これまでの一次試験専門科目でよく出題されていた土質特性(物理特性・圧密特性)についてまとめた資料です。
一般特性
土→土粒子と間隙から成る。
土粒子は岩片、鉱物片、有機物や貝殻・・・・から成る。
間隙は、空気と水で充填されている(飽和土では水100%)。
右図において、
空気の質量Ma=0
水の質量 Mw=Vw×水の密度ρw(≒1.0)
土の質量 Ms=Vs×土粒子密度ρs
- 土粒子の密度 ρs(g/cm3)
土粒子そのものの密度
ρs=Ms/Vs 普通の土ではρs≒2.65g/cm3
ρsから、土の材料がわかる
ρsが高い→土の粒子が重い→苦鉄質鉱物や重鉱物が多い→塩基性岩起源
ρsが低い→土の粒子が軽い→有機物や珪長質鉱物が多い
- 含水比 Wn(%)
自然含水比
Wn=Mw/Ms×100[%]
含水比と他の特性を合わせて、いろいろなことがわかる→間隙比・単位体積重量・圧縮指数・qu・・・・
一般に粘土のWn>砂のWn→粘土は間隙が多い(小さい間隙がいっぱいある)
- 湿潤密度 ρt(g/cm3)
全体(土粒子+水+空気)の密度
ρt=M/V
飽和土に限り、ρt={ρs*(1+Wn/100)/(1+ρs*Wn/100)}
飽和土なら、ρsとWnからρt、γtが換算できる
ρs=Ms/Vs、Wn/100=Mw/Ms
よって、ρs×(1+Wn/100)=Ms/Vs×(1+Mw/Ms)=Ms/Vs+MsMw/VsMs
=Ms/Vs+Mw/Vs=(Ms+Mw)/Vs=M/Vs
1+ρs×Wn/100=1+Ms/Vs×Mw/Ms=1+MsMw/VsMs=1+Mw/Vs
ここで水の密度は1.0なので、Mw=Vw
よって、1+Mw/Vs=1+Vw/Vs
ρt=ρs*(1+Wn/100)/(1+ρs*Wn/100)=M/Vs/(1+Vw/Vs)
Vs/Vsを乗じれば、M/(Vs+Vw)=M/V=ρt
単位体積重量γt=ρt×g(≒9.8m/sec2)
飽和土ならγtsat=ρt×g、γt’=γtsat−γw(=g)
γt=γt’+9(道示の「γt’=γt−9」という記載を逆読みする)
不飽和土ならγt=ρt×g、γt’=γt−9
- 乾燥密度 ρd(g/cm3)
水を抜いたときの全体の密度
ρd=Ms/V
- 間隙比 e (比なので無単位)
間隙部分と土粒子部分の体積比(全体の中に占める間隙の割合ではない。それは間隙率)
e=(Va+Vw)/Vs
飽和土に限り、e=Wn×ρs/100 ←覚えておくと便利
飽和土なら、ρsとWnからeが換算できる
ρs=Ms/Vs、Wn=Mw/Ms*100
ここで水の密度は1.0なので、Mw=Vw、よってWn=Vw/Ms*100
よって、Wn×ρs/100=Vw/Ms*100×Ms/Vs/100=Vw/Vs=e
- 間隙率 n(%) 間隙比との違いに注意!
全体の何%が間隙であるか
n=(Va+Vw)/V×100[%]
- 飽和度 Sr(%)
間隙の何%が水で満たされているか
Sr=Vw/(Va+Vw)×100[%]
地下水位以深では普通100%・・・・100%超→試験誤差なのでモデル検討では100%とする
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コンシステンシー特性
- 土の状態、WL、Wp
(含水小) |
← → |
(含水大) |
(乾きすぎ) |
← → |
(湿りすぎ) |
半固体 |
塑性状態 |
液性状態 |
半固体 〜塑性状態の境界含水比・・・・塑性限界Wp(%)
塑性状態〜液性状態の境界含水比・・・・液性限界WL(%)
あまり乾きすぎると・・・・外力が加わると変形せずにこわれる(もろい) Wn<Wp
あまり湿りすぎると・・・・土が液状となる。トロトロで自立しない Wn>WL
WL>Wn>Wpの状態が良い(塑性状態である)
WLが大きい土→圧縮性が高い(WLと圧縮指数Ccの間に正の相関)
WLから圧縮指数Ccを出す経験式あり・・・・Cc=0.009(WL−10)
- 塑性指数Ip
土が塑性状態である範囲の広さ・・・・大きいと粘性増加
Ip=WL−Wp
Ipから力学特性にかかわることもわかる・・・・cu/p、φ’など
- コンシステンシー指数Ic
Ic=(WL−Wn)/(WL−Wp)=(WL−Wn)/Ip
土の安定の程度
Ic>1→Wn<Wp・・・・安定→半固体、乾きすぎてボロボロこわれる
Ic<1で1に近い→WL>Wn>>Wp・・・・やや不安定→通常はこの状態で施工しやすい
Ic≒0→WL≒Wn・・・・液状となりやすい→鋭敏な状態
Ic<0→Wn>WL・・・・すでに液状となっているはず→わずかの刺激で一気に液状となる(クイッククレイ)
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圧密特性
- 圧密とは?
土が静的に締め固められる作用→間隙比が減少→間隙の水・空気が排出される(圧密排水)
@ 体積が収縮する→沈下(圧密沈下)
A せん断強度が増加する→圧密強度増加
- 圧縮指数Cc
沈下する度合いを示す定数
圧力増加Pのに伴う間隙比eの減少を、e=a・logP+bなる一次式にした場合の、
傾きa(マイナス記号を取る)
→圧力に対する間隙比の減少割合
→大きいとよく縮む
Cc=(e0−e1)/(P1−P0)=−(e0−e1)/(P0−P1)・・・・右図の傾き
- 圧密降伏応力pc
沈下が始まる圧力
荷重を徐々に増加させた場合・・・・あるところまでは縮まない
→あるところからCcの割合で縮む
→この境界の圧力Pがpc
→最大履歴荷重(かつてかかった最大のP)
土は塑性体なので、一度圧密するとPが減っても戻らない(と考える)
pc=現土被り圧po・・・・正規圧密→少しでもPが増えると圧密を始める
pc>現土被り圧po・・・・過圧密→P>pcとなるまで圧密しない(余裕がある)
正規圧密と過圧密の理解を問う問題が多く出ています!
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実際の土→Pが減ると周囲の水を吸って若干膨張する→再度Pが増えると戻った分だけ少し縮む・・・・載荷盛土工法におけるリバウンド
P<po・・・・沈下しない
po<P<pc・・・・若干沈下する →過圧密領域
pc<P・・・・Ccの割合で沈下する→正規圧密領域
建築基礎構造設計指針では、過圧密領域のCcをCrとし、Cr=0.114Ccとしている |
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- 体積圧縮係数mv
荷重増加あたりの体積の収縮する割合(cm3/kN)
- 圧密係数Cv
圧密排水のスピード(cm2/day) 沖積粘性土やや低めの代表値200くらい
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粘着力と内部摩擦角
- 内部摩擦角φ
土のせん断強度→基本的には内部摩擦角φ
机の上に物体を置いた状態(右図)で、物体と机の全体を土塊に例える
物体と机の面の間に摩擦力が働く |
→摩擦力→せん断強度τ |
これを上回る力で引っ張ると物体が動く |
→土が破壊した状態(せん断破壊)に相当 |
机の表面がザラザラしていたほうが動きにくい |
→ザラザラの度合いが内部摩擦角φに相当 |
物体が重いほど物体は動きにくくなる |
→上載圧・土被り圧に相当→τは重さσに比例する |
τ=σtanφ → φ=45°でτ=σ → τ>σにはなり得ない
∴φは45度以上にはなり得ない
砂時計のようなきれいな砂やパチンコ玉などは安息角≒φ |
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圧密理論では、せん断強度は土粒子間の摩擦力(真の内務摩擦角φ)によってのみ構成される
τがφのみによって構成されるということは・・・・
切片がゼロ、傾きtanφ(φ°)の一次式・・・・σ=0だとτ=0×tanφ=0
→土被りがないと、せん断力はゼロ →支持力もゼロ →海底の浮遊ヘドロの状態 |
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- 粘着力は膠着力
もし机と物体の間にノリをつけたら・・・・
物体の重さに関係なく(重さゼロでも)発生するτが出てくる→粘着力c
→ 真の粘着力 → 岩盤や洪積層の膠着力(固結力)
圧密理論では、膠着力は見込まない
膠着力の中身→イオン結合、晶出物質など→続成作用の中で生成
膠着力が見込める土では、τ=c+σtanφ
正比例の一次式(σに比例してτ増大)
φは傾き、cは切片で、φやcが大きいほどτ大きくなる
以上は、すべての土粒子に共通 |
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粘土も砂も、膠着がなければ τ=σtanφ(c=0)
粘土も砂も、膠着があれば τ=c+σtanφ
「粘土のせん断力は粘着力、砂のせん断力は内部摩擦角」というのは間違い
「真のせん断力は、粘土でも砂でも内部摩擦角で、膠着があれば粘着力も加わる」
「見掛けのせん断力は、粘土では粘着力、砂では内部摩擦角として現れる」
●真の粘着力c・・・・・・・・上載圧に関係なく、一定なせん断強度
*膠着による力
*まったく固結していない土ではゼロ
●真の内部摩擦角φ・・・・上載圧に比例して変化するせん断強度
*土粒子間の摩擦による力
*どんな土にもある(max45°) |
- 全応力と有効応力
水を含んだスポンジをつぶすと、水が出て、スポンジがつぶれる→圧密排水
スポンジをラップで完全にくるむ→力を加えてもつぶれない、反力を感じる→水圧が反力として力を押し返している→間隙水圧
ラップなしの場合・・・・
力を加える→間隙水圧上昇→排水→かけた力がそのままスポンジ内部に伝わる→すぐに排水できる土→透水係数が高い→砂、礫
ラップありの場合・・・・
力を加える→間隙水圧上昇→排水できない→押し返す→かけた力が押し返され、スポンジ内部に伝わっていない→排水の遅い土→透水係数が低い→粘性土
土にかけた全部の力F1→全応力
間隙水圧ではね返された分F2を差し引いた、土粒子に有効に働いた力F3→有効応力
10の力を土にかけても、間隙水圧で戻される分があるので、実際に土粒子には10の力はかかっていない
- 見掛けのせん断強度
排水の良い土なら・・・・
上載圧σ1をかける→τ1=σ1・tanφだけのせん断強度が得られる
もっと大きいσ2→τ2=σ2・tanφだけの、もっと大きいせん断強度が得られる
間隙水圧が発生するが、排水に伴って直ちに消散→全応力=有効応力となる
排水の悪い土なら・・・・
σ1をかける→間隙水圧u1が発生→σ1−u1しか有効に伝わらない
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@ σ1 の力を加えるが、u1 戻されてτ0 の力になった
A σ2 〃u2 〃〃
B σ3 〃u3 〃〃 |
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σ1 の力を加えても、σ2 の力を加えても、σ3 の力を加えても、τ=τ0 でまったく変化しないように見える |
切片=τ、傾きゼロの関係に見える→ |
切片=粘着力→c=τ0 τ=c(φ=0) |
傾き=tanφ=0→φ=0 |
このc,φを、見掛けの粘着力、見掛けの内部摩擦角という
土の強度 |
@土粒子同士が膠着している(続成) |
真のc |
A土粒子がしまっている (圧密) |
●排水良 |
真のφ |
●排水難 |
見掛けのc |
見掛けのφ |
- 三軸圧縮試験
いろいろな試験方法とせん断特性の関係がよく出ます。
UU(非圧密非排水)・・・・粘性土の見かけの強度(短期強度)。全応力測定。
CU(圧密非排水)・・・・粘性土の圧密強度増加を見込む。全応力測定。
C'U'(実際は「CU」に上線:間隙水圧を測定する圧密非排水)・・・・間隙水圧も測定するため有効応力の測定が可能。
CD(圧密排水)・・・・砂質土の強度を測定するのに適している。有効応力測定。
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