No.18416 RE:総監部門 リスクアセスメントの用語について 投稿者:APEC 投稿日:2009/06/17(Wed) 01:14
皆さんの議論のおかげで、受験生の皆さんの認識が深まっていることと思います。ありがとうございます。
たとえば信頼限界99%で製品管理をして出荷している場合、100個に1個は不良品が出てもしかたないと考えるわけですよね。
つまり、この品質管理システムは発生確率を1%に低減する(リスクマトリクスでは↓の移動になる)リスク低減策であるとともに、なお残る1%の不良品発生に関してはリスクを保有しています。
保有しているわけですから、これ以上リスク発生確率を下げる対策はとっていません。ちょっとでも確率低減の何かをすればそれは低減策です。(ただしマネジメントといえるような「何か」ですが)
一方、このようにすると100個に1個の割合で返品されたりして、相応の損害というか被害が出ます。だから「お金を払う覚悟」は当然あります。リスクがゼロになったりしないわけですから、払わなければいけないのは当然です。
たとえば1個あたりの返品被害額が10,000円で、製品が10,000個出荷されているとすると、
10,000円×10,000個×0.01=1,000,000円
の損害が見込まれるわけです。しかしこの損害をさらに下げる(発生確率をさらに下げる)ためには検査システムなり機械なりに投資が必要で、それが上記損害額より高くつくならば、リスクを保有したほうが割安なわけです。
この1,000,000円の出費は年間予算に計上します。そのお金をあらかじめ用意することは「移転」ではありません。検査費用を計上するのと変わりません。
リスクがゼロにはならない以上、リスクに対して何もしないで、顕在化したときに「お金を払う」という以外に方法はありません。「ちょっと我慢して受け入れる」のも同じで、リスク保有です。「リスク許容」という「別のもの」はありません。
ついでに、0.01%の確率で何かの事故が起こって賠償金などで10,000,000円を払わねばならないと見込まれるとします。見込み額は
10,000,000円×10,000個×0.0001=10,000,000円
なのでさすがにこれはイタイと考え、1,000,000円を掛けて保険に入るという手があります。リスク移転ですね。
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