平成18年度技術士第一次試験専門科目問題(森林部門) | 提供:ピコピコさん | 各部門の部屋Topへ 第一次試験過去問題Topへ |
W 次の30問題のうち25問題を選択して解答せよ。(専門科目解答欄に1つマークすること。)
W−1 林業経営の指導原則に関する次の記述のうち,誤っているものはどれか。
@ 合自然性の原則とは,「林木生産には森林という生物社会の自然法則を尊重しなければならない」とする原則である。
A 公共性の原則とは,「地域の需要する材の最大生産につとめ,地元住民の経済的福祉の増進を最大限に達成するように運営すべきである」とする原則である。
B 保続性の原則とは,「人類社会の要望に対応して,森林のもつ機能を永続的,均等的,恒常的に活用するように,その運営に努力しなければならない」とする原則である。
C 環境保全の原則とは,「国土保全,水源かん養などの機能を十分発揮できるように運用すべきである」とする原則である。
D 収益性の原則とは,「最大の利益または利潤をあげるように経営を行うべきである」とする原則である。
正解はA
W−2 林業の作業法の分類に関する次の記述のうち,誤っているものはどれか。
@ 高林作業とは,播種または苗木の植栽によって林分を成立させ,用材の生産を目的とする作業法をいう。
A 低林作業とは,林木を幹の基部から伐採利用し,その伐根より発生する萌芽を育成する作業法をいう。
B 中林作業とは,林木の幹を地上0.5mから4m程度の高さで伐採し,残存台木からの萌芽を育成して利用する作業法をいう。
C 竹林作業とは,竹林のみを対象とする特殊な作業法で,地下茎によって竹林の更新をはかり,竹材またはタケノコを生産する作業法である。
D 漸伐作業とは,一定期間の更新期があり,その期間内に予備伐,下種伐,後伐に分けて伐採更新が行われる作業法である。
正解はB
W−3 森林の収穫規整に関する次の記述のうち,誤っているも、のはどれか。
@ 収穫規整とは,経営する森林から今後の一定期間中に収穫すべき量を予測し,その内容を経営目的に沿いうるように調整することをいう。
A 収穫規整法についての考え方は,当初は単純に材積収穫の保続を目的としていたが,その後は法正状態の実現,最高収益と保続の両立などへと目的が拡大していった。
B 区画輪伐法は,森林の全林面を輪伐期年数または回帰年数と等しい数の伐区に分け,年々の伐採箇所を予定して毎年その1伐区を伐採収穫する方法である。
C 経理期は,収穫規整を行う期間のことであるが,収種子定量の確実性を要求されるにつれて次第に長期化される傾向がある。
D 収穫規整の基準に用いる尺度(単位)としては,材積,成長量,面積,本数などがあげられる。
正解はC
W−4 同齢一斉単純の人工林の保育に関する次の記述のうち,誤っているものはどれか。
@ 植栽後,植栽本間に競争が始まる前の段階では雑草やツル類,雑木類などとの競争を緩和し植栽本の成長を促進するため,下刈り,ツル切りなどを行う。
A 閉鎖状態が進むと植栽本間の競争が激しくなり,通常は個体間の優劣の差が大きくなるので,林分の健全性を保つために除間伐を行う。
B 同じ母樹のクローンから育てられた林分では,適切な保育管理を行わないと個体間の優劣の差があまり大きくならず,細長な個体が密生する共倒れ型林分になることがある。
C 樹冠が閉鎖し,隣接する植栽本の枝葉がふれあうようになると,植栽木間の競争が始まるので,枝打ちを行い競争を緩和する。
D 間伐によって林木の占める空間を平均的に調節すると同時に,枝打ちによって単木の樹冠量を調節してその成長を規整することで,幹材の林分生産量を高める効果も期待できる。
正解はC
W−5 施業計画の立案や資源調査を目的として行う森林調査(全林毎木調査)に関する次の記述のうち,誤っているものはどれか。
@ 通常,林木の成長の停滞している冬の時期は避ける。
A 天然林では測定対象とする最小の胸高直径をあらかじめ定めておく必要がある。
B 輪尺を用いた胸高直径の測定にあたってば,山側一方差しか2方向を測定して平均をとるかをあらかじめ定めておく必要がある。
C 樹高は少数の標準木を選んで測定し,樹高曲線を作成して胸高直径から推定する方法をとることもある。
D 傾斜地においては尾根側から調査を始め,斜面を等高線上に測定しながら下って沢側で調査を終わる方法が測り落としも少なく効率的である。
正解は@
W−6 空中写真に関する次の記述のうち,誤っているものはどれか。
@ オーバーラップとは,空中写真の撮影にあたって立体視ができるようにコース上の写真を相互に重複させたもののことである。
A 標定図とは,1/50,000地形図上に各写真の主点および撮影コース,番号を描示した図面のことである。
B 急斜面の多い治山関係の調査用写真の撮影には,広角カメラより長焦点カメラの方が適している。
C 空中写真の撮影縮尺は,図化しようとする地図の縮尺の分母数の平方根に定数をかけたものを撮影縮尺の分母数とすることで決めることができる。
D 空中写真を用いて写真上の任意の像の位置を観測し,数量的かつ図解的に位置づけをすることを写真判読と呼ぶ。
正解はD
W−7 収穫表の一般的な用途として,不適切なものは次のうちどれか。
@ 森林の将来の成長量ならびに収穫量の予想
A 林分構造の分析
B 経営技術ならびに青林・保育の指針
C 経営計画や経営経済的計算の資料
D 地位の判定
正解はA
W−8 植物の発生や進化に関する次の記述のうち,誤っているものはどれか。
@ 先カンブリア紀の海中に発生した藻類は世界各地で繁殖し,光合成により原始大気に大量の酸素を提供した。
A 大気中に酸素が増え始めると,太陽光の紫外線の作用によりオゾンが生成され,成層圈にたまりオゾン層を形成した。
B 陸上に最初に進出した植物はストロマトライトと呼ばれる原始植物で,それは古生代シルル紀のことであった。
C 古生代石炭紀には,温暖な気候下で水生シダ類やトクサ類などが大森林をつくり,それらが埋もれて石炭となった。
D シダ植物に次いで,保護用の被膜に包まれた種子をもつ裸子植物や胚珠が心皮に包まれている被子植物などの,種子植物が出現した。
正解はB
W−9 地球温暖化に関する次の記述のうち,誤っているものはどれか。
@ 18世紀後半に始まったイギリスの産業革命以前には0.028%程度であった大気の二酸化炭素濃度は,現在では0.036%を超えるまでに増加した。
A 温室効果ガスのうち現在問題視されているのは,二酸化炭素,メタン,一酸化二窒素,各種フロン類などである。
B 温室効果ガスは太陽光線を吸収する性質が強いので,その濃度が上昇すると大気圏の温度が上昇するため地球が温暖化する。
C 樹木が種子を飛ばして分布を広げる速度よりも,温暖化により移動する気候帯の速度の方が大きければ,樹木は消滅する恐れがある。
D 日本の温室効果ガス排出量が増え続けているため,京都議定書の削減目標6%の達成が危うくなってきたといわれている。
正解はB
W−10 森林の分布に関する次の記述のうち,誤っているものはどれか。
@ 亜熱帯から暖温帯にかけて照葉樹林が成立し,構成樹種としては,タブノキ,スダジイ,イスノキ,クスノキ,カシ類などがある。
A 暖温帯であるが,乾燥や冬の寒さが影響して常緑広葉樹が生育不能なところでは,コナラ,クヌギ,クリなどからなる暖温帯落葉樹林が成立する。
B 亜寒帯の湿潤気候下に分布する常緑針葉樹林の構成樹種としては,トウヒ,シラベ,エゾマツ,トドマツ,カラマツなどがある。
C 亜高山帯は,温帯の山岳を基準にしてつくられた植物の垂直分布帯の一つで,山地帯と高山帯の間にあり,低温や乾燥などのため針葉樹を主とする。
D 森林限界(forest limit)とは,樹木が森林状態で分布しうる限界線のことであり,森林の分布を支配する環境条件は主として寒さと乾燥である。
正解はB
W−11 冠水や踏圧などに対する植物の反応に関する次の記述のうち,誤っているものはどれか。
@ スギやメタセコイアは比較的長期間の冠水にも耐えるが,マツ属の樹種などは長期間の冠水状態が続けば枯死する。
A 一般に,冠水環境下で不定根を形成して酸欠状態に耐えるものは,針葉樹よりも広葉樹の方に多い。
B 踏圧を強く受けた土壌では,孔隙に含まれる水分がきわめて少なくなり根系が壊死するため,地上部はダイバック(die-back)症状を呈するようになる。
C 熱帯から亜熱帯にかけての河口近くのよどんだ汽水域に生育するマングローブは,底泥土の還元的な環境に適応するために気根などを発達させている。
D 冠水環境下に生育するハンノキやヤチダモの地際部位にみられる過剰肥大は,酸欠環境に適応した形態変化といわれている。
正解はB
W−12 土壌に関する次の記述のうち,誤っているものぼどれか。
@ ポドゾルとは,分解不良な厚い粗腐植層で生成される有機酸の働きなどで灰色の溶脱層と暗赤褐色の集積層が発達した土壌で,熱帯地方にも分布する。
A レシバージュ作用とは,A層からB層へ微細な鉱物粒子が機械的に移動集積する作用であり,B層では相対的な塩基の富化を生ずる。
B 我が国では,亜熱帯に属する沖縄において弱度のラテライト化作用を受けた黄色土が分布するが,典型的なラテライト土壌は見られない。
C 塩類集積は,潅漑水が年間をとおして土壌内を表層から下層に動くように水分管理を行うならば,乾燥地帯でも発現しない。
D 酸性硫酸塩土(acid sulfate soil)は,堆積物中の硫化物が酸化されてできる強酸性土壌であり,特有な淡黄色を呈する斑紋や条線が存在する。
正解はA
W−13 樹木の寒害に関する次の記述のうち,誤っているものはどれか。
@ 樹木の凍害は,耐凍度を下回る低温で植物体液が凍結した結果発生し,そのうち胴枯れ型凍害は,幼齢木に多く発生する。
A 植物は,冬には細胞内のでん粉を糖化して細胞液の濃度を高め,あるいはでん粉を油脂に変じて低温に対する防備をする。
B 冬季の雲のない無風の夜間には,放射冷却により地表面近くに冷気が発生するため,山頂,山腹,急斜地などでは凍害が発生する。
C 寒風害(冬季乾燥害)は,土壌や樹体の凍結のため根からの水分が上端まで達しない状態で,風により蒸散が促進されて発生する生理的被害である。
D 凍裂は,厳寒期に厳しい低温によって凍結した樹幹が縦方向にひび割れる現象で,寒さのほかに土壌および風などにも関係がある。
正解はB
W−14 樹木の虫害に関する次の記述のうち,誤っているものはどれか。
@ 食葉性昆虫の被害は樹種や昆虫によって違いがあるが,一般に,食容量が50%を超えると成長の遅れが大きくなる。
A 食葉性昆虫のうち,特に種類が多いのは鱗翅目の昆虫で,主として成虫が樹木の葉を摂食加害する。
B 種子害虫には,球果や種子を食害する昆虫と,外部から口吻を差し込み種子の内容物を吸い取る昆虫などがいる。
C 樹木の若い葉や小枝に群生する吸汁性昆虫のアブラムシ類は,時期によって寄主を変え,いわゆる宿主転換をするものも多い。
D 健全本を加害する一次性昆虫と,衰弱木や伐倒木を加害する二次性昆虫に区分する方法は,昆虫の寄生力による分類といわれている。
正解はA
W−15 森林水文に関する次の記述のうち,誤っているものはどれか。
@ 森林は純放射量のうち約1/3を潜熱に,約2/3を顕熱に使用するため,裸地に比べて地表面の熱環境を著しく緩和する。
A 純放射量の大きさを植被別に比較すると,森林,草地,裸地の順に小さくなり,反射率はその逆に大きくなる。
B 年間の蒸発数量を櫨被別に比較すると,森林,草地,裸地の順に小さくなり,流出量はその逆に大きくなる。
C 森林に到達した雨水は,樹冠通過雨量,樹幹流下量,樹冠遮断量に分かれるが,このうち年降水量でみると樹冠通過雨量の割合が最も大きい。
D 我が国の森林の蒸発数量は,北海道・東北地方,九州を除く関東以南地方,九州地方の順に大きくなり,降水量に対する割合は,少雨地域で大きい傾向がある。
正解は@
W−16 土砂移動現象に関する次の記述のうち,誤っているものはどれか。
@ 地すべりは,特定の地質・地質構造を有する山地や丘陵地において,地下水等に起因して地塊の一部が下層のすべり面を移動境界として重力作用で滑動する現象である。
A 土石渡は,河床勾配が約15°以上の区間に発生し,勾配が緩くなると停止・堆積する。土石流体積物は,ほぽ河床勾配に平行な層伏を呈する特徴がある。
B 河床の土砂移動は,構成する土砂粒子に作用する掃流力が限界掃流力より大きい場合に生じる。掃流とは,河床面近くを滑動・転勤あるいは跳躍しながら移動する土砂の運動形式をいう。
C 火砕流の流れの構造は,下層の本体部と上層の熱風部に分けられる。本体部は比較的大きな粒径の溶岩塊,溶岩片,軽石が高濃度に含まれ,熱風部は粒径の小さな火山灰が火山ガスや空気の乱れに乗って流れる部分である。
D 雪崩は,雪崩層のすべり面の位置により,全層雪崩と表層雪崩に分けられる。雪崩の最大到達距離は,全層雪崩より表層雪崩の方が大きい。
正解はA
W−17 地すべり防止に関する次の記述のうち,誤っているものはどれか。
@ 地すべりの末端部や滑落地塊の切土および頭部盛土は,できる限り少なくする。
A 切土,盛土によって地形に相当量の変化を与える場合には,地表排水はもとより,地下水排水にも十分注意して,水が滞留することのないようにする。
B 道路や住宅造成の場合は,その斜面上部にある沼,湖などは地すべりの誘因となりうるので,できるだけ開削して排水する。
C 工事中および施工後の亀裂,隆起,陥没などの異常現象に注意し,必要に応じて伸縮計による警報機を設置するか,あるいは亀裂の開きを測定して,その速度の変化によっては施工の一時中断や避難,通行止めを行う必要がある。
D ダム湛水時の地すべり発生の危険性は,初期湛水時に低いが,回数を重ねるに従って高くなる。
正解はD
W−18 山腹工に関する次の記述のうち,誤っているものはどれか。
@ 柵工は,斜面上の不安定な土砂の固定や落石の一時的固定といった簡易な土留を目的とする場合と,柵背面に埋め土をして植栽木の良好な生育基盤造成を目的とする場合がある。
A 伏エは,土壌侵食や乾燥害を防止するため,斜面の全面または一部を被覆材で覆うエ法である。近年,粗朶などの自然材料の入手が困難になってきたため,種肥付きの合成樹脂網やむしろなどを用いることが多い。
B 種苗工は,不安定な土砂の固定と生育基盤の造成のため,斜面に水平階段を設けて段上に切芝を積み重ね,その背後に樹木など植生導入用の埋め土を行うエ法である。埋め土量が多いので,筋工よりも劣悪地に適用する。
C 植生シートエは,種子,肥料などを装着,展着したシート状の被覆材を緑化対象地全面に目串で密着させながら張り付ける工種である。硬質地盤や凹凸の多い斜面,痩せた不良な切土斜面に適用することが多い。
D 植生土のう工で用いる土のうは,植生基材が袋に収納されているため種子や肥料などの流亡が少なく,また,柔軟性,密着性,運搬性にすぐれる。丸太柵工の間詰材や土留工としての効果を期待する積工やのり枠工の枠内への客土工,水路としての芝水路工などにも適用される。
正解はC
W-19 谷止工および床画工に関する次の記述のうち,誤っているものはどれか。
@ 谷止工は,上流側の堆砂により小渓流の両岸,渓床の固定を行う機能がある。
A 谷止工は,渓床勾配を緩和し流水の侵食力を小さくするが,土砂の調節効果はない。
B 床固工は,土砂を堆積させることにより,縦侵食を防止する機能がある。
C 床固工は,渓岸の決壊・崩壊等の防止と護岸等構造物の基礎を保護する。
D 床固工の方向は,計画個所下流部の流心線に直角に計画するのが原則である。
正解はB
W−20 測量に関する次の記述のうち,誤っているものはどれか。
@ 我が国の水準測量の基準面は,明治6〜12年にかけて東京湾霊岸島で観測した潮位観測値の平均値である東京湾平均海面をOmと定めている。
A 水準測量には,直接水準測量と呼ばれるレベルや標尺などの水準測量機器を用いて高低差を直接求める方法と,間接水準測量と呼ばれる鉛直角と距離の観測値から計算により高低差を求める方法, GPSや気圧観測により標高を求める方法などがある。
B 多角測量の閉合誤差を補正する方法のうち,コンパス方式は誤差を各測線長に比例配分する方法で,測距精度が高い平坦地で,トランシット方式は誤差を各側線の緯距および経距に比例配分する方法で,測距精度が劣る山地など起伏の大きい地域での測量に適した補正方法である。
C 三角測量は,最初の三角形の一辺長(基線長)と各三角形の内角を測り,三角法の正弦定理を用いて各辺長を算定し,基線の方向角から各辺の方位を計算して,トラバース計算と同様な計算で各点の水平位置を求める基準点測量方法である。
D GPSによる干渉潮位方式のうち,リアルタイムキネマティック法は高い精度が得られるため,長距離観測となる1・2級基準点測量に,スタティック法は観測時間が短く効率的で機動性を有するため,測点間距離の短い3・4級基準点測量に多く用いられている。
正解はD
W−21 林道の設計に関する次の記述のうち.誤っているものはどれか。
@ 起点と終点とを結ぶ線上にある崖,崩壊地形,地すべり地形など施エや維持管理に問題を生じやすい地点は,路線の位置を決定する場合,通過しないよう十分に現地踏査することが必要である。
A 現地地形から曲線半径の小さなヘアピン線形,あるいは急な勾配を採用せざるを得ない場合は,林道規程などの構造基準が出てきた根拠を十分に理解して,柔軟に技術的処理をするよう検討しなければならない。
B 貴重な動植物が存在する箇所を含む区域で林道を設計しなければならない場合は,これらに対して適切に対応することを組み込む必要がある。
C 林道の曲線部が切土のり面によって林道規程に定められた視距を確保できない場合は,段切りをして見通せるようにしなければならない。
D 林道の緩和区間は,片勾配を附したり拡幅をした林道の屈曲部とこれに接続する直線部とをすりつけるのに必要な区間で,林道規程の一車線林道では設計速度ごとに標準の区間長が定められている。
正解はD
W−22 林道の施エに関する次の記述のうちい最も適切なものはどれか。
@ 林道の予定路線を現地に落とした中心杭は,路盤を作設する時点で一旦除去し,路面が完成した後にもう一度,起点から測量によって逐次再現して,その位置を確認するようにしなければならない。
A 林道作設時の土砂の運搬にあたっては,掘削された地山の土量がもとの容積よりも増加し,またこれを埋め戻すと掘削された時の容積より減少することを考慮して車両の計画を立てなければならない。
B 盛土の材料として作設現場から出てくる岩塊は,それらを使用すると隙間が生じて完成後に路体の陥没の原因となることから,使用しないようにしなければならない。
C 擁壁の基礎を掘削したときに岩盤が設計図より早く出現した場合,その岩盤の最も浅いところを新たな全体の基礎の深さとする設計変更は,擁壁の強度を低下させずに経費を節約する方法として極めて有効である。
D 林道工事の夏季のコンクリート施工は,乾燥を速やかにするため,水などをかけないようにしなければならない。
正解はA
W−23 林道の維持管理に関する次の記述のうち,誤っているものはどれか。
@ 湧水の多いのり面の崩壊箇所は,排水機能を十分もたせたブロック擁壁やフトンかごなどにより,復旧するようにする。
A 施工時に自然状態の草木や伐倒した木材などをそのままにして盛土した場合,その腐食によって盛土に対する支持力を失い路体が崩壊することがある。
B 切土のり面は,降雨の際の雨滴あるいは地表流による侵食を防止し,維持管理費を全体として少なくするため,垂直にすることが望ましい。
C 路面の横断排水溝は,林道の縦断勾配が急であるほど路面水を早く排出して路面侵食を少なくするため,間隔を短くするようにする。
D 路面の維持管理のためには,路面を流下する雨水の状況,排水施設の流水の状態などを降雨時に把握して,必要な対策を立てることが極めて効果的である。
正解はB
W−24 機械集材装置に関する次の記述のうち,誤っているものはどれか。
@ 主索,控索および固定物に取り付ける作業索は,支柱,立木,根株などの堅固な固定物に2回以上巻き付け,かつ,クリップ,クランプなどの緊結具を用いて確実に取り付けなければならない。
A 作業索に使用するワイヤーロープは,キンクがあって摩耗による直径の減少が公称径の1/10をこえないものでなければならない。
B 作業索は,これを最大限に使用した場合でも集材機の巻胴に2巻き以上残すことができる長さとし,かつ,端部はクランプ,クリップなどの緊結具を用いて確実に取り付けるようにしなければならない。
C 集材機を据え付けるときは,浮き上がったり,ずれたり,または振れたりしないように据え付けなければならない。
D 集材装置の搬器,索等の器材の点検,補修など臨時の作業を行う際に,墜落による危険を生ずるおそれのない措置を講ずるときは,搬器,つり荷,重鍾などの物でつり下げられているものに乗って作業することが許されている。
正解はA
W−25 林業機械に関する次の記述のうち,誤っているものはどれか。
@ スイングヤーダの架線方式は,集材木を地引するランニングスカイライン式が多く用いられ,その場合,林業架線作業主任者の配置は義務付けられていない。
A 我が国で最も普及台数の多い高性能林業機械のプロセッサは,立木の伐倒,枝払い,玉切りを行う大型機械である。
B フオワーダは,玉切りされた材の積み込み用グラップルを装備する集運材用の高性能林業機械で,平成12年から平成16年の台数の伸びが高性能林業機械のうちでスイングヤーダに次いで2番目に大きい。
C チェーンソーの操作では,バーの下側で玉切りするときは前方に引っ張られる力が働き,上側で切るときは作業者の方へ押される力が働く。
D 刈払機による作業中に,キックバックにより隣で作業をしていた同僚に刈刃が当たり,死亡させる労働災害が発生することがある。
正解はA
W−26 立木の伐倒作業に関する次の記述のうち,誤っているものはどれか。
@ 追い口切りは,つるの幅が伐根直径の1/10程度残るようにし,切り込みすぎないようにしなければならない。
A 伐倒を行う作業者は,伐倒木の下方にいる作業者が待避したことを確認した後でなければ,伐倒してはならない。
B 伐倒作業は, 10m/s以上の強風時など悪天候になった時や,天気予報で注意報,警報が発せられ悪天候となることが予想される時に作業を行ってはならない。
C 伐倒を行う作業者は,伐倒木の伐倒方向の反対方向で,十分な距離があり立木の陰等の安全な退避場所をあらかじめ選定し,倒れはじめたら迅速に退避しなければならない。
D 伐倒作業時の合図は,個別の立木の伐倒時には不要であるが,伐倒を行う区域に他の作業者が入らないよう作業を開始する時および終了する時に行わなければならない。
正解はD
W−27 我が国における近年の木材産業の動向に関する次の記述のうち,誤っているものはどれか。
@ 我が国の古紙の回収,利用技術は,世界的にも高い水準にあり,古紙回収率,製紙原料に占める古紙利用率も年々増加の傾向を示している。
A 製材工場数は,全般に減少傾向にあり,出力階層75kW未満の小規模の工場が全体の大半を占めている。また我が国の製材品生産量は連年減少傾向にある。
B 合板製造では,原料の南洋材(広葉樹材)の産出国での資源的制約や丸太輸出規制などにより,南洋材から北洋材などの針葉樹材にシフトしてきている。
C 集成材の生産量は,製材や合板などの木材製品の生産と同じく,連年減少傾向にあり,特に構造用集成材の生産量の減少が大きい。
D 木造軸組構法住宅におけるプレカットのシェアは,施工期間の短縮化や部材加エコスト低減化を図る観点等から,年々増加の傾向を示している。
正解はC
W−28 木材の組織・構造に関する次の記述のうち,誤っているものはどれか。
@ 環孔材は,―つの年輪内にある大小の直径の道管のうち,径の大きい道管が成長初期の部分に円周方向に(年輪界に沿って)配列している材である。
A 針葉樹材の一年輪は,早材(春材)と晩材(夏材)の両部分から構成されているが,後者の細胞は相対的に形および内腔が大きく,細胞壁が厚い。
B 樹木の肥大成長は,維管束形成層(形成層)での細胞分裂が操り返されることにより,内側に木部細胞を外側に師部細胞を作り出す。
C 針葉樹材は広葉樹材に比べて単純な細胞構成で,全体の約90%以上を占める仮道管が水分の通導と樹体の支持の両機能を受け持つ。
D 木材の細胞壁構造の二次壁は,ミクロフィブリルの配列方向(傾角)の違いにより,外層,中層および内層の3壁層に区分される。
正解はA
W−29 木材の物理的・力学的性質に関する次の記述のうち,誤っているものはどれか。
@ 全乾状態での木材は,高い電気抵抗を示すが,含水率が増加すると電気抵抗が減少し,絶縁性が失われる。
A 木材の水分による正常な膨潤・収縮率は,木材構造の方向によって異なり,3方向のうち接線方向が最も大きく,繊維方向が最も小さい。
B 木材中に存在する水分は,木材の細胞内腔や細胞間隙などの空隙中に存在する自由水と細胞壁中の結合水とに分けられる。
C 応力緩和は,木材に外力(荷重)を加えて一定のひずみを生じさせた状態でそのままにしておくと,最初の応力が時間とともに低下する現象のことである。
D 木材の圧縮強度は,一般に含水率が繊維飽和点(FSP)より小さい範囲で,含水率の低下に伴って減少する。
正解はD
W−30 木質材料に関する次の記述のうち,誤っているものはどれか。
@ 単板積層材(LVL)と合板との使用に際しての違いは,合板が面材料として使用されるのが多いのに対し,LVLは主に軸材料として使用されることである。
A パーティクルボードは,その厚さ方向の小片の配列により,単層ボード,3層ボードおよび多層ボードに区分される。
B ファイバーボードの製造法には,水を媒体にして抄造・成形する湿式法と空気流を媒体に成形する乾式法に大別される。
C アセチル化木材は,親水性の水酸基にホルムアルデヒドを反応させて得られる化学修飾木材のことである。
D 構造用集成材の日本農林規格(JAS規格)では,その断面の大きさによって大断面,中断面および小断面の3種類の集成材に区分している。
正解はC
W−31 木材加工に関する次の記述のうち,誤っているものはどれか。
@ ダブルサイザは,合板や木質ボードなどを自動送りし,平行に取り付けた2枚の帯のこによって,所定の寸法に切断する加工機械のことである。
A 木材の研削加工に使用する研磨布紙の研磨材の粒度は,その粒度数値(粒度番数)が大きくなるにつれて粒子の大きさが小さくなる。
B 二次元切削は,工具の切れ刃線が切削方向に正しく直交し,材幅に等しい切り屑が横方向に変形することなく流れ出る切削形態のことである。
C 毛羽立ちは切削面の欠点の1つで,切削面の繊維あるいは繊維束の一部が削り残されて,切削面上に綿毛状やささくれ状を呈する状態をいう。
D 帯のこ盤のせり装置は,挽き材時の加工材の挽き曲がりを防止し,のこ身の走行安定を図るために取り付けた,のこ身振れ止め装置のことである。
正解は@
W−32 木材乾燥と木材保存に関する次の記述のうち,誤っているものはどれか。
@ 葉枯らしは,伐採した樹木を林内に一定期間枝葉を付けたまま放置し,樹幹内の水分を蒸散作用によって失わせることにより,自然に含水率を減少させることである。
A 人工乾燥による損傷の中での割れのうち,一般に木口割れや表面割れは,初期割れとも呼ばれ乾燥の初期に,また内部割れは乾燥の末期に発生することが多い。
B 我が国に生息する木材の食害虫シロアリの中で,木造建築物等を加害して大きな被害を与えるのは,オオシロアリとヤマトシロアリである。
C 木材の乾燥過程は,最初一定の乾燥速度で乾燥が進む恒率乾燥期間と,その後乾繰速度が徐々に低下しつつ乾燥が進む減率乾燥期間に区分される。
D 防腐・防虫等の保存剤の注入が困難な木材では,インサイジングと称して材表面に多数の小さい傷を付けて,木材中に薬剤を浸透し易くすることがある。
正解はB
W−33 木材接着と木材塗装に関する次の記述のうち,誤っているものはどれか。
@ 漆の主成分はカルダノールで,塗膜形成の主体であり,空気中の湿度と温度によって酵素ラッカーゼの酸化作用により硬化する。
A 木材の接着機構を説明する説の一つである比接着説は,接着剤分子と被着材分子の間に働く分子間力や水素結合などにより,接着強度が得られるという説である。
B 目止めは,塗装前の作業で木材表面の道管や小さい孔を埋めることにより,表面を平滑にして塗料の吸収防止や木目を美しく見せる目的で行われる。
C ホットメルト接着剤は固形状の接着剤で,常温では固体であるが,加熱すると溶融して液状になり,塗布後冷えると固化する。
D 接着の閉鎖堆積時間(クローズドアセンブリータイム)は,接着剤を被着材に塗布し,被接着面を合わせて堆積してから,圧縮圧を加えるまでの経過時間である。
正解は@
W−34 特用林産と木材成分に関する次の記述のうち,誤っているものはどれか。
@ 木炭は,製炭方法(炭化操作や炭化温度など)によって白炭と黒炭に分けられる。白炭は黒炭より収炭率は少ないが,製品の硬度は高い。
A 木材のモイレ(Maule)反応は,ヘミセルロースの呈色反応のことで,針葉樹材と広葉樹材の識別に利用されている。
B 木材パルプは,木材の繊維原料を機械的あるいは化学的処理により,単離して調製したセルロース系繊維の集合体である。
C 我が国の近年における特用林産物の総生産額は,きのこ類がその大半を占めており,その中で生産額の最も多いのは生しいたけである。
D ヒバ油は,ヒバ材から水蒸気蒸留によって得られる精油の一種で,成分中には抗菌作用のあるヒノキチオールが含まれる。
正解はA
W−35 木材製品と木質構造に関する次の記述のうち,誤っているものはどれか。
@ 針葉樹構造用製材の日本農林規格(JAS規格)には,節や丸身など材の欠点を目視により判定する目視等級区分と,曲げヤング係数を測定し,その数値から判定する機械等級区分とがある。
A 木質プレハブ構法は,住宅の主要構造部の壁,床,屋根などを木質部材とし,あらかじめ工場で一括生産し,施工現場で組立て建築する方法である。
B 製材の木取り法での柾目木取りは,板目木取りに比べて,木取り作業が煩雑で作業能率が低下しやすく,かつ歩留まりが悪い。
C エンジニアードウッド(EW材)とは,工学的手法によって,強度性能が計算・評価・保証された信頼性のある木材製品の総称である。
D 木質構造における部材接合方法の種類には,加工部材を長手方向につなぎ合わせる仕ロと部材同士を互いに斜め,あるいは直交させて接合する継手がある。
正解はD