最終更新:2023.08.30
- 問題4-2は平成16年度から新設された問題で、受験部門に関する専門技術知識を問う4択問題が30問出題され、その中から10問を選択解答します。
- 試験時間は問題3・問題4-1とともに試験Bの130分です(試験Bの中で各問題を行ったり来たりすることはできるようです)。従来は問題2も合わせて3時間35分(215分)だったものが、問題2を除いただけで130分になったのですから、著しく時間が短くなったといえます。
- 配点ウェイトは問題4全体で推定20%(1問平均2/3点相当、あるいは問題4-1は1問0.5点、問題4-2は1問1点)です。なお、これまでの合格者情報からみると、問題4-1と問題4-2をまとめて正解率50%であることが科目別ボーダーになっているようです。つまり、どちらか一方が悪くてももう一方でカバーできるということです。
出題内容は当該部門に関する専門知識を問いますが、難度は高くなく、長年にわたりその分野の実務に携わってきた技術者であれば、50%正解できないことはまずない程度のレベルです。
つまり、
●問題4-1と4-2で互いに補い合える配点になっている
●出題内容は専門分野の基礎的知識である
という問題であり、さらに30問中10問選択解答すればよいため、極論すれば30問中7問だけ確実に正解できれば7割とれます。
したがって本来ならばここで得点を稼ぎ、もし問題4-1の得点が芳しくなくてもここでカバーすることができるはずなのですが、逆にこの問題がネックになって合格ラインに達せず涙を呑む受験生がかなりいらっしゃるのも確かです。
このような方には次のような傾向があることが多いようです。
- 経験則とマニュアル追随で仕事をこなし、基礎理論・基礎知識の勉強が不十分であるため、応用が利かない。
- 知識範囲が専門分野のごく狭い範囲に限定されているため、部門全体で得点できない。
問題4-2が意外な鬼門となっている受験生は少なくないようですが、そういう方はどのように対策を講じればいいでしょうか。
結論から言えば、インスタント特効薬はありません。出題傾向を分析し、頻出問題・分野に重点を置いた試験勉強をすることで多少得点アップは期待できますが、専門技術力の基礎の薄さや狭さがあるならば、その厚みや広がりを増すようにしたほうが、長い目で見れば有効であると思います。そしてそれは地力をつけるということでもありますから、実務や技術士などの上位資格取得にも役立ちます。
なお、出題数が30問あり、1/3を選択解答すればいいので、多少知識の幅が狭い人でも得点しやすくなっているはずです。何と言っても50%得点なら30問中5問、70%得点でも30問中7問正解すればいいのですから。
こういった視点で以下の3点を提案させていただきます。
1.過去問題を活用して「ぼんやり覚える」
過去問題と同じ問題が引用されるかどうかは部門によってかなり異なっています。2019(令和元)年度試験では、たとえば河川砂防部門は過去問題引用はあまりなかったようですが、都市計画部門や鋼コン部門は半分程度、道路部門や農業土木部門、土質基礎部門は30問中20問ほど、さらに施工計画部門にいたっては後半15問はすべて過去問題の引用問題というように、部門によってはかなり過去問題の引用問題が多くなっています。また過去問題の引用が少ない部門も、ジャンルとしてはある程度一定していて、「こういうことについて問われる」という内容の把握は過去問題が参考になるようです。
そこでまず過去問題の活用を考えてみましょう。過去問題は私のHPにも掲載してあります。
過去問題を見ると、ほとんどは以下の3つのパターンのいずれかのようです。
- 4つの選択肢がそれぞれ短文で、4つのうち1つが誤っている「誤っているもの探し」の問題
- 4つの選択肢がそれぞれ短文で、4つのうち3つが誤っている「正しいもの探し」の問題。あるいは正しい組み合わせ問題
- 計算問題等で、正しい数値を答える問題
そこで、誤った選択肢を正しい内容に修正して、「全選択肢正解」にします。a)は誤ったもの1つを修正しますし、b)は誤った選択肢全部を修正します。組み合わせ問題では正しい文章1つだけを作ります。c)は対象外です。
さらに、統計情報その他、数字や名称が陳腐化しているものはこれを最新の情報に更新します。
以上の作業で、「書いてあることは全て正しい」短文集みたいなものができました。
あとはこれを「ぼんやり覚える」ようにします。丸暗記ではありません。読み物として読んで「ふーん、そうなんだ」程度の浅い理解でぼんやり覚えます。なお、出題テーマ・分野ごとにまとめておくとさらに頭に入りやすくなります。
この作業の狙いは、「読んだことある」「確かそんな話だ」という知識を増やすことにあります。そうすることで、「2択か3択までは絞り込めるが、最後の1つに絞り込めない」ことが減ります。
択一問題は「正確に知っている」必要はないのです。
なお、別途提供しているオンライン練習問題や「100本ノック」はトレーニングに好適です。特に100本ノックは、スマホやタブレットを使って隙間時間にトレーニングできるので効果が高いと期待できます。残念ながら主要部門しか用意できていませんが、これらのツールがある部門の方はぜひご活用ください。
2.基礎知識の体系的整理
各専門分野における技術指針・設計基準、ハンドブック類などをテキストにして、実務を通じて蓄えたノウハウやスキルを、体系的に整理された知識として整理します。
技術指針・設計基準とは、たとえば河川砂防における「河川砂防技術基準(案)・同解説」、港湾における「港湾の施設の技術上の基準・同解説」などです。またハンドブック類とは、土質及び基礎における「土質工学ハンドブック」など実用技術の基礎理論などを解説した文献類です。
これらを持たずにコンサル実務ができるわけがありませんので、持っていない方はおられないと思いますが、万一持っておられない方はぜひ購入してください。
これらをテキストにして、後述の出題傾向をもとに出題されそうな範囲を決めて、腰を落ち着けて理解しながらしっかり読んでいきます。最初はとっつきにくいかもしれませんが、理解できないところを調べて少しずつ読み進むとか、理解できるところを拾い読みしつつ徐々に全体を埋めていくと、実務を通して身につけたノウハウ・スキルあるいは業務経験とつながり始め、理解が深まっていくはずです。
仕事が忙しい中大変ではありますが、初心者が勉強するのではなく、実務経験豊かな技術者なのですから、それほど時間はかからないはずです。テキストや式で表されたもの(形式知)と、自分の中に蓄えられたもの(暗黙知)をリンクすることができるようになれば、一気に知識や経験が体系的に整理されていく楽しさが味わえると思います。
3.類似試験資料の活用
問題4-2の出題内容は、部門によって多少違いますが、一級土木施工管理技士試験、技術士第一次試験専門科目などと重なる部分がかなり多くあるように思います。
そこで、これらの受験対策資料を使った勉強が考えられます。具体的には試験対策本やホームページを活用して勉強するとともに、実力診断のため、過去問題・練習問題・模擬試験などを解きます。
1.最初に全体を見渡して選ぶ問題10問を決める。
1問目から愚直に解いていったりせず、まずは全体を見渡して、解けそうな10問を選ぶ。部門によっては何問目にどんな分野が出るかが決まっていたりするので、過去問題などでよく調べる。
2.問題を選んだら、時間をかけずにどんどん答えて、わからなければ早めにあきらめる。
とにかくどんどん答えていく。わからない問題で長時間立ち止まらない。わからないと思ったら他の問題で答えることにして早めにあきらめる。選択肢を何度も見直して悩んでいると、アツくなって思考がヘンな方向に行き、間違った答えに直してしまうことのほうが多いので、どこかで思い切ってスパッと切る。
腕時計もロッカーに預けるので、時間管理は画面上の残り時間のみ。問題3・問題4-1も含めてどのくらいの時間でどのていどの問題数が解けるかを把握しておく必要あり。
3.「誤りはどれ?」と「正しいのはどれ?」を間違えないこと。
最初にそのことだけで問題を分類し、ノートボードにメモしたり、誤り探しだけまとめて解くなどするとよい。
4.誤りはどれ?問題の特徴
- 「~しなくてもよい」といった「責任逃れ」「怠け」的なものがアヤシイ。
- 「~のみ」、「~しかない」といった断定的・限定的なものがアヤシイ。
- 届出先・申請先にワナがある。大臣・知事・その他を入れ替えてある。
- 数値にワナがあるものは、一番国交省が関心のなさそうな事項がアヤシイ。
5.正しいのはどれ?問題の特徴
- 一番まじめで誠実そうなことが書いてあるのが正しいことが多い。
- 一番役所風の文章(きれいな言葉がちりばめてある)のがアヤシイ。
- 一番短い文・一番長い文がアヤシイ。