五十の手習い第二次試験奮戦記〜のりちゃんさん <農業・植物保護> 1 自己紹介 54歳、男性、国立大学農学部農学科卒業、農業関係の地方公務員 2 受験動機 自己研鑽及びあまり時間が残されていない(定年まであと6年)と考えて平成22年度に第一次試験を受験し、無事合格できたため第二次試験を受験しました。 3 試験対策 (1) 筆記試験対策 試験対策の勉強は、2月24日に「技術士第二次試験4年分過去問題集(農業部門)」を購入し、4年間分の過去問題から出題一覧表(必須科目・選択科目)を作成し、出題傾向を検討することから始めました。そして、必須問題では、「食料自給率の向上と食料の安定供給の確保」に狙いを定めました。選択科目では、「IPM関連」に注意する必要があると感じました。 その後は、ここで紹介する参考書を利用して、試験勉強を出願後に開始しました。ただし、時間は随分あるように最初は感じましたが、平日は勤務で勉強時間がとれず、祝祭日は思いの外、様々な行事等があり思ったより勉強できませんでした。結局、通勤電車の中で、6月までは農業・農村白書を読む程度でした。ただし、普段から自分の受験分野については、専門雑誌等から情報を積極的に入手するようにしていました。 5月22日には、「平成22年度筆記試験合格答案実例集(農業部門)」を購入し、合格者の実例回答を読み込みました。 7月になり、何に手をつけたらいいか少し焦っていた時に、SUKIYAKI塾筆記試験対策講座をホームページで知り応募したところ、7月10日に講師が決定しました。そして、7月11日には講師から共通問題1題、専門問題1題を昨年の過去問から選んで提出するよう指示があり、併せて骨子法の説明がありました。そこで、7月18日には専門問題1題「植物防疫法における発生予察事業の現状と課題・・・」を送付、7月26日には共通問題1題「我が国の安全な食料の安定供給について・・・」を送付、8月5日には同上の共通問題1題を再送付しました。いずれも、当方の至らないところを添削していただきました。また、7月からは選択科目対策に、過去の問題で出題された用語等を調べ、ノートを作成しました。 8月7日の第二次筆記試験では、必須科目「我が国の食料自給率の向上と食料の安定供給の確保・・・」を選択し、骨子を「現状」、「課題」、「問題」、「対応策」に分け作成し、それを利用し解答を作成しました。また、同様に選択科目では、要求された内容の骨子を「現状」、「課題」、「対応策」のように作成し、解答を作成しました。そして、すべての問題について時間内に解答することができ、「IPM関連」の出題も予想通り出題されました。 (2) 技術的体験論文対策 無事筆記試験が終わり一安心しているうちに9月に入ってしまいました。ただし、技術的体験論文の2課題については、この時期までにはテーマを決めていました。そして、そろそろ作成しなければと考えているところに、10月15日(土)に開催されるAPEC-semiの体験論文セミナー募集をホームページで見つけ、9月19日(月)に応募しました。10月7日(金)に、受講者が2名だけなので面談方式で開催するため、技術的体験論文を当日までに送付するよう依頼を受けました。そこで、参考資料をもとに技術的体験論文を作成し、10月13日(木)に送付しました。面談当日は55分の時間で、技術的体験論文について「自分ならではの技術発揮」、「業務概要を課題化」、「その後の勉強や今ならこうする」等の指摘を受けました。面談後には、メールで面談内容の概略を資料化して送付していただきました。いずれも自分では分かりきったところで書き込み不足と気が付かない点であり、技術的体験論文の内容もよくなり、第三者の視点で見てわかりやすい内容になったと思いました。そして、合格発表後の10月29日(土)に郵送で提出しました。 (3) 口頭試験対策 口頭試験は、1月9日(月)午後1時から渋谷のフォーラムエイトでした。年内に行ったことは、「技術者倫理」、「技術士制度の認識その他」対策に、参考資料を読む程度でした。年が明けて、技術的体験論文の内容について、どのような質問をされてもいいように、その元となる投稿論文を読み返し、細かい点も各種資料に当たり内容を確認しました。口答試験前日の午後に渋谷入りし、翌日の試験会場を下見し、渋谷のホテルに宿泊しました。試験会場まで徒歩15分程度でしたので、面接までは参考資料を読み「技術者倫理」、「技術士制度の認識その他」の口答試験対策をしました。 当日の面接は面接官2名で、主に次のように進みました(解答は略)。 <面接状況> 面接官は、植物病理担当者(以下、面接官1)と昆虫担当者(以下、面接官2)。 そして、私が投稿した論文等を、面接官がある程度内容を読んでおり、それに関する質問が出されました。 司会進行は特になく、最初は面接官1が質問し、その後は面接官1を中心に交互に質問があり、通常会話のように進行し、40分間で終了しました。 (経歴及び応用能力) 面接官1:業務経歴と技術的体験論文について10分程度で説明してください。 面接官1:貴県では技術士を取得すると何か評価されるのですか。 面接官1:今後も試験場で勤務するつもりですか。県庁への転勤もあるのですか。 面接官1:職場での地位はどうですか。後輩の指導は行っているのですか。 面接官1:論文をいくつか書いて見えますが、今後は学術的にはどうされますか。 面接官1:経歴から見ると害虫が得意なのですか。 面接官2:○○虫の貴県での発生と被害はどうですか。 面接官1:○○菌を取り扱っているのですか。 面接官1:最近は○○菌を研究している人は少ないよね。 面接官1:その同定を行うには、形態なのか遺伝子なのかどうですか。 面接官1:○○病は枝にも発生するのですか。△△病は進展が速いよね。 面接官2:果樹××の整枝は何段目ぐらいまでするのですか。 面接官1:果樹××の病害は、農薬登録を取得したから現在は収まっていますか。 (体系的専門知識及び技術に対する見識) 面接官2:(面接官2から経歴に農作物病害虫発生予察がありますねと発言があり)発生予察の問題はなんだと思いますか。また、防除所と試験場の発生予察の違いは何ですか。 面接官1:LAMP法の論文を書いていますが、LAMP法は問題点がありますよね。 面接官1:貴県(農業・試験場)はよそから見るとよさそうに見えるけどどうですか。 面接官1:貴県農業は生き残っていけるの。 面接官1:貴県農業が全国に役立つ特徴は何ですか。 面接官2:新しい知事はどうですか。元は国の人だけど。 面接官2:貴県の農業粗生産額はどれくらいですか。 (技術士倫理と技術者制度の認識その他) 面接官2:技術者倫理についてどのように思いますか。 面接官1:研究費の不正利用があるよね。 最後に、経歴の再確認等があり終了しました。 4 参考資料 (1)技術士受験を応援する第二次試験合格法出願・筆記試験編(2011年度版)鳥居直也 編著 (株)トリフォリオ 3,400円 (2)平成22年度食料・農業・農村白書 農林水産省編 佐伯印刷(株) 2,000円 (3)技術士第二次試験4年分過去問題集(農業部門)(株)サンインフォ2,400円 ただし、平成24年2月28日(火)から(社)日本技術士会のホームページに「第二次試験過去問題」(平成21年度から平成23年度まで)が公表されました。 (4)平成22年度筆記試験合格答案実例集(農業部門)APEC−semi & SUKIYAKI塾 520円 (5)技術士受験を応援する第二次試験合格法口頭試験編(2010年度版)鳥居直也 編著 (株)トリフォリオ 3,400円 5 結果 筆記試験:科目T:成績A、科目U:成績A 口頭試験:合格 当サイトには大変お世話になりました。農業部門の情報発信は少ないため、私の体験記でも皆様の参考になれば幸いです。 |
|
戻る | |
|
|
復員兵、奮戦す。〜地水道楽さん <建設・土質及び基礎> 一昨年、還暦を迎え、山紫水明の地で花鳥風月の眺め、蛍の光、窓の雪明かりで文を読み、晴耕雨読、悠々自適の余生を過ごすため生まれ故郷に一家そろって復員し、知人の会社に草鞋を脱ぐことと相成った。それまで、農業土木、農村環境、総合技術監理の技術士資格を持っていたことから、復員しても道楽半分で十分やっていけると考えていたが現実は甘かった。 「本県は公共事業で成り立っている。受益者が特定される農業土木、農村環境は、いわば妾腹であってRCCMより格下の資格扱いである。」と県土木部の担当者が密かに教えてくれた。この県の農業土木の技術士はお妾さんか。建設部門は宗主国(旦那)、農業部門は植民地(お妾さん)、農業土木の技術士はこれに甘んじてきたのか。 建設部門の技術士試験の1つや2つは、私なら左手で書いても合格できると日本全国の津々浦々で豪語してきた手前、故郷に復員してきた歴戦の兵として、この不条理な状態を見過ごせなかった。平成の世に、こんな世界があったなんて。義憤に燃えて血潮が湧いた。さあ動員だ。一瞬にして40年若返った。 選択科目は「河川・砂防」、「土質及び基礎」のいづれでもよかったが、社長は子供のころに「土」に対していやな思い出があるらしく「土基礎」が会社の弱点であった。一番弱いところを補強するというのは企業統治の鉄則である。このため、あえて、「土及び基礎」で受験することした。 半分は道楽とはいえ、やるからには徹底的にやるのが私の流儀である。過去10年にわたり過去問を調べ、東日本大震災関連の知見を読み漁るうちに、出題される問題はおおよそ見当がついた。 予想は下記の通りである。 @建設一般:東日本大震災の復旧方針が明示されない以上、建設一般では出題されな い。建設白書から出題される。設問は昨年をベースに概ね次の通りであろう。「昨今 の社会情勢を踏まえ、社会資本整備の課題を3つ上げて説明し、課題解決のためのあ なたの考えを記述せよ」 A建設選択:東日本大震災で液状化によって破損したのは「河川堤防」「下水管路」 である。これと「液状化のメカニズム」と「耐震調査と対策」のマトリクスで出題さ れるであろう。 @、Aについて6月末までに答案を作成した。一緒に受ける社員2名に対して答案を渡し、これをもとに、受験当日までに自分なりの答案を作成するように伝えた。そして左手で筆記できるように猛訓練した。これが一番つらかった。 受験当日、午前の建設一般は 枕詞「社会資本の老齢化」云々以外は予想が的中した。午後の建設専門は、「河川堤防の液状化と耐震調査」「下水管路の液状化対策」が出題され2問とも的中した。もちろん左手で記述した。 一緒に受けた社員は、こちらが準備した答案をそのまま書いたようだ。結果、8月の筆記試験では3人中2名が合格し、12月の口頭試験では2名中1名(私)が合格した。最終合格率は33%であった。 12月の口頭試験で1名落ちたのは納得できる。試験委員は賢い。答案の流用、パクリなどの他人本願では見透かされる。最後の合格の扉は自分で開いてほしい。 最後に、私は、これまで農業土木では「非定常水理解析」、農村環境では「水環境整備」、総合技術監理では「コンサルタントにおける技術統治」、土質基礎では「フィルダム盛土」について、自分の体験基づいて記述した。それぞれネタが異なっており、論文の使いまわしをしたのではない。河川・砂防、建設環境で受験しても恐らく合格すると思うが、如何せん腱鞘炎になって、今や、右手も左手も使えない状態である。やはり老兵、復員兵である。これからは、4つの技術士資格を縦横無尽に活用しつつ「地水道楽」を極めていこうと考えている。 以上 |
|
戻る | |
|
|