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H14適正科目問9について - nomu -2003-04-11 15:51:47
カネミ油症の問題で、正解に非常に関心を持っていました。
実際の判決は、刑事判決は、食品会社の工場長の業務過失致死罪が適用され、社長は無罪となりました。一方民事訴訟は、PCB製造会社である鐘淵化学と食品会社であるカネミ倉庫に損害賠償命令が下されています。国と自治体は、訴訟責任は免れています。
JAMMや最新号の日経コンストラクションでは、この判決を重視して、正解を(1−製造者の責任だけ)としていますが、技術者倫理の観点で正しいと言えるでしょうか。
APECさんの解答案である3者に責任はないとした答えは、法律的に責任はとれないと言う意味では正解かもしれません。しかし、技術者倫理の観点でみるとどうなのでしょうか。
民事において、PCBの製造販売した会社に対して責任を認めている理由として、PCBと言う安全を確認されていない製品を食品会社の触媒として利用することは、混入の恐れが十分に予見できたとしています。これは、リスク管理の杜撰さであり、妥当の判決だと言えるでしょう。
国や自治体の責任は、どうなのかが重要となります。リスク管理の観点でみるとまず、自治体は、鶏の飼料によって毒性があることが分かった時点で、対応が出来るのではと考えます。食用油にも使用されていれば、どうなるかを予見し、自治体の迅速な対応があれば、患者の数はかなり少なくなったのではと考えます。
国はどうなのか。PCBの毒性や環境への影響は、この後に判明したことで、それまでは、PCBは非常に有用な「夢の油」と言われていたことからもその時点での責任は無かったと判断すべきなのでしょう。ただし、有用だからといって、毒性に関する研究を怠ったまま製造を許可したことは、薬品公害(血液製剤)と並んで問題にすべきだと思っております。
以上のことから、私は、3者に責任があると判断しましたが、3者に責任あるとした答えは無く、2者を選ぶ必要があります。
私は、その時点での予見ができた製造者と自治体に責任があるとして、(3)を正解としました。
下記ホームページに技術倫理の事例としてカネミ油症の事件を取り上げていますので、参考にして下さい。
http://www.utnl.gen.u-tokyo.ac.jp/~madarame/rinri_note.html
長いスレですが、みなさんのご意見もお聞きしたいと思っております。


私も3だと思います - おつ -2003-04-11 17:53:33
問題はあくまでも,仮の事例として始まっているので,実際の凡例にしたがう必要はないと思います。あくまでも,技術者倫理としてどうか?です。
技術者倫理から言えば,3者とも責任があると思います。私がその担当者だったとしたら,「しまった〜」と思うはずだから。2が該当しないのは「国に責任がない」という意味ではなく,「毒性が高い」ということを決めつけた言い回しをしていることが,不適切なのだと思います。問題としてはお粗末ですが。
というのが私の考えですが,如何がでしょうか。


むずかしいですね - APEC -2003-04-12 00:45:36
この問題は、「正解はこれ。これ以外は×」という、客観的・普遍的な唯一無二の解答はあるんだろうかというのが正直な思いです。
私の解答案は、そういう思いから逆に「責任があると言い切れるのか」という視点で書きました。また、PCBに限定せず、「毒性物質と食品工業」という視点でも考えました。「PCBだからダメ。毒性があっても他の物質ならOK」というのはどうかと思うからです。
よって、多分に私の主観も入っているので、これが正解であるという自信などありません。

もう1つの視点としては、やはりこれは試験なので、技術士という公に責任を持つ資格としては、判断の拠り所を裁判の判例のような「お墨付き」に求めるべきである、あるいは、試験問題には「社会的に求められている」とあるので、判決=社会的に求められている価値判断であると考えれば、正解は(1)でしょうね。

さらにもう1つの視点は、技術者倫理を重く見た視点ですね。

試験テクニック的に見れば、(3)は他2者のように「〜であるべき」ではなく「責任を免れない」となっています。これなどは判例も含め考えると、やはり「これは違うよ」ということなのでしょうね。


変な問題 - ヒロ -2003-04-13 07:04:30
こうゆう問題は、択一試験に出すべきではないように思います。法律に詳しいわけではありませんが、もしたしたら別の裁判官なら違った判決になっているかもしれないと思っています。そう考えると何が正解かわかりませんよね。そんなことないですか?


問題文では...... - 三連星 -2003-04-13 21:52:17
試験の際には、多分3.にマルをつけます。
でも、問題文は、
>社会的に求められている意見
であるので、裁判判決が出ており、かつ、控訴・上告で継続中でない
のであれば、それは「社会的に求められている意見」とみなして
良いのでは?

 


なるほど〜 - おつ -2003-04-15 21:33:00
私は社会的に求められている意見というのは、一般の国民が求めている意見というニュアンスで捉えていましたが、裁判結果が社会的に求められている意見と言われれば、なるほどと思いました。
例えば、飲酒運転で事故を起こしたトラック運転手が禁固4年くらいですむことに関して、多くの人が「もっと刑を重くするべき」と思っても、刑法上は4年となる。この場合は、社会的に求められている意見は、トラック運転手の刑は4年でよい、ということになるんですね?
今回の問題についてはどうでも良いのですが、今後のために自分の勘違いを修正させていただきたいと思ったのであえて確認させて頂きました。お手数ですがご教授いただけるとありがたいです。


1か3かで迷いましたが - SC30 -2003-04-16 01:47:06
3にしました。
「・・・・推測できなかった自治体も“責任を免れない”」を○にしたということです。
これは、「自治体は法的な責任や過失はないかもしれないが、全く責任がないと言い切れるか?」と自問したときに、「そうは言いきれないだろう」と考えたからです。

国については全く悩みませんでした。
五つの選択肢では、全部○というものはありません。
そうすると、ABCのうち一番不適当と考えられるのは「・・・・国も、“責任を負うべきである”」だからです。

この設問は実例が元にはなっているでしょうが、実際の当時の判決に倣うのではなく、現在の社会的要請などを考えて判断すべきと思います。
適性試験は判例を憶えているか否かを問う試験ではないと考えるからです。


社会ニーズと法律 - APEC -2003-04-16 23:42:34
おつさん、私も飲酒運転トラックにより幼い姉妹が焼死した痛ましい事故が頭に浮かびました。
法律=社会的に求められていること
では必ずしもないと思いますが、理念としては、そうあるべきということだと思います。
時代の流れ・社会構造の変化・価値観の変化などに伴い、国民の一般的な考えと法律が乖離してくると、法律が改正され、国民の考え方に近づき、調整するということの繰り返しなんだと思います。政治も本来はそうですね。
トラック運転手は懲役4年でよい、そのとおりだと思います。ただし、「その時点では」です。

技術者は公共の利益・福祉に資する者ですから、「自分個人の思い」よりも、「大多数の幸福」という大原則で動かねばならないのだと思います。じゃあそれはどうしたらわかるのか、何か拠り所はあるのか、と言われれば法律・裁判の判例なのでしょう。

では、法律や判例を拠り所にした「社会的に求められているもの」と自分の信念がトレードオフになったら?
・・・・ケースバイケースで、自分の責任として判断し、行動するしかないのでしょうね。


判決の別解釈 - 三連星 -2003-04-17 22:39:51
すみません、前回意見を撤回します。
「判決に従っても(3)が正しくなる」ようです。

というのは、民事訴訟では国に責任があるという判決が存在。(リンク先参照。)
また、問題文は架空の事件であり、現実の事件と配役が異なります。
問題文では、
>鶏の大量死の報告が自治体にあった。原因は....であることが、すぐに判明した。
であり、一応、苦情受付や原因究明は自治体の役割と見なしているようです。
(ちょっと怪しいけど。)
現実の事件では、これは農林省が担当。(HP参照。)
そして、自治体(北九州)は責任なし、国(農林省)には責任ありの判決。
ということは、「原因究明者は推測できたはず」であり、責任については
国に対する判決(現実の世界の)を自治体(問題文の世界の)に適用するのが妥当
とみなし、判決からは(3)を正解とみなすべきでしょう。

http://www.utnl.gen.u-tokyo.ac.jp/~madarame/rinri_note.html


URL - 三連星 -2003-04-17 22:43:45
当該ページ(直リンク)はこちら。
http://www.utnl.gen.u-tokyo.ac.jp/~madarame/lec1/kanemi-pl.html


求められている答え - nomu -2003-04-28 10:05:18
三連星さんが示された国(農林省の出先機関)には責任有りの判決については、見逃していました。提訴の取り下げにより、訴訟費用を国が原告に請求すると言う記事がありましたので、てっきり国の責任について棄却されたものと思っておりました。
予見できることについて、対応しなかったことに責任ありとした判決は、社会的に求められる答えだと思います。
これで、自信を持って正解は(3)と言えますね。
日本技術士会は、なぜ正解を公表しないのでしょう。正解を公表し、問題作成者の責任を果たしてほしいと思います。国家試験でも近年は、情報公開が進んでおり、正解を公表しているところもあります。土木施工管理技士については、全国建設研修センターのホームページでは、択一問題の答えを問題とともに公開しています。日本技術士会も見習ってほしいと思います。