RCCM資格試験(H17年度)問題4−2 推定正解および解説は、臨時掲示板での議論を元に作成しました。
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= 鋼構造及びコンクリート部門 =
問題と推定正解および解説 最終更新:2006.10.22

1. 耐候性鋼材の説明として適切でないものをa〜d のなかから選びなさい。

a. 耐候性鋼材の性質は、鋼材表面に緻密なさびを形成し、鋼材表面を保護する。
b. 耐候性に有効な元素としてC 及びMn が添加されている。
c. 飛来塩分量は0.05mdd 以下の環境では、無塗装にて使用する事ができる。
d. 無塗装耐候性橋梁の設計では、腐食代は考慮しない。


推定正解:b
耐候性に有効な元素はC及びMnではない


2. 鋼材の性質の説明として適切でないものをa〜d のなかから選びなさい。

a. 鋼材の合金元素量が多いほど溶接割れが生じやすくなる。
b. 溶接性を確保するために、CとMnの量が規定されている。
c. じん性の規定として0℃Vノッチシャルピー吸収エネルギーがある。
d. 低温環境で圧縮応力を受ける重要な溶接構造部材は、最適なじんせいを確保する事が望ましい。


推定正解:d
低温環境で「引張」応力を受ける


3. 構造物の安全性の照査について適切でないものをa〜d のなかから選びなさい。

a. 構造物の安全性を確保するためには強度、変形および安定について照査しなければならない。
b. 強度についての照査については、部材に発生する応力度が規定されている許容応力度以下であることを照査する必要がある。
c. たわみについての照査は、衝撃も含めた活荷重について部材の総断面で照査する。
d. コンクリート床版を持つ鋼桁のたわみ量の許容量がその他の床版より厳しいのは、鋼桁のたわみによって生じる付加曲げモーメントを制限している。


推定正解:c
活荷重たわみには衝撃は含まない


4. 鋼材の防錆防食方法についての説明で、適切でないものをa〜d のなかから選びなさい。

a. 鋼橋の代表的な防錆防食方法としては、@塗装 A耐候性鋼材 B亜鉛メッキ C金属溶射があげられる。
b. 塗装系を決めるには、架橋位置の環境、維持管理方法を考慮して決める。
c. 亜鉛メッキは電気メッキが主流である。
d. 金属溶射は、構造物の大きさや形状に対する制約が少ない。


推定正解:c
亜鉛メッキは俗に言う「ドブ漬け」が主流


5. 鋼橋の疲労照査についての記述で適切なものをa〜d のなかから選びなさい。

a. 疲労照査は、全ての橋梁形式について照査する。
b. 応力範囲の最大値が変動振幅応力に対する応力範囲の打ち切り限界以下であれば安全性が確保されていると見なして良い。
c. 累積損傷度を評価するとき、全ての応力振幅を考慮する。
d. 溶接継手で板厚の影響を考慮する板厚は25mm以上である。


推定正解:?



6. 溶接継手の設計において適切でないものをa〜d のなかから選びなさい。

a. すみ肉溶接でまわし溶接を行った場合には、まわし溶接部分は有効長に含めないものとする。
b. 溶接線の方向が応力に直角でない場合の有効長は、応力に直角な方向に投影した長さとする。
c. 溶接部の有効長は、始終端を含めた長さとする。
d. 主要部材の応力を伝えるすみ肉溶接のサイズは6mm以上とする。


推定正解:c
溶接終了部は等は有効長に入れない(道示鋼橋編P192)


7. 鋼桁橋の部材の設計で適切なものをa〜d のなかから選びなさい。

a. 引張フランジの自由突出部の板厚規定は、鋼種によって異なる。
b. 連続桁のフランジの有効幅を求める等価支間長は、曲げモーメントが0 になる点の間の距離を用いる。
c. 垂直補剛材と引張フランジは、荷重集中点以外は全てにおいて適当な間隔を設ける。
d. 垂直補剛材の鋼種は、腹板の鋼種にあわせる。


推定正解:b?



8. 溶接施工上の注意で、適切でないものをa〜d のなかから選びなさい。

a. 溶接を行おうとする部材近傍は、十分乾燥させなければならない。
b. エンドタブを設置する目的は、連続溶接をしやすくするためのものである。
c. 自動溶接を使用する場合には、継手の途中でアークを切らないようにする。
d. 吊金具、架設用治具を取り付ける場合は、原則として工場溶接で行う。


推定正解:b?
材端は溶接開始と終了部に該当するので、溶接の品質を損ね易い。従って、端部にタブ(エンドタブと呼ぶ)を取り付けその部分が製品内とならないようにする。


9. 良いコンクリートの条件について、適切でないものをa〜d の中から選びなさい。

a. 所要の強度を有しまた、強度のばらつきが少ないこと。
b. 所要の水密性を有すること。
c. 化学作用、中性化、気象作用、すり減りなどに対して抵抗性があること。
d. 水セメント比w/cが大きく施工性がよいもの。


推定正解:d



10. PC構造物の劣化の原因となるPC鋼材の腐食防止対策について、適切でないものをa〜d の中から選びなさい。

a. ノンブリーディング型グラウトの採用。
b. ポリエチレンシースや亜鉛メッキシースの採用。
c. エポキシ樹脂等による被服鋼材の採用。
d. 橋面防水、コンクリート塗装の採用。


推定正解:d?



11. プレストレッシング直後のプレストレス力に考慮するものについて、適切でないものをa〜d の中から選びなさい。

a. コンクリートの弾性変形。
b. PC 鋼材のリラクセーション。
c. PC 鋼材とシースの摩擦。
d. 定着具におけるセット。


推定正解:b
プレストレッシング直後のプレストレス力は,PC鋼材の引張端に与えた引張力に,@コンクリートの弾性変形APC鋼材とシースの摩擦B定着具におけるセット,これらの影響を考慮して算出する


12. 最小鋼材量について、適切でないものをa〜d の中から選びなさい。

a. コンクリートの乾燥収縮や、温度勾配等により発生する可能性のあるひび割れを有害でない程度に抑えることを目的の1つとしている。
b. 軸方向引張主鉄筋量が極端に少ない部材の場合、設計で想定していない曲げ応力を受けると急激に破壊する恐れがあり、これを防止することを目的の1つとしている。
c. 薄い版状部材では斜引張鉄筋を配置することが困難である。配力鉄筋量が少ないと急激にせん断破壊するおそれがあり、これを防止することを目的の1つとしている。
d. 桁に配置する斜引張鉄筋に丸鋼を用いる場合、異形棒鋼の1.5 倍を配置する。


推定正解:d



13. 床版の設計に関して、適切なものをa〜d の中から選びなさい。

a. 片持版端部は床版の連続性がなくなることを考慮して、2倍の設計曲げモーメントにより設計する。
b. RC床版の最小全厚は車道部で16cm、歩道部で14cmである。PC床版の場合それぞれcm単位で1割減少させて良い。
c. コンクリート橋の床版は一般にコンクリートの支持桁と剛結されているため連続版あるいは片持版の計算式を適用するのが良い。
d. 床版に用いる鉄筋の直径は32mm以下を標準とする。


推定正解:c
桁端部においては「活荷重」による設計曲げモーメントを2倍にする


14. コンクリート締固め養生について、適切でないものをa〜d の中から選びなさい。

a. 内部振動機の挿入間隔は1m以下が標準である。
b. 層打ちする場合内部振動機は下層コンクリートへ10cm程度挿入する。
c. コンクリートの硬化中は、有害な振動、衝撃等の影響をうけないように養生する。
d. 養生方法は湿潤養生を原則とする。


推定正解:a
50cm間隔以下


15. コンクリート構造物の塩害対策として、適切なものをa〜d の中から選びなさい。

a. 塩害の影響が激しい地域に当たっては鋼材のかぶりを10cm以上確保する。
b. 断面形状においてT桁橋のようにできるだけ隅角部の多い形式を選定する。
c. 塩害の影響を受ける地域にあっては、工場製作のプレテンション桁も他のコンクリート構造と同等のかぶりとする。
d. コンクリートの水セメント比はコンクリートの塩分浸透度合いに影響するため、できる限り小さくする。


推定正解:d



16. 溶接欠陥でないものをa〜d のなかから選びなさい。

a. チョーキング
b. アンダーカット
c. スラグ巻き込み
d. ブローホール


推定正解:a
チョーキング(''Chalking'')とは日本語では白亜化(はくあか)とも言い、主に塗装表面が暴露状態の際に紫外線・熱・水分・風等により塗装面の表層樹脂が劣化し、塗料の色成分の顔料がチョーク(白墨)のような粉状になって顕われる現象や状態をいう。


17. 高力ボルト接合の説明において適切なものをa〜d のなかから選びなさい。

a. 摩擦接合に用いるフィラーは、母材の鋼種と同一とする。
b. ボルト孔の中心から板の縁までの最大距離は、ボルト径によって決まる。
c. 現在使用されている摩擦接合用高力ボルトの規格はF8T、F10T、F11Tである。
d. 摩擦接合用高力ボルトの許容力を確保する上で、摩擦面のすべり係数は0.4 以上を確保しなければならない。


推定正解:d
道示鋼橋編P470に「0.4以上のすべり係数が十分得られるよう・・・」と明記


18. 鉄筋コンクリート柱部材のじん性について、誤っているものをa〜d の中から選びなさい。

a. 帯鉄筋等横拘束筋を密に配置すると、じん性が高まる。
b. 曲げ耐力が小さいとじん性は低下する。
c. じん性が大きいほど、振動エネルギーの吸収に優れ、耐震性能が高まる。
d. じん性が大きいほど、部材の耐力を失うことなく大きな塑性変形が可能。


推定正解:b
曲げ耐力の大小とじん性の大小は関係ない


19. 有効プレストレスを算出するに当たって考慮すべき事項について、誤っているものをa〜d の中から選びなさい。

a. コンクリートの弾性変形
b. コンクリートのクリープ
c. コンクリートの乾燥収縮
d. PC 鋼材のリラクセーション


推定正解:a
有効プレストレス力はプレストレッシング直後のプレストレス力に,@コンクリートのクリープ@コンクリートの乾燥収縮BPC鋼材のリラクセーション,これらの影響を考慮して算出する


20. コンクリートの打継目について、誤っているものをa〜d の中から選びなさい。

a. 打継目は、曲げモーメントの小さい位置に設け、部材の圧縮力作用方向と直角に設ける。
b. 打継目付近にはスターラップや配力鉄筋等を他の部分より密に配置する。
c. 打継目は、コンクリート表面のレイタンス、ゆるんだ骨材等を完全に取り除き、十分吸水させて、コンクリートを打継ぐ。
d. コンクリート打設は、新旧コンクリートの温度差が小さくなるように施工する。


推定正解:a
打継目はせん断の弱点となるため、せん断に抵抗するスターラップあるいは配力鉄筋を密に配置する必要がある