平成20年度技術士第一次試験専門科目問題(森林部門) 提供:栓森連さん   各部門の部屋Topへ
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W 次の35問題のうち25問題を選択して解答せよ。(専門科目解答欄に1つマークすること。)


4-1 森林・林業基本計画に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
(1) 本計画のうち森林に関する施策に係る部分については、環境の保全に関する国の基本的な計画との調和を保つこととされている。
(2) 政府は、本計画を定めようとするときは、全国の主要地域で公聴会を開催し、国民の意見を聴かなければならないとされている。
(3) 政府は、森林及び林業をめぐる情勢の変化を勘案し、 並びに森林及び林業に関する施策の効果に関する評価を踏まえ、おおむね5年ごとに本計画を変更するものとされている。
(4) 本計画は、森林及び林業に関する施策についての基本的な方針、森林の有する多面的機能の発揮並びに林産物の供給及び利用に関する目標、政府が講ずべき施策などについて定めるものとされている。
(5) 政府は、本計画を定めたときは、遅滞なく、これを国会に報告するとともに、公表しなければならないとされている。


4-2 我が国の森林計画制度に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
(1) 森林計画は、森林・林業基本計画に即し、農林水産大臣が全国の森林を対象として5年ごとに15年を1期として策定する計画である。
(2) 地域森林計画は、都道府県知事が、全国森林計画に即し、5年ごとに10年を1期として、森林計画区別にその民有林について策定する計画である。
(3) 国有林の地域別森林計画は、森林管理局長が、全国森林計画に即し、森林計画区別に管理経営する国有林について5年ごとに10年を1期として策定する計画である。
(4) 市町村森林整備計画は、市町村長が、その区域内にある地域森林計画対象民有林につき5年ごとに10年を1期として策定する計画である。
(5) 森林旋業計画は、森林所有者等がその所有する全ての森林について5年を1期として作成する計画であり、市町村長に提出してその認定を受けることが義務づけられている。


4-3 森林・林業に関する国際機関、国際会議に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
(1) FAO(国連食糧農業機関)
国連の専門機関の一つで、森林・林業分野においては、世界の森林や木材貿易に関するデータの収集、公表など多様な活動を行っている。
(2) UNCED(国連環境開発会議)
1992年ブラジルで開催された会議で、持続可能な森林経営に関する「森林原則声明」などが採択された。
(3) UNEP(国連環境計画)
1972年スウェーデンで開催された国連人間環境会議を契機に設立された機関であり、環境問題全般にわたって国際的な枠組みづくりなどに大きな役割を果たしている。
(4) ITTO(国際熱帯木材機関)
構成メンバーを熱帯材生産国に限る国際機関であって、本部がインドネシアのジャカルタにあり、違法な熱帯材の貿易を監視している。
(5) IUFRO(国際森林研究機関連合)
森林・林業及び木材産業分野での研究に関する国際協カの推進を目的としており、世界大会のほか、ワーキンググループによる研究集会などを開催している。

4-4 森林経営の用語に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
(1) 法正林とは、保続収穫が永久に維持できるような状態を目標とした森林を指し、その成立条件として法正齢級関係 (分配)、法正林分配置、法正蓄積、法正成長量の4つが必要である。
(2) 伐採齢とは、将来気象害や病虫害にあわず、正常に成長した場合の生産目的にかなった予測的主伐年齢を指し、代期齢は実際に林木が代られる年齢を指す。
(3) 収穫規整とは、定期的に許容伐採量を予測し、経営目的に沿った毎年の標準伐採量を明示するものであり、その方法としては、区画輪伐法、材積配分法、平分法などがある。
(4) 森林(林業)経営の指導原則とは、森林の持続的かつ永続的発展の観点に立って森林を管理する場合の規範となるものであり、公共性の原則、経済性の原則、保続原則、合自然性などがある。
(5) 作業法を分類したものが作業種であり、分類の基準はいろいろあるが、林型による区分には、高林作業、低林作業、中林作業、竹林作業がある。


4-5 森林、林地に関する次の記述のうち、誤っているものはのはどれか。
(1) 林分の構造は、その構成要素である林分の材積 (蓄積)、平均樹高、平均胸高直径、本数、樹種の混交歩合などのほか、単層林か複層林かなどによって主に表す。
(2) 小班は、事業計画の実行と照査の利便を図るため、尾根や河川、谷などの地形を利用して設ける固定的で半永久的な区画である。
(3) 地利は、林木の生育場所から市場までの距離、あるいは、運搬費用を尺度に林地の経済的な有利さを表す概念である。
(4) 立地級は、地位と地利を総合化したものであり、樹種、作業法、保育法などを定めるに当たって基礎的な要因となる。
(5) 地位の査定方法として、材積収穫量、樹高成長量など成長の結果を直接測定する方法と、土壌や地形、林床植物などの環境因子の観測により間接的に推定する方法がある。


4-6 林分の成長量に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
(1) 総材積成長曲線は、年齢とともにS字曲線 (シグモイド曲線)を描く。
(2) 定期成長量とは、ある―定期間の成長量を指す。
(3) 連年成長量最大の時期は、平均成長量最大の時期より遅い。
(4) 平均成長量最大の時期は、土地が肥沃なほど早く、その値も大きい。
(5) 平均成長量と連年成長量は 平均成長量が最大の時期に同じ値となる。


4-7 人工林の保育に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
(1) 下刈りは、雑草木を除去し植栽木の成長を促すことを目的としており、全刈り、筋刈、坪刈りなどの方法がある。
(2) 除伐は、天然に侵入した不要樹種や植栽木の不良木等を伐倒し、植栽木の成長の障害を除去することを目的としており、下刈りを終え林分が閉鎖するまでの間に行う。
(3) つる切りは、つる植物を除去し植栽木への被害を防ぐことを目的としており、つるが根の貯蔵養分を使い果たした時期に行うのが望ましい。
(4) 枝打ちは、植栽木の下枝を切り、無節で完満な良材を得ることを目的としており、樹皮のむけやすい成長期と材が凍結している厳冬期は避けて実施する。
(5) 間伐は、植栽木相互の競争を管理し目的に合わせて密度を調整する作業であり、林木質に重点をおいた定量間伐と、適正な本数密度を重視した定性間伐がある。


4-8 森林調査を行う場合に必要な情報に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
(1) 地形図を利用して微地形分類する場合、正確を期するため空中写真を使った判読を併用することもある。
(2) 地質図は、岩石の種類、地層の走向・傾斜、断層の位置などの情報を得られるが、利用に当たって注意すべき点は、地表そのものを表した情報でないことである。
(3) 土壌図は、土壌と森林植生に密接な関係があるので重要な情報であるが、利用に当たっては微地形や植生の違いにより土壌の水分環境などが変化することに留意する。
(4) 植生図は、植物の地形的分布を図化したものであるが、利用に当たっては同じ地域でも記述が異なる場合があるので、縮尺や内容をよく吟味することが重要である。
(5) 空中写真は、アナログ情報であるのでデジタル変換してゆがみ補正した正射写真(オルソフォト)にして利用した方が他の情報との照合に便利である。 


4-9 日本の森林土壌に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
(1) 土壌の固体・水・空気の容積比を、固相・液相・気相の三相組成と呼ぶ。
(2) 我が国のように温暖多雨な気候下の土壌は、塩基イオンの流亡が進行し酸性になりやすい。
(3) 土壌は、多少の酸やアルカリを加えても急激で大きなpHの変動を抑制する緩衝作用を持っている。
(4) 日本の亜高山帯など―部の寒冷地や乾燥地では、グライ化作用が進んだ土壌が見られる。
(5) 土壌中に含有される炭素と窒素の比は、炭素率 (C/N比)と呼ばれ、土壌有機物の分解を示す指標である。


4-10 森林生態系に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
(1) 大規模な火山活動や氷河の後退した跡など、生物活動がなされていない広大な裸地に植生が侵入して安定的な状態に至る過程を一次遷移という。
(2) 植物群落は、光合成作用によって太陽の放射エネルギーを有機物の化学エネルギーに変える。これが、植物群落の一次生産である。
(3) 植物群落の持つ単位土地面積当たりの生きた植物体量を現存量と呼び、単位に時間を含む。
(4) 森林生態系の特徴は、他の植物群落より大きな現存量を持ち、物質循環の規模も大きく円滑なことなどである。
(5) 森林生態系において分解者あるいは還元者と呼ばれる微生物類は、生物遺体を分解し無機物に還元する。

4-11 森林の機能・効用に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
(1) 内閣府が平成19年に実施した「森林と生活に関する世論調査」によると、森林に期待する働きとして 「地球温暖化防止に貢献する働き」が最も高い。
(2) 森林の公益的機能とは、水源かん養機能、山地災害防止機能、生活環境保全機能、保健文化機能などの総称である。
(3) 樹木が障害物として働く防風作用は、気温・地温・湿度の低下阻止、地面蒸発・風食の阻止、農作物・住居への機械的な風害の防止効果がある。
(4) 階層構造が発達した森林は、野生鳥獣類に生息・繁殖の場と餌を与え、豊かな動物相を保全する。
(5) 公共目的のための重要な森林は森林法に基づき保安林として指定され、森林の保全や適切な管理のために森林管理者に―定の義務があり、種類は10種類ある。


4-12 森林を構成する植物・樹木に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
(1) 被子植物とは、裸子植物に対応する語で、胚珠(種子)が子房(果実)の中に閉じ込められている植物のことである。
(2) 草本植物とは、木本植物に対応する語で、木質繊維の発達が不十分なため、小形で細い茎を持つ―年生の植物のことである。
(3) 水生植物とは、水辺や水中を生活の場とする植物の総称で、挺水植物(抽水植物)、浮葉植物、沈水植物などに分類される。
(4) 帰化植物とは、もともとその土地になかった植物で本来の自生地から人間、鳥、海流などによって運ばれ発芽し、その地で繁殖するようになった植物のことである。
(5) 陰樹とは、陽樹に対応する語で、日照量の少ないところ、陽光の当たらない環境でも生育に耐える樹木のことである。


4-13 森林の生息動物に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
(1) レッドデータブックは、絶滅のおそれのある野生生物種の生息状況をまとめたもので、国際自然保護連合が世界的な規模でリストアップしたのが最初である。
(2) 中大型哺乳類の個体数調査法には、対象動物を直接観察によって数える直接法と生活痕跡を用いて数える間接法、そしてマーキング法がある。
(3) 野生鳥獣の生息地管理の戦略には、特に重要な種の生育地を保護することにより結果的に他の種も保護されることになる方法と、種の分布の重ね合わせから最も重なりの
多い地域を保護しようとする方法とがある。
(4) 森林性猛禽類の生存を脅かす最大の要因は、森林以外への土地利用や人の異常接近な生息環境の改変である。
(5) 森林に生息する鳥類の個体数調査法には、鳥類の習性を利用した、ベイトトラップ法(誘因餌)、ライトトラップ法がある。


4-14  森林の気象被害に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
(1) 凍裂は、スギ、ヒノキの幼齢木に発生しやすい。
(2) 風害は、広葉樹よりも針葉樹で発生しやすい。
(3) 水害は、排水が妨げられることにより発生する。
(4) 干害は大木よりも苗や稚樹、南斜面で発生しやすい。
(5) 潮風害は、塩分と強風による相乗効果で発生する。


4-15 森林水文に関する次の記述のうち、適切なものはどれか。
(1) 森林は、裸地に比べ蒸散量が少なく、流出量が多い。
(2) 森林土壌は、浸透能が大きく降水の流出量を平準化させる働きがある。
(3) 森林斜面内での地下水面は、降雨強度の大きい降雨が続いても変化しない。
(4) ある降雨に対する流域からの流出を表すグラフにおいて、降雨の時間変化を示すものをハイドログラフ、流出量の変化を示すものをハイエトグラフという。
(5) 渓流に流出する硝酸態窒素(NO3-N)濃度の変動は、閉鎖前の幼齢林で小さく壮齢林で大きい。


4-16 渓流工事に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
(1) 治山ダムの放水路断面は、計画最大高水流量が安全に通過できるよう放水路の下長、越流水深などを求めて決定する。
(2) 流路工は、かなりの区間にわたって横侵食が発生し流入土砂量が多く土砂の堆積のあるおそれのある箇所に施工する。
(3) 床固工は、現在の渓床勾配の維持及び低下を防止して渓床の安定と渓岸の決壊・崩壊の防止を図る。
(4) 護岸工は、渓流において湾曲部、水衝部など水流が渓岸に激突し、横侵食を発生させそれのある箇所に施工される。
(5) 水制工は、渓流沿いの水流の衝撃によって発生した崩壊の脚部又は崩壊のおそれのある箇所に設置し、水流を遠ざけて崩壊の拡大又は崩壊を防止する。


4-17 山腹工事に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
(1) のり切工は、はげ山、崩壊地において岩盤が露出した箇所や、崩壊地頭部などの不安定土砂を排除して、安定した斜面勾配が得られるように計画する。
(2) 山腹空積工は、積石の合端とその背後をコンクリートで固めて、その後背部の山腹斜面に空間をつくり、上部から供給される不安定土砂等が斜面下部に移動しないように計画する。
(3) 山腹排水工は、山腹斜面において地域内外からの地表流下水を集めて、安全に地域外へ開きょや暗きょによって排出するよう計画する。
(4) 筋工は、山腹斜面に階段を設け、この階段上に適当な材料を用いた植生の生育基盤を造成し、筋状に施工する工法である。
(5) 種子吹付工は、種子から植物の導入を図る方法で種子、肥料、肥土、侵食防止剤、水などを混合して、斜面に直接吹き付ける工法である。


4-18 地すべりに関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
(1) 破砕帯地すべりは、新潟、富山、長野北部、九州北西部など日本海側一帯に広く分布する第三紀層に発生するものをいう。
(2) 地すべり調査において、電気探査で大地の見掛比抵抗値が低い地点、また、自然放射能探査で放射能が高い地点は、地下水が多いと推定される。
(3) 地すべり土塊の頭部をカットし、その末端部に盛上する地すべり工事においては、その工事によって上部や下部に地すべりが誘発されないよう注意する必要がある。
(4) 横ボーリングエは、水平より若干上向きにボーリングし、地すべりを促進する地下水を排除して、地すべりを抑制しようとする工法である。
(5) シャフトエは、移動土塊を貫通し不動地盤までライナープレート張りなどの井戸を掘り、そこに鉄筋コンクリートを充填して、地すべりを抑止する工法である。


4-19 治山工事に使う資材に関する次の記述のうち、誤っているのはどれか。
(1) 草木類は、裸地斜面からの土砂生産を直接的に抑止し、早期に保全効果を発揮させるため、やせ地や乾燥に耐えられるもの、生長が早く根茎がよく発達するものなどが用いられる。
(2) 木本類は、失われた森林を回復させるため、生育条件の厳しいところで旺盛に生育するもの、根張りが良く土壌緊縛カが大きいもの、肥沃化など土の理化学性を改善しうるものなどが用いられる。
(3) 木材は、急激な土砂崩壊を緊急に阻止する目的で使用することがあるが、多くは仮工事であり、施工後コンクリートや鋼製の構造物に置き換えられることが多い。
(4) コンクリートは、圧縮強度が小さく引張強度が大きい特徴があり、また任意の形状や寸法に作ることができるので、渓流工事に多く用いられている。
(5) 鋼材は、鋼製ダムの堤体などに使われ、鋼製ダムには、堤体内を小粒径の石れきが通過し転石などの大経れきを捕捉するスリットダム、鋼材で枠を作り内部に石れきを充填した枠構造の治山ダムなどがある。


4-20 測量に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
(1) 三角測量とは、地表面の離れた諸点を結んで三角形の鎖や網を形作り、最初の三角形の1辺 (基線)を直接測量するとともに、各三角形の3つの内角を測定して、正弦法則によって各辺の長さを計算し、各点相互の位置を精密に定める測量である。
(2) トラバースとは、長さと方向の決まった多数の直線の連続したものをいい、このトラ
バースを測線として方向や距離を測定する作業をトラバース測量という。
(3) コンパス測量の放射法は、測量区域の内部文は外部で、各測点がよく見通せる1点を選び、その点より各測点の磁方位角と距離を測る方法で、主に骨組測量に用いる。
(4) ディファレンシャルGPSとは、既知点と未知点において同じ衛星からの電波を同時に受信することによって、既知点における誤差分を未知点の測位結果から減ずることで、測位精度を数メートルまで向上させる測位方法である。
(5) 水準測量は、2点又は多数の点の高低差を求める測量で、直接水準測量と間接水準測量とに大別される。直接水準測量はレベルと標尺 (スタッフ)を用いる。


4-21 林道の幾何構造に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
(1) 林道の全幅員は、交通に供される有効幅員 (車道)の部分と、車道に接続して設けられる路肩を含めており、原則として側溝を含まない。
(2) 建築限界は、交通車両などが安全に通行するために、道路上方及び側方の一定限界内に建築物はもちろん電柱、標識、防護柵なども設置してはならない必要最小限の空間である。
(3) 交通安全上から必要とされている視距を安全視距と称し、林道規程では設計速度別に設定されている。
(4) 林道の多くの曲線部は、小半径が多く、このような小半径の曲線部を自動車が通過する場合に車輪が脱輪することなく安全に走行するためには、曲線部に拡幅が必要となる。
(5) 林道の土工横断面の形状は、通常、排水の目的から片勾配を設ける。この勾配の大きさは、通常、路頂と路端を結ぶ勾配を角度 (°)で表す。


4-22 林道の施工に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
(1) 切取施工には前段階として、計画路線上の障害物の除去、主に路線敷内の立木処理が必要である。
(2) 切取施工においては従来から行われてきたブルドーザによる施工から、バックホウによる施工が主流を占めるようになっている。
(3) 盛土の締固めはプルドーザなどで30〜50cmの水平層状にまき出し、均―に転圧して仕上げる。
(4) 準備工において伐倒された立木の伐根は、盛土を強固にするため、通常、現地の盛土して利用する。
(5) 路面は、砂利道又は舗装道とし、平坦かつ均―で十分な支持方を持たせるよう仕上げる。


4-23 排水施設に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
(1) 側溝は、斜面、のり面又は路面等の雨水を排除する場合に設けるものとし、流出量に応じた断面積及び構造でなければならない。
(2) 横断溝は、路面水等を排除する場合に設けるものとし、安全に排水できる断面・構造を有するとともに、設置間隔に留意して配置しなければならない。
(3) 溝きょは、開設後の豪雨等による閉塞を考慮して、暗きょを優先させることとし、開きょを設置する場合は、必要に応じて土砂止め工及び流木除け工等の対策を講ずる。
(4) 呑口上、集水桝工、流木除けエ、土砂止め二等の集水工及び吐口工、水叩工、水路工等の流未処理工は、溝きょ本体の集排水能力を有効に発揮させる構造にする。
(5) 洗越工は、常水と異常時の流水との差が大きい箇所や土石等の流下が予想される箇所等で、常水以上の流下水等を越流処理することが適当な箇所へ設置する。


4-24  索張り方式に関する次の記述のうち、エンドレスタイラー式の記述として適切なものはどれか。
(1) 荷上索と引戻索を作業索として使い、荷の自重を利用して、林内の高所から低所へ荷げ集材を行う方式
(2) 荷の上げ下げは荷上索で行い、引戻索と引寄索の両者を兼ねることのできるエンドレス索で、荷搬器、空搬器の走行を行わせ、林地の傾斜に関係なく集材できる方式
(3) 2本のエンドレス索で、荷上索を巻き込んだ巻胴を内蔵するアべックキヤレジを、引寄せ引戻しするほか、荷の上げ下げも行うことのできる方式。
(4) 主柱を経て伸はされた引寄索と引戻索を結合し、そこへ荷掛フックを取り付け、材のり上げ、地引き集材する方式
(5) 1本のエンドレス索とジグザグブロックを使って、林内立木の約2メートルの高さで閉曲線を描いて架設し 連送式に間択伐材を集材することのできる方式


4-25 次の林業機械に関するA〜Eの説明に対応する機種名の正しい組合せは、(1) 〜(5) のうちどれか。
A)林道や土場などで、全木集村されてきた材の枝払い、測尺玉切りを連続して行い、玉切りした材の集積作業を―貫して行う自走式機械
B)丸太の―端をつり上げて土場まで地引菓材する集材専用の自走式機械
C)グラップルクレーンで玉切りした短幹材を荷台に積んで運ぶ集材専用の自走式機械
D)簡便に架線集材できる人工支柱を装備した移動可能な集材機
E)主索を用いない簡易索張方式に対応し、かつ作業中に旋回可能なブームを装備する集材機

(1) A)プロセッサ,B)フォワーダ,C)スキッダ,D)スイングヤーダ,E)タワーヤーダ
(2) A)ハーベスタ,B)スキッダ,C)フォワーダ,D)スイングヤーダ,E)タワーヤーダ
(3) A)プロセッサ,B)フォワーダ,C)スキッダ,D)タワーヤーダ,E)スイングヤーダ
(4) A)プロセッサ,B)スキッダ,C)フォワーダ,D)タワーヤーダ,E)スイングヤーダ
(5) A)ハーベスタ,B)フォワーダ,C)スキッダ,D)タワーヤーダ,E)スイングヤーダ


4-26 林業作業の安全に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
(1) 伐倒作業を行うときは、他の作業者が危険のおそれのあるところに入らないようにあらかじめ合図を行い、安全を確認した後でなければ伐倒してはならない。
(2) ハーべスタなどの油圧式伐倒機は、堅固なべッドガードを備えたものでなければ使用してはならない。
(3) 造材作業を行うときは、伐倒木、玉切材等の木材が、当該作業に従事する作業者に転落又は滑る等により危険を及ぼすことがないように、杭止め等による危険防止の措置を講じなければならない。
(4) 伐木、造林作業を行うときは、その作業を行っている場所の下方で、木材が転落し又は滑ることによる危険を生ずるおそれのあるところには、他の作業者を立ち入らせてはならない。
(5) 造林作業においては、作業用の保護帽を着用しなくても良いが、伐木、造材作業を行ときには着用しなければならない。


4-27 我が国の近年における木材需給に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
(1) 国産材の素材供給量は、平成15年の約15百万m3から徐々に増加し、平成19年には約18百万m3となり、素材供給量に占める国産材の割合は60%以上になった。
(2) 平成19年の針葉樹素材供給量は、主に合板用の生産量増加によって、前年に比べスギ、カラマツ、エゾマツ・トドマツで増加したが、ヒノキ、アカマツ、クロマツで減
少した。
(3) 用材自給率は、平成16年に18.4%であったが、平成17、18年にはそれぞれ20.0%、20.3%と2年連続して上昇した。
(4) 平成13年〜18年の間に、合板での国産材利用量は6倍、集成材では同2倍に増加している。
(5) 集成材の生産量は、構造用が平成13年以降17年まで減少し続けており、逆に造作用は増加し続けている。


4-28 木材の構造に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
(1) 樹冠、樹幹、根の3つの部分に分けられ、通常、木材として主に樹幹が利用される。
(2) 柔細胞が生存している木部外周部を辺材といい、生きた細胞を全く含まないその内側を心材という。
(3) 伸長や拡大中の細胞に堆積する薄い細胞壁は、二次壁と呼ばれ、この壁のセルロースミクロフィブリルの配向が細胞の伸長や拡大の方向を決定する。
(4) 針葉樹材の軸方向要素のうち、仮道管は90%以上を占め、早材仮道管は水の通道機能にかかわっている。
(5) 広葉樹木部の軸方向要素は、―般に水分通道機能を持つ道管要素、樹体支持機能を持つ木部繊維、養分貯蔵機能を持つ軸方向柔細胞で構成されている。


4-29 木材の物理的・カ学的性質に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
(1) 木材の水分量は、一般に木材に含まれている水分を木材の全乾質量で除した値に100を乗じた含水率 (%)で表される。
(2) 繊維飽和点とは、木材内の空隙に自由水は存在しないが、細胞壁内の結合水が飽和した含水率を指し、およそ25〜30%である。
(3) 乾燥木材の0〜100℃の平均比熱はI・3J・K-1・g-1であり、樹種による差はほとんどないが、含水率によって大きく影響される。
(4) 木材のヤング率には異方性があり、繊維方向:放射方向:接線方向の比で、10:5:1程度である。
(5) 木材の電気伝導率は、含水率の増加とともに大きくなり、その絶縁性は小さくなる。


4-30 木材の化学成分とその利用に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
(1) 針葉樹材と広葉樹材の間でセルロ―ス含有量に差は無いが、へミセルロ―スの含有量には差があり、広葉樹材で少ない。
(2) 縮合型タンニンは、フラボノイドの重合体で、皮なめし剤、木材用接着剤などに利用される。
(3) うるしは、ウルシ科樹木の幹や枝の内皮に切り込みを入れ、樹脂道から流出する液を集めて加工した塗料である。
(4) 化学パルプは、木材チップなどを化学的に処理して製造するが、リグ二ンなどを溶出・除去しているため機械パルプに比べて収率が低い。
(5) 亜硫酸バルプ廃液中のリグノスルホン酸は、セメント添加剤や各種分散剤、安定剤などに利用される。


4-31 木材の乾燥・保存に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
(1) 木材の減率乾燥は、一般に、表面の含水率が繊維飽和点以下になったときに起こると考えられている。
(2) 木材の乾燥に伴う幅ぞりは、柾目材で木表側と木裏側の収縮量が異なるために起こり、曲がり、ねじれは繊維方向の収縮率の差が大きい場合に起こる。
(3) 木材の腐朽は繊維飽和点以上の含水率で自由水がないと生じないが、木材申の空隙が全部水で満たされると空気 (酸素)が不足するため生じにくくなる。
(4) ある種の菌類 (多くは子のう菌類)は、伐倒直後の丸太や製材品に侵入しで辺材部を変色、汚染することがあり、木材変色菌という。
(5) インサイジング加工は木材表層に均―な保存剤浸潤層を作るために行われるが、製材の日本農林規格では、曲げ強さ及び曲げヤング係数の低下がおおむね1割以内のインサイジングは、これを欠点とみなさないとされている。


4-32 木材の接着・塗装に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
(1) フェノール樹脂接着剤は、フェノールとホルムアルデヒドを反応させてできる初期縮合物を主成分とする接着剤である。
(2) 一液型ポリウレタン系 (プレポリマー型)接着剤は、空気中の水分などと反応して硬化するので、湿気硬化型ウレタン接着剤とも呼ばれる。
(3) 木材に接着阻害物質を含まない時、接着強さは木材の比重 (容積重)に反比例するので、比重0.8の材では比重0.5の材より接着強さが小さい。
(4) 木材の塗装における研磨は、素地の付着物を除去する、均一で平滑な材面にする、塗膜密着性をよくする、光沢を与えるなどの目的で行われる。
(5) 単に溶剤が蒸発するだけで塗摸を形成するものと、種々の化学反応を起こして塗膜を形成するものがある。


4-33 木材の機械加工・接合に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
(1) 鋸歯のあさりには、挽き道の左右どちらかの面を仕上げるための振分けあさりと挽き道の両面を仕上げるためのばちあさりがある。
(2) 旋削加工は、回転させている工具に工作物を押し当てて切削する加工のことで、こうした加工を行う機械には木工旋盤やベニヤレースなどがある。
(3) プレカット部材とは、―般に、住宅部材の寸法ぎめ、継手・仕口の加工などを工場において機械で行った部材のことである。
(4) 継手とは2つの部材を木材の長さ方向に接合する方法であり、仕口とは角度を持って2つ以上の部材を接合する方法である。
(5) 接合に用いる金物接合具には、釘のほか、ボルト、ドリフトピン、ラグスクリュー、メタルプレート、プレートコネクターなどがある。


4-34 木質材料と木質構造に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
(1) LVL(単板積層材)は、単板の繊維方向をそろえて多数枚重ねて接着して得られる材料で、主に軸材料として用いる。
(2) OSB(配向性ストランドボード)は、ストランドを繊維方向に配向させて製造したで、ボードで、―般に三層構造を有し、表層と中心層が直交に配向している。
(3) ファイバーボードは、主に密度の大小によってインシュレーションボード、MDF、ハードボードに区分される。
(4) 枠組壁工法、プレハブ工法及び在来軸組構法では、―般に天井面に火打ちばりを設けて屋根面に水平構面を構成している。
(5) 床は、固定荷重及び積載荷重などの鉛直カはもちろん、地震カ及び風圧力などの水平うる強度性能を有していることが必要である。


4-35 木材の炭化に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
(1) 黒炭は、精錬温度が700〜800℃で、白炭の精錬温度約1000℃と比べて低いので、前者の収量は後者のそれより多い。
(2) 木炭を空気中、水蒸気中、あるいは不活性ガス申で短時間に高温で熱すると、多孔質で吸着性の高い活性炭が得られる。
(3) 木炭は、常温では極めて安定な炭素材料であるが、高温下では強い還元性を示し、白と黒炭との比較では黒炭の方が反応性に富む。
(4) 木炭を構成する炭素は、もともと疎水性であるが、表面の多くのミク口細孔の存在のため、周辺の相対湿度に応じた水分の吸着・脱着性を示す。
(5) 木材の主要成分のうち、リグ二ンが最も加熱に対して不安定であり、180℃前後で熱分解を始め、次いでセルロ―スが240℃前後で熱分解を始める。


正解
問題 正解 問題 正解 問題 正解 問題 正解 問題 正解 問題 正解 問題 正解
1 2 6 3 11 5 16 2 21 5 26 5 31 2
2 5 7 5 12 2 17 2 22 4 27 5 32 3
3 4 8 4 13 5 18 1 23 3 28 3 33 2
4 2 9 4 14 1 19 4 24 2 29 4 34 4
5 2 10 3 15 2 20 3 25 4 30 1 35 5