平成17年度技術士第二次試験問題(化学部門) ●経験論文・化学一般(全科目) ●専門問題(セラミックス及び無機化学製品) |
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化学一般(択一問題) 正解付 | |
化学一般(記述問題) | |
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経験論文(全科目共通) | |
専門問題(化学装置及び設備) |
必須科目
化学一般(択一問題)
U−1 次の20問題の中から15問題を選んで、解答せよ。(解答欄に1つだけマークすること。)
U−1−1 次の法則に関する記述のうち、誤っているものはどれか。
(1) 電解質溶液の電気分解において、電極に析出または発生する原子または分子の質量は、通じた電気量に比例する。(ファラデーの法則)
(2) 混合気体の圧力(全圧)は、各成分気体が同じ温度で全体積を占めたときに示す圧力(分圧)の和に等しい。(ドルトンの法則)
(3) 化学平衡にある物質系の温度や圧力を変えると、平衡状態は外部からの作用に基づく効果を弱める方向に移動する。(ルシャトリエの法則)
(4) 一定温度で、一定量の溶媒に溶ける気体の質量は、圧力に比例する。 (ヘンリーの法則)
(5) 一連の化学反応の反応熱の総和は、その反応の初めの状態と終わりの状態だけで決まらず、反応の途中の経路に依存する。(ヘスの法則)
正解 5
U−1−2 化学結合に関する次の記述のうち、誤っているのはどれか。
(1) 2つの原子がそれぞれ価電子1個ずつ提供し、原子間に一対の電子を共有する場合は共有結合が形成される。
(2) 同種の元素の原子同士が結合する場合は、共有結合は生じない。
(3) イオン結合は陽イオンと陰イオンが引き合うことによって形成される。
(4) 金属結合は、自由電子が陽イオンの間に介在して静電気的な引力を生じることによる金属原子間の結合である。
(5) 水素結合は静電相互作用や電荷移動相互作用等により生じる。
正解 2
U−1−3 無機化学製品の製造法に関する次の記述のうち、誤っているのはどれか。
(1) 塩酸は、塩素と水素の反応により生成した塩化水素を水に吸収させて製造する。
(2) 硝酸は、アンモニアを空気酸化して得られる一酸化窒素を、さらに酸化してニ酸化窒素や四酸化二窒素とし、これらを水と反応させることにより得られる。
(3) アンモニアは、水素と窒素を原料とし、高圧下、室温付近で触媒を用いて合成される。
(4) 硫酸は触媒の存在下で、二酸化硫黄と酸素の接触反応により得られる三酸化硫黄を経由して製造される。
(5) リン酸の製造法には、リン鉱石を硫酸で分解する湿式法と、リン鉱石を還元して得るリンを酸化して五酸化二リンとし水と反応させる乾式法がある。
正解 3
U−1−4 機器分析に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
(1) 原子吸光分析は、原子スペクトルを利用した分析方法であり、特定元素の定性や定量に有効である。
(2) 赤外吸収スペクトル分析は、分子の振動遷移に由来する吸収スペクトルを測定するもので、化合物の同定や構造の特徴を明らかにするのに有効である。
(3) 紫外可視光分析は、主に物質の電子状態が高いエネルギーレベルから低いエネルギーレベルに遷移する際の発光スペクトルを用いるもので、多くの元素について、ppm〜ppbレベルの高感度分析をすることが可能である。
(4) エックス線光電子分光分析は、物質を構成する内殻電子の放出を伴い、元素分析・状態分析に用いられる。
(5) エックス線回折分析は、回折線や回折斑点の解析から、結晶構造に関する知見を得るのに用いられる。
正解 3
U−1−5 酸化アルミニウムに関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
(1) バイヤー法とは、硫酸を用いてボーキサイトから電解精錬用酸化アルミニウムをつくる方法である。
(2) 酸化アルミニウムには、α−アルミナ、β−アルミナ、γ−アルミナなどの多形が存在するが、前2者は空気中、高温で加熱するとγ−アルミナに相転移する。
(3) ムライトは、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、及び酸化マグネシウムからなる酸化物である。
(4) 粉状の金属アルミニウムと粉状の酸化鉄の混合物に点火すると酸化アルミニウムと金属鉄が生成する。
(5) 酸化アルミニウムは熱伝導率、導電率が高いので広い分野で利用されている。
正解 4
U−1−6 芳香族化合物の合成と反応に関する次の記述のうち、誤っているのはどれか。
(1) ベンゼンのニトロ化は、濃硝酸と濃硫酸の混合物である混酸を用いて行う。
(2) 硫酸触媒存在下にベンゼンにプロピレンを作用させるとn−プロピルベンゼンが得られる。
(3) フェノールはベンゼンスルホン酸を濃水酸化ナトリウム水溶液と加熱すると得られる。
(4) ベンゼンをはじめにニトロ化し、次に臭素化するとm−ブロモニトロベンゼンが生成する。
(5) ベンゼンは臭素と室温で混ぜただけでは反応は起こらないが、フェノールは臭素と容易に反応する。
正解 2
U−1−7 次の化合物の中で最も酸性の強い水素を有する物質はどれか。
(1) アセトアルデヒド
(2) N、N−ジメチルアセトアミド
(3) アセト酢酸エチル
(4) アセチルアセトン
(5) アセトニトリル
正解 4
U−1−8 溶融状態にあるポリエチレン分子の主鎖は、個々のC−C結合を軸にして回転している。しかしこの回転運動は自由回転ではなく、回転のポテンシャルエネルギーにはいくつかの極小点があり、それぞれの極小点は回転異性体に相当する。この回転異性体に該当する組合せは次のうちどれか。
(1) シス、トランス
(2) シス、トランス、シンクリナル
(3) アンチペリプラナー、シンクリナル
(4) シン、アンチ
(5) シス、シンクリナル
正解 3
U−1−9 ニトロ系爆薬の爆発限界は、50%の確率で爆発を引き起こすのに必要な最小圧力で示される。次のニトロ化合物の中で、爆発限界が最も低い圧力を示すものはどれか。
(1) 1、3、5−トリニトロベンゼン
(2) 2、4、6−トリニトロトルエン
(3) 2、4、6−トリニトロアニリン
(4) 1、3−ジアミノ−2、4、6−トリニトロベンゼン
(5) 1、3、5−トリアミノ−2、4、6−トリニトロベンゼン
正解 1
U−1−10 酸の存在下、アルコールの脱水反応を行った場合にアルケン生成の容易さ順序が適切なものは次のうちどれか。
(1) 第一アルコール>第二アルコール>第三アルコール
(2) 第一アルコール>第三アルコール>第二アルコール
(3) 第二アルコール>第一アルコール>第三アルコール
(4) 第三アルコール>第二アルコール>第一アルコール
(5) 第三アルコール>第一アルコール>第二アルコール
正解 4
U−1−11 次の潤滑油添加剤のうち記述が誤っているのはどれか。
(1) 流動点降下剤は曇り点及びワックス析出量を下げるための添加剤である。
(2) 粘度指数向上剤は、潤滑油の粘度の温度依存性の指数である粘度指数を向上させることを目的とする添加剤である。
(3) 酸化防止剤は潤滑油の酸化劣化を防止し、使用可能期間を延長する目的で使用される。
(4) 清浄分散剤は、エンジン油中に生成した劣化物がエンジンに不具合を引き起こさないようにするために使用される。
(5) 摩耗防止剤は境界潤滑における摩耗を低減するために使用される。
正解 1
U−1−12 メタンの生成熱を計算し、正しい数値を次の中から選べ。
ただし炭素およびメタンの25℃、101.3245 kPa(1気圧)における燃焼熱は、393.5 kJおよび802.3 kJ、また水蒸気の25℃、101.3245 kPaにおける生成熱は、241.8 kJとする。
(1) 54.8 kJ (2) 64.8 kJ (3) 74.8 kJ (4) 84.8 kJ (5) 94.8 kJ
正解 3
U−1−13 次の記述のうち誤っているのはどれか。
(1) 分子間に働くファンデルワールス(van der Waals)力は水素結合力よりも弱い。
(2) 高分子が透明であるためには、密度や組成のゆらぎがないことが必要である。
(3) 高分子は一般的には誘電体であり、フィルムコンデンサ材料として用いることができる。
(4) プラスチックの屈折率を大きくするには、芳香族基の導入が有効である。
(5) 複屈折を測定することにより、高分子の密度を求めることができる。
正解 5
U−1−14 高分子材料に関する次の記述のうち、誤っているのはどれか。
(1) ポリ塩化ビニルのガラス転移温度は室温より低い。
(2) 直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)は、高圧法低密度ポリエチレンに比較して、衝撃強度が大きい。
(3) 高強度なプラスチックの条件としては、主鎖を構成する結合が強固で、分子鎖のコンフォメーションが直線に近く、分子鎖の断面積が小さいことなどが挙げられる。
(4) ポリプロピレンは側鎖にメチル基を持つため自動酸化反応が起きやすい。
(5) 界面活性剤はポリエチレンの環境応力破壊を促進する。
正解 1
U−1−15 国際単位系(SI)についての次の記述のうち、誤っているものはどれか。
(1) SIの基本単位は、長さ(m)、質量(kg)、時間(s)、電流(A)、熱力学温度(K)、物質量(mol)、光度(cd)の7個である。
(2) 時間の単位である分(min)、時(h)、日(d)、はSI単位ではないが、SI単位と併用してよい単位である。
(3) 応力のSI単位はパスカル(Pa)である。
(4) エネルギー、仕事、熱のSI単位はジュール(J)である。
(5) 動粘度のSI単位はストークス(St)である。
正解 5
U−1−16 ポリマーの合成に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
(1) ラジカル重合は、付加重合型ポリマーの合成に広く用いられている方法である。
(2) イオン重合では、水を媒体とする懸濁重合や乳化重合を行うことが可能である。
(3) 塊状重合はモノマーだけをそのまま、あるいは少量の開始剤を加え、加熱したり、光を照射したりして重合させる方法であり、気相法と液相法がある。
(4) 溶液重合は、ポリマーが可溶な溶媒の中で、モノマーの重合反応を行う方法である。
(5) 懸濁重合は、モノマーを水中で強くかき混ぜて小粒に懸濁させ、開始剤を加えて加熱し重合させる方法である。
正解 2
U−1−17 回分式反応器における不可逆1次反応2A→Bの反応速度に関する記述として正しいものは次のうちどれか。
(1) 反応速度は濃度に依存しない。
(2) 初濃度が半分になるのに必要な反応時間は、初濃度が高いほど短くなる。
(3) 初濃度が半分になるのに必要な反応時間と反応速度定数は反比例する。
(4) 反応物Aを75%反応させるのに必要な時間は、50%反応させるのに必要な時間の1.5倍である。
(5) 反応速度は反応物Aの消費速度と等しい。
正解 3
U−1−18 次の5種類の化合物について酸の強さ(酸強度) の序列が正しいものはどれか。
(1) 無定形シリカアルミナ>塩化アルミニウム>γ−アルミナ>チタニア>マグネシア
(2) 塩化アルミニウム>無定形シリカアルミナ>γ−アルミナ>チタニア>マグネシア
(3) 塩化アルミニウム>無定形シリカアルミナ>チタニア>マグネシア>γ−アルミナ
(4) 無定形シリカアルミナ>塩化アルミニウム>マグネシア>γ−アルミナ>チタニア
(5) 塩化アルミニウム>γ−アルミナ>無定形シリカアルミナ>マグネシア>チタニア
正解 2
U−1−19 次の金属酸化物のうち酸性および塩基性両方の性質を示すものはどれか。
(1) Al2O3 (2) CaO (3) MgO (4) Na2O (5) SiO2
正解 1
U−1−20 トルエンに関する次の記述のうち誤っているものはどれか。
(1) 酸化すれば安息香酸となり、フェノール製造の原料になる。
(2) 大気圧下で、メタノール、エタノールとも共沸化合物をつくる。
(3) オクタン価はメチルtert−ブチルエーテルよりも高い。
(4) 濃硫酸で加熱しスルホン化すると、主にm−トルエンスルホン酸が生成する。
(5) 不均化反応により、ベンゼンとキシレンを生成することができる。
正解 4
化学一般(記述問題)
U−2 次の問題について解答せよ。(青色の答案用紙を使用し、3枚以内にまとめよ。)
化学工業においては、革新的な技術を継続的に開発することが重要な課題である。
新規技術は、社会や経済発展への新たな貢献を目的とするものであり、その早期実用化が期待される一方で、望ましくない社会的影響やリスクなど、いわゆる技術の「負の側面」への配慮が不可欠となっている。
あなたの専門とする分野における新規技術について、@技術の特徴、A研究開発のあり方、B実用化に向けての課題と対策について、番号順に見解を述べよ。
新規技術の例:1)ナノテクノロジー 2)新素材 3)バイオテクノロジー 4)環境・エネルギー、など
経験論文(全科目共通)
T−1 次の2問題について解答せよ。(問題ごとに答案用紙を替えて解答問題番号を明記し、T−1−1は4枚以内、T−1−2は2枚以内にまとめよ。)
T−1−1 あなたが受験申込書に記入した「専門とする事項」に関する技術分野で最も成果を挙げたと考える業績1件を選び、次の項目に従って述べよ。
(1) 業績名
(2) 実施の時期と期間、及びあなたの役割
(3) 技術的内容、成果及びあなた自身が工夫・考案した点
(4) 経済的効果、現時点での評価及び将来性
T−1−2 あなたが取り組んだ仕事のうち、所期の目的を達成できなかったものについて、次の項目に従いその内容を述べよ。
(1) 仕事の名称
(2) 実施の時期と期間、及びあなたの役割
(3) 技術的内容、目的を達成できなかった原因及びそこから学んだこと
専門問題(セラミックス及び無機化学製品)
T−2 次の2問題について解答せよ。(緑色の答案用紙を使用し,問題ごとに用紙を替えて解答問題番号を明記し,それぞれ3枚以内にまとめよ。)
T−2−1 地球規模のエネルギー,環境問題に直面し,エネルギー安定供給,環境保全,経済成長の同時達成が大きな課題となっている。これらの課題を解決すべく自動車産業分野でなされている技術開発のうち,セラミックス・無機化学製品と関連する事項について,その現状と展望を述べよ。
T−2−2 次の10項目のうち5項目を選んで解説せよ。
(1) 水素製造法
(2) 非水電解液
(3) 透明電極
(4) 電池活物質
(5) オゾン層
(6) 圧電体
(7) プレストレストコンクリート
(8) 発光ダイオード
(9) CZ(チョクラルスキー)法結晶成長
(10) 固溶体