平成20年度技術士第二次試験問題
(応用理学部門)
提供: 畑違いさん

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応用理学一般
専門問題
物理及び化学
地球物理及び地球化学
地質

応用理学一般

Ⅱ 次の2問題の中から1問題を選び,応用理学部門の問題として解答せよ。(解答問題番号を明記し,答案用紙3枚以内にまとめよ。)

Ⅱ-1 次の資料に基づいて,我が国における水資源の特徴を挙げ,課題を抽出せよ。次に,その中で重要と考えられる課題の解決法について,応用理学部門の技術士としての専門性を生かした観点からあなたの意見を述べよ。
参考資料〔図面〕:国土交通省 平成19年度版「日本の水資源」第Ⅲ編 日本の水資源と水需給の現状 より抜粋)

≪図1:世界各国の降水量・降水総量・水資源の比較≫
(注)
1.FAO(国連食糧農業機関)「AQUASTAT」をもとに国土交通省水資源部作成。
2.日本の人口は総務省統計局「国勢調査」(2000年),平均降水量と水資源量は1971
  ~2000年の平均値で,国土交通省水資源部調べ。
3.図中の主な数値:
  世界の一人当たりの年降水総量 約16,800㎥/人・年
  日本の一人当たりの年降水総量 約5,100㎥/人・年
  世界の一人当たりの水資源量 約8,600㎥/人・年
  日本の一人当たりの水資源量 約3,300㎥/人・年

≪図2:日本の年降水量の経年変化≫
(注)
1.気象庁資料をもとに国土交通省水資源部作成。
2.トレンドは回帰直線による。

≪図3:日本の水資源賦存量と使用量≫
(注)
1.生活用水,工業用水で使用された水は2004年の値で,国土交通省水資源部調べ。
2.農業用水における河川水は2004年の値で,国土交通省水資源部調べ。地下水は農林水産省「第4回農業用地下水利用実態調査」(1995年10月~1996年9月調査)による。


Ⅱ-2 わが国において,自然災害に強い社会を構築するための施策の1つに国民への防災教育が挙げられる。資料1及び図1~4を参考として,応用理学部門の技術士としての専門性を生かした観点から防災教育の意義と現状を考察せよ。また,その充実に向けた課題を挙げ,技術士として果たすべき役割やその効果についてあなたの意見を述べよ。

資料1 日本学術会議:「地球規模の自然災害の増大に対する安全・安心社会の構築」
対外報告(2007.5.30)より抜粋

(3) 国民への発信
 集中豪雨や巨大台風等の予想を超える自然環境の変化に起因する自然災害に対しては、防災基盤施設の補強等のハード面からの対策に併せて、ハザードマップ等によるリスクの評価と公表、防災教育及び発災後の避難システムなどのソフト面からの対策が重要である。このため、公的機関による公助に加えて、地域社会による共助及び個々の国民の努力による自助が巨大災害の軽減にとって不可欠な要素である。
 このためには、将来の災害リスクに対する精度の高い評価と国民への発信が重要であり、日本学術会議は学協会とともに災害リスクの評価手法の精度向上に関する研究を推進し、これらの手法を用いたリスク評価結果を国民に分かりやすい形で発信していかなければならない。さらに日本学術会議は、我が国の学術・科学の研究の中心団体として公助・共助・自助の国民運動の和の中に積極的に参画していかなければならない。
------------------以下省略------------------


資料:内閣府「防災に関する世論調査」「地震防災対策に関する特別世論調査」より作成
図1 大地震に備えて「携帯ラジオ,懐中電灯,医療品などを準備している」
と回答した人の割合の推移(平成19年版防災白書)

資料:内閣府「防災に関する世論調査」「地震防災対策に関する特別世論調査」より作成
図2 大地震に備えて「家具や冷蔵庫などを固定し,転倒を防止している」
と回答した人の割合の推移(平成19年版防災白書)

資料:内閣府「地震防災対策に関する特別世論調査」(H17)より作成
図3 家具を固定していない理由(平成17年)
(平成19年版防災白書より一部修正加筆)

資料:内閣府「社会意識に関する世論調査」
図4 自主防災活動や災害援助活動に参加したいと解答した人の割合の推移
(平成19年版防災白書)
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物理及び化学

Ⅰ 次の2問題(1-1、1-2)について解答せよ。

Ⅰ-1 次の6設問のうち3設問を選んで解答せよ。(設問ごとに答案用紙を替えて解答設問番号を明記し、それぞれ1枚以内にまとめよ。)

Ⅰ-1-1 物理系では、それを構成する物質やその間に働く相互作用の性質によって決まる保存法則が成り立つ。これらの保存法則は、その物理系が持つ対称性と深く関連している。具体例を2つ挙げ、対称性と保存法則の関係について述べよ。

Ⅰ-1-2 液晶フラットパネルディスプレイの表示部の構造と動作原理を説明せよ。この装置の問題点を1つ挙げ、対策を述べよ。

Ⅰ-1-3 電気回路を作成する際によく用いられる演算増幅器(オペアンプ)に関して、その概念を述べ、それを用いた回路例を示して動作特性を説明せよ。さらに、実際に回路を作成する場合に、留意すべき点を述べよ。

Ⅰ-1-4 燃料電池の原理を説明し、具体的な例を1つ示して、その開発の現状と展望について述べよ。

Ⅰ-1-5 DNAを記録媒体としてみたときに、情報の処理プロセスを書き込み、保存、読み出しの3つのプロセスに整理して、それぞれの特徴を述べよ。

Ⅰ-1-6 無機化合物の構成元素の定量分析の方法を2つ挙げ、それぞれの原理、特徴を説明せよ。


Ⅰ-2 次の3設問のうち1設問を選んで解答せよ。(答案用紙を替えて解答設問番号を明記し、3枚以内にまとめよ。)

Ⅰ-2-1 国際宇宙ステーション(ISS)は、地上約400kmの高度で地球を周回しており、様々な実験・研究が計画されている。その中でも、微小重力環境を利用した研究が数多く行われる予定であるが、実際にどのような新しい研究が可能となるか、具体例を1つ挙げ、その意義を述べよ。また、ISSでは最小で地上の10-6程度の大きさの重力環境が期待されている。しかし、高度400kmでの重力加速度はかなり大きい。なぜ、ISSではこのように微小な重力環境が期待できるのかを説明し、所望の微小重力環境を実現するにはどのような点に留意すべきかを論ぜよ。

Ⅰ-2-2 照明用白色LEDの原理を説明し、蛍光灯などの現在用いられている照明機器と比較して、その特徴を述べよ。さらに、より広い普及のための改良点について述べよ。

Ⅰ-2-3 新しく生み出された物質は、当初の開発目的を超えて環境負荷をはじめとする様々な負の効果を与えることがある。具体的な例を1つ取りしげ、その物質の開発目的、その物質が及ぼす可能性のある負の効果を述べるとともに、そのような負の効果を生み出さないためにどのような対策を取ればよいかを論ぜよ。
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地球物理及び地球化学

Ⅰ 次の2問題(1-1、1-2)について解答せよ。

Ⅰ-1 次の6設問のうち3設問を選んで解答せよ。(設問ごとに答案用紙を替えて解答設問番号を明記し、それぞれ1枚以内にまとめよ。)

Ⅰ-1-1 Cl-、SO42-、HCO3-、Mg2+、Na+、Ca2+について、陰イオン、陽イオンごとの濃度の大小関係を海水、平均的な河川水についてそれぞれ示せ。
 海には絶えず河川水が流人しているにも関わらず、海水の化学組成がほぼ一様である理由を述べよ。

Ⅰ-1-2 緊急地震速報の原理、伝達される情報とその効果について述べよ。また、緊急地震速報が時間的に間に合う地震とそうでない地震について違いを述べよ。

Ⅰ-1-3 地球上の流体に働くコリオリ力の特性を4つ挙げよ。また、コリオリ力が関係する具体的現象を4つ挙げてその内容を説明せよ。

Ⅰ-1-4 測地・測量では、原理的に、1)長さ、2)角度、3)時間差、4)水準面を基準とした高低差、を測定する機器が用いられている。これらの測器名をそれぞれ1つ挙げ、その測定法、精度及び長所・短所を述べよ。

Ⅰ-1-5 多変量解析の手法を3つ挙げよ。次に、少なくとも3つ以上の変量がある解析対象例を1つ挙げ、データ解析の目的を述べ、これに適した解析手法を選んで解析手続きを示せ。

Ⅰ-1-6 エアロゾル(エーロゾル)とは何かを述べ、大気エアロゾルの構成成分を3つ挙げよ。また、大気エアロゾルが、1)地球表層の熱収支に与える影響、2)物質循環に与える影響、3)環境あるいは健康に与える影響について述べよ。


Ⅰ-2 次の2設問のうち1設問を選んで解答せよ。(答案用紙を替えて解答設問番号を明記し、3枚以内にまとめよ。)

Ⅰ-2-1 日本海をキーワードとして、あなたが専門とする分野で、取り組まなければならない課題とその重要性を述べよ。また、その課題に対しての具体的な解決法又は対策案を記述し、その効果について述べよ。

Ⅰ-2-2 あなたが専門とする分野において、技術進展及び社会の変化に伴い新たに生じる顧客のニーズに応じたプロジェクトを1つ立案せよ。その内容について、1)タイトル、2)背景(技術進展及び社会の変化)、3)顧客のニーズ、4)目的、5)新規性、6)実施計画、7)期待される成果に分けて述べよ。
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地質

Ⅰ 次の2問題(1-1、1-2)について解答せよ。

Ⅰ-1 次の10項の中の1-1-1~2から1項目、1-1-3~10から2項目を選び、それぞれの項目について定義及び内容を解説し、次に、応用理学部門地質科目の技術士の立場から考えるところを述べよ。(項目ごとに答案用紙を替えて解答項目番号を明記し、それぞれ1枚以内にまとめよ。)

Ⅰ-1-1 グリーンタフ
Ⅰ-1-2 リニアメント
1項目を選択
Ⅰ-1-3 RQD
Ⅰ-1-4 ルジオン値
Ⅰ-1-5 緊急地震速報
Ⅰ-1-6 斜面表層崩壊
Ⅰ-1-7 帯水層定数
Ⅰ-1-8 レアメタル
Ⅰ-1-9 表面波探査
Ⅰ-1-10 RBCA(レベッカ)
2項目を選択


Ⅰ-2 次の8設問の中から1設問を選んで解答せよ。(答案用紙を替えて解答設問番号を明記し、3枚以内にまとめよ。)

Ⅰ-2-1 白亜紀の花崗岩からなる丘陵地~山地部を通る全長12.0kmのトンネルが計画されている。このうち、起点方坑口から2.0km(A区問)は平均土被り厚15m(最大40m)、さらに終点方坑口までの10.0km(B区間)は平均土被り厚200m(最大400m)で数本の断層の存在が確認されている。このトンネル区間の地山条件を事前調査する場合に予想される主な問題点をA、B区間ごとに挙げ、調査方法や取得すべき情報について説明せよ。また、両区間において施工中に切羽湧水の発生が懸念される場合を想定し、可能性のある地山条件とこれに適応する対策工法の選定の考え方について述べよ。

Ⅰ-2-2 堤高80mの重力式コンクリートダムを10m嵩上げする際の地質上の問題点を3つ挙げ、それぞれに対する調査方法についてあなたの考えを述べよ。

Ⅰ-2-3 地震による液状化の発生を防止する対策は、その原理から「土自体の性質を改良する液状化対策」と「応力・変形及び間隙水圧に関する条件を改良する液状化対策」に大別されるが、それぞれの対策を2例ずつ挙げて、その原理と方法について解説し、その適用性についてあなたの考えを述べよ。

Ⅰ-2-4 老朽化した吹きつけのり面の表面(のり尻付近)に、開口したクラックがいくつか見られた。考えられる原因3つをクラックの状況と関連づけて説明し、必要な調査についてあなたの考えを述べよ。

Ⅰ-2-5 近年渇水時や災害時等における水源としての地下水の重要性が認められつつある。我が国における地下水盆について、地形・地質条件に基づく区分による主な3つを挙げ、それぞれについての帯水層としての特徴を説明せよ。また、区分した地下水盆の1つについて、地下水開発に際して必要な検討項目と調査の留意点を述べよ。

Ⅰ-2-6 下の図はそれぞれ燃料資源の可採年数、我が国の電源種別々発電電力量の2006年度実績と2011年度及び2016年度の将来予測、我が国における1日の需要変化に対応した電源の組合せを示している。資源1、2及び3がそれぞれ何であるかを示した上で、今後も資源3を電源として利用することに関する課題を挙げ、それらの解決法について記述せよ。

Ⅰ-2-7 郊外の丘陵地帯に切盛土工によるバイパス道路が計画されている。この付近では、かって亜炭が採掘されていたために地下空洞の存在が強く懸念されているが、現状では空洞の正確な位置、地表からの深さ、あるいは大きさなどは関係資料の消失により不明である。また、現在の地表部は畑地として利用されている。このような条件のもとで、空洞を探査するのに利用可能な物理探査手法を列挙し、探査深度や対象空洞の大きさ、その他の条件による適用性について説明せよ。また、そのうち3つを選び、探査原理と適用条件や留意点について述べよ。

Ⅰ-2-8 土地取引における土壌汚染問題への対応に関する現状と問題点を説明せよ。また、その問題点の解決策を含めたあなたの考える土壌汚染調査・対策の流れを示し、技術士としての立場からそのあり方について述べよ。
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