技術士第一次試験 平成13年度 基礎科目 問題と解答案
平成13年度基礎科目について、私なりに解答を出してみました。
一部、後でインターネットなどで正解を調べたものもありますが、大部分は何の勉強もなしに解いてみたものですので、正解であるかどうかは保証できません。
ただ、参考になるようにと思い、解答決定までのプロセスをそのまま書きました。わからない問題はとんでもない解き方もしていますが、それも含めて参考になればと思います。
第一次試験過去問題Topへ
(1)設計・計画に関するもの
- 次の図に示されるシステムの設計を考える。各システムは、節点を連結する線要素から構成されており、節点から節点に進むことのできる可能性(要素の信頼性)は90%である。ここで、それぞれのシステムを用いて左端から右端の節点に進むことのできる可能性、すなわち、システム全体の信頼性が最も高いのはどれか。
(1) A |
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(2) B |
(3) C
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(4) D
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(5) E
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解答案:3
**********皆様からの情報・ご指摘*****aokiさんに情報をいただきました。ありがとうございます。
システム工学の基礎問題です。
@直列システムの稼働率=システムaの稼働率×システムbの稼働率
A並列システムの稼働率=1−(1−システムaの稼働率)×(1−システムbの稼働率)
に従い、セオリー通りに進めれば良い。
A:並列部分=1−(1−0.9)×(1−0.9)=0.99
全体の稼働率は直列システムの稼働率の式による。
全体の稼働率=0.9×0.99=0.891
B:並列部分=1−(1−0.9×0.9)×(1−0.9)=0.981
全体の稼働率=0.9×0.981=0.883
C:並列部分=1−(1−0.9×0.9)×(1−0.9×0.9)×
(1−0.9×0.9)=0.993
全体の稼働率=0.9×0.993=0.893
D:全体の稼働率=0.9×0.9=0.81
E:全体の稼働率=0.99×0.9×0.99=0.882
*計算時間を短縮するため、すべてに共通して直列部90%を除外して比較しても良い。
ほかにも、いろいろ考えれば計算不要な部分もあるが、数学に慣れた者は考えているよりセオリー通り進めた方が間違いなく解けます。
**********
- ある人工物における安全率(強度/荷重)をXとする(ただし、X>1)。この人工物の破損による損害や不具合が発生する確率は1/(X+1)であり、損害や不具合が発生した時に被る経済的損害額は10億円である。一方、材料や資材の調達を含む製造コストは2X/5億円である。この場合、トータルコストを最適化するには安全率をいくらに設定したらよいか。
(1) 1.5
(2) 2.0
(3) 3.5
(4) 4.0
(5) 5.0
解答案:4
確率1/(X+1)で10億円の被害→10/(X+1)億円。コストは2X/5億円。トータルコストなので両者の合計が少ないほど良い。
面倒なので(わからないので)トライアル計算する。
(1)・・・・被害10/2.5=4、コスト3/5=0.6、合計4.6
(3)・・・・被害10/4.5=2.2強、コスト7/5=1.4、合計3.6強
(5)・・・・被害10/6=1.7弱、コスト10/5=2、合計3.7弱
(3)と(5)の間に答えがある。
(4)・・・・被害10/5=2、コスト8/5=1.6、合計3.6
(3)より(4)のほうがわずかに小さい。
**********皆様からの情報・ご指摘*****aokiさんに情報をいただきました。ありがとうございます。
最低値を求める問題です。y=f(x)の式を組み立てて微分を行い、
dy/dx=0の時のXの値が最高・最低、と言うセオリーで進めれば難しく考えなくても確実に解けます。
y=f(x)/g(x)のとき
公式dy/dx={f’(x)×g(x)- f(x)×g’(x)}/g(x)2
y=10/(X+1)億 + 2X/5億
=(2X2+2X+50) / 5(X+1)
=(2/5) × (X2+X+25) / (X+1)
公式dy/dx={f’(x)×g(x)- f(x)×g’(x)}/g(x)2 に当てはめて
dy/dx =(2/5)×{(2X+1)×(X+1)-(X2+X+25)×1}/(X+1)2
=(2/5)×{2X2+3X+1-X2-X-25}/(X+1)2
=(2/5)×{X2+2X-24}/(X+1)2
=(2/5)×(X-4)×(X+6)/(X+1)2 =0
X>0の時、X=4
解答は(4)
*すべて計算したら6分、微分で3分で解けました。
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**********皆様からの情報・ご指摘*****ayaさんに情報をいただきました。ありがとうございます。
最近解答案にaoki様からの情報が追加されておりましたが, どれも明確な解答ばかりで私もとても勉強になりました。
ただ,微分の方法について一言だけ・・・。
y=10/(x+1)+2x/5の微分をy=f(x)/g(x)の微分として公式を使うのは, ちょっと複雑すぎると思いました。
知ってれば単純な公式なので出てきやすいのですが, これからわざわざ覚えるには抵抗を感じる公式で,さらに計算も大変ですよね。
10/(x+1)と2x/5を別々に微分してしまえば,もっと簡単に解けると思います。
y=10/(x+1)+2x/5 のときのdy/dxについて。
dy/dx={10/(x+1)}'+(2x/5)' ここで,x+1=uとおくと,dy/dx=(dy/du)*(du/dx)なので,
={-10/(x+1)^2}*(x+1)'+2/5 =-10/(x+1)^2+2/5 ={2(x+1)^2-50}/{5(x+1)^2}
=(2/5)*{x^2+2x-24}/(x+1)^2 =(2/5)*(x-4)*(x+6)/(x+1)^2 dy/dx=0のとき
x>0より,x=4
よって,解答は(4)
使うのは,dy/dx=(dy/du)*(du/dx) だけです。 単純な公式なのでこれなら覚えやすいと思います。
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**********皆様からの情報・ご指摘*****Dr.nyasuさんに情報をいただきました。ありがとうございます。
f(x)=10/(x+1)+2x/5=10/(x+1)+2(x+1)/5-2/5 10/(x+1)>0,2(x+1)/15>0
なので相加・相乗平均の関係を用いて
f(x)≧2√(10/(x+1)*2(x+1)/5)-2/5=4-2/5=18/5=3.6
等号成立は
10/(x+1)=2(x+1)/5 (x+1)2=52 x+1=±5 x>1
より
x=4 (答)
ポイントは、a>0,b>0の時、相加・相乗平均の関係 (a+b)/2≧√(a*b) 等号成立条件:a=b
が成り立ち、これを利用できるようにf(x)を変形するところです。
【相加・相乗平均の関係の証明】
a>0,b>0のとき√a,√bが定義でき (√a-√b)2≧0 が成り立つ。
等号成立はa=bの時。
左辺を展開するとa-2√(a*b)+b≧0となり、整理すると、相加・相乗平均の関係となる。
**********
- 製造物責任法に関する次の記述のなかで、正しいものを選べ。
(1) 製造物責任法では、利用者が製造物の欠陥によって傷害を被った場合は想定していない。
(2) 保証期間を超えた製造物に対しては、なんら責任を負わなくてもよい。
(3) 製品を外国で使っていて不具合が発生した場合には、製造業者の責任は問われない。
(4) 安全性に関わらない品質上の不具合についても、製造物責任法の賠償責任の根拠となる。
(5) 設計や製造によって完全に除去できないような危険については、製造業者は危険回避のための指示や警告を行う必要がある。
解答案:5
(1)・・・・× むしろこれを最も想定している。
(2)・・・・× 「なんら」なんて無責任な・・・・。
(3)・・・・× 外国でも適用される。
(4)・・・・× これは安全性に関する法律。
(5)・・・・○ この責任も含めての法律。
※1つ1つ正確に理解しようとすると時間がかかるので、とにかくざっと斜め読みすることがポイントです。
- ビーバーは木を集めてダムを作る習性がある。この行為は「設計」と見なせる活動を含むかどうか、5人が議論を行った。以下に各人の「設計」についての見解を示すが、論理の展開が最も妥当と思われるものを選べ。
(1) 人間の行為でないならば、設計とは言えない。
(2) 図面を用いていないならぱ、設計とは言えない。
(3) 作ったものに経済的な価値がないならば、設計とは言えない。
(4) 目的を意識していないならば、設計とは言えない。
(5) ダム以外のものは作れないならば、設計とは言えない。
解答案:4
(1)・・・・× それはあまりに偏狭では。
(2)・・・・× ごく簡単なことなら頭の中で考えることもある。プログラムとか。
(3)・・・・× 趣味のくだらない造作とか。
(4)・・・・○ 何かを作ろうと思わないと意味がない。
(5)・・・・× 他に能がないヒトっているじゃない。
※最初は(4)を「ビーバーにはダムを作るという目的意識はあるだろう」と考え×にして、消去法で解答を(1)にしていましたが、青い炎さんに「ビーバーだからどうというのではなくて、どんなものが設計とはいえないかを問うているのだから(4)は○では」とご助言をいただき、「あっ、そうか」と納得しました。題意を読み取る力が不足していました。
- 次の文章中の(ア)、(イ)、(ウ)に挿入する用語について、正しい組合せを選ぺ。
設計から製造、流通、保守にわたる製品等のライフサイクル全般に関する技術情報や取引情報を、ネットワークを介して電子的に交換・共有する動きが活発になってきた。(ア)と呼ばれるシステムは、企業や機関の生産・調達・運用などの支援統合システムを指している。
ロナルド・メイス氏は1980年代に、障害の有無、年齢、性別、国籍、人種等にかかわらず、多様な人々が気持よく利用できるように製品、建物、空間、都市を設計、計画することを前提とした(イ)を提唱した。
人材、物資、製品、情報等が国境を越えて流動する国際社会において、ものづくりに関わる種々の規格を国際的に統一する活動が進められている。(ウ)は環境マネジメントシステムの構築について定めた国際規格である。
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ア
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イ
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ウ
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(1)
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CALS
|
ユニバーサルデザイン
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IS014001
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(2)
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IS014001
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CAD/CAM
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ユニバーサルデザイン
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(3)
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CAD/CAM
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CALS
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IS09001
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(4)
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CAD/CAM
|
ユニバーサルデザイン
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IS014001
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(5)
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CALS
|
CAD/CAM
|
IS09001
|
解答案:1
(ア)・・・・インターネットといえばCALS。ISO14001は環境マネジメント国際規格。CADは設計支援、CAMは製作支援のソフト。
(イ)・・・・人物を知らずとも、文章からユニバーサルデザインしかない。
(ウ)・・・・国際規格といえばInternational Standard Organization=ISO。9001は品質、14001は環境
※環境マネジメントISOは14000sですが、ISOが9001か14001かは知らなくても解けます。「解答できればOK」が鉄則です。
- ある製品の設計案を技術者がまとめた。しかし、その製品の利用者になると思われる人に設計案を説明したところ、その設計案には満足できないと言われた。この指摘に対する技術者の対応としてふさわしくないものを、次の中から選べ。
(1) 類似製品が過去において利用者に受け入れられた事実を説明する。
(2) 試作してみるまでは何も分からないと説明する。
(3) 満足できないという根拠が正しいかどうか詳しく聞いて確かめる。
(4) 市場調査や計画の過程に問題があったかどうか検討する。
(5) 利用者の価値意識が変化しているかどうか検討する。
解答案:2
(1)・・・・○ 情報提供が不足しているかもしれないので、こういうことは必要。
(2)・・・・× 試作しないとわからない部分は確かにあるが、「何もわからない」ことはない。それでは試行錯誤になる。
(3)・・・・○ 客観的判断のため情報は必要。
(4)・・・・○ 遡及措置は必要。
(5)・・・・○ 必要かつ正しい行為。
※斜め読みがポイント。心に引っかかる文章をピックアップできる感覚(常識感覚・倫理感覚など)が大切です。
(2)情報・論理に関するもの
- 次に示すアルゴリズムを実行した結果、表示される値はいくらか。
アルゴリズムE
・整数変数xの値を70とする;整数変数yの値を50とする;
・xをyで割り算し、余りを整数変数rに代入する;
・r=0の条件が成立しない時は、以下の手順を繰り返す:(下の注を参照のこと)
{・yをxに代入する;
・rをyに代入する;
・xをyで割り算し、余りを整数変数rに代入する;}
・yの値を表示する;
注)まず、r=0の条件が成立するか調べ、成立しなければ{ }内の命令文を実行し、その後r=0の条件が成立するかどうかを調べる。成立しなければ{ }内の命令文を実行する。これを繰り返し、条件が成立したら繰り返しを終了して、次の表示命令文を実行する。
(1) 0
(2) 5
(3) 10
(4) 20
(5) 50
解答案:3
例えば構造化BASICで簡単にプログラム化すると、
x=70:y=50
r=x MOD y
do until r=0
x=y
y=r
r=x MOD y
loop
print y
となるが、面倒なのでトライアル計算する。
(1回目)r=70/50のあまり=20→x=50、y=20
(2回目)r=50/20のあまり=10→x=20、y=10
(1回目)r=20/10のあまり=0 ここで終了。このときのyは10。
※繰り返し計算であることさえわかればOKです。実際にプログラム化しなくてもよいが、プログラム構造がパッと浮かぶかどうかが勝負です。
- ある地域で新聞購読の調査をしたところ、
A紙を購読している所帯
51%
B紙を購読している所帯 34%
C紙を購読している所帯
15%
A紙、B紙の両方を購読している所帯 6%
B紙、C紙の両方を購読している所帯 3%
C紙、A紙の両方を購読している所帯 2%
A、B、C紙の全部を購読している所帯 1%
であった。A紙とB紙の両方を購読し、C紙を購読していない所帯の割合は次のどれか。
(1) 6%
(2) 5%
(3) 4%
(4) 3%
(5) 2%
解答案:2
AとBを読んでいる→A・B両紙購読者で6%。
でもCは読んでいない→ABC全紙購読者1%ではない。
よって、6%−1%=5%。
つまり、右図(ベン図)のA∩BからA∩B∩Cを除したものです。
※不要なデータがいっぱい羅列してありますが、必要なのは2データのみです。これに気づくかどうかの勝負です。
※右図のような「ベン図」にすると理解しやすいと、Nagaseさんにご教示いただきました。ありがとうございました。
- 文字による情報を電子メール等の文字符号で送る場合と、FAX等の文字画像で送る場合の情報量について比較する。ここで、情報量とは、どれだけのものを区別できるかを示す量であり、その単位の1ビットの情報とは、0と1又は白と黒など、2つのうちどちらかであるかを示せることを意味している。2ピットの情報は、1ビットの情報を2つ組み合わせることにより、4つのものを区別することができる。FAXでは32×32=1024の白黒の点配列で漢字を含む日本語の1文字を表すものとすると、この点配列の持つ情報量は1024ビットとなり、この点配列で表せる異なる画像の数は2**1024(注:**はべき乗を表す)となる。この情報を文字画像情報と呼ぼう。
実際に伝えたい文字の数は65536以下であるものとしよう。これらの文字のどれかということを示す情報は、16ビットあれば十分である。これを文字符号情報と呼ぼう。
1文字伝えるのに、点配列で表された文字画像情報の情報量は、文字符号情報の情報量の何倍になるか。
(1) 1倍
(2) 16倍
(3) 32倍
(4) 64倍
(5) 1024倍
解答案:4
問題文の中でビット定義なども説明しているため長々としたものになっているが、要は
1024ビットの情報量は、16ビットの情報量の何倍か
と聞いている。
nビットの扱える情報量はnなので、1024ビットの情報量は1024、16ビットの情報量は16で、1024÷16=64、正解は(4)となる。
※必要なデータは2つだけだということに気づくかどうかの勝負です。また、パッと暗算できない計算を、数字を出してそれを見てからでないと判断できないのはダメです。「このあたり」という概算、イメージ計算ができることが必要です。
- インターネットに関する次の記述のうち、間違っているものを選べ。
(1) WWW(World Wide Web)は、世界にはりめぐらされた蜘蛛の巣という意味で名づけられた。
(2) クライアントサーバシステムでは、処理を要求するクライアントと要求された処理を実行するサーバが協力分担して情報処理を進める。
(3) インターネットに接続されるコンピュータの間では、TCP/IPと呼ばれるプロトコルが使われている。
(4) WWWサーバとブラウザーの間のデータのやりとりを定めたプロトコルをHTTP(Hyper
Text Transfer Protocol)と呼ぶ。
(5) インターネットにおける電子メールでは、発信元のコンピュータから受信先のコンピュータの間に通信線が確立されてから、情報が送られる。
解答案:5
(1)・・・・○ その通り。
(2)・・・・○ その通り。
(3)・・・・○ その通り。
(4)・・・・○ その通り。
(5)・・・・× 発信元からプロバイダのサーバにメールが送信・蓄積され、これを受信先から読みに行くため、コンピュータ間の通信線確立は不要。
※とにかく1回ざっと読むこと。引っかかる言葉がなければ、あるいは理解できなければ、「そうかもしれないなあ」ということで頭の中で「○?」をつけて次へ進みます。
(3)解析に関するもの
- 長さがL、直径がDの一様な材質の丸棒がある。丸棒の一端からの距離をxで表す。一端(x=0)の温度を20℃に、他端(x=L)の温度を40℃に保ち、定常状態に達したときに、x=(3/4)Lの位置における温度はいくらになるか。ただし、丸棒の円筒面から外部への熱の移動はないとし、また、内部における発熱はないとする。
(1) 10×L℃
(2) 20×L℃
(3) 25℃
(4) 30℃
(5) 35℃
解答案:5
一方が20℃、もう一方が40℃。真ん中より40℃側。だから平均30℃より高い。だから(5)。
(1)と(2)はLに数をかけているけど、Lは長さで温度ではないし、Lが10だったら100℃や200℃になり両端より高くなっておかしい。
※余計なことは考えず、素直に解けばOKです。20+(40-20)*3/4など不必要な計算はしません。頭の中で棒を描くように。
- 導関数du/dxの点xiにおける差分表現として正しいものを以下の中から選べ。ただし、添え字iは格子点を表すインデックス、格子幅をhとする。
(1) (ui+1-ui)/h
(2) (ui+1+ui)/h
(3) (ui+1-2ui+ui-1)/h2
(4) (ui+1-2ui+ui-1)/2h
(5) (ui+1+2ui+ui-1)/2h
解答案:1
**********皆様からの情報・ご指摘*****伏龍さんに情報をいただきました。ありがとうございます。
(定義)導関数とは微分係数の変化を表す係数で,式ではf’(x)=lim(h→0)〔f(x+h)−f(x)〕/hとなります.だから,この問題では,点x@での差分はu(i+1)−u(@)であり,その単位(格子)幅はhなので,du/dx=〔u(i+1)−u(@)〕/h(正解は@)です.
**********
**********皆様からの情報・ご指摘*****aokiさんに情報をいただきました。ありがとうございます。
解析問題は微分の基本、及び「差分法」「有限要素法」「境界要素法」の概念習得ですね。
2.「差分法」の問題ですね。
差分法は解析領域を格子によって分解し、格子幅hに対して
du/dx≒[u(i+1)−u(i)]/h のように du/dxの近似値を算定する差分表現であり、格子幅hを小さくすることにより精度が上がる。
lim(h→0)により du/dx=[u(i+1)−u(i)]/h となる。
難しいことを述べましたが、「差分表現」「格子幅」といった差分法の用語を知らなくても微分の定義から解答は推測できますね。
3.「有限要素法」は、領域を三角形、四角形等の単純な形状に分割し、その挙動を「変分法」に基づいて求める方法です。
「変分法」・・・微分方程式を1回微分して、停留条件から求める。
4.高校の教科書を開かなくても、微分の基本公式 d(Xn)/dX=nXn-1 を覚えればセオリー通りに短時間で解けます。
**********
- 有限要素法に関する以下の記述の中で誤っているものを選べ。
(1) 要素を細かくすることによって、一般に解析精度は向上する。
(2) 不規則メッシュを用いることができるので、複雑形状問題に対応しやすい。
(3) 要素内における物理量の分布は内挿関数の分布に従う。
(4) 楕円型偏微分方程式のみを対象とした数値解法である。
(5) 節点や要素の配置の仕方は解析者の経験に負うところが大きい。
解答案:4
(1)・・・・○ その通り。
(2)・・・・○ 有限要素法の大きな特徴の一つ。
(3)・・・・○ その通り。
(4)・・・・× 他の偏微分方程式も扱う。
(5)・・・・○ その通り。
- 材質は一定のままで形状を幾何学的相似形に保ちながら、ある構造体の大きさを変えたときに、その固有振動数は、表面積の1/4乗に比例し、質量の1/2乗に反比例して変わることが分かっている。
この構造体を小さくして質量を元の1/1000にしたとき、固有振動数は元の大きさの時と比べて何倍になるか。
(1) 100倍
(2) 10倍
(3) 変化しない
(4) 1/10倍
(5) 1/100倍
解答案:2
質量の1/2乗に反比例なので、単純に考えれば10001/2倍になる。ざっと30倍程度。
密度が一定だから、体積も1/1000。つまりxyzの長さはそれぞれ1/10。よって面積は1/100。よって表面積は1/100。
表面積の1/4乗に比例なので、1/1001/2=1/10、1/101/2≒1/3。
よって、30倍*1/3倍=10倍。
※単純に、小さくなると振動は細かくなるという一般常識から、元より大きくなる→(1)か(2)と絞り込んで、あとは質量の計算だけして、「表面積を考慮するとこれより小さくなる」から30より小さく元より大きい選択肢として(2)を選んでもOKです。
- ψ=2x−x2yのとき、点(1,-1)での▽ψを求め、正しいものを以下の中から選べ。
ただし、▽ψ=(∂ψ/∂x,∂ψ/∂y)である。
(1) (1,-4)
(2) (4,-1)
(3) √17
(4) 3
(5) -3
解答案:2
**********皆様からの情報・ご指摘*****伏龍さんに情報をいただきました。ありがとうございます。
∂ψ/∂x=2−2xy,∂ψ/∂y=−x2なので,点(1,−1)での刄ユ=(2−2・1・(−1),−12)より,刄ユ=(4,−1)となり,正解はAです.
**********
(4)材料・化学・バイオに関するもの
- 金属はそれを構成する原子の周りを、「自由電子」が大きな運動の束縛を受けずに激しく動き回ることによって原子同士が結合している。このことが金属が有用な材料として使われる主要な理由である。このことをイメージしながら、次の記述の中で自由電子との関係が最も希薄なものを選べ。
(1) 温度が高い条件下では原子の運動が激しくなるので、自由電子は動きにくくなり電気伝導性が下がる。
(2) 多くの金属が不透明であるのは、金属材料を通過する光が自由電子と衝突するからである。
(3) 多くの金属が独特の表面光沢をもつのは、自由電子が金属の表面付近にも存在するからである。
(4) 金属は鉄、銅、鉛、水銀などのように、自由電子の性質が違う材料に富んでいる。
(5) 金属は叩けぱひろがる性質(展性)を持ち、金箔は金属の持つこの性質を利用してつくられる。この展性は自由電子が束縛されていないために原子がある程度自由に場所を移動できることによるものである。
解答案:4
これは単純に(4)がおかしい。金属の違いは原子の違いによる。
(1)〜(3)および(5)は一般知識として正しい。(金属の特徴そのものである)
※知識が不足していれば、(1)高温で原子の運動が激しくなる、電気伝導性が下がる、(2)金属が不透明、(3)光沢がある、(5)展性があるという性質そのものは正しいということから類推できるかもしれません。
- プラスチックは異なった化学構造を持つ長い分子の鎖(高分子鎖という)が互いに絡み合っている。そのような構造を念頭において、プラスチックの性質などの説明として、次のうちから最も適切なものを選べ。
(1) 多くのプラスチックが簡単には壊れないのは分子間の結合力が強いからである。
(2) 種類の違うプラスチックでも、お互いに親油性(油と親和性があり、水にはなじみにくい性質)を持つので、プラスチック相互は混ざりやすい。
(3) プラスチックは化学構造の違いによって多様性のある材料になるが、材料の強度としては化学構造より高分子鎖の絡み合いの寄与が大きい。
(4) プラスチックも慎重に加工すれば、金属と同様にひろがる性質(展性)を持つ。
(5) プラスチックが金属材料や無機材料と比べて、一般的に軽いのはプラスチックを構成する元素自体が軽いことだけによっている。
解答案:3
(1)・・・・× ポリマーになって粘弾性が大きいためである。
(2)・・・・× 種類の異なるプラスチック同士は混ざりにくい。
(3)・・・・○ その通り。
(4)・・・・× 展性は自由電子の性質による。プラスチックは単に塑性変形しているだけ。
(5)・・・・× 原子の充填密度が小さいためである。
- 産業で使用されるエネルギーの種類を、
a.石油系燃料
b.非石油系燃料
c.購入電力
に大別して使用割合の大きさの順序を示すと、1997年の日本の化学工業では(ア)、鉄鋼業では(イ)である。
次のうちから、ア、イの組合せとして最も適当なものを選べ。
|
ア |
イ |
(1) |
abc |
abc |
(2) |
bac |
abc |
(3) |
cab |
bac |
(4) |
acb |
cab |
(5) |
abc |
bca |
解答案:3(自信なし。(5)かもしれない)
鉄鋼業では石炭などを主に燃やすはず。よって(3)か(5)。
化学工業は電気を使うかもしれない。また鉄鋼業は電気はほとんど使わないだろう。
※1/2にはなんとか絞れるが、それも自信がしっかりあるわけではない。こういう問題もできれば避けたいものです。
- 人間の活動による大気汚染は、もともと大気中に多く存在しない化合物を作り出し、それを排出することに原因することが多い。内燃機関の排ガス中の窒素化合物を触媒で処理するとき、次の中で最も望ましいと考えられる生成物はどれか。
(1) N2
(2) NO
(3) N2O
(4) NO2
(5) N03
解答案:1
単純に不活性ガスが生成物としては一番いいはず。
※(4)、(5)は窒素酸化物、(2)、(3)は硝酸性窒素です。
- DNAを作っているヌクレオチドには4種類の塩基、すなわちアデニン、グアニン、シトシン、チミンが含まれている。これら4種類のヌクレオチドがいろいろな順序で一列に並んで結合して1本鎖となり、さらにこの1本鎖が2本絡まり合って2重らせんを形成する。4種類の塩基のうち、アデニンとチミンは2本の水素結合で、一方、グアニンとシトシンは3本の水素結合で結ぱれて互いに相補的な塩基対を形成する。このようなDNAの2重らせん構造は生物学的に大きな意味を持っているが、次の項目から最も不適切なものを選べ。
(1) 4種類の塩基はDNA2重らせんの内側に位置し相補的な塩基対を形成できるようになっている。
(2) 相補的な塩基対は頻繁に間違って形成され、そのときには3重らせんをもったDNAができる。
(3) DNAの複製のときには、2重らせんがほどけて1本鎖となり、各1本鎖の塩基配列を鋳型にして新しい1本鎖DNAが作られる。
(4) 相補的な塩基対の形成の原理からDNAは全く同一のものが複製され、塩基の並び方からもたらされる遺伝情報は親から子へと伝えられる。
(5) DNAを水溶液中で加熱すると水素結合が切れて1本鎖となるが、冷却すると相補的な塩基対が再び形成されて2本鎖となる。
解答案:2
(1)・・・・○ そのとおり。
(2)・・・・× 相補的塩基対は常にAに大してT、Gに対してC。
そんなしょっちゅう間違えて、まして3重らせんなんて、そんなことになったら大変。
(3)・・・・○ そのとおり。
(4)・・・・○ そのとおり。
(5)・・・・○ そのとおり。
※DNAの基礎知識を知っていれば楽勝。というより常識問題ですね。
- クローン動物の作出が可能になったことで現代社会はこれまで経験したことのない厳しい倫理問題に直面しているが、その作出法を十分に理解することは生命科学の発達と人間社会の関係を考えるに当たって大切なことである。クローン動物の作出について、次の中から最も適切な説明を選べ。
なお、説明文のうち、胚性幹細胞は哺乳類の受精卵由来の初期胚からクローン化されたもので、分化できる全能性の細胞である。一方、体細胞は生物体を構成している全細胞のうち生殖細胞以外のものを総称し、既に分化を終え、これ以上分化できないとされる細胞である。
(1) 胚性幹細胞の核を、同種の核を不活性化した受精卵に移植し、仮親で発生させた個体をクローン動物と呼ぶ。
(2) 胚性幹細胞の核を、同種の核を不活性化した未受精卵に移植し、仮親で発生させた個体をクローン動物と呼ぶ。
(3) 体細胞の核を胚性幹細胞の核と一緒に、同種の核を不活性化した受精卵に移植し、新たに体細胞の核に分化能力を与えて仮親で発生させた個体をクローン動物と呼ぶ。
(4) 体細胞の核を、同種の核を不活牲化した未受精卵に移植し、体細胞の核に分化能力を与えて仮親で発生させた個体をクローン動物と呼ぶ。
(5) 体細胞の核を胚性幹細胞の核と一緒に、同種の核を不活性化した未受精卵に移植し、新たに体細胞の核に分化能力を与えて仮親で発生させた個体をクローン動物と呼ぶ。
解答案:4
※これは単純に知識があるかどうかの勝負です。
- 次の文章中におけるア、イ、ウ、工に入れる言葉として最も適切な組合せを選べ。
ほとんどの生物は酸素がなくては生存できない。しかしながら、地球上に初期に現れた原始の生物にとって酸素はむしろ有害であった。生物の進化に伴い、(ア)が出現して大気中に酸素が蓄積されると、この酸素は大部分の生物にとって大きな脅威となった。この危機を救ったのがミトコンドリアで、もともとは酸素を利用できる微生物が細胞内に入り込み、共生することによって構築された(イ)とされている。したがって、宿主のゲノムDNAとミトコンドリアのDNAでは(ウ)がわずかに異なっている。一方、現存する高等生物は動植物を問わずミトコンドリアをもっており、その優れたエネルギー代謝に大きな役割を果たしている。すなわち、ミトコンドリア内では酸素を利用して好気的代謝を行い、エネルギー通貨と呼ばれ、生体内の種々の代謝反応を支え、筋肉運動のエネルギー源となっている(エ)を大量に生産する。その生産効率は、生体内で酸素が存在しないときの数十倍にも及ぶ。ほとんどの生物は現在、酸素なしでは生存できない理由のひとつにはこのようなミトコンドリアのもつ効率的なエネルギー生産による。
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ア
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イ
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ウ
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エ
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(1)
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細胞小器官
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遺伝暗号
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ATP
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らん藻
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(2)
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らん藻
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細胞小器官
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遣伝暗号
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ATP
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(3)
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細胞小器官
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らん藻
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ATP
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遺伝暗号
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(4)
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らん藻
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遺伝暗号
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細胞小器官
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ATP
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(5)
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ATP
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らん藻
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細胞小器官
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遺伝暗号
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解答案:2
(ア)・・・・生物進化に従って出現した光合成ができる生物だから、藻類なんかだろう。これで答えは(2)か(4)。
細胞小器官は細胞の中のミトコンドリアとかゴルジ体などであって生物ではないし、ATPはアデノシン三リン酸。
(イ)・・・・遺伝暗号か細胞小器官かといえば、後者しかないだろう。これで(2)に決定。
(ウ)・・・・念のため。「DNAの遺伝暗号がわずかに異なる」、正しい文章になっている。「DNAの細胞小器官」は変だ。
(エ)・・・・「筋肉運動のエネルギー源がATP」、正しい。
※細胞小器官、ATPなどが何のことが知っていれば悩む問題ではありません。
(5)技術連関
- 人間の活動に起因する、いわゆる「地球温暖化」については、まだ現象や原因が不明な点もあるが、現時点で誤っているとして良いものはどれか。
(1) 1998年における中国の1人当たりの二酸化炭素の放出量は同年の日本の1人当たりの放出量の2分の1以下である。
(2) 石炭、石油、天然ガスなどの炭素系の資源を燃料として用いる場合、同じ発生熱量を基準とすると二酸化炭素の発生量はほとんど変わらない。
(3) 天然ガスの輸送パイプなどから漏れるメタンなどの炭化水素ガスも温暖化の原因になっている可能性が否定できない。
(4) フロン化合物の大気中濃度を抑制することは、オゾン層の破壊を防止するためにも温暖化を抑制することにも役立つ。
(5) 熱帯雨林が急激に消失していることは地球温暖化を促進する要因になりうる。
解答案:2
(1)・・・・○ 中国が日本より多いということはない。少なくとも人口が10倍なので、排出量が日本の10倍といういことはありえない。
(2)・・・・× 二酸化炭素の生成熱は94kcalで一定だが、炭素系資源は炭素と水素だけから成るわけではない。
たとえばメタンの燃焼熱は213kcalでCO21分子生成。メタノールの燃焼熱は174kcalでCO21分子生成。同じではない。
(3)・・・・○ メタンなどが地球温暖化に寄与しているのはそのとおり。ただし、パイプからのもれと言われると・・・・有名なのは牛のげっぷ。
(4)・・・・○ そのとおり。フロンも温暖化ガス。
(5)・・・・○ そのとおり。
※消去法でも解けます。
- 環境問題に関係する説明で、次のうちから最も適切なものを選べ。
(1) 京都会議(The3rd Session of the Conference of the Parties to the United
Nations Framework Convention on Climate Change)は最大の環境問題といわれるオゾン層の破壊についての国際的な取り決めを行った会議である。
(2) ローマクラブの「成長の限界」は「宇宙船地球号」という概念とは相反する内容を持っている。
(3) ダイオキシンは入体に対して猛毒であり、イタリアのセベソで起こった有名なダイオキシンを含む化学物質の放出事故では、事故発生直後に多くの死者を出した。
(4) 有害廃棄物の越境移動に関する国際的な取り決めは、スイスのバーゼルで調印されたことから"バーゼル条約"と呼ばれる。日本から廃棄物として外国に出るものの中に有害物質が含まれていることは条約で禁止されている。
(5) トキを始め絶滅が心配される動物が急激に増えてきたが、もし多くの生物が絶滅するようなことがあれば、それは地球の長い生物史上、初めてのことである。
解答案:4
(1)・・・・× 京都会議は二酸化炭素排出規制。
(2)・・・・× 同じ概念。少なくとも相反するものではないことは言葉からしてわかる。
(3)・・・・× ダイオキシンに即効性はない。
(4)・・・・○ このとおりだが、わからなくても消去法で解けるのでOK。
(5)・・・・× 地球には「大絶滅」がある。
※(1)、(2)、(3)は常識問題。(5)は知識が必要ですが、恐竜絶滅などを思い浮かべればわかると思います。
- エネルギー問題を考えるときには太陽から地球が受けているエネルギーと、石油・石炭・天然ガスなどのいわゆる化石燃料から人類が得ているエネルギーの比較が重要である。太陽のエネルギーは、1.2×1034Jy-1と計算されており、そのうち約44億分の1が地球表面に到達すると見積もられている。一方、地球上の生物が太陽の光を利用して行う光合成で固定されるエネルギーは3.0×1021Jy-1と推定され、人類が化石燃料から得ているエネルギーの約10倍とされている。これらのデータから一年間に人類が化石燃料から得ているエネルギーは、地球表面に到達する太陽のエネルギーに対してどの程度か。次の中から選べ。
(1) ほぼ同程度
(2) 約10分の1
(3) 約100分の1
(4) 約1000分の1
(5) 約10000分の1
解答案:5
太陽エネルギーは1.2*1034の44*108分の1だから、1.2/44*10(34-8)≒0.03*1026=3*1024
化石エネルギーは3*1021の1/10だから、3*1020
よって、3*1024/(3*1020)=1*10(24-20)=104
※べきの概算(べき部分の加減)ができれば簡単です。
- 日本の一次エネルギー消費量は約5.5億kl(原油換算)であり、このうち電力の生産に使われる量は約2.1億kl(原油換算)である。一次エネルギー消費量に対する、発電される電力量のエネルギー比率について、以下から最も近いものを選べ。
(1) 約35%
(2) 約25%
(3) 約15%
(4) 約5%
(5) 約1%
解答案:3
2.1/5.5=1/2と1/3の間あたりだが、火力発電の効率は約40%なので、ざっと1/5.5=1/5弱。
※火力発電効率の値を知らないと(1)になってしまいます。これはやや難しいか。
- 経営活動と生産活動にリスク・マネージメントの手法が適用されている。リスク・マネジメントにおけるリスクの定義として、正しいものはどれか。
(1) リスクは、顕在化すれぱ企業活動の継続性を脅かす危機(クライシス)である。
(2) リスクは、経済的不利益要因の起きやすさ(確率)である。
(3) リスクは、失敗に伴う経済的不利益の総額である。
(4) リスクは、事故又は故障の起きやすさ(確率)である。
(5) リスクは、危険事象の起きやすさ(確率)と、その影響の過酷度の組合せである。
解答案:5
(1)・・・・× リスクが顕在化しても必ずしもクライシスになるとは限らない。日頃いっぱいある小さなミスなども顕在化したリスク。
(2)・・・・× 確率だけではない。
(3)・・・・× 被害規模だけではない。
(4)・・・・× 確率だけではない。
(5)・・・・○ その通り。
※リスクの定義は知っておきたいところです。
- 装置に異常又は故障が生じた場合、装置を安全な方向に停止させる機能として、正しいものはどれか。
(1) フール・プルーフ
(2) フェール・セーフ
(3) ダメージ・トレラント
(4) 冗長システム
(5) 警報システム
解答案:2
(1)は人間の誤操作対処、(3)は損傷許容、(4)は耐故障性の代表的システム(フォールトトレランス)、(5)は読んで字のごとく。
※システム信頼性の基本用語です。
- もともとヨーロッパの総合大学においては技術(工学)は知識の追求とは別のものとみなされ、工学部は大学に付置されていなかった。一方、やや遅れて近代化を始めた国家では、国力を高めるために、積極的に工学を大学教育に取り入れた。その中で次の国のうち総合大学に工学部(又はそれに相当する組織)を最初に備えたのはどの国か選べ。
(1) ドイツ
(2) イタリア
(3) 日本
(4) ロシア
(5) ブラジル
解答案:3
話の流れからしてヨーロッパではなさそう・・・・(3)〜(5)
ブラジルもいくらなんでも・・・・(3)か(4)
ということで、2択まではいける。実は、東大が世界で最初の工学部をもった総合大学である。
※最後は知らないと解けません。こういう問題は避けましょう。 なお、「東大が世界で最初の工学部・・・・」に関する資料は例えばこちら
- 最先端の科学技術に対する人々の反応は、地域や時代を問わず、ある程度共通するものが見られる、アメリカのSF作家・科学啓蒙家、アイザック・アシモフは、このような傾向を19世紀に発表された有名な小説にちなんで「フランケンシュタイン・コンプレックス」と名づけた。その内容として適切なものは、次のどれか。
(1) 最先端科学技術は制御不可能であり、人類に危書を及ぼすものであるとして忌避する。
(2) 最先端科学技術は、一見不可能なことも実現すると受け取り、無批判に崇拝する。
(3) 最先端科学技術の成果とそれを造りだした科学技術者を混同し、科学技術者に嫌悪感をいだく。
(4) 最先端科学技術の成果はしばしぱ大変危険なものであるとし、現場の科学技術者に高い倫理意識を要求する。
(5) 最先端科学技術の適用範囲をわきまえず、倫理的・社会的に問題のある領域にまで適用してしまう。
正解は1
もともとは「創造主を滅ぼす存在たるロボット」に対する恐れ、自分の作ったロボットなどの人工生命に人類が滅ぼされるという「ターミネーター」のような世界に対する恐れです。「フランケンシュタイン症候群」ともいいます。
※知らないと解けません。たとえばこちら