口頭試験体験記 | 応用理学部門(平成18年度以前) | Back |
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前日から東京に出て宿泊した。試験会場から2駅隣にホテルをとった。口頭試験なんて詰め込んでどうなるものでもないから、開き直ってゆったり過ごすことにする。夕食は口が臭くなりそうなメニューだけ念のため避けて、サウナに入って熟睡する。
翌朝はゆっくり起きて、昼前まで町をブラブラしつつ頭の中を整理。昼食を食べてから渋谷へ移動。フォーラム8に入り、手続きして控え室へ。「重苦しくていたたまれない部屋」という人もいるが、自分は鈍いのか大して気にならない。技術士法や参考テキストなどに目を通したりして時間を過ごす。大体、30分おきに、5分以内の誤差で呼び出しが来る。やがて自分の予定時間になった。何人かの後、自分が呼ばれる。努めてゆったり歩き、ドアの前で深呼吸1回。ノックして入室。
試験管は3名。真ん中(A)は幾分いかめしい顔つきの年配の方。左手(B)にはにこやかな方。この人は大学研究機関方面の方ではないかと思う。右手(C)には役人っぽい真面目そうな方。
私:○○番の○○です。よろしくお願いいたします。(一瞬、イスに座りそうになるが、うっ、いかんいかんと思い、そのまま立っていた)
A:どうぞお座りください。
私:はい。ありがとうございます。(荷物を置き、イスに座って改めて)よろしくお願いします。
A:では最初に経歴について説明してください。
私:はい。私は○○年に大学を卒業して・・・・・(以下、最初の何年はどういう立場で何をして、次にこれをして・・・・と、だいたい3分で説明。その中で経験論文がいつの頃のものかも説明した。やや声がかすれ気味。緊張しているのかな?)・・・・以上でございます。
C:では、経験論文について説明してください。また、それが技術士としてふさわしいと思う理由についても述べてください。
私:(よーし、来た。さぁ、がんばれ。経験論文の内容を、事業の背景、その中で業務が発注された経緯と業務の位置づけ、自分の着目点と提案内容、その結果と解釈の順で5分〜7分で説明した。意識して身振りを加える。また強調点の繰り返しなども入れて、「熱弁」っぽく話したつもり。完成検査と変わらないしゃべりだったと思う)
B:その「水みち」とそうでないところとは、地質的に何か差がありましたか?
私:(予想通り経験論文への質問に入った。ここからはアドリブだ。)はい。粒度試験の結果、細粒分含有率に差がありました。
B:両者の境界は、そんなにはっきりしていましたか?どうもジャストバウンダリーというわけにはいかないと思うのですが。
私:(「バウンダリー」と来たか。学者さんかな。)はい。通常考えればなかなかそういうことはないと思うのですが、現場では通り1つ挟んで水量・水質ともまったく違うということが確かにありました。ですから、経験的に結構バウンダリーははっきりしているのではないかと思います。(うーむ、とにかく現場がそうだったんだから論法に走ってしまった。ま、いいか)
B:あ、でも透水係数なんかはそんなに変わんないんですね。じゃあ、水みちとそうじゃないところで全然違うというわけじゃないんだ。
私:はい。ワンオーダーちょっとくらいです。(おっと、聞かれてないのに勝手に補足してしまった。ま、いいか)
B:こういう手法ってのは、事例があるもんなんですか。あなた自身は他の現場でこの方法を使ったりしましたか。
私:文献事例などは私は存じませんが、この3年後に行った水源調査がありまして、ここでこの手法を応用しました。(以下、その業務の細かい質問と説明。技術的ではなく、内容の説明。)
B:で、この調査の成果をその後に生かすことが大切なのですが、この事業でその後どのように利用されたのですか?
私:はい。この成果を受けて、水みちとそうでない区域では水質監視密度や施工の慎重さなどが変えられました。
B:設計への反映は?
私:いや、実はもう施工段階に入る直前で、発注も工事業者さんを通してのものでしたので・・・・
B:あ、それじゃもうどうにもなんないよね(笑)
私:はい。せめて設計段階だったらいろいろと提案できたのですが・・・・
ABC:(笑いつつ「そうだよねー」などと相槌を打つ)
B:どんな物質に着目して水質監視をしたんですか?
私:はい。本来ですと塩素イオンとか動きの速いものを使いたいところですが、分析に時間がかかってはいけませんので、現場で測定できる電気伝導度、pH、濁度で監視しました。(この間、1項目ごとに試験管Bが「あー。○○ね。」と相槌を打つ。)
C:硝酸は使わなかったのですか?経験論文で着目しておられますが。
私:はい。硝酸は不安定で、いろいろなファクターが入ってくるので、避けました。(Bがうなづく。Cはわかったんだかわからないんだかよくわからん表情)
A:その後、施工は特に問題もなく終わったんですか?
私:はい。(ここはいらないことはしゃべらないでおこう。)
(Aが左右に目配せ)
C:継続教育についてですが、具体的にどんなことをしておられますか?
私:田舎にいますのでなかなかシンポなどにもいけません。それで、インターネットを活用して情報収集に努めております。また、ありきたりですが、業務を受けるたびに文献等にあたって理論や手法を再度理解し、基礎力を維持するよう努めています。(ここでCの表情がちょっと曇ったような気がする。うっ、マズイか?)また、学会やフォーラムなどで、できるだけ自分で(ここを強調)発表するようにしています。
C:守秘義務にからんで、発表内容に制限が加えられたりしたことはないですか?
私:(うっ、そう来たか。ここはサッと逃げよう)はい。幸いにありません。(ここで、意識して人なつっこくニッコリしてみせる。Cもちょっとニッコリ。ここでパッと思いついた。よーし、自分の得意分野に引き込んでやれ。)また、これまで3回ほど発表していますが、そのうち2回は自分が作ったソフトウェアシステムについての発表だったものですから。
B:ソフト?何ですか、それ
私:(やったー)はい、私は平成2年ごろに・・・・(自分が早くから電子データの使いまわしという今のCALS的発想を持っていたことを始まって、ソフトウェアシステムを作るまでの経緯を3分近くかけてしゃべる。)・・・・あと、柱状図データから文章を自動的に作るソフトとか。
B:そりゃあすごいね。(ABC笑)
私:でも、MS-DOSのソフトなんで、今はだれも相手にしてくれません。(頭をかく)
ABC:ハハハ(笑)
(Aが左右に目配せ)
C:では、技術士の義務について述べてください。
私:はい。まず3つの義務がございます。1つめは信用失墜行為の禁止、(このへんでAとBは下を向いて何か書いている)2つめは守秘義務、3つめは(ちょっとつまる)名称表示の場合の義務です。また2つの責務がございます。1つめは公益確保の責務、2つめは資質向上の責務です。
A:はい。どうもありがとうございました。ではこれで終わります。ご苦労様でした。
私:どうもありがとうございました。(地域活動のアピールをしてないよー、これで点数稼ごうと思ってたのにーと思うが、どうにもならないので立ち上がり、荷物をとって)どうもありがとうございました。失礼します。(振り返り、ドアを閉めるときにもう一度礼)
部屋を出たら、25分近くが経過していた。とにかく帰ろう。渋谷の町を歩きながら試験内容を思い出す。
試験の内容を整理してみると、@経歴A経験論文の内容説明B経験論文の技術的内容C事業への寄与(自分の持ち場だけでなく広い視野で見ているか)D継続教育E技術者倫理と技術士法理解の6点を問われたのだとわかる。
Dのところでソフト開発を持ち出して5分ばかり時間を稼いだが、これがなければもっと別のことを聞かれたのか、5分短くなったのか・・・・そんなことはわからない。総じて和やかだったし、「わかりません」もなかった。それなりに技術力もアピールしたと思うし、経験論文がパクリではないことは十分わかっただろう。ソフト開発で社交辞令かもしれないが「すごいねー」とも言ってもらえた。試験官Cが一度だけ顔を曇らせただけだ。
・・・・そうだ、この内容で落とされるいわれはないぞ。うん、そうだそうだ。だいたい、もう自分にできることは何もないんだ。人事を尽くして天命を待つだ。そんなことより、仕事の年末の追い込みのこと、さまざまな地域活動のこと、趣味のこと・・・・やることはいっぱいあるじゃないか・・・・。
受験部門:応用理学部門(地質:環境地質)
受験地:フォーラム8
試験官:3名 (A・B・C)
水圏環境(S):「受験番号18番、応用理学部門地質科目、Sです。よろしくお願いします。」
A:どうぞお座りください。
S:失礼します。
A:まずあなたの業務経歴について、お願いします。
S:(用意した解答を述べる。3分程度。)
A:Sさんが経験論文に書かれていることは最近の業務経験なのですね・・・なるほど。
S:はい。
A:Sさんの技術士受験の動機を教えてください。
S:(用意していた、コンサルタント業務に携わっているので資格が必要なこと、発注者に信頼される技術者になりたい等を答える。)
A:それはSさん個人的な動機ですよね?ほかにありますか?
S:はい。発注者に信用され、社会に貢献できる技術者になりたいと思います。
A:それは具体的に何かありますか?
S:(想定外の質問だった。このあと、なにか追加質問されたが忘れてしまった。私は答えとして経験論文の内容は委員会を開催している業務なので結果を世間に公表し、環境問題提起として行政に訴える等の解答をした。Aさんの質問意図は、技術者として社会にどのような貢献をするつもりなのかということだったと思う。)はい、現場作業によく携わっていまして、私共の成果は、地域住民のためでもあると思います。
A:わかりました。ところで契約書をみられたことはありますか?
S:はい。(このときは問題の意図がわからなかった。今考えると、上のつづきだったと思う)
A:どのようなことが書かれていますか?
S:(まったく問題の意図がわからなかった。最初は仕様書のことを答えていたら、質問をもう一回いわれてしまった。環境保全とか答えていて答えにつまった。)
A:また勉強しといてください。
S:はい。勉強し直します(しまった。声が小さかった。今日一番の失敗だった。今回の技術士試験動機と私の業務と社会との関わりについて、割かれた時間が長かった気がした。)
A:それでは今回の経験論文についてあなたの役割について述べてください。
S:(この質問は私の技術士にふさわしい役割について述べなさいとのことだと思って、経緯を延べ始めたら、Aさんに制された。)
A:いえSさん。簡単に役割をのべてください。
S:(え?内容はいいの?と思ったが冷静に)すみません。この業務においては計画・研究・評価に携わりました。
A:ではこの業務はあなたが主体にされたのですね?上には誰もいらっしゃらない?
S:いえ、管理技術者がいます。
A:管理技術者がいるのにあなたが主体的にかかわったのですが?
S:はい。(ここで理由を説明した。干潟・沿岸域の調査研究にSがいままで関わっていること。地質学の素養があること。ここを説明できないと答えられなかったことの挽回が出来ない気がした。)
A:はい。わかりました。では##は沿岸域の沖側よりも岸側の部分で多いといっていますが、それは何が根拠ですか?
S:(地形勾配と水面勾配が地形変曲点で交錯することを説明した。説明が足りないと思ったので、○○での事例をあげた。)
A:○○?陸域と海域では違うと思いますが?
S:(これは想定内。海域での事例が少ないこと。干潟でも確認していること。地形変曲点の山麓部で##があることを説明した。)
A:では地形の違いだけで地域区分をされたのですか?
S:(これも想定内。地形だけでなく、地層の透水性を踏まえていることを説明した。)
A:水深が10m以深では##はないと。本当ですか?
S:はい、そうです。ただそうとは言い切れない部分がありますので、××法を海域に用いて##の分布状況を把握するための調査技術を今、研究開発中です。
A:わかりました。では(Bさんの方をみて)わたしは以上です。(とはいえどもこのあとAさんから助け船?を頂いた気がする。)
B:境界面をごぞんじだとおもいますが、これはどうですか?あなたのやられたことにも関係があると思いますが。
S:はい。潮汐力で満潮時には海底下では岸側に寄り、干潮時には沖合まで出ています。
B:海底下ですよ?動くのですか?
S:(どうやらご存じないらしい。今年度、昨年度それを学会で発表している人がいるのだけどなと、思いつつ、)はい。現地で観測すると上げ潮時・下げ潮時に増加し、干潮時には減少します。それは移動している証拠です(理解してもらえたかな?△△法調査で検証している人がいるのでその事例を出そうとしたら、次の質問に移られた。)
B:はい。ではこのX海で調査された経歴下から2番目(みたいなことをいわれた)事例・・干潟生物調査について説明してください。
S:(干潟生態系の食物連鎖を解明するためにYYを使ってトレースしたことを説明した。YYについては考えていらっしゃらなかったようだった。)
B:なるほど。特定の生物を対象とされたわけではないのですね?(なあんだそれだったら質問することはない。という感じであった。経歴の書き方がわるかったのだろうか?)
S:はい。
B:Sさんはこれらの業務は環境影響評価調査なのですか?
S:いいえ(ここはきっぱりと)。
B:つまり業務経歴は、それぞれ独自の業務なのですね(こんな感じで聞かれた)?
S:はいそれぞれ環境保全のための業務です。(どうやらBさんはその方(環境アセス)の専門家らしかった。)
A:(雑談風に?)Sさんは(経験論文のような)業務をされていますが、G湾とかQ海とかで調査というのは実施されています(知っているか?と言う質問でなく、雑談風に)。
S:はい、そうですね。知っています。
A:(かなり時間がなくなったのか時計をみたあと、Cさんをみて)ではお願いします。
C:技術士の義務と責務を教えてください。
S:(用意していたことを答える)
C:では名称表示義務はなぜだとおもいますか?
S:はい(たとえば応用理学はその分野に置いては高等な専門的応用能力があり、その分野に関しては国から認められているからなどを答えた。)
C:他のことはしてはいけないということですね?
S:はいそうです(技術士の名称をもちいてはそうです。と答えればよかった)
C:資質向上のためになにかされていますか?
S:はい。(シンポジウム参加、研究開発等を答えた)
C:公益の確保の公益とは何ですか?
S::社会全体の利益のことです。
C:海外にも技術士の相当する資格がありますが、ご存じですか?
S:はい。アメリカがPE、英国がCEです。
B:CEは何の略かご存じですか?
S:いえ知りません。勉強します。(本当に知らなかったので、即答しました。)
B:(少し微笑んで)CEはChartered Engineerですね。
C:分かりました。以上です。(ここで終わりかと思ったら、Aさんからフォロー?の質問がでた)
A:最後に一ついいですか?デルタダイヤグラムについて教えてください。
S:(筆記試験で答えられなかった問題。フォローしておいてよかったと思った。)はい。水素同位体と酸素同位体の関係を図に示したもので・・・(つづけて天水線の説明をしようとしたらBさんと顔を見合わせて・・・勘違いされていたみたいですね?みたいな感じのことをいわれて)
A:はい、どうもご苦労さまでした。
S:はい。ありがとうございました。
席を立って「失礼します。」もう一度、部屋を出る前に「失礼します。」
以上
平成17年度 技術士応用理学部門口頭試験 日時:平成17年12月11日(日曜日) 時間:15:30〜16:00 面接官:3人 司会進行役の人(A)が真ん中に座ってた。面接中に思ったが、全地連の偉い人か?50代前半という感じである。 自分から見て右側の人(B)。どっかのコンサルの人か?Aと仲が良さそうだった。50代前半という感じである。 自分から見て左側の人(C)。大学教授だろうか?50代後半という感じである。 私の( )内の文章はその時の自分の気持ちなど。 |
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私: | ○○番の○○です。よろしくお願いします。 |
A: B: C: |
お願いします。 |
A: | お座りになって下さい。 |
私: | 失礼します。(イスに座った。かなりいい姿勢のつもり) |
A: | え〜○○さんは○○が地元ですか? |
私: | はい。○○大学を出て、地元に就職しました。 |
A: | う〜ん・・・それはどうですかねぇ〜。視野が狭くなるというか・・・まっ、これからは国際的にがんばって下さい。(一応笑顔) |
私: | (え〜、そんなつっこみされるのー?でだしわるいなぁ〜)はい。 |
A: | そしたら、そんな○○さんがこの試験を受験された動機は何ですか? |
私: | はい。主に2つあります。1つは、発注者(これを言うときにちょっとどもった)さんと協議するときに、自分の考えや意見を述べるときに、技術者として最高の資格である技術士を取得し、より信頼を高めるためです。あと1つは、先ほども言いましたとおり、地元の小さなコンサルに勤めているんですが、これからも仕事を受注し続けていくために、評価の指標となる技術士という資格が必要であると考えたからです。 |
A: | ふ〜ん。まー発注者に対して箔をつけるってことね(笑顔) |
私: | はい。(ん?はい。で、よかったか?何か不安・・・) |
A: | ○○さんは応用理学の技術士っていないの? |
私: | (○○さんってすらすら言ってるけど、知ってるのか?)はい。おりません。 |
A: | じゃー、是非欲しいね。(笑顔) |
私: | はい。一応、土質及び基礎をもってるものはいます。 |
A: | ・・・(無言) |
私: | (あれ?どうでもいいことだったか・・・?) |
A: | (願書を見ながら)○○さんは経験8年と言うことですが、え〜、1年目、2〜3年目、それ以降と3行しか書いてありませんが、え〜何を書いてあるかさっぱり分かりません。(一応笑顔) |
私: | すみません(えー、そーなん?) |
A: | 1年目は高速道路の点検ですね。まーこれはいいんですけど、次からが分かりませんねー。斜面災害防止に関する・・・で3行目がこれまた一緒ですねー。具体的に何なんですか? |
私: | はい。すみませんでした。(やばー)1年目は高速道路の切土のり面について点検しました。他には防災点検で自然斜面や切り盛りののり面について点検させて頂きました。 |
B: | ふーん、防災点検もしてるのね。 |
私: | はい。2〜3年目は主に地すべりの調査解析や、急傾の調査や対策工の検討をやらせて頂きました。 |
A: | ふ〜ん。地すべりと急傾ね。じゃー4年目からも一緒? |
私: | はい。ほとんど同じですが、4年目からは主任という立場になり調査計画の立案もやらせて頂くようになりました。 |
A: | あーなるほどね。調査計画の立案もやるようになったわけね。 |
私: | はい。 |
A: | だったら、そういうこともちゃんと書かなきゃ!これみたら全然成長してないみたいじゃない。 |
私: | すみません(謝ってばっかりやなぁ) |
A: | まー謝らなくてもいいけどね。じゃ、高速道路の点検って、地すべりとかそんなの? |
私: | いえ、特定のものではなくて、○○自動車道の切土のり面について、えー確か3段切土以上のものについて点検し、豪雨の時など、まずどののり面をみて、どこをみればよいか評価しました。 |
A: | あーなるほどね。じゃー目視? |
私: | はい、目視です。 |
A: | それでは地すべりと急傾をやられているとのことですが、調査方法としてどこが違うのですか? |
私: | はい。地すべりと急傾は移動スピードが違います(えー!?俺は何言ってんだ。ちょっとおかしなってると思った)。地すべりはゆっくり動きますし、急傾はどさっと崩れます(まだ言ってる・・・)。ですので、地すべりは歪計や傾斜計や水位計など観測計器をつけて、一般的には観測しますし、急傾は、例えば岩盤であればゆるみゾーンはどれほどか、切土するとすると何割くらいがいいか調査します。(何とか質問の答えになったと実感。Aも観測計器の設置のところで大きくうなずいてたし・・・) |
A: | う〜ん、それでは他に何か(二人を見る) |
B: | では、この経験論文ですが、何かたんたんとやった業務っぽく感じるけど、なんか技術士の論文として何か弱い気がするけど、どこがいいとこなの? |
私: | (えー経験論文もダメ出しからなのかー)はい。いいところは、樹木の根がもつ斜面安定効果を期待し、一般的には法枠プラス鉄筋挿入と思われるところを鉄筋挿入だけにしたことで、法枠分のコスト縮減ができましたし、環境低減も、いや、環境負荷の低減もできました。(なんか声が震えてると感じた。自分で焦ってる感じが分かる) |
B: | ふ〜ん。じゃー山にはどこでも木が生えてるけどそういうところも法枠いらないの? |
私: | いえ、木があるからOKではなくて、今回の現場ではケヤキやオニグルミがはえてましたので、これらは深く根が生える特徴を持った、まー深根性、直根性の木でしたので、安定していると判断しました。 |
A: | ふーん。ケヤキなんてどこでもはえてるんじゃない? |
B: | うん、うん、じゃーケヤキがあれば大丈夫なの? |
私: | いえ、ケヤキだから大丈夫とかではなくて、高木や中低木や下草などバランスよくはえてるのが重要です。 |
B: | ふんふん、じゃーそこはバランスが良かったってことね? |
私: | はい。 |
A: | えー地すべりもやっておられるようですけど、やっぱり○○県は○○との境に多いの? |
私: | いえ、数で言えば○○で多いです。特に○○側、えー、○○の外側です。(なんか外っぽい手振りをしながら) |
A: | あー○○ね。 |
私: | はい。○○には○○という観光地もあるくらいですから。 |
A: | はい、はい。○○は食べ物がおいしいんじゃないの?フフフ(笑み)。やっぱりカニですか?○○はなんなの?ズワイとか? |
私: | えー、○○がおいしいです。(やばっ、つい○○って言ったけど、それは○○か?○○か?○○じゃなかったかも・・・) |
A: | えっ、○○ってなに? |
私: | (おっ、知らないのか、ラッキー)小ぶりなんですけど、身が締まっており、雌のカニで赤子とかミソとかが非常においしいです。 |
A: | えっ、雌なの?取ってもいいの? |
私: | えっ!?解禁になってるんでいいと思うんですけど・・・(えー?普通に食べてるし、いいだろー) |
A: | えー、雌ってだめだろー。 |
私: | いや〜・・・(首をかしげながら) |
C: | (Aにむかって)今の時期は大丈夫です。(小声でよく分からなかった) |
A: | あっ、そうなの。そっかー、おいしそうだねー。おっと、よだれが出ちゃった。(Bにむかって)じゃー、今度○○県で全地連やろうか?うんうん、いいねー。あれっ?この間○○県行かなかった?去年どこだっけ? |
私: | えー・・・、○○かどこか・・・?(だんだん小声で。実際よく知らない。なんか会社のポスターに○○って文字が書いてあった。それは地すべりか全地連か、しかもいつのことか覚えていないが) |
A: | うーん、そっか、まだか・・・。え〜他に何か・・・ |
私: | (おっ、もうおわりころか?) |
C: | 経験論文ですけど、根の密度とかはいいの?密なこととか、粗なとことか・・・? |
私: | はい。一般的にこれらの木は、根っこは(手を広げながら )葉っぱの広がり分くらいは根が広がっていると考えられますので、現場は遠くから見ると土がみえなくなるくらい葉っぱが生い茂っていましたので、、全体に(ここらへんから自信なさげな感じのしゃべりになってしまった)根がはってると言いますか、大丈夫と言いますか、まっ、密な状態でした。と判断しました。 |
C: | ・・・(無言) |
A: | それって定性的だねー。 |
B: | 定量的な評価ってできないだろうしねー |
A: | まだそんなことされてないよね? |
私: | はい。まだそこまでされていません。これからの課題であります。例えばサンプリングして強熱減量をはかるとか・・・ |
A: | ・・・(やや笑顔) |
B: | (小声で)ふん、ふん。 |
C: | ・・・、高さはどれくらい? |
私: | 10mくらいです。あっ、直高です。 |
C: | ・・・ |
A: | 勾配は? |
私: | 約50度です。 |
A: | うーん、10mで50度ねー。やばくない?なんかすべりそうだよねー。う〜んイメージができないんだけど。 |
私: | (えー?ここはなんて答えれば正解なんだろう?大丈夫ですって言い切るのもなぁ。でも危ないともいえないしなー・・・) |
A: | これ、いつしたの? |
私: | 去年です。 |
A: | 現場行った? |
私: | はい。施工直後は踏み荒らしの影響で、プレートがみえていましたが、夏場を過ぎてから下草も繁茂して目立たなくなりました。分かってる人が見ないと、対策工がしてあるとか分かりません(やばっ、うけ答えがちんぷんかんぷんか?前から準備してた答えを言ってしまった) |
A: | そっか。崩れてないなら大丈夫か。う〜ん、なんか木が揺さぶられて危ない気がするけど・・・ |
私: | はい。そういうリスクもあります。ありますが、そういうリスクを保有しながら鉄筋挿入工で抑止してますので、安定と評価しました。 |
A: | ふ〜ん・・・ |
C: | じゃー、計算してると思うけど木の重量とか考えたの? |
私: | (あっ、やばっ、考慮しても良かったなぁ)いえ、考慮してません。 |
A: | え〜、ほかに何か・・・ |
B: | ・・・ |
C: | ・・・ |
私: | (おっ、そろそろか・・・) |
A: | それではっと・・・、Uの設問で、○○さんはアイソスタシーについて答えてますよね。 |
私: | はい。(やばっ、いまだによく分からねー) |
A: | えー、海の上に浮かぶ氷河のようなとか書いてますけど、それってイメージであって、定義じゃありませんよね。 |
私: | はい。わかりやすく説明すると・・・ |
A: | そうそう、素人にね・・・。じゃー勉強してきた?(笑顔) |
私: | (笑顔で)はい。プレートが、リソスフェアが、アセノスフェアの上に・・・(あれ?これって同じことじゃ・・・)乗って・・・、えー、あのー、あれ?・・・ |
A: | そんなリソスフェアがアセノスフェアに乗ってだといっしょだよ。 |
私: | はい。あれ?すみません。頭が真っ白になってしまいまして・・・。すみません戻って勉強しなおします。 |
A: | えっ!?勉強してきたのに降参するの? |
私: | あっ、ブーゲ異常・・・(かなりパニック状態)はい。すみません、帰って勉強します。 |
A: | えっ!?降参するの? |
私: | ・・・(多分うなだれてたと思う) |
A: | じゃー、恒例の質問をします。技術士にはしなくてはいけない義務や、責務があるんですけど、分かりますか?説明して下さい。 |
私: | はい。・・・(えっ!?出てこないぞ。かなりパニック状態なんだと感じる)・・・義務は・・・「名称表示の場合の義務」、「守秘義務」、「信用失墜行為の禁止」の3つです。責務は「資質向上の責務」、「公益確保の責務」の2つです。 |
A: | それでは、最初に答えてくれた名称についてですけど、どういうことですか? |
私: | はい。技術士として仕事をするとき、自分の専門分野以外を名乗ってはいけない・・・、えー、専門分野を偽ってはいけないということです。(おっ、Aがめっちゃ笑顔だー) |
A: | そういうことですね。それでは、えー、資質向上についてですが、これからそれについてどうしますか? |
私: | はい、これまでもしてきたことですが、講習会に積極的に参加したり、機会があれば自分の経験を発表していきたいと思います。 |
A: | そうそう。君みたいな若い人が全地連とか、地すべり学会とか、地すべり対策技術協会とか・・・○○さんは入ってるでしょ?(私がうなずく)。そういう場で発表して欲しいんだよ。 |
私: | はい。がんばります。あのー、全地連ではないですけど、○○地質調査業協会では2度発表させてもらいました。(あー、これをもっと早く言えば、こんなに突っ込まれまくらなくてすんだかもなぁ・・・) |
A: | ほー。 |
私: | 今後も発表していきたいと思います。 |
A: | そうか。がんばってね。今度○○行くから。(すっごい笑顔) |
私: | はい。(ふぅ〜、終わったー) |
C: | えー・・・ |
私: | (えっ!?Cさんまだあるのぉー) |
C: | 資質向上ですが、あなたは地すべりをしているようですけど、それにはいろいろ安定計算とかありますが、どういう勉強をしてますか? |
私: | はい。地すべりの計算は、現在2次元解析が主流ですが、実際の地すべり現象は3次元ですので、3次元での物のとらえ方が非常に大事です。ですので、解析も3次元でしていきたいと思っておりまして、今、ホフランド法とか修正ホフランド法とかについて勉強しております。 |
C: | (うんうんとうなずく) |
私: | (おー、Cが始めてほほえんだような気が・・・) |
A: | それでは以上です。お疲れ様でした。 |
私: | ありがとうございました。(立ち上がって、荷物を持って再度)ありがとうございました。(ドアにむかうと、自分を案内してくれた人がいる!?しかも、座ってる。気がつかなかったぁ〜。あー俺って相当緊張してたんだなー。で、その人にむかって)ありがとうございました。(ドアを開け、閉める前に)失礼しました。(こんな挨拶で良かったかなと思いながらドアを閉めた。すぐに時計を見ると、16時ジャストだったので、みっちり30分かー・・・、これってどうなんだろう・・・) |
自己評価:合格かどうかは五分五分の感じである。カニの話の時はいい感じか?とも思ったが、義務や責務の質問の前のアイソスタシーのやり取りが非常にまずかったと思う。特に、「降参するの?」が非常に嫌である。周りの人は30分はあっという間だったらしいが、私は何回かもう終わりか?と思ったので非常に長く感じた。また、業務経歴票は具体的に書く必要があることを痛感した。 (APEC注:結果は合格でした) |