが不足していることが判明した。」