火力発電
平成
25
年度
III-14
熱効率
50%
の火力発電所が定格出力
100
万
kW
で連続的に運転しているときに、排水の
温
度上昇を
7
度以
内
とするのに必要な冷却水量の最低流量に最も近い値はどれか。ただし、
熱の仕事当量は
4.2J/cal
、水の密度は
1.0g/cm
3
、比熱は
1.0cal/(g°C)
とする。
【問題解
説
】
平成
30
年度
III-14
ガスタービン発電と蒸気タービン発電を組合わせた排熱回
収
方式コンバインドサイクル
発電がある。ガスタービン発電の熱効率は
30%
であり、ガスタービンを
駆
動した後、そ
の排熱で排熱回
収
ボイラを
駆
動する蒸気タービンの熱効率は
40%
である。このとき、総
合熱効率に最も近い値はどれか。ただし、ガスタービン出口のすべての排熱は排熱回
収
ボイラで回
収
されるものとする。
①
58%
②
61%
③
64%
④
67%
⑤
70%
①
15 m
3
/s
②
25 m
3
/s
③
35 m
3
/s
④
45 m
3
/s
⑤
55 m
3
/s
答え ③
以下、設問の主旨に沿って問題を解
説
します。
熱効率
50%
で発電所出力が
100
万
kW
なので、入力動力は
200
万
kW
で損失として排出さ
れる動力は
100
万
kW
です。この問題では排出される動力
(
熱量
)
はすべて冷却水で冷却さ
れるということなので、
100
万
kW(kJ/s)
の熱量を冷却する水量を求めます。
水の持つ熱量は下記の式で求められます。
熱量
Q
[cal] =
水の体積
V
[cm
3
]x
水の密度
ρ
[g/cm
3
] x
比熱
C
[cal/g]
・
K) x
温
度
T[K]
・・・式
(1)
従
って冷却水
温
度が
7K
上昇するとして
100
万
kW
を冷却するのに必要な水量
F
[cm
3
/s]
は、
F
[cm
3
/s] = (1,000,000,000 W / 4.2(J/cal) )
/
(1.0 g/cm
3
x 1.0[cal/g
・
K] x 7K )
= 34,013,605 cm
3
/s
≒
35 m
3
/s
注:ここで、動力の
単
位
W
は、
W = J / s
であることを知っておこくとで、このような
温
度上昇の計算が判りやすくなります。
答え ①
排熱回
収
方式コンバインドサイクル発電の模式図を図
2
に示します。ガスタービンの熱
効率が
30%
なので、
残
りの熱量である
70%
は排ガスとして排出されます。排熱回
収
ボイ
ラの熱回
収
は
100%
ですべて蒸気のエネルギーに
変
換され、後段の蒸気タービンの熱効
率は
40%
。
従
って、全体サイクルの中での排熱回
収
ボイラ以降の熱効率は、
70 % x
40%/100 = 28%
になります。
従
って、総合熱効率は
30% + 28% = 58%
となります。
【問題解
説
】
図
1
図
1
は火力発電所の主な構成機器を水
-
蒸気配管
及び燃
焼
ガス配管で接続した模式図です。火力
発電所では石炭や重油、天然ガス等を燃
焼
させ
て燃
焼
ガスを発生させ、その発生熱をボイラに
て熱交換し水を蒸発させて蒸気のエネルギーに
します。ボイラで発生した蒸気は蒸気タービン
に導かれタービンロータを回転させてエネル
ギーを消費した後に低
圧
蒸気になって復水器に
入ります。復水器では低
圧
蒸気が二次冷却水等
によって冷却され水の
状
態に
戻
ります。復水器
から出た水は給水ポンプにて加
圧
され、再びボ
イラへ給水されます。
この設問では「熱効率
50%
の
残
りの損失分
50%
はすべて復水器にて二次冷却水にて奪
われる」と言う前提で問題が作成されております。しかし実際には図
1
のボイラに入
る燃
焼
ガスが排ガスとして大気に放出される際にはある程度の熱が損失分として大気
に放出されますので、実務ではこのことを念頭に置く必要があります。
図
2