平成13年度技術士第二次試験問題(環境部門)
 ●環境測定
提供:SC30さん

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経験論文 1−1

選択科目 1−2

環境一般 2−1

環境一般 2−2

択一式問題の正答

 【環境保全計画】

T-1 次の問題について解答せよ。(答案用紙5枚以内にまとめよ。)

あなたが技術的責任者として実際に行った国内外業務のうち,環境測定の技術者としてふさわしいものを2例挙げて,それについて下記の項目に従って論述せよ。
(1)業務内容及びあなたの役割
(2)業務当時における技術的課題・留意点とその解決法・成果
(3)現在の技術水準から見た問題点
(4)今後の課題とその解決のための技術的発展についての見解


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T-2 次の6問題のうち2問題を選んで解答せよ。ただし,1問題はAグループのうちから,他の1問題はBグループのうちから選ぶこと。(緑色の答案用紙を使用し,問題ごとに用紙を替えて解答問題番号を明記し,それぞれ5枚以内にまとめよ。)

 
(Aグループ)
T-2-1(A) 環境測定においては,汚染物質の個別測定方法及び包括測定方法が採用されている。後者の具体的な方法(バイオアッセイを除く)を例示し,その有用性と問題点について述べよ。

T-2-2(A) 環境測定における簡易測定法の有用性及び問題点について述べよ。

T-2-3(A) 地球環境問題を踏まえた環境保全の対策と課題について具体的事例を挙げて述べよ。

(Bグループ)
T-2-4(B) 環境水中及び大気中の臭気物質について,測定技術の現状と対応すべき課題について述べよ。

T-2-5(B) 超微量化学物質の環境測定における分析精度管理の必要性及び問題点について述べよ。

T-2-6(B) 低周波音の測定方法を具体的に述べるとともに,測定時に特に注意すべき点を挙げてその理由を説明せよ。


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【環境一般】

 

U-1 次の20問題のうち15問題を選択して解答せよ。(解答欄に1つだけマークすること。)


U-1-1 我が国の地球温暖化対策の現状(1990年代)に関する次の記述のうち,正しいものを選べ。
 @ 対GDPエネルギー弾性値は,一貫して1以下で推移してきている。
 A CO2の部門別排出量で最大の増加率(対1990年比)を示しているのは,民生(家庭系)である。
 B 製造業からのCO2排出量は,1990年以降,減少し続けている。
 C 旅客輸送量当たりのCO2排出量の原単位(gCO2/人/キロ)は,1990年以降,増加している。
 D ソーラーシステム(太陽熱温水器等)の,普及は着実に進展している。

U-1-2 大気汚染・騒音対策に関する次の記述のうち,正しいのはどれか。
 @ ディーゼル排気粒子(DEP)は,粒径10μm前後の粒子で,発がん性,気管支ぜんそく,花粉症等の健康影響が懸念されている。
 A 我が国では,札幌,つくば,鹿児島,那覇及び南鳥島でオゾン層の観測が行われているが,いずれの地点でも減少傾向は確認されていない。
 B 平成12年度のモニタリング結果によると,有害大気汚染物質の1つであるベンゼンは,約2割の測定地点で環境基準を超過していた。
 C 航空機騒音に係る環境基準の達成状況は,各種の対策の効果により,ここ数年はほぼ100%で推移している。
 D 平成13年6月の自動車NOx法の改正(自動車NOx・PM法)で,対策地域は全国に拡大された。

U-1-3 水質問題に関する次の記述の中で正しいものはどれか。
 @ し尿だけを処理して雑排水が未処理で放流される単独処理浄化槽の新設が今後も続くことが問題である。
 A 海域では,CODの最も緩い環境基準であるC類型8ppmは達成されているといってよい状況にある。
 B 凝集沈殿法は,薬品を使わずに微生物の力によって排水を処理する方法である。
 C 青潮は,冷たく酸素の豊富な海水が突然わき上がってくる現象である。
 D 水質汚濁防止法では,汚染された地下水の水質浄化を命令することまでは規定されていない。

U-1-4 水質汚濁に係る環境基準のうち,海域の窒素及びリンに係る環境基準は「利用目的の適応性」に応じた「類型」の別に基準値が示されているが,その内容について次の記述のうち誤っているものはどれか。
 @ 利用目的の適応性のうち水産1種,水産2種及び水産3種はそれぞれU類型,V類型及びW類型である。 
 A 利用目的の適応性のうち工業用水はW類型である。
 B 利用目的の適応性のうち生物生息環境保全はT類型である。
 C T類型の全窒素の基準値は0.2mg/L以下である。
 D W類型の全リンの基準値は0.09mg/L以下である。

U-1-5 環境影響評価において環境情報は重要な役割を果たすが,自然環境分野の次の記述のうち,誤っているのはどれか。
 @ 野生動植物の分布調査を進めるための基礎情報として「植物目録」「動物チェックリスト」が作成されているが,我が国の既知種(約9万種)を網羅するにはいたっていない。
 A 生態系の量的把握について,植生現存量・生産量は関東地方を対象にした例があるのみである。
 B 自然環境の劣化を早期に把握し,要因を特定するなど質の高いデータを継続的に収集するため全国1,000箇所のモニタリングサイトを設置することになっている。
 C 移入種の分布情報は,現在,生物多様性情報システム(J-IBIS)で提供されている。
 D リモートセンシングは,自然環境データの収集整備に極めて効率的であるが,野外の観察調査と併用することが必要である。

U-1-6 近年環境保全が問題になった地域についての各種保護制度に関する次の記述のうち,正しいのはどれか。
 @ 自然環境保全法による原生自然環境保全地域に指定されている白神山地は世界遺産に登録されている。
 A 廃棄物最終処分場の建設是非が問題になった藤前干潟は,2001年にラムサール条約の登録湿地になり,国設鳥獣保護区が設定された。
 B いわゆる沖縄の「やんばるの森」には,「絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律」の生息地等保護区が指定されている。
 C 現在建設が進められている神戸空港は瀬戸内海国立公園に指定された海域内にある。
 D 日本版ナショナルトラストとして知られる天神崎は県立自然公園に指定されている。

U-1-7 日本国内に生息する動物の相当数は絶滅の危機にさらされているが,レッドデータブック・レッドリストで絶滅危倶(絶滅危倶T類及びU類)とされた種(亜種・変種を含む)の割合が高い順に並べた分類群の組合せとして正しいものを次から選べ。
 @ 1.哺乳類 2.鳥類 3.昆虫類
 A 1.鳥類 2.爬虫類 3.哺乳類
 B 1.爬虫類 2.昆虫類 3.両生類
 C 1.両生類 2.哺乳類 3.爬虫類
 D 1.昆虫類 2.両生類 3.鳥類

U-1-8 日本の生物種の現状に関する次の記述のうち,適切でないものを選べ。
 @ 中・大型哺乳類ではカモシカを除き種としての固有性は高くないものの,本州,四国,九州で普通に見られる小型哺乳類の多くは日本固有の種である。
 A 鳥類では日本で見られる種の60%以上が渡り鳥であり,その特徴は,水鳥の比率が高く,特に海洋性の種が多い。
 B 爬虫類では日本固有の種の割合が約40%と高く,また,いくつかのウミガメ類,ウミヘビ類の繁殖地の分布北限となっており,特にアカウミガメの西部太平洋域での主要な繁殖地となっている。
 C 両生類では大陸との共通種の割合が極めて高く,日本に固有な種・亜種はサンショウウオ類だけである。
 D 維管束植物では高山や島嶼を中心に多くの固有種を有し,この中には,日本に固有なコウヤマキ科,シラネアオイ科を含む。

U-1-9 地域における生物多様性の指標となる種のうち,環境影響評価で「上位性の視点から注目される生物種」に該当するものを次から選べ。
 @ 生態的指標種    A キーストーン種    B アンブレラ種    C 象徴種    D 危急種

U-1-10 日本の自然公園に関する次の記述のうち,適切でないものを選べ。
 @ 自然公園は,昭和6年の国立公園法により初めて制度化された。
 A 自然公園体系は,国立公園,国定公園及び都道府県立自然公園で構成され,その総面積は国土面積の約14%である。
 B 自然公園は,地域制公園である。
 C 自然公園では,公園ごとに自然風景の保護と適正な利用の促進を図るための公園計画が定められる。
 D 自然公園は,国土利用計画法に定められる5つの土地利用形態の1つである自然保全地域に含まれる。

U-1-11 近年,野生鳥獣の個体数管理の実施者として,狩猟者の役割が大きくなっている。狩猟者の数は,1950年以降増大し,1970年に(ア)とピークに達したが,1980年以降減少が続いており,1998年に(イ)となっている。年齢階層別にみると,50歳以上が占める割合は(ウ)となっている。次の中からア,イ,ウに該当する正しい組合せを選べ。
     ア     イ     ウ
 @  53万人 23万人  70%
 A 103万人 58万人  70%
 B 103万人 80万人  80%
 C  33万人 15万人  50%
 D  80万人 60万人  50%

U-1-12 自然公園の風致維持を図る観点から公園利用施設の設計デザインの手法として,適当でないものを次から選べ。
 @ 背景となるスカイラインを保護する。
 A 環境との等質性を高める材料を用いる。
 B 施設を周辺地形などに共属しているように見せる。
 C 目立たない色を用いる。
 D 主景観の位置に施設を配置する。
 
U-1-13 日本の自然環境に関する次の記述のうち,適切でないものを選べ。
 @ 北方針葉樹林は最も寒冷な北海道東部などの亜寒帯に分布し,エゾマツ,トドマツなどで構成されている。
 A 夏緑樹林は主に本州中北部の太平洋側や日本海側などの冷温帯に分布し,落葉広葉樹のスダジイ,シラカシなどで構成されている。
 B 照葉樹林は本州中部太平洋側,紀伊半島,瀬戸内海周辺,四国,九州などの暖温帯に分布し,常緑広葉樹のタブノキ,ヤブツバキなどで構成されている。
 C 亜熱帯林は琉球列島などの亜熱帯に分布し,アコウ,ガジュマルやヒルギ類を主とするマングローブなど南方要素の強い植物で構成されている。
 D 低層湿原は北海道から沖縄まで広い範囲に分布し,中間湿原及び高層湿原は,屋久島を南限として日本の冷温帯並びに冷温な気候をもつ標高の高いところに分布する。

U-1-14 次の記述は環境中の有害重金属種,それらの毒性症状及び測定法に関する文章である。文中の(A),(B)及び(C)に該当する項目をそれぞれの群から選んだとき,正しい組合せはどれか。
毒性発現量を超えて(A)が体内に取り込まれると,慢性的症状としてよろめき歩行,視覚障害,生殖能力低下が見られるようになる。毒性発現を超えた量のヒ素が体内に取り込まれると,(B)のような慢性症状が見られるようになる。六価クロムは(C)のような方法によって測定することができる。

A群   B群        C群       
@ メチル水銀   Hunter-Russel症候群 ジエチルジチオカルバミン酸吸光光度法
A ヒ素 コプロポルフィリン尿症 溶媒抽出-ECD/GC法
B 尿細管におけるCaイオンの再吸収阻害   溶媒抽出-原子吸光光度法
C セレン 皮膚の角化症 ジフェニルカルバジド吸光光度法
D カドミウム よろめき歩行 ICP発光分光分析法


U-1-15 農薬を含む環境試料水の保存,前処理及び測定方法を述べた次の文章の中から,正しいものを選べ。
 @ 有機リン剤のジクロロボスを含むと考えられる試料水は水酸化ナトリウムでpH7-9にしてから冷蔵庫の中で保存する。
 A カルバメート剤のフェノブカルブを含むと考えられる試料水を冷蔵保存するときは,2N塩酸で酸性(pH2-3)にする。
 B 環境水中のチウラムを分析する場合は試料水を中性にし,塩化ナトリウムを加え,溶媒抽出後,高速液体クロマトグラフィーで測定する。
 C 環境水中のシマジンはジクロロメタンで抽出するか,又は固相抽出し,脱水,濃縮後,必要に応じてクリーンアップし,GC/MS又はGC/ECD(エレクトロンキャプチャー検出器)で測定する。
 D 試料水中のチオベンカルブはジクロロメタンで抽出するか,又は固相抽出し,脱水,濃縮後,必要に応じてクリーンアップし,GC/MS又はGC/FID(水素炎イオン化検出器)で測定する。

U-1-16 JIS Z8808(排ガス中のダスト濃度の測定方法)に規定される内容に関する以下の記述のうち,誤っているものを選べ。
 @ 直径1.5mの円形断面の煙道における半径区分数は2,測定点は8である。
 A 円形ろ紙は,有効直径30mm以上のものを使用する。
 B ろ紙を通るガスの見かけの流速が,一般に0.5m/s以下になるように,吸引ノズルの内径,ろ紙の寸法を選ぶ。
 C ダスト捕集用のろ紙は,ダストの捕集率が95%以上で,使用状態で化学変化を起こさないものでなければならない。
 D 測定点における排ガスの流れ方向と吸引ノズルの方向との偏りは,10度以下とする。

U-1-17 大気成分の自動計測器において,該当する項目に対し環境大気では通常用いられない測定方法との組合せを次から選べ。
該当項目  測定方法
 @ 二酸化硫黄 : 紫外線蛍光法
 A 窒素酸化物 : 赤外線吸収法
 B オキシダント : 吸光光度法
 C オゾン : 紫外線吸収法
 D 塩化水素 : イオン電極法

U-1-18 環境大気中の重金属の原子吸光光度法による測定に関する次の記述のうち,正しいものを選べ。
 @ バナジウムは原子化に高温を必要とするので,通常,炭素管フレームレスを用いて測定を行うが,この際にシースガスを流しながら行うと更に感度が上昇する。
 A クロムはアルカリ溶液で不溶性の化合物を形成しやすいので,酸分解法で試験溶液を調整することにより定量値のばらつきを防ぐことができる。
 B 大気中のマンガンや鉄は一部ケイ素との融合物として存在しているので,これら金属の全量値を正確に測定するにはフッ化水素(HF)を用いてケイ酸塩を分解する必要がある。
 C 炭素管フレームレス原子吸光光度法でヒ素を測定する場合,試料中にニッケル塩が存在するとヒ素の揮散が起こり感度が著しく低下する。
 D 大気中の水銀蒸気は,硫酸酸性過マンガン酸カリウム溶液(吸収液)に効率よく捕集されるが,メチル水銀蒸気はこの吸収液に捕集されない。

U-1-19 ダイオキシン類の分析に関する次の記述のうち,適切なものを選べ。
 @ ダイオキシン類の分析における回収率は,ほとんどの環境媒体で30〜100%の回収率である必要性が示されており,この範囲以外は再度,試料調製,試料採取をする必要がある。
 A 日本工業規格JIS K0312(1999年)では,装置の検出下限値及び定量下限値の求め方は,最低濃度の標準液をGC/MSで測定し,その操作を5回以上繰り返し,得られた測定値から標準偏差を求め,その3倍を装置の検出下限値,10倍を定量下限値として求める。
 B 日本工業規格JIS K0311(1999年)では,測定方法の検出下限値及び定量下限値の求め方は,最低濃度の標準液をGC/MSで測定し,その操作を5回以上繰り返し,得られた測定値から標準偏差を求め,その3倍を装置の検出下限値,その10倍を定量下限値として求め定量する。
 C 日本工業規格JIS K0311(1999年)では,実際の試料の測定において,少なくとも2,3,7,8-位塩素置換異性体の中でピークが検出されなかったものについては,ピーク近傍のベースラインのノイズ幅と標準液のクロマトグラムから,試料測定時の検出下限値S/N:1及び定量下限値S/N:5を算出しなければならない。
 D 大気環境のサンプリングは,吸引量500〜1,000L/minのハイボリュウムエアーサンプラーが主に用いられているが,吸引量50L/minのエアーサンプラーで1日吸引することも可能である。

U-1-20 次の評価量のうち,特定建設作業に伴う騒音の測定方法にないものを選べ。
 @ 騒音レベルの平均値
 A 騒音レベルの90パーセントレンジ上端値
 B 騒音レベル中央値
 C 騒音レベル最大値の平均値
 D 騒音レベル最大値の90パーセントレンジ上端値


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U-2 次の問題について解答せよ。(青色の答案用紙を使用し,2枚以内にまとめよ。)

環境低負荷型社会を実現する上での重要な課題,展望と技術士としての貢献の可能性について,内外の環境の現状を踏まえ,あなたの意見を述べよ。

 


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択一式問題の正答

問題番号 正答番号
U−1−1 4
U−1−2 3
U−1−3 2
U−1−4 3
U−1−5 4
U−1−6 5
U−1−7 1
U−1−8 4
U−1−9 2
U−1−10 5
U−1−11 1
U−1−12 5
U−1−13 2
U−1−14 4
U−1−15 3
U−1−16 4
U−1−17 2
U−1−18 3
U−1−19 2
U−1−20 3


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