電力・その他
【問題解
説
】
平成
26
年度
III-14
下図に示す電力系統において、送電線事故により
100MW
の発電機が解列した。このと
きの系統の周波
数変
化に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。ただし、発
電機の周波
数
特性は、
1.0%MW/0.1Hz
、負荷の周波
数
特性は
0.2%MW/0.1Hz
とし、解列
前後において
変
化しないものとする。
単
位の
%
は定格容量に
対
する値である。
①
周波
数
は、
0.17Hz
低下する。
②
周波
数
は、
0.14Hz
低下する。
③
周波
数
は、
変
化しない。
④
周波
数
は、
0.14Hz
上昇する。
⑤
周波
数
は、
0.17Hz
上昇する。
答え ②
発電機の出力および出力
変
動分を
P
G
および
ΔP
G
とし、負荷の消費電力および消費電力
変
動を
P
L
および
ΔP
L
とすると、送電事故後に落ち着いた平衡
状
態は下の式
(1)
になります。
【詳しく解
説
】
P
G
-
ΔP
G
=
P
L
+ ΔP
L
・・・・・・式
(1)
解列する発電機の出力を
P
G
’
とすると送電事故発生前の平衡
状
態は、式
(2)
となります。
P
G
+
P
G
’
=
P
L
・・・・・・式
(2)
P
G
-
ΔP
G
=
P
G
+ P
G
’
+ ΔP
L
-
ΔP
G
=
P
G
’
+ ΔP
L
・・・・・・式
(3)
式
(1)
に式
(2)
を代入すると、
ここで出力と負荷
変
動を周波
数変
化値
Δf
と周波
数
特性の値を用いて表すと、
ΔP
G
=
5,900MW
x (1%/100/0.1H z) x Δf
=
590Δf
ΔP
L
=
(5,900MW + 100MW) x (0.2%/100 /0.1Hz) xΔf
= 120Δf
これらと
P
G
’ = 100
を式
(3)
に代入すると
- 590 Δf
=
100
+
120 Δf
Δf = -
100 / 710 = -
0.14 Hz
変
動分の出力と負荷は、
ΔP
G
=
590 x (-0.14)
= - 82.6 MW
ΔP
L
=
120 x (-0.14) = 16.8 MW
となります。
送電系統に接続されている発電機を
駆
動する水車やタービンには、そのガバナーに速度
垂下特性を与え、周波
数
が上昇すると負荷率は低下し、周波
数
が低下すると負荷率が上
昇するように設定してあります。
このため、送電系統に於いて、ある発電機が急に
脱
落する等の事故が発生した場合、他の
発電機の負荷が急に
増
加するために、発電機の周波
数
は低下します。一方、負荷には回転
速度に依存する回転機械や周波
数
に依存する電磁機器が含まれており、一般的に周波
数
が
低下すると負荷率が減少する特性を持っています。
このような周波
数
特性を定
数
として定義し系統運に利用しています。周波
数変
化量
0.1Hz
に
対
する発電
変
化量を並列されている発電機の定格容量の総和に
対
する百分率
[%]
で表し
たものを
K
G
(
発電機の周波
数
特性定
数
)
と定義し、同
様
に周波
数変
化量
0.1Hz
に
対
する負荷
電力
変
化量を負荷総量に
対
する百分率
[%]
で表したものを
K
L
(
負荷の周波
数
特性定
数
)
と定
義しています。左記の問題では
K
G
=1.0%MW/0.1Hz
、
K
L
=0.2%MW/0.1Hz
となります。
周波
数変
動
Δf
に
対
して、系統の発電電力が
ΔP
G
だけ調整されて定常
状
態になるとすれば、
Δf
と
ΔP
G
は下記の式
(4)
で表されます。
ΔP
G
= P
G
x
K
G
x
Δf
・・・・・・・・式
(4)
同
様
に周波
数変
動
Δf
に
対
する負荷の
変
動量を
ΔP
L
とすると式
(5)
で表されます。
ΔP
L
=
P
L
x K
L
x Δf
・・・・・・・・式
(5)
式
(1)
、式
(2)
に
P
G
‘=100MW
と式
(4)
、式
(5)
を代入して
Δf
を求めることが出来ます。
【問題解
説
】
令和
3
年度
III-12
下図のようなひずみ波交流電
圧
があり、時間を
t
とすると、その波形が次式で表されると
する。
このひずみ波交流電
圧
の実効値として、最も近い値はどれか。
①
102V
②
112V
③
122V
④
132V
⑤
142V
答え ②
・・・・・・・式
(1)
周期
T
の交流波形
v(t)
の実効値
V
rms
は下記の式
(1)
にて求められます。ここで問題文
の式の電
圧
V
は
v(t)
と表記します。
V(t)
の式を
2
乗します。
V(t)
2
= 20000sin
2
(100πt) +5000cos
2
(300πt) + 10000sin(100πt)cos(300πt)
この右
辺
に下記の三角関
数
の公式を適用します。
積分する時間範
囲
は
1
周期です。
t=0
では
v(0) = 50√2
になりますが、再び
50√2
になるのは
v(0.02) = 5√2
で、
t=0.02
の時です。
従
って、
0
~
0.02
の時間範
囲
で積分します。
V(t)
2
=12500x(0.02-0) + 1/2 x [ (- cos4π+cos0)+(cos12π-cos0) ]
+ 5000 x [(sin8π-sin0) – (sin4π – sin0) ]
= 250 + 1/2 x[( -1 + 1) + (1– 1)] + 5000 x [(0 – 0) – (0 – 0) ] = 250
V(t)
2
=
10000 – 1/2
・
cos(200πt) + 2500 + 1/2
・
cos(600πt) + 5000[sin(100πt + 300πt) + sin(100πt – 300πt) ]
= 12500 + 1/2
・
[- cos(200πt) + cos(600πt) ]
+
5000[sin (400πt) – sin(200πt)]
従
って、
Vvrm = √250 = 111.8
≒
112 V