技術士第一次試験専門科目4−4に関する、「技術の杜 ハヤブサネット」での議論ログ

一次試験建設部門専門科目4−4(溶接)の問題について、「技術の杜 ハヤブサネット」のメンバー専用掲示板でヘルプを求めたところ、アドバイスをいただきましたので、その内容をこちらにコピーします。なお、整理の都合上、誤字脱字の訂正やログ公開に関するやり取りなどのレスは削除させていただきました。


杜ハヤメンバー掲示板より移転:お助け!教えてください - APEC -2003-11-09 22:21:08 削除
一次試験建設部門専門科目4−4(溶接)の問題について、「技術の杜 ハヤブサネット」のメンバー専用掲示板でヘルプを求めたところ、アドバイスをいただきましたので、こちらにコピーします。
お助け!教えてください - APEC -2003-11-09 22:21:36 削除
技術士受験応援サイトで一次試験正解推定をやっていますが、専門科目でどうしても答えが絞れない問題があります。どなたかお知恵を拝借できませんか?特にねぎさん、PMPさん、マックさん、お願い!

【問題】
溶接に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

@母材(接合されるべき材)と変わらない継ぎ手強度を得ることが出来る。
A溶接部の熱影響は複雑であり、溶接以外の接合方法に比べて応力の流れが複雑でかつ明確でない。
B設計、施工の自由度が大きく、適用しうる板厚の範囲が広い。
C外形的あるいは熱影響による不良な溶接により、応力集中箇所が出来やすい
D一体化した構造を作りうるので、減衰性の低下を招きやすい

私はDではないかと思うのですが・・・・

うーむ(ーー;) - ねぎ -2003-11-09 22:22:12 削除
Aだと思います。

@十分な管理のもとで行われた突合せ溶接は母材と同じ強度をとることができると思います。鋼構造設計規準ではそうなっています。
Aすみ肉溶接の応力の流れは確かに複雑です。でも,それはFEMを使えば解けると思います。むしろ,加力方向に数多く並ぶボルト接合の方が塑性化を考慮しなければならない分,より複雑だと思います。
Bそのとおりだと思います。ただし,どの程度「広い」のか少し気になりますが。
Cそのとおりです。
D溶接構造は,ボルト接合などに比べると減衰は小さくなります。ボルトのすべりによるエネルギー吸収がないので。

PMPさん,マックさんどう?間違ってる?

難しいですね - PMP(虎!日本シリーズXX雨順延) -2003-11-09 22:22:49 削除
@溶接部はHAZ領域ではあり脆性化の問題等はあるが、母材強度を保証できる溶接材料を使用することが原則なので「正解」
A溶接部の熱影響部の鋼材の変質は複雑であり、熱応力による内部応力も発生する。完全溶け込み溶接の板厚方向の応力度分布も均一でなく複雑であるが、設計上は平均応力度で検討照査している。..ねぎさんと意見が分かれ「正解」
B私の経験した最大板厚はTMCP鋼で80mm、それ以上も可能なのであり、材料強度の種別も多いので、設計施工の自由度は大きいので「正解」
C外形的:アンダーカット、溶け込み不足など、熱影響:歪み硬化、脆性化、内部応力の発生などにより応力集中箇所が出来やすい
「正解」
D溶接により一体化した構造になるのは間違いないが、溶接により減衰性が低下するの?確かにねぎさんの言われるように「ボルト接合はすべりによるエネルギー吸収がある」かも知れないが...

以上からDでは?(資格取り上げか?)

難しいでしょう - APEC -2003-11-09 22:23:22 削除
私は専門外なので、全然見当違いなことをいうかもしれませんが・・・・

Aですが、溶接部(特にボンドのところ)はじん性などが複雑に変化しているとか、残留応力があるとかいった問題があるのではないかと考えました。特に後者については、例えばボルト継ぎ手なら摩擦係数とボルト軸力だけの話になって、設計計算と実際が合致するのに対して、溶接だと残留応力などのために設計計算通りにいかないとかいったことがあると聞いたような気がします。
それで正解なのかなと思ったのですが、臨時掲示板では「それは応力分布の話だろう。応力の流れは単純に断面積で計算できるので、複雑・不明確ではない」との反論をいただき、うーんとなってしまいました。

Dは、エネルギー発散がないから減衰性は確かに低下するかなという気はするのですが、「一体化した構造を作りうる」からなんでしょうかね。そこがいまいちわからなくて。

実のところ、どれも間違いではないような気がしています。
通信教育業者サイトでは2が正解とされていますが・・・・

今年の一次試験は、あいまいな(どうとでもとれるような)問題文・選択肢が多かったように思います。

でもねPMPさん - ねぎ -2003-11-09 22:23:49 削除
残留応力についてはおっしゃるとおりです。複雑です。
私が着目したのは,外力が作用した時の力の流れです。
これは,他の接合方法に比べ複雑とはいえないのでは
ないでしょうか?
溶接構造の構造減衰は低いと思います。振動エネルギーを
吸収する要因がないから。

再考..わからん - PMP(虎!日本シリーズXX雨順延) -2003-11-09 22:24:34 削除
★問題の内誤っているものはAかDには異論なし、で問題を分析すると

A溶接部の熱影響は複雑であり、(ここまでは正解)
 溶接以外の接合方法(他の接合方法はボルト接合:摩擦接合=1面せん断、2面せん断、引っ張り接合、他にはリベット接合)に比べて
 応力の流れが複雑でかつ明確でない。(問題はここ!応力の流れが複雑かどうか)

★他の接合方法は、フィラープレート、ボルトなどを介し応力が伝達する。一方、溶接接合は溶融金属部を介して応力伝達する。
★ねぎさんの着眼は、「接合母材以外に力が伝達するから他の接合方法のほうが複雑ではないか」との見解
★PMPの着眼は「溶融金属部はその周辺のボンド域を含め、均一な組成状態でなし、溶接歪み、残留応力もあるから応力の流れが複雑でかつ明確でない。」

★臨時掲示板での「それは応力分布の話だろう。応力の流れは単純に断面積で計算できるので、複雑・不明確ではない」との反論は、検証計算に於けては断面積でやってよいという計算に於けるモデル化の話。
★溶接部の被害例として阪神淡路大震災の芦屋浜の鉄骨高層住宅の鉄骨柱の破断などは、単純に断面積で計算できないよという例では
 但しこの例でも、力は溶接部のみを流れている事に間違いありません。

★問題が「溶接部の熱影響は複雑であり、応力の流れが複雑でかつ明確でない。」なら明らかに正解だと思います。問題は他の接合方法との比較ですね。

D一体化した構造を作りうるので、(そりゃ溶接で母材強度と同等となっているから一体構造となっています。)
減衰性の低下を招きやすい(問題はここ!一体構造だから減衰性の低下があるかどうか)

★減衰性とは何か
★建物の減衰といえば、地震時等の揺れが早く収斂するかどうかで、高層ビルなどを除き一般的な建物でRC造で3%、鉄骨造で2%程度、つまり鉄骨造のほうが揺れが収斂しにくい傾向。
★「減衰性が低下する」とは「減衰が小さく長周期化することでは」
★確かにボルト接合の方が、フィラープレートでの滑りはありそうだが、ボルト接合の方が溶接より減衰性が低下しにくいとは考えられない。ボルト接合部は確かにフィラープレートなどがあり接合部以外と比較して剛性が高く減衰性がよいかもしてないが、一体構造となった鋼構造物全体で見た場合、接合部の剛性が構造物全体の減衰性に寄与するとは思えないのですが...

★この辺は建築屋より、鋼構造の橋梁の方がご専門でしょうね.

PMPさんへ - ねぎ -2003-11-09 22:25:06 削除
>ねぎさんの着眼は、「接合母材以外に力が伝達するから他の接合方法のほうが複雑ではないか」>との見解

ボルト接合の方が,力の流れが複雑では?と書いた真意は,↑ではないのです。
例えば,2本の山形鋼が1面せん断で軸方向に5本のボルトで接合されているとします。
これを材軸方向に引張ると,明らかに端部のボルトに加わる力が大きく,真ん中のボルトは遊んでいるはずです。にもかかわらず,設計では引張り力Pをボルト本数で割って,一本あたりのボルトのせん断力をP/5と算出しますね。これは,PMPさんには釈迦に説法だと思いますが,継ぎ手部の塑性化による応力再配分を期待しているからです。ボルト接合のほうが,力の流れが複雑と書いた意味はこういうことです。

鋼構造の構造減衰には,@構造材料固有の内部摩擦減衰,A構造上の接合部や,構造要素・非構造要素の摩擦による減衰,に大別されます。しかし,@の寄与分はほんのわずかです。だから,
ボルト接合を用いた一体化されない構造の方が,外部摩擦が働きやすいと思います。

文献や出典を調べる必要がありますね - PMP(虎!日本シリーズXX雨順延) -2003-11-09 22:25:46 削除
問題Aについて
「溶接部の熱影響は複雑であり、溶接以外の接合方法に比べて応力の流れが複雑でかつ明確でないか」

★ねぎさん、言葉足らずでした。私の言う「接合母材以外に力が伝達するから」は「塑性時のボルト応力の再配分」の視野には入れていたのですが...

★問題Aを次の2問に分けたらどうでしょう。
1)溶接部の熱影響は複雑であり、応力の流れが複雑でかつ明確でない。
2)溶接は、溶接以外の接合方法に比べて応力の流れが複雑でかつ明確でない。
1)だと「正解」と答えるでしょうね。
さて2)だとねぎさんの言われる内容と変わらないですよね。たぶんこの問題だと同じ議論になるのではないでしょうか?

★問題の趣旨が「溶接部の熱影響は複雑」ということを理解しているかをとっていると解釈したのですが...
 あるいは「溶接部の熱影響は複雑」がひっかけかも

★建築構造設計の場合「加力方向に数多く並ぶボルト接合の方が塑性化を考慮する」ことが少なく、ねぎさんの言われるように許容応力度設計でも塑性設計でも応力/本数でどうかの世界ですから..

問題Dについて
「溶接は、一体化した構造を作りうるので、減衰性の低下を招きやすいか」

★建築の場合いい加減で、ボルト接合でピン接合と称し、ウェブのみボルト接合が存在する世界です。(さらにローラ支承に至っては..)
★溶接との比較ですから当然ピン接合でなくフランジもボルト接合した剛接合(建築だけ?)が対象だと思います。この場合に減衰性に差異はあるのでしょうか?
★建築の場合「ボルト接合を用いた一体化されない構造」とはブレースなどを取り入れた柱梁が部分的にピン構造の建物を想定してしまいます。(例えば自走式立体駐車場など)この場合、減衰性は構造形式がラーメン構造とブレース構造の比較になりますから..問題の論点からはずれてしまいます。

★★ギブアップです。問題の趣旨が解らなくなりました。m(_ _)mm

阪神さん,たまには勝ってね - ねぎ -2003-11-09 22:26:13 削除
溶接を冶金学的観点からみれば,複雑怪奇かもしれませんが,材料力学レベルでは
応力の流れはそれほど複雑ではないのでは?と思いますがどうでしょう。
エンドレスになりそうなので,これについては保留にしましょう。
私も文献を調べてみます。

振動振幅が小さいうちは,溶接接合も高力ボルト接合も減衰性能は同じようなものだと思います(ボルトがすべらないので)。しかし,構造安全上問題になるような動的外力(地震,ガスト)を受ける場合には,ボルトがすべるので減衰の大きさには明らかな差が生じます。
実は前の職場で,送電鉄塔の耐震性を高めるために,大地震時にボルトをわざと滑らすことによって減衰を稼ぐ研究をしたことがあります。

いやー,楽しかった。こういう議論は生産的でいいですね。またやりましょう

ねぎさん、ありがとう!! - PMP(虎!日本シリーズXX雨順延) -2003-11-09 22:26:51 削除
★鋼構造が専門といっても「建築の分野」
★ねぎさんとの議論、大変勉強になりました。
★今後とも宜しく願います。

正解は? - Mcbd@FZR -2003-11-09 22:27:34 削除
どもども.Mcbd@FZRです.APECさんのご指名で,自分の出番が,,,(やっと役に立つ時がきた?)

 私の考えでは,Aが正解だと思います.

 A番について
 溶接構造は,ボルト構造などに比較して応力の流れが明確だと思います.(この設問は,継ぎ手の比較を行っているためと理解しました)
 D番について 
 溶接構造のほうが,減衰を期待できないのは確かであるが,工学的に見て,その程度の減衰の低下によって問題となることはないと考えられる.(例え1%でも違えば動的解析などの結果は異なると思いますが,それが支配的ではないと考えました)

 PS 師匠殿 最終の近鉄特急に乗ることができました.
   PMP殿 阪神 初勝利おめでとうございます.

意見の修正 - Mcbd@FZR -2003-11-09 22:28:01 削除
どもども.Mcbd@FZRです.

 私の意見をちょっと修正しました.下記の意見をアップ願います.
------------------------------------------------
 A番について
 溶接構造は,(工学的に考えれば)ボルト構造などに比較して応力の流れが明確だと思います.ビードフラッシュを行えば,母材と同等と思います.(ただし,金属学的に見ると異なるかもしれません).溶接構造は,残留応力の影響で応力分布は複雑です.
 “応力分布”と“応力の流れ”を区別する必要があると思います.
 D番について 
 溶接構造のほうが,減衰を期待できないのは正解だと思います.ただし,工学的に見て,その程度の減衰の低下によって問題となるかは,個人的には疑問.(例え1%でも違えば動的解析などの結果は異なると思いますが,それが支配的ではないと思います)
--------------------------------------------------------

以上.

お助け!教えてください(続) - ねぎ -2003-11-09 22:29:39 削除
■マックさんの次のレスに関する私見です。
【溶接構造のほうが,減衰を期待できないのは正解だと思います.ただし,工学的に見て,その程度の減衰の低下によって問題となるかは,個人的には疑問.(例え1%でも違えば動的解析などの結果は異なると思いますが,それが支配的ではないと思います)】
「その程度」がどの程度かマックさんは明言されていませんが,私の経験では,鋼製煙突の構造減衰は,溶接一体構造の自立型では減衰定数h=0.5%未満,ボルト接合の鉄塔で支持された煙突ではh=1%程度であったように記憶しています。
結論を言えば,【この程度の減衰定数の差が問題になる場合はある】と思います。
■地震荷重やガストは不規則な外力です(不規則といっても,まったくのランダムではありませんが)。したがって地震応答もガスト応答も不規則外力に対する応答です。
たしかに不規則外力に対しては,減衰はあまり敏感ではありません。しかし,調和外力で,しかも共振状態にあるときは,減衰は応答に敏感に効いてきます。共振時には変位応答倍率は1/(2h)になります(h:減衰定数)。たとえば,減衰定数が1/2になれば変位応答は2倍になるわけです。土木・建築構造物に作用する調和外力のわかりやすい例は渦励振です。これは,2次元状の構造物の背後にできるカルマン渦の渦放出周波数が構造物の固有振動数に一致するとき起こる振動です。建築構造物では自立型の鋼製煙突,土木構造物では架設途中の長大吊橋主塔および架設途中の長大斜張橋の主塔,また,斜張橋のケーブル,トラス構造物の斜材などは,渦励振を受ける危険性があります。渦励振の厄介なところは,振幅依存性があることです。つまり振幅が大きくなると外力が大きくなり…,変位がさらに大きくなり…,という悪循環を生じます。このような振動を自励振動といいます。渦励振はフラッターのような発散振動ではありませんが,疲労破壊につながるので,渦励振発生が懸念される場合は対策を講じなければなりません。
■対策には,大きく二通りあります。一つは,空力的な対策です。二つ目は,構造的対策です。後者のメインは構造に減衰を付加する対策です(例えば,オイルダンパー設置,TMD設置)。最近(概ね1985年以降)建設された,高層煙突,長大吊橋,長大斜張橋の多くにはTMDが設置されています。MM21ランドマークタワーには,多段振子型のTMD(セミアクティブ)が据え付けられています。もっとも,この場合は,ガストに対する居住性を高めるためのもので,構造安全性のための対策ではありません。
■以上をまとめると,つぎのようになると思います。「地震荷重,ガストなどの不規則外力に対しては,減衰定数のわずかな差(たとえば,2倍程度の差)はさほど問題にはならない。しかし,調和外力を受ける構造物で共振状態のときは,減衰定数のわずかな差が問題になる場合がある。」

ねぎさんの意見について - Mcbd@FZRと書いてマックと読む -2003-11-09 22:30:38 削除
 ねぎさんの意見に対して私の私見を述べます.ただし,対象物が橋梁(桁及び塔)関係であることを前提にお話します.
 >地震荷重,ガストなどの不規則外力に対しては,減衰定数のわずかな差
 >(たとえば,2倍程度の差)はさほど問題にはならない
 >しかし,調和外力を受ける構造物で共振状態のときは,
 >減衰定数のわずかな差が問題になる場合がある。
 私の考えでは,前にも書いたように構造物の継手形状が減衰定数に与える影響は,非常に少ないと思います.
例えば道示では,動的解析に使用する各部材の等価減衰定数の参考値として,上部構造:2%,ゴム支承:2%,下部構造:3%,基礎構造:10%が示されています.これに加えて非線形部材(例えば橋脚)の履歴減衰が付加されます.このような条件の中で,継手形式の差(例えば上部構造:3%,下部構造:4%の場合)が,解析結果に与える影響は非常に小さくなり,工学的に無視できると思
います.

 次に,調和外力(例えば渦励振など)について考えてみます.明石海峡大橋や来島大橋の主塔には,フリースタンディング(明石は完成時も必要ですが)の状態の耐風安定対策として部材断面の形状を工夫したりTMDやAMDが設置されていますが,これは塔自体の減衰が全体系と比較して非常に小さいために設置されています.
 このように,主塔の継手形状が減衰に与える影響よりも,構造物の形状(形式)に対する影響のほうが大きいと思われます.(文献等は見当たりませんでしたが...)

 ねぎさんも当初のレスで,
 >振動振幅が小さいうちは,溶接接合も高力ボルト接合も減衰性能は同じようなもの
 >だと思います(ボルトがすべらないので)。しかし,構造安全上問題になるような
 >動的外力(地震,ガスト)を受ける場合には,ボルトがすべるので減衰の大きさ
 >には明らかな差が生じます。
 と述べています.私もこの意見に賛成で,ボルトが滑るまでは,外力が地震であろうが調和外力であろうが減衰定数は同じだと思います.そのため減衰定数への影響は,外力の性質には左右されず,ボルトの滑る滑らないに左右されるのではないでしょうか?
 さらにボルトは滑ることを考えてみます.ボルトが滑るときには減衰が付加されますが,それは一時的な(すぐにボルトの軸部が接触し支圧接合となる)ため,非線形部材の履歴減衰のように構造物に大きな影響を与えないと思います.

 こう考えると,“溶接継手のほうが減衰性の低下を招きやすい”は,定性的には正解だと思いますが,工学的には不正解かもしれません.

 わたしは,ねぎさんのような物理・数学の基礎知識がないため,詳しい説明はできませんが,いかがでしょうか?

さすがマックさん! - ねぎ -2003-11-09 22:31:10 削除
>わたしは,ねぎさんのような物理・数学の基礎知識がないため,詳しい説明はできませんが

マックさん,こういういやみなことは言わんようにしましょうや(^。^)

>例えば道示では,動的解析に使用する各部材の等価減衰定数の参考値として,上部構造:2%,
>ゴム支承:2%,下部構造:3%,基礎構造:10%が示されています.これに加えて非線形部材(例えば
>橋脚)の履歴減衰が付加されます.

地震と渦励振とは分けて考えましょう。渦励振に履歴減衰を考えたら大変です。
地震は一過性の外力なので,部分的に損傷させて振動エネルギーを消費させる設計を行うことができます。しかし,渦励振は長時間にわたるので,部分的な塑性化は低サイクル疲労による破壊を招くでしょう。また,何度も言うようですが,地震やガストなど不規則外力に対する応答には,減衰は敏感に働きません。ここでは,構造物が調和外力作用下におかれ共振状態にある場合を想定しましょう。

>明石海峡大橋や来島大橋の主塔には,フリースタンディング(明石は完成時も必要ですが)の
>状態の耐風安定対策として部材断面の形状を工夫したりTMDやAMDが設置されていますが,
>これは塔自体の減衰が全体系と比較して非常に小さいために設置されています.

これはそのとおりです。具体的にみてみましょう。櫃石島橋主塔独立時の構造減衰はδ=0.083(h=0.0132)です。これにTMDを設置して構造減衰をδ=0.206(h=0.0328)に向上させています。櫃石島橋の主塔は(他の斜張橋も同様ですが),工場でブロックに分割して製作し,現地に搬送してクレーンで吊上げブロック同士をボルト接合します。構造減衰h=0.0132のほとんどは,このボルト接合部で稼いでいると思います。もしも,架設上の制約がなく溶接による完全な一体型構造が可能と仮定すればどうでしょう。その場合は構造減衰はh=0.0132の半分も無いと思いますよ。あなたは,終始一貫して,ボルト接合と溶接接合との差はないと主張されています。それでは,全て溶接接合でできた構造物には具体的にはどのようなものがありますか?その構造減衰はどれくらいですか?私が思い浮かぶ溶接による完全一体型の構造物は鋼製自立型煙突です。内部にモルタルなどのライニングが施されている場合は,h=0.005程度は期待できます。しかし,クラッド鋼等使用によりライニングが省略できるときは,構造減衰はほとんどありません。

最後に,
>外力が地震であろうが調和外力であろうが減衰定数は同じだと思います.そのため減衰定数へ
>の影響は,外力の性質には左右されず,ボルトの滑る滑らないに左右されるのではないでしょうか。

これはそういう意味ではありません。減衰定数が外力によって変化するというのではなく,応答への構造減衰の影響が,不規則外力の場合と調和外力の場合とでは異なることを言いたかったのです。(もっとも,空力減衰を考えると話は別です。たとえば曲げねじりフラッターを誘発する非定常空気力は負の減衰をもたらします。ギャロッピングも同様です。)

私はこういう議論が大好きです。これからも大いにやりましょう。できれば公開掲示板のほうがよいですね。そのほうがやる気が出る(^^ゞ

補足 - ねぎ -2003-11-09 22:31:38 削除
>これはそういう意味ではありません。減衰定数が外力によって変化するというのではなく,応答への構造減衰の影響が,不規則外力の場合と調和外力の場合とでは異なることを言いたかったのです。
↑を補足します。
渦励振による共振状態をTMDで消すのは簡単です。減衰を付加すればすぐ消えます。しかし,ガストによる応答をTMDで低減させるのは容易ではありません。変位はどんなに減衰を付加しても減りません。加速度を減らすことは可能ですが大きくは期待できません。

いやー減衰は難しい - ねぎ -2003-11-09 22:32:20 削除
マックさんのレスで以下を見落としていました。

>ねぎさんも当初のレスで,
>振動振幅が小さいうちは,溶接接合も高力ボルト接合も減衰性能は同じようなもの
>>だと思います(ボルトがすべらないので)。しかし,構造安全上問題になるような
>>動的外力(地震,ガスト)を受ける場合には,ボルトがすべるので減衰の大きさ
>>には明らかな差が生じます。
>と述べています.

そういえば,そのようなことを書き込みましたね。困りましたね。うーむ(――;)

昨夜,一生懸命書いた
>櫃石島橋の主塔は(他の斜張橋も同様ですが),工場でブロックに分割して製作し,現地に
>搬送してクレーンで吊上げブロック同士をボルト接合します。構造減衰h=0.0132のほと
>んどは,このボルト接合部で稼いでいると思います。もしも,架設上の制約がなく溶接によ
>る完全な一体型構造が可能と仮定すればどうでしょう。その場合は構造減衰はh=0.0132
>の半分も無いと思いますよ。
と矛盾しますね(^_^;)  

ただ,初期不整の存在,あるいは,高精度の架設が期待できない,などの理由で摩擦面の管理が不十分な場合は小さい荷重ですべる可能性があります。そのときは,h(溶接)<h(高力ボルト)になると思います。また,ボルトに張力が入っていない場合(普通ボルト)は,h(溶接)<<h(ボルト)になるのは間違いないと思います。

本当のところはどうなんでしょう。

面白かったけど,疲れた。
PMPさん,マックさん,これからもよろしく。

向学のために(ねぎさんに質問) - Mcbd@FZRと書いてマックと読む -2003-11-09 22:33:55 削除
ねぎからのレスに対して,私の意見(一部質問)を述べます.

>地震やガストなど不規則外力に対する応答には,減衰は敏感に働きません。
 この意味が良くわかりません.地震時に減衰を付加しても応答値は小さくならないということではないですよね.もう少し詳しく教えていただけませんか?

>あなたは,終始一貫して,ボルト接合と溶接接合との差はないと主張されています。
>それでは,全て溶接接合でできた構造物には具体的にはどのようなものがありますか?
>その構造減衰はどれくらいですか?
>私が思い浮かぶ溶接による完全一体型の構造物は鋼製自立型煙突です。
 橋梁の場合には,全断面溶接の桁は少ないですが存在します(景観に配慮する歩道橋など).また,斜張橋などの主塔についても全断面溶接の実績はあります.
 私の私見では,構造減衰の大小は,その部材に取り付く部材数に依存するのではないでしょうか?煙突のような部材数が少ない場合と,ダイヤフラム,横リブ,水平及び垂直補剛材など内側に数多くの部材がつく橋梁では,煙突と比較して構造減衰に差があってもおかしくないと思います.
 
>応答への構造減衰の影響が,不規則外力の場合と調和外力の場合とでは異なる
 この意味も良くわかりません.もう少し詳しく教えていただけませんか?

>ガストによる応答をTMDで低減させるのは容易ではありません。
>変位はどんなに減衰を付加しても減りません。
>加速度を減らすことは可能ですが大きくは期待できません。
 耐風関係のことは良くわかりませんが,私の感覚ではガスト応答(作用する風の乱れにより強制的に誘起される不規則な振動)は強制変位の一種のようなので,減衰を付加しても応答が減少することはないことが感覚的に理解できます.

>初期不整の存在,あるいは,高精度の架設が期待できない,などの理由で摩擦面の管理が不十分な場合は小さい荷重ですべる可能性があります。
>そのときは,h(溶接)<h(高力ボルト)になると思います。
>また,ボルトに張力が入っていない場合(普通ボルト)は,h(溶接)<<h(ボルト)になるのは間違いないと思います。
 私の経験と周辺へのヒアリングによると,施工の影響で高力ボルトが滑ったことはありません.これは,
 1.すべりに対する安全率が1.7であること.
 2.設計すべり係数0.4に対して,目違いを考慮した実験でも0.5程度となる.
 (もちろん,実験の前提条件がありますが...)
 3.道示における導入ボルト軸力は,設計軸力の10%増しで施工.
などが考えられます.
 私も普通ボルトについては,容易に滑るため減衰に対して効果があると思います.

>私はこういう議論が大好きです。
私も大好きです.これからもよろしくお願いいたします.(特に解析関係に大変興味があります.)

マックさん,お手柔らかにね(^_^;) - ねぎ -2003-11-09 22:35:09 削除
マックさん,たいへん力のこもったレスをありがとう。

>>地震やガストなど不規則外力に対する応答には,減衰は敏感に働きません。
>この意味が良くわかりません.地震時に減衰を付加しても応答値は小さくならない
>ということではないですよね.もう少し詳しく教えていただけませんか?

小さくならないということではありません。効果が相対的に小さいと言っているのです。
それはなぜか?
簡単に説明しましょう。
質量M,減衰係数C,剛性Kの1自由度系に調和外力Fcosptが作用しているとします。
運動方程式は次のようです。(ご承知とは思いますが,付き合ってください)

M・d2x/dt2+C・dx/dt+K・x=Fcospt

ここで,ω=√(K/M),h=C/(2√(MK))と置くと,上式の特解は次のようになります。

x=(F/k)/√((1―(p/ω)^2)^2+4h^2(p/ω)^2)cos(pt―θ)
θは変位の外力に対する位相差です。式は略します。

ここで,F/kは静的変位です。これをδsに置換すると,

x=1/√((1―(p/ω)^2)^2+4h^2(p/ω)^2) δs cos(pt―θ)になります。

1/√((1―(p/ω)^2)^2+4h^2(p/ω)^2)は静的変位に対する応答倍率で,これによって動的効果を見ることができます。

p/ω=0のとき,応答倍率は1です。減衰に無関係です。
p/ω=1のとき(共振時)は,応答倍率は1/(2h)です。h=0では無限大です。
p/ω>>1のときは,応答倍率はゼロに漸近し,これも減衰に無関係になってきます。
つまり,共振時において,減衰が応答に最も影響することが分かります。

不規則外力は,さまざまな周波数を持つ外力成分の重ね合せです。固有振動数に近い成分もあれば,固有振動数とかけ離れた成分もあります。固有振動数と一致する外力成分による応答は減衰に敏感です。固有振動数とかけ離れた外力成分による応答は減衰に鈍感です。
不規則外力は,このように応答に敏感な周波数成分やら鈍感な周波数成分やらがごっちゃになっているので,単一周波数の外力の下で共振状態にある応答に比べれば,減衰の効果が相対的に落ちるわけです。なお,これはガストについての説明です。地震は方程式が少し違いますが概ね似たようなものです。

今夜はこれくらいにして,続きはまた明日ということにします。

今朝の続き - ねぎ -2003-11-09 22:38:23 削除
地震応答に対して減衰が敏感に働きにくい原因の一つには,継続時間が短いことも挙げられると思います。地震動の継続時間は,長くて一分で,そのうち激しい揺れは10秒〜20秒ていどですから,構造物の振動が十分成長しないまま収まってしまいます。減衰の役割が十分に発揮されずに地震が終わってしまうということです。

>構造減衰の大小は,その部材に取り付く部材数に依存するのではないでしょうか?煙突のような
>部材数が少ない場合と,ダイヤフラム,横リブ,水平及び垂直補剛材など内側に数多くの部材が
>つく橋梁では,煙突と比較して構造減衰に差があってもおかしくないと思います.
それらの部材が全て溶接接合されているなら,断面諸元(断面積,断面2次モーメントなど)が等しい部材数の少ない断面と同じことになりませんか?

>私の経験と周辺へのヒアリングによると,施工の影響で高力ボルトが滑ったことはありません.
そうですか。やっぱり滑りませんか。(-_-;)ウーム
それなら,最後の悪あがきを…。前にも書きましたが,高力ボルトは,たとえばP/n≦ρaで設計しますね。(P:荷重,n:ボルト本数,ρa:ボルト1本あたりの許容力)
しかし実際にはそれぞれのボルトに作用する力は異なるはずです。具体的には,列の端部のボルトに働く力の方が大きく,中央が小さいはずです。それを,平均化して設計しているので,端部のボルトでは設計荷重以下で部分的にすべることもあり得るのではないでしょうか?(苦し紛れですが^^;)

減衰とは - Mcbd@FZRと書いてマックと読む -2003-11-09 22:38:52 削除
どもども.Mcbd@FZRです.ねぎさん,私にお付き合いしてくださってありがとうございます.続編です.

>p/ω=0のとき,応答倍率は1です。減衰に無関係です。
>p/ω=1のとき(共振時)は,応答倍率は1/(2h)です。h=0では無限大です。
>p/ω>>1のときは,応答倍率はゼロに漸近し,これも減衰に無関係になってきます。
 これは,共振曲線を数式で表したものですね.

>地震は方程式が少し違いますが概ね似たようなものです。
 これは,調和外力による定常応答ではなく過渡応答になるため,数式が異なるという意味ですか?
 ガスト応答については,なんとなく理解できます(減衰定数が変化しないため)が,今ひとつピンとこないのは,地震時の履歴減衰は,どのようにしてこの数式に考慮されるかが,よくわかりません.
 耐震構造解析の教科書をかいつまんで読み直しましたが,よくわかりませんでした.履歴減衰がどのように考慮されている教えていただけませんか.

>それらの部材が全て溶接接合されているなら,断面諸元(断面積,断面2次モーメントなど)が
>等しい部材数の少ない断面と同じことになりませんか?
 これについて,少し調べてみました.
構造物の減衰特性は,以下のように大別できるそうです.
 @構造材料の減衰(材料自身の内部摩擦によるもの)
 A構造系内でのエネルギー損失(継手や支承部など)
 B構造系外へのエネルギー損失(基礎地盤への逸散など)
橋梁が煙突と比較して減衰が大きいのは@の構造材料の減衰に当てはまると思います.減衰定数と死荷重(歩道橋)のグラフも確認しましたが,死荷重が大きいほど減衰定数が大きい傾向が読み取れました.(もちろんばらつきはありますが)

>端部のボルトでは設計荷重以下で部分的にすべることも
>あり得るのではないでしょうか?(苦し紛れですが^^;)
 これについても調べてみました.
20年近く前の論文ですが,M30とM24のボルト列数12列までのすべり試験結果から引用します.
 ねぎさんのご指摘どおり,メジャースリップ(全体がすべる現象)直前では,0.1mm(ボルト7列目)から1mm(12列目)程度のすべり認められるそうです.(これは上記のAに相当すると思います),しかし,許容すべり耐力を載荷時には,最大で0.2mmと小さい傾向である.許容すべり耐力とメジャースリップ直前では,荷重差が2倍以上あります.そのため,私見ですが,通常の荷重ケースでは,ボルト列数も8列程度ですし,すべりの影響はほとんどないと思います.

 私は,自分の経験と感覚で意見を述べています.(今回はいろいろ調べて,自分自身勉強になりましたが.)ねぎさんのように理論的に説明することができませんが,ねぎさんのように理論的に説明できるようになるのが,目標でもあります.そのためには,もっと勉強しなければなりませんが,,,,
 今後ともよろしくお願いします.

やっぱり,高力ボルト摩擦接合はすべらんのか (T_T)ヾ(ーー;) … - ねぎ -2003-11-09 22:39:23 削除
>>p/ω=0のとき,応答倍率は1です。減衰に無関係です。
>>p/ω=1のとき(共振時)は,応答倍率は1/(2h)です。h=0では無限大です。
>>p/ω>>1のときは,応答倍率はゼロに漸近し,これも減衰に無関係になってきます。
>これは,共振曲線を数式で表したものですね.

これについて少し補足します。前レスで,ガスト外力は不規則外力で,様々の周波数成分をもつ調和外力の重ね合わせで表すことができる(フーリエ展開)と書きました。それでは,ガスト外力のなかで,どの周波数成分のパワー(エネルギー)が大きいのでしょうか?結論を言えば,ガスト外力は低周波数域にパワーが集中し,高周波数になればなるほど,パワーが小さくなります。その減り方は急勾配です。つまり,ガストの主たるパワーは,p/ω≪1の(構造物の固有振動数がある程度大きい場合)領域にあるので,応答に占める非共振成分の割合が大きくなり,その結果,減衰の影響は小さくなるのです。ただし,構造の固有振動数が非常に小さく,外力のパワーの大きい低周波数域にある場合には,動的応答は大きくなります。したがって,ガスト応答を低減するためには,剛性を高め,パワーが小さい高周波数域に構造物の固有振動数を移動させることが有効です。
もう少し補足しますと,p/ω≪1で応答倍率が1に漸近するというのは,Md2x/dt2+Cdx/dt+kx=Fcospt,のなかの動的項Md2x/dt2+Cdx/dtが無視できるほど小さくなるということです。そのためkx≒Fcosptとなり,x≒F/k・cospt(静的変位,だから減衰関係なし)に近似できることを意味しています。マックさんの「ガスト応答は強制変位成分が主体だから減衰の効きが悪そう」という感想は現象のよい説明になっています。

>>地震は方程式が少し違いますが概ね似たようなものです。
>これは,調和外力による定常応答ではなく過渡応答になるため,数式が異なるという意味ですか?
地震荷重が風荷重と異なるのは,地震荷重が地動による慣性力である点です。たとえば,つぎの調和地動,x0=a・cospt,に対する運動方程式は,Md2x/dt2+Cdx/dt+kx=a・p^2・M・cosptになります。少し違うでしょう。だから,少し違うと書きました。深い意味はありません。
地震応答は,そのほとんどが過渡応答成分(自由振動成分)です。マックさんのレスのとおりです。

>ガスト応答については,なんとなく理解できます(減衰定数が変化しないため)が,今ひとつピンとこないのは,
>地震時の履歴減衰は,どのようにしてこの数式に考慮されるかが,よくわかりません.
履歴減衰は,Md2x/dt2+Cdx/dt+kx=Fcosptの式では表すことができません。@非線形振動である,A速度に比例する減衰(粘性減衰)ではない,が主な理由です。
Md2x/dt2+Cdx/dt+kx=Fcosptではなく,Md2x/dt2+Cdx/dt+Q(x)=Fcosptのような式になります。ここで,Q(x)は非線形な復元力です。変形と復元力の関係がループを画けば,その面積が吸収エネルギーになり,減衰効果が現れるわけです。

続き - ねぎ -2003-11-09 22:39:45 削除
>構造物の減衰特性は,以下のように大別できるそうです.
>@構造材料の減衰(材料自身の内部摩擦によるもの)
>A構造系内でのエネルギー損失(継手や支承部など)
>B構造系外へのエネルギー損失(基礎地盤への逸散など)
この分類に同感です。@およびAを構造減衰とよび,Bを地下逸散減衰とよびます。

>橋梁が煙突と比較して減衰が大きいのは@の構造材料の減衰に当てはまると思います.
これは違うと思います。もうすこし,調べてください。鋼材の内部摩擦による減衰は微々たるもので,構造減衰のほとんどすべてがAであると断定してもよいと思います。ただし,コンクリートなど内部摩擦が比較的大きい材料と鋼材との混合構造の場合は,この限りではありません。

「橋梁と基礎」1999,5,vol33,p29,「多々羅大橋の実橋振動実験」には,次の記述があります。
『水平曲げ振動の場合,変形が大きくなると,数多くのボルトが滑り,それによる摩擦力が減衰に寄与することが予測される。この点を確認するために,中央径間L/2点位置のフェアリングのボルト接合部に変位計を設置し,ボルト滑りの状況を実測した。(略)。桁の振幅が大きくなるとフェアリング接合部が滑り始め対数減衰率が大きくなっていることが認められる』

>減衰定数と死荷重(歩道橋)のグラフも確認しましたが,死荷重が大きいほど減衰定数が大きい傾向が読み取れました。
これはハテナ(?)です。減衰定数と死荷重との間に直接の関係はないと思います。

>通常の荷重ケースでは,ボルト列数も8列程度ですし,すべりの影響はほとんどないと思います.
そうですか。わかりました。(^^)

マックさん,これからもよろしくお願いします。技術力向上に向けて,お互い精進しましょう。
ずいぶん長々とかきました。すみません。