平成16年度技術士第一次試験専門科目問題(森林部門) | 提供:といしさん | 各部門の部屋Topへ 第一次試験過去問題Topへ |
W 次の30問題のうち25問題を選択して解答せよ。(専門科目解答欄に1つマークすること。)
W―1 伐期齢について,誤っている記述は次のうちどれか。
@森林純収益最高の伐期齢とは,森林からの総収益より,これをあげるに要した経費を差し引いたものが最大になる年齢で表される。
A土地純収益最高の伐期齢とは,ある林分の総収益より,これをあげるに要した経費を差し引いたものが最大となる年齢で表される。
B金員総収益最高の伐期齢とは,森林からの総収益の年平均額が最大となる年齢で表される。
C工芸的伐期齢とは,一定の用途に対してもっとも適当な大きさあるいは性質を持った木材を生産すべき年齢で表される。
D材積収穫最多の伐期齢とは,一定面積より,平均して毎年再多量の木材を収穫しうる年齢で表される。
正解はA (参照:林業実務必携)
W―2 森林を対象とした標本調査法について,誤っている記述は次のうちどれか。
@単純無作為抽出法とは,標本を全体から無作為に抽出して推定を行う「標本調査の原型」ともいうべき方法であるが,森林調査でそのまま用いられることは少ない。
A系統的抽出法とは,一定の間隔で標本を抽出する方法であり,森林調査では利用しやすい方法である。
B調査対象の森林についてあらかじめなんらかの知識が得られている場合に用いられる標本調査法としては,全林をよく似た性質を持った群に事前に分ける二重抽出法が適当である。
C抽出した標本における2種類の林分特性値の関係をもとに森林全体の推定値を得る方法として比推定法や回帰推定法がある。
D大面積の森林を対象とした調査の場合,まず大きなブロックを標本として一次抽出を行い,抽出されたブロックの中からさらに小面積のプロットを標本とする二次抽出を行う二段抽出法も効果的である。
正解はB (参照:林業技術ハンドブック・以下HB p364〜)
W―3 森林リモートセンシング技術について,誤っている記述は次のうちどれか。
@リモートセンシングでは遠隔探査の媒体として電磁波を利用している。
A植物はその種類によって固有の波長別反射強度を持っているが,特に0.7μm以上の赤外線域の差が大きい。
B植物・土・水の波長別反射強度の特徴として可視光域でのピークの出方が異なっている。
Cリモートセンシングで用いる受動的測定装置の代表的なものが合成開口レーダーである。
Dリモートセンシングのプラットフォームとして人工衛星が代表的であるが,航空機,ヘリコプターなども利用される。
正解はC (合成開口レーダーはアクティブ(能動的)測定装置。森林情報士に関するテキストからか)
W―4 森林・林業基本法に定める森林・林業基本計画について,誤っている記述は次のうちどれか。
@政府は,森林及び林業に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るため,森林・林業基本計画を定めなければならない。
A森林・林業基本計画のうち森林に関する施策に係る部分については,環境の保全に関する国の基本的な計画との調和が保たれたものでなければならない。
B政府は,森林・林業基本計画を定めようとするときは,広く国民の意見を聞かなければならない。
C政府は,森林・林業基本計画を定めたときは,遅滞なく,これを国会に報告するとともに公表しなければならない。
D政府は,森林および林業を巡る情勢の変化を勘案し,並びに森林及び林業に関する施策の効果に関する評価を踏まえ,おおむね五年ごとに,森林・林業基本計画を変更するものとする。
正解はB(参照:森林・林業基本法第11条)
W―5 枝打ちについて,誤っている記述は次のうちどれか。
@枝打ちによって死節の形成を防止または少なくすることができる。
A枝打ちによって幹の完満度を調節することができる。
B枝打ちによって林内の歩行や見通しを良くすることができる。
C枝打ちによって林内の光環境を調節することができる。
D枝打ちによって松枯れの被害を防止することができる。
正解はD (参照:HB p847〜)
W―6 林業の特質について,誤っている記述は次のうちどれか。
@林業は,農業,水産業などとともに第一次産業に属しており,自然力を利用して林木を生産し,他産業に原料を供給する。
A林業は,生産物である林木の生育に長期間を必要とするため,林産物の需給に対する弾力性を欠き,また,景気変動に対する適応性に乏しい面を持つ。
B林業は,生産物である林木の完成時点が明らかでないことから伐採時期(収穫時期)の決定には樹木の生理的な側面以外の要素を考慮する必要がある。
C林業の対象である森林は,国土を保全し,水資源を涵養し,さらに国民の保健休養に貢献する機能を持つため,公益性と調和させながら経営する必要がある。
D林業の対象である森林は,資本である蓄積と利子である生長量の正確な把握が容易であるため簡便な方法で正確な収量を決定することができる。
正解はD (林業一般に関する概要を問題化。林業関係者にはサービス問題)
W―7 熱帯林について,誤っている記述は次のうちどれか。
@東南アジアの熱帯降雨林では,フタバガキ科,マメ科,キョウチクトウ科などの常緑広葉樹が優占しており,その構造は単純であるが規模は巨大である。
A熱帯および亜熱帯で雨期,乾期の区別がはっきりしているところでは,雨緑林と呼ばれる落葉広葉樹の森林が出現する。
B暖帯の湿潤な気候下の森林は中型〜小型で常緑の葉をもつ樹木からなる。それらの樹木は,葉が革質で厚くクチクラの発達により光沢があるため,照葉樹と呼ばれる。
D北半球の亜寒帯には,ユーラシア大陸とアメリカ大陸の北方にあって北極を取り巻く形で常緑針葉樹林が発達しており,北方針葉樹林,周極針葉樹林と呼ばれている
正解は@ (参照:循環型社会の森林と林業 p19〜)
W―8 森林の環境保全機能などについて,誤っている記述は次のうちどれか。
@森林は,林外と比べて林愛の最高気温を低下させ,最低気温を高くする。この作用は,冬より夏に,また,熱帯・亜熱帯林は温帯・寒帯より大である。
A水滴粒を捕捉する能力は広葉の方が細い針状の葉より優れていることから,一般に針葉樹林よりも広葉樹林の方が防霧林に適している。
B防風林によって風速が減少する範囲は,林帯の風上では樹高の3〜4倍,風下では30倍程度の距離に及ぶと考えられている。
C防風林は,その密度が過密なものより,ある程度通風性のあるものの方が影響距離が長い。
D森林の適正な取り扱いによって風速15m/S程度までの強風の害は防ぐことが可能であるが,30m/S以上の暴風では十分な暴風効果を期待することがむずかしいといわれる。
正解はA (参照:HB117〜,森林土木ハンドブック・以下土木HB p1212〜)
W―9 植物の水ストレスについて,誤っている記述は次のうちどれか。
@植物体内の水が欠乏すると水ストレスが起こり,体内の諸代謝の障害から成長低下,さらには枯死に至ることもある。
A水ストレスは植物の水経済の不均衡から生じるが,その発生過程には連続的なものと瞬時的なものがあり,前者の例として,高樹高木の樹冠上部の慢性的な水ストレスなどがある。
B陰葉は水ストレスに弱いことが知られているが,乾重当たりの含水量は陽葉よりもかえって大きい。
C細胞内の諸代謝に影響を与える水状態は,細胞内の水量ではなく,細胞外の水の圧力や温度などのエネルギー状態にある。
D土壌水分が十分であっても,土壌―植物―大気連続系における吸水に対する蒸散の遅れから,よく晴れた日中に気孔閉鎖や光合成低下を起こすことがある。
正解はD
W―10 土壌構造について,誤っている記述は次のうちどれか。
@塊状構造は,ほぼ立方体に近い形であるが,丸みを持つ不規則な形で,ふつう1〜2p以上のやや大型な土塊である。
A壁状構造は,各粒子が密に接着して全体が一つの大きな塊となっていて,孔隙の少ない状態であり,通気性,透水性が不良である。
B堅果状構造は,角と面がはっきりした多角形のち密な構造で,1〜2p前後の大きさで,乾きやすいところに見られる。
C団粒状構造は,比較的柔らかで丸みがあり,指の間で押すとすぐにつぶれる。1〜2o前後の大きさのもので,多孔質で理学的性質が優れている。
D細粒状構造は,粒状または粉状のさらさらした土粒が菌糸などでつづられた状態のもので,斜面下部などの水分の供給が良いところに多い。
正解はD (参照:HB p666)
W―11 菌類について,誤っている記述は次のうちどれか。
@菌類は,一般的にはカビ・キノコと呼ばれている仲間が主体であり,植物の病原体では最も量的な比率が高く,主要な病害の病原体が含まれる。
A大部分の菌類は,菌糸と呼ばれる,いわゆるカビ状にみえる繁殖体と,さまざまな形と機能をもつ胞子を栄養体としてもっている。
B腐生菌は,すでに死んでいる生物,あるいは土壌中の分解が進んだいろいろな有機物など,生きている細胞とは関係のない基質から栄養を摂取する。
C共生菌は,寄生菌の特殊化したものと考えられ,各種の菌根菌や樹体に潜在する内生菌の一部もこの範疇に入る。
D菌類に起因する病害は,一般に患部と健全部の境界がはっきりしている点で,ウイルスや細菌類による病害とは異なる場合が多い。
正解はA
W―12 野生生物について,誤っている記述は次のうちどれか。
@野ネズミ被害の防除法としては,造林予定地の地拵えを徹底的に行い,地被物を取り除くようにし,野ネズミの生息しにくい環境とすることが大切である。
A野ネズミの生息数は常に変動しているが,特に環境の諸因子が好転した場合,たとえば,ササやナラの実が結実したときなどは異常発生が起こる。
B野ウサギは,海岸の防風林から高海抜の森林限界に至るまで広い範囲にわたって分布しているが,特に雑木林の中を好む。
C野ウサギは昼行性で,夜間は巣穴などに隠れて休んでおり,日の出から日没まで活動する。
D野ウサギの食性は多くの草木に及んでいるので,林業上重要な樹種である広葉樹から針葉樹まで広く加害される。
正解はC (参照:HB p1030〜)
W―13 地質と崩壊,地すべりに関する次の記述のうち,誤っている記述は次のうちどれか。
@ 花崗岩類は,岩塊から一気に細粒化する風化の不連続性をもち,マサ土と呼ばれる強度の低い砂質土になるため崩れやすい。
A 中,古生層にはグリーンタフと呼ばれる緑色凝灰岩が特徴的に認められ,東北地方の北上山地から阿武隈山地一帯に広く分布し,表層崩壊の頻発地帯となっている。
B 九州北西部の第三紀層地帯,中国地方の三郡変形岩地域では,地すべりの分布が集中している。
C 中央構造線の太平洋側に帯状に分布する変成岩地域では,大規模な地すべりが分布する。
D 千枚岩,緑色片岩,黒色片岩,雲母片岩など,動力変成を受けた結晶片岩類で,片理や層理が流れ盤状に発達している地域では,大規模崩壊が多い。
正解はA グリーンタフは新生代の地層で、第三紀地すべりの素因地質となりやすい。(APEC加筆)
W―14 土石流に関する次の記述のうち,誤っているものはどれか。
@ 土石流は,土砂や石礫が水と渾然一体となって,渓流を高速で流下する現象である。
A 土石流は,粘土やシルトなどのような微細粒子と水からなる高濃度泥流と,砂や石礫などのような比較的粗大な粒子と水からなる混合物の2種類に分類される。
B 土石流対策用の透過型ダムは,土石流先端部の巨礫を捕捉し,分離された細粒土砂と水を掃流状態に変化させ,また質量を減少させて,土石流の減速やエネルギー減殺を図るものである。
C 緩勾配になって停止した土石流は,先頭部に巨礫が集まる流下特性を反映して,深部から浅部に向かって粒径が大きなものから小さなものの順に明瞭な層状を呈して堆積する。
D 土石流の堆積形状は,平面的には先端部が舌状にやや開いた紡錘型を,縦断的にはほぼ2次曲線に近い形を呈し,また横断的には中央部が盛り上がったかまぼこ型を呈する。
正解はC 土石流の先端には細粒分が集中するので、深部から浅部に向かって粒径が小さなものから大きなものの順に逆級化構造をなす。(APEC加筆)
W―15 地すべり防止工に関する次の記述のうち,誤っているのはどれか。
@ 集水井工は,地下水の分布が層状あるいは脈状に分布している場合に,基盤上面およびその付近で集中的に集水するのを目的とする抑制工である。
A トンネル排水工は,地すべり規模が大きく,移動地塊が厚く,また運動速度の大きい場合で,基盤内や基盤面付近で確実に多量の水脈が分布している場合に適用される抑制工である。
B 盛土工は,地すべり末端域に盛土することによってせん断抵抗力を増加させる抑止工である。
C 杭工は,主として地盤反力の期待できる地すべり地末端域に,径20〜40p,深さ10〜40mの孔をボーリングによって堀り,施工される抑止工である。
D アンカー工は,鋼材の引張り強さを利用して地すべりの活動力の減殺を図る引止め効果を目的とする抑止工である。
正解はB (参照:治山技術基準解説 地すべり防止編 p167〜)
W―16 山腹工に関する次の記述のうち,誤っているのはどれか。
@柵工は,山腹斜面の表土が流出するおそれのある箇所で,かつ施工地付近に山芝や石材が乏しく,山腹斜面の土層が比較的厚く植生の導入が容易な箇所において計画する。
A積苗工は,地山が露出しており,かつ寡雨,乾燥した箇所に計画する。積苗は,直高1.5m程度ごとに幅1mの水平階段を切りつけて行うことを標準とする。
B筋工は,比較的表土の深い地味良好な箇所または崩壊地の地山部に,雨水の分散と山腹斜面の浸食防止,および植生の早期導入を図ることを目的として計画する。
C伏工は,表層の土質が軽しょうな場合にのり面を被覆して,降雨,凍上,霜柱および風などによるのり面の浸食や崩落の防止,斜面に実播した種子の流亡,乾燥等を防ぐ目的で計画する。
D植栽工は,使用する工法によって,客土吹付工,厚層基材吹付け工,植生マット工,植生袋工,植生ネット工等に分けられる。
正解はD (参照:治山技術基準解説 総則・山地治山編 p308〜)
W―17 森林水文に関する次の記述のうち,誤っているのはどれか。
@ホートン型地表流は,地表の浸透能が降雨強度より小さいとき生じる地表流である。
A地表が受ける放射エネルギーは,顕熱フラックス,潜熱フラックス,地中と植被層の貯熱変化量,および光合成による二酸化炭素の固定に分配される。
B樹冠遮断量は,林外雨量から樹冠通過雨量と林冠での貯留変化量を差し引いたもので,現象的には,降雨中および降雨後における林冠からの雨水の蒸発散である。
C地中水の水理ポテンシャルは,重力ポテンシャルと圧力ポテンシャルの和で表すことができる。
D森林を伐採すると,蒸発散による水分消失が減少するので,年流出量は大きくなる傾向があり,針葉樹の方が広葉樹よりも流出量の増加が大きい。
正解はB
W―18 1/n・R^2/3・I^1/2の公式は何を求める式か,次の中から正しいものを選べ。
@ 流水の平均流速
A 洪水のピーク流量
B 砂礫の限界掃流力
C 渓床の粗度係数
D 裸地斜面の侵食量
正解は @(参照:森林HB p854)
W―19 労働安全衛生規則で「伐木作業等における危険防止として,事業者は機械集材装置又は運材索道を設置しようとするときはあらかじめ林業架線作業主任者に次の事項を示さねばならない」としているが,誤っている記述は次のうちどれか。
@ 支柱及び主要機器の配置の場所。
A 使用するワイヤーロープの種類及びその直径。
B 最大スパン長及び最大地上高。
C 最大使用過重及び搬器ごとの最大積載過重。
D 機械集材装置の集材機の最大けん引力。
正解はB (参照:林業架線作業主任者教本)
W―20 次の文は林道路線の現地設定作業における曲線設定法を説明したものであるが,進出法の記述はどれか。
@ 曲線の始点にトランシットをすえ,交角を基準方向として,偏角を測定し,巻尺などで距離を測定することで,曲線上の位置を決定する。
A 弦長と弧長の長さを等しいと見なし,あらかじめ任意の半径,弦長の値に対する偏倚角を計算する。
B 弦長,接偏倚距と弦偏距および半径との関係を用いて,求める弧長に対する接偏倚距,弦偏距などを求め,巻尺等により曲線を決定する。
C 既知の内角と想定した半径から接線長,余割と曲線長をあらかじめ計算された曲線表あるいは電卓などにより計算で求め,曲線杭のデータとする。
E 始曲点と終曲点とを結ぶ弦長の中央に縦距をたて,曲中点とする。次に始曲点と曲中点とを結ぶ中央に縦距をたて,点を求める。この繰り返しによって曲線を決定する。
正解はB (参照:土木HB p522〜)
W―21 最近,土木材料として木材が見直され,特に間伐材利用や小径木利用が多い。しかし設計施工には,木材の長所・短所を十分に生かしたものでなければならない。次のうち適切でない記述はどれか。
@ 環境保全が重要な渓流や補修,維持管理が容易な箇所。
A 冷涼な気候で常に流水がある小渓流や山腹から浸透水のある箇所。
B 水量が多く,流走砂礫の多い渓流や乱流または大きな水圧のかかる水衝部。
C ダム下流部の洗掘防止や林道,作業道や土捨場の盛土土羽尻土留または山側土留
E 土強度補強,路床の支持力補強などの利用
正解はB (参照:木製構造物利用マニュアル)
W―22 次の式は,縦断こう配,合成こう配,片こう配の計算式である。不合理な式はどれか。記号は,i,j,K:こう配(%),f:摩擦係数,V:自動車の速度(km/h),R:半径(m),D:水平距離(m),H:垂直距離(m)とする。
@ i≧V^2/127R−f
A R≧V^2/127(i−f)
B i=√(j^2+K^2)
C i=H/D×100
D V^2≦127R(i+f)
正解はA (参照:林道規定)
W―23 道路緑化の樹木の選定に当たって,誤っている記述は次のうちどれか。
@ 冬期日差しが必要な地域では,落葉樹を原則とする。
A 道路環境への適応性が大きいこと。
B 郷土色があり,都市の顔となるような特徴を持つこと。
C 樹形が美しければ,夏期の緑陰は重要ではない。
F 移植が可能であり,維持管理に多くの手間がかからないこと。
正解はC (道路緑化を森林部門の問題とすることが適当か?サービス問題ではあるが)
W―24 林道規定「第21条 縦断勾配が変異する箇所には,縦断曲線を設けるものとする。ただし,舗装箇所以外の箇所で縦断勾配の台数差が5パーセント以下の場所については,この限りでない。」としているが,この後半の「台数差5パーセント以下の箇所」の理由を述べているのは,次のうちどれか。
@ 縦断曲線の基点終点は,直線に接するものであり,その接点においては多少に係わらず自動車は衝撃を受けるから。
A 衝撃軽減のために縦断曲線長の算定式として,ブロックマンの式を用いて求めた値であることから。
B 林道の路面は,砂利道も多くあり,走行中の衝撃は避けることが出来ないので,衝撃軽減を全ての場合に考慮することは,全体としてバランスを欠くから。
C 凸型縦断形における視距が普通視距であり,最悪条件を想定した普通視距を確保するから。
D 設計車両の軸距の中間点における車体の最低部と,車輪の設置点を結ぶ線の勾配は縦断勾配に相当し,通常車輌は3〜5%程度であるから。
正解はD (参照:林道規定運用と解説 p154〜)
W―25 次の我が国の木材需給に関する記述のうちで,誤っているものはどれか。
@ 木材(用材)の供給先を見ると,外材のシェアが年々拡大してきており,国産材の自給率は2割(平成14年)を切る程になっている。
A 木造住宅の主要な構造について寸法・精度の整った乾燥材需要の高まりの中で,人工乾燥材比率は,全体の1割強(平成13年)と低い水準となっている。
B 木造住宅の工法別に見ると,国産材の利用割合の高い在来軸組工法が全体の5割を切る程に低下し(平成14年),輸入材の利用割合の高いツーバイフォー工法(枠組壁工法)などが増えている。
C 我が国の合板生産量は,南洋材(広葉樹材)産地国の原木の輸出規制や資源的制約などにより,針葉樹材への原料転換が進んでおり,針葉樹シェアはほぼ6割(平成14年)となっている。
D 輸入製材品について見ると,近年,欧州からの製材品の輸入が増加しており,欧州産のシェアが約3割(平成14年)を占めるに至っている。
正解はB (参照:森林・林業白書)
W―26 次の木材の組織・構造および性質などに関する記述のうちで,誤っているものはどれか
@ 樹脂の貯蔵や分配をつかさどる管状の器官の樹脂道は,細胞間隙の一種で,針葉樹材の正常樹脂道が出現するのはマツ科の樹種に限られる。
A 木材を構成する細胞の壁面に存在する壁孔には,単壁孔と有縁壁孔の2つの基本形があり,柔組織を構成する柔細胞には単壁孔が存在する。
B 交差木理は,繊維の走向が連続して交互に反対方向になる木理のことで,北洋材に多く認められ,この木理を持つ製材品のことを目切れという。
C 木材の圧縮あて材は,科学的にはリグニンの含有量が正常材に比べて多く,また,引張りあて材はセルロースの含有量が正常材に比べて多い。
D 目次の炭化には,木炭の生産を主目的とする製炭と,木ガス,木タール,木酢液などを併せて収得する目的の木材乾留とがある。
正解はB
W―27 次の木材の物理的・力学的性質に関する記述のうちで,誤っているものはどれか。
@ 一定の温度・湿度での木材の平衡含水率は,その平衡が低含水率からの吸湿により到達したか,高含水率からの脱湿(乾燥)により到達したかによってその値が異なる。
A 繊維飽和点(FSP)は,木材の細胞壁に自由水を全く含まず,結合水で完全に満たされた状態の含水率のことで,樹種,化学組成などにより異なるが25〜35%の範囲にある。
B 比強度(形質商)は,各種の材料強度をその材料の比重(密度)で除した値のことで,木材はこの比強度がコンクリート,鉄鋼などの材料に比べて大きい。
C ポアソン比は,木材に垂直応力(圧縮応力,引張応力)が作用する時,応力の作用方向の縦ひずみとこれに直交する方向の横ひずみとの比のことである。
D クリープは,木材に外力(荷重)を加えて一定のひずみを生じさせそのままにしておくと,最初の応力が時間の経過とともに増加していく現象のことである。
正解はD 応力ではなく変形量が増加していく。(APEC加筆)
W―28 次の木質系材料に関する記述のうちで,誤っているものはどれか
@ 集成材は,ひき板あるいは小角材などの部材の繊維方向を互いに平行して長さ,幅および厚さの方向に集成接着したもので,ひき板積層材ともいう。
A LVL(単層積層材)は,単版を一方向にかつ平行にして何枚も積層接着したもので,集成材より歩止まりが高い。
B パーティクルボードは,木材繊維に接着剤を噴霧して,一定の面積と厚さに熱圧成型した板状製品で,合板に比べて耐水性に優れている。
C 木片セメント板は,木片とセメントを混和して圧縮成型した窯業系ボードで,防火材料としての性能を有している。
D PEG処理材は,木材中にポリエチレングリコールの水溶液を注入し加熱,乾燥して空隙および細胞壁中に沈積させたもので,寸法安定性に優れている。
正解はB (参照:HB p1555〜)
W―29 次の木材の加工に関する記述のうちで,誤っているものはどれか。
@ 木材の乾燥は,木材中に含まれる水分の乾燥初期での表面蒸発と乾燥中期から乾燥後期までの内部拡散の相互作用によって行われる。
E コンディショニングとは,人工乾燥で乾燥中期の段階において,個々の木材間の含水率むらを均一化するために行う処理のことである。
F 防腐・防虫処理のための加圧注入法は,木材内の圧力と周りの薬液の圧力との間に,高い圧力差をつくり出し,処理薬液を木材に圧入する方法である。
G 木材の被削性(削りやすさ)は,一般に切削抵抗,工具,(刃物)寿命,切削面性状および加工精度の4項目により判定される。
H 背盛り(バック)とは,帯のこののこ歯の背側を歯側より強めに圧延して,背側を伸ばす操作のことで,のこの走行安定性を高めるために行われる。
正解はA (参照:HB p1468〜)
W―30 次の木質構造および製材品に関する記述のうちで,誤っているものはどれか。
@ 在来軸組工法で使用される構造用木材の断面形状は,ツーバイフォー工法(枠組壁工法)に比較して多品種である。
A 在来軸組工法での壁の構造には,柱が壁材によって包み込まれて外面に現れない「大壁造り」と,柱が外面に現れる「真壁造り」とがある。
B 筋かいは,地震や強風などによる水平力に耐えるように柱,横架材などの軸組材に囲まれた枠の中へ,対角線方向に入れる斜材のことである。
C 針葉樹の構造用製材の日本農林規格(JAS)での機械等級区分製材は,製材の圧縮ヤング係数を測定し,この値で等級格付けをしている。
D 枠組み壁工法構造用製材のJASでは,含水率が19%以下の乾燥材と,含水率が19%を超える未乾燥材とに区別して,寸法型式を規定している。
正解はC (参照:木材と住宅Q&A)