平成20年度技術士第二次試験問題
(環境部門)
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環境一般
専門問題
環境保全計画
環境測定
自然環境保全
環境影響評価

環境一般

U 次の間題について解答せよ。

平成18年4月に閣議決定された第三次環境基本計画においては,持続可能な社会は「健全で恵み豊かな環境が地球規模から身近な地域までにわたって保全されるとともに,それらを通じて国民一人一人が幸せを実感できる生活を享受でき,将来世代にも継承することができる社会」と定義されている。ここに定義された持続可能右左会を表現する上での課題等について,次の問いに答えよ。(それぞれの指示に従って答案用紙3枚以内にまとめよ。)
(1)あなたが重要と考える課題を3つ取り上げ,それぞれについてその概要を述べよ。
 (1枚以内)
(2)上記のうち,技術士として最重要と考える1つの課題を選び,最重要と考える理由を
述べよ。(1枚以内)
(3)その課題の方向性及び自らの貢献の可能性について,論述せよ。(1枚以内)
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専門問題(環境保全計画)

T 次の6問題のうち2問題を選んで解答せよ。(問題ごとに答案用紙を替えて解答問題番号を明記し,それぞれ3枚以内にまとめよ。)

 次の6問題のうち2問題を選んで解答せよ。(問題ごとに答案用紙を替えて解答問題番号を明記し,それぞれ3枚以内にまとめよ。)

T−1 低炭素社会作りの方法の1つとして「カーボン・オフセット」があるが,この「カ ーボン・オフセット」について,次の問いに答えよ。
(1)カーボン・オフセットの仕組みについて,具体的な例を挙げつつ,その概要について 述べよ。
(2)カーボン・オフセットが我が国で定着し,低炭素社会作りのうえで効果をあげるため  に解決すべき課題について論ぜよ。

T−2 我が国の循環型社会形成に関する次の問いに答えよ。
(1)循環型社会の形成に向けて,低炭素化社会との統合的な取り組みを図っていくための 課題について述べよ。
(2)上記の課題のうちの1つを選び,その解決の方向性について論ぜよ。

T−3 化学物質の環境への排出量の把握等の措置(PRTR)について,次の問いに答えよ。
(1)化学物質排出把握管理促進法に基づくPRTR制度の概要,及び近年の届け出結果を踏 まえて排出の状況について述べよ。
(2)化学物質排出把握管理促進法に基づくPRTR制度の課題と,今後の改善の方向につい て論ぜよ。

T−4 酸性降下物について次の問いに答えよ。
(1)我が国の酸性降下物の状況とそれによる影響,また調査・対策の概要について述べよ。
(2)酸性降下物のような越境大気汚染対策について,アジア太平洋地域として対策をとる 場合の課題と今後の方向,及び我が国の期待される役割について論ぜよ。

T−5 土壌汚染の存在,あるいはその懸念から,本来,その土地が有する潜在的な価値よ りも著しく低い用途あるいは未利用となった土地(以下,「ブラウンフィールド」という。)に関連し,次の問いに答えよ。
(1)海外の事例に言及しつつ,我が国のブラウンフィールド問題について現況,発生要因及び社会への影響について述べよ。
(2)今後,ブラウンフィールド間題を深刻化させないために,望まれる施策及び実施すべ  き取り組みについて論ぜよ。

T−6 我が国における生物多様性の保全について,次の問いに答えよ。
(1)2007年11月に閣議決定された第3次生物多様性国家戦略に基づき,我が国の生物多 様性保全施策の概要を述べよ。
(2)上記の国レベルでの生物多様性戦略を,地域レベルでの環境保全計画にどのように反 映させていくべきかを論ぜよ。
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専門問題(環境測定)

T 次の10問題のうち2問題を選んで解答せよ。ただし、Aグループ(T−15)及びBグループ(T−610)からそれぞれ1問題を選ぶこと。(問題ごとに答案用紙を替えて解答問題番号を明記し、それぞれ3枚以内にまとめよ。)

(Aグループ)

T−1 公共用水域の生活環境の保全に関する環境基準や水道水の水質基準において、有機 物については異なる3つの水質項目で測定する。(1)この3つの項目の正式名称を述べ、 それぞれの項目の測定値の持つ意味について論述せよ。(2)公共用水域の生活環境の保全に関する環境基準値である有機汚濁の水質項目の評価方法とその意味について論述せよ。

T−2 廃棄物処分場や土壌汚染対策現場などにおいて、土壌や廃棄物中の重金属類を迅速・簡便に分析する方法として、非破壊で試料を分析できる蛍光]線分析法が用いられる ことがある。この方法の原理、試料調製と測定の方法、問題点とその解決法などについて述べよ。

T−3 大気中に存在する粒子状物質は、発生、生成要因等により粒径分布が大きく異なっている。このため、大気中粒子状物質捕集において分粒装置を用い一定サイズ以上の粒子 をカットした捕集を行うことが多い。現在実用的に使用されている分粒装置を2種類以上挙げ、その原理、特徴、問題点、運用・管理上の留意点を述べよ。

T−4 原子吸光光度計を用いて環境試料を測定する場合、バックグラウンド補正の必要性及び代表的な2種類のバックグランド補正方法とそれらの特徴を述べよ。

T−5 屋外での環境騒音の測定において、測定値に影響を与える種々の要因を列挙し、それらの具体的な影響とその影響を防ぐ方法について述べよ。ただし、発生源に関わる要因 は考えなくてよい。

(Bグループ)

T−6 温室効果ガス(気体)濃度の増加や地球の温暖化現象の顕在化が指摘され、その対 策が急務とされる。(1)温室効果気体のうち大気中での組成率の大きい方から3つの気体の名称と、それぞれの主要排出源を示し、その試料採取方法と分析方法について述べよ。 (2)温室効果気体の長期モニタリング上の問題点について論述せよ。
                                                 
T−7 水試料や弱い抽出剤(例えば水など)による土壌・底質抽出液に含まれる重金属類 を分析する場合、検液中濃度が低くて利用できる分析機器の定量限界に達しない場合があ る。この間題を解決するための前処理法を、対象試料、対象重金属類、用いる分析機器などを具体的に想定して述べよ。また、その方法を選択した理由について述べよ。

T−8 ある環境測定について最適な試料と定量方法を選定する際に、どのような事項を考 慮して決定していけばよいのかについて論述せよ。

T−9 環境試料の分析において高分解能GC/MSでの測定が必要とされる場合、その理由について論述せよ。

T−10 トンネル発破工事に伴って発生する騒音、低周波音、地盤振動の現地測定におい て、全ての測定データをデータレコーダに収録したい。一般的な測定機器の組合せを示し、 さらに収録に際して留意すべき点を具体的に述べよ。
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専門問題(自然環境保全)

T 次の4問題のうち,Aグループ(T−1〜2)及びBグループ(T−3〜4)からそれぞれ1問題を選び,計2問題について解答せよ。(問題ごとに答案用紙を替えて解答問題番号を明記し,それぞれ3枚以内にまとめよ。)

(Aグループ)


T−1我が国の生物多様性及び生物多様性の保全のための重要施策である「生物多様性国家戦略」に関連して,次の@〜Bについて述べよ。
@ 生物多様性の保全に関連した我が国の法律を5例(法律名,目的,簡潔な内容)
A 生物多様性国家戦略(1995年)策定以降の国内外の生物多様性の動向と,第三次生物多様性国家戦略の理念,特徴等
B 第三次環境基本計画の策定なども踏まえ,今後の生物多様性のために必要な取組,将 来の展望

T−2 我が国の国立公園と原生自然環境保全地域に関し,次の@〜Bについて述べよ。
@ 国立公園及び原生自然環境保全地域,それぞれの地域指定制度成立の時代背景,根拠 法律,指定目的,その他の概要
A 国立公園と原生自然環境保全地域とを比較したうえで,原生自然環境保全地域の問題 点と課題
B 上記Aを踏まえて,原生自然環境保全地域の今後の展開方策

(Bグループ)

T−3 野生生物の保護管理について,次の@〜Bについて述べよ。
@ 最近の保護,保存又は被害防止事例を簡潔に3例(地域名,種(亜種)名,内容)
A @で挙げた事例の1つについての野生生物保護管理の現状と課題
B あなたの考える野生生物保護管理における社会的合意形成のあり方

T−4 我が国のラムサール条約登録湿地の保全と適正な利用について,次の@〜Bについ て述べよ。
@ 条約登録湿地の要件を挙げるとともに,登録湿地の保全と利用のための基本的な考え 方
A 登録湿地の現状及び整備上の問題点と課題
B 登録湿地の保全と整備のあり方についての今後の展開
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専門問題(環境影響評価)

T 次に示すような特性をもつ地域で「高速自動車国道(高速自動車国道法第四条第一項による)」を建設(新設事業,次頁の図上に点線で示すルート)するに際して,環境影響評価法に基づき,その環境影響評価を実施することを想定し,T−1〜T−3の問題について解答せよ。(問題ごとに答案用紙を替えて解答問題番号を明記し,それぞれ指定枚数以内にまとめよ。)

本ルート沿線の地域特性
以下の異なる特性を有する3地域が存在する。
ア 里地自然地域:まとまりのある森林(クヌギーコナラ群集)で,タヌキ,キツネ等の山地型の動物の生息,カタクリ,イチリンソウ等の林床植物が生育する。また,オオタカが頻繁に観察される。これらのことから,ピクニックや散策,植物観察,野鳥観察等の体験型自然利用が行われる地域である。
イ 湿原地域 :西側の森林(クヌギーコナラ群集)の水源洒養機能に大きく依存する大規模な湿原で,多様な水生・湿生植物が生育する。また,トンボ類や小型両生類の重要な生息・繁殖地である。
ウ 市街化地域:人口10万人の地方都市である。

T−1 環境影響評価を実施するにあたり,想定する環境影響評価の項目の範囲を,「影響要因の区分」,「環境要素の区分」として,一覧表(マトリックス)形式に整理せよ。ただ し,細区分は含まないものとする。(答案用紙1枚以内にまとめよ。)

T−2 ルート上に廃棄物不適正処分場が存在する。この地域の環境影響評価を実施するう えで,一般的な調査手法,予測手法,評価手法及び環境保全措置について簡潔に述べよ。 (答案用紙1枚以内にまとめよ。)

T−3 上記のア,イ,ウの3つの地域区分から,1つの地域を選択して,(1)で採り上げた「環境要素の区分」の中から,1つの項目を選定し,その具体的な調査手法,予測手法,評価手法及び環境保全措置を詳述せよ。(答案用紙4枚以内にまとめよ。)


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