平成19年度技術士第一次試験専門科目問題(上下水道部門) 提供:峰雄さん   各部門の部屋Topへ
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Ⅳ 次の35問題のうち25問題を選択して解答せよ。(専門科目解答欄に1つマークすること。)


Ⅳ-1 水道法に関する次の記述のうち,不適切なものを選べ。
① 地方公共団体は,水道法の目的を達成するため水道の広域的な整備を図る必要があると認めるときは,関係地方公共団体と共同して,水道の広域的な整備に関する基本計画を定めるべきことを厚生労働大臣に要請することができる。
② 水道事業者は,給水区域を拡張し,給水人口若しくは給水量を増加させ,又は水源の種別,取水地点若しくは浄水方法を変更しようとするときは,厚生労働大臣の認可を受けなければならないが,その変更が他の水道事業の全部を譲り受けることに伴うものであるときは,厚生労働大臣の認可を受ける必要はない。
③ 水道事業者は,その供給する水が人の健康を害するおそれがあることを知ったときは,直ちに給水を停止し,かつ,その水を使用することが危険である旨を関係者に周知させる措置を講じなければならない。
④ 水道事業者は,水道の需要者に対し,水質検査の結果,水道事業の実施体制や水道施設の整備その他水道事業に要する費用などの情報を提供しなければならない。
⑤ 水道事業者は,水道の管理に関する技術上の業務の全部又は一部を他の水道事業者若しくは水道用水供給事業者又は当該業務を適正かつ確実に実施することができる者として政令で定める要件に該当するものに委託することができる。


Ⅳ-2 上水道の基本計画に関する次の記述において,(ア)~(エ)に入る語句の組合せとして適切なものを①~⑤の中から選べ。
基本計画の策定に当たっては,次の各項により計画の基本事項を明らかにするものとする。
(1)計画年次
基本計画において対象となる期間であり,計画策定時より(ア)年間を標準とする。
(2)計画給水区域
計画年次までに(イ)を布設し,給水しようとする区域であり,広域的な配慮のもとに決定する。
(3)計画給水人口
計画給水区域内人口に(ウ)を乗じて決定する。
(ウ)は,過去の実績や今後の水道の施設計画などを総合的に検討のうえ決定する。
(4)計画給水量
原則として(エ)を基に決定する。


     ア     イ      ウ         エ
 ①  10     給水管   計画有効率     用途別使用水量
 ② 15~20   配水管   計画給水普及率   用途別使用水量
 ③ 15~20   給水管   計画有効率     計画取水量
④  10     配水管   計画有効率     用途別使用水量
⑤ 15~20   配水管   計画給水普及率   計画取水量


Ⅳ-3 富栄養化した湖沼水を水道水源として利用する場合の影響に関する次の記述のうち不適切なものを選べ。
 ① アンモニア性窒素による塩素要求量の増加
② プランクトン等の増殖に伴う光合成作用によるpH値の低下
③ プランクトン等によるろ過池の閉塞
④ 底質からの鉄等の溶出に起因する赤水等の障害
⑤ 凝集沈澱処理への障害


Ⅳ-4 浅井戸,深井戸に関する次の記述のうち,正しい組合せを①~⑤の中から選べ。
 ア)不圧地下水または伏流水を取水する井戸である。
 イ)被圧地下水を取水する井戸である。
 ウ)帯水層の面的広がりよりも帯水層の立体的な広がりが重要である。
 エ)一般に鉄筋コンクリート製の井筒を地下に設置し,その底面または側面から井筒内へ集水し,その水を水中モータポンプなどで揚水する施設である。
 オ)気象条件に影響されにくく,水温の変化も年間を通して少なく,水量,水質ともに安定している。

    ア   イ   ウ   エ   オ
 ① 深井戸 浅井戸 浅井戸 浅井戸 深井戸
 ② 浅井戸 深井戸 深井戸 浅井戸 浅井戸
 ③ 深井戸 浅井戸 浅井戸 深井戸 浅井戸
 ④ 浅井戸 深井戸 浅井戸 深井戸 浅井戸
 ⑤ 浅井戸 深井戸 深井戸 浅井戸 深井戸


Ⅳ-5 浄水処理に関する次の記述のうち,不適切なものを選べ。
① 緩速ろ過法は,砂層表面や砂層内部に増殖した藻類や細菌などの生物によって作られた生物ろ過膜によって水中の不純物を除去する方法である。
② 急速ろ過の前処理に用いられる凝集剤としては,濁質コロイドの荷電を中和するアルミニウム塩類のみの使用が認められている。
③ 凝集処理においてはアルカリ剤の添加が必要となる場合がある。水道用のアルカリ剤としては,消石灰,ソーダ灰,カセイソーダが使われている。
④ ジャーテストとは,凝集・沈澱に最適なpH,薬品添加量を決定する試験である。
⑤ 急速ろ過法に用いるろ過砂は,日本水道協会規格で品質が定められている。


Ⅳ-6 水道で消毒に用いる塩素剤に関する次の記述のうち,適切なものを選べ。
① 塩素ガスは空気より軽く,刺激臭のガスである。
② 液化塩素中の有効塩素は,約50%である。
③ 次亜塩素酸ナトリウムは淡黄色の液体で酸性が強い。
④ 市販の次亜塩素酸ナトリウムは有効塩素濃度が5~12%程度である。
⑤ 次亜塩素酸カルシウムは,粉末,穎粒及び錠剤があり,有効塩素濃度は60%以上で保存性が悪い。


Ⅳ-7 高度浄水処理に関する次の記述のうち,不適切なものを選べ。
① 精密ろ過膜は,孔径は0.01μmから10μm程度で,ふるい分け原理に基づいて粒子の大きさで分離を行うろ過法に用いられる。
② オゾンは強い酸化力により,色度の除去,異臭味の除去などが期待できる無色無臭の気体である。
③ 同量の活性炭を使用する場合,見かけの吸着速度は,粉末活性炭のように粒径の小さい方が比表面積が大きく吸着速度も速い。
④ 生物活性炭処理では,吸着だけでなく,生物による処理効果も期待できる。
⑤ 限外ろ過膜はUF膜ともいい,孔径は数nmから数十nm程度であるが,分離性能は分画分子量で表す。


Ⅳ-8 新設または更新工事を行った水道管の洗浄・消毒の作業手順を①~⑤ の順番に並べて記述しているが,そのうち,不適切なものを選べ。
① 管の洗浄は,排水管や消火栓を利用するか,管末に排水器などを取りつけて排水しながら行う。効果的に洗浄するためには,管内流速を0.5m/s以上とすることが必要である。
② 管の消毒は,洗浄排水を続けながら,上流端の消火栓,分水栓等の開口部からプランジャポンプなどにより,管内の残留塩素濃度が10mg/ℓ程度になるように塩素水を注入する。
③ その後,塩素注入と排水を中止し,約24時間静置後,管内の残留塩素濃度が5mg/ℓ以上であれば,水道水の注入に切り替えて排水を再開する。
④ 排水の残留塩素濃度が低下し,水道水と同程度になった時点で,濁度,臭気,pH値等を測定し,これらの測定値が水質基準に適合すれば使用を開始する。
⑤ なお,塩素を含む水を排水する場合は,放流先の状態に応じて,塩素臭や魚類のへい死など被害が発生しないよう,チオ硫酸ナトリウム等による脱塩素処理を行う。


Ⅳ-9 地下に埋設する管やケーブルの企業別明示テープの地色に関する,次の組合せのうち,不適切なものを選べ。
① 電力線    -   オレンジ色
② 水道管    -   青色
③ 下水道管   -   茶色
④ 工業用水道管 -   赤色
⑤ ガス管    -   緑色


Ⅳ-10 計画・設計段階におけるポンプのキャビテーション対策に関する次の記述のうち,不適切なものを選べ。
① ポンプの据付位置をできるだけ下げる。
② 吸込管の口径はできるだけ大きくする。
③ ポンプの回転速度を低くする。
④ 吸込側のバルブで流量調節をする。
⑤ 両吸込形または立軸のポンプを採用する。


Ⅳ-11 水道施設の災害対策に関する次の記述のうち,不適切なものを選べ。
① 配水池の流出入管など構造物に埋め込む管と地中埋設管の接続部には,伸縮可撓管を設けることを原則とする。
② 配水池流出管など主要な管の弁類は,非常時に緊急閉鎖できる構造とし,必要に応じて自動緊急遮断弁を設けることが望ましい。
③ 地上構造物においては,原則として震度法によって耐震設計を行うこととする。
④ 水道事業体間の連絡管の整備は,災害時に被害が広範囲に及ぶことになるため,水道施設の災害対策としてふさわしくない。
⑤ 送水管,配水管の耐震化に際しては,水運用上重要度の高い基幹管路,避難所,救急病院,応急給水拠,点等震災時の応急対策上重要な施設や福祉施設等の災害弱者の施設への給水ルートとなる管路等を勘案して,整備すべき管路の優先順位を定める。


Ⅳ-12 コンクリート構造物の劣化側定方法に関する次の組合せのうち,その正誤の正しいものを①~⑤の中から選べ。
 ア)コンクリートの圧縮強度測定  -  シュミットハンマー法
 イ)クラック深さ測定       -  自然電位法
 ウ)中性化測定          -  フェノーノレフタレイン法
 エ)鉄筋の腐食状況調査      -  超音波測定
 オ)外壁の浮き調査        -  法打診調査法

   ア  イ  ウ  エ  オ
 ① 正  誤  誤  正  正
 ② 誤  正  誤  正  正
 ③ 正  誤  正  誤  正
 ④ 正  誤  正  正  誤
 ⑤ 誤  正  誤  正  誤

Ⅳ-13 水の圧力に関する次の文章において,下線部分が不適切なものを選べ。
図に示すように,水槽から管路を通じて水が一定流量で流出しているものとする。このとき,管末を瞬間的に弁により遮断すると,①慣性力をもって進行していた管内の水が弁において急に止められるから,弁における圧力は急に②下降し,この圧力変化は管内を③上流に向かって④圧縮波の波速で伝わる。この現象を⑤水撃作用という。



Ⅳ-14 浄水施設の排水処理に関する次の記述のうち,不適切なものを選べ。
① 脱水能力10m3/日を超える脱水施設は,水質汚濁防止法の特定施設に指定されており,これらの施設を設置する特定事業場(浄水場)から公共用水域に排出される排水は,水質汚濁防止法の排水基準が適用される。
② 1日当たりの処理能力が100m3を超える天日乾燥床は産業廃棄物処理施設となり,「廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行規則」に定められている技術上の基準が適用される。
③ アルミニウムの濁度に対する添加比(Aℓ/T比)は,高ければ高いほどスラッジの脱水性が良い。
④ 気温が下がる冬季には水の粘度は高くなり,一般的にスラッジの脱水性が悪くなるが,スラッジを蒸気等で加温することにより脱水性を向上させる方法がある。
⑤ 計画処理固形物量は,計画浄水量,計画原水濁度及び凝集剤注入率等を基礎として算定する。


Ⅳ-15 水道の水質管理に関わる次の記述のうち,不適切なものを選べ
① 有機物質(TOC)の水道水質基準値は,5mg/ℓ以下である。
② 農薬類の水質管理目標値は,1以下(各対象農薬の検出値と目標値の比の和として)である。
③ 水質管理目標設定項目において,臭気強度の検査方法は官能法によることとされている。
④ 大腸菌の検査には特定酵素基質培地法を用いる。
⑤ 水道水質基準項目のうち,硝酸性窒素及び亜硝酸性窒素の検査については,一定の条件を満たす場合に省略することができる


Ⅳ-16 配水施設内での水質変化と対応に関する次の文章において,下線部分が不適切なものを選べ。
 塩素と水道水中の① 有機物の反応によって生成される,② トリハロメタンなどの消毒副生成物は,残留塩素濃度,③ pH値,水温や接触時間に影響されるため,配水施設での滞留時間を④ 長くするとともに,残留塩素濃度を⑤ 低く管理することが望ましい。


Ⅳ-17 水道の安全衛生管理に関する次の記述の正誤の組合せとして,適切なものを①~⑤の中から選べ。
ア)常時50人以上の労働者を使用する事業場ごとに,産業医を選任しなければならない。
イ)水道法に基づく定期の健康診断とは,健康診断対象者に病原体が便中に排泄される感染症(赤痢,腸チフス,パラチフスなど)の保菌者がいるかどうかを検査するものであり、おおむね6箇月ごとに行う。
ウ)水道法に基づく臨時の健康診断とは,業務従事者を新たに雇い入れる時に行う健康診断のことである。
エ)水道法に基づく定期及び臨時の健康診断を行ったときは,これに関する記録を作成し,一定期間保存しなければならない。
オ)活性炭は消防法による指定可燃物に該当するので,火気の取扱いには十分注意する。

   ア  イ  ウ  エ  オ
 ① 誤  正  誤  正  正
 ② 誤  正  正  誤  誤
 ③ 正  正  誤  正  正
 ④ 誤  誤  正  正  正
 ⑤ 正  誤  誤  正  誤


Ⅳ-18 雨水流出抑制対策に関する次の文章において,下線部分が不適切なものを選べ。
 近年,都市の再開発,周辺部の市街化の進展等に伴い,市街地における① 雨水の浸透面積が減少し,② 雨水の流出量が増大するとともに③ 長時間にわたって雨水が流出するようになってきている。そのため雨水排除計画の策定にあたっては,従来から行われている河川改修や下水道整備によって雨水を④ できるだけ速やかに流出させる雨水排除に加え,雨水を貯留,浸透させ,⑤ できるだけゆっくりと流出させたり,減少させたりする雨水流出抑制対策についても検討を行う必要がある。

Ⅳ-19 下水管きょの改築は,更生工法と敷設替え工法に分類される。次の記述のうち更生工法に該当しないものを選べ。
① 反転工法  ② 形成工法  ③ さや管工法
④ 製管工法  ⑤ 改築推進工法


Ⅳ-20 計画雨水量の算定に関する次の記述のうち,不適切なものを選べ。
① 最大計画雨水流出量の算定は,原則として合理式によるものとする。
② 流出係数は,原則として工種別基礎流出係数及び工種構成から求めた総括流出係数を用いる。
③ 確率年は,10~30年を標準とする。
④ 流達時間は,流入時間と流下時間の和である。
⑤ 排水面積は,地形図をもとに,道路,鉄道,在来河川・水路の配置等を踏査によって十分に調査し,将来の開発計画をも考慮して正確に求める。


Ⅳ-21 下水道の収集システムとしては自然流下式,真空式,及び圧力式がある。真空式の特徴に関する次の記述のうち,不適切なものを選べ。
① 管径は,一般的に内径100~250mmである。
② 建設コストは,地形条件により,他方式より安価となることがある。
③ 収集原理は,負圧を利用して搬送するものである。
① 維持管理コストは,自然流下式より一般的に安価である。
⑤ 管路は,浅層にほぼ一定の深度に埋設できる。


Ⅳ-22 下水道の開き上に関する次の記述のうち,不適切なものを選べ。
① 開きょには,一般に無筋コンクリート,石積み,コンクリートブロック積み,鉄筋コンクリート,鉄筋コンクリート組立て土留め,プレキャストL形ブロック等を用いる。
② 開きょの断面形は,台形又は長方形を標準とし,流量,流速,用地,護岸の種類等によって定める。
③ 開きょの場合の流下能力の計算は,河道の状況に応じて等流又は不等流の計算を行う。また,平均流速公式は,一般にManning 式を用いる。
④ 開き上の余裕高は,0.1H(Hは開き。上の深さ)以上とすることができる。ただし0.1H>0.7mの場合は0.7mとする。
⑤ 石積み及びコンクリートブロック積み開きょののり高は5m程度を限度とし,のりこう配は1:0.3~1:1.0の範囲が一般的である。


Ⅳ-23 下水道シールド工法に関する次の記述のうち,不適切なものを選べ。
① シールド工法によって築造される管きょは,一次覆工(セグメント)と二次覆工とで構成されるが,近年二次覆工を省略できるセグメントも使用されている。
② 一次覆工は,セグメントによりトンネルを構築するもので,水久構造物として土荷重,水圧,上載荷重及びシールドジャッキの推力等に耐える構造とする。
③ 下水道シールド工事用セグメントには鋼製セグメント及びコンクリート系セグメントがあり,これらの形状,寸法等が仕上がり内径1,500~5,000mmについて日本下水道協会規格に定められている。
④ 鋼製セグメントは,材質が均一で強度が高く他の材質と比較して軽量である。また,耐久性に富み,耐圧縮性に優れているため,土圧,ジャッキ推力等に対して座屈の発生がなく,剛性が大きく,施工に留意すれば,水密性に優れている。
⑤ 二次覆工は,通常一次覆工の内側に無筋コンクリートを巻立てるもので,セグメントを内側から保護し,永久的にトンネル断面を確保するとともに,下水道管きょに適合した機能を果たす役目を有する。


Ⅳ-24 下水道の管きょ計画に関する次の記述のうち,不適切なものを選べ。
① 合流管きょの計画下水量は,計画雨水量と計画1日最大汚水量とを加えた量とする。
② 汚水管きょの計画下水量に対する余裕は管径によって異なるが,内径700mm以上1,650mm未満の管きょでは,50以上100%以下を標準とする。
③ 流速は一般に下流に行くに従い漸増させ,こう配は,下流に行くに従いしだいに緩くなるようにする。
④ 管きょの断面形は,円形又はく形を標準とし,小規模下水道では円形又は卵形を標準とする。
⑤ 雨水管きょ及び合流管きょの最小管径は250mmを標準とする。


Ⅳ-25
各種活性汚泥法の反応タンク(または回分槽)における標準的なHRTに関する次の組合せのうち,不適切なものを選べ。
① 標準活性汚泥法        -   6~ 8 時間
② オキシデーションディッチ法  -  24~48 時間
③ 長時間エアレーション法    -   8~12 時間
④ 回分式活性汚泥法(高負荷型) -  12~24 時間
⑤ 酸素活性汚泥法        -  1.5~3.0 時間


Ⅳ-26 下水道のポンプ場の設計に関する次の記述のうち,不適切なものを選べ。
① ポンプの計画吸込み水位は,原則として,汚水ポンプは流入管きょの時間最大汚水量,雨水ポンプは流入管きょの計画下水量が流入する際の水位から求める。
② 沈砂池の平均流速と滞留時間は,汚水,雨水ともに,平均流速0.30m/秒程度,滞留時間30~60秒を標準とする。
③ 沈砂池には,池の操作,不時の停電,沈砂池機械やポンプの修繕等のため,流入口にゲートを設け,流出口にゲートまたは角落しを設ける。
④ 下水道用の主ポンプの形式には,軸流ポンプ,斜流ポンプ,渦巻き斜流ポンプなどがあり,吸込み実揚程が大きい場合には,立軸形を標準とする。
⑤ ポンプの設置台数は,計画汚水量及び計画雨水量に対して,汚水ポンプでは2~5台,雨水ポンプでは2~6台を標準とする。


Ⅳ-27 活性汚泥法の散気装置に関する次の記述のうち,不適切なものを選べ。
① エアレーション方式には,散気式と機械かくはん式があり,散気式は主として散気式反応タンクに使用される。
② 微細気泡性の散気装置には,散気板,多孔管,メンブレンディフューザ等がある。
③ 反応タンクの必要空気量は,流入水質や硝化の有無を考慮して求める必要酸素量に基づいて,散気装置の酸素移動効率から適正に求める。
④ 送気圧は,散気装置にかかる水圧と,空気ろ過器,送気管,風量測定装置,散気装置等の通過抵抗の合計に余裕を加えたものとする。
⑤ 散気式反応タンクに設ける送風機としては,遠心式ターボブロワ及び容積形回転式ブロワが一般的で,機種は,送風量,送気圧,風量制御方式,騒音等を勘案して選定する。


Ⅳ-28 下水汚泥の処理処分に関する次の記述のうち,不適切なものを選べ。
① 浮上濃縮には,加圧浮上濃縮と常圧浮上濃縮があり,浮上濃縮を用いる場合は,重力濃縮では濃縮性の悪い余剰汚泥等を対象とすることが多い。
② 消化方式は,1段消化又は2段消化とし,2段消化は一次タンクにおいて固液分離を行い、次いで二次タンクで生物反応を行う。
③ 脱水のための凝集剤には有機性のものと無機性のものがあり,ベルトプレスろ過機や遠心脱水機には有機性のものを,真空ろ過機や加圧ろ過機には無機性のものを使用する。
④ 焼却の前工程として乾操する場合は,自然焼却が可能となるよう,乾燥汚泥の目標含水率を,おおむね70%程度とする。
⑤ 下水汚泥のコンポスト化とは,下水汚泥中の易分解性有機物を好気性雰囲気において微生物によって分解(又は発酵という)させて,緑農地に利用可能な形態・性状までに安定化することをいう。


Ⅳ-29 接触酸化法の特徴に関する次の記述のうち,不適切なものを選べ。
① 返送汚泥の必要はなく,運転管理が容易である。
② 生物相が多様で処理効果が安定している。
③ 比表面積の大きな接触材を採用し,付着生物量を多量に保持することにより,流入基質の変動に柔軟に対応することができる。
④ 汚泥の自己酸化が期待でき,余剰汚泥量が少ない。
⑤ 付着生物量は任意に調整できるので,操作条件の変更に対応しやすい。


Ⅳ-30 活性汚泥法の浄化機能に関する次の記述のうち,不適切なものを選べ。
① 下水中の有機物は,活性汚泥と接触後の短時間にその多くが除去される。この現象を初期吸着という。
② 活性汚泥に摂取された有機物は,微生物の栄養源となる。それは主に酸化による分解(エネルギー生産)と同化による合成(細胞合成)に利用される。
③ 活性汚泥の酸素利用量は見かけの有機物除去量とは関係なく,酸化及び同化量に対応する。
④ 酸化・同化されない有機物は系内に貯留され,内生呼吸により酸化されない細胞物質とともに,最終的に余剰汚泥として系外に排出される。
⑤ 標準活性汚泥法では,対数増殖期の状態にある微生物により下水が処理されて,活性汚泥微生物の反応タンクでの良好な有機物除去と最終沈殿池での良好な沈降・分離が図れることになる。


Ⅳ-31 オキシデーションディッチ法の特徴に関する次の記述のうち,不適切なものを選べ。
① 流入下水量,水質の時間変動及び水温低下(5℃近く)があっても,安定した有機物除去ができる。
② 低負荷条件で処理するため,SRTが短くなり硝化反応が抑制される。
③ 反応タンク内のDO(溶存酸素)濃度は,混合液の流れ方向に濃度勾配が生じるがMLSS濃度,アルカリ度はほぼ均一である。
④ HRTが長く,水深が浅いため,広い処理場用地が必要である。
⑤ 余剰汚泥は,好気性分解が進んでおり,標準活性汚泥法に比べ安定化している。


Ⅳ-32 積雪・寒冷地域における下水処理場の維持管理に関する次の文章において,下線部分が不適切なものを選べ。
 反応タンクでは,水温低下に伴い活性汚泥の処理能力が① 低下することから,良好な処理水質を得る上で,通常よりMLSSを② 高めに設定する。特に,硝化を促進していた施設においては,水温の低下に伴い,硝化が不完全になり処理水N-BODが③ 減少することが多い。この場合,さらに硝化を進めるかは,反応タンクの水温に合わせて,④ 硝化細菌の増殖が可能なASRTを確保できるかどうか,また,そのASRTに必要となるMLSSで最終沈殿池において⑤ 固液分離が可能となるかどうかを判断する。
Ⅳ-33 下水処理場における臭気対策に使用される脱臭方法に関する次の記述のうち,不適切なものを選べ。
① 活性炭吸着法は,悪臭物質を活性炭に通し,物理化学的吸着によって除去するものである。活性炭は比較的高価であり,再生もしくは取り替える必要がある。吸着作用を用いるため,高濃度の臭気に適している。
② 土壌脱臭法は,悪臭物質を土壌に送り,土壌中の微生物等の作用によって吸着及び酸化分解するものである。建設費は安価であるが,広い面積を必要とし,土壌の圧密による通気性・排水性の障害を防止するために,維持管理に手間を要する。
③ 充てん塔式生物脱臭法は,悪臭物質を微生物等の作用によって吸着及び酸化分解するものである。維持管理費は比較的安価であり,設置面積も少ない。高濃度の臭気に対しても有効である。
④ 酸洗浄法は,悪臭物質を塩酸または硫酸に接触させ,中和反応で除去するものである。薬液の中和設備が必要となり,また,薬液のpH値が脱臭効率に関係するため,注意が必要である。
⑤ オゾン酸化法は,悪臭物質をオゾンと接触させ,酸化作用で除去するものである。オゾンは有害であるため,処理ガス中の残留オゾンが過多にならないように注意が必要である。


Ⅳ-34 水質試験項目に関する次の記述のうち,適切なものを選べ。
① 亜硝酸性窒素及び硝酸性窒素を無機性窒素といい,これと有機性窒素(アミノ酸,アンモニア,たんばく質等)をあわせたものを全窒素という。
② 大腸菌群は,グラム陰性,無胞子の短かん菌で,一定期間内に乳糖を分解して,酸と一定量以上のガスとを発生する細菌群をいう。
③ 残留塩素は,処理水を塩素消毒したのちに残存する塩素のことをいい,次亜塩素酸,次亜塩素酸イオンのような結合型残留塩素及びクロラミンのような遊離残留塩素を総称していう。
④ COD(化学的酸素要求量)は,水中に含まれる有機物質が,-定の条件の下で酸化剤によって酸化されるのに要する酸素量をmg/ℓで表したものをいう。
⑤ BOD(生物的酸素要求量)は,水中に含まれる有機物質が,25℃で5日間という条件下で,好気性微生物の働きによって分解されるときに消費される酸素量をmg/ℓで表したものをいう。


Ⅳ-35 事業場排水中の処理対象物質と主な処理方法に関する次の組合せのうち,不適切なものを選べ。
① カドミウム     -  水酸化物凝集沈殿法
② 油類        -  浮上分離法
③ フェノール類    -  生物処理法
④ 有機塩素系化学物質 -  エアレーション法
⑤ クロム       -  薬品酸化法


正解
問題 正解 問題 正解 問題 正解 問題 正解 問題 正解 問題 正解 問題 正解
1 1 6 4 11 4 16 4 21 4 26 1 31 2
2 2 7 2 12 3 17 3 22 4 27 2 32 3
3 2 8 1 13 2 18 3 23 4 28 2 33 1
4 5 9 4 14 3 19 5 24 1 29 5 34 2
5 2 10 4 15 5 20 3 25 3 30 5 35 5