RCCM資格試験(H18年度)問題4−2 推定正解および解説は、臨時掲示板での議論を元に作成しました。
補足・疑問等ありましたら、
メールでご連絡ください。
= 鋼構造及びコンクリート部門 =
問題と推定正解および解説 最終更新:2007.10.27

1. PC コンポ橋の設計について、誤っているものをa〜d のなかから選びなさい。

a. 主桁の断面力は、格子構造理論により算出することを原則とする。
b. 格子解析にあたっては、一般に部材のねじり剛性を考慮しなければならない。
c. 主桁と場所打床版の材令差を考慮した解析を行わなければならない。
d. 主桁の設計にあたっては、施工工程を考慮し、各施工段階ごとの応力度を照査しなければならない。


推定正解:b
T桁橋は斜角70°未満ではねじりを考慮して解析します


2. 連続桁の構造解析について、誤っているものをa〜d のなかから選びなさい。

a. 連続桁橋は、施工方法によって施工段階ごとの構造系が変化するが、その影響はクリープにより一般に微小であるため、斜張橋等特殊な場合以外はこれを無視して解析してよい。
b. 連続桁橋は、プレストレス力、温度の影響、クリープ、乾燥収縮の支点移動による不静定力を考慮して設計する。
c. 複数の固定支承を有する連続桁橋は、橋脚を含めた構造モデルにより解析する。
d. 連続桁橋の中間支点上の設計曲げモーメントは、支承幅、桁の高さ、横桁等の影響を考慮する。


推定正解:a
道示コンクリート橋編P265


3. 鉄筋の定着について、誤っているものをa〜d のなかから選びなさい。

a. 正鉄筋の本数の1/3 以上は曲げ上げず、支点を越えて圧縮部のコンクリートに定着することを原則とする。
b. 主鉄筋は、計算上必要なくなる点から部材の有効高に等しい長さだけ伸ばして曲げ上げ、下げるか、そのまま伸ばして圧縮部のコンクリートに定着する。
c. 引張鉄筋に丸鋼を用いる場合はフックをつけて定着する。
d. 異型鉄筋においてフックをつけて引張鉄筋を定着する場合は、定着長を考慮する必要は無い。


推定正解:d
フックを付けると定着長を低減することはできますが、不要とはなりません。


4. コンクリート橋脚の耐震補強工法ついての記述で、誤っているものをa〜d のなかから選びなさい。

a. 鉄筋コンクリート巻立て工法:既設コンクリートの周囲に鉄筋コンクリートを増打ちし、じん性向上や耐力増強を図る工法
b. 鋼板巻立て工法:既設部材の周りに鋼板を配置し、既設部材と鋼板との間に無収縮モルタルやエポキシ樹脂等を充填し、補強する工法。せん断耐力と変形性能向上に着目した補強と、曲げ耐力の向上に着目した補強の2種類の方法がある。
c. 連続繊維巻立て工法:耐力と変形性能を向上させる工法。帯鉄筋方向に巻立てると曲げ耐力が向上し、主鉄筋方向に巻立てるとせん断耐力やじん性が向上する。
d. PC 巻立て工法:鉄筋コンクリート巻立て工法の帯鉄筋の代わりに、降伏点の高いPC 鋼材を使用する工法。せん断耐力の増加とじん性の改善が図れる。


推定正解:c
帯鉄筋方向→じん性、主鉄筋方向→曲げ耐力


5. 鋼橋の板厚による鋼種選定で誤っているものをa〜d のなかから選びなさい。

a. SS400 を非溶接構造用鋼として用いる場合、100mmまで使用出来る。
b. 溶接構造用綱としてのSM490YBは、100mmまで使用出来る。
c. SM570 は、100mmまで使用できる。
d. 一般に板厚の厚い部材は、じん性の高い鋼材が要求される。


推定正解:b
SM490YBは40mm以下に適用。道示鋼橋編P111


6. 溶接方法の用語として正しいものをa〜d のなかから選びなさい。

a. オーバーラップ溶接
b. アンダーカット溶接
c. ガスシールドアーク溶接
d. ピット溶接


推定正解:c


7. 橋梁設計での温度変化の影響に関して、誤っているものをa〜d のなかから選びなさい。

a. 設計に用いる基準温度、温度変化の範囲は、架橋位置によって異なる。
b. 寒冷地における鋼構造物全体の一様な温度変化を考慮する場合の温度変化の範囲は、−30℃〜+50℃までを標準とする。
c. 水中及び土中の構造物も温度変化の影響を考慮する。
d. タイドアーチやラーメン及び鋼床版橋等は、部材相互の温度差を考慮する。


推定正解:c
道示共通編P59に、『水中又は地中にある構造物では温度変化の影響を考慮しなくて良い。』と記述されています


8. 交番応力に関する記述で、誤っているものをa〜d のなかから選びなさい。

a. 荷重の載荷状態によって、部材に生じる応力が圧縮になったり、引っ張りになったりする場合の応力を言う。
b. 死荷重による応力と活荷重による応力のそれぞれの符号が異なる場合の応力を言う。
c. 圧縮力に対しては、座屈の照査を行う。
d. 横構のように風向きによって応力の符号が異なるのも交番応力部材である


推定正解:b
死荷重と活荷重の符号の入れ替わりは相反応力(道示鋼橋編P108)


9. 鋼材の防錆、防食方法の補修方法についての説明で、誤っているものをa〜d のなかから選びなさい。

a. 塗膜の劣化の補修方法は、塗装の塗り替えである。
b. 耐候性鋼材の層状剥離の補修方法は、ケレンを行い安定錆の再形成が一般的である。
c. 亜鉛メッキ層の減少の補修方法は、溶射又は塗装である。
d. 溶射金属層の減少の補修方法は、溶射又は塗装である。


推定正解:b


10. 鋼橋の疲労照査についての記述で、誤っているものをa〜d のなかから選びなさい。

a. 疲労設計に用いる自動車荷重は、道路橋示方書に規定するT荷重とする。
b. 変動振幅応力を求める方法として、レインフロー法が用いられる。
c. 変動応力の算出には、活荷重補正係数を考慮する。
d. 変動応力を算出する場合の活荷重の載荷方法は、照査部位に対し最も不利な応力が生じるように載荷する。


推定正解:d
鋼道路橋の疲労設計指針P29〜34より、車線の中央に載荷させる


11. 鋼橋の溶接接合の説明において誤っているものをa〜d のなかから選びなさい。

a. 主要部材の応力を伝えるすみ肉溶接のサイズの最小値規定はある。
b. 主要部材のすみ肉溶接の有効長に対する最小値規定はある。
c. 曲げモーメントを受けるすみ肉溶接の応力度は、溶接部に生ずる垂直応力度によって照査する。
d. 断面の異なる主要部材の突合せ継手部において、すりつけ勾配に対する規定はある。


推定正解:c
すみ肉溶接の応力度は、溶接部に生じる曲げモーメントを外力とし、せん断応力度を照査する(道示鋼橋編P196)


12. 高力ボルト継手の設計で誤っているものをa〜d のなかから選びなさい。

a. 引張力が作用する板の連結板の設計は、純断面で計算する。
b. 摩擦接合の純断面積の計算では、純幅を1.1 倍まで割り増し出来る規定がある。
c. 純断面積を算定する場合のボルト径の孔は、呼び径に3mm加えた値とする。
d. 拡大孔を用いた場合の純断面積の計算は、孔径を控除する。


推定正解:d
拡大孔径+0.5mmを考慮して照査(道示鋼橋編P218〜219)


13. 鋼橋の鉄筋コンクリート床版の設計において誤っているものをa〜d のなかから選びなさい。

a. 道路橋示方書での規定での床版支間は、単純版及び連続版で4m、片持ち版で1.5mまでを対象としている。
b. 鉄筋コンクリート床版における鉄筋とコンクリートのヤング係数比は15 とする。
c. 床版の設計では、必ずせん断応力に対する照査を行う。
d. 主桁の配置は、大型車両の軌跡を考慮して決めるのが望ましい。


推定正解:c
道示鋼橋編P240の表中に、適用支間の記述があります。
ヤング係数比は、道示鋼橋編P237に15とあります。
同P237に、せん断に対しては照査しなくとも良いと記述されています。
同P237に、大型車の軌跡を考慮して桁配置をする旨の記述があります。



14. 鋼橋の製作・加工の説明で、誤っているものa〜d のなかから選びなさい。

a. 完成後にも残るような場所には、原則としてタガネ、ポンチ傷は残さない。
b. 主要部材の切断は、原則として自動ガス切断であるが、切断面の品質が確保される場合にはその限りではない。
c. 主要部材の板取は、効率的な板取を優先し、特に応力方向と圧延方向を一致させなくても良い。
d. フィラープレート、タイプレート及び形鋼等の板厚の小さい場合は、せん断による切断でも良い。


推定正解:c
板取は応力方向と圧延方向を一致させることを原則とする(道示鋼橋編P423)


15. 耐震設計上望ましい橋梁の構造形式について、誤っているものをa〜d のなかから選びなさい。

a. 上部構造の落下を確実に防止するためには、可能な限り多径間連続構造とする。
b. 軟弱地盤等地盤条件が悪く、固有周期が長い多径間連続形式の橋では、免震設計の採用が望ましい。
c. 部分的な破壊が全体系の崩壊につながる可能性のある構造系では、当該部分の損傷を限定するように配慮する。
d. 地盤条件や構造条件が著しく変化する箇所では、橋脚上で上部構造の連続化の可・不可について十分な検討を行なう必要がある。


推定正解:b
道示耐震設計編P134の3)に、長周期化することにより、地盤と橋の共振を引き起こす可能性があるので、原則として免震橋を採用してはならない旨の記述があります。


16. 耐久的なコンクリート構造物をつくるための、設計及び施工上の対策について誤っているものをa〜d のなかから選びなさい。

a. 適切な使用材料の指定(fck、w/c、空気量など)と適切な使用材料の選定。
b. 適切な配合(w/c、スランプ、空気量ほか)
c. 適切な施工(締固め、養生ほか)
d. 重大な劣化が発見された場合の速やかな補修・補強


推定正解:d


17. 副産物または廃棄物を有効利用したコンクリート材料について誤っているものをa〜d のなかから選びなさい。

a. 高炉セメントは銑鉄を生産する際の副産物であるフライアッシュを混ぜて作ったポルトランドセメント。環境負荷低減材で、アルカリ骨材反応防止効果も有る。使用に当っては、温度依存性や初期強度が小さいことに注意が必要。
b. エコセメントは都市ごみ焼却灰や下水汚泥を原料とした環境負荷低減セメント。長期強度の増進が小さく現段階では用途は限定されている。
c. コンクリート用再生骨材は主としてコンクリート構造物のコンクリート塊をクラッシャーなどで粉砕して製造した骨材。用途は、高い強度や、耐久性を要求されない部材・部位に限定される。
d. シリカフュームはフェロシリコン・フェロシリコン合金を製造するときの副産物。高強度コンクリート用の材料、アルカリ骨材反応防止効果の有る材料として利用されている。材料が高価であること、高強度となるほど自己収縮が大きくなりひび割れへの配慮が必要。


推定正解:a
フライアッシュではなく,高炉スラグ


18. 以下に示すコンクリート構造物の変状に関する記述で誤っているものをa〜d のなかから選びなさい。

a. ジャンカとは、打設されたコンクリートの一部がセメントペースト、モルタルの廻りが悪く粗骨材が多く集まってできた空隙の多い構造物の不良部分を言う。
b. コールドジョイントとは、打ち継ぎ目部のレイタンス処理が不十分な場合に生じる不連続面を言う。
c. 砂すじとは、せき板に接するコンクリート表面に細骨材が縞状に露出したものをいう。
d. 表面気泡とはせき板に接するコンクリート表面にコンクリート打ち込み時に巻き込んだ空気あるいはエントラップドエアがなくならずに残って露出硬化したものをいう。


推定正解:b
コールドジョイントは打ち継ぎではなく、打ち重ね


19. RC 構造が成立する理由について誤っているものをa〜d のなかから選びなさい。

a. コンクリート中に埋め込んだ鉄筋は錆びにくいこと。
b. 鉄筋とコンクリートの付着力が大きいこと。
c. 鉄筋とコンクリートは引張強度がほぼ等しいこと。
d. 鉄筋とコンクリートは熱膨張係数がほぼ等しいこと。


推定正解:c
「コンクリート診断技術’06[応用編]」(コンクリート工学協会)のP17にRC構造成立の前提条件が載っています。
付着力、錆び、熱膨張係数の記述はありますが、引張強度の記述はありません。



20. 曲げモーメントまたは軸方向力が作用する部材の設計荷重作用時の照査について正しいものをa〜d のなかから選びなさい。

a. RC 構造のコンクリートの縁応力度(圧縮応力度及び引張応力度)は許容圧縮・引張応力度以内であることを照査する。
b. RC 構造の軸方向鉄筋応力度は許容引張応力度以内であることを照査する。
c. PC 構造のコンクリートの縁応力度(圧縮応力度及び引張応力度)は許容圧縮・引張応力度以内であることを照査する。軸方向鉄筋の照査は必要ない。
d. PC 構造のPC 鋼材応力度は許容引張応力度以内であることを照査する。

推定正解:d?