技術士第一次試験 平成9年度 専門科目《建設部門》

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(2−1)択一問題

次の10問題を解答せよ(専門科目解答欄にマークすること。)

  1. 土質及び基礎に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

(1) 土の含水比wは土の間隙中に含まれる水量の程度を表し,(湿潤土中の水の質量)÷(炉乾燥土の質量)×100(%)で与えられる.

(2) 一軸圧縮試験及び三軸試験(UU試験)の結果は盛土基礎地盤などの長期安定計算に利用される.

(3) 軟弱な粘性土地盤に比較的緩やかな斜面を持つ盛土を施工する場合に底部破壊が起こりやすい.

(4) 杭のネガティブフリクション現象は,地盤沈下による土と杭の相対変位によって発生する.

(5) 軟弱な粘性土地盤に対して効果的な地盤改良工法には,サンドドレーン工法,プレロード工法などがある.


  1. コンクリートに関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

(1) 代表的なポルトランドセメントの種類としては,普通,早強,中庸熱セメントがある.

(2) 水セメント比を大きくすると,コンクリート圧縮強度は大きくなる.

(3) スランプ試験は,コンクリートのワーカビリチーを判断するのに有効である.

(4) コンクリートの引張強度は,一般に圧縮強度の1/10〜1/13程度である.

(5) コンクリートの弾性係数は,コンクリートの強度により異なる.


  1. 日本の都市計画に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

(1) 市町村道であっても大規模なものの都市計画決定は都道府県知事が行う.

(2) 都市計画区域外では,都市計画法の開発行為の規定は適用されない.

(3) 市町村の都市計画に関する基本的な方針は,都道府県知事の承認を受けて決定する.

(4) 地区計画については,当該区域の全部又は一部について地区整備計画を定めないことができる.

(5) 市街化区域及び市街化調整区域に関する都市計画は都道府県知事が決定する.


  1. 河川・砂防等に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

(1) 支川が本川に合流する付近の支川処理方式としてバック堤方式,セミバック堤方式,自己流堤方式がある.

(2) 海岸保全施設の設計に使用する有義波高は,波の観測記録中波高の最も大きいものから順番に全波数の1/3だけを取り出して,それらの波高を平均して求める.

(3) コンクリートダムは,堤体からの越流が堤体の破壊と結びつく可能性が大きいことから,コンクリートダムのダム設計洪水流量はフィルダムの設計洪水流量の1.2倍とする.

(4) 砂防ダム越流部断面ののり勾配は,1:0.2を標準とするが,流出土砂の粒径が小さく,かつ,その量が少ない場合は,必要に応じこれを緩くすることができる.

(5) 地すべり防止工法のうち抑止工は,構造物を設けることによって,構造物の持つせん断強度等の抑止力を利用して,地すべり運動の一部又は全部を停止することを目的とする.


  1. 港湾施設の設計・施工に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

(1) 港湾施設の設計に当たっては,波が進行する際に受ける屈折,回折,反射,浅水変形,砕波などの諸変形を考慮して波の検討を行う.

(2) 港湾施設の耐震設計は,震度法よりもむしろ地震応答解析によって構造物の地震時挙動を検討する方法によることが標準的である.

(3) 波力を受ける傾斜構造物の表のり面を被覆すべき捨石及びコンクリートブロックの所要重量を算定する式としては,ハドソン式が標準的である.

(4) 防波堤のケーソン等の直立部の安定計算は,「(a)壁体の滑り出し,(b)基礎の支持力,(c)壁体の転等」について検討するものである.

(5) サンドコンパクションパイル工法は,軟弱地盤にケーシングの打ち込み・引き抜きを行う際に,バイブレータにより砂を圧入して砂杭を形成する地盤改良工法である.


  1. 電力土木設備に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

(1) 電力需要が最大となる夏季昼間の需要を他の時間帯にシフトさせる等の負荷平準化対策は,電源設備の効率的利用や電源開発量の抑制等の面から重要であるが,平成7年度の全国レベルの年負荷量は約66%である.

(2) 上流側の水路が圧力式の場合に設けられる調圧水槽(サージタンク)は,単動型,制水口型,差動型,水室方に大別されるが,サージタンクの減衰性が最もよく,水槽容量が単動型のほぼ半分ですむのが,制水口型である.

(3) 火力発電所の復水器冷却用水の流量は,汽力発電の場合の方がコンバインドサイクル発電の場合より,多く必要である.

(4) LNG地下タンクのヒーティング設備とは,LNGの冷熱による周辺地盤の凍結の影響を避けるために設けられる設備であり,底部ヒーターや側部ヒーターがある.

(5) 地中線のシールド工法は,切羽安定,排土機構の改良等によりその適用範囲を広げているが,施工可能な水圧は現状では3〜4kgf/cm2にまで発展している.


  1. 道路に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

(1) 設計速度とは,自動車の走行に影響を及ぼす道路の物理的形状を設計し,これらを相互に関連づけるために定められた速度である.また,道路の設計要素の機能が十分に発揮されている条件のもとで,平均的な運転者が道路のある区間で快適性を失わずに維持することのできる速度である.

(2) アスファルト舗装厚は,通常,路床土のCBRと大型車の交通量に基づいて算出する.

(3) 盛土の小段は,管理用通路及び必要に応じて維持補修用の足場としての機能を有するとともに,のり面を流下する雨水流速を速める機能を有する.

(4) 騒音の環境基準は,地域の類型及び時間の区分ごとに定められている.

(5) 交差点の取付部及び交差点前後の相当区間の勾配は,できるだけ緩やかにするとともに,縦断曲線の頂部又は底部付近に交差点を設けないようにすることが望ましい.


  1. 鉄道に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

(1) レールの摩耗は一般に直線部より曲線部の方が大きい.

(2) 曲線部では列車が円滑に走行できるよう,曲線内方に軌間を拡大させる.これをスラックという.

(3) 一般に分岐器の番数が小さくなるほど,リード曲線の半径が大きくなるので,分岐側の通過速度が高められる.

(4) 線路の勾配が一定以上変化する箇所では列車が円滑に走行できるようにするため,縦曲線を挿入する.

(5) レールは温度変化により伸縮する.この伸縮を処理するために継目部に設けた隙間を遊間という.


  1. NATMのトンネル施工に関する次の記述のうち、適当でないものはどれか。

(1) 堅硬で長期的な風化・劣化が生じない地質である場合等においては,インバートコンクリートを施工しないことがある.

(2) 施工時の計測において内空変位量が想定変位量よりも継続して十分少ないことが想定されたので,ロックボルトを減ずるものとした.

(3) 二次覆工コンクリートは一般に支保構造体ではないが,一次支保の耐力状況等によっては力学的機能を有する覆工とする必要がある.

(4) 吹付コンクリートは掘削後早期に施工すべきであるが,ロックボルトは施工性を考え切羽後方での集約した作業が良い.

(5) トンネルの機械掘削は,発破掘削に比べ余掘りも少なく騒音・振動も少ない.


  1. 建設副産物の再生利用に関する次の記述のうち、適当でないものはどれか。

(1) 流動化処理工法とは建設現場で発生した土に調整泥水と固化材を混合し,埋戻しや裏込に用いる工法である.

(2) 再生骨材コンクリートの適用構造物の例としては,舗装用路盤材,埋戻し材等があるが,コンクリート構造物に対しては,品質管理の問題から適用できない.

(3) 発生土砂に発砲スチロールビーズ(粒子)等の軽量材を混合することにより,軟弱な地盤の盛土や地すべり対策として用いられる場合がある.

(4) シールドトンネル等の掘削により発生する建設汚泥は,脱水・固化等により土質材料として活用できる.

(5) 袋詰脱水工法とは,河川や湖沼の浚渫により発生する浚渫汚泥等を透水性の袋に投入し,自重脱水の後に袋のままで築堤等に活用する工法である.


(2−2)記述問題

 次の11問題のうち3問題を選んで簡明に解答せよ。(3枚綴りの答案用紙を使用し、問題ごとに用紙を替え、解答問題番号を明記し、それぞれ1枚以内にまとめよ。)

  1. 地盤の液状化対策工法の基本原理を3つ挙げ,その内容と代表的工法について述べよ.
  2. コンクリート構造と比較した鋼構造の特徴について,設計,施工及び維持管理の面から5つ述べよ.
  3. 都市計画法第12条の市街地開発事業について,主な事業制度を列挙するとともに,それぞれの特徴を簡潔に述べよ.
  4. 洪水防御計画において,基本高水を河道,洪水調節ダム等に配分して計画高水流量を決定する際に検討すべき事項について述べよ.
  5. 港湾における係船岸の構造様式とそれぞれの特徴を述べよ.
  6. 大規模揚水発電所を計画するに際し,地下発電所を選択する上で配慮すべき特徴について述べよ.
  7. 舗装に求められる主要な機能である,快適性,安全性,経済性について,各々の概要を述べよ.
  8. 鉄道の中間駅の乗降場(ホーム)の形式である相対式ホームについて島式ホームと対比しつつ,その特徴を述べよ.
  9. 開削トンネルにおける調査の目的と内容について述べよ.
  10. 仮設工事の計画に関し,留意すべき事項について述べよ.
  11. 「環境影響評価法(平成9年6月成立)」に基づく環境アセスメントの手続きを「環境影響評価実施要綱(昭和59年8月閣議決定)」に基づく手続きと対比して述べよ.