技術士第二次試験 平成16年度 総合技術監理

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※択一正解は、技術士会の公表正解に関して、臨時掲示板での議論を参考に解説を加えたものです。
 異論や情報などありましたら、掲示板あるいはメールにてお願いします。


択一問題

 次の40問題をすべて解答せよ。


問1 総合生産計画(Aggregate Production Planning)に関する記述で、適切でないものを次の中から選び答えよ。

(1) 生産計画の第1ステップに位置するものであり、大日程計画と言い換えることもできる。
(2) 基本的な目的は、需要予測量と生産能力を合理的に均衡させることである。
(3) コスト最小化を目的とする場合が多いが、雇用水準の安定化や在庫水準の適正化も重要な要素である。
(4) 計画を立てるとき、フィージビリティ・スタディを必ず行わねばならない。
(5) 計画を立てるとき、線形計画法などの手法を用いることもある。

正解は4
「必ず」ではありません。青本p.25


問2 次の説明は、品質管理(QC)で用いられる(1) 〜(5) のどの道具についてのものか答えよ。

 「問題とその原因となる項目を抽出し、項目間の因果関係を矢印で表示した図」

(1) 系統図   (2) マトリクス図   (3) ヒストグラム   (4) パレート図   (5) 連関図

正解は5
青本p.34


問3 プッシュ型生産方式とプル型生産方式について、次の記述のうち正しくないものはどれか、選び答えよ。

(1) プッシュ型生産方式では、一般に需要予測に基づいて生産量が了め決定される。
(2) プル型生産方式は、ジャストインタイム(JIT)の理念を実現するのに有効な生産方式である。
(3) 一般にプル型生産方式に較べてプッシュ型生産方式の方が仕掛かり在庫は少ない。
(4) プル型生産方式を実現するために「かんばん」を利用することがある。
(5) サプライチェーンマネジメント(SCM)における制約条件の理論(TOC)では、プル型生産方式とプッシュ型生産方式の両方がとり入れられている。

正解は3
プルとプッシュが逆。青本p.44


問4 決算書に関する次の説明で、最も適切なものを選び答えよ。

(1) 商法が計算書類として作成を義務付けているのは、賃借対照表だけである。
(2) 貸借対照表は、会社の経営状況を資産の部と負債及び資本の部で表したもので、資産額と負債及び資本の合計額は、かならずしも一致しない。
(3) 損益計算書は、別名バランスシートと呼ばれ、売上高と利益を表したものである。
(4) キャッシュフロー計算書では、営業活動、投資活動、財務活動などのように区分しキャッシュフローの状況を表す。
(5) 減価償却費は現金の減少が生じないため、キャッシュフロー計算書では、減価償却費は考慮しない。

正解は4
青本p.53


問5 設備投資の経済性分析手法として適当でない手法を次の中から選び答えよ。

(1) 利益割引率法  (2) 原価比較法  (3) ヘドニツク価格法  (4) 毎年費用法  (5) ニューMAPI法

正解は3
ヘドニック価格法は事業評価手法の1つです。


問6 次の計画・管理の数理的手法の原理に関する説明で、不適切なものを選び答えよ。

(1) PERTは、アローダイヤグラムを用いてプロジェクトなどの一連の工程を効率よく実行するためのスケジューリング手法である。
(2) 数理計画法は、いくつかの制約条件の下で目的関数を最大または最小にする変数の組み合わせを求める手法である。
(3) 連続型シミュレーションは、微分方程式や差分方程式で表現されるシステムの挙動をコンピュータ上で模倣する手法である。
(4) 離散型シミュレーションは、日単位や月単位のように離散時点でのシステムの状態変化をとらえてモデル化し、コンピュータ上で模倣する手法である。
(5) 階層化意思決定法(AHP)は、評価基準や代替案の一対比較から、意思決定者の考えに基づく各代替案の重要度を求める手法である。

正解は4
「離散」というのは、特定の時点や日単位・月単位などといった定期的な時刻という意味ではなく、単にモデルが離散的であるということです。


問7 製造物責任法(PL法)により消費者が証明すべきことの正しい組合せを(1) 〜(5) の中から選び答えよ。

 ア.製品に欠陥があったこと。
 イ.製品の欠陥により損失を受けたこと。
 ウ.生産者が消費者の使い方や利用環境を検討、予測しなかったこと。
 エ.製品に警告表示が付けられていなかったこと。

(1) ア、イ   (2) ア、エ   (3) イ、ウ   (4) イ、エ   (5) ウ、エ

正解は1
これはPL法の基本です。青本p.37


問8 国際規格の説明で、次のうち正しくないものはどれか答えよ。

(1) ISO 9000シリーズは、品質管理及び品質保証に関する規格である。
(2) ISO 10006は、プロジェクトマネジメントにおける品質の指針である。
(3) ISO/IEC 17799は、電気製品安全管理の規格である。
(4) OHSAS 18000シリーズは、労働安全衛生マネジメントシステムに関する規格である。
(5) ISO 14000シリーズは、環境マネジメントシステムに関する規格である。

正解は3
ISO/IEC17799は情報セキュリティ管理実施基準です。青本p.216


問9 次の記述は(1) 〜(5) のどれを説明しているのかを答えよ。

  「作業分析や動作分析に基づいて従業員への適切な仕事の割り振りを検討し、今日の効率的な生産方式の基礎となった方法論である。」

(1) PM理論   (2) 人間関係論   (3) テイラーの科学的管理法   (4) マグレガーのY理論   (5) 行動科学的アプローチ

正解は3
テイラリズムとして有名です。参考はたとえばこちら。


問10 組織形態を確立する上で必要とされる分業と調整の体系に係る要素として、ふさわしくないものは次のうちどれか答えよ。

(1) 部門分化   (2) 任用基準関係   (3) 権限関係   (4) 伝達・協議関係   (5) 公式ルール化

正解は2
青本p.71


問11 賃金の総額管理に関する次の記述のうち、不適切なものはどれか答えよ。

(1) 賃金総額=付加価値額×労働分配率
(2) 労働生産性=付加価値額÷従業員数
(3) 平均賃金=労働生産性×労働分配率
(4) 付加価値額=売上高−外部購入価値−労務費
(5) 労務比率=労務費÷売上高

正解は4
付加価値額=売上高−外部購入価値です。 


問12 問題解決や創造性開発などを目的としたブレイン・ストーミング法において一般的に挙げられるルールとして不適切なものは次のうちどれか答えよ。

(1) 自由な発言をよしとする。
(2) アイデアの質より量を求める。
(3) アイデアの論理性を求める。
(4) 他人のアイデアヘの批判を禁じる。
(5) 他人のアイデアヘの便乗発展を歓迎する。

正解は3
ブレインストーミングの基本は「何でもいいからたくさん発言んしてみよう」、質より量です。 


問13 QCサークル活動を効果的に進める上で、最も不適切と考えられるものは次のうちどれか答えよ。

(1) 創造性を発揮し、自己啓発や相互啓発をはかりながらの活動が重要である。
(2) 経営層・管理層は積極的に活動に関与し、サークルをリードすることが重要である。
(3) メンバーについて固定的な編成で長期にわたって運営する事は好ましくない。
(4) テーマについては環境の変化に応じて適宜見直すことが必要である。
(5) メンバーは顧客価値の視点から考えることが求められる。

正解は2
経営層や管理層は支援にとどめ、積極的に関与すべきではありません。 


問14 労働時間制度に関する次の記述は、(1) 〜(5) のどの用語の説明か答えよ。

  「1ヶ月または数ヶ月で平均して、1週間当たりの労働時間が週法定労働時間を越えない範囲で、各自の労働時間を決めることができる。」

(1) フレックス・タイム制度  (2) 変形労働時間制度  (3) みなし労働時間制度  (4) 裁量労働制度  (5) 法定労働制度

正解は2
青本p.76 


問15 近年の経済情勢の悪化などを背景として、賃金の支払いを伴わない労働、いわゆるサービス残業が社会問題となっているが、時間外労働に対する賃金支払いを規定している法律は、次のうちどれか答えよ。

(1) 労働安全衛生法  (2) 労働維合法  (3) 労働基準法  (4) 労働関係調整法  (5) 職業安定法

正解は3
いわゆる36協定に基づく賃金支払い(第37条)です。青本p.77


問16 人的資源開発に関する次の記述のうち不適切なものはどれか答えよ。

(1) 人的資源開発は、必要性の決定、目標設定、開発手法選択、メディア選択、プログラム実施、評価のプロセスで進められる。
(2) 教育訓練の体系として組織の階層ごとに行う訓練、専門分野ごとの従業員を対象とする訓練、組織全体に共通しか課題を取り扱う訓練がある。
(3) 教育訓練方法にはOJT、0FF-JT、自己啓発があり、教育スタッフは主に自己啓発、組織の管理者はOJTとOFF-JTに責任を持つ
(4) 人事考課管理は従業員のモチベーションに大きな影響を与えるものであり、理念として、客観性、公平性の他、透明性、加点主義が重要である。
(5) 人事考課管理と教育訓練管理は相互にそれぞれの結果・成果を反映させる必要がある。

正解は3
教育スタッフはOFF-JT、組織管理者はOJTと自己啓発、本人は自己啓発に責任を持ちます。青本p.88 


問17 次の政策は1つを除きe-Japan戦略重点計画における重点政策5分野としてあげられているものである。あげられていないものはどれか答えよ。

(1) 世界最高水準の高度情報通信ネットワークの形成
(2) 情報処理産業の振興と育成
(3) 電子商取引等の促進
(4) 行政・公共分野の情報化
(5) 高度情報通信ネットワークの安全性と信頼性の確保

正解は2
青本にはない問題です。参考はこちら 


問18 ナレッジ・マネジメントにおいて、「形式知」に対になる概念で、思考スキルや行動スキルなどの主観的で言語や文章により簡単には表現できない「知」を何と呼ぶか、次の中から選び答えよ。

(1) 顧客知   (2) 組織知   (3) 埋設知   (4) 暗黙知   (5) 個人知

正解は4
暗黙知と形式知はナレッジマネジメントの中では最も重要な用語です。青本p.99 


問19 次の用語の解説で誤っているものを選び答えよ。

(1) ASP(Application Service Provider):アプリケーション・ソフトウェアの受託開発を専門におこなっているソフトウェア会社。
(2) GPS (Global Positioning System):複数の人工衛星と地上の制御局、利用者の移動局から構成されるシステム。
(3) IP電話:デジタル化された音声データをインターネット上でやりとりする技術。
(4) ネットバンク:支店を持たずにインクーネット上で取引を行う銀行。
(5) デジタルデバイド:コンピュータを使いこなす能力の有無によって生じる情報格差。

正解は1
ASPは、ネットを通じてアプリケーションソフトをレンタルする会社のことですが、そもそも記述内容がネットの話ではないので、「Provider」と結びつかないし、(2)〜(5)が比較的簡単に正しいとわかるので、たとえASPがわからなくても答えられると思います。 


問20 ユビキタス・コンピューテイングに関する次の記述で誤っているものを選び答えよ。

(1) ユビキタスとは、「どこにでもある」という意味である。
(2) あらゆる「もの」の中にマイクロチップを入れるなどして、コンピュータ自身を現実世界に進出させることをめざす。
(3) システム構築時も運用時も接続されているコンピュータが実際にどこにあるかを意識しないように考えられている。
(4) 数年前から要素技術としてICタグ、センサネットワークなどが実用化されている。
(5) 個別商品にICタグをつけることは、プライバシーの問題を生じるとの指摘もある。

正解は3


問21 オープンソース・ソフトウェアに関する次の記述のうち、不適切なものを選び答えよ。

(1) Linuxはオープンソース・ソフトウェアである。
(2) オープンソース・ソフトウェアの一部を用いて作られた派生物もまたオープンソース・ソフトウェアとなる。
(3) オープンソース・ソフトウェアは著作権が設定されていないため、誰もが自由にソースコードを改変・配布することができる。
(4) 誰もがその用途のいかんによらずオープンソース・ソフトウェアを利用できる。
(5) オープンソース・ソフトウェアは有償のことも無償のこともありうる。

正解は3
著作権はあります。  


問22 次の知的財産権のうち、保護を受けるための出願が不要なものを選び答えよ。

(1) 特許権   (2) 実用新案権   (3) 意匠権   (4) 商標権   (5) 著作権

正解は5
参考はたとえばこちら 


問23 インターネットに関するア〜力の用語について、英語名称や意味が正しくないものの個数を(1) 〜(5) の中から選び答えよ。

  ア. e-mail:インターネット上で送受信する手紙
  イ. WWW:Wide World Web
  ウ. VoIP:Voice over IP
  エ. HTTP:ハイパーテキストを通信するためのプロトコル
  オ. TCP/IP:インターネット上の通信プロトコル
  カ. B to C:企業間商取引

(1) 1個   (2) 2個   (3) 3個   (4) 4個   (5) 5個

正解は2
イがWorld Wide Web、カが企業・消費者間取引で2つが違います。 


問24 独占禁止法が3本柱として禁止しているものはア〜オのどれか、正しい選択を(1) 〜(5) の中から選び答えよ。

 ア.私的独占
 イ.不当な取引制限(いわゆる「カルテル」)
 ウ.コンプライアンスプログラムの実施
 エ.不公正な取引方法
 オ.特定企業とのクロスライセンス契約

(1) ア、ウ、オ   (2) ア、イ、オ   (3) ア、イ、エ   (4) イ、エ、オ   (5) イ、ウ、エ

正解は3
青本p.103


問25 近年、NBCテロが話題となっている。次のうちN・B・Cの組合せで正しいものを選び答えよ。

(1) 核・生物・化学   (2) 自然災害・生物・金融   (3) 自然災害・爆弾・金融   (4) 核・生物・金融   (5) 核・爆弾・化学

正解は1
Nucleus・Bio・Chemicalです。 


問26 我が国における自動車のリコール制度について、次のうち正しい記述を選び答えよ。

(1) 法律で規定されたものではなく、メーカー関連業界による自主的な制度である。
(2) 法律で定められたメーカーの自主的な届出制であり、国が実施を命令することはできない。
(3) 当初から、国の命令によりメーカーが実施する制度である。
(4) 当初、メーカーの自主的な届出制であったが、近年、国がリコールの実施を命令することもできるようになった。
(5) 当初、国がメーカーにリコールの実施を命令していたが、規制緩和によりメーカーの自主的な届出制となった。

正解は4
時事問題ですね。参考はこちら。 


問27 製造物責任法の「製造物」について、次のうち正しい記述を選び答えよ。

(1) 加工される不動産は「製造物」である。
(2) 発電所で作られる電気は「製造物」である。
(3) ソフトウェアは「製造物」である。
(4) 玩具は「製造物」ではない。
(5) 未加工の農作物や畜産物は「製造物」ではない。

正解は5
PL法の面白いところです。青本にはありませんね。 


問28 事業の意思決定者とステークホルダーの間で実施される「リスクコミュニケーション」の説明として、不適当なものを次の中から選び答えよ。

(1) 意思決定者は、ステークホルダーを安心させるよう、ポジティブな情報のみを提供する。
(2) 意思決定者とステークホルダーは、リスクに対する理解が深まるよう相互に情報交換を行う。
(3) 意思決定者は、ステークホルダーのバイアスを取り除くよう、客観的な情報を提供する。
(4) 意思決定者とステークホルダーは、目的と目標を共有する。
(5) 意思決定者は、ステークホルダーの意見を踏まえ、必要に応じて事業の見直しを検計することがある。

正解は1
情報が不十分ではコミュニケーションは成立しません。「ステークホルダー」をちゃんと「利害関係者」と書けば常識でわかります。意地悪問題か? 


問29 「リスクマネジメント」導入の目的として、最もふさわしくないものを次の中から選び答えよ。

(1) リソース(人材や資金)の合理的な有効活用を図る。
(2) トラブルや事故等の発生を予防し、事業の効率化を図る。
(3) 従業員の管理の徹底で、従業員のモチベーションを高める。
(4) 株主等への説明責任を果たす際に活用する。
(5) トップがマイナス情報にも接することで組織の実態を把握する。

正解は3
管理の徹底でモチベーションアップは図れません。 


問30 次の説明にふさわしいシステム安全工学手法は(1) 〜(5) のうちどれか答えよ。

「設計からのずれが起こる箇所及びその原因と結果を明らかにするため、プロセスパラメータの目的状態からのずれを起点として、その原因と危険事象を解析し、各々の原因から危険事象への進展を阻止する機能を明らかにし改善すべき対策をとる手法」

(1) チェックリスト方式   (2) FMEA   (3) HAZOP手法   (4) イベンドヅリー手法   (5) フォールトツリー手法

正解は3
これは基本的事項として押さえておきましょう。青本p.161 


問31 リスクの概念及び性質について次の説明のうち最も不適切なものを選び答えよ。

(1) その事象の顕在化により、好ましくない影響が発生する。
(2) リスクは被害規模(影響の種類と大きさ)と発生確率で表せる。
(3) その事象の顕在化の不確定性がある。
(4) 被害規模と発生確率の積としてのリスク値が同じリスクの重要性は同じである。
(5) リスク図におけるリスク領域に応じてリスクの対策は選択されるべきである。

正解は4
サービス問題ですね。リスクの基本概念ばかりです。 


問32 稼働率が95%(運転時間のうち平均して95%の時間は正常に稼働し、5%の時間は故障修理のため停っている)の機械が2台設置されている。そのうち1台でも故障すればシステムとしての機能を果たすことはできないものとする。これらの機械が故障に関して互いに独立であるものとして、システムがその機能を果たしている時間の割合はおよそいくらか。次の中から選び答えよ。

(1) 87%   (2) 90%   (3) 92%   (4) 95%   (5) 97%

正解は2
システム信頼性の問題で、直列ですから0.95×0.95=0.90です。青本169 


問33 生産者が製品の廃棄後まで一定の責任を負う「拡大生産者責任」の考え方に関する次の記述のうち最も不適切なものを選び答えよ。

(1) 生産者が製品のライフサイクルにおける影響を最小化するために設計を行う責任を負う。
(2) 生産者が設計によって排除できなかった環境影響に対して物理的に又は経済的に責任を負う。
(3) 生産者が環境効率を高めるために、製品の生産量を持続的に拡大していく責任を負う。
(4) 発生源での削減や廃棄物の発生抑制等が主要な目標である。
(5) 生産者に対して製品に関する外部環境コストを内部化するよう適切なシグナルを送る効果がある。

正解は3
生産を拡大ということではありません。常識感覚で解けるサービス問題ですね。 


問34 化学物質の管理制度に関する次のア〜オの記述の中で正しいものは何個あるか。その個数を(1) 〜(5) の中から選び答えよ。

 ア.「イヒ学物質の審査及び製造等の規制に関する法律」では、環境汚染により健康被害を生ずるおそれがあると判定されたものについては、第一種特定化学物質として製造・輸入の予定数量の届け出などが義務付けられている。
 イ.「特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の改善の促進に関する法律」に基づき、化学物質管理指針が定められている。
 ウ.「特定化学物質の環脆への排出量の把握等及び管理の改善の促進に関する法律」では、一定の製品について化学物質等安全データシートの提供を義務付けている。
 エ.化学物質の自主的な管理活動としてのレスポンシブル・ケアは「開発から廃棄まで」の環境管理方式の1つである。
 オ.PRTRとは、有害性のある化学物質の環境への排出「量及び廃棄物に含まれての移動量を登録して公表する仕組みである。

(1) 1個   (2) 2個   (3) 3個   (4) 4個   (5) 5個

正解は4
アのみが間違い(第一種ではなく第二種)です。 


問35 市場原理に基づく形で環境問題を解決していく方法に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか答えよ。

(1) 財などの生産や廃棄に関わる環境負荷を提示することにより、その環境負荷への個人の選好を通じて環境への配慮の進展や社会的評価の形成が期待できる。
(2) 各経済主体の環境利用に税金などをかけて費用とし、環境利用を市場の内部に取り込むことにより、社会的に望ましい環境利用水準の達成が期待できる。
(3) 仮想評価法、トラベルコスト法などにより、貨幣額など市場における社会的評価と代替性のある形で環境を評価することも一方策である。
(4) 経済的理論上では、環境利用への直接規制の方が経済的規制よりも効率的であるとされていることから、わが国のこれまでの制度も直接的規制が中心となっている。
(5) 消費者である一般市民の環境保全に対する意識向上が、財やサービスを提供する企業の意識にも影響を及ぼし、環境情報の開示などが広がってきていると言える。

正解は4
経済的規制のほうが直接規制より効果的です。青本p.190 


問36 環境影響評価法に関する次の記述のうち、最も不適切なものを選び答えよ。

(1) 第二種事業となりうる事業規模の要件として、事業規模に係る数値が第一種事業の事業規模の要件となる数値の0.75以上のもの、と政令で規定されている。
(2) 対象事業の免許等の審査では、環境保全に開する審査の結果(その他の基準に関する審査と合わせて判断する場合を含む。)により、免許等が行われないこともある。
(3) 環境影響評価法では対象外となる事業でも、地方公共団体の環境影響評価条例では対象となる事業がある。
(4) 事業計画は環境影響評価の前提条件であり、環境保全についての配慮は原則として事業計画の変更が生じない範囲で検討することとなっている。
(5) 対象事業が都市計画に定められる場合の環境影響評価は、都市計画決定権者が都市計画決定手続きと併せて行うこととなっている。

正解は4
これでは昔の「アワスメント」です。 


問37 戦略的環境アセスメントに関する次の説明のうち、最も不適切なものを選び答えよ。

(1) 政策(Policy)、計画(Plan)、プログラム(Program)の3つのPを対象とする環境アセスメントであると言える。
(2) その意義として、政策の策定・実施に当たって環境への配慮を意思決定に統合すること、事業の実施段階での環境アセスメントの限界を捕うことが挙げられる。
(3) 代替案等の検討を踏まえた意思決定を適切な時期に行うことや、個々の事業の累積的もしくは相乗的な影響を考慮していくことへの改善が期待できる。
(4) 事業の実施段階での環境アセスメントに比べてより広範な環境保全対策を検削することが可能である。
(5) 戦略的環境アセスメントは、環境以外の考慮要素をできるだけその内部に取り込むことにより、最終的な意思決定のための総合的評価として取り扱われる。

正解は5
青本p.195 


問38 組織の環境管理活動に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか答えよ。

(1) 環境アカウンタビリティとは、各企業は環境保全の取り組みのうち財務的に計上が可能な経費について株主等の投資家に報告する責任を有するという考え方である。
(2) 環境報告書とは、組織の環境管理活動の内容を組織外に公開するためのもので、一定規模以上の企業には作成が義務付けられている。
(3) 環境マネジメントシステムとは、企業などの組織が環境に関する経営方針(環境方針)を体系的に実行していくためのシステムである。
(4) 環境活動評価プログラム(エコアクション21)の主たる目的は、大規模な事業者が高度で精緻な環境保全への取り組みを展開してくための仕組みを提供することである。
(5) 環境会計には、環境保全対策の効率化を通じて社会貢献を図る外部機能と、適切な情報開示を通じて社会的評価の確立を目指す内部機能の2つの側面がある。

正解は3
(1) 明らかに誤りです。
(2) 「一定規模以上の企業に義務付け」ではありません。
(4) 大規模ではなく中規模です。
(5) 外部ではなく内部です。 


問39 次の各選択肢に示す2つの項目について、両方とも環境基本法第2条において定義される公害(いわゆる「典型7公害」)に含まれるものはどれか答えよ。

(1) 日照阻害、水質汚濁
(2) 振動、電波障害
(3) 地盤沈下、悪臭
(4) 生態系破壊、大気汚染
(5) 低周波空気振動、土壌汚染

正解は3
典型7公害とは、大気・水質・騒音・振動・土壌・悪臭・地盤沈下です。 


問40 次の各項目のうち、地球温暖化対策の推進に関する法律第2条で「温室効果ガス」として定義されていないものはどれか答えよ。

(1) メタン   (2) 一酸化二窒素   (3) 二酸化窒素   (4) 二酸化炭素   (5) 六ふっ化硫黄

正解は3
総監知識とは違うような気もしますが・・・・


記述問題
 次の2問題について解答せよ。(1は茶色の答案用紙を、2は灰色の答案用紙を使用して、それぞれ指定枚数以内にまとめよ。)

  1. あなたが従事している又は過去に従事した業務・職務から1つを選び、総合技術監理上の課題を3つ挙げ、それぞれあるべき方向について答案用紙2枚以内で述べよ。
    取り上げる課題のうち2つは「情報管理」と「安全管理」とし、残りの1つは「経済性管理」、「人的資源管理」、「社会環境管理」の中から選べ。
  1. 最近、施設事故や製品欠陥等に起因する大きな社会的問題が発生している。
    これらの中には、大きな事故等の可能性を示す小さなトラブルや予兆があったにもかかわらず、その対処がうまくいかず大きな問題を発生させてしまった場合も多い。
    このような状況を防止するために必要な対策プログラムを検討し答案用紙3枚以内で述べよ。
    その際、プログラムの対象とする事故等を設定し、組織マネジメント、コンプライアンス対応、情報開示の対策を必ず含めることとする。