技術士第一次試験 平成20年度 基礎科目
問題・正解・解説
※技術士会公表の正解について、臨時掲示板での情報から解説を作成しました。
異論や情報などありましたら、メールにてお願いします。
基礎科目正答一覧 | |||||||||||||
第1群:設計・計画 | 第2群:情報・論理 | 第3群:解析 | 第4群:材料・化学・バイオ | 第5群:技術連関 | |||||||||
1-1-1 | 5 | 1-2-1 | 4 | 1-3-1 | 4 | 1-4-1 | 2 | 1-5-1 | 4 | ||||
1-1-2 | 3 | 1-2-2 | 2 | 1-3-2 | 3 | 1-4-2 | 4 | 1-5-2 | 5 | ||||
1-1-3 | 4 | 1-2-3 | 4 | 1-3-3 | 2 | 1-4-3 | 2 | 1-5-3 | 3 | ||||
1-1-4 | 4 | 1-2-4 | 4 | 1-3-4 | 3 | 1-4-4 | 2 | 1-5-4 | 4 | ||||
1-1-5 | 1 | 1-2-5 | 1 | 1-3-5 | 4 | 1-4-5 | 5 | 1-5-5 | 4 |
1群 設計・計画に問するもの (全5問題から3問題を選択解答)
1-1-1 ユニバーサルデザインに関する次の記述の、[ア]〜[エ]に入る語句の組合せとして、(1) 〜(5) の中から適切なものを選べ。
ユニバーサルデザインは、ロナルド・メイスにより提唱され、特別な改造や特殊な設計をせずに、すべての人が、可能な限り最大限まで利用できるように配慮された製品や環境の設計をいう。ユニバーサルデザインの7つの原則は,(1)公平な利用,(2)利用における[ア],(3)単純で[イ]な利用、(4)認知できる情報、(5)[ウ]に対する寛大さ、(6)少ない[エ]な努力、(7)接近や利用のためのサイズと空間、である。
(ア) | (イ) | (ウ) | (エ) | |
(1) | 柔軟性 | 論理的 | 失敗 | 継続的 |
(2) | 限定性 | 論理的 | 失敗 | 継続的 |
(3) | 柔軟性 | 論理的 | 欠陥 | 身体的 |
(4) | 限定性 | 直観的 | 欠陥 | 継続的 |
(5) | 柔軟性 | 直観的 | 失敗 | 身体的 |
正解は5
常識感覚でわかると思います。
文中に「すべての人が可能な限り最大限まで利用」と書いてあるわけですから、たとえば(ア)が限定性ではなく柔軟性であること、(イ)が直感的な利用であることはユニバーサルデザインを全く知らなくてもわかるでしょう。この時点で正解は決定できます。サービス問題中のサービス問題です。
1-1-2 製造物責任法に関する次の記述の、[ア]〜[エ]に入る語句の組合せとして、(1) 〜(5) の中から適切なものを避べ。
製造物責任法は、[ア]の[イ]により人の生命、身体又は財産に係る被害が生じた場合における製造業者等の損害賠償の責任について定めることにより、[ウ]の保護を図り、もって国民生活の安定向上と国民経済の健全な発展に寄与することを目的とする。
製造物責任法において[ア]とは、製造又は加工された動産をいう。また、[イ]とは、当該製造物の特性、その通常予見される使用形態、その製造業者等が当該製造物を引き渡した時期その他の当該製造物に係る事情を考慮して、当該製造物が通常有すぺき[エ]を欠いていることをいう。
(ア) | (イ) | (ウ) | (エ) | |
(1) | 製造物 | 欠陥 | 被害者 | 機能性 |
(2) | 設計物 | 欠陥 | 製造者 | 安全性 |
(3) | 製造物 | 欠陥 | 被害者 | 安全性 |
(4) | 設計物 | 破損 | 被害者 | 機能性 |
(5) | 製造物 | 破損 | 製造者 | 安全性 |
正解は3
「製造物責任法」ですから(ア)が製造物なのは当然です。保護するのが製造者ではなく被害者(被害を受けたユーザー)であることも常識感覚でわかります。この時点で(1)か(3)しか残りません。
あとは(エ)が「機能性」か「安全性」かですが、「生命、身体又は財産に係る被害」なのですから、安全に関するものであることは、これもPL法を知らなくても問題文から読み取れます。2問続けて大サービス問題です。
1-1-3 あるプラントにおいて、正常に稼働した場合の1日当たりの生産量は平均値μ=1,200kg、標準偏差σ=48kgの正規分布で表される母集団であることが過去のデータからわかっている。生産量をn=36日間計測したところ、1日当たりの生産量の平均値はx=1,176
kgであった。信頼水準95%で、このプラントが正常に稼働しているかどうかを統計学的に検定するための検討を行った。次の記述の中から、適切なものを選べ。なお、信頼水準95%に対する標準正規分布における両側信頼限界は1.96としてよい。
(1) |(x−μ)/σ2n|=|(1176−1200)/(482/36)|=0.375<1.96となるので、少なくとも95%の確率でプラントは正常に稼働している。
(2) |(x−μ)/σ|=|(1176−1200)/48|=0.5<1.96となるので、少なくとも95%の確率でプラントは正常に稼働している。
(3) |(x−μ)/(σ/n)|=|(1176−1200)/(48/36)|=18>1.96となるので、少なくとも95%の確率でプラントは正常に稼働していない。
(4) |(x−μ)/(σ/√n)|=|(1176−1200)/(48/√36)|=3>1.96となるので、少なくとも95%の確率でプラントは正常に稼働していない。
(5) 正常に稼働しているかどうか、統計学的に検定できない。
正解は4
これはもう知っているかどうかだけの問題です。高校数学レベルではありますが、社会人の多くは忘れているでしょう。
感覚的には、データ数が関係ないはずがないので(2)は間違い、データ数が多くなればなるほど精度が上がるのでエラーを許容しなくなる(計算結果が大きくなりやすくなる=分母が小さくなる)ので(1)は間違い、(5)は論外として(3)か(4)というところまでは絞り込めると思います。
1-1-4 工場で資材A、Bを用いて、製品X、Yを生産している。表に示すように製品Xを1kg生産するには資材A、Bはそれぞれ2kg,4kg必要で、製品Yを1kg生産するには資材A、Bはそれぞれ5kg、4kg必要であるとする。ただし、資材A、Bの使用量には上限があり、それぞれ20kg、30kgである。製品Xから得られる利益が600万円/kg、製品Yから得られる利益が900万円/kgのとき、全体の利益が最大となるようにX、Yの生産量を決定した。このときの利益として、正しいものを次の中から選べ。
製品X | 製品Y | 資材の使用上限 | |
資材A(kg) | 2 | 5 | 20 |
資材B(kg) | 4 | 4 | 30 |
利益(万円/kg) | 600 | 900 |
(1) 4,650万円 (2) 4,800万円 (3) 4,950万円 (4) 5,000万円 (5) 5,250万円
正解は4
こちらで解説している線形計画法のそのまんまという感じでの出題です。
資材の使用上限から、2X+5Y<20、4X+4Y<30となります。
これを満たす600X+900Yの最高値はX=35/6、Y=5/3の場合なので、600×35/6+900×5/3=5000となります。
右図の交点の座標を求めるわけですね。
臨時掲示板では、X、Yが整数でないとおかしいといったことから(2)が正解になるのではないかといった議論がなされ、最後は出題ミスではないかといった議論までされていたようですが、多くの人は「基礎科目は基礎理論を知っているかどうかを確認する科目である」ことの認識が足りず、実務感覚を引きずったまま考えているようです。
製品の生産単位が個ではなくkgですから、整数という制約がないことは明らかですし、「1kg生産するにはAが2kg、Bが4kg」と書いてあるだけですから、納入最小単位が1mgであってもおかしくありません。生産物はセメントとか肥料あるいは液体製品かもしれないわけで、それを1個2個といったように頭の中で限定してしまうと話がおかしくなります。このあたりが「学生の頭になる」ことができるかどうかです。「現場ではこうだ」などという話は通用しません。そんなことを聞いているのではなくて、基礎理論を知っているかどうかを聞いているのですから。
そもそも基礎科目ですから、出題意図は線形計画を知っているかどうかだけだと思われます。
1-1-5 ある工業製品の安全率をxとする(x>1)。この製品に損傷が生じる確率は1/(1+2x)であり、その際の経済的な損失額は125億円である。一方、材料費やその調達を含む製造コストは,10x億円である。この場合に製造にかかる総コスト(損失額と製造コストの合計)を最小にするには安全率xをいくらに設定したらよいか。次の中から正しいものを選べ。
。
(1) 2.00 (2) 2.25 (3) 2.50 (4) 2.75 (5) 3.00
正解は1
線形計画(コスト最小化)の問題です。こちらで解説しています。
損失見込み額は、損失額×損傷確率=125億円×1/(1+2x)=125/(1+2x)億円です。また製造コストは、10x億円です。
よって総コストは、125/(1+2x)+10x億円となります。
これに選択肢を当てはめ計算しますが、こういうときはまず両端を代入してみます。
(x=2.00の場合) 125/(1+2x)+10x=45
(x=3.00の場合) 125/(1+2x)+10x≒47.9
次に真ん中を代入します。
(x=2.50の場合) 125/(1+2x)+10x≒45.8
これで(1)か(2)であることが推定できます。
(x=2.25の場合) 125/(1+2x)+10x≒45.2
以上より、正解は(1)です。珍しく正解が端にありました。
※H20の設計・計画分野は、常識感覚で融けるサービス問題が2問、サイトの解説を読んで勉強していれば楽勝なのが2問ですので、余裕で3問全勝できる問題構成でした。
2群 情報・論理に関するもの (全5問題から3問題を選択解答)
1-2-1 ある新聞に書かれた文字数を数えたところ、1ページ当たり10,240字であることがわかった。この新聞の文字情報を25%に圧縮して格納することを考えるとき、容量が800Mバイトの記憶媒体には何ページ分を格納することができるか。最も近い値を次の中から選ぺ。ただし、すぺての文字は1文字当たり2バイトで表現され、改行コードなどは考慮しない。また、Mは1,024の2乗とする。
(1) 約1万ページ (2) 約4万ページ (3) 約8万ページ (4) 約16万ページ (5) 約32万ページ
正解は4
単位をそろえて計算すればすぐにできます。
1ページあたり10,240字×2バイト/字=20,480バイト
これを25%に圧縮するので、20,480×0.25=5,120バイト
容量800Mバイト=800×1,024×1,024バイト
よって、800×1,024×1,024÷5,120=163,840=約16万ページで、正解は(4)です。
ここで、800×1,024×1,024の計算は、小さな電卓だとここでオーバーになるかもしれません。このような場合は、たとえば先に1,024÷5,120=0.2として割り算部分を計算することで数字を小さくできます。
そして次に800×1,024×0.2=163,840と計算します。
1-2-2 基数変換に関する次の記述の、[ア]〜[ウ]に入る数値の組合せとして、(1) 〜(5) の中から正しいものを選べ。
10進数の0.4を小数部4桁の2進数で表せば[ア]となる(小数部5桁目以降は打ち切り)。この2進数[ア]を2倍した結果は[イ]となる。これを10進数に変換すると[ウ]となる。
(ア) | (イ) | (ウ) | |
(1) | 0.0111 | 0.1110 | 0.875 |
(2) | 0.0110 | 0.1100 | 0.75 |
(3) | 0.0111 | 0.1110 | 0.8 |
(4) | 0.0110 | 0.1100 | 0.8 |
(5) | 0.0110 | 0.1110 | 0.75 |
正解は2
10進法でも2進法でも何進法でも、小数点以下は「m進法における小数点以下n桁」=m-nの桁となります。10進法では0.1は10-1ですし、2進法の0.1は2-1です。したがって、たとえば選択肢(1)の0.0111は、2-2+2-3+2-4となりますし、もし0.0101だったら2-2+2-4となります。
また、10-1とは1/10のことですし、2-1は1/2のことです。つまり、m-n=1/mnです。
それを踏まえ、以下に解いてみます。
2-1=1/21=1/2=0.5
2-2=1/22=1/4=0.25
2-3=1/23=1/8=0.125
2-4=1-24=1/16=0.0625
2-1は0.4より大きいので、2-1の位は0が入ります。
2-2は0.4より小さいので、2-2の位に1が入ります。すると、0.4−0.25=0.15が余ります。
2-3は0.15より小さいので、2-3の位に1が入ります。すると、0.15−0.125=0.025が余ります。
2-4は0.025より小さいので、2-4の位には0が入ります。
以上により、0.4は0×2-1+1×2-2+1×2-3+0×2-4+・・・・となります。つまり、0.0110・・・・となりますので、アは0.0110になります。これで正解は(2)、(4)、(5)に絞り込まれます。
次にイはこれを2倍した数ですが、「2進数で2倍する」ということは、「10進数で10倍する」ことと同じです。つまり桁が一つあがることです。ですから、0.0110を全部1桁あげると、0.1100になります。これで正解は(2)か(4)に限定されます。
最後にウはこれを10進数に変換します。0.1100=0.1+0.01であり、「m進法における小数点以下n桁」=m-nの桁ですから、2-1+2-2となります。2-1=1/2=0.5、2-2=1/4=0.25ですから、合計して0.75となります。以上により、正解は(2)です。
1-2-3 下図は、ある地域の道路ネットワークである。点は交差点、辺は道路を示している。各辺に付された数字は、その道路をそれ以下の車高の車両が通過できる車高制限を示している。地点Aから地点Bに移動できる車両の最大車高は次のうちどれか。
(1) 2 (2) 3 (3) 4 (4) 5 (5) 6
正解は4
これはもうむずかしいことを言わないでなぞってみればいいでしょう。Bから逆に「大きいほうの数字」を選ぶようにして進んでみたほうがわかりやすいでしょう。
A⇒7⇒6⇒7⇒5⇒9⇒5⇒8⇒7⇒6⇒Bと通れば5mでも通過できます。
1-2-4 下図は、ある評価の判断基準を示している。この判断を表現している決定表はどれか。(1) 〜(5) の中から正しいものを選べ。ここで、決定夫の条件郎での“Y"は条件が真、“N"は条件が偽であることを表す。また、動作部での“X"は条件がすべて満たされたときその行で指定した動作を実行することを表し、“−"は動作を実行しないことを表す。
正解は4
単純に当てはめれば終わりです。
まず「出席8回未満で試験60点以上だったら評価B」でいきなり(1)と(4)に絞り込め、「出席8回未満で試験60点未満だったら評価C」で(4)に特定できます。
何かとんでもない勘違いをするか、図と表の対応を読み間違えない限り間違えようがない超サービス問題です。
1-2-5 インターネットのセキュリティに開する次の(A)〜(E)について、それぞれの正誤の組合せとして正しいものを(1) 〜(5) の中から選べ。
(A)www(World Wide Web)のページを閲覧するだけでは、コンピュータウイルスなどの不正プログラムに感染することはない。
(B)www上の匿名の電子掲示板への書き込みでは、ISP (Internet Service Provider)のログなどを用いても書き込みに使用したコンピュータが特定されることはない。
(C)wwwを使わず電子メールのみを送受信するコンピュー夕では、コンピュータウイルスなどの不正プログラムに感染する危険はないい
(D)wwwで1ページとして表示される内容は、必ず同一のコンピュータから送られている。
(E)wwwのページに会社のロゴが表示されていれば、その会社のwwwのページであると判断できる。
A | B | C | D | E | |
(1) | 誤 | 誤 | 誤 | 誤 | 誤 |
(2) | 正 | 正 | 誤 | 誤 | 誤 |
(3) | 誤 | 誤 | 誤 | 誤 | 正 |
(4) | 誤 | 誤 | 誤 | 正 | 誤 |
(5) | 誤 | 誤 | 正 | 誤 | 誤 |
正解は1
(A)・・・・× Javaなどで感染する。
(B)・・・・× IPアドレスなどの記録が残る。(厳密にはルータがそのつどIPアドレスを割り当てる場合、最後の桁が変化することもある)
(C)・・・・× 添付ファイルで感染する。
(D)・・・・× サーバが同じでもアップロードするPCは同一とは限らない。
(E)・・・・× そういうワナで釣ろうとする例がよくある。
3群 解析に関するもの (全5問題から3問題を選択解答)
1-3-1 二次元問題におけるひずみと変位の関係を示す次式の[ア]〜[エ]に入るものの組合せとして、最も適切なものを(1) 〜(5) の中から選べ。ただし、εx、εyは、x、y方向の垂直ひずみ、γxyはせん断ひずみ(ただし、工学ひずみ)、u、υは、y方向変位である。
(ア) | (イ) | (ウ) | (エ) | |
(1) | ∂υ/∂x | ∂u/∂y | ∂υ/∂x | ∂u/∂y |
(2) | ∂u/∂x | ∂υ/∂y | ∂2υ/∂x2 | ∂2u/∂y2 |
(3) | ∂υ/∂x | ∂u/∂y | ∂u/∂x | ∂υ/∂y |
(4) | ∂u/∂x | ∂υ/∂y | ∂υ/∂x | ∂u/∂y |
(5) | ∂u/∂x | ∂υ/∂y | ∂2u/∂x2 | ∂2υ/∂y2 |
正解は4
aokiさんより解説をいただきました。ありがとうございます。
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「ひずみ」の趣旨を理解していれば、解ける問題です。
「ひずみ」とは、変位Δlの、もとの長さlに対する比、です。(構造力学の教科書から抜粋)
平均変化率ですね。例えば、長さ1000cmで変位1cmであれば、ひずみ=平均変化率=変位/長さ=0.001ですね。
「平均変化率」も「ひずみ」でしょうが、「瞬間変化率」つまり「変位」を長さで「微分」すれば「ひずみ」になります。
(dy/dxについて)
「微分」とは、分かりやすい言葉でいえば「瞬間変化率」を求めることです。
例えば、長さ100cmで変位1cmであれば、平均変化率は0.01ですね。
「平均変化率」も「ひずみ」でしょうが、「瞬間変化率」のほうがよいですね。
これが微分の概念です。グラフ上では接線の勾配が「瞬間変化率」であり、微分の概念です。
y=f(x)のとき、dy/dxをy=f(x)の「導関数」といい、dy/dx=lim(h→0)〔f(x+h)−f(x)〕/hとなります。導関数を求めることを「微分する」といいます。
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1-3-2 導関数d2u/dx2の点xiにおける差分表現として、正しいものを次の中から選べ。ただし、添え字iは格子点を表すインデックス、格子幅をhとする。
(1) (1) (ui+1−ui)/h
(2) (ui+1+ui)/h
(3) (ui+1−2ui+ui-1)/h2
(4) (ui+1−2ui+ui-1)/2h
(5) (ui+1+2ui+ui-1)/h2
正解は3
(臨時掲示板より引用)
格子1つ分並んだ一階差分 (ui+1 - ui)/h と (ui - ui-1)/h の差分をとるので、
((ui+1 - ui)/h - (ui - ui-1)/h)/h = (ui+1 -2ui + ui-1)/h^2 となってB
1-3-3 ある線形弾性体にいかなる三軸応力を与えても弾性体の体積が変化しないとき、この弾性体のポアソン比はいくらか。次の中から正しいものを選べ。ただし、弾性体の変形は微小であり、ひずみの二次以上の項は無視できるものとする。
(1) 1/3 (2) 1/2 (3) √2/2 (4) √3/2 (5) 1
正解は2
(臨時掲示板より引用)
ε:ひずみ、σ:応力、E:ヤング係数、ν:ポアソン比、添え字:xyz方向とする。
各方向のひずみεx = εy = εz =0より。。。
εx= 0 ={σx - ν(σy + σz)}/E ・・・@
εy= 0 ={σy - ν(σz + σx)}/E ・・・A
εz= 0 ={σz - ν(σx + σy)}/E ・・・B
@ + A + Bより
{σx + σy + σz -ν(2σx + 2σy + 2σz )}/E = 0
⇔
(1 - 2ν)(σx + σy + σz)/E = 0
⇔
1 - 2ν = 0
⇔
ν = 1/2
1-3-4 変形しない材料でできたビンの入口に、ゴム栓が取り付けられた密封容器があり、内部には大気と同じ圧力と温度で100ccの空気が入っているものとする。また、それとは別に、空気が入っていない状態にしてある針付きの注射器を用意し、その針の部分をゴム栓に差し込み、ビン内部の空気を注射器内に100cc引き込んだところで、針をゴム栓から引き披いた。このとき、ビン内部の状態を表す(1)
〜(5) の記述のうち、正しいものを選べ。なお、一連の動作中に空気のもれはないものとし、ビン・ゴム栓・注射器と大気の間は断熱であるとする。また、注射器の針の中の空気の体積は微量であり無視してよい。
(1) ビン内は真空になっている。
(2) ビン内には、注射器を差し込む前のほぼ10%の質量の空気が残っている。
(3) ビン内には、注射器を差し込む前の半分の質量の空気が残っている。
(4) ビン内部の圧力は大気圧力のままである。
(5) ビン内部の温度は大気温度のままである。
正解は3
単純に考えればすぐわかるサービス問題です。
図の3番目の状態(針をさしたままでピストンを引いた状態)で、針穴で連結された注射器とビンの空間体積の合計は200ccになっています。
断熱なのですから、PV=nRTにおいて右辺は不変、左辺はVが2倍になりますからPが1/2になります。たとえばもともと1気圧だったら0.5気圧になります。
つまり、針をさしたままでピストンを引くことで体積を2倍に引き伸ばしたわけですね。ですから質量はもとの1/2になります。よって(3)が正解です。
※「正解は(1)ではないか?」という意見が臨時掲示板で出ていましたが、非科学的な直感議論はさておき、「真空は大気圧以下の密閉された状態とJISでは定義されてます」という情報を提供してくれた人がいらっしゃいました。これには「へえ、そうだったのか」と感心しました。そうすると厳密には「ビン内は絶対真空になっている」と選択肢に書かなければならなくなるわけですが、それは「(3)ではなく(1)をわざわざ選ぶ」理由にはなりません。「(1)も正しいじゃないか」と言えば言えなくもありませんが、そうするとPV=nRTを頭に思い浮かべず非科学的直感で(1)を選んだ人との区別がつきません。
1-3-5 3次元直交座標系(x,y,z)におけるベクトル
V=(Vx,Vy,Vz)=(x3,xy+yz+zx,z)
の点(2,1,1)での発散div V=∂Vx/∂x+∂Vy/∂y+∂Vz/∂zの値を次の中から選ぺ。
(1) (x2,x+z,1)
(2) (12,3,1)
(3) (12,2,1)
(4) 16
(5) 15
正解は4
(臨時掲示板のjinさんのレスを引用)
divV=3x^2+x+y+1
=12+3+1
=16
4群 材料・化学・バイオに関するもの (全5問題から3問題を選択解答)
1-4-1 次の各試薬の組合せの反応で発生する気体のうち、常温・常圧で、水に溶けにくい気体を発生する組合せはどれか。適切なものを選べ。ただし、試薬の右側の( )内の記述は反応の条件である。
(1) 塩化アンモニウム − 水酸化カルシウム(加熱)
(2) ギ酸 − 濃硫酸(加熱)
(3) 硫化鉄 − 希硫酸
(4) 銅 − 熱濃硫酸
(5) 炭酸カルシウム − 濃塩酸
正解は2
(1)はアンモニアが発生します。「アンモニウム」から想像できるでしょう。
(2)は一酸化炭素が発生します。
(3)は硫化水素が発生します。
(4)は二酸化硫黄が発生します。酸化還元反応になります。
(5)は二酸化炭素が発生します。小学校の実験でよくありましたね。
で、これらの中で水に溶けにくいのは一酸化炭素です。これを知っていないと何にもなりませんね。
1-4-2 次の各有機化合物のうち、同じ質量の化合物を完全燃焼させたとき、二酸化炭素の生成量が最大の化合物を選べ。ただし、分子式右側の( )内の数値は、その化合物の分子量である。
(1) メタンCH4 (16)
(2) メタノールCH3OH (32)
(3) エタンC2H6 (30)
(4) エチレンC2H4 (28)
(5) エタノールC2H5OH (46)
正解は4
(臨時掲示板より引用)
「同じ質量…」より各100g(例えば)として燃焼すると、二酸化炭素の発生量は、
(化学反応式略)
1 6.25モル
2 3.125モル
3 6.67モル
4 7.14モル
5 4.347モル
生成量だから、モル値でも比較でき、4を選びました。
1-4-3 材料の強度や破壊に関する次の(A)〜(C)の記述の、[ア]〜[エ]に入る語句の組合せとして、適切なものを(1) 〜(5) の中から選べ。
(A)結晶粒径が小さくなるほど、金属の降伏応力は[ア]なる。
(B)原子間の結合の強さから予想されるアルミナの理論強度は数十GPaに及ぶが、実際の焼結体の強度は[イ]の存在のため、それよりもはるかに小さい。
(C)破壊力学の進歩のきっかけとなったリバティ船の沈没、ジェット旅客機コメット号の墜落は、それぞれ溶接部の[ウ]、窓の角からの[エ]が原因とされている。
(ア) | (イ) | (ウ) | (エ) | |
(1) | 大きく | イオン結合 | 脆性破壊 | 絶縁破壊 |
(2) | 大きく | 欠陥 | 脆性破壊 | 疲労破壊 |
(3) | 大きく | 欠陥 | 延性破壊 | 絶縁破壊 |
(4) | 小さく | イオン結合 | 延性破壊 | 絶縁破壊 |
(5) | 小さく | 欠陥 | 延性破壊 | 疲労破壊 |
正解は2
リバティ船は「建造期間短縮のためにブロック工法を導入、船体の鋼板を結合する方法としてリベット打ちでなく溶接を採用したが、次々と沈没事故に見舞われた。徹底した調査により鋼板の低温脆性、溶接手法の不備、応力集中による破壊の進行が原因とされた。」、コメット号は「期運行就航後、程なくして、与圧された胴体の繰返し変形による金属疲労が原因の空中分解事故を起こしたが、そこで得られた教訓がその後の航空技術、就中安全向上に果たした役割もまた非常に大きい。」とあります。
1-4-4 金属中の自由電子に関する次の記述のうち、最も不適切なものを選べ。
(1) 金属中の原子の価電子の一部又はすべては、自由電子として本来一つの原子に所属するはずの電子がそれを離れて原子(陽イオン)間を動き回っている。
(2) 高温下では自由電子の運動が激しくなるので、金属の電気伝導率は高温になるほど高くなる。
(3) 金属光沢は、金属表面付近の自由電子、金属イオン、価電子などと光との相互作用によって生じる。
(4) 純粋な金具の熱伝導では、フォノンよりも自由電子による寄与分か支配的なので、ほとんどのセラミックスよりも純粋な金属の方が高い熱伝導率を有する。
(5) 金属の塑性は、自由電子が存在するために原子の移動が比較的容易で、また移動後も結合が切れないことによるものである。
正解は2
金属は原子が格子構造を作って並んでおり、その間を電子が飛び回っています(自由電子)。この自由電子が不透明・光沢・展性・高い電気伝導度といった金属特有の性質を生み出しています。温度が上がると格子の振動が大きくなっていき、自由電子が動きにくくなってきます。すなわち伝導度が下がり、抵抗が大きくなります。
1-4-5 生物の共生に関する次の記述の、[ア]〜[ウ]に入る語句の組合せとして、適切なものを(1) 〜(5) の中から選べ。
ハオリムシは通称チューブワームと呼ばれ、火山ガスが噴出する海底の熱水噴出域や冷水、温水湧出域の周辺に群生している。ハオリムシの体内の栄養体と呼ばれる組織の中には硫黄酸化細菌(通称、硫黄細菌)が共生している。ハオリムシは、水中の酸素及び火山ガス中の[ア]をえらから取り込み、血液中に含まれる[イ]によってこれらを体内へ運ぶ。一方、ハオリムシの栄養体にいる硫黄酸化細菌は、運ばれてきた[ア]を酸化して得たエネルギーで[ウ]を合成し、これをハオリムシが利用する。
(ア) | (イ) | (ウ) | |
(1) | 硫化水素 | アルブミン | 栄養塩 |
(2) | 硫化水素 | フィブリノーゲン | 有機物 |
(3) | アンモニア | ヘモグロビン | 栄養塩 |
(4) | アンモニア | アルブミン | 栄養塩 |
(5) | 硫化水素 | ヘモグロビン | 有機物 |
正解は5
もう20年以上前に次々と発見されて注目されましたね。「ブラックスモーカー」という言葉が強烈に印象に残っています。
(ア)ですが、「火山ガス」といえば硫化水素です。箱根の大涌谷や北海道の硫黄山など有名ですね。まあその前に硫黄うんぬんと書いてあるのですぐに想像できると思います。
(イ)は、アルブミンは血液中のタンパク質の主要成分で、浸透圧維持等の役割を担っています。というか、「血液」「運搬」といえばヘモグロビンですよね。ちなみにヘモグロビンの鉄が血液の赤色の元です。タコやイカでは鉄ではなく銅になっていて(ヘモシアニン)、血液は青色になります。
(ウ)は有機物ですが、知らなくても(ア)と(イ)で選択肢(5)に絞り込めます。
「こんなこと知っていなくちゃならないのか」といった意見も臨時掲示板ではあったようですが、こういった非常に特異な硫黄循環酸化還元という環境で生息している生物の研究は重要です。科学技術全般に広く興味を持っているか、自分が仕事をこなすのに必要な範囲の知識しか持とうとしないかの違いは大きなものです。
(臨時掲示板より引用)
ハオリムシはエラから酸素や火山ガスに含まれる硫化水素などの硫黄分を取り込み、体内へと運ぶ。トロフォソーム部の化学合成細菌が硫黄や酸素から有機物をつくりハオリムシが利用する。
5群 技術連関 (全5問題から3問題を選択解答)
1-5-1 我が国で稼働している典型的な、(ア)原子力発電所、(イ)太陽光発電所、(ウ)風力発電所の発電容量(定格出力)当たりの年間発電電力量の比率、すなわち、設備利用率について、最も適切なものを選べ。ただし原子力発電所のデータは、近年の原子力発電所の定期検査長期化の影響を除去するため、平成9年度から13年度の稼働実績に基づくものとする。
ア イ ウ
(1) 0.80 : 0.40 : 0.60
(2) 0.60 : 0.20 : 0.10
(3) 0.60 : 0.50 : 0.50
(4) 0.80 : 0.12 : 0.20
(5) 0.80 : 0.01 : 0.05
正解は4
これを発電シェアと勘違いすると(5)になります。(といっても原子力が80%のはずがないので、そこで「おかしい」と思わないといけませんが)
つまりは、「どの程度稼動しているか」みたいなものです。
あとは知識問題みたいなものですが、風力>太陽光であろうことは感覚的にわかると思いますし、風力が平均してフル出力の6割をキープしているというのも変ですから、だいたい感覚で絞り込めるのではないかと思います。
問題文をしっかり理解できるかどうかが第一歩ですね。
1-5-2 我が国の再生可能エネルギー普及支援策として、正しいものを次の中から選べ。
(1) 太陽光発電はクリーンな電源であるため、法律によりその余剰電力の買取りが保証されている。
(2) すべての地熱発電は、「電気事業者による新エネルギー等の利用に関する特別措置法」(通称RPS法)の対象電源である。
(3) 家庭から出るごみは、廃棄物発電によりエネルギーを回収できるため、そのすぺての発電電力量がRPS法により環境価値(新エネルギー等電気相当量)として認められている。
(4) 廃プラスチックによる発電は,RPS法の対象電源である。
(5) 事業用の大規模な風力発電施設の建設に際し、経費の一部が公的に補助される制度がある。
正解は5
「電気事業者による新エネルギー等の利用に関する特別措置法」(RPS法)についての問題です。
(1)・・・・× 保証はされていません。あくまで電力会社の判断に委ねられています。
(2)・・・・× 全ての地熱発電が対象ではありません。
(3)・・・・× これも全てではありません。
(4)・・・・× 違います。
(5)・・・・○ その通り。
1-5-3 近年の日本の廃棄物等の処理・再資源化の状況に関する次の記述のうち、最も不適切なものを選べ。
(1) 容器包装などの廃プラスチックは、コークス炉化学原料や高炉還元剤としてもリサイクルされている。
(2) 発電設備を有する都市ごみの焼却施設の平均的な発電端効率は、低位発熱量ベースで10%を超える程度である。
(3) 一般廃棄物の最終処分場(埋立処分場)の全国の平均残余年数(埋立残余容量を年間埋立容量で除した年数)は50年以上ある。
(4) セメント製造施設では、セメント製造業全体の平均で1tのセメント製造当たり400kg程度の廃棄物や他産業の副産物を利用している。
(5) 廃棄物を千数百度の高温下で溶融処理した際に生成した溶融スラグは、道路用材やコンクリート骨材などに利用されている。
正解は3
平均残余年数は15年くらいです。
1-5-4 環境管理に関する次の(A)〜(D)の用語の一般的な説明について、それぞれの正誤の組合せとして適切なものを(1) 〜(5) の中から選べ。
(A)環境監査とは、事業活動において環境保全のために投資した経費が、税法上適切に処理されているかどうかについて、公認会計士が監査することをいう。
(B)汚染者負担の原則は、公害防止のために必要な対策をとったり、汚された環境を元に戻したりするための費用は、汚染物質を出している者が負担すべきという考え方である。
(C)拡大生産者責任は、生産者が製品の生産・使用段階だけでなく、廃棄・リサイクル段階まで責任を負うという考え方であり、OECD(経済協力開発機構)が提唱した。
(D)PDCAサイクルは、Plan(計画)、Do(実施)、Check(点検)、Action (是正)を意味し、品質向上のためのシステム的考え方となる。ISO9000sにおける環境マネジメントシステムの規格にも採用された。
A | B | C | D | |
(1) | 正 | 正 | 誤 | 誤 |
(2) | 正 | 正 | 誤 | 正 |
(3) | 誤 | 誤 | 正 | 正 |
(4) | 誤 | 正 | 正 | 誤 |
(5) | 誤 | 正 | 誤 | 誤 |
正解は4
(A)・・・・× 経費ではなく、事業活動に伴う環境への影響を抑制する取り組みの適切性をチェックすることです。
(B)・・・・○ その通り。
(C)・・・・○ その通り。
(D)・・・・× 環境マネジメントシステム規格はISO14000です。
1-5-5 品質管理の分野でQC七つ道具、新QC七つ道具のように称される基本的なツールに関する次の(ア)〜(エ)の記述に対応する語句の組合せとして、適切なものを(1)
〜(5) の中から選べ
(ア)特性とその要因と考えられるものが測定されている場合に、一方のデータを機軸、もう一方のデータを統軸にとって作成された二次元の図のこと。
(イ)問題点は何かを明確にするためにブレーンストーミングで議論を発散させ、それらを組み立てて整理統合し、絡み合った問題からの真の問題の抽出や、問題に対するアイデアの取得を行う方法のこと。
(ウ)目的と手段、問題と要因、現象とその要因などを行と列の二次元に整理して、相互の関連を見たり、抜けやもれのチエックに用いたりする手法のこと。
(エ)問題とする事象(結果)に対して、要因が複雑に絡み合っている場合に、要因間の因果関係を論理的につなぎ、図示することによって、要因相互の関係を明らかにし、解決の糸口を見つけ出そうとする手法のこと。
(ア) | (イ) | (ウ) | (エ) | |
(1) | パレート図 | 親和図法 | マトリックス図法 | PDPC法 |
(2) | 特性要因図 | PDPC法 | パレート図 | 連関図法 |
(3) | 散布図 | マトリックス図法 | 親和図法 | PDPC法 |
(4) | 散布図 | 親和図法 | マトリックス図法 | 連関図法 |
(5) | チェックシート | マトリックス図法 | PDPC法 | 親和図法 |
正解は4
(ア)難しい表現になっていますが、よく使う散布図ですね。
(イ)ワークショップで有効です。
(ウ)これも実務でよく使うはずです。
(エ)これも似たような図をよく使います。
(臨時掲示板より引用)
散布図:対になった2つの特性値を縦軸・横軸にとって、1組ずつデータを打点したもの
親和図:事実やアイデアを言語データとしてとらえ、それら相互で似かよったものを統合し、図解化したもので解決すべき問題の形態や所在を明らかにする
連関図:複雑に絡み合った要因の因果関係を明らかにする。よって原因を追求したり課題の構造を図解化することにより解決すべき問題の形態や所在を明らかにする
QCストーリーと活用手法の新展開(日科技連)より