平成19年度技術士第二次試験問題
(化学部門)
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化学一般
専門問題
(5-1)セラミックス及び無機化学製品
(5-2)有機化学製品
(5-3)燃料及び潤滑油
(5-4)高分子製品
(5-5)化学装置及び設備

化学一般

2 次の問題について解答せよ。なお、必要であれば添付の図・表を参考にしてもよい。(答案用紙3枚以内にまとめよ。)

(1) 我が国の化学産業の特徴についてあなたの考えを述ペよ。
(2) 我が国の化学産業の国際競争力を強化するための方策についてあなたの考えを述べよ。
(3) あなたの業務に関連した化学製品または化学技術のうちから具体例を 1 つ挙げ、その製品または技術の国際競争力を向上させるための戦略と課題について、あなたの考えを述ペよ。

(注)以下の図−1、図−2、表−1および表−2 は「2006年版ものづくり白書」を、また表−3は「グラフでみる日本の化学工業2006」(日本化学工業協会)を基に作成した。



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専門問題

(5−1) セラミックス及び無機化学製品

1 次の2問題(1−1、 1−2)について解答せよ。

1−1 次の8設問のうち3設問を選んで解答せよ。(設問毎に答案用紙を替えて解答設問番号を明記し、それぞれ1枚以内にまとめよ。)

1−1−1 代表的なナノカーボンにフラーレンとカーボンナノチューブがある。これらのナノカーボンのいずれか1つについて、その製造方法と特性並びに期待される応用例について述べよ。

1−1−2 反応焼結炭化ケイ素の製法について、その特性並びに用途例を説明せよ。

1−1−3 AとBを端成分として完全固溶体を作る場合と共晶のみを生成する場合の状態図を作成し、それぞれについて作成した図を利用して成分AとBからなる液相から固相を生成する過程を説明せよ。

1−1−4 粗製シリコンから高純度シリコンを製造するいくつかの方法が知られている。これら高純度シリコンの製造方法のうち1つを選択し、それについて説明せよ。

1−1−5 以下の伝統的セラミックス製品@〜Cの中から1つを選択し、その代表的な製造方法の1つを説明すると共に、製品の特性並びに用途について説明せよ。
   @セメント Aガラス B陶器・磁器 C耐火物

1−1−6 ガス拡散電極の電解プロセスヘの応用と実用化に当たっての課題について述べよ。

1−1−7 薄膜製造技術としてのPVD法及びCVD法についてそれぞれの原理と特徴並びにそれぞれの代表的な用途を説明せよ。

1−1−8 ディーゼルエンジンの排気ガス処理に使われているセラミックス製品について説明せよ。

1−2 次の3設問のうち1設問を選んで解答せよ。(答案用紙を替えて解答設問番号を明記し、3枚以内にまとめよ。)

1−2−1 二酸化チタンをはじめとする光触媒が新しい機能性材料として注目され、それらの一部は実用化されている。これに関連して以下について述べよ。
  (1)ゾルゲル法による微粒子や薄膜の製造
  (2)二酸化チタン光触媒の原理と機能、並びに現時点での課題
  (3)二酸化チタン光触媒技術の活用拡大に向けてあなたの考える対応策

1−2−2 あるべき水素社会に関して以下の点から述べよ。
  (1)水素社会の目的と意義
  (2)水素社会実現に対する課題
  (3)水素社会に向けてのあなたの技術的提案

1−2−3 分散型発電方式として家庭用燃料電池システムがその実用化を迎えようとしている。このシステムについて以下の点から述べよ。
  (1)家庭用燃料電池システムの概要とそのメリット
  (2)家庭用燃料電池システムの実用化に向けての課題
  (3)(2)の課題を克服する対応策とあなたの技術的提案

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(5−2) 有機化学製品

1 次の2問題(1−1、1−2)について解答せよ。

1−1 次の8設問のうち3設問を選んで解答せよ。(設問毎に答案用紙を替えて解答設問番号を明記し、それぞれ1枚以内にまとめよ。)

1−1−1 マイクロカプセルの特徴、製法、応用例について説明せよ。

1−1−2 イオン液体に関して次の2つの問いに答えよ。
 (1)イオン液体の特徴を説明せよ。
 (2)イオン液体を利用する1つの例として検討されている色素増殖型太陽電池について説明せよ。

1−1−3 Grignard試薬に関して次の2つの問いに答えよ。
 (1)Grignard試薬について説明せよ。
 (2) Grignard試薬と次の物質との反応について説明せよ。
   @アルデヒド   Aケトン    Bハロゲン化アルキル
   Cエステル    Dアルコール  E二酸化炭素

1−1−4 ヒドロホルミル化反応(オキソ反応)の特徴及び工業的な応用例について説明せよ。

1−1−5 Cahn-Ingold-Prelog則(R, S表示)について説明し、乳酸の立体配置を記せ。

1−1−6 バクテリアセルロースの特徴、製法、応用例について説明せよ。

1−1−7 芳香族ヘテロ環状化合物に関して次の2つの問いに答えよ。
 (1)ピロールの代表的な製造方法1つを挙げ説明せよ。
 (2)ピロール環の反応性について説明せよ。

1−1−8 フオトクロミズム、エレクトロクロミズム、サーモクロミズム、ピエソクロミズムノソルバトクロミズムの中から2つを選択し、有機化合物のクロミズム現象について反応例を挙げて説明せよ。

1−2 次の2設問のうち1設問を選んで解答せよ。(答案用紙を替えて解答設問番号を明記し、3枚以内にまとめよ。)

1−2−1 界面活性を有する固体粒子として界面活性粉体が注目されている。界面活性粉体は、界面に吸着してエマルションを形成する点では、通常の界面活性剤と同様に機能する。しかし、分子ではなく粒子である点、親水茎と疎水茎が共存する必要がない点で、通常の界面活性剤とは異なる。界面活性粉体として一般的なのは、ポリスチレン、シリカなどの微粒子である。また界面活性粉体では、水/油/界面活性粉体の三相が接触する部分で各相間の界面張力が釣り合うとき、すなわちヤングの式が成り立つとき、最も安定にエマルションが形成される。
 (1)通常の界面活性剤と比較しながら、界面活性粉体の長所をできるだけ多く挙げよ。
 (2)界面活性粉体の長所を生かした産業上の応用例を3例挙げて説明せよ。既存の応用例を挙げてもよいし、新規に応用例を提案してもよい。

1−2−2 炭化水素などの分子状酸素含有ガスによる気相触媒酸化は、いくつかの含酸素化合物の製造に工業的に利用されている。これについて次の問いに答えよ。
 (1)この気相触媒酸化反応を工業的に行う場合の反応器として適していると考えられる形式を3種類挙げ、その理由を説明せよ。
    また、反応器の形式に対応して好ましいと思われる触媒の性質があればそれを挙げ、その理由を説明せよ。
 (2)この気相触媒酸化反応を工業的に行う場合、爆発回避のために有効と考えられる方法を説明せよ。
 (3)次に挙げる5つの石油化学製品の中から2つを選び、気相触媒酸化による工業的製造法での反応の特徴(原料、触媒、反応条件、反応形式)について、上記(1)、(2)も含めて説明せよ。
  @無水マレイン酸
  Aホルムアルデヒド
  B無水フクル酸
  Cアクリル酸
  Eエチレンオキサイド(酸化エチレン)

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(5−3) 燃料及び潤滑油

1 次の2問題(1−1、1−2)について解答せよ。

1−1 次の5設問のうち3設問を選んで解答せよ。(設問毎に答案用紙を替えて解答設問番号を明記し、それぞれ1枚以内にまとめよ。)

1−1−1 我が国の石油備蓄の現状と技術課題について述べよ。

1−1−2 我が国の現在の一次エネルギーにおける石炭の位置づけを述べ、さらに発電に石炭を利用するに当たって今後有望と考えられる技術について述べよ。

1−1−3 新たなエネルギー資源として期待されるメタンハイドレートについて説明し、我が国が推進している技術開発について述べよ。

1−1−4 AP1基油カテゴリーのグループU基油及びグループm基油の製造方法、特徴及び用途について述べよ。

1−1−5 再生可能なバイオ燃料としてエタノールが注目され、我が国ではエタノールを3%混合したガソリン(E3)が検討されている。 E3の使用上の問題点及び対策について述べよ。

1−2 次の2設問のうち1設問を選んで解答せよ。(答案用紙を替えて解答設問番号を明記し、3枚以内にまとめよ。)

1−2−1 我が国では硫黄分濃度lOppm以下の軽油が2005年から先取りして供給されている。
 (1)硫黄分濃度lOppm以下にした背景とそのための技術について説明せよ。
 (2)さらに低硫黄化を目指す場合の問題点について述べよ。

1−2−2 油圧作動油について以下の問いに答えよ。
 (1)鉱油系油圧作動油に要求される性能について説明せよ。
 (2)鉱油系油圧作動油の種類と特徴について説明せよ。
 (3)最近の油圧機器はますます小型化、高圧化、高効率化の傾向にある。そういう状況にさらされる油圧作動油の問題点及び対応策について述べよ。

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(5−4) 高分子製品

1 次の2問題(1−1、1−2)について解答せよ。

1−1 次の5設問のうち3設問を選んで解答せよ。(設問毎に答案用紙を替えて解答設問番号を明記し、それぞれ1枚以内にまとめよ。)

1−1−1 高分子の結晶形態の代表的なものとして折りたたみ鎖結晶、仲びきり鎖結晶、房状ミセル構造および球晶の4種類があるが、これらのうちから2種類を選び、それぞれの特徴および作製法について述べよ。

1−1−2 高分子の合成法の1つであるリビング重合法の特徴を述べよ。また、リビング重合法を用いて製造される高分子材料で工業製品として用いられている例を1つ挙げ、その特徴について述べよ。

1−1−3 環境応力亀裂(Environmental Stress Cracking)は成形品に重大な問題を起こすことで知られている。ポリエチレン射出成形品の環境応力亀裂に関して材料と成形加工の両面から解決策を述べよ。

1−1−4 ポリマー系ナノコンポジットの代表的な製造法を2つ挙げ、それぞれについて、製造法の概要、材料の組合せ(2例)、用途(2例)について述べよ。

1−1−5 プラスチックに難燃性を付与する代表的な方法を3つ挙げ、それぞれの特徴と課題について述べよ。

1−2 次の3設問のうち1設問を選んで解答せよ。(答案用紙を替えて解答設問番号を明記し、3枚以内にまとめよ。)

1−2−1 高分子製品の使用中の物性低下の主な要因は、材料に起因するもの(内的因子)、外的エネルギーの作用(外的因子)および環境因子の3種類に分類される。これらのうち内的因子および外的因子のそれぞれについて具体例を3つ挙げ、それらの具体側ごとに物性低下の定量分析法および抑制対策について述べよ。

1−2−2 高分子材料の配向に関しては、配向を積極的に利用している製品および配向を極力抑制している製品かおる。
 (1)配向度の測定法を2種類挙げ、それぞれの特徴を述べよ。
 (2)配向を積極的に利用している製品の具体例を1つ挙げ、用いられている材料および加工法について配向の観点から述べよ。
 (3)配向を極力抑制している製品の具体例を1つ挙げ、用いられている材料および加工法について配向の観点から述べよ。

1−2−3 ポリオレフィン材料のフィルム成形とシート成形に関し、下記のそれぞれの品質に悪影響をおよぼす要因(2例)とその対策について述べよ。
 (1)寸法精度
 (2)表面粗皮
 (3)引張強度

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(5−5) 化学装置及び設備

1 次の2問題(1−1、1−2)について解答せよ。

1−1 次の6設問のうち3設問を選んで解答せよ。(,設問毎に答案用紙を替えて解答設問番号を明記し、それぞれ1枚以内にまとめよ。)

1−1−1 次の各反応器について、単一反応系における物質収支式を導け。なお、記号は説明を付して使用すること。
 (1)完全混合型四分反応器
 (2)連続槽型反応器(Continuous Stirred Tank Reactor)
 (3)管型反応器(Piston Flow Reactor)

1−1−2 溶液の蒸留分離に関して、次の問いに答えよ。
 (1)共沸混合物について説明せよ。
 (2)分離対象の2成分系溶液が鼎沸混合物を形成する場合に、共沸点を超えて各成分を蒸留で分離する方策を挙げ、その原理を説明せよ。

1−1−3 連続槽型反応器で発熱反応を進行させる場合に、除熱速度によっては、定常状態が複数あらわれることがある。この場合に、どの定常状態において操作を行うべきであるかについて理由を付して説明せよ。

1−1−4 サイクロンは集じん装置として広く実用化されている。サイクロンの原理を説明し、分離限界粒径を決定する因子を示せ。

1−1−5 大気汚染防止法で規制対象とされているVolatile Organic Compounds(VOC)は、人への健康被害をおよぼす浮遊粒子状物質や光化学オキシダントの生成原因の一つであることが明らかになっている。VOCの工業的処理方法を3つ挙げ、それぞれの原理、特徴及び課題を説明せよ。

1−1−6 近年、地球環境への対応として、再生可能資源であるバイオマスの利用が進められている。化学工業において、バイオマスをエネルギー用途以外に活用する技術の現状と展望について述べよ。

1−2 次の2設問のうち1設問を選んで解答せよ。(答案荊紙を替えて解答設問番号を明記し、3枚以内にまとめよ。)

1−2−1 流体や紛粒体を扱う化学装置や設備においては、その開発や設計、操作などに際して流動現象が性能上の重要な要因になる場合が少なくない。例えば、開発段階において、調査や確認を行ったにも拘わらず、実用化の段階で予期せぬ流動現象に遭遇した場合には、その解明に多大の労力を要したり、トラブルの対応に追われることになる。あなたがこれまでに経験した装置や設備において、予期せぬ流動現象に遭遇した例を1つ挙げ、以下につき解答せよ。なお、基礎知識の不足、ミス、見落としなどの単純な原因によるものは対象としない。
 (1)予期しなかった流動現象について説明せよ。
 (2)その流動現象に対して実施した対策及びその対策を選択した過程について述べよ。
 (3)その経験を生かす方策と課題について述べよ。

1−2−2 平成17年10月に産業構造審議会において改訂された「廃棄物処理・リサイクルガイドライン」(2005年経済産業省策定)によれば、化学工業においては、廃棄物の最終処分量を平成22年度に、平成10年度比で70%削減することが目標に掲げられている。以下の3点について解答せよ。

 (1)あなたの業務に関連した分野における、廃棄物の現状と削減に向けた取組みについて述べよ。
 (2)その分野における目標達成に向けた技術的課題と対策について述べよ。
 (3)イヒ学工業において、廃棄物最少化に向けた技術のあり方について、あなたの考えを述べよ。
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