平成19年度技術士第一次試験専門科目問題(環境部門) 提供:とーやまさん   各部門の部屋Topへ
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W 次の35問題のうち25問題を選択して解答せよ。(専門科目解答欄に1つマークすること。)


IV-1
環境基本法第16条第1項の規定に基づく騒音に係る環境基準について次の記述のうち,誤っているものを選べ。
@環境基準は,4つの地域類型(AA,A,B,C)と,昼夜の時間別に基準値が定められている。地域類型AAとCの間,昼間と夜間の間,いずれにおいても基準値に10デシベルの差がある。
A「道路に面する地域」においては,上記@の基準値よりも5〜15デシベル高い基準値を定めている。さらに,「幹線交通を担う道路に近接する空間」においては,「道路に面する地域」よりも5〜10デシベル高い基準値としている。
B騒音の評価指標は騒音レベル中央値によるものとし,時間区分ごとの全時間を通じた騒音レベル中央値によって評価することを原則としている。
C騒音に係る環境基準は,道路交通騒音など一般の生活騒音に係るものであり,航空機騒音,鉄道騒音,建設作業騒音には適用しないものとされている。
D平成16年度に,道路に面する地域において全国2,663千戸の住居等を対象に実施した騒音実態調査の結果,昼間または夜間で環境基準を超過した戸数は約2割であった。

IV-2
ヒートアイランド現象に関する次の記述のうち,誤っているものを選べ。
@ヒートアイランド現象とは,都市化の影響により都市域の気温が周囲より高くなる現象を指し,気温分布図を描くと等温線が都市を丸く取り囲んで島のようにみえることからこのように呼ばれる。
Aヒートアイランド現象の主な原因は,人間活動によって排出される人工排熱の増加,緑地や水面の減少と建築物や舗装面の増大による地表面の人工化である。
BIPCC第3次評価報告書によれば,20世紀中に地球全体の年平均気温は約0.6℃上昇したと見積もられている。これに対して,東京,大阪,名古屋など日本の大都市では,年平均気温が2〜3℃上昇しており,地球温暖化を上回る速さで温度上昇が進んでいる。
C日本の4つの大都市(東京,大阪,名古屋,横浜)において,1991〜2000年の10年間で,真夏日(目最高気温が30℃以上を記録した日)の数が最も多かったのは東京である。
Dヒートアイランド現象への対策としては,空調システムの効率化,建物の断熱性能の向上,公園緑地の整備,屋上緑化,建物配置の工夫による風通しの改善等があげられる。

IV-3
オゾン層の破壊に関する次の記述のうち,誤っているものを選べ。
@オゾンは酸素原子3個からなる気体である。地上10〜50kmの大気中にはオゾン濃度が高いオゾン層が存在し,有害な紫外線を吸収することにより地上の生命を守っている。
Aオゾン層破壊物質であるCFCは20世紀前半に人工的に合成された化学物質である。化学的に安定で人体への毒性がないなど多くの利点があるため,冷蔵庫やエアコンの冷媒,半導体の洗浄液,スプレーの噴射剤など多くの用途に使われた。
B1980年代半ば,英国のジョセブ・ファーマンらは,春季に南極のオゾン量が年々減少していることを発表し,オゾン層破壊が実際に起こっていることを示す決定的証拠となった。
Cオゾン層破壊が広く認知された結果,オゾン層破壊を防止するために,オゾン層破壊物質を特定し,当該物質の生産,消費及び貿易を規制するための「オゾン層を破壊する物質に関するモントリオール議定書」が1987年に採択された。
D現在,先進国においては,主要なオゾン層破壊物質の生産も消費も全廃されている。その結果,現在では南極のオゾンホールの面積は大幅に縮小している。

IV-4
湿地の保全に関する次の記述のうち,誤っているものを選べ。
@湿地とは,沼沢地,湿原,泥炭地,二F潟などの総称であり,渡り鳥をはじめとする多様な生物の生息地として,近年その重要性が認識されている。
Aラムサール条約は,特に水鳥の生息地として重要な湿地及びそこに生息・生育する動植物の保全を促し,湿地の賢明な利用を進めることを目的とする国際条約である。
B我が国は1980年にラムサール条約に加入し,条約加入時にタンチョウの生息地である釧路湿原を条約湿地として登録した。
C2005年11月現在,我が国からは33か所の湿地がラムサール条約湿地として登録されている。そのうち面積が最大のものは琵琶湖である。
Dラムサール条約湿地として登録されると,国際的に重要な湿地として認められ,条約に基づく保護の対象となる。このため指定地域内での漁業や農業,潮干狩りなどのレジャー活動は規制される。

IV-5
日本工業規格KOO50:2005(化学分析方法通則)による次の化学分析の種類の説明のうち,誤っているものを選べ。
@重量分析は,定量しようとする成分を一定の組成の純物質として分離し,その質量又は残分の質量から分析種の量を求める分析方法である,重量分析には,沈殿重量分析,ガス重量分析,電解重量分析がある。
A容量分析は,滴定操作によって分析種の全量と定量的に反応する滴定液の体積を求め,その値から分析種を定量する分析方法である。容量分析には,中和滴定,酸化還元滴定,沈殿滴定などがある。
B光分析は,光の放射,吸収,散乱などを利用して行う分析方法である。光分析には,赤外分光分析,蛍光X線分析,誘導結合プラズマ発光分光分析などがある。
C電磁気分析は,X線,電子線,イオンビーム,電場,磁場などの電磁気的特性を分析種に作用させて,分子,原子などに関する情報を得る分析方法である。電磁気分析には,X線回折分析,核磁気共鳴分析,誘導結合プラズマ質量分析などがある。
D電気分析は,物質の電気的又は電気化学的性質を直接的又は間接的に利用して行う分析方法である。電気分析には,電量滴定,イオン電極測定法,電気伝導率測定方法などがある。

IV-6
酸性雨と酸性霧の採取・分析に関する次の説明のうち,正しいものを選べ。
@「東アジア酸性雨モニタリングネットワーク」での酸性雨モニタリングでは,エアロゾルなどの乾性降下物と雨水などの湿性降下物の両者を合わせて捕集している。
A酸性霧の霧粒の捕集には,多数の細い線に霧粒を衝突させ,重力で落下してくる試料を集めることが多い。
B酸性霧の沈着量の実測は,木め葉や幹が一様に濡れるため,酸性雨にくらべて容易である。
C酸性雨の解析において,海水飛沫の影響を考慮する必要があるため,非海塩成分を実測によって求めることが多い。
D黄砂時の降水は,通常時の降水にくらべてCaイオンの濃度が高く,酸性度が強いことが特徴である。

IV-7
土壌汚染対策法における土壌含有量調査では,土壌を1mol/Lの塩酸で振とう処理する規定がある。次のa)〜d)の溶液の水素イオン濃度指数(pH)を,その値が小さい順に並べたものを選べ。なお,ほぼ等しいpH値の場合,等号で結んで示している。
a)1mol/Lの塩酸
b)1mol/Lの酢酸
c)1mol/Lの酢酸ナトリウム水溶液
d)1mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液
@a=b<c=d
Aa=b<c<d
Ba<b=c<d
Ca<b<c=d
Da<b<c<d

IV-8
化学物質環境実態調査(化学物質エコ調査)に関する次の記述のうち,正しいものを選べ。
@日本各地の大気,水,底泥,生物試料を隔年でモニタリングしている。
Aモニタリング調査に用いられる生物試料は,スズキや二枚貝のような海産動物に加え,ネズミや昆虫のような陸棲の動物を含む。
B国内で使用が禁止された規制物質は調査対象から外され,使用量の多い化学物質が調査対象に追加される。
C人の体内に取り込まれる化学物質の暴露量調査は,食事試料や室内空気などを用いて調べられる。
D化学物質の分析は公定法に従って実施されるため,分析法の開発は行われない。

IV-9
日本工業規格K0211:2005(分析化学用語)に関する用語の説明のうち,正しいものを選べ。
@サロゲート(surrogate)物質とは,試料の前処理操作,分析操作の段階における収率の補正,回収率の確認などのために添加される目的成分と化学構造が同じ,または,類似した物質である、例えば,ダイオキシン類の分析における2,3,7,8一テトラクロロ
ジベンゾ-p-ジオキシンなどがある。
A測定の信頼性を評価する場合,真の値(truevalue)とは,測定値の正しい値のことであり,特別な場合を除き観念的な値である。
Bトレーサビリティー(traceability)とは,不確かさがすべて表記された切れ目のない比較の連鎖を通じて,通常は,国家標準または国際標準である決められた標準に関連付けられ得る測定結果または標準の値の性質のことである。
C分析方法の妥当性を評価するメソッドバリデーション(methodvalidation)とは,手順,工程,機械設備のいずれもが所期の結果を与えることを立証する成文化された行為をいう。
D超微量:成分分析(ultratraceanalysis)は,1〜10mgの試料を用いて行う化学分析の名称である。

IV-10
悪臭防止法に定める特定悪臭物質の測定方法(平成12年3.月改定環境庁告示17号)に関する次の記述のうち,正しいものを選べ。
@硫化水素測定に用いる分析装置は,ガスクロマトグラフ-質量分析計(GC-MS)のキャリヤーガス流路を試料導入部の直前において変更し,不純物除去管及び試料濃縮管に接続できるものである。
Aアンモニアの試料採取は,ほう酸捕集溶液を入れた吸収瓶を用いる。なお,敷地境界におけるアンモニア濃度が低い場合においては,捕集溶液を含浸させた直径5cmのろ紙を使用する。
Bメチルメルカプタンを測定する場合の校正用ガスは,メチルメルカプタン3μL(この量は気体で0.915mL(0℃,1気圧)に相当する。)をマイクロシリンジで採取し,校正用ガス瓶にシリコーンゴム栓を通して注入し,気化させた後,かくはんし,更に10分間以上放置したものを使用する。
Cトリメチルアミンの標準溶液は,トリエチルアミン水溶液(20〜40%)を水で20倍に希釈したものであって,プロムクレゾールグリーン≧メチルレッドの混合指示薬を用いて水酸化ナトリウム(0.1moレL)で滴定することにより,その含有するトリメチル
アミン濃度が測定されているものを使用する。
Dプロピオンアルデヒドなどのアルデヒド類の測定では,2,4一ジニトロフェニルヒドラゾン誘導体とした後,ガスクロマトグラフを用いて測定する方法がある。その場合,アルデヒド類一2,4一ジニトロフェニルヒドラゾンの立体異性体により,クロマトグラム上に1種類のアルデヒド類から2本のピークが出現する場合がある。

IV-11
水質汚濁防止法に基づいて公共用水域の水質及び底質調査を行う場合の試料採取等について,準拠すべき原則的方法に関する次の記述のうち,誤っているものを選べ。
@河川の採水地点は,原則として流心とするが,汚濁水の偏流が著しい場合や川幅が広い場合等,状況によっては,右岸部と左岸部を別々の採水地点として設定する。この場合,試料は,原則として相互に混合しないようにする。
A湖沼の採水時期は,停滞期と循環期の水質は著しく異なるので,その両期の水質を測定することを考慮する。また,水質が水利用に悪影響を及ぼす時期を含める。
B海域の採水においては,採水日時,水深等に加え,水温,気温,色相,濁り,臭気,透視度,塩分について現地で測定または観測する。
C底質の採泥方法は,エクマンバージ型採泥器又はこれに準ずる採泥器によって3回以上底質を採取し,それらを混合して採泥試料とする。
D底質試料の重金属等有害物質の測定結果は,乾燥固形物当りの濃度に換算し,有効数字3桁まで表示する。

IV-12
環境大気中のダイオキシン類の分析において,内標準物質(クリーンアップスパイク)の濃度が全て0.20pg/μL,被検成分の濃度が0.10,0.20,0.50,1.0及び2.Opg/μLとなるように調製した標準溶液の各1μLをガスクロマトグラフ-質量分析計(GC-MS)に注入して測定した結果,各々の標準溶液の内標準物質に対する被検成分のピーク面積比は,0.52,1.01,2.61,4.88及び9.88であった。また,被検成分の濃度が未知の試料溶液に内標準物質を2.Opg/μLとなるように添加して同様にGC-MSで測定した結果,内標準物質に対する被検成分のピーク面積比は2.23であった。
このときの,相対感度係数(RRF)の平均値と試料溶液中の被検成分の濃度の組合せとして正しいものを選べ。
@5.06及び4.4pg/μL
A5.06及び0.44pg/μL
B1.01及び0.44pg/μL
C5.06及び4.3pg/μL
D1.01及び4.4pg/μL

IV-13
地球温暖化防止対策に関する次の記述のうち,誤っているものを選べ。
@.国民運動「チームマイナス10%」が発足し,国民一人ひとりのライフスタイルを見直していく取組の一環として,冷房時の室温28℃とクール・ビズが提唱されている。
A住宅・建築物の性能の向上と環境負荷の低減を総合的な環境性能として一体的に評価し,その結果をわかりやすい指標として提示する住宅・建築物の総合環境性能評価シス
テム(CASBEE)の開発・普及が推進されている。
B省エネラベリング制度や省エネ型製品販売事業者評価制度により,家電製品の省エネ特性に関する情報提供を行っている。
Cモーダルシフト関連施策の推進を含めて,環境負荷が小さく効率的な物流体系の構築に取り組んでいる。
D特定製品に係るフロン類の回収及び破壊の実施の確保等に関する法律:(フロン回収破壊法)などを成立させ,代替フロンの排出抑制にもあたっている。

IV-14
ある下水処理場への下水流入量が10,000m3/日で,その浮遊物濃度が100mg/Lである。処理場の浮遊物除去率が94%で,汚泥の含水率が90%であるとすると,毎日発生する汚泥体積として正しいものを選べ。ただし,汚泥の比重は1で水と同じとする。
@9.4L
A600L
B8.36m3
C9.4m3
D600m3

IV-15
大気汚染のモデル解析に関する次の記述のうち,誤っているものを選べ。
@大気汚染数値モデルは,気象モデル,発生源モデル,物質輸送モデルなどのサブモデルから構成されている。
Aパフモデルは定常,一様の仮定が必要である。
Bプルームモデルには,気象状態に基づく拡散パラメータが必要である。
Cエアロゾルモデルは,エアロゾルの大気中での生成,成長,消滅過程をモデル化したものである。
Eボックスモデルやグリッドモデルは地表面に固定した座標系に基づくモデルで,オイラーモデルと呼ばれている。

IV-16
循環型社会形成のための数値目標に関する次の記述のうち,正しいものを選べ。
@物質フローに関するミクロな目標として,資源生産性,資源利用率,最終処分量がある。
A循環利用率は循環利用量÷(循環利用量+天然資源等投入量)で表され,平成22年度の目標値は50%である。
B資源生産性はGDP÷天然資源等投入量で,平成12年度の約28万円/トンから平成22年度の約39万円/トンにすることが目標とされている。
C最終処分量は平成22年度には,平成2年度の概ね60%,平成12年度の概ね80%にすることを目標にしている。
D各主体の取組目標であるマクロ指標として,平成22年度には,約60%の人たちが廃棄物の減量:化や循環利用,グリーン購入の意識を持ち,約30%の人がこれらについて具体的に行動するようになることを目標としている。

IV-17
土壌汚染に関する次の記述のうち,誤っているものを選べ。
@土壌汚染対策法では,土壌汚染状況調査の結果,基準に適合しない土地は指定区域台帳に記帳され,公衆に閲覧されることになっている。
A土壌環境基準は,汚染物質の土壌から地下水への溶出,米に対する影響及び米への蓄積による人の健康影響の観点から基準が定められている。
B土壌環境基準は,自然的要因により汚染された土壌には適用されないが,廃棄物の埋立地の土壌には適用される。
C我が国における過去の土壌汚染の例として,足尾銅山事件やイタイイタイ病など,鉱山廃水による農地の重金属汚染があげられる。
Dブラウンフィールドは,土壌汚染やその懸念により,利用されずに放置されているか,または本来有する潜在的な価値より低い用途で利用されている土地のことで,汚染されていない土地への開発圧力が生じるという問題を含んでいる。

IV-18
我が国の環境影響評価に関する次の記述のうち,誤っているものを選べ。
@環境影響評価法の対象となる事業は,国が実施し,または許認可等を行う事業である。
A環境影響評価法の対象となる事業には,廃棄物の最終処分場も含まれている。
Bスクリーニングとは,事業規模によって分類される第一種事業と第二種事業に対して,環境影響評価の実施の必要性を判定し,対象事業を選定することである。
Cスコーピングとは,環境影響評価における調査・予測・評価の項目及び手法を,画一的に決めず,対象事業ごとに絞り込むことである。
D現行の環境影響評価は事業計画が固まった段階で行うが,戦略的環境アセスメントは,事業の実施段階に至る前に,その上位計画や政策の策定等の段階で行う。

IV-19
環境管理に関する次の記述のうち,誤っているものを選べ。
@ライフサイクルアセスメント(LCA)とは,製晶に関する資源の採取,製造,使用,廃棄,輸送など全ての段階を通して,環境への影響を定量的に評価する手法である。
APDCAサイクルとは,管理計画の作成,組織的な実行,結果の点検,不都合な点の是正というサイクルにより,品質や環境の継続的な維持・改善を図る手法である。
Bヨーロッパを中心に取り組まれ始めた持続可能性報告書とは,企業等がその活動が経済的,環境的及び社会的な視点で持続可能な発展に適合しているかを評価・公表するものである。
CISO14001(環境マネジメントシステム規格)とは,企業等で環境管理システムの構築,運用,内部監査及び見直しを図り,その環境経営を対外的に明らかにする認証登録制度である。
D拡大生産者責任(EPR)とは,生産者は製品の生産・使用段階,消費者は使用済み製品の廃棄・リサイクル段階で責任を負うという,OECDが提唱した概念である。

IV-20
水質環境基準または排水基準に関する次の記述のうち,誤っているものを選べ。
@水質環境基準における窒素とリンの基準は,公共用水域のうち湖沼と海域に対して定められており,河川に対しては定められていない。
A水質環境基準における公共用水域とは,河川,湖沼,港湾,沿岸海域,公共溝渠及びかんがい用水路などをいい,終末処理場に接続する下水道は含まれない。
B水質環境基準の「人の健康の保護に関する環境基準」と「生活環境の保全に関する環境基準」は,対象水域を類型に分けて定めており,全対象水域一律の基準ではない。
C特定事業場からの排出水に対して,国は環境省令で全対象水域一律の排水基準を定めているが,都道府県はこの基準より厳しい基準を条例で定めることができる。
D特定事業場からの排出水に対して,国が環境省令で定める排水基準のうちいわゆる生活環境に係る項目は一日平均の排出水の量が50m3以上の特定事業場に適用される。

IV-21
「京都議定書」に規定するクリーン開発メカニズム(CDM)に関する次の記述のうち,誤っているものを選べ。
@関係締約国の承認を受けた民間事業者もプロジェクト参加者になりうる。
Aプロジェクトによる排出削減量は,1990年を基準年として算定される。
Bクレジットの発行は,2000年以降の排出削減量が対象となりうる。
C途上国への原子力施設の導入により得られるクレジットを先進国の数値目標の達成に活用することは控えることとされている。
D発行されたクレジットの2%分が,気候変動に対して脆弱な途上国の適応費用支援のための分担分として差し引かれる。

IV-22
次のうち,「大気汚染防止法」に規定する揮発性有機化合物ではないものを選べ。
@メタン
Aトルエン
Bキシレン
Cメタノール
D酢酸エチル

IV-23
「特定有害廃棄物等の輸出入等の規制に関する法律」に関する次の記述のうち,正しいものを選べ。
@「特定有害廃棄物等」には,再生資源として利用される有価物は含まれない。
A不法な輸出が行われた場合には,・輸入国政府が輸出者に対して回収・処分等の措置を命令する仕組みとなっている。
B特定有害廃棄物等を輸入しようとする際には,輸入国政府は輸送の通過国に事前通告しなければならない。
C輸入国の処分者は,特定有害廃棄物等の処分が完了したことを輸出国に通知しなければならない。
D廃PETボトルを輸出する際には,必ず本法に基づく手続を行わなければならない。

IV-24
自然公園法は昭和32年に制定され今年50年を迎えたが,我が国の自然公園制度に関する次の記述のうち,誤っているものを選べ。
@自然公園法は,その前身の国立公園法(昭和6年制牢)が抜本的に改正されたもので,これにより,国定公園や都道府県立自然公園を含む自然公園体系が整備された。
A我が国の自然公園は,土地の所有形態に関係なく地域を指定して,風致景観を保護するため一定の公用制限を課する,いわゆる「地域制」の公園制度をとっている。
B平成18年3月末現在,国立公園は28公園,国定公園は55公園,都道府県立自然公園は309公園が指定されており,その総面積は国土面積の約14%を占める。
C国定公園は,国(環境大臣)が,関係都道府県の申出により,中央環境審議会の意見を聴いて指定し,国がその管理を行う。
D自然公園法に基づく公園計画には規制計画と施設計画があるが,施設計画の対象には植生復元施設や動物繁殖施設,砂防施設,自然再生施設なども含まれる。

IV-25
自然環境保全法(昭和47年)に関する次の記述のうち,誤っているものを選べ。
@自然環境保全地域は,環境大臣が関係地方公共団体の長及び中央環境審議会の意見をきいて指定する。
A原生自然環境保全地域は,原生な自然の状態を維持している地域で,面積が1000ヘクタール以上,又はその周辺が海面に接している300ヘクタール以上の区域について指定する。
B環境大臣は,原生自然環境保全地域に関する保全計画に基づいて,その区域内に立入制限地区を指定することができる。
C平成19年3月末現在,原生自然環境保全地域は,遠音別岳,利根川源流部,南硫黄島,大井川源流部,屋久島の5地域が指定されている。
D都道府県は都道府県条例に基づいて,自然環境保全地域に準ずる自然環境を有している区域を都道府県自然環境保全地域に指定することができる。

IV-26
世界遺産条約(世界の文化遺産及び自然遺産の保護に関する条約)及びこれに基づき世界遺産リストに登録される世界自然遺産に関する次の記述のうち,誤っているものを選べ。
@世界遺産条約は1972年にユネスコ総会において採択され,1975年に発効したが,我が国での発効は1992年である。
A世界遺産条約の締約国数は,2007年7月現在184か国に達している。
B世界遺産条約の目的は,文化遺産及び自然遺産を人類全体のための世界の遺産として保護し,保存し,国際的な協力及び援助の体制を確立することである。
C世界自然遺産の登録には,法的措置等により,評価される価値の保護・保全が十分担保されていること,管理計画を有すること等の条件を満たすことが必要である。
D現在,我が国における世界自然遺産として,屋久島,白神山地,知床,小笠原が登録されている。

IV-27
自然公園の公園計画に基づく利用施設としての「博物展示施設」(ビジターセンター)に関する次の記述のうち,誤っているものを選べ。
@ビジターセンターは,展示や映像ソフト,インタープリター(自然ガイド)などにより,公園利用者に,自然保護思想の普及・啓発,自然や人文の解説,公園利用情報の提供などを行う施設である。
Aビジターセンターは,自然公園の中核的な利用施設であることから国や地方公共団体によって整備されており,民間によって整備されたものはない。
B国立公園の発祥の地といわれる米国においては,ビジターセンターは古くからその整備が進められ,公園への来訪者がまず立ち寄る施設としてよく普及している。
C我が国の自然公園でのビジターセンターは,日光国立公園の湯元地区に昭和38年に整備されたのが最初である。
Dビジターセンターは,その主たる立地特性から,公園の利用の中心地に立地するもの,公園の入口部分に立地するもの,公園の特徴的な自然が見られる特定の地区に立地するものなどがある。

IV-28
下記の外来生物のうち,外来生物法(特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律:,平成16年)に基づき環境省が指定する特定外来生物に指定されていないものを次の中から選べ。
@アライグマ
Aカミツキガメ
Bセイヨウオオマルハナバチ
Cブルーギル
Dミシシッピアカミミガメ

IV-29
環境省のほ乳類・鳥類のレッドリストに掲載されている種のうち,絶滅危惧1類(IA類及びIB類)に属する種のみをあげているものを次の中から選べ。
@ツシマヤマネコ,ニホンカワウソ,コウノトリ
Aアマミノクロウサギ,ノグチゲラ,トド
Bイリオモテヤマネコ,ゼニガタアザラシ,ツシマテン
Cオガサワラオオコウモリ,アホウドリ,クマタカ
Dトウキョウトガリネズミ,シマフクロウ,ヤンバルクイナ

IV-30
次に挙げる文章は,環境影響評価法に基づく基本的事項(平成17年改正)における調査・予測・評価手法について述べたものであるが,下線を付した箇所について誤っているものを選べ。
「生態系」に区分されている選定項目については,地域を特徴づける生態系に関し,陸生及び水生の動植物の生息・生育状況等の調査結果により概括的に把握される生態系の特性に応じて,@生態系の上位に位置するという上位性,A当該生態系がどれだけ貴重
かということを示す貴重性,及びB特殊な環境を指標するという特殊性の視点から,C注目される生物種等を複数選び,Dこれらの生態,他の生物種との相互関係及び生息・生育環境の状態を調査し,これらに対する影響の程度を把握する方法その他の適切に生態系への影響を把握する方法によるものとする。

IV-31
日本の自然環境保全制度に関する次の記述のうち,誤っているものを選べ。
@ラムサール条約(1975年)による登録湿地として,藤前干潟や尾瀬などがある。
A生物多様性条約(1993年)に基づき生物多様性国家戦略が策定されており,概ね5年ごとに見直しが行われることになっている。
B「動物の愛護及び管理に関する法律(平成17年改正)」では,人の生命,身体又は財産に害を加える恐れがある動物は特定動物として定められている。
C我が国に生息するほ乳類及び鳥類については,「鳥獣の保護及び狩猟の適正化に関する法律(平成14年改正)」により指定された種について,保護の対象とされている。
D温泉法施行規則(平成17年改正)では,温泉に加水,加温,循環装置の使用等を行っている場合については,その旨とその理由を明示することが義務づけられている。

IV-32
生態系の評価に関する次の記述のうち,誤っているものを選べ。
@植生自然度は,「固有性の高い貴重な自然ほど植生自然度が高い」という考え方に基づいて評点化されている。
A生態系を構成する生物の希少性の評価には,種の絶滅の危険性を評価して記載されたレッドリストがよく利用される。
B青木淳一(1998)の提案した自然の豊かさ指数は,土壌動物の環境指標性を利用して算出するものであり,植生だけでなく,地上部と地下部を総合的に評価する際に役立つ。
C生態系の固有性は,群落に占める固有種の種数の割合や,ある景観に占める固有生態系の種類数の割合などで表される。
D生態遷移の進行状況を評価する方法として,沼田眞(1961)が提案した遷移度があり,植物の被度・高さ・生存年限と種数・植被率などを用いて算出する。

IV-33
自然再生基本方針(環境省,平成15年)に関すう次の記述のうち,誤っているものを選べ。
@自然再生事業は,開発行為等に伴い損なわれる環境と同種のものをその近くに創出する代償措置事業の一つである。
A自然再生事業の目標や方法の検討については,それぞれの地域の自主性・主体性が尊重されるべきである。
B科学的知見の十分な集積を基礎としながら,自然再生の必要性の検証を行うとともに,自然再生の目標や目標達成に必要な方法を定めることが必要である。
C自然環境が再生していく状況をモニタリングし,必要に応じ計画や事業の内容を見直していく順応的な進め方によることが重要である。
D自然再生事業を実施している地域が,自然環境に関する知識を実地に学ぶ場として十分に活用されるよう配慮する必要がある。

IV-34
植物群落の遷移に関する次の記述のうち,誤っているものを選べ。
@生態遷移における群落の変化の過程を遷移系列,その過程にある段階を遷移段階あるいは途中相と呼び,最も発達した最終的な遷移段階を極相という。
A遷移では,種によって異なる生理生態的特性によって,ある種が別の種に置換される。
B二次遷移は,生物活動がみられず土壌や有機物がない広大な裸地から始まる。
C発達した森林では,マイクロサクセッションが常に生じるため,発達段階が異なる小林分がモザイク状に維持されている。
D緑化された法面は徐々に周辺環境と調和した植生に遷移することが期待されているが,クズ群落やニセアカシア群落などへの偏向遷移が生じて,遷移の進行が停滞する場合もある。

IV-35
里山に関する次の記述のうち,誤っているものを選べ。
@絶滅の恐れのある種が多く出現する場所のおよそ5割は里地里山にあることがわかっている。
A里山の林では,行政や市民ボランティアによる手入れが望まれているが,その実施は一部にとどまっている。
B都市近郊の雑木林が孤立林化すると,動物散布型の耐陰性の高い植物が増え,重力散布型の植物が減少する傾向がある。
C薪炭林の伝統的な萌芽更新作業では,直径30cm以上のコナラやクヌギの幹を,地際近くの位置で切断していた。
D管理放棄され,森林の下層にヒサカキやアズマネザサが優占するようになると,林床植物の種数は減少する。


正解
問題 正解 問題 正解 問題 正解 問題 正解 問題 正解 問題 正解 問題 正解
1 3 6 2 11 3 16 3 21 2 26 5 31 4
2 4 7 5 12 5 17 3 22 1 27 2 32 1
3 5 8 4 13 1 18 3 23 4 28 5 33 1
4 5 9 3 14 4 19 5 24 4 29 1 34 3
5 3 10 5 15 2 20 3 25 4 30 2 35 4