技術士第一次試験 平成12年度 専門科目《建設部門》

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(−1)択一問題
次の10問題を解答せよ(専門科目解答欄にマークすること。)

  1. 土質及び基礎に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

    (1) 塑性指数Ipは液性限界WLと塑性限界Wpの差である。

    (2) 鋭敏比とは、粘性土の乱さない試料と、これを同じ含水比のままで十分練り返した試料のそれぞれの非排水せん断強さの比をいう。

    (3) 基礎設計に用いる地盤反力係数は、平板載荷試験以外に標準貫入試験や一軸、三軸圧縮試験からも推定できる。

    (4) サンドドレーン工法は、軟弱地盤対策以外に液状化対策としてもよく用いられる。

    (5) クイックサンドとは、粘着力のない砂などにおいて、上向きの浸透力が砂の水中単位体積重量よりも大きくなって液体状になる現象である。


    解答案:4

    (1)・・・・○ そのとおり。
    (2)・・・・○ そのとおり。
    (3)・・・・○ そのとおり。
    (4)・・・・× 粘性土の圧密促進のために行うの工法で、液状化するような砂質土地盤に施しても意味がない。
    (5)・・・・○ そのとおり。要は完全液状化。
    ※塑性指数・鋭敏比・地盤反力係数・クイックサンドなどの語句の理解を問うていますが、ドレーンが何かさえ知っておれば、常識的にわかります。

  2. 鋼構造物の非破壊検査方法に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

    (1) 放射線透過法は、ブローホールのような容積のある欠陥よりも、疲労亀裂のような平面的な欠陥の検出に適している。

    (2) 超音波検査法は、放射線透過法と比較して、検出精度が検査者の技量に大きく依存する。

    (3) 磁粉探傷法は、欠陥が表面に開口していなくても磁束が表面に漏洩するので、表面下の欠陥も検出できる湯合がある。

    (4) 浸透探傷法は非磁性金属にも応用でき、道具が簡易で済むが、表面に開口している欠陥しか検出できない。

    (5) アコースティックエミッション(AE)法は、固体内部の微少な破壊あるいはそれと同様なエネルギー開放過程によって発生する弾性波動を検出する方法である。


    解答案:1

    (1)・・・・×? 透過するんだから、容積のある欠陥のほうに向いているんじゃないかな?
    (2)・・・・? そうなのかな?わからない。
    (3)・・・・○ そのとおり。【参考:こちら
    (4)・・・・○ そのとおり。【参考:こちら
    (5)・・・・○ そのとおり。【参考:こちら
    ※日本原燃鰍フプレリリース(
    こちら)に、使用済燃料貯蔵プールの漏水原因調査のレポートとして、「放射線透過検査では、溶接金属中に生じた小さな球状の空洞(ブローホール:溶接中に発生したガスにより生成した空洞)による7箇所の球状指示や、溶け込み不足と考えられる6箇所の線状指示が確認されました。また、超音波探傷検査では、7箇所の指示が確認されており、この指示は、放射線透過検査の指示とほぼ一致していました。」とあります。このことから、ブローホールの探査に放射線透過法が有効であること、超音波検査法のほうが解釈が難しそうなことが見て取れます。
  3. 日本の都市計画法に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

    (1) 市町村が都市計画に関する基本方針を定めた楊合は、都道府県知事への通知が必要である。

    (2) 都市計画区域の指定は、原則として都道府県が都市計画地方審議会の意見を聴き建設大臣の同意を得て行う。

    (3) 市街化調整区域において行う開発行為で規模が1,000m2未満のものは都道府県知事の許可を要しない。

    (4) 都市計画事業は一般私人であっても都道府県知事の認可を受ければ施行することができる。

    (5) 都市施設は都市計画区域外においても定めることができる。


    解答案:3

    (1)・・・・○ そのとおり。【参考:こちら
    (2)・・・・○ そのとおり。【参考:こちら
    (3)・・・・× 市街化区域は1000m2未満は許可不要だが、市街化調整区域はどんな規模でも許可が必要。【参考:こちら
    (4)・・・・○ そのとおり。【参考:こちら
    (5)・・・・
    ○ そのとおり。【参考:こちら
    ※(4)が「一般私人でもできる」と、やや無責任っぽく書いてあり、迷うところです。都市計画区域の名称と開発許可を要する面積は覚えておいたほうがいいかもしれません。
    ※都市計画に関しては、「Echoの宅建○×問題1000本ノック」(
    こちら)がお勧めです。 
  4. 河川・砂防・海岸に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

    (1) 湖沼や高潮区間以外の堤防の高さは、一般的に、計画高水位に、計画高水流量に応じた余裕高を加えた値以上とする。

    (2) コンクリートダムとフィルダムでは、前者は弾性構造物、後者は非弾性横遣物であり、両者の構造力学的体系は全く異なる。

    (3) 計画許容流砂量とは、計画基準点から下流河川等に対して無害、かつ必要な土砂として流送すべき量であり、流水の掃流力、流出土砂の粒径等を考慮して、河道の現況及びその計画に基づいて定めるものとする。

    (4) 長期間の降雨(梅雨など)や融雪水と地すべりの運動が密接に関連している地すべりの場合は、集水井工、排水トンネルなどの地下水排除工が有効な対策である。

    (5) 離岸堤の施工順序については、浸食区域の上手側(漂砂の供給源に近い側)から着手し、順次下手に施工するのを原則とする。


    解答案:5

    (1)・・・・○ そのとおり。
    (2)・・・・○ そのとおり。
    (3)・・・・○ そのとおり。
    (4)・・・・○ そのとおり。
    (5)・・・・× 浸食区域の下手側から着手し,順次上手側に施工するのを原則とする。 
  5. 港湾・空港施設の計画・設計・施工に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

    (1) 港湾施設の構造の安定又は水域施設の静穏度等の検討に用いる波は、波浪の実測又は波浪の推算によって得られた波浪資料をもとに統計処理し、さらに地形等による波の変形を勘案して設定する。

    (2) 港湾の施設の設計において、液状化の予測・判定が必要な場合は、粒度・N値法によることが一般的であるが、同法による予測・判定が困難な場合には、繰り返し三軸試験結果を活用して行う。

    (3) 基本水準面(CDL)とは、施設計画、構造物の設計工事施工などに際して基本となるべき基準面で、平均水面から主要四分潮の半潮差の和に相当する水位分を下げたものであるが、ごくまれに基本水準面以下に海面が低下することがある。

    (4) 環境影響評価法においては、一定規模以上の公有水面埋立に対して環境影響評価を実施することとなっており、港湾計画の策定時には実施しなくてもよい。

    (5) 滑走路の長さは・航空機の離陸距離、加速停止距離及び着陸距離の3つに対して、温度、標高、滑走路の縦断勾配等を考慮した十分な長さとする。


    解答案:4

    (1)・・・・○ そのとおり。
    (2)・・・・○ そのとおり。港湾は「限界N値法」を使う。(道路や建築は「FL法」を使う)
    (3)・・・・○ そのとおり。
    (4)・・・・× 重要港湾の港湾計画に伴い、港湾環境影響評価が必要。
    (5)・・・・○ そのとおり。
    ※(4)は「しなくてもよい」などと無責任な書き方で、択一セオリー
    でも間違いと推定できます。 
  6. 電力土木設備に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

    (1) 揚水発電では、揚水時、発電時の損失が合計されて約10%のエネルギーの損失が発生する。

    (2) 水力発電所において調整池などをもたず、河川の自然流量を調整せずにそのまま発電に使用する形式を自流式(流込み式)発電所という。

    (3) 河川流量の低水量とは、1年間のうち275日間はこれより減少することのない流量である。

    (4) 火力・原子力発電所の取水口の位置は、温排水の再循環のおそれのないように選定する。

    (5) 火力発電所のLNGタンクには地上式と地下式があるが、地下式は貯蔵液位が周辺の地盤表面以下あるいはタンク周辺盛土の天端以下であり、防液堤を必要としない。


    解答案:1

    (1)・・・・× 水力発電の発電効率は約80%だから、揚水時のロスも見込むとさらに落ちる。
    (2)・・・・○ そのとおり。【参考:こちら
    (3)・・・・○ そのとおり。ちなみに、
            放水量:1年間のうち95日はこれを下らない流量
            平水量:1年間のうち185日はこれを下らない流量
            渇水量:1年間のうち355日はこれを下らない流量
    (4)・・・・○ そのとおり。
    (5)・・・・○ そのとおり。
    ※伏龍さんご指摘の「数字があがっている選択肢が怪しい」という択一セオリー通りですね。(2)や(3)は基礎知識として知っておきたいところです。 
  7. 道路に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

    (1) 道路の特性を示す昼夜率とは、1日24時間の交通量を昼間12時間の交通量で割ったものである。

    (2) 側帯は、車両の走行のための側方余裕を確保し、運転者の視線を誘導する機能を有する。

    (3) 曲線部の片勾配は、走行する自動車が受ける遠心力に対して、重力及び路面とタイヤの摩擦力によって対抗するよう適切な値とする。

    (4) アスファルト舗装は、通常、設計期間における平均の1日1方向当たりの全車交通量と路床のCBRに基づいて設計される。

    (5) ETCとは、有料道路の料金所において、路車間の通信により料金支払いを行うシステムである。

    解答案:4

    **********皆様からの情報・ご指摘*****ずけさんに情報をいただきました。ありがとうございます。
    解答は(4)です。「全車交通量」が誤りで、正しくは「大型車交通量」です。なお、(2)の記述は正しい記述です。
    **********
     
  8. 鉄道に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

    (1) カント(曲線通過時の車両に働く遠心力による影響を低減するために軌道につける傾斜のこと)をつける際、緩和曲線があったので、その全長において逓減することにした。

    (2) 車両の留置又は解結をする区域において、側線の最急勾配を1,000分の10とした。

    (3) 建築限界内には、建物その他の建造物等が入らないように厳しく検査を行った。

    (4) 緩和曲線及び縦曲線を避けて、分岐器を設置した。

    (5) 本線において曲線半経の小さい曲線で、車両の走行の安全に支障を及ぽすおそれのある箇所に、脱線防止レールを設けた。


    解答案:2

    **********皆様からの情報・ご指摘*****伏龍さんに情報をいただきました。ありがとうございます。
    @普通鉄道構造規則第16条より『カントは,緩和曲線の全長で低減する』ことが義務付けられている.ちなみに,緩和曲線の無い場合は,カントの400倍以上の距離で低減する.
    A普通鉄道構造規則第18条より『車両の留置または解結をする区域における側線の最急勾配は1000分の5』とされている.ちなみに,車両の留置または解結をしない区域の停車場における本線の最急勾配は1000分の10.
    C普通鉄道構造規則第27条より『分岐器は,車両の走行に支障を及ぼさすおそれのない構造でなければならず,緩和曲線及び縦曲線に設置することが出来ない』
    D普通鉄道構造規則第48条より『曲線半径の小さい曲線または急勾配の区間にある曲線に脱線防止レールまたは脱線防止ガードを設けること』となっている.
    **********

    ※「数字が出ている選択肢は怪しい」と伏龍さんがおっしゃる択一セオリー通りの問題ですね。 
  9. 都市トンネルに関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

    (1) アイランド工法の施工に当たっては、現場の立地条件、周辺環境、地盤条件、躯体の形状に留意し、土留め壁の種類、掘削の順序、躯体の築造の順序等について十分検討のうえ、安全に施工しなければならない。

    (2) シールド工法では、切羽が密封され、泥水圧や泥土庄で切羽の安定を図る方法が多く用いられている。

    (3) 標準的な開削工法は、掘削してその後埋め戻す工法のため、一時的には土地利用を制限する必要がある。

    (4) 沈埋工法は、トレンチ内に他所で製作した函体をユニット毎に沈設し、土砂で埋め戻してトンネルを完成させる工法で、主として上下水道に用いられる。

    (5) 推進工法は、地山中にトンネル躯体をジャッキ等で押し込んで築造する工法で、トンネル構造物が掘削と同時に出来上がるという特徴を有している。


    解答案:4(自信なし)

    (1)・・・・○ そのとおり。
    (2)・・・・○ そのとおり。
    (3)・・・・○ そのとおり。
    (4)・・・・× 下水道にはよく用いるが、上水道にも用いる?あまり聞かないけれど。
    (5)・・・・○ そのとおり。
    ※自信ありません。どなたか教えてください。 
  10. 都市部における地下土木構造物の施工計画に関する記述のうち、誤っているものはどれか。

    (1) 道路下には、電気・電話・ガス・上下水道等の各種の埋設物が設置されており、施工計画に当たってはこれらについての詳細な事前調査を行っておくことが必要である。

    (2) 工事による周辺の建物への影響が予想される場合には、建物に変状等が生じた際にそれが工事に起因するものか否かの判断に資するため、工事着手前に建物の調査を行っておくことが必要である。

    (3) 交通量の多い道路での開削工事においては、道路交通への支障を極力小さくするため、交通量の少ない夜間の施工になる場合が多い。

    (4) 都市部での地下水位が高い軟弱地盤でのシールドトンネルの施工においては、一般的に密封型シールドよりも開放型シールドを採用することが適当である。

    (5) 掘削によって生じた土砂は、省資源の観点から建設副産物として再生利用に努めるべきであり、最近では埋戻し材に流動化処理土として利用されるケースも見られる。


    解答案:4

    (1)・・・・○ そのとおり。
    (2)・・・・○ 事前調査のこと。そのとおり。
    (3)・・・・○ そのとおり。
    (4)・・・・× 逆だと思う。
    (5)・・・・○ そのとおり。
    ※知らなくても「軟弱地盤で開放型」というとなんとなくヤバい感じがしませんか? 

(2−2)記述問題
 次の11問題のうち3問題を選んで簡明に解答せよ。(3枚綴りの答案用紙を使用し、問題ごとに用紙を替え、解答問題番号を明記し、それぞれ1枚以内にまとめよ。)
 

  1. 杭基礎工法のうち基本的な工法を3つ挙げ、打設方法の違いとともに各々の設計・施工上の留意点を述べよ。
     
  2. コンクリート構造物において、RC構造、PC構造、PRC構造(PPC構造)の設計上の違いについて述べよ。また、コンクリート構造物の設計において従わなくてはならない−般的な構造細目を3つ挙げ、それぞれについてその内容を簡潔に述べよ。
     
  3. 都市計画に定める地域地区のうち、用途地域以外のものの種類を5つ挙げ、それぞれについて都市計画に定める目的を簡深に述べよ。
     
  4. 流域の社会構造の急激で大規模な変化が地域の水循環系に引き起こした問題として一般的に言われているものを列挙し、それぞれの項目について内容を簡解に述べよ。
     
  5. 港湾における直杭式横桟橋係船岸の標準的な断面を簡単な図で示し、図中に各部分の名称を記せ。また、完成までに要する主な工事種別を5つ挙げ、それぞれについてその内容を述べよ。
     
  6. 水力発電所におけるサージタンクの設置目的とその種類について述べよ。
     
  7. 道路の平面交差部の横断構成の決定に当たって留意すべき事項を述べよ。
     
  8. 鉄道の線路の構造について、その構成要素に分類し、それぞれの役割について述べよ。
     
  9. 山岳トンネル工法で用いられるロックボルトの作用効果について述べよ。
     
  10. 契約上定められた工期内で土木構造物の工程表を作成するに当たり、考慮すべき主要な要素を4つ挙げ、それぞれの留意点を説明せよ。
     
  11. 建設事業において、環境に関する技術開発を行うに当たっての基本的な考え方を具体例を挙げて述べよ。