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問題3:選択記述 |
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最終更新:2023.08.30 |
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1.問題の内容
- 業務計画(プロポーザル含む)・技術向上への取組み・品質確保・コスト縮減等の社会ニーズといったものへの意識と対応、管理能力が問われます。
- 試験時間は問題4-1・問題4-2とともに試験Bの130分です(試験Bの中で各問題を行ったり来たりすることはできます)。従来は問題2も合わせて3時間35分(215分)だったものが、問題2を除いただけで130分になったのですから、著しく時間が短くなったといえます。
- 1,600字以内の記述問題
- ウェイト:推定20〜30%
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2.出題内容
公表済み問題は6問で、以下のとおりです。
(1)担い手確保と働き方改革
設問@、Aについて、1200〜1600 字の間で記述しなさい。次の7つの用語「デジタルトランスフォーメーション(DX)」「処遇」「長時間労働」「就業環境」「生産性向上」「ワークライフバランス(WLB)」「ダイバーシティ」の中から4つ以上を用いて記述しなさい。記述文中で用いた用語は「
」で囲んで記述すること。
用語は@、Aの全体を通して(「@のみ」「Aのみ」「@、A併せて」のいずれも可)、4つ以上を用いていればよい。
@建設コンサルタントの担い手確保・育成の課題
A建設コンサルタントの働き方改革のあり方
※2022年度の(1)がキーワードまで含めて全く同じ問題です。
(2)カーボンニュートラルの実現に向けて
設問@、Aについて、1200〜1600 字の間で記述しなさい。次の7 つの用語「地球温暖化」、「再生可能エネルギー」、「グリーン成長戦略」、「イノベーション」、「グリーン社会」、「デジタルトランスフォーメーション(DX)」、「働き方改革」の中から4
つ以上を用いて記述しなさい。記述文中で用いた用語は「 」で囲んで記述すること。
用語は@、Aの全体を通して(「@のみ」「Aのみ」「@、A併せて」のいずれも可)、4 つ以上を用いていればよい。
@カーボンニュートラルの現状と課題
Aカーボンニュートラルの実現に向けての対応のあり方
※2022年度の(2)がキーワードまで含めて全く同じ問題です。
(3)BIM/CIMの適用
設問@、Aについて、1200〜1600 字の間で記述しなさい。次の8つの用語「3次元モデル」「電子納品」「BIM/CIMの活用目的」「生産性向上」「フロントローディング」「デジタルトランスフォーメーション(DX)」「データ連携」及び「プロセス改革」のなかから 4つ以上を用いて記述しなさい。記述文中で用いた用語は「 」で囲んで記述すること。
用語は@、Aの全体を通して(「@のみ」「Aのみ」「@、A併せて」のいずれも可)、4つ以上を用いていればよい。
@BIM/CIMの適用により期待される効果
ABIM/CIMの適用にむけて克服すべき課題
※類似の過去問題はありません。
(4)近年の自然災害の激甚化に対する今後の国土づくり
設問@、Aについて、1200〜1600字の間で記述しなさい。次の8つの用語「気候変動」「インフラ老朽化」「一極集中」「国民生活・社会経済活動」「国土強靭化」「ハード対策」「ソフト対策」及び「防災・減災」の中から4つ以上を用いて記述しなさい。用いた用語は、解答用紙の文中にアンダーラインを引いて強調すること。
用語は@、Aの全体を通して(「@のみ」「Aのみ」「@、A併せて」のいずれも可)、4つ以上を用いていればよい。
@近年の自然災害の激甚化に対する今後の国土づくりに向けた課題
A近年の自然災害の激甚化に対する今後の国土づくりのあり方
※2021年度の(1)がキーワードまで含めて全く同じ問題です。
(5)維持管理と長寿命化
設問@、Aについて、1200〜1600 字の間で記述しなさい。次の6つの用語「老朽化」「地方公共団体」「ライフサイクルコスト」「更新」「予防的措置」及び「新技術」のなかから4 つ以上を用いて記述しなさい。 記述文中で用いた用語は「 」で囲んで記述すること。
用語は@、Aの全体を通して(「@のみ」「Aのみ」「@、A併せて」のいずれも可)、4 つ以上を用いていればよい。
@社会インフラの維持管理の現状と課題
A社会インフラの長寿命化のあり方について
※2022年度の(5)がキーワードまで含めて全く同じ問題です。
(6)設計成果品の品質確保
設問@、Aについて、1200〜1600 字の間で記述しなさい。次の8つの用語「設計瑕疵」「条件確認」「品質管理」「工程管理」「照査体制」「照査ツール」「コミュニケーション」及び「教育訓練」のなかから4つ以上を用いて記述しなさい。記述文中で用いた用語は「 」で囲んで記述すること。
用語は@、Aの全体を通して(「@のみ」「Aのみ」「@、A併せて」のいずれも可)、4つ以上を用いていればよい。
@設計成果品の現状と課題
A設計成果品の品質確保に向けた建設コンサルタントとしての取り組み
※2021年度の(3)が同じテーマですがキーワードが一新されています。
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3.今年度問題の対策
- 答案準備の基本的考え方
問題3は6問中1問が出題されるため、この答案を全部準備して記憶していくのは大変だし非効率的です。このため、課題と提案の項目と項目ごとの書くべきキーワードからなる骨子を作って記憶し、文章そのものは当日試験会場で作成するようにすることをお勧めします。
ただ、全くゼロベースで文章を試験当日に作るのは大変だと思うので、骨子を使って文章を作るトレーニングは何度か行なっておく必要はあると思います。
ただしそのようにして文章を作成した場合でも、その文章を丸暗記することはやめましょう。なぜなら骨子から文章を作成する作業はロジックやストーリーといったものを「考える」作業ですから、文章を多少忘れても元となる骨子をしっかり覚えていればどうにかなりますが、文章丸暗記は文字面を「覚える」作業であり、もうそこにはロジックやストーリーがなくなってしまうので、一部を忘れてしまって抜け落ちやおかしな表現が出てくると、全体のロジックやストーリーがおかしくなってしまい、高得点が期待できなくなるからです。
だいたいにおいて丸暗記に走ろうとする人は、ロジックやストーリーを理解する力が不足していることが多いので、丸暗記した文章の一部が変わってロジックやストーリーがおかしくなって「似たような言葉が使われていても、文章の意味合いが全く変わってしまっている」状態になっても、そのことに気がつかない・理解できないのです。もし自分がそういうタイプだと思うのであれば、ロジックやストーリーに弱いとコンサル業務でもいい仕事ができませんから、この試験を機会に技術者としてステップアップすることを目指しましょう。
骨子作りは次の手順で行います。
@キーワードを、
・ネガティブなもの:好ましくない現状や予想される状況などに関するワード
・ポジティブなもの:実施すべき施策取組みなどに関するワード
・その中間的なもの:課題にも対応策にも使えそうなワード
の3つに分類する。ネガティブなものは課題に、ポジティブなものは対応策に割り振る。中間的なものはとりあえず課題にも対応策にも割り振らない。
A割り振ったキーワードから、実際の施策・取組みや問題となるワードを導く。これが課題や対応策の項目名になってくる。(例:「ハード対策」「ソフト対策」「防災&減災」からハードとソフトを一体化した多重防御、あるいはハードソフトベストミックスといった施策に関するワードを考える)
キーワードが項目名そのものに含まれるようであればなおよい。
Bその項目名と対になるワードを考える。項目名のワードを裏返して考えるとよい。課題に関する項目名に対して考えたのであれば対応策の、対応策に関する項目名に対して考えたのであれば課題の項目名となる。(例:ハードとソフトを一体化した多重防御に対してであれば、「ハード対策の限界」とかいったワードになる)
Cこのようにして、課題と対応策のペアを2つから3つ程度考える。これで骨子は完成。
この骨子を元に答案を作成するわけですが、全体で1600字という制限の中で、各項目に何文字程度割り当てられるかを考え、その文字数枠に応じた文章を考えるトレーニングを積むことをお勧めします。
紙の答案用紙に書いていた時代なら「何行」という目安で考えられたのですが、 CBTではちょっと難しく、おそらく答案入力フォームは「1行何文字」ではなく「全部で何文字」という制限しかないと思われます。そして画面上で1行何文字になるかはディスプレイの解像度次第で、さらにユーザーが画面ズームをできるような仕様の場合はもっと自由に1行の文字数を変えられてしまうので、行数ではなく文字数で考えておくしかないと思われます。
こういったことから、文字数に相当する文章がどういった内容の、どういったボリューム感のあるものなのかをトレーニングの繰り返しの中で身につけることがお勧めになってきます。
- 答案の構成
問題3は、大きく@課題、Aその対応策という2部構成になっているだけで、問題1のように項目名が細かく決まってはいません。課題や対応策の書き方は自由ですが、それだけに答案の構成で差がつくことが考えられます。つまり章立てが大切だということで、大項目・中項目というように入れ子構造にした章構成、箇条書きの活用による簡潔明瞭な論述に留意してください。
一方、答案は1,600字以内で、改行もするので、それほど多くのことは書けません。ということは、入れ子構造にしたうえで、短文(箇条書きというほどではないが、接続詞で文章をつないでいった長文とも違う、1つの項目に1つの事柄だけを述べたもの)を並べるようにすれば、省力的に(つまりあまり多くのことを書かなくても)答案を作成することができます。例えば以下のような構成です。
ここでインデントもできるといっそう読みやすくなるのですが、実際の試験ではCBTのシステム制限上、インデントはできないと思われます。ただ行等を1文字字下げすると少し読みやすくなりますが、スペースも1文字カウントされるので、注意してください。
@●●の課題
(1) ▲▲▲(課題の1つ目)
・□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□
・□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□
(2) ■■■(課題の2つ目)
・□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□
・□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□
(3) ◆◆◆(課題の3つ目)
・□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□
・□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□
A●●の課題への対応のあり方
(1) ▲▲▲(対応策の1つ目)
・□□□□□□□□□□□□□□□□□□□
・□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□
(2) ■■■(対応策の2つ目)
・□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□
・□□□□□□□□□□□□□□□
(3) ◆◆◆(対応策の3つ目)
・□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□
・□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□ |
このように、答案は入れ子構造と行頭に段落記号(上記の場合は「・」を入れた短文のみから構成することができます。行末に空白が多く、記述量をあまり多くせずに簡潔明瞭な答案が賭けます。また、大項目や中項目ごとに空行を入れてもかまいません。
このとき注意しないといけないのは、課題とあり方の各項目(上記(1)(2)(3))は1対1に対応していなければならないことです。課題の(1)とあり方の(1)が別のことについて述べていたり、課題が3つあるのにあり方は2つしかないなどといったことはあってはいけません。
- 各問題の答案骨子の考え方
◆ 注 意 ◆ |
極めて当たり前のことではありますが、このページに掲載の骨子をそのまま丸パクリして答案を作成するといった技術者倫理に抵触するような行為は厳にお慎みください。
このページに掲載の骨子を使った答案例は建設コンサルタンツ協会に提供する予定でおりますので、骨子レベルまでそのまま同じようなパクリ答案は一発不合格になる可能性が高いとお考えください。 |
- 担い手確保と働き方改革
(1)担い手確保と働き方改革
設問@、Aについて、1200〜1600 字の間で記述しなさい。次の7つの用語「デジタルトランスフォーメーション(DX)」「処遇」「長時間労働」「就業環境」「生産性向上」「ワークライフバランス(WLB)」「ダイバーシティ」の中から4つ以上を用いて記述しなさい。記述文中で用いた用語は「 」で囲んで記述すること。
用語は@、Aの全体を通して(「@のみ」「Aのみ」「@、A併せて」のいずれも可)、4つ以上を用いていればよい。
@建設コンサルタントの担い手確保・育成の課題
A建設コンサルタントの働き方改革のあり方 |
まずキーワードを分類すると下表のようになります。
ネガティブなキーワード |
ポジティブなキーワード |
中間的なキーワード |
長時間労働 |
生産性向上
デジタルトランスフォーメーション(DX)
ダイバーシティ |
処遇
就業環境
ワークライフバランス(WLB) |
ポジティブなキーワードが多いので、これらを対応策にまず割り振ることを考えます。
まずはDXです。これによって作業時間短縮が可能となり生産性が向上すれば長時間労働が解消されます。また収益性が向上しますから給与待遇もよくなります。つまり就業環境が改善されますから担い手確保が期待できます。
次は働き方改革の視点です。建設DXが実現していけば、たとえば施工重機の遠隔操作にとる無人化施工は現場への長期出張を解消することが期待できますし、リモート臨場やリモート会議、テレワークなどは多様な働き方を可能とします。これによりワークライフバランスが改善され、方ら着方改革の実現へとつながります。
またこういったことやパワーアシストスーツに代表される身体能力サポートは、女性や高齢者など身体能力制限がある働き手の活躍の場を広げますから、賃金格差等の処遇格差を解消して多様な働き手の参画を可能とし、多様な働き手が多様な働き方をするダイバーシティの促進につながります。
なお、キーワードは「デジタルトランスフォーメーション(DX)」、「ワークライフバランス(WLB)」というように( )付きになっていますので、最初に( )付きで「 」で囲って一度使えば、以後は「DX」「WLB」といった略語で使えます。キーワードの使用カウントは一度使えばもう再カウントしてもらう必要はないので、「 」も不要です。
(骨子例)
課題 |
あり方 |
・劣悪な就業環境
人口減少・少子高齢化が進展する中、建設産業は他産業に比べて特に担い手不足
休みが取りづらい・作業に危険が伴う・給料が安い等、長時間労働が多い割に就業環境が悪く、離職者が多い一方で入職者が少ないことが大きな原因 |
・就業環境改善による担い手確保
デジタルトランスフォーメーション(DX)により生産性向上を図り、リモートワークやセンシング技術の導入で長時間労働からの解放、収益性向上による給与アップ、身体能力要求軽減や現場の安全性向上を進め、就業環境改善による担い手確保を進める |
・ダイバーシティの障壁
女性や高齢者等を積極的に採用すべきだが、長時間労働など家庭との両立困難・現場作業における高い身体能力要求などがダイバーシティの障壁
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・ダイバーシティの推進
生産性向上・リモートワークの推進などにより多様な働き方を可能として働き方改革・ワークライフバランス(WLB)の改善を進める。
パワーアシストスーツやセンシング技術の活用による現場作業軽減も含め女性・高齢者の処遇を改善して多様な担い手の参画を促し、ダイバーシティを推進 |
・OJT依存の人材育成の限界
従来の人材育成は実務の中で熟練技術者が若手技術者に指導するOJTが前提
担い手不足の中で熟練者と若手が分業せざるをえずOJT依存の人材育成は限界 |
・OJTとOFF-JTを組み合わせた体系的人材育成
OJTだけでなくOFF-JTを組み合わせた体系的な人材育成、熟練者ノウハウを形式知化し体系的教育を行うナレッジマネジメントにより、体系的かつ効率的に人材育成を進める |
- カーボンニュートラルの実現に向けて
(2)カーボンニュートラルの実現に向けて
設問@、Aについて、1200〜1600 字の間で記述しなさい。次の7 つの用語「地球温暖化」、「再生可能エネルギー」、「グリーン成長戦略」、「イノベーション」、「グリーン社会」、「デジタルトランスフォーメーション(DX)」、「働き方改革」の中から4 つ以上を用いて記述しなさい。記述文中で用いた用語は「 」で囲んで記述すること。
用語は@、Aの全体を通して(「@のみ」「Aのみ」「@、A併せて」のいずれも可)、4 つ以上を用いていればよい。
@カーボンニュートラルの現状と課題
Aカーボンニュートラルの実現に向けての対応のあり方 |
まずキーワードを分類すると下表のようになります。
ネガティブなキーワード |
ポジティブなキーワード |
中間的なキーワード |
地球温暖化 |
再生可能エネルギー
グリーン成長尾戦略
イノベーション
グリーン社会
デジタルトランスフォーメーション(DX)
働き方改革 |
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大部分がポジティブなキーワードなので、これからストーリーを作る必要があります。社会の向かう方向を示すキーワードには「グリーン成長戦略」と「グリーン社会」があります。後者は理念的なものですから、設問2の最初か最後に「グリーン社会の実現」として一言触れる程度でいいでしょう。
一方グリーン成長戦略は環境保全と経済成長の両立に向けた戦略であり、その実現のために再生可能エネルギーの導入・拡大が必須で、そのためにはイノベーションが必須…という流れがひとつあるでしょう。そしてそれらをまちづくり(脱炭素都市づくり)に落とし込むといいでしょうね。
もうひとつはDXです。建設DXは、それ自体がGHG削減のためのものではないのですが、国交省グリーンチャレンジの実現には欠かせないものですし、それに伴う働き方改革・ワークライフバランス改善促進は緩和策・適応策に拝領し自然の共生したまちづくりにつながっていきます。
(骨子例)
課題 |
あり方 |
・グリーン成長戦略の実現
地球温暖化対策のため温暖化ガスの大幅削減が必要だが、環境保全と経済成長の両立が必須 |
・再生可能エネルギーの導入・拡大
太陽光・風力(特に洋上)・小水力・地熱・バイオマスといった各種再生可能エネルギーを積極的に導入・拡大するとともに、水素燃料電池等も含めた新技術開発を進める。その実現のためのイノベーション促進 |
・モータリゼーション・拡散型都市構造からの脱却
自家用車と化石エネルギー依存に依存した都市から脱炭素都市づくりへの転換 |
・スマートで強靱なくらしとまちづくり
コンパクト+ネットワークの形成と
再生可能エネルギー導入・拡大と分散型エネルギー源を集約したVPP
都市インフラにおけるZEH・ZEB等の省エネ
次世代モビリティ |
・建設分野における脱炭素の促進
建設材料製造段階、施工段階のGHG排出を削減していく必要 |
・建設分野における脱炭素化の推進
ICT/IoT活用による建設DXの推進
リモートワークやセンシング技術導入拡大による働き方改革実現で移動抑制・GHG排出抑制
建設重機のEV化・水素化等
インフラ長寿命化によるセメント製造時GHG排出抑制 |
- BIM/CIMの適用
(3)BIM/CIMの適用 設問@、Aについて、1200〜1600 字の間で記述しなさい。次の8つの用語「3次元モデル」「電子納品」「BIM/CIMの活用目的」「生産性向上」「フロントローディング」「デジタルトランスフォーメーション(DX)」「データ連携」及び「プロセス改革」のなかから 4つ以上を用いて記述しなさい。記述文中で用いた用語は「 」で囲んで記述すること。
用語は@、Aの全体を通して(「@のみ」「Aのみ」「@、A併せて」のいずれも可)、4つ以上を用いていればよい。
@BIM/CIMの適用により期待される効果
ABIM/CIMの適用にむけて克服すべき課題 |
基本的には特徴キーワードと効果キーワードを組み合わせて@適用により期待される効果を書き、それを実現するうえでのBIM/CIM適用におけるハードルをあげればいいでしょう。
効果ですが、まずは3次元モデルによる合意形成促進、属性情報の建設プロセスでの連係による生産性向上ですね。建設コンサルタント白書には「3次元モデルに付与する属性情報を活用することで、発注者の事業マネジメント、とりわけ工事における生産性向上に貢献」とありますから、この文章をそのまま引用してもいいでしょう。
フロントローシングも生産性向上効果が期待されます。建設コンサルタント白書には「近年、(中略)整備事業全体のなかでフロントローディング等を行う生産性向上への舵を切った。特に、測量や調査の段階から維持管理まで一貫して有益な情報を管理していくことが、事業全体のフロントローディングとして大きな効果を生み出すと期待されている」とあります。
そしてDXについては、こういったBIM/CIMの3次元モデルや各種ビッグデータを活用することで実現することが期待されます。
ここまでで6つのキーワードを使っているので、克服すべき課題は、どうやって建設コンサルタントがそのニーズに応えるかといったことを書いておけばいいのではないかと思います。
(骨子例)
BIM/CIMの適用により期待される効果 |
BIM/CIMの適用にむけて克服すべき課題 |
・3次元モデルによる合意形成促進
・3次元モデル+属性情報を建設プロセス全体で共有するデータ連係による生産性向上およびフロントローディングによる施工の円滑化や効率的な維持管理
・建設プロセス改革によるインフラ分野のDXの推進
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・建コンが作成する3次元モデルがその後のプロセスで情報共有・フロントローディング効果の基盤となる→積極的なBIM/CIMの導入と活用、高度な技術力が求められる
・全国での実施には制度面・基準類の整備も必要
・一企業だけでは解決できない問題も多いので、建コン協会の講座等も積極的に活用 |
- 近年の自然災害の激甚化に対する今後の国土づくり
(4)近年の自然災害の激甚化に対する今後の国土づくり 設問@、Aについて、1200〜1600 字の間で記述しなさい。次の8つの用語「気候変動」「インフラ老朽化」「一極集中」「国民生活・社会経済活動」「国土強靭化」「ハード対策」「ソフト対策」及び「防災・減災」の中から4つ以上を用いて記述しなさい。用いた用語は、解答用紙の文中にアンダーラインを引いて強調すること。
用語は@、Aの全体を通して(「@のみ」「Aのみ」「@、A併せて」のいずれも可)、4つ以上を用いていればよい。
@近年の自然災害の激甚化に対する今後の国土づくりに向けた課題
A近年の自然災害の激甚化に対する今後の国土づくりのあり方 |
キーワードを分類すると、下表のようになります。
ネガティブなキーワード |
ポジティブなキーワード |
中間的なキーワード |
気候変動
インフラ老朽化
一極集中 |
国土強靱化
ハード対策
ソフト対策
防災・減災 |
国民生活・社会経済活動 |
まずは気候変動に伴う施設能力を上回る事象に対して、ハードだけに頼らずソフトも含めた多重防御で対応しなければいけないという話が来ると思います。ネガティブなキーワードとしては気候変動、ポジティブなキーワードとしてはハード対策、ソフト対策、防災・減災が該当するでしょう。
残るキーワードは、ネガティブなものとしてはインフラ老朽化と一極集中になってきます。一極集中は前述したように政治経済機能を集中させているといけないから分散させるというリダンダンシーの考え方になりますから一極集中を課題としてリダンダンシーを対応策とするセットが書けますね。そしてここに中間的なキーワードである国民生活・社会経済活動をくっつけると良いでしょう。課題のところに一極集中していると政治経済機能が麻痺してしまって国民生活・社会経済活動に多大な影響があるということを書いてもいいでしょうし、対応策のところにリダンダンシーを確保することによって国民生活・社会経済活動への影響を最小化するということを書いてもいいでしょう。
残るのはインフラ老朽化ですが、防災インフラが老朽化していたために災害が甚大化したという明確な例があるわけではないので、災害がテーマの中で無理に書かなくてもいいと思います。もし書くのであれば「防災インフラや避難路等のインフラ老朽化が進行していると被害が甚大化する懸念があるので、事後保全から予防保全への転換を確実に実施する」というような話になろうかなと思います。
キーワードは国土強靭化が残っていますが、これはこれまでにあげた二つあるいは三つの課題と対応策のセットを包括して、これらの課題に対応することによって安全安心を確保した国土強靭化が実現するというようなことを書けばいいでしょう。例えば対応策の冒頭に「前述した課題に対して以下のような対応策を講じることで国土強靭化の実現を期する」みたいなことを書けばいいと思います。
(骨子例)
課題 |
あり方 |
・気候変動に伴う災害の激甚化
気候変動に伴い防災施設能力を上回る出水等が発生、災害が激甚化 |
・流域治水
希有な巨大災害に対しては、流域全体でハード対策とソフト対策を組み合わせた防災・減災の多重防御で対応
ハード対策はダム等の流水貯留や粘り強い堤防、河道拡幅等で氾濫を防ぐ・減らす
ソフト対策はハザードマップ・タイムラインと災害時要配慮者の早期避難 |
・一極集中に伴う国民生活・社会経済活動への影響
首都圏などに政治経済機能が一極集中していると被災時の麻痺が広域的・全国的に拡大して国民生活・社会経済活動に多大な影響が発生 |
・首都機能分散移転、物流幹線のネットワーク化などでリダンダンシーを確保して、国民生活・社会経済活動への影響が広域化・長期化しないようにする |
- 維持管理と長寿命化
(5)維持管理と長寿命化
設問@、Aについて、1200〜1600 字の間で記述しなさい。次の6つの用語「老朽化」「地方公共団体」「ライフサイクルコスト」「更新」「予防的措置」及び「新技術」のなかから4 つ以上を用いて記述しなさい。 記述文中で用いた用語は「 」で囲んで記述すること。
用語は@、Aの全体を通して(「@のみ」「Aのみ」「@、A併せて」のいずれも可)、4 つ以上を用いていればよい。
@社会インフラの維持管理の現状と課題
A社会インフラの長寿命化のあり方について |
まずキーワードを分類すると下表のようになります。
ネガティブなキーワード |
ポジティブなキーワード |
中間的なキーワード |
老朽化 |
予防歩的措置
新技術 |
地方公共団体
ライフサイクルコスト
更新 |
中間的なキーワードが一番多く、次にポジティブなキーワードが多いのですが、ポジティブなキーワードが二つなので基本的に対応策としてまず二つ考えられます。
「予防的措置」からは予防保全への転換という対応策が考えられ、この裏返しである事後保全を課題に書いて、事後保全から予防保全への転換という流れストーリーにして、課題には「老朽化」、あり方では「ライフサイクルコスト」といったキーワードを書き、「地方公共団体」「更新」もあちこちに書くといったストーリーが考えられます。
さらにここで、予防保全への転換を確実なものとするため近隣の地方公共団体が連携して地域インフラ群再生戦略マネジメントを展開するということを付記すれば最新の施策も知っているということがアピールできます。この問題自体はキーワードが地域インフラ群再生戦略マネジメントを明確に志向したものではないので、無理にそちらをメインテーマにはせず、あくまで予防保全への転換をメインにすればいいと思います。
次にキーワード「新技術」は点検診断におけるデジタル技術活用をすればいいでしょう。担い手不足・技術継承不足により点検・診断が困難になってくることを課題としてあげて、ドローンとAI画像解析による点検等をあげるといいでしょう。
(骨子例)
課題 |
あり方 |
・事後保全型の維持管理からの転換
我が国インフラの多くが近く建設後50年超過し更新期を迎える
従来の事後保全では補修経費が割高&補修更新時期がコントロールできないので予算集中を招く
事後保全からの転換が必要 |
・予防保全型維持管理への転換
事後保全から点検診断により予防的措置を行う予防保全型維持管理に転換
これによってライフサイクルコストを低減
さらに優先順位を付けて予算を平準化するアセットマネジメントを導入してインフラ長寿命化計画を策定してメンテナンスサイクルを回す
・小規模地方公共団体では予算・人材不足で予防保全への転換が困難なので、近隣地方公共団体で連携して地域インフラ群再生戦略マネジメントを推進 |
・点検・診断の担い手不足
点検診断には熟練技術を要するため熟練技術者退職に伴う担い手不足が懸念
熟練技術者に依存しない点検診断手法が必要 |
・点検・診断への新技術の導入
点検・診断にICT活用新技術を導入し省力化省人化を進める
ドローンやMMS等による点検等の新技術開発導入を進める
データ活用型維持管理を実現するインフラフラメンテナンス2.0に取り組む |
- 設計成果品の品質確保
(6)設計成果品の品質確保 設問@、Aについて、1200〜1600 字の間で記述しなさい。次の8つの用語「設計瑕疵」「条件確認」「品質管理」「工程管理」「照査体制」「照査ツール」「コミュニケーション」及び「教育訓練」のなかから4つ以上を用いて記述しなさい。記述文中で用いた用語は「 」で囲んで記述すること。
用語は@、Aの全体を通して(「@のみ」「Aのみ」「@、A併せて」のいずれも可)、4つ以上を用いていればよい。
@設計成果品の現状と課題
A設計成果品の品質確保に向けた建設コンサルタントとしての取り組み |
まずキーワードを分類すると下表のようになります。
ネガティブなキーワード |
ポジティブなキーワード |
中間的なキーワード |
設計瑕疵
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条件確認
照査体制
照査ツール
コミュニケーション
教育訓練 |
品質管理
工程管理 |
まあ結局「品質確保のためにやらなければならないこと」がポジティブキーワードですね。また中間的なキーワードに分類したものもほぼポジティブキーワードともいえます。これを前述の3つの品質確保・向上対策に整理すればいいでしょう。
@業務プロセスにおける対策に「条件確認」や「照査体制」「照査ツール」「工程管理」が入ってくるでしょう。「確実な照査を行なうためにBIM/CIMモデルや赤黄チェックなどの照査ツールを活用した照査体制を構築する」といった感じですね。また条件確認(条件設定)を確実に行なうためにコミュニケーションの円滑化に努める(合同現地調査やワンデーレスポンスなど)というように、「コミュニケーション」をここでも使ってもいいでしょう。
Aエラー防止の教育に「教育訓練」が入るでしょう。ここでは前述のような教育内容を書くといいですね。
B社内コミュニケーションの充実には「コミュニケーション」が入ってくるでしょう。進捗管理に関することが多いですから、「工程管理」をここでも使ってもいいでしょう。
そして「品質管理」は全体を総括する文章の中で、また「設計瑕疵」は課題の冒頭にまえがき的に書けばいいと思います。
(骨子例)
現状と課題 |
建設コンサルタントとしての取組み |
三者会議などで設計成果品における設計瑕疵が指摘されることが根絶されない |
業務プロセス管理・教育訓練・社内コミュニケーションの充実により品質管理を体系化 |
・業務プロセス管理において、設計瑕疵につながる様々な問題点がある
- 業務着手時の条件決定時期の遅れ、現地状況や現地制約等の条件確認不足やコミュニケーション不足、設計段階での単純エラー等の照査漏れ、照査チェック時の時間不足によるミスの見過ごし等
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・業務プロセスにおける品質確保対応
- 業務着手時の条件設定決定時期が遅れないための確実な条件確認。そのためのコミュニケーションの円滑化(合同現地調査、施工条件明示チェックシートの運用、ワンデーレスポンスなど)
- BIM/CIMモデルや赤黄チェックなどの照査ツールを活用した照査体制構築
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エラー防止教育不足
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エラー防止の教育
- 自己照査、照査手法、設計ミス事例活用などのエラー防止に関する教育訓練の体系的実施
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社内コミュニケーション不足
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社内コミュニケーションの充実
- 社内打合せ前後の進捗確認、週間工程確認調整、退勤前の進捗確認など
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4.記述上の注意・留意点
- 問題1と同様、とにかく読みやすい文章を書く。
- 小項目・箇条書きを使う。
前述したような入れ子構造の答案にするとともに、積極的に箇条書きを使うと、これでかなり読みお安くなります(読みにくいと点数がガタッと落ちる)。
- 事前に文章まで一度作って、ぼんやりでいいので覚えておくといい。
骨子だけ覚えていって文章は本番で考えてもいいのですが、一度文章まで作っておくと、ぼんやりとでも内容が頭に入るので、本番で文章を作りやすくなります。
- 途中で思いついたエピソードは入れない(構成が崩れやすい)。
- 長文は読みやすければかまわないが、主語と述語のねじれなど、構文エラーや読みにくさにつながりやすいので、避けたほうがよい。
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