RCCM資格試験(H18年度)問題4−2 推定正解および解説は、臨時掲示板での議論を元に作成しました。
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問題と推定正解および解説 最終更新:2007.10.25

1. 山岳道路の腹付け盛土部に道路縦断方向のクラックが生じている。その原因としては最も考えにくいものをa〜d より選びなさい。

a. 気温の変化によるアスファルトの膨張収縮
b. 豪雨や地震の影響による切り盛り境に沿った地すべり性の挙動
c. 地下水の浸透による盛土材からの細粒分の流失による沈下
d. スレーキング性の盛土材料の細粒土化による圧縮沈下


推定正解:a


2. 道路の老朽のり面の調査法として「熱赤外線影像法による老朽のり面診断マニュアル(H.8)」が示されているが、下記のa〜d より調査手法として誤っているものを選びなさい。

a. 計測時の気象条件は、原則としては晴天時が望ましいが曇りでもよい。
b. 凹凸の著しいモルタル吹付けのり面では、極力、晴天時に行うことが望ましい。
c. モルタル吹付けのり面のり尻や小段に植生がある場合は、表面温度の計測が困難となるため、極力伐採などを行い計測への影響を除去する。
d. 吹付けモルタルの表面温度から、モルタル背部の状況を推察できるモルタル厚さの限界は、通常は15cm 程度、条件がよければ20cm までとされている。


推定正解:b


3. 貯水池沿いの付替道路の概略設計に関する以下の記述で正しいものをa〜d より選びなさい。

a. 切土勾配は道路土工指針に示された標準勾配に従わなければならない。
b. 用地境界は絶対的な設計条件であるので冒してはならない。
c. 道路は、決められた規格に沿った条件で設計しなければならない。
d. 切土、盛土は土量バランスを考えて一致するよう設計しなければならない。


推定正解:c?


4. 貯水池地すべりの安定検討に関する記述のうち、正しいものをa〜d より選びなさい。

a. 貯水位にかかる地すべり、崩壊地、崖錐性斜面等は全て安定検討しなければならない。
b. 航空写真判読によって見出された不安定化懸念斜面はその重要度評価を行った結果に基づき、評価に応じて地表踏査、調査ボーリング等を実施しなければならない。
c. 所定の方法で安定計算を実施し、R/D≧0.90 のものについては以後の検討対象から除外してよい。
d. 貯水中に没する地すべり土塊の水位急低下時における残留間隙水圧は100%と規定されている。


推定正解:b


5. 岩盤を基礎としたフィルダムにおいて、基礎岩盤の透水性の改良目標値の設定として正しいものをa〜d より選びなさい。

a. 地質の種類によらず一律5Lu以下とする。
b. 実施工前にグラウトテストの結果にもとづいて設定する。
c. 周辺の井戸調査、水源調査の結果にもとづく地下水流動機構を勘案して設定する。
d. 地質の性状、水理地質構造、改良特性等に応じた目標値を定める。


推定正解:d


6. 「山はね」を起こす可能性のある地山状態として正しいものをa〜d のなかから選びなさい。

a. 硬岩地山で、非常に土被りの厚いトンネル中央部付近
b. 含水未固結地山で、地下水の流動が著しい部分
c. 偏土圧の作用が懸念されるような地形を呈する坑口部
d. 軟岩地山で、トンネル中央に谷地形があり土被りが局部的に薄くなる部分


推定正解:a


7. トンネル調査において、地山分類を評価するための考え方として正しいものをa〜d より選びなさい。

a. 弾性波探査より求められる地山弾性波速度は、岩盤の良好度を直接的に表すものであり、その数値を絶対的なものとして扱うことにより的確に地山分類が行える。
b. 地山強度比は土被りの薄い坑口付近に適用可能な数値であるため、土被りの厚いトンネル中央部には適用できない。
c. 亀裂係数は、実際に掘削する部分の岩盤の亀裂の密集度合いを示すものであり、亀裂の緩み度合いを想定することはできない。
d. ボーリングコアから実際の地山状態を想定する場合の着眼点は、岩片の硬さ、亀裂の密度、亀裂面の性状の目視観察結果と岩石試験結果である。


推定正解:d


8. トンネルの切羽前方探査に関する以下の記述について正しいものをa〜d より選びなさい。

a. 前方探査法としては、ボーリング、弾性波、電気・電磁探査が主体である。
b. 切羽におけるレーリー波探査は、均一塊状岩では最大200m程度の前方探査実績があり、広く利用されている。
c. 比抵抗二次元探査法は、切羽前方100m程度までの地下水分布状況探査が可能で断層・湧水等の探査に広く利用されている。
d. ボーリングはトンネル工事工程に影響が大きいのでどんな場合もノンコア、検層主体に実施される。


推定正解:a


9. 基礎形式と支持層の選定に関する記載のうち、誤っているものをa〜d より選びなさい。

a. 直接基礎は、良質な支持層に支持させる。
b. 杭基礎は、上部構造の形式と機能、地質条件、施工性、杭の支持機構を考慮して適切な根入れ深さを決める。
c. ケーソン基礎は、良質な支持層に根入れさせる。
d. 鋼管矢板基礎の鋼管矢板先端は、良質な支持層に根入れさせる。


推定正解:c
道示下部編P249『ケーソン基礎は良質な支持層に支持させる』


10. 地盤の液状化に関する以下の記述について正しいものをa〜d より選びなさい。

a. 液状化の原因の一つは、地震動による砂地盤内に発生する正のダイラタンシーである。
b. 液状化の原因の一つは、地震動による砂地盤に発生する有効応力の減少である。
c. 不飽和の砂地盤では飽和した砂地盤より液状化が発生しやすい。
d. 細粒分の多い砂地盤は、細粒分の少ない砂地盤より液状化による変形量が大きくなる。


推定正解:b


11. 日本の鉱毒問題に対する以下の記述について正しいものをa〜d より選びなさい。

a. 別子銅山精錬所からの亜硫酸ガスによる煙害が日本の鉱毒事件の始まり。
b. 渡良瀬川流域の鉱毒による人的被害はイタイイタイ病と知られている。
c. 神通川流域に発生した有機水銀中毒は水俣病として知られている。
d. 宮崎県土呂久地区で発生した慢性中毒は精錬所からの亜ヒ酸によるもの。


推定正解:d


12. 地すべりと斜面崩壊は、ともに斜面上で起こる変状である。両者の具体的な違いを示す以下の記述のうち、誤っているものをa〜d より選びなさい。

a. 概ね傾斜角30 度を境として、急な斜面では斜面崩壊、緩い斜面では地すべり性の変状が生じやすい。
b. 地すべりは変位の進行が緩慢であり、斜面崩壊は変位の進行が急速である。
c. 斜面崩壊は崩壊面上に崩壊物がほとんど残らないが、地すべりは斜面上に移動土塊を残したまま変位が徐々に進行する。
d. 地すべりは地下水の影響を強く受けているが、斜面崩壊は地下水の浸透とは無関係に変状が発生する。


推定正解:d


13. 火山災害の特徴などについて記した下記のa〜d より誤っているものを選びなさい。

a. 火砕流は、高温の溶岩のかけらや火山灰からなる本体部とそこから発生する熱雲部からなり、これらが斜面に沿って高速で流下する現象で、メラピ火山や雲仙普賢岳での被害が知られている。
b. 溶岩流の流速は、30m/s という記録もあるが、日本の場合、安山岩質で粘り気が強く流速は1m/s 以下程度の場合が多く、住民の避難は比較的容易である。
c. 火山泥流は、火山からの噴出物や堆積物が水とともに流下する現象で、流下速度は遅いが被害が広範囲に及ぶ。近年では、ネバドデルルイス火山で発生した被害が知られている。
d. 山体崩壊は、そのメカニズムの詳細が不明で予測が困難な現象であるが、火山活動などに伴い山体が大規模に短時間で崩壊し被害を広範囲にもたらす。アメリカのセントへレンズ山や日本では磐梯山での被害が知られている。


推定正解:c


14. 土石流に関する以下の記述について誤っているものをa〜d より選びなさい。

a. 土石流の先端部は段波状に盛り上がっている。
b. 流下方向の屈曲部では流路外側が盛り上がる。
c. 流路中心部を帯状に巨大岩塊が集中して流下する。
d. 土石流は流下に伴い、渓床土石を巻き込んで成長することがある。


推定正解:c


15. 地盤の透水試験についての記述のうち、正しいものをa〜d より選びなさい。

a. ルジオンテストは亀裂性岩盤の透水係数を求める試験法である。
b. 我が国の新第三系、第四系の軟岩のボーリング孔を利用した透水試験では、静水圧方式の試験が望ましい。
c. 地下水位が低く、低限界圧力の地盤の試験では注入量管理が重要である。
d. ピット式の試験は定水位法以外は不可能である。


推定正解:a


16. トリリニアダイヤグラムにより区分される水質の型と性状の一部をa〜d に示すが、その中より誤っているものを選びなさい。

a. 重炭酸カルシウム型の地下水は、わが国の循環性地下水の大半がこの型に属する。
b. 重炭酸ナトリウム型は、わが国の一般的な河川水がこの型に属する。
c. 非重炭酸カルシウム型は、温泉水、鉱泉水および化石地下水などがこの型に属する。一般の河川水は、この型に属することはない。
d. 非重炭酸ナトリウム型は、海水、海水が混入した地下水および温泉水などがこの型に属する。


推定正解:b
深層地下水が属します。河川水は重炭酸カルシウム。


17. 地熱エネルギーに関する以下の記述について誤っているものをa〜d より選びなさい。

a. 地熱エネルギーには非火山性のものも存在する。
b. 地熱の直接利用では、暖房・給湯、養殖漁業、温室園芸で90%を占めている。
c. 地熱発電で取り出した地熱流体には有害物質が含まれている場合があるので、これらは熱交換後、還元井を通じて地下に戻すシステムとなっている。
d. 高温岩体発電では、地下深部の湿潤飽和高温岩体を水圧破砕させて坑井に集めた高温流体を取り出し発電に利用している。


推定正解:d


18. レーザー計測に関する記述のうち誤っているものをa〜d より選びなさい。

a. 航空レーザー計測とは、飛行機やヘリコプターに搭載した3Dスキャナを用いて地上地形等の三次元DXFデータを取得する手法のことである。
b. レーザー計測はレーザー光の反射を計測するものであり、物の形状の正確な把握や、クリアランスの精密計測などに活用されている。
c. 3Dスキャナにより地上から計測したデータは地形図作成に利用できるが、公共測量作業規定による精度検証の規定はまだ確立されていない。
d. レーザー計測により得られた三次元データにデジカメにより撮影した画像を合成することによりオルソフォトイメージ画像を作成することができる。


推定正解:a


19. 比抵抗法探査において、「測線から十分離れ無限遠とみなせる2箇所に遠電極を設置し、この中の1つの遠電極と測線内の電極に電流を流し、もう1つの遠電極と測線内の電極間の電位差を順次測定し解析する手法」を下記のa〜d より選びなさい。

a. ポール・ポール法(2極法)
b. ポール・ダイポール法(3極法)
c. シュランベルジャー法(4極法)
d. ダイポール・ダイポール法(4極法)


推定正解:a


20. 掘さくが困難な地層は種々存在し、対処法はそれぞれ異なっているが、下記のa〜d より誤っているものを選びなさい。

a. 泥岩は、水和や膨潤、分散による孔壁崩壊などの掘さく障害を起こしやすいが、それらを軽減するためKCl のような塩類やポリマーなどを含む泥水が使用される。
b. き裂の多い岩盤は、コアがくさび状となりコア詰まりを起こしやすく、エラステイクチューブコアバレルやトリプルコアバレルの使用がコア詰まり防止効果が大きい。
c. 固結度の低い新第三紀の堆積軟岩では、孔壁が容易に崩壊しコアが土砂化するものがある。このような地層の場合には、地質にあったビットで泥水の循環率を向上させて単時間で掘進し、孔壁に与える刺激を少なくする。
d. 粗粒の未固結堆積層では、著しい逸泥を起し掘さくが困難になることがある。逸泥防止策としては、泥水の比重やゲルストレングスを高くすることや逸泥防止剤の添加が有効である。


推定正解:c