技術士第一次試験 基礎科目演習問題(設計・計画)


 次の20問について、それぞれ正しい記述であれば○、誤った記述であれば×を解答欄に記入せよ。

  1. 製品や種々のシステムの基本的な仕様・規格を国際的に統一することは、国際化時代において重要なことである。現在、この規格統一化は主にASA(American Standard Association)において進められており、たとえば写真フィルムの規格はASA100、ASA400などとして統一され、どの国でフィルムを買っても同じように使えるようになっている。

  2. 少子高齢化の中で、高齢者にとって住みよいまちづくりが提唱されているが、今から20年ほど前、すでにロナルド・メイス氏は、高齢者や障害者はもとより、年齢・性別・国籍などに左右されず誰でも快適に利用できる製品・建物・都市などの設計理念を提唱した。この設計理念を「バリアフリー」と呼んでおり、現在広く受け入れられている。

  3. 自然物と人工物の根本的な違いの1つに、一般的に設計という行為を経ているかどうかということがある。

  4. 設計という行為は、それを実現する製造・施工工程に正確に引き継ぐためにも図面に表しておくべきであるが、これが設計という行為の定義ともなっている。

  5. ISO14001は、企業・団体の生産等の活動に伴う環境に対する負荷を最小限にとどめるための管理システムに関する規格であって、生産品の環境に対する影響を抑えることを主目的としたものではない。

  6. たとえ完璧な設計がなされていても、製造工程に問題があれば、不良な製品が市場に出されることが考えられる。このため、製品の最終出荷段階の検査を厳しくすることが最も大切であり、これに比べれば設計内容や製造工程における検査は重要度が低い。

  7. 何かの製品を設計しようとするときは、何を作るかははっきりさせておかなくてはならないのは無論、細かな仕様やデザイン等に至るまで事前に明確にし、設計者の感覚的裁量に委ねるようなことのないようにしなければならない。

  8. 検査の方法にはいろいろあるが、製品の全てに対して何らかの検査を行う「ロット検査」が最も確実な方法である。

  9. 最終成果物が設計仕様を満たしているかどうかは、検査結果を何らかの数値で表すことによってのみ判定できる。

  10. 設計者は、自分が設計した製品が予期しない使われ方をするかもしれないことを認識しておく必要がある。

  11. CALSとは、コンピュータ上で図面等を作成し、これを電子媒体に収めて成果物とすることである。

  12. 製造物責任法は、その製品の保障期間内であれば、利用者が製造物の欠陥によって傷害をおったり、あるいは品質上の不具合があった場合に、メーカーがこの責任を負うという法律である。

  13. 製造物責任法では、たとえ国内販売された製品であっても、海外での使用で不具合が発生した場合には、製造業者の責任を問われる。ただし、この製品が国内限定使用に供するものであることが明記されている場合はこの限りでない。

  14. 設計内容や製造工程よりも、設計や製造によって除去することが不可能であるような危険に関しては、製造業者に対して特に対処は求めていない。

  15. 製品苦情に対しては誠意をもってあたらねばならないが、利用者がどのような使い方をしたのか、あるいは不満足である根拠が正しいのかどうかといったことに関する聞き取りを行うのは、製品に責任を負うべき製造業者としては正しい態度であるとはいえない。

  16. 科学技術分野では、さまざまな法律・通達・規準・示方書などがある。これらは公共性の高い製品や構造物の品質を保証するために作られたものであるので、その適用可否も含めて設計者の自己判断が介在することは許されない。

  17. 科学技術の進歩した現代社会において、技術者にはより高度な専門技術力が要求されるようになってきた。これに応えるため、技術者は自分の専門分野をより特化させることが必要であり、たとえば設計者が製品販売や製造・施工の現場を熟知することは、互いの専門分野に干渉することにもなるので避けるべきである。

  18. 容器包装リサイクル法により、ガラス容器やペットボトル、プラスチック容器等の再商品化が義務付けられたが、その対象は容器包装を生産・販売した容器包装メーカーだけでなく、容器包装を利用した中身メーカーも含まれている。

  19. 建設リサイクル法により、すべての建設工事において排出されたコンクリート・木材などの建設廃材について、その分別解体等および再資源化等が義務付けられた。

  20. 家電リサイクル法により、テレビを粗大ゴミとして出すことが禁じられたが、受信装置を持たないパソコンディスプレイはテレビではないので粗大ごみとして処分してもかまわない。

<正解>

  1. ×
    ASAではなくISO(International Standard Organization)。フィルムのASAは昔。今はISO100、ISO400などになっている。

  2. ×
    「バリアフリー」を「ユニバーサルデザイン」とすれば正しい


  3. 人工物および設計の基本的定義である。

  4. ×
    前段はそのとおりであるが、必ずしも図面に表さねばならないわけではない。
    たとえば頭の中でデザインして犬小屋を作るなどは図面を要していないが、設計といえる。

  5. ×
    マネジメントに徹しているISO9000と異なり、生産品の環境に対する影響を抑えることも目的の1つとなっている。

  6. ×
    前段はそのとおりだが、最終段階検査より、むしろ設計・製造工程段階の検査のほうが大切である。
    これは、品質管理国際規格ISO9001の基本スタンスでもある。

  7. ×
    目的の明確化は必要であるが、デザインその他は設計者のセンスに委ねることが多い。
    製造業における設計と、土木設計における設計の感覚の違いで引っかかるかな、と思った問題。

  8. ×
    全てに対して行う検査は全数検査。ロット検査は抜き取り検査の俗称。

  9. ×
    数値のみとは限らない。


  10. そのとおり。

  11. ×
    これは電子納品のことで、CALSの一部にすぎない。
    CALSは、ライフサイクルにわたる電子データの受け渡し・使いまわしをその眼目としている。
  12. ×
    おおむね正しいが、「保障期間内であれば」という限定が間違っている。


  13. そのとおり。

  14. ×
    そのような問題点については、注意書き等で利用者に注意を喚起する必要がある。

  15. ×
    利用者の使い方、不満の根拠調査などは、クレーム処理における基本的確認事項である。

  16. ×
    そのような考え方をマニュアルエンジニアという。
    規準等適用の可否を判断し、必要であれば科学的根拠に基づき自己判断していくのが技術者のあるべき姿である。

  17. ×
    製造・施工の現場や市場状況を知ることは、製品の品質向上に資するところ大である。


  18. そのとおり。中身メーカーも責任の一端を負う。

  19. ×
    おおむね正しいが、一定規模以上の建設工事に限定される。


  20. 法律の主旨から言って疑問ものこるが、受像機を持たないディスプレイは粗大ゴミ処分できる。