原子力発電
【問題解
説
】
平成
29
年度
III-13
原子力発電に関する次の記述の、 に入る語句の組合せとして、最も最適な
ものはどれか。
答え ③
軽
水
炉
では臨界
状
態に達した燃料が核分裂を起こしてエネルギーを発生しますが、この
核分裂は核分裂によって発生いた中性子が他の核に衝突して次々と連鎖的に核分裂を誘
発します
従
って「ア」には分裂が、「イ」には促進が該当します。
炉内
の
軽
水は中性子
の減速材としての役割を果たすとともに発生したエネルギーを熱として吸
収
して蒸気化
し、直接または間接的に蒸気タービンを廻します。
炉内
で発生した蒸気を直接蒸気ター
ビンに供給するのが沸騰水型で、
炉内圧
を加
圧
して蒸気
温
度を高くし熱交換器で二次蒸
気系統で蒸気を発生させるのが加
圧
水型です。
軽
水
炉
型原子力発電所では、
軽
水は、核 を するための中性子の減速材
としての役割を果たし、連鎖反応を維持することで運転している。沸騰水型や 水型と
呼ばれるものは、
軽
水
炉
の一種である。
ア
イ
ウ
ア
イ
ウ
① 融合 促進
加
圧
② 融合 抑制
減
圧
③ 分裂 促進
加
圧
④ 分裂 促進
減
圧
⑤ 分裂 抑制
加
圧
令和元年度
III-15
原子力エネルギーに関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
【問題解
説
】
①
核反応には核分裂と核融合の2つのタイプがある。どちらもその反応の前後の結合エネ
ルギーの差が外部に放出されるエネルギーとなる。
②
加
圧
水型
軽
水
炉
では、構造上、一次冷却材を沸騰させない。また、原子
炉
が反応速度を
調整するために、ホウ酸を冷却材に溶かして利用する。
③
加
圧
井水型
軽
水
炉
では、熱ループを一次冷却水と二次冷却水に分けているので、タービ
ンに放射能を
帯
びた蒸気が流れない。
④
沸騰水型
軽
水
炉
では、原子
炉内
部で発生した蒸気と蒸気発生器で発生した蒸気を混合し
て、タービンに送る。
⑤
沸騰水型
軽
水
炉
では、冷却材の蒸気がタービンに入るので、タービンの放射線防護が必
要である。
【詳しく解
説
】
軽
水
炉
の核分裂は図
1
に示すように、ウラン
235
に中性子を衝突させることで質量欠損に
よる核分裂エネルギーを発生させ、その際に同時に発生する中性子によって近隣のウラ
ン
235
を更に核分裂させて連鎖的に核分裂を発生させるものです。
図
1
図
2
核融合
炉
の反応は、重水素と三重水素
(
トリチウム
)
をプラズマ
温
度
1
億
℃
以上、密度
100
兆個
/cm3
の密度で
1
秒間以上閉じ
込
めることで核融合が起こります。
図
3
図
4
沸騰水型
軽
水
炉
(
図
3)
と加
圧
水型
軽
水
炉
(
図
4)
の主な違いは、沸騰水型は減速材である
軽
水を蒸気化させて直接タービンを廻します。一方、加
圧
水型では
炉内
で熱交換器
(
蒸気
発生器
)
で二次蒸気系統の水を加熱し、発生した蒸気でタービンを廻すことです。加
圧
水型では一次
軽
水を沸騰させないで蒸気
温
度を高くするために加
圧
して飽和蒸気
温
度を
上げています。
平成
29
年度
III-13
の「詳しく解
説
」にてほぼ回答の
説
明はされていますが、足りない解
説
について下記に記述します。
②
に記述されているホウ酸は中性子を吸
収
する性質を持つことから、加
圧
水型
炉
では制御
棒とともに冷却材の
軽
水に溶かして用いられます。
⑤
に記述されているように、沸騰水型
炉
で蒸気タービンを
駆
動する蒸気には放射性物質が
含まれていますので、タービン室への出入りはある程度制限があり、タービンから外部へ
の放射線漏洩を防止するシールドが設けられています。
以上から④の「沸騰水型
軽
水
炉
では、原子
炉内
部で発生した蒸気と蒸気発生器で発生し
た蒸気を混合し
て、タービンに送る。」と言うのは誤りで最も不適切なので、正解は④
になります。
答え ④
イラストの出典:電気事業連合会発行「原子力コンセンサス
2014
」
13/14
頁
イラストの出典:日本原子力文化財団原子力エネルギー図面集
:
エネ百科第
9
章その他
:9-4-5
核融合と核分裂