直流電動機
【問題解
説
】
平成
23
年度
Iv-15
効率が十分高く、損失が無視できる他
励
磁式直流電動機がある。この電動機の電機子に、
ある電
圧
の理想電
圧
源が接続され、界磁に、ある大きさの電流が流れていて、電動機が
無負荷で定常運転している。この
状
態から、界磁電流をもとの大きさの半分に減少させ
たのち、新たな定常
状
態に達した。このときの電動機の速度に関する次の記述のうち、
正しいものはどれか。ただし、鉄心の磁気飽和の影響はないものとする。
①
もとの速度の
4
倍になる。
②
もとの速度の
2
倍になる。
③
変
化しない。
④
もとの速度の
2
分の
1
倍になる。
⑤
もとの速度の
4
分の
1
倍になる。
答え ②
図
1
は他
励
磁式直流電動機の回路図です。 このような他
励
磁式または分巻式の直流電動機の回転速度
N
は式
(1)
で表
されます。
N = E / k
φ
=
( V
–
Ira ) / k
φ
・・・・・・・・式
(1)
ここで
N
は電機子の回転速度、
E
は電機子に発生する逆起電力、
k
は極
数
と電機子巻線によって決まる係
数
、
φ
は界磁巻線によ
って発生する磁束です。
図
1
設問では損失が発生しないで無負荷
状
態ですから、電機子電流
I
は発生しません。
従
って式
(1)
は式
(2)
になります。
N = E / k
φ
=
V
/ k
φ
・・・・・・・・・・・・式
(2)
磁束
φ
は
励
磁電流
If
の大きさに比例しますので、界磁電流をも
との大きさの半分にすると、磁束
φ
も半分になります。
N = E / k
φ
=
V
/ k
・
(
φ
/2) = 2V / k
φ
・・・式
(3)
よって、回転速度はもとの速度の
2
倍になります。
平成
25
年度
III-17
効率が十分高く、損失が無視できる直流分巻電動機がある。この入力端子に、下図のよ
うに電
圧
E
の理想電
圧
源が接続され、電動機が無負荷で定常運転している。この
状
態か
ら、接続する理想電
圧
源の電
圧
をもとの半分、すなわち
E/2
としたのち、新たな定常
状
態に達した。このときの電動機の速度に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれ
か。ただし、鉄心の磁気飽和の影響はなく、界磁に流れる電流
I
F
は端子電
圧
に比例する
ものとする。
【問題解
説
】
①
もとの速度の
16
分の
1
となる。
②
もとの速度の
8
分の
1
となる。
③
もとの速度の
4
分の
1
となる。
④
もとの速度の
2
分の
1
となる。
⑤
もとの速度と同一である。
答え ⑤
平成
23
年度
IV-15
では他
励
磁式の直流電動機が
対
象でしたが、この問題では
分巻式の直流電動機が
対
象になっています。直流分巻電動機は電機子巻線の
電源と界磁巻線の電源
E
が共通になっていますので、電源
E
が半分の
E/2
にな
ると電機子の電源電
圧
E
は半分の
E/2
になります。界磁巻線の電源電
圧
も半分
になりますので界磁電流
I
F
は半分の
I
F
/2
になり、
I
F
によって作られる磁束
φ
も
半分になります。
平成
23
年度
IV-15
の解
説
の式
(2)
に於いて、
N = E / k
φ
ですから分母と分子
両
方が半分になりますと、
N
= ( E / 2 ) / (k
φ
/2)
=
E / k
φ
・・・・・・・・・・・・式
(1)
従
って、回転速度は電源電
圧
E
を半分にする前と同じになりますので、答え
は⑤になります。