これから受験を考えている方へ〜zakiさん

<電気電子部門・電子応用>

0.私はメーカに勤める40代の技術者です。SUKIYAKI塾は主に建設部門向けだと思いますが、口頭試験対策と体験論文の書き方は全面採用したほど参考になりました。電気電子部門は情報ソースが少ないので、これから受験を考えている人に役立てばと思い寄稿します。
1.筆記試験
電気電子部門は範囲が広いと思います。私は理学部出身でしかもコンピュータハードウェアの仕事が長かったので、電力系統、パワエレ、アナログの基礎知識がなく、過去問も専門以外は問題のキーワードさえわかりませんでした。得意なことから始めようと1月から3月まではデジタル信号処理を勉強しました。ソースは近所の大学図書館とネットです。4月からは過去問のキーワードを調べ、電力系統、パワエレ、無線、半導体、アナログ回路を中心にノートを作りました。このころから休日に3問以上、できそうな過去問の答案を原稿用紙に書くことを課しました。手書きではあらかじめ全体像を組み立ててから書く必要がありますが、本番では長い下書きをしている時間はないので、手書きの練習は字数感覚をつかめて有効でした。電気電子部門は範囲が広い反面、記述量が1枚という問題が大部分なので、私なりのスタイルを次のように決めました:最初に世の中の動向または技術の背景を述べる。設問の項目に対応して(1)(2)と項目をとって述べる。最後のスペースは図や数式を入れて行数を調整する。記述量が3枚の問題もスタイルは同じですが、こちらはまったく実務経験がないテーマだと書ききれないので、その年の問題が当たりかといった運もあると思います。
2.口頭試験
12月に渋谷・フォーラムエイトで行われました。ホールのような待合室があり100人ぐらいいたと思います。開始5分前に試験室の前の椅子で待つというスタイルでした。試験官は2名で、1名は私より年上、もう一人は同年代ぐらいにみえました。質問の内容から2人とも大学の先生という印象を受けました。
最初の質問は、「経歴と論文について10分間で説明してください」でした。プレゼンの練習では経歴3分以内、論文5分以内を目標として準備していたので練習と同じ方針で説明することとし、とにかく相手の表情を確かめながら説明することに注意しました。説明を聞きながら論文に線を引いたりしていたので、事前には読んでいなかったようです。試験官はデジタルには馴染みがない人と想定していましたが、FPGA,GPU,S/W-H/W協調設計の質問が出たのは意外でした。10分間ほど論文に対する質問が続きようやく理解してもらえたようでした。特に論文中のブロック図とタイミングチャートはすんなり理解されたようで、図を入れておいてよかったと思いました。体験論文の内容は、ある程度実力を持った技術者ならあたりまえというレベルでしかなかったので試験官の反応が心配でしたが、レベル以前に背景となる前提条件やAだからB,BだからCといった論理の筋が通っていることが第一だと感じました。
体系的専門知識として筆記試験のフォローや1次試験レベルの質問を想定していたのですが、まったく聞かれませんでした。その他の質問は、「この内容を特許や学会発表はしましたか」「技術士を受験した理由は何ですか」「会社では技術士はどう評価されていますか」「後輩の指導をする際に心がけていることは何ですか」というものですが「技術士をとったらどう活かすつもりですか(コンサル的な業務をする予定は)」という点は比較的しつこく質問されたので、回答が十分でなかったのかもしれません。
技術士の定義や3義務2責務を直接問う単純な質問は出ず、「公益性の確保と実務とで相反するような経験がありますか」と聞かれました。思い当たる例がなかったのでありませんと答え、相反することはそんなに多くはないのではないでしょうかと付け加えたら、そこからPbフリーへ話が発展しました。ここも「技術者の倫理についてどう考えますか」といったフォロー質問が続いたので回答が不十分だったのかもしれません。面接は時間いっぱいまで続きました、私の前の人も時間ぎりぎりに出てきたので同じです。雰囲気は終始なごやかだったので大丈夫だろうとは思ったものの、もっと前向きな答え方もあったなと後悔もしました。
3.受験の効用
受験自体は目的ではありませんが受験をとおして得たものもあります。まず技術に対する見識が広がったのは収穫でした。エネルギーや無線の知識がついたので新聞や雑誌の記事が頭に入って来るようになりました。ベテランになると自分の技術の範囲を決めてしまいがちですが、仕事の場面でも専門外のことも吸収するようになったと思います。もう1つ、経験論文のテーマ選びに苦しんだことから、アカデミックな仕事や画期的なプロジェクトでなくても技術者として工夫する姿勢を忘れてはいけないと改めて思いました。
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