技術士第一次試験専門問題対策資料 =施工計画、施工設備及び積算=
最終更新:2007.02.12
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これまでの一次試験専門科目での出題実績ももとに、施工計画、施工設備及び積算について、押さえておきたい事項についてまとめた資料です。

CONTENTS
工法
仮設
廃棄物処理
事前調査・環境管理
工程管理
経費管理
新設計思想・入札制度

工法

  1. 杭工法
    特に場所打ち杭の細分を頭に入れましょう。
    工法 施工方法 長所 短所 問題を生じやすい地盤
    打込み杭 打撃工法 打撃(ディーゼルハンマー、スチームハンマー、油圧ハンマー) 施工時に1本1本の杭の支持力確認可能 騒音振動大きく市街地での施工困難 ●支持層傾斜→杭の曲がり・破損
    ●リバウンド大きい細砂・シルト地盤で先端閉塞杭が貫入困難となる
    ●転石→杭の曲がり・破損
    プレボーリング併用打撃工法 プレボーリングの後杭を打ち込み
    振動工法 振動により杭を挿入
    埋込み杭 プレボーリング工法 掘孔の後杭挿入 騒音・振動が比較的小さい 施工方法・施工者によるばらつきが大きい
    廃泥水処理が困難
    ●被圧砂層→ボイリング生じる
    ●転石→掘削に時間がかかり施工不可能な場合も多い
    中掘り工法
    回転根固め工法式
    場所打ち杭 オールケーシング工法 ケーシング揺動圧入+ハンマグラブ掘削
    →鉄筋かご建て込み、コンクリ打設
    騒音・振動が比較的小さい 施工者によるばらつきが大きい
    廃泥水処理が困難
    スライム処理が複雑で熟練を要する
    ●被圧砂層→ボイリング生じる
    ●水位の低い砂・砂礫層→泥水流出し孔壁崩壊する
    ●転石→掘削に時間がかかる
    ●地下水流→セメント分流出(地下水流速3m/min以上では不可)
    リバース工法 回転ビットで土砂を切削
    →鉄筋かご建て込み、コンクリ打設
    アースドリル工法 回転バケットで土砂を切削
    →鉄筋かご建て込み、コンクリ打設

    ベントナイト安定液使用の場合は水質汚濁に注意。
    深礎工法 山留め+人力掘削
    →鉄筋かご建て込み、コンクリ打設

  2. シールド工法
    土砂地盤に適用され、円筒型の掘削機(シールド機)を押し込みながら、その中で安全に掘削・覆工を行う。
    地下水位より低い所で湧水があるとき、圧縮空気で気圧を上げて、湧水のための土砂崩壊を防ぐ(圧気シールド)。このときの圧力は土砂崩壊防止の観点からは高いほうがよいが、作業員の健康を考えると低いほうがよい。一般には、シールド上端からD/2〜D/3(Dはトンネル直径)の位置の地下水圧に等しい圧力とする場合が多い。
    開放型シールド(前面が開放)と密閉型シールドがあるが、地下水位の高いところでは密閉型を使う。

  3. 法面保護工
    法面(切土・盛土による人工斜面)の侵食崩壊を防ぐため、法面保護工を施す。
    法面保護工名称 工法の内容
    擁壁工 擁壁のせん断強度・自重により法面を押さえ、ある程度の土圧に対抗する。
    法枠工 法面をコンクリート等の格子状枠で覆い、全体のせん断強度で法面を押さえる。
    アンカーを組み合わせて、より強固にすべり土塊の滑動力に対抗し、法面崩壊を抑止することも多い。
    コンクリート張工 法面表面をコンクリート張で覆い、侵食や法面表層部の崩壊を防止する。多大なすべり土圧には対抗できない。
    モルタル吹付工 法面表面にモルタルを吹きつけ、風化・浸食・表面水浸透を防止する。土圧にはほとんど対抗できない。
    植生工 法面表面に種子散布・客土吹付、張芝などを行い、侵食防止、景観形成を図る。

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仮設

 用語を「道路土工〜仮設構造物工指針」よりピックアップして示します。

  1. 用語 用語の意味など
    土留め 開削時に周辺土砂の崩壊を防止すること。土留め壁と支保工から成る。
    土留め壁 親杭横矢板壁・鋼矢板壁・鋼管矢板壁・柱列式連続壁・地中連続壁がある。
    支保工 土留め壁を支える構造物。
    切りばり(たとえば向かい合う土留め壁の間に突っ張り棒として入れたH鋼)が一般的。
    グラウンドアンカーを切りばりのかわりにすることもある(土留めアンカー)。
    親杭横矢板壁 H鋼を間隔をあけて立て、矢板横にしてH鋼間に渡した土留め壁。地上仮設。
    鋼矢板壁 鋼矢板を凹凸交互に並べかみ合わせて挿入した土留め壁。
    柱列式連続壁 原地盤を置換または改良して構築した連続土留め壁。
    地中連続壁 壁状に掘削した溝に鉄筋かごを建て込み現場打ちコンクリで構築した連続土留め壁。
    路面覆工 開削工事において、工事用・一般車両通行のため開口部を覆う覆工板・覆工受桁・桁受け部材からなる仮設構造物。<例>開口部の左右にH鋼(桁受け)を並べ、それに等間隔でH鋼を渡し(覆工受桁)、その上に鉄板(覆工)を被せる。
    仮桟橋 工事車両通行・作業に供する作業構台・仮橋。
    地下水位低下工法 地盤内の地下水を汲み上げ、地盤の水位低下によって水圧低減を図る工法。
    薬液注入工法 薬液を地盤内に注入し、地盤の止水性や強度を改良する工法。
    深層混合処理工法 地盤を切削しながら固化材と土を攪拌混合するか、あるいは固化材を充填して、地盤の強度・遮水性を改良する工法。
    生石灰工法 地盤中に生石灰を適当な間隔で打ち込み。吸水および膨張圧により地盤強度を改良。
    ボイリング 砂質地盤で、掘削部と周囲(土留め壁背面)の水位差が大きい場合、掘削底面で砂粒子が沸騰したように湧き上がる現象。
    上向き浸透圧>土の重量となって、地盤が液状化したいることによる。
    パイピング 土中の浸透流により水みちができて土粒子が移動する現象。
    ヒービング 粘性土地盤で、土留め壁背面の土が掘削面側に回りこみ、掘削底面が隆起する現象。
    盤ぶくれ 掘削底面が難透水層で、その直下に被圧帯水層がある場合に、掘削底面が浮き上がる現象。被圧水圧>土の重量となっている。
    側圧 土留め壁に作用する土圧および水圧の合計。
    慣用法 土留め設計手法の一つ。切ばり位置または地中仮想支持点を支点にとり、壁体を単純ばりとして、背面側に見かけの土圧分布を用いる。
    弾塑性法 土留め設計手法の一つ。土留め壁を有限長弾性ばり、地盤を弾塑性床、支保工を弾性支承とする。

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廃棄物処理

  1. 廃棄物低減技術
     現場で発生した土を廃棄するのではなく、適正な処理の後に現場で活用し、建設現場から廃棄物を出さない(ゼロエミッション)ための技術です。
    流動化処理工法:現場発生土に調整泥水・固化材を混合して流動化させ、埋め戻しや裏込めに用いる工法。
    袋詰脱水工法:浚渫汚泥を透水性の袋に入れ、自重で脱水させた後に袋のままで築堤等に活用する工法。

  2. 廃棄物処理
     廃棄物の分類を下表に示します。建設現場より排出されるのは産業廃棄物です。
    ●産業廃棄物は、法律により20種類に定められています。
     H13.10に、19種類から20種類になりました。増えたのは動物系固形不要物、すなわち、と殺解体等の処理をした獣畜・食鳥です。これはBSEなどが背景にあります。
      ※文献によっては19種類のままのものもあると思います。(蛇足)15年度総監二次試験でこの法改正を知らなかったことによる出題ミスをがありました。
    ●安定産廃は、安定5品目と言われます。廃プラ・ゴム・金属・ガラス・建設廃材です。覚えておくといいと思います。
     なお、この場合の「ゴム」は天然ゴムです。タイヤや石油系ゴムなどはゴムではなく、廃プラになります。
    ●廃プラスチック類・金属くず・ゴムくず・陶磁器くずのうち、自動車等の破砕物は管理型産廃になります。
    すべての廃棄物マニュフェストにより管理されます。マニュフェストは、廃棄物の内容を記した荷札・伝票のようなものだと思えばいいでしょう。
     排出者から中間処理業者、運搬業者などを経て、最終処分まで受け渡され、最後に排出者に戻ります。廃棄物に関する責任は、排出者にあります。

    大分類

    小分類 代表的な廃棄物の例







    事業活動に伴って出る廃棄物で、下表に示す20種類のいずれかに該当するもの。事業所本来の仕事に伴って出る廃棄物。 特別管理
    産業廃棄物
    燃えやすい廃油、腐食性の酸・アルカリ、PCBなどを含むもの、医療廃棄物など、特に有害な産業廃棄物 ・バッテリー電池
    ・医療関係の廃棄物
    管理型
    産業廃棄物
    特別管理産業廃棄物・安定型産業廃棄物以外の産業廃棄物 ・下水処理場から出た汚泥、その焼却灰
    安定型
    産業廃棄物
    安定5品目@廃プラスチック類、Aゴムくず、B金属くず、Cガラスくず・陶磁器くず、D建設廃材) ・建設現場から出たコンクリートや瓦など
    ・塩ビ管・アスファルト
    ・瓦礫・くず鉄





    産業廃棄物以外のすべての廃棄物。
    一般家庭ごみや、事業活動に伴う廃棄物で下表に該当するものがないもの。
    特別管理
    一般廃棄物
    産業廃棄物と同様の有害な一般廃棄物 ・電池
    その他の
    一般廃棄物
    特別管理一般廃棄物以外の一般廃棄物 ・普通のごみ

    産業廃棄物の種類  内        容 
    1 燃えがら 石炭がら、焼却残灰など
    2 汚泥 排水処理汚泥、製造業から出る汚泥など
    3 廃油 潤滑油・タールピッチなどすべての廃油
    4 廃酸 廃硫酸、廃塩酸などすべての酸性の廃液
    5 廃アルカリ 廃ソーダ液などすべてのアルカリ性の廃液
    6 廃プラスチック類 合成樹脂くずなど固形・液状すべての廃プラスチック類
    7 紙くず 紙関連製造業などから出る紙・板紙のくずなど
    8 木くず 木材関連製造業から出る木材片・おがくずなど
    9 繊維くず 衣服等繊維製品以外の繊維工業から出る天然繊維くず
    10 動植物性残渣 食品・医薬品・香料製造業から出るかす・あらなど固形物
    11 ゴムくず 天然ゴムくず
    12 金属くず 鉄鋼・非鉄金属の研磨くず、切削くずなど
    13 ガラスくず・陶磁器くず ガラスくず、耐火レンガくず、陶磁器くずなど
    14 鉱さい 高炉・平炉などの残さい、ボタ、不良鉱石・石炭など
    15 建設廃材 工作物除去に伴って出るコンクリート片などの不要物
    16 家畜ふん尿 畜産農業から排出される牛・豚・馬など家畜のふん尿
    17 家畜の死体 畜産農業から排出される牛・豚・馬など家畜の死体
    18 ばいじん ばい煙発生施設・汚泥などの焼却施設から出たばいじん
    19 動物系固形不要物 と畜場においてとさつし、又は解体した獣畜及び食鳥処理場において食鳥処理をした食鳥に係る固形状の不要物
    1〜19の産業廃棄物を処分するために処理したもので、いずれにも該当しないもの
    ※表中、●は安定5品目

  3. 建設リサイクル法
    概要
     対象工事
    において、分別解体等に伴って生じた特定建設資材廃棄物について、再資源化を実施しなければならない。
    対象工事
     (1)建築物解体工事に係る床面積合計80m2以上
     (2)新築増築に係る床面積合計500m2以上または請負金額1億円以上
     (3)建築物以外の解体・新築工事等に係る請負金額500万円以上
    特定建設資材
     (1)コンクリート塊
     (2)アスファルト塊
     (3)建設発生木材
    目標
     コンクリ・木材・アスファルトについて、H22で95%の再資源化。国直轄事業ではH17までに最終処分ゼロを目指す。
    内容
    資材 再資源化等の促進 リサイクル材の利用の促進
    コンクリート塊 破砕・選別・混合物除去・粒度調整等により、再生クラッシャーラン、再生骨材等に再資源化。 現場から40km以内で再生骨材等が入手できれば、用途・品質を考慮し、経済性にかかわらず利用。
    アスファルト塊 破砕・選別・混合物除去・粒度調整等により、再生加熱アスファルト混合物、再生骨材等に再資源化。 現場から40km・1.5h以内で再生加熱アスファルト混合物が入手できれば、用途・品質を考慮し、経済性にかかわらず利用。
    建設発生木材 チップ化し、木質ボード、堆肥等原材料に再資源化。新たな利用促進技術開発が必要。 コンクリ型枠に再生木質ボード適用。法面緑化材・雑草防止剤等への再生木質マルチング材の適用。
    次の点がポイントです。
     ●全ての工事が対象ではない。
     ●全ての資材が対象ではない。
     ●条件を満たせば、経済性にかかわらず利用しなければならない。

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事前調査・環境管理

  1. 埋設物
    公共の道路等には、電話線・ガス管・上下水道など多くの埋設物があるため、十分な事前調査が必要である。
    関係機関との現地立会のほか、埋設物調査を行うこともある。調査はレーリー波などを利用した非破壊物理探査がある。

  2. 建物
    工事に伴い、建造物にひび割れ等の影響が出ることもあるため、その恐れがある場合、事前に建物等の状態を調査しておくことが望ましい。
    これにより、変状が発生した場合に、それが工事に原因があるかどうかの判断材料となる。

  3. 騒音・振動
    都市計画用途区域では、騒音規制法振動規制法により、特定建設作業は規制を受ける。
    関連法令 騒音規制法 振動規制法
    特定建設作業 ●くい打機(もんけんを除く)、くい抜機又はくい打くい抜機(圧入式くい打くい抜機を除く)、びょう打機、さく岩機、空気圧縮機、バックホウ、トラクターショベル、ブルドーザーを使用する作業
    ●コンクリートプラント又はアスファルトプラントを設けて行なう作業
    ●くい打機(もんけんを除く)、くい抜機又はくい打くい抜機(圧入式くい打くい抜機を除く)、舗装版破壊機、ブレーカー(手持式のものを除く)を使用する作業
    ●鋼球を使用して建築物その他の工作物を破壊する作業
    騒音・振動レベル 敷地境界85デシベル以下 敷地境界75デシベル以下
    作業時刻 早朝・深夜作業の禁止(住宅地等で19:00〜7:00、それ以外で22:00〜6:00
    1日あたり作業時間 住宅地等で10時間以内、それ以外で14時間以内であること
    作業期間 連続6日以内であること
    日曜日等 日曜日その他の休日の作業禁止

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工程管理

  1. 横線式工程表(ガントチャート)
     普通に皆さんが使っておられる(と思う)工程表で、一言で言えばスケジュールを管理するためのグラフです。表形式で、一般的に列は日付、行は各作業です。それぞれの作業がいつからいつまでかかるかをバーで示してあります。これをガントチャートといいます。
     工程によってはある工程で出来上がった中間物を別の工程でさらに作業を行なう場合があります(たとえば測量図面を使って設計するなど)が、この相互関係は先に行なう作業の作業完了日から次に行なう作業の作業開始日へと矢印で示されることもあります。
     ガントチャートは、タスクガントチャートリソースガントチャートと言われるものに分類できます。両者とも横軸は時間軸で日付を取ります。
    (タクスガントチャート)
     タスク(作業)が日程にしたがってどのように消化されていくかを示したもので、よく使われるのはこちらのほうです。
    (リソースガントチャート)
     リソース(設備や人間など)が、どのような作業をするかを表したものです。たとえば、各行に作業員の名前を書いて、いつどのような作業を担当するのか、そしてそれをいつまでに仕上げなければならないかがわかるようにします。

  2. ネットワーク工程表(アローダイアグラム)
     アローダイアグラムの例を右図に示します。
     各作業は矢印で表され、これをアクティビティといいます。各アクティビティの着手時点・完了時点を○で表し、これをイベントといいます。また各作業名の横の( )内数値は、各作業に必要な日数です。
     今、@で一斉に作業をスタートします。
     最初に現場立ち入りか何かの申請があって、ここで5日を要します。そのあと測量作業と地質調査作業が平行して進められます。測量は10日で終わり、その整理も2日、合計12日で終りますが、地質調査は現場20日・整理5日で合計25日かかります。
     これを受けて設計作業にとりかかります。それまでに設計条件整理などがありますが、これは3日で終るので、ずっと前に終って手待ちの状態になっています。設計作業には30日かかります。
     さて、この業務を終らせるには最低何日かかるでしょう?
     答えは60日です。@→A→C→D→Eという、右下図のルートCが一番時間がかかるので、この所要時間が全体の期間を決定します。
     このルートCは、逆に言えば各作業の余裕が全くありません。申請・地質調査・整理・設計のどれかの作業が予定より遅れれば、それは全体工期の遅れに直結します。このような、全体工程の中での余裕(トータルフロート)がゼロである経路を、クリティカルパスといいます。
     ここで測量作業に着目すると、測量+整理で12日、地質調査工程は25日ですから、13日の余裕があります。ですから、他に忙しい業務があれば、測量を2,3日休んでも影響はないことがわかります。また、設計条件の整理は27日の余裕があります。ですから、他の作業の合間にぼちぼちやればいいことになります。
     再び地質調査に着目すると、増員・現場作業一部外注その他の方法でこの工程を切り詰められれば、全体工期も縮められることがわかります。ですから、地質調査工程の短縮に力を傾注するべきであり、測量作業の短縮化をがんばっても意味がないということになります。
     以上のような手法がPERTと呼ばれるもので、プロジェクト期間を最短にするための代表的な工程管理手法です。

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経費管理

  1. 工事積算基準
    公共工事における工事価格算出方式は、工事積算基準に定められている。
    これは、適正と思われる価格を調査し、これを積み上げる「積み上げ方式」である。
    積算の基本は歩掛りで、これと資材・労務・機械等の費用を積み上げる。

  2. 工事費の構成
    費用名称 内容
    工事費 工事原価 直接工事費 材料費、労務費、直接経費といった、施工にあたり直接消費された原価
    共通仮設費 運搬費・準備費・仮設費・事業損失防止施設費・安全費等、工事全体に共通的に必要な費用
    現場管理費 現場で必要となる間接的な経費
    一般管理費 企業が経営を維持運営していくための必要経費

  3. 見積り
    施工条件・数量を把握した後に、要求される品質・安全・工期を満足できるための最低の価格を算出したものである。

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新設計思想・入札制度

  1. VE
     VE(バリュー・エンジニアリング)は、目的物の機能を低下させずにコストを縮減する(もしくは同等コストで機能を向上させる)ための技術であり、@設計VE、A入札時VE、B契約後VEがあります。
     このうち、設計VEの実施段階は4つあります。
     (1) 基本設計着手時VE
      VE検討組織で比較検討・基本設計を行う。
     (2) 基本設計着手後VE
      基本設計が概略的にまとまった時点でVE検討組織を設置し、代替案を検討してVE提案をまとめる。これを受け、必要に応じて再設計を行う。
     (3) 詳細設計着手時VE
      VE検討組織で比較検討・詳細設計を行う。
     (4) 詳細設計着手後VE
      詳細設計が概略的にまとまった時点でVE検討組織を設置し、代替案を検討してVE提案をまとめる。これを受け、必要に応じて再設計を行う。
    以下、VEに関するいくつかの事項を簡単にまとめます。「覚えられたら覚える」という程度でいいと思います。
    VE検討組織
     VE検討組織は、発注者が部内に設置するもの、建設コンサルタント等に委託するもの、両者の共同が考えられる。
     メンバーは一定水準以上の技術者とし、必要に応じて施工専門家等複数分野の技術者も加える。
    発注者側体制
     発注者体制としては発注者側組織内に審査体制を構築し、VE提案の採否を決定する。
    再設計
     着手後VEで再検討を要すると判断された場合は、原則として原設計者と契約内容変更して再設計する。
    代替案の評価方法
     ライフサイクルコストにより、安全性・耐久性等の機能を損なわない範囲で評価する。
    排他的権利等に係る施工方法等の扱い
     代替案より排除せず、特定工法指定も可能とするが、手続きの透明性を十分確保する。
    技術基準の弾力的運用
     性能が確保できる範囲内で技術基準を弾力的に運用する。ただし、根拠の明記を要する。
    検討結果の公表
     VE提案は原則として公表するが、企業秘密に関するものは不採用分については非公開とし返却する。
    施工技術者等のVE検討組織への参加
     VE参加企業は原則として工事入札への参加を制限されるが、審査・公開により緩和され得る。
    設計VEの評価
     VE検討組織の評価を行い、蓄積する。
    設計成果に対する責任
     VE提案の内容により、設計者とともに、発注者やVE検討組織、VE業務受注者の責任を分担する。


  2. PFI
     PFI(プライベート・ファイナンス・イニチアティブ)は、民間の資金・経営能力・技術的能力を活用し、公共施設などの建設・維持管理・運営などを行う事業方式で、イギリスで財政難を背景に始まり、ユーロトンネルなどの実施例があります。「日本版PFI」が各団体で検討されています。
  3. CM/PM
    CM(コンストラクション・マネジメント)
     発注者の代理人として工事発注者と施工者の間に入り、工程・原価・品質などプロジェクト全般の運営管理を行う手法です。
     コンストラクションマネージャーは、設計者、施工者と同じように発注者と個別に契約し、発注者の利益を最優先します。設計、工事の結果に関する責任は基本的にありません(発注者、設計者、施工者それぞれと契約を結び、責任を負う形態もあります)。
    PM(プロジェクト・マネジメント)
     基本的にはCMと同様、発注者と個別契約してマネジメントを行う手法ですが、CMが個別工事を主な対象にしているのに対して、PMは事業全体を対象にしており、CMに比べマネジメント範囲が広くなっており、品質・環境・コスト・工程・リスクなど、プロジェクトに関わる多くの要素をトータルにマネジメントし、限られたコスト・人員等で効果的・効率的に事業を推進しようとするものです。

  4. DB
     DB(デザイン・ビルド)は、設計と施工を同一の企業あるいは企業体が担当する方式で、国交省では「設計・施工技術の一体的活用方式」と呼び、「設計・施工一括発注方式」などを実行しています。
     不況や少子高齢化などで公共投資がますます制限される中、コスト縮減にも寄与する発注方式として増える傾向にあります。

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