RCCM資格試験(H17年度)問題4−2 推定正解および解説は、臨時掲示板での議論を元に作成しました。
補足・疑問等ありましたら、
メールでご連絡ください。
= 河川、砂防及び海岸・海洋部門 =
問題と推定正解および解説 最終更新:2006.10.20

1. 床止めに関する記述として、誤っているものをa〜d のなかから選びなさい。

a. 床止めは、その設置目的及び形状から「落差工」と「帯工」に分類される。
b. 床止めの天端高は、計画河床高と一致させることを基本とする。
c. 原則として、床止め上下流の河床の落差は2m以内とする。
d. 河床の変動と連動して床止めが沈下しないように、屈とう性の構造は採用しない。


推定正解:d
河床の変動と連動した床止めの沈下に対応するため、屈とう性の構造を採用することが多い。


2. 堰の基礎は、不同沈下を起こさないように、良質な地盤に安全に荷重を伝達する必要があるが、設計の考え方として誤っているものをa〜d のなかから選びなさい。

a. 地盤が良好で、十分地耐力があり、圧密沈下などが生じない場合には、直接基礎として良い。
b. 良質な地盤とは、砂層・砂礫層ではN 値が大略30 以上、粘性土層ではN 値が大略20以上と考えて良い。
c. 杭基礎の支持力を計算するうえでは、摩擦力を考慮してはならない。
d. 杭基礎の許容水平変位は、1cm を標準とする。


推定正解:c
杭周面摩擦力を考慮する。


3. 「土木構造物設計マニュアル(案)樋門編」に準拠して現場打ちコンクリート造の函渠を設計する場合の考え方として、誤っているものをa〜d のなかから選びなさい。

a. 函渠の形状は矩形を標準とする。
b. 頂版・側壁は等厚とし、底版は頂版・側壁よりも10cm 厚くする。
c. 縦方向の鉄筋は、原則として横方向の鉄筋の外側に配置する。
d. 原則として定尺鉄筋(50cm ピッチ)を使用する。


推定正解:b
頂版、底版、側壁すべて等厚でもいい。


4. 樋門の構造型式の選定について、以下の文の[  ]にあてはまる正しいものをa〜d のなかから選びなさい。

「樋門の構造形式は、基礎地盤の[  ]および基礎の特性等を考慮して選定するものとし、原則として柔構造樋門とする」

a. 不同沈下量
b. 相対沈下量
c. 圧密沈下量
d. 残留沈下量


推定正解:d
「柔構造樋門設計手引き」p23


5. 排水機場に関する記述として、正しいものをa〜d のなかから選びなさい。

a. 機場本体は、原則として杭基礎とする。
b. 河川管理施設等構造令に準拠する排水機場には、消防法が適用されない。
c. 実揚程とは、外水位と機場のスクリーン前面の内水位との差をいう。
d. 燃料貯油槽は、原則として地下タンク形式とする必要がある。


推定正解:c



6. 歴史的洪水に関する記述のうち、誤っているものをa〜d のなかから選びなさい。

a. 昭和20 年代は大洪水の年であり、特にカスリーン台風では利根川の堤防が破堤し、首都東京が大きな被害を受けた。
b. 昭和28 年は、梅雨前線豪雨、南紀豪雨などにより全国のほとんどの都府県で水害が発生した。
c. 昭和34 年の伊勢湾台風では、高潮・氾濫が多くの人々や家屋に被害をもたらした。この洪水が契機となって治山治水基本対策要綱が策定された。
d. 昭和49 年の多摩川や51 年の鶴見川等相次ぐ都市水害を契機として、総合治水対策特定河川事業が制定された。


推定正解:c
治山治水基本対策要綱は伊勢湾台風の前。伊勢湾台風を契機に策定されたのは治山治水緊急措置法。


7. 特定都市河川浸水被害対策法に関する記述うち、誤っているものをa〜d のなかから選びなさい。

a. 知事や市町村長、河川管理者、下水道管理者が共同で流域水害対策計画を策定する。
b. 河川管理者は、流域水害対策計画に基づいて、河川から離れた場所で貯水貯留浸透施設を整備できる。
c. 流域水害対策計画に基づいて下水道事業を実施する自治体は、事業実施の利益を受ける他の自治体に費用を負担させることができる。
d. 一定規模以上の防災調節池の保全にあたって、河川管理者は必要な措置を助言・勧告できる。


推定正解:d
「河川管理者」が正しくは「都道府県知事」。


8. 危機回避方策に関する記述のうち、誤っているものをa〜d のなかから選びなさい。

a. 洪水ハザードマップは、浸水予想区域、最大浸水深、避難場所を記載するものであり、都道府県が主体となって作成する。
b. 洪水氾濫が発生した場合、氾濫に関する情報を、住民に適切に伝達することが重要である。
c. 浸水被害が発生した場合、避難勧告及び避難指示は市町村長が発令する。
d. 氾濫流を制御する手法として、二線堤や輪中堤等がある。二線堤設置については、設置に伴い浸水深が増大する地域があるので注意を要する。


推定正解:a
ハザードマップ作成主体は市町村。


9. 多自然型川づくりに関する記述のうち、誤っている項目をa〜d のなかから選びなさい。

a. 瀬や淵は多様な河川環境を形成するために欠くことのできない重要な要素である。特に瀬は水生昆虫や付着藻類などの多くの生物が生息・生育しているので特に重要である。
b. 生物の多様な生息・生育の場を保全するためには、みお筋などの深掘れの進行により河岸などが侵食されないように、低水路はできるだけ平坦な河床にすることが望ましい。
c. その川がもともと有していた生物の多様な生息・生育環境を保全・復元することが重要である。
d. 保全・復元にあたっては、安易な河道の直線化などは避け、川の自然の復元力を最大限活かすことに努めるべきである。


推定正解:b
河床を平坦にせず変化をつける。


10. 砂防に関する諸計画について、誤っているものをa〜d の中から選びなさい。

a. 火山砂防計画で対象とする土砂移動現象は、火山砂防地域において、降雨等により発生する土石流等及び火山活動に起因して発生する火山泥流とし、必要に応じ溶岩流等も対象とする。
b. 天然ダム等異常土砂災害対策計画で対象とする現象は、降雨や地震等により発生した崩壊に伴い、河道が閉塞して形成された天然ダムの決壊による下流の大規模な土石流のみである。
c. 都市山麓グリーンベルト整備計画の策定では、無秩序な市街化の防止を図り当該地域の安全を確保するために、他事業や各種法令に基づく土地利用規制等と連携を図ることが重要である。
d. 急傾斜地崩壊対策計画の策定では、計画区域及びその周辺における自然環境・景観等に十分配慮する。


推定正解:b
砂防基準計画編(H17改定)P57に、対象とする現象は次の2点とある。 (1) 天然ダム上流域の保全対象の水没 (2) 天然ダムの決壊による大規模な土石流


11. 重力式コンクリート砂防えん堤(堤高15m 以上)に関する平常時の設計荷重の組み合わせについて、正しいものをa〜d の中から選びなさい。

a. 静水圧+堆砂圧+揚圧力+温度応力
b. 静水圧+地震時慣性力+地震時動水圧
c. 静水圧+揚圧力+地震時動水圧
d. 静水圧+堆砂圧+揚圧力+地震時慣性力+地震時動水圧


推定正解:?



12. 鋼製砂防構造物に関する記述について、誤っているものをa〜d の中から選びなさい。

a. 鋼製砂防構造物用の鋼材は、一般的にじん性に富み、品質が均一、現地組立が主体で省力効果が大きい、腐食に対する抵抗性が小さい等の性質を有する。
b. 透過型鋼製砂防えん堤は、土石流対策施設、流木対策施設、火山対策施設として用いられる場合が多い。
c. 透過型鋼製砂防えん堤のスリット純間隔は、流木の捕捉を目的とする場合は最大礫径の2.0 倍以上で最大流木長の1/2 以下に設定する。
d. 鋼製透過型砂防えん堤の土石流時の設計荷重は、自重、土石流の流体力、堆砂圧である。


推定正解:?



13. 地すべり杭の設計について、誤っているものをa〜d の中から選びなさい。

a. 杭の設置位置は、原則として地すべり運動ブロックの中央部より下部の、地すべり土塊の圧縮部で、しかもすべり層の比較的厚い、受動破壊の起こらない所とする。
b. 杭の設計に当たっては、杭背面に十分な地盤反力が期待される場合は、所定の計画安全率を得るに必要なせん断強度のみを満足するせん断杭として設計しても良い。
c. 地すべり防止工事の保全対象となる構造物、または斜面が地すべり運動ブロックの引張部のみに限られている場合には、せん断杭として設計しても良い。
d. 杭の施工は、削孔した垂直孔に杭を挿入し、グラウトするのが一般的であるが、地すべり対策の応急処置として、鋼管杭及びH型鋼杭等の打込杭が用いられる。


推定正解:c
保全対象の位置で杭タイプは決まらない。


14. 急傾斜地崩壊対策の擁壁工について、誤っているものをa〜d の中から選びなさい。

a. 擁壁工は、斜面下部の安定、小規模崩壊の抑止、のり面保護工の基礎、崩壊土砂のしゃ断、押さえ盛土の補強などを目的とする。
b. 擁壁工の設計位置は、施工時にできるだけ斜面下端の切土をしないような位置に設置する。
c. 擁壁の地震時の検討については高さに関わらず不要。
d. 崩壊を直接擁壁のみで抑止できる場合は少なく、他工法と併用する場合の基礎として設計する場合が多い。


推定正解:c
H=8.0m以上は地震時考慮。


15. レーダー雨量計のZ(レーダー反射因子)とR(降雨強度)の関係式のうち、正しいものをa〜d のなかから選びなさい。

a. Z=β+RB
b. R=B+Z
β
c. R=βZ
B
d. Z=BR
β


推定正解:d
http://homepage1.nifty.com/weather/yoho-note/yoho11.html


16. 津波に関する記述のうち、誤っている項目をa〜d のなかから選びなさい。

a. 津波は多くの場合、海底地震によって引き起こされる。
b. リアス式海岸の場合、津波による被害が大きくなる。
c. 津波と高潮対策の対象とする外力とを、同時に考慮して計画することが合理的である。
d. 津波対策の計画潮位は朔望平均満潮位とし、これに計画津波を作用させて津波遡上高を求める。


推定正解:c
そこまでの最悪ケースの同時発生は見込まない。


17. 堤体材料として望ましくない土をa〜d のなかから選びなさい。

a. 粒度分布のよい土
b. シルト分の多い土
c. 細粒分(0.075mm 以下の粒子)が50%以下の土
d. 径10cm 程度の礫を含む土


推定正解:b
河川土工マニュアル p.72


18. 堤防に設置する坂路および階段について、誤っているものをa〜d のなかから選びなさい。

a. 坂路は計画堤防内に設置しない(計画堤防を切り込まない)ことを基本とする。
b. 川表側に設置する坂路は、原則として逆坂路を避けることを基本とする。
c. 階段は計画堤防内に設置しない(計画堤防を切り込まない)ことを基本とする。
d. 階段を設ける場合は、施設の両端から1m以上の法面保護を施す


推定正解:c
階段は堤防を切り込んで設置するため、川裏側を拡幅する。


19. 砂防堰堤の設計順序について、正しいものをa〜d のなかから選びなさい。

a. 形式の選定→水通し設計→本体設計→基礎設計→前庭部保護工設計・袖設計
b. 形式の選定→本体設計→基礎設計→水通し設計→前庭部保護工設計・袖設計
c. 形式の選定→基礎設計→水通し設計→本体設計→前庭部保護工設計・袖設計
d. 形式の選定→本体設計→水通し設計→基礎設計→前庭部保護工設計・袖設計


推定正解:a
河川砂防技術基準の通り。


20. 粗度係数に関する記述のうち、誤っているものをa〜d のなかから選びなさい。

a. 複断面河道においては、一般に高水敷の粗度係数と低水路の粗度係数とに分けて定める。
b. 高水敷の粗度係数は、植生の違いや植生の高さ、洪水時の水深によって大きく変化する。
c. 低水路粗度係数は、河床材料の粒径によって定まり、洪水期間中はほとんど変化が無い。
d. 合成粗度係数とは、異なる粗度状況を持つ複数の場所の影響や断面形状の影響が合成されて反映されたものである。


推定正解:c
洪水期間中に大きく変化する。