平成20年度技術士第一次試験専門科目問題(生物工学部門) 提供:K&Aさん   各部門の部屋Topへ
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W 次の35問題のうち25問題を選択して解答せよ。(専門科目解答欄に1つマークすること。)


4−1 酵母RNAの加水分解によって旨味を呈するヌクレオチドが得られるが、これらの製法に関する次の記述について、(a)〜(d)に入る語句の正しい組合せは(1)〜(5)のうちどれか。

  RNAを酵素的に加水分解すると(a)、(b)、(c)、5’−UMPの4種のヌクレオチドが得られる。そのうち(b)は旨味成分として知られているヌクレオチドである。(a)は酵素デアミナーゼを用いた脱アミノ化により旨味成分として知られるヌクレオチド(d)に変換することができる。

    a       b       c       d
(1) 5’−AMP  5’−GMP  5’−CMP   5’−IMP
(2) 5’−AMP  5’−IMP  5’−CMP   5’−GMP
(3) 5’−CMP  5’−IMP  5’−AMP   5’−GMP
(4) 5’−CMP  5’−GMP  5’−AMP   5’−IMP
(5) 5’−CMP  5’−AMP  5’−IMP   5’−GMP


4−2 循環型社会の構築に向けて、微生物を用いた有機廃棄物のコンポスト化が行われているが、有機廃棄物のコンボストを農耕地に施用した場合の利点と欠点に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。

(1) 堆肥中の有機炭素の大部分は、土壌微生物による分解を受けて、廃棄物を焼却した場合と同様に二酸化炭素として大気中に放出される、
(2) 重金属による土壌汚染の可能性を考慮する必要がある、
(3) 化学肥料の削減効果がある。
(4) 焼却処分に比較して多額の設備維持費や運転経費を要する、
(5) 有機物中の窒素成分は、土壌微生物による分解を受けてすべてアンモニアとして大気中に放出される。


4−3 糖タンパク質の糖類に関する次の1〜5の記述のうち正しいものの個数を(1)〜(5)の中から選べ。

1.N−グリコシド結合は、糖類のN−アセチルグルコサミンとタンパク質のリシンの間で形成されている。
2.O−グリコシド結合は、糖鎖のN−アセチルグルコサミンとタンバク質のセリン又はスレオニンの間で形成されている。
3.O−グリコシド結合は、N−グリコシド結合に比べてアルカリに不安定であり、容易にβ脱離反応で開裂する。
4.N−結合型糖鎖には、高マンノース型、複合型及び混合型かある。
5.細胞膜の糖タンパク質の糖類には、細胞相互の認識に働いているものがある、

   (1) 1つ  (2) 2つ  (3) 3つ  (4) 4つ  (5) 5つ


4−4 タンパク質の一時構造決定に利用される特異的切断方法に関する次の記述について、(a)〜(d)に入る語句の正しい組合せは(1)〜(5)のうちどれか。

(a)分解はタンパク質のN末端アミノ酸のC側を特異的に遊離する。(b)分解はすべてのペブチド結合を切断し、C末端アミノ酸のみが遊離のアミノ酸となり、その他のアミノ酸はアミノ酸の誘導体として得られる。一方、(c)分解によってペプチド鎖の内部を特異的に切断することができる。この方法では(d)のC側でペプチド鎖が切断される。
   a      b      c      d
(1) エドマン   ヒドラジン  臭化シアン  メチオニン
(2) ヒドラジン  エドマン   臭化シアン  メチオニン
(3) エドマン   臭化シアン  ヒドラジン  リシン
(4) ヒドラジン  臭化シアン  エドマン   メチオニン
(5) ヒドラジン  臭化シアン  エドマン   リシン


4−5 タンパク質の精製に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

(1) 硫安沈殿法は・硫酸アンモニウム(硫安)を用いた塩析によりタンバク質を沈殿させ、分画する方法である。同一のクンパク質でも、硫安による沈殿のしやすさは、pH、温度に影響されるが、タンパク質の濃度には影響されない。
(2) ゲル濾過クロマトグラフィーにおいて、高分子化合物と低分子化合物とを合む溶液を、溶媒で膨潤させたゲル粒子のカラムに添加し溶媒を流し続けると、最初に高分子化合物、遅れて低分子化合物が溶出し両者が分離される。
(3) イオン交換クロマトグラフィーで用いられる代表的なイオン交換樹脂にスチレンージビニルベンゼン共重合体にスルホン酸基を導入した強酸性陰イオン交換樹脂がある。
(4) アフィニティークロマトグラフィーを用いて、酵素を精製する場合は、目的酵素に対する基質、競争阻害剤などを支詩体に固定化して用いるが、その酵素に対する補酵素を固定化して用いることはできない。
(5) ヒドロキシアパクイトを用いたクロマトグラフィー用の充填剤は、主にタンパク質の多価陽イオンを吸着する。



4−6 植物機能の利用による汚染修復に開する次の記述について、(a)〜(c)に入る語句の正しい組合せは(1)〜(5)のうちどれか。

植物を利用した環境修復は(a)といい、植物が根から水分や養分を吸収する能力を利用して、土壌や地下水から水溶性の化学物質を地上部に吸い上げる。一般に重金属は根から吸収(b)。一方、NOxは吸収されて、(c)。

        a              b         c
(1) ファイトレメディエーション   される   葉細胞内で同化作用が行われる
(2) ファイトレメディエーション   される   葉細胞内に蓄積していく
(3) ファイトスティミュレーション  される   葉細胞内で同化作用が行われる
(4) ファイトスティミュレーション  されない  葉細胞内で同化作用が行われる
(5) ファイトスティミュレーション  されない  葉細胞内に蓄積していく


4−7 次のうち、細胞周期の順番を表したスキームとして適切なものはどれか。

(1) S期 → G0期 → M期 → G1期 → S期
(2) S期 → G1期 → M期 → G2期 → S期
(3) S期 → G0期 → M期 → G2期 → S期
(4) S期 → G2期 → M期 → G1期 → S期
(5) S期 → G1期 → M期 → G0期 → S期


4−8 次の有機酸のうち、TCAサイクルを構成している化合物でないものはどれか。

(1) オキサロ酢酸  (2) 2ーケトグルタル酸  (3) コハク酸
(4) フマル酸    (5) 乳酸


4−9 次の人名と業績に関する組合せのうち、誤っているものはどれか。

(1) James Watson     DNAの二重らせん構造モデル提唱
(2) Georges Koehler  ヒトゲノムの塩基配列解読
(3) 利根川進             抗体遺伝子V領域の再編成発見
(4) Frederick Sanger DNA塩基配列の決定法開発
(5) 田中耕一             生体高分子の質量分析法開発

4−10 ペプチドグリカンに関する次の記述のうち、正しいものには○、誤っているものには×をつけた(1)〜(5)の組合せのうち、正しいものはどれか。
(1)ほとんどの原核生物の細胞壁に含まれる。
(2)一般にグラム陽性細菌よりもグラム陰性細菌の方が厚い。
(3)パン酵母においては非常に厚いため、菌の破砕が困難である。
(4)D−アミノ酸を含む。
(5)生合成はクロラムフェニコールによって阻害される。

  (1) (2) (3) (4) (5)
(1) ○  ×  ×  ○  ×
(2) ○  ×  ○  ×  ○
(3) ×  ○  ×  ○  ○
(4) ×  ○  ○  ×  ×
(5) ○  ×  ○  ○  ×


4−11 プロモーター活性を解析するためのレポーター遺伝子に関する次の記述のうち、正しいものには0、誤っているものには×をつけた(1)〜(5)の組合せのうち、正しいものはどれか。

(1)レポーター遺伝子をプロモーターの下流に連結する方法として、転写融合法と翻訳融合法がある。
(2)転写因子GAL4は酵母ツーハイブリッドシステムに用いられる。
(3)GFPは緑色蛍光タンバク質の略称であり、ATP依存的に蛍光を発する。
(4)PHO5は酸性ホスファターゼ遺伝子であり、酵母のレポーター遺伝子として用いられる。
(5)β−グルクロニダーゼ(GUS)遺伝子の発現はX−galを用いることで簡便に検出できる。

   (1)  (2)  (3)  (4)  (5)
(1)  ○   ○   ×   ○   ×
(2)  ○   ○   ×   ×   ○
(3)  ×   ×   ○   ○   ○
(4)  ×   ○   ○   ×   ×
(5)  ○   ×   ○   ○   ×


4−12 フローサイトメトリーに関する次の記述のうち、正しいものには0、誤っているものには×をつけた(1)〜(5)の組合せのうち、正しいものはどれか。

(1)フローサイトメトリーによって細胞を分取する装置は、セルソーターと呼ばれる。(2)フローサイトメトリーは、コールターカウンターの原理に基づいて開発された。
(3)フローサイトメトリーが適用できるのは動物細胞に限定される。
(4)フローサイトメトリーには、照射光として通常単色の紫外線が用いられる。
(5)フローサイトメトリーでは、細胞表面だけでなく細胞の内部構造の違いに基づいた分取が可能である。

  (1) (2) (3) (4) (5)
(1)  ×  ×  ○  ○  ×
(2)  ○  ○  ×  ×  ○
(3)  ○  ×  ×  ○  ○
(4)  ×  ○  ○  ×  ×
(5)  ○  ×  ○  ○  ×


4−13 次のバイオプロセスを用いて製造される化成品と酵素の組合せのうち、誤っているものはどれか。

(1) ニコチンアミド             ニトリルヒドラターゼ
(2) D-p-ヒドロキシフェニルグリシン  ヒダントイナーゼ
(3) L−アスパラギン酸          アスパルターゼ
(4) 異性化糖                グルコースイソメラーゼ
(5) 6−アミノペニシラン酸        リパーゼ
 

4−14 各種顕微鏡の特徴に関するa〜eの記述のうち、誤っているものの組合せは(1)〜(5)のうちどれか。

(a)透過型電子顕微鏡は、標本に照射した電子線により発生する二次電子により立体像が形成される。
(b)実体顕微鏡は、コロニーや昆虫の観察などに用いられる低倍率の顕微鏡である。
(c)位相差顕微鏡は、培養細胞などの染色していない試料の観察に適している。
(d)倒立顕微鏡は、対物レンズが試料の下にあるため、培養容器中の細胞等の観察に適している。
(e)微分干渉顕微鏡は、細胞の内部構造の観察に適していない。

(1)a、e (2)a、b (3)b、c (4)d、e (5)c、d


4−15 レジオネラ菌に関して述べた次の文章について、(a)〜(e)に入る語句の正しい組合せは(1)〜(5)のうちどれか。

レジオネラ菌は(a)の(b)であり、元来は(c)である。人工環境中の(d)などからも検出され、これらから空気中に飛散して(e)を引き起こす。

     a       b     c          d            e
(1) グラム陽性  悍菌  場内細菌   24時間風呂の水     下痢
(2) グラム陽性  球菌  土壌常住菌  50で以上の貯水タンク  肺炎
(3) グラム陰性  悍菌  土壌常住菌  24時間風呂の水     肺炎
(4) グラム陰性  悍菌  場内細菌   24時間風呂の水     下痢
(5) グラム陽性  球菌  場内細菌   50で以上の貯水タンク  肺炎


4−16 バイオテクノロジーに用いられる分離・精製・分析などに関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

(1) 分光光度計でDNA溶液の濃度を測定する場合、その測定波長は280nmである。
(2) 抗生物質やビタミンを含む溶液の滅菌にはオートクレーブが用いられる。
(3) 結晶化したタンパク質の立体構造はX線回折法で決定できる。
(4) SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動法を用いてタンパク質のアミノ酸組成を決定できる。
(5) タンパク質を液体クロマトグラフィーで検出するときには、マイクロメーターが用いられる。


4−17 細菌の分類に関する次の記述について、(a)〜(d)に入る語句の正しい組合せは(1)〜(5)のうちどれか。

  細菌は(a)と(b)に分類される。(a)は、細胞を構成する成分をすべて(c)の還元によって合成できるものをいう。一方(b)は、増殖に欠かせない(d)を(c)の還元によって合成できないため、栄養源の補給が必須である、

     a          b          c          d
(1) 従属栄養菌   独立栄養菌   二酸化炭素   有機化合物
(2) 独立栄養菌   従属栄養菌   グルコース   無機化合物
(3) 従属栄養菌   独立栄養菌   二酸化炭素   無機化合物
(4) 独立栄養菌   従属栄養菌   グルコース   有機化合物
(5) 独立栄養菌   従属栄養菌   二酸化炭素   有機化合物


4−18 環境浄化に関する次の記述について、(a)〜(e)に入る語句の正しい組合せは(1)〜(5)のうちどれか。

 窒素の生物学的処理としては、好気的条件下で(a)や(b)により(c)を酸化する硝化工程と、酸化されたイオンを(d)で窒素に還元する脱窒工程が必要である。また、脱窒工程では、必要に応じて(e)としてメタノールなどの有機化合物を添加する。

    a      b        c             d          e
(1) 大腸菌   枯草菌  アンモニウムイオン  嫌気的条件下  水素供与体
(2) 亜硝酸菌  硝酸菌  アンモニウムイオン  嫌気的条件下  水素供与体
(3) 亜硝酸菌  硝酸菌  硝酸イオン      好気的条件下  酸素供与本
(4) 亜硝酸菌  枯草菌  硝酸イオン      嫌気的条件下  酸素供与体
(5) 大腸菌   硝酸菌  アンモニウムイオン  好気的条件下  水素供与体


4−19 廃水の嫌気的処理法に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。

 (1) 有機物の濃度が低い廃水の処理には、好気的処理法よりも適している。
 (2) 消化槽には加温式のものもある。
 (3) メタン発酵法及び嫌気性消化法は、嫌気的処理法の代表的な操作である。
 (4) タンパク質、炭水化物、油脂頻などは分解され、メタン、二酸化炭素、アンモニアなどに変換される。
 (5) この処理法では、多くの場合、消化の際に悪臭のある気体が発生するため、これに対する配慮が必要である。


4−20 化学農薬と比較した場合、生物農薬の特徴に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。

 (1) 残存性が低いので、環境への負荷が低い。
 (2) 耐性を特つ病害虫や病原菌が発生する頻度が低い。
 (3) 作用スペクトルが広い。
 (4) 一般に、人や家畜への危険性が低い。
 (5) 即効性に欠ける。


4−21 好気性の微生物反応を総括的に記載すると次式のようになる。( )に入る最も適切な語句は(1)〜(5)のうちどれか。

   炭素源+窒素源+酸素 → 菌体+(  )+二酸化炭素+水

  (1) タンパク質  (2) 触媒  (3) アミノ酸  (4) 酵素 (5) 代謝産物


4−22 好気性培養において炭素に関する増殖収率Ycは、菌体中の炭素分率γxと基質(炭素源)中の炭素分率γsを用いて以下のように表現される。

   Yc=Yx/s / (γx/γs)

 ここでYx/sは基質Sの微小濃度変化に対応して増殖した微生物菌体Xの濃度増加の比である。グルコースを基質としたときにYc=0.60、Yx/x=0.50であった。基質をエタノールに代えた時のYx/sは次のどれに最も近いか選べ。ただし、Ycとγxは基質を変えても変化しないものとする。                   
  (1)0.60 (2) 0.50 (3) 0.38 (4) 0.65 (5)0.30


4−23 平成13年に文部科学省が策定した「ヒトゲノム・遺伝子解析研究に関する倫理指針」の基本方針に関して、次の記述のうち誤っているものはどれか。

 (1) 事前の十分な説明と自由意志による同意(インフオームド・コンセント)
 (2) 個人情報の保護の徹底
 (3) 人類の知的基盤・健康及び福祉に貢献する社会的に有益な研究の実施
 (4) 独立の立場に立った安全管理委員会による事前の審査及び承認による研究の適正の確保。
 (5) 個人の人権の保障の科学的又は社会的利益に対する優先


Wー24 酵素反応に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

 (1) ミカエリス定数(Km)は酵素反応における初速度の基質依存性から得られる動力学的パラメータの1つである。
 (2) Kmが小さいほど、基質親和性は大きくなる。
 (3) ミカエリス・メンテンの式は、酵素濃度が基質濃度と比べ十分大きい場合に成り立つ。
 (4) Kmは、最大速度(Vmax)の1/2を与える時の基質濃度に相当する。
 (5) ブリッグス・ホールデンの式で用いられるKmとミカエリス・メンテンの式のKmは異なった意味で使われている。                         

4−25 イムノアッセイに関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。    (1) 標識法と非標識法の2種類がある。
 (2) タンパク質混合物中の特定のタンパク質を前もって分離しなくても測定できる。  (3) 抗原抗体反応を利用した分析法である。
 (4) 分子量1000以下の物質は、イムノアッセイでは測定できない。
 (5) 酵素や蛍光分子などを標識物質として用いる手法もある。           

4−26 DNAチップに関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

 (1) 網羅的解析が微量試料で実施できる。
 (2) 定量性が高い特徴がある。
 (3) 光リソグラフィー技術でオリゴヌクレオチドをシリコン基板上で合成する手法もある。
 (4) 専用ソフトによるデータ解析が必要である。
 (5) 蛍光検出法が主流であるが、電気化学的検出法もある。


Wー27 バイオセンサーの定義に関する次の記述について、(  )に入る最も適切な語句は(1)〜(5)のうちどれか。

  バイオセンサーとは、(  )に由来する選択的認識作用・反応性を利用して披検出物を識別するセンサーである。

 (1) 抗体  (2) 酵素  (3) タンパク質  (4) 生体  (5) 細胞表層


4−28 徹生物の取扱いに関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

(1) 殺菌とは、微生物を速やかに殺すことを指し、目的に応じて「滅菌」と「消毒」に分けられる。
(2) 滅菌とは、あらゆる微生物を完全に死滅させる、若しくは完全に取り除くことを指す。
(3) 消毒とは、病原性のある微生物を死滅、もしくは消滅、あるいはその数を減少させ、感染の危険性を取り除くことをいう。
(4) 高圧蒸気滅菌処理では、好熱性細菌の胞子も死滅させることができる。
(5) 病院の外科手術で使用される器具は・消毒処理を施されたものが使用される.


4−29 プロテオミクスの研究手法に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

 (1) プロテオミクスにはタンパク質を定性的及び定量的に解析する広範な技術が含まれる。
 (2) Hisーtagのついたタンパク質やこれと結合するタンパク質をアフィニティー精製して質量分析装置で同定する手法がある。
 (3) 発現量が高いタンパク質の場合には、N末端のアミノ酸配列を容易に決定でき、その結果をデータベースと照合させることができる。
 (4) 発現量が低いタンパク質の同定には主に質量分析装置を使用する.
 (5) 二次元ポリアクリルアミドゲル電気泳動は、一次元目の分離は分子量に基づいて、二次元目の分離は等電点に基づいて行われる。


4−30 抗体に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
 (1) ヒトでは、5つのクラス(lgG、lgM、lgE、lgA、IgD)に分類される。
 (2) 抗体分子を構成する各々のポリベブチド(鎖)は他のボフベプチド(鎖)とジスルフィド結合で結ばれている。
 (3) lgGはホモダイマーで、2つの相同の軽鎖(L鎖)と、2つの相同の重鎖(H鎖)で構成されている。
 (4) 抗体のFc領域は、リンバ球やマスト細胞などのFc受容体に結合する。
 (5) 抗原を認識する可変領域は抗体のFab領域にある。


4−31 RNAに関する次の記述のうち、誤っているものはどれか、
 (1) 細胞のタンパク質合成には、リボソームRNA(rRNA)、トランスファーRNA(tRNA)とメッセンジャーRNA(mRNA)が関与する、
 (2) RNAアプタマーは、ペプチドや薬剤などの疎水性分子に特異的に結合できる。
 (3) RNA干渉は、転写後の遺伝子発現抑制である。
 (4) RNA自体が触媒活性を示す場合にはリボナイムと呼び、タンパク質が存在しない環境下でも、ホスホジエステル結合の開裂を行うことができる、
 (5) 特定の遺伝子を発現ベクターに逆方向に挿入し、形質転換した細胞内でアンチセンスRNAを合成させることで遺伝子の発現抑制を行う手法がある。


4−32 遺伝子のクローニングに関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
(1) PCR法は、塩基配列が既知の遺伝子や、タンパク質の部分アミノ酸配列から塩基配列が予測できる遺伝子のクローニングに利用される。
(2) 全DNAを適当に断片化してすべてをクローニングし、その集団から特定のDNA断片を拾い出す方法をショットガン・クローニングという。
(3) 未知のタンパク質の遺伝子や配列が不明な遺伝子をクローニングする場合、その由来が真核生物であればゲノムライブラリー、原核生物であればcDNAライブラリーを作製する必要がある。
(4) ウエスタンブロット法は、遺伝子産物を抗体を用いて免疫学的に検出する手法である。
(5) PCR法において、遺伝子の塩基配列が正確にわかっていないときには、縮重プライマーを使用する。


4−33 バイオリアクターに関する次の記述のうち誤っているものはどれか。
(1) 多段階の生物変換が必要な場合や、酵素の精製が困難な場合は、細胞や微生物自体の固定化が行われる。
(2) 高分子間の空間に酵素を包括する方法で固定化した場合、基質の拡散が律速にはならない。
(3) 高分子担体に酵素を固定化する方法の1つに、酵素のアミノ基とグルタルアルデヒドでシッフ塩基を形成する架橋法がある。
(4) 必要とされる酵素活性を維持したままで、細胞や微生物を不活性化して固定化することがある。
(5) 生体触媒を固定化する利点の1つは、操作上の安定性であり、グルコースイソメラーゼのように、数か月間にわたって活性が維持される場合もある。


4−34 植物の組織培養に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
(1) 分裂組織(メリステム)は、無限に分裂が可能な植物の胚性細胞である。
(2) 分裂組織(メリステム)培養は、病原体を含まない植物体を大量に増殖するのに適した方法であり、果物や観賞用植物の栽培に利用されている。
(3) 植物細胞も、微生物や動物細胞培養と同様に、液体培地で懸濁培養が可能である。
(4) カルス培養で熱処理を施すと、完全に分化した植物体を再生することができる。
(5) 一倍体培養は、植物の生殖器官の培養のことであり、ナタネやオオムギの育種に利用されている。


4−35 ほ乳類細胞の培養に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
(1) 培養液のpHを制御するためには、培地に重炭酸塩を示加するか、適切な二酸化炭素濃度の条件下で培養する。
(2) バッチ培養でスケールアップを行う場合、毒性代謝産物の濃度上昇による生産物の産生抑制がかかることがある。
(3) 浮遊細胞の培養では、酸素供給のための攪拌と、攪拌で起きるせん断応力に対する細胞の安定性は相反するので、最適化が必要である。
(4) 微孔性膜フイルター上に担持されている細胞の流加培養では、細胞密度が所定の値に達した後にも、生産物の連続的な産生が可能である。
(5) ほ乳類細胞の培養で生産されるインターフェロンは培地中に分泌されないので、細胞を破砕して回収する必要がある。


正解
問題 正解 問題 正解 問題 正解 問題 正解 問題 正解 問題 正解 問題 正解
1 1 6 1 11 1 16 3 21 5 26 2 31 2
2 5 7 4 12 2 17 5 22 4 27 4 32 3
3 3 8 5 13 5 18 2 23 4 28 5 33 2
4 1 9 2 14 1 19 1 24 3 29 5 34 4
5 2 10 1 15 3 20 3 25 4 30 3 35 5