技術士第一次試験専門問題対策資料 | =建設環境= 最終更新:2007.02.12 |
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これまでの一次試験専門科目での出題実績ももとに、建設環境について、押さえておきたい事項についてまとめた資料です。
CONTENTS |
●環境影響評価 |
●地球環境問題 |
●自然環境・生態系 |
●その他 |
環境影響評価法は、右図のような手順で実施します。 対象事業は、第一種事業と第二種事業があります。その基準は下表の通りです。
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●第一種事業は問答無用でアセス法対象になります。 ●第二種事業はアセス対象とするかどうかの判定が行われます。これをスクリーニング手続といいます。 ●アセスの最初に、アセス実施計画を策定して方法書にまとめます。これに対して国民・地方公共団体は意見を述べます。 これら意見をもとに事業者はアセス方法を決定します。これをスコーピング手続といいます。 ●事業者は決定した方法で調査・予測・評価を行います。そしてその結果を準備書にまとめます。 ●これに対して国民・地方公共団体は意見を述べます。これら意見をもとに事業者は評価書を作成します。 ●これに対して環境大臣・許認可者は意見を述べます。これら意見をもとに事業者は評価書を補正します。 ●以上でアセスは終わり、許認可審査のあと事業を実施します。 ●事業者は、事業着手後も調査等のフォローアップを行います。 |
区分 | 予測評価手法 | 解説 |
大気汚染 | プルームモデル | 拡散予測式。主に有風時の拡散予測に使用する。 |
パフモデル | 拡散予測式。主に無風時の拡散予測に使用する。プルーム式と合わせて使われることが多い。 | |
水質汚濁 | 単純混合モデル | 負荷物質量÷希釈水量=濃度というように単純に混合して濃度を予測する。 |
ジョセフゼンドナー式 | 汚濁物質の拡散式。本来は懸濁物質には適用しない。 | |
新田式 | 排水量から汚濁範囲を単純に計算する。簡易予測ではこの式で汚濁範囲を決めゼンドナー式で細かく計算することがある。 | |
騒音振動 | 距離減衰式 | 騒音・振動発生源からの距離で騒音振動の減衰を推定する方法。単純な発生源・伝播経路で適用。 |
全般 | 差分法・FEM解析 | いずれもシミュレーションに使用。モデルの妥当性確認に手間がかかる。 |
区分 | 予測評価指標 | 規定法令 | 規制種別 | 解説 |
大気汚染 | 窒素酸化物 | 環境基本法 | 環境基準 | 1時間値の1日平均値で判定。 |
硫黄酸化物 浮遊粒子状物質 一酸化炭素 |
1時間値の1日平均値と1時間値の最大値で判定。 | |||
光化学オキシダント | 1時間値の最大値で判定。 | |||
有機塩素化合物類 | ベンゼン、トリクロロエチレンなど。 | |||
各種汚染物質 | 大気汚染防止法 | 規制基準 | 排出基準で、窒素酸化物・硫黄酸化物、一酸化炭素、ばい煙、ダイオキシンなど。 | |
水質汚濁 | 健康項目 | 環境基本法 | 環境基準 | 六価クロム、PCB、鉛、亜鉛、砒素、水銀、銅などの有害重金属類と、有機塩素化合物。環境基準は23項目について定められている。 |
生活環境項目 | BOD(生物化学的酸素要求量:河川に適用)、COD(化学的酸素要求量:海域湖沼に適用)、pH、SS(浮遊物質量)、DO(溶存酸素量)、大腸菌群数、ノルマルヘキサン抽出物質、窒素およびリン(海域湖沼に適用) 特にBOD・CODや窒素・リンなどは「富栄養化物質」と呼ばれる。 |
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各種汚染物質 | 水質汚濁防止法 | 規制基準 | 排水基準で、特定排水施設にかけられる。主に環境基準の10倍値。水域を類型指定し、さらに上乗せ排水基準を定めることが多い。 | |
騒音 | 時間率騒音レベル | 環境基本法 | 環境基準 | 等間隔に測定した騒音レベルを度数分布処理した中央値で、従来の環境基準。指定地域のみに適用。 |
等価騒音レベル | 時間積分した騒音レベルで、騒音規制法改正により環境基準となった。指定地域のみに適用。 | |||
時間率騒音レベル | 騒音規制法 | 規制基準 | 特定建設騒音・特定工場騒音に関する規制基準。指定地域のみに適用。公害防止条例等でさらにきびしくしている所も多い。 | |
振動 | 振動レベル | 振動規制法 | 規制基準 | 特定建設振動・特定工場振動に関する規制基準。振動には環境基準はなく、規制基準のみである。指定地域のみに適用。 |
悪臭 | 悪臭物質 | 悪臭防止法 | 規制基準 | アンモニア、硫化水素など22項目。指定地域のみに適用。 |
土壌汚染 | 各種汚染物質 | 環境基本法 | 環境基準 | 有害重金属類、有機塩素化合物など27項目。 |
項目 | 解説 |
原因 |
人間の排出する二酸化炭素等の温室効果ガスが大気中に蓄積・長期間滞留が原因 |
メカニズム | 温室効果ガス(二酸化炭素・メタン・フロン・亜酸化窒素・対流圏オゾン・水蒸気など)→太陽照射で暖められた地表から出る赤外線を吸収→大気圏内に熱エネルギーとして蓄積→この温室効果ガスが増加→気温が上昇 |
何が問題か | (1)問題は3点 海面上昇、異常気象、生態系破壊。 気温上昇自体ではなく、その結果として起こる問題点の引き金になるということが重要 (2)ゆっくり進行 今すぐ深刻な影響が出るのでなく「子孫の時代」での悪影響が懸念 (3)社会問題でもある 標高の低い国・農業国や食料難の国・砂漠の多い国→影響が大きく困窮する国も出てくるはず→地球温暖化問題は社会問題でもある |
具体的な問題 | (1)海面上昇 気温上昇→氷河の一部が融けて海に流入・海水自体の熱膨張による体積増加→海水面が上昇→沿岸部の水没、臨海部水域生態系への影響 (2)異常気象 地球レベル気候変動のスピードが速くなると、気候変動の振幅が大きくなる→極端な暑さ寒さのサイクルが発生→局地的豪雨・暴風雨・熱波・寒波などの極端な気象現象(異常気象)の発生頻度が増大→生態系や人間活動に大きな被害 (3)生態系破壊 平均気温の上昇→陸域の気候区分に変化をもたらす→新たな気候に生態系の適応が追いつけない(特に植物の遷移が問題)→生態系が破壊・大変動→人類にとっては砂漠化・農林業への影響・居住環境の悪化など |
植物遷移の問題 | (1)気候変動の速度に追いつけない 平均気温が変化すると、植物生息域は移動する(2℃上昇で南北に約300km・高さで約300mといわれる)→しかし植生の移動速度は年間約1km程度→地球温暖化による気候変化速度に追いつけず絶滅するおそれがある (2)植生移動経路が確保できない 植物は繁殖によって移動→しかし日本などでは市街地・農地・道路・人工林などが植生を分断→植生移動の経路確保が困難となり絶滅する種が多くなる 同様に動物の生息域も分断されているので、絶滅種が多くなる |
CO2増加防止対策 | (1)排出の抑制・削減 省エネ・熱効率向上による化石燃料消費削減、太陽などの代替エネルギー源への転換の促進 (2)回収・固定 森林の拡大、将来的には化学的プロセスの応用による海洋への溶解や、固形炭酸塩への固定も可能性あり (3)アルベド・コントロール 人工的に成層圏に二酸化硫黄の霧を撒く・地球と月と太陽の引力がバランスする宇宙空間に太陽光を遮るものを浮かべることなどで、太陽からの入射エネルギーを削減する方策→他の地球生態系への悪影響というリスクが大き過ぎ、実用化は考えられない |
国際的な取組 ※重要なものには ●がついています |
(1)ストックホルムで国連人間環境会議開催 1972年、ストックホルムで国連人間環境会議が開催され人間環境宣言を採択。国連が環境問題に取り組んだ最初の会議 (2)ローマクラブ「成長の限界」● 1972年、ローマクラブ報告「成長の限界」で地球温暖化が一般に向けて大きな問題として取り上げ (3)モントリオール議定書採択 1987年、オゾン層破壊物質排出規制に関するモントリオール議定書が採択、10年間でフロン消費量の50%削減に各国が合意 (4)トロント会議でCO2削減提案 1988年、トロント会議で2005年までに先進国で二酸化炭素排出量を1988年の実績値より20%削減することを提案 (5)「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」設立 1988年11月、公式の政府間の検討の場「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」設立 (6)ハーグ環境首脳会議 1989年3月、ハーグ環境首脳会議(オランダ)が開催、温暖化対策の実施のための機構整備について検討 (7)「ノールトヴェイク宣言」採択 1989年11月、オランダ・ノールトヴェイクで開催された大気汚染と気候変動に関する閣僚会議で「ノールトヴェイク宣言」採択 (8)フロン全廃を決議 1990年6月、モントリオール議定書第2回締約国会議がロンドンで開催、2000年までにフロンの全廃を決議 (9)第2回世界気候会議 1990年11月、第2回世界気候会議開催、その後の国際的取り組み方向づけ (10)気候変動枠組条約・生物多様性条約採択● 1992年4月、日本において地球環境賢人会議開催、5月には国連本部において気候変動枠組条約が、UNEP本部において生物多様性条約が採択 (11)地球サミットでリオ宣言・アジェンダ21採択● 1992年6月、ブラジルで地球サミット開催、持続可能な開発実現の諸原則を規定したリオ宣言・地球環境保全のためのアジェンダ21採択 (12)「アジェンダ21行動計画」● 1993年12月、日本でアジェンダ21の実施のための具体的な行動計画「アジェンダ21行動計画」決定 (13)京都議定書採択● 1997年12月、京都で「気候変動に関する国際連合枠組条約第3回締約国会議」開催、京都議定書採択 (14)地球温暖化対策推進大綱● 1998年、日本は京都議定書を達成するため地球温暖化対策推進大綱決定 |
京都議定書の内容 | 先進国全体の温室効果ガスの排出量を、2008年〜2012年の間に、1990年の水準より5%削減を目的として、先進各国の削減目標を設定し、日本は6%削減を世界に約束 |
分類 | 危機の内容 | 対応策 |
第1の危機 | 人間活動・開発が直接的にもたらす種の減少絶滅、生態系破壊・分断・劣化を通じた生息域の縮小・消失 |
対象の特性・重要性に応じ、影響を適切に回避・低減するという対応が必要 すでに消失・劣化した生態系は、その再生・修復を積極的に進めることが必要 |
第2の危機 | 生活様式の変化や人口減少など社会経済変化に伴い、自然に対する人為的働きかけが縮小撤退することによる里地里山等における環境の質の変化、種の減少ないし生息状況の変化 | 地域の自然的・社会的特性に応じて人為的な管理・利用を行っていくための新たな仕組みの構築、人と自然の関係の再構築という観点に立った対応が必要 |
第3の危機 | 移入種等による生態系の攪乱(近年問題が顕在化) | 移入種の影響に関する科学的知見収集を基礎とし、侵入予防・侵入初期段階での発見と対応・定着移入種の駆除管理の各段階に応じた対策を進めることが必要 |
媒体 | 基準値 |
大気 | 0.6pg-TEQ/m3以下 |
水質 | 1pg-TEQ/l 以下 |
水底の底質 | 150pg-TEQ/g以下 |
土壌 | 1,000pg-TEQ/g以下 |