- 業務計画(プロポーザル含む)・技術向上への取組み・品質確保・コスト縮減等の社会ニーズといったものへの意識と対応、管理能力が問われます。
- 試験時間は問題4-1・問題4-2とともに試験Bの130分です(試験Bの中で各問題を行ったり来たりすることはできます)。従来は問題2も合わせて3時間35分(215分)だったものが、問題2を除いただけで130分になったのですから、著しく時間が短くなったといえます。
- 1,600字以内の記述問題
- ウェイト:推定20~30%
- 公表済み問題は6問で、以下のとおりです。
(1)工程管理と働き方改革
設問①、②について、業務遂行能力の観点から、1200~1600字の間で記述しなさい。次の7つの用語「工程表」「情報共有」「履行期間」「長時間労働」「ウィークリースタンス」「生産性向上」「ワークライフバランス(WLB)」の中から4つ以上を用いて記述しなさい。記述文中で用いた用語は「 」で囲んで記述すること。
用語は①、②の全体を通して(「①のみ」「②のみ」「①、②併せて」のいずれも可)、4つ以上を用いていればよい。
①建設コンサルタントの工程管理の現状と課題
②建設コンサルタントの働き方改革と工程管理のあり方
※過年度の出題はありませんが、2023年度の(1)に近い問題です。
(2)情報管理の取り組み
設問①、②について、業務遂行能力の観点から、1200~1600字の間で記述しなさい。次の8つの用語「情報セキュリティ」「個人情報」「守秘義務」「データ保護」「コンプライアンス」「管理体制」「アクセス制御」及び「サイバーセキュリティ」の中から4つ以上を用いて記述しなさい。記述文中で用いた用語は「 」で囲んで記述すること。
用語は①、②の全体を通して(「①のみ」「②のみ」「①、②併せて」のいずれも可)、4つ以上を用いていればよい。
①建設コンサルタント業務における情報管理の現状と課題
②建設コンサルタント業務における情報管理の課題への対応
※類似の過去問題はありません。
(3)設計成果の品質向上
設問①、②について、業務遂行能力の観点から、1200~1600字の間で記述しなさい。次の6つの用語「BIM/CIM」「照査体制」「コミュニケーション」「合同現地踏査」「業務スケジュール管理表」「建設コンサルタント業務の発注方式・評価方式」の中から4つ以上を用いて記述しなさい。記述文中で用いた用語は「 」で囲んで記述すること。
用語は①、②の全体を通して(「①のみ」「②のみ」「①、②併せて」のいずれも可)、4つ以上を用いていればよい。
①設計成果の品質向上における現状と課題
②設計成果の品質向上に向けて、発注者と建設コンサルタントの対応のあり方
※2021年度の(3)がキーワードまで含めて全く同じ問題です。
(4)BIM/CIMの適用
設問①、②について、1200~1600 字の間で記述しなさい。次の8つの用語「3次元モデル」「電子納品」「BIM/CIMの活用目的」「生産性向上」「フロントローディング」「デジタルトランスフォーメーション(DX)」「データ連携」及び「プロセス改革」のなかから 4つ以上を用いて記述しなさい。記述文中で用いた用語は「 」で囲んで記述すること。
用語は①、②の全体を通して(「①のみ」「②のみ」「①、②併せて」のいずれも可)、4つ以上を用いていればよい。
①BIM/CIMの適用により期待される効果
②BIM/CIMの適用にむけて克服すべき課題
※2023年度の(3)がキーワードまで含めて全く同じ問題です。
(5)SDGsへの取り組み
設問①、②について、1200~1600字の間で記述しなさい。次の7つの用語「飢餓」「水循環」「エネルギー」「技術革新」「まちづくり」「気候変動」「生物多様性」のなかから4つ以上を用いて記述しなさい。記述文中で用いた用語は「 」で囲んで記述すること。
用語は①、②の全体を通して(「①のみ」「②のみ」「①、②併せて」のいずれも可)、4つ以上を用いていればよい。
①SDGsの17の目標と関連する我が国における社会課題
②社会課題の解決に向けた建設コンサルタントの役割
※2022年度の(3)がキーワードまで含めて全く同じ問題です。
(6)安全な国土づくり
設問①、②について、1200~1600字の間で記述しなさい。次の8つの用語「巨大災害」「国民経済・生活」「サプライチェーン」「重要インフラ」「国土強靭化」「ハード対策」「ソフト対策」及び「災害に強いまちづくり」の中から4つ以上を用いて記述しなさい。記述文中で用いた用語は「 」で囲んで記述すること。
用語は①、②の全体を通して(「①のみ」「②のみ」「①、②併せて」のいずれも可)、4つ以上を用いていればよい。
①わが国における安全な国土づくりに向けた課題
②安全な国土づくりに向けた防災・減災及びまちづくりのあり方
※2022年度の(4)がキーワードまで含めて全く同じ問題です。
- 答案準備の基本的考え方
問題3は6問中1問が出題されるため、この答案を全部準備して記憶していくのは大変だし非効率的です。このため、課題と提案の項目と項目ごとの書くべきキーワードからなる骨子を作って記憶し、文章そのものは当日試験会場で作成するようにすることをお勧めします。
ただ、全くゼロベースで文章を試験当日に作るのは大変だと思うので、骨子を使って文章を作るトレーニングは何度か行なっておく必要はあると思います。
ただしそのようにして文章を作成した場合でも、その文章を丸暗記することはやめましょう。なぜなら骨子から文章を作成する作業はロジックやストーリーといったものを「考える」作業ですから、文章を多少忘れても元となる骨子をしっかり覚えていればどうにかなりますが、文章丸暗記は文字面を「覚える」作業であり、もうそこにはロジックやストーリーがなくなってしまうので、一部を忘れてしまって抜け落ちやおかしな表現が出てくると、全体のロジックやストーリーがおかしくなってしまい、高得点が期待できなくなるからです。
だいたいにおいて丸暗記に走ろうとする人は、ロジックやストーリーを理解する力が不足していることが多いので、丸暗記した文章の一部が変わってロジックやストーリーがおかしくなって「似たような言葉が使われていても、文章の意味合いが全く変わってしまっている」状態になっても、そのことに気がつかない・理解できないのです。
もし自分がそういうタイプだと思うのであれば、ロジックやストーリーに弱いとコンサル業務でもいい仕事ができませんから、この試験を機会に技術者としてステップアップすることを目指しましょう。
骨子作りは次の手順で行います。
①キーワードを、
・ネガティブなもの:好ましくない現状や予想される状況などに関するワード
・ポジティブなもの:実施すべき施策取組みなどに関するワード
・その中間的なもの:課題にも対応策にも使えそうなワード
の3つに分類する。ネガティブなものは課題に、ポジティブなものは対応策に割り振る。中間的なものはとりあえず課題にも対応策にも割り振らない。
②割り振ったキーワードから、実際の施策・取組みや問題となるワードを導く。これが課題や対応策の項目名になってくる。
(例:「ハード対策」「ソフト対策」「防災&減災」からハードとソフトを一体化した多重防御、あるいはハードソフトベストミックスといった施策に関するワードを考える)
キーワードが項目名そのものに含まれるようであればなおよい。
③その項目名と対になるワードを考える。項目名のワードを裏返して考えるとよい。課題に関する項目名に対して考えたのであれば対応策の、対応策に関する項目名に対して考えたのであれば課題の項目名となる。(例:ハードとソフトを一体化した多重防御に対してであれば、「ハード対策の限界」とかいったワードになる)
④このようにして、課題と対応策のペアを2つから3つ程度考える。これで骨子は完成。
この骨子を元に答案を作成するわけですが、全体で1600字という制限の中で、各項目に何文字程度割り当てられるかを考え、その文字数枠に応じた文章を考えるトレーニングを積むことをお勧めします。
紙の答案用紙に書いていた時代なら「何行」という目安で考えられたのですが、 CBTではちょっと難しく、おそらく答案入力フォームは「1行何文字」ではなく「全部で何文字」という制限しかないと思われます。そして画面上で1行何文字になるかはディスプレイの解像度次第で、さらにユーザーが画面ズームをできるような仕様の場合はもっと自由に1行の文字数を変えられてしまうので、行数ではなく文字数で考えておくしかないと思われます。
こういったことから、文字数に相当する文章がどういった内容の、どういったボリューム感のあるものなのかをトレーニングの繰り返しの中で身につけることがお勧めになってきます。
- 答案の構成
問題3は、大きく①課題、②その対応策という2部構成になっているだけで、問題1のように項目名が細かく決まってはいません。課題や対応策の書き方は自由ですが、それだけに答案の構成で差がつくことが考えられます。つまり章立てが大切だということで、大項目・中項目というように入れ子構造にした章構成、箇条書きの活用による簡潔明瞭な論述に留意してください。
一方、答案は1,600字以内で、改行もするので、それほど多くのことは書けません。ということは、入れ子構造にしたうえで、短文(箇条書きというほどではないが、接続詞で文章をつないでいった長文とも違う、1つの項目に1つの事柄だけを述べたもの)を並べるようにすれば、省力的に(つまりあまり多くのことを書かなくても)答案を作成することができます。例えば以下のような構成です。
ここでインデントもできるといっそう読みやすくなるのですが、実際の試験ではCBTのシステム制限上、インデントはできないと思われます。ただ行等を1文字字下げすると少し読みやすくなりますが、スペースも1文字カウントされるので、注意してください。
答案の構成
①●●の課題
(1) ▲▲▲(課題の1つ目)
・□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□
・□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□
(2) ■■■(課題の2つ目)
・□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□
・□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□
(3) ◆◆◆(課題の3つ目)
・□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□
・□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□
②●●の課題への対応のあり方
(1) ▲▲▲(対応策の1つ目)
・□□□□□□□□□□□□□□□□□□□
・□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□
(2) ■■■(対応策の2つ目)
・□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□
・□□□□□□□□□□□□□□□
(3) ◆◆◆(対応策の3つ目)
・□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□
・□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□
このように、答案は入れ子構造と行頭に段落記号(上記の場合は「・」を入れた短文のみから構成することができます。行末に空白が多く、記述量をあまり多くせずに簡潔明瞭な答案が賭けます。また、大項目や中項目ごとに空行を入れてもかまいません。
このとき注意しないといけないのは、課題とあり方の各項目(上記(1)(2)(3))は1対1に対応していなければならないことです。課題の(1)とあり方の(1)が別のことについて述べていたり、課題が3つあるのにあり方は2つしかないなどといったことはあってはいけません。
- 各問題の答案骨子の考え方
- 工程管理と働き方改革
(1)工程管理と働き方改革
設問①、②について、業務遂行能力の観点から、1200~1600字の間で記述しなさい。次の7つの用語「工程表」「情報共有」「履行期間」「長時間労働」「ウィークリースタンス」「生産性向上」「ワークライフバランス(WLB)」の中から4つ以上を用いて記述しなさい。記述文中で用いた用語は「 」で囲んで記述すること。
用語は①、②の全体を通して(「①のみ」「②のみ」「①、②併せて」のいずれも可)、4つ以上を用いていればよい。
①建設コンサルタントの工程管理の現状と課題
②建設コンサルタントの働き方改革と工程管理のあり方
まずキーワードを分類すると下表のようになります。
ネガティブなキーワード | ポジティブなキーワード | 中間的なキーワード |
長時間労働 | 情報共有 ウィークリースタンス 生産性向上 | 工程表 履行期間 ワークライフバランス(WLB) |
ポジティブなキーワードが多いので、これと中間的キーワードを対応策に割り振ることをまず考えます。つまり対応策から考えていきます。
対応策は、基本的には就業時間を短くすることで長時間労働をなくし働き方改革を実現するという内容にしますが、時短には①適正な工期設定、②生産性向上、③就業形態の見直し、④ミスによる手戻り防止の4つが考えられます。
①については、年度またぎの履行期間を設定した発注の増加があります。そのためには繰越処理の柔軟な運用が必要です。
②についてはデジタル技術の活用があります。生産性が向上すれば長時間労働が解消されます。
③はウィークリースタンスです。休日明け日は依頼の期限日としない(マンデー・ノーピリオド)、)ノー残業デーは勤務時間外の依頼はしない(ウェンズデー・ホーム)、金曜日等は新たな依頼をしない(フライデー・ノーリクエスト)、昼休みや午後5時以降の打合せを行わない(ランチタイム・オーバーファイブ・ノーミーティング)、終業時間前に依頼をしない(イブニング・ノーリクエスト)といったものです。
④は業務スケジュール管理表を使った発注者との情報共有や、工程表に照査時間を位置づけて時間を確保することによるミス・手戻り防止があります。
なお、キーワードのうち「ワークライフバランス(WLB)」というように( )付きになっているものは、最初に( )付きで「 」で囲って一度使えば、以後は「WLB」といった略語で使えます。キーワードの使用カウントは一度使えばもう再カウントしてもらう必要はないので、「 」も不要です。
(骨子例)
課題 | 対応策 |
所定外労働時間が長く長時間労働で、ワークライフバランスが悪い | 就労時間短縮で長時間労働解消とワークライフバランス改善により働き方改革を実現 |
・業務繁忙期の集中 単年度発注で年度末が繁忙期 徐々に改善されつつあるが、いまだに年度末所定外労働時間が長い | ・適正な工期設定 適正な履行期間を確保した上での繰越処理の柔軟な運用による計画的な業務発注 |
・生産性が低い 労働集約型現場作業が多い、技術者の経験工学的判断に依存、事務的作業が多い | ・生産性向上 デジタル技術の積極的な活用(ドローン、AI、RPAなど) |
・所定外労働につながる就業形態 週明け期限作業や週末依頼・終業前依頼、昼食時間や終業後の打合せ、ノー残業デーの形骸化など | ・就業形態の見直し ウィークリースタンス(マンデー・ノーピリオド、ウェンズデー・ホーム、フライデー・ノーリクエスト、ランチタイム&オーバーファイブ・ノーミーティング、イブニング・ノーリクエスト) |
・ミスによる手戻り 工程に関する受発注者間連携不足 照査時間を確保していない工程計画 | ・ミスによる手戻り防止 業務スケジュール管理表による発注者との情報共有 照査時間を確保した工程表 |
- 情報管理の取り組み
(2)情報管理の取り組み
設問①、②について、業務遂行能力の観点から、1200~1600字の間で記述しなさい。次の7つの用語「工程表」「情報共有」「履行期間」「長時間労働」「ウィークリースタンス」「生産性向上」「ワークライフバランス(WLB)」の中から4つ以上を用いて記述しなさい。記述文中で用いた用語は「 」で囲んで記述すること。
用語は①、②の全体を通して(「①のみ」「②のみ」「①、②併せて」のいずれも可)、4つ以上を用いていればよい。
①建設コンサルタントの工程管理の現状と課題
②建設コンサルタントの働き方改革と工程管理のあり方
キーワードは全てポジティブなキーワードなので、これからストーリーを作る必要があります。
キーワードのうち「個人情報」は守るべき情報であり、「守秘義務」「コンプライアンス」は建コンが負っている社会的義務責務、「データ保護」「アクセス制御」「サイバーセキュリティ」は情報保護手段、「管理体制」は情報管理の体制、そして「情報セキュリティ」は情報管理として求められていることの全体といえるでしょう。そしてこれらキーワードを裏返して、問題・課題となるワードが導かれます。たとえば情報漏洩・サイバー攻撃などです。
「①建設コンサルタント業務における情報管理の現状と課題」については、上記白書の「建設コンサルタントにおける情報セキュリティの現状」の前半部分をベースに文章を作り、具体的な脅威に対する課題としてサイバー攻撃対策と情報漏洩(サイバー攻撃以外も含む)対策をあげるといいかなと思います。また「管理体制」を対応策として書くのに合わせて、情報管理に関する体制が整っている企業が限られているといったことを書いてもいいでしょう。
「②建設コンサルタント業務における情報管理の課題への対応」は、サイバー攻撃対策(サイバーセキュリティ)、情報漏洩対策(たとえばUSB持ち出し紛失等も含めた、サイバー攻撃以外の対策)、そして体制作りをあげればいいかなと思います。
(骨子例)
現状と課題 | あり方 |
・建コンが扱う情報は個人情報を含む重要な情報 ・情報セキュリティに関する不祥事発生の場合、守秘義務違反も含め企業コンプライアンス、業界全体の社会的責任に発展しかねない | ・情報セキュリティにおける内外の脅威およびリスクを強く認識する ・仕組みや事例を基に情報セキュリティ対策を講じることが重要 |
・情報管理体制 中小企業では情報セキュリティ重要性認識不足、担当者・ルールがないなど管理体制不十分も多い | ・情報管理体制 CISO、対応方針、管理体制構築、コンプライアンス教育 |
・情報漏洩 USB持ち出しその他の情報漏洩リスク | ・情報漏洩対策 ルール策定と徹底、アクセス制御 |
・サイバー攻撃 特にランサムウェア | ・サイバーセキュリティ ランサムウェア等のシステム侵入防止 |
- 設計成果の品質向上
(3)設計成果の品質向上
設問①、②について、業務遂行能力の観点から、1200~1600字の間で記述しなさい。次の6つの用語「BIM/CIM」「照査体制」「コミュニケーション」「合同現地踏査」「業務スケジュール管理表」「建設コンサルタント業務の発注方式・評価方式」の中から4つ以上を用いて記述しなさい。記述文中で用いた用語は「 」で囲んで記述すること。
用語は①、②の全体を通して(「①のみ」「②のみ」「①、②併せて」のいずれも可)、4つ以上を用いていればよい。
①設計成果の品質向上における現状と課題
②設計成果の品質向上に向けて、発注者と建設コンサルタントの対応のあり方
キーワードはすべてポジティブなキーワードで、基本的に三者会議において修正箇所が発生した内容への対応なので、どういった修正内容が発生しているかということを現状としてあげてを改善するという課題とし、それに対応した対策を、キーワードを網羅しながら書いていけばいいと思われます。
まず建コン協会の提案のうち、現場条件関連のキーワードとしては合同現地踏査があげられます。
また単純エラー対応策として、照査体制、業務スケジュール管理表があります。
さらに国交省の取り組みとしてBIM/CIM(CIM導入)、建設コンサルタント業務の発注方式・評価方式(総合評価落札方式の改善)がありますね。BIM/CIMは確実な照査の実施に関する取組みなので、単純エラー対策として書くといいでしょう。
キーワードとしては「コミュニケーション」が残りますが、これは施工関連段階で設計成果における施工時の留意事項が発注者に十分伝達されなかったというエラーがあるようなので、この対応として監督職員とコンサル側担当者との十分なコミュニケーションといった内容を書くといいでしょう。
(骨子例)
現状と課題 | 対応策 |
・現地踏査・設計計画段階でのエラー 現地状況や現地制約条件等の確認不足 | ・現場条件の確実な設計への反映 現地踏査での確認事項の漏れをなくすためのチェックシートの活用 設計内容確定時の合同現地踏査の実施 施工条件明示チェックシートの運用 |
・設計計画段階での設計条件・基準類の設定判断エラー | ・照査・打合せによる設定判断エラー防止 同種実績のある上位技術者による照査実施 設計条件確定時の業務打合せの充実 |
・設計段階での単純エラー インプットデータ入力等、作業時の不注意や確認不足 設計図面と数量計算との不整合 担当者間の情報伝達漏れ 照査チェック時の時間不足によるミスの見過ごし等 | ・照査体制充実等による設計段階での単純エラー防止 ミス発生パターンの分析と照査の重点化の検討 照査方法・照査体制の充実 BIM/CIMの活用による確実な照査 受発注者における的確な業務スケジュール管理表の運用 最終設計条件確定後の設計・照査必要期間の確保 |
・施工関連段階での伝達エラー 設計成果における施工時の留意事項の伝達不足 | ・密なコミュニケーションによる施行関連段階での伝達エラー防止 監督職員とコンサル側担当者との十分なコミュニケーション、社内コミュニケーションの充実 |
- BIM/CIMの適用
(4)BIM/CIMの適用
設問①、②について、1200~1600 字の間で記述しなさい。次の8つの用語「3次元モデル」「電子納品」「BIM/CIMの活用目的」「生産性向上」「フロントローディング」「デジタルトランスフォーメーション(DX)」「データ連携」及び「プロセス改革」のなかから 4つ以上を用いて記述しなさい。記述文中で用いた用語は「 」で囲んで記述すること。
用語は①、②の全体を通して(「①のみ」「②のみ」「①、②併せて」のいずれも可)、4つ以上を用いていればよい。
①BIM/CIMの適用により期待される効果
②BIM/CIMの適用にむけて克服すべき課題
基本的には特徴キーワードと効果キーワードを組み合わせて①適用により期待される効果を書き、それを実現するうえでのBIM/CIM適用におけるハードルをあげればいいでしょう。
効果ですが、まずは3次元モデルによる合意形成促進、属性情報の建設プロセスでの連係による生産性向上ですね。建設コンサルタント白書には「3次元モデルに付与する属性情報を活用することで、発注者の事業マネジメント、とりわけ工事における生産性向上に貢献」とありますから、この文章をそのまま引用してもいいでしょう。
フロントローシングも生産性向上効果が期待されます。建設コンサルタント白書には「近年、(中略)整備事業全体のなかでフロントローディング等を行う生産性向上への舵を切った。特に、測量や調査の段階から維持管理まで一貫して有益な情報を管理していくことが、事業全体のフロントローディングとして大きな効果を生み出すと期待されている」とあります。
そしてDXについては、こういったBIM/CIMの3次元モデルや各種ビッグデータを活用することで実現することが期待されます。
ここまでで6つのキーワードを使っているので、克服すべき課題は、どうやって建設コンサルタントがそのニーズに応えるかといったことを書いておけばいいのではないかと思います。
(骨子例)
BIM/CIMの適用により期待される効果 | BIM/CIMの適用にむけて克服すべき課題 |
・3次元モデルによる合意形成促進 ・3次元モデル+属性情報を建設プロセス全体で共有するデータ連係による生産性向上およびフロントローディングによる施工の円滑化や効率的な維持管理 ・建設プロセス改革によるインフラ分野のDXの推進 | ・建コンが作成する3次元モデルがその後のプロセスで情報共有・フロントローディング効果の基盤となる→積極的なBIM/CIMの導入と活用、高度な技術力が求められる ・全国での実施には制度面・基準類の整備も必要 ・一企業だけでは解決できない問題も多いので、建コン協会の講座等も積極的に活用 |
- SDGsへの取り組み
(5)SDGsへの取り組み
設問①、②について、1200~1600字の間で記述しなさい。次の7つの用語「飢餓」「水循環」「エネルギー」「技術革新」「まちづくり」「気候変動」「生物多様性」のなかから4つ以上を用いて記述しなさい。記述文中で用いた用語は「 」で囲んで記述すること。
用語は①、②の全体を通して(「①のみ」「②のみ」「①、②併せて」のいずれも可)、4つ以上を用いていればよい。
①SDGsの17の目標と関連する我が国における社会課題
②社会課題の解決に向けた建設コンサルタントの役割
この問題はおそらくSDGsのゴールごとに割り当てられた7つのキーワードを含めた課題をあげて解決策をあげ、その中での建設コンサルの役割を書くことになると思われます。ですからネガティブ・ポジティブなキーワードという分類ではなく、課題ごとの分類としたほうがいいですね。
農業のことを言っているかな?という「飢餓」と里地里山につながる「生物多様性」というキーワードから里地里山でくくれるかなと思います。森林荒廃→災害激甚化という視点では「気候変動」も盛り込めるでしょう。また水源涵養という点で「水循環」もくっつけられるかなと思います。建設コンサルの役割としては生態系に配慮した中山間地域の地域づくり計画などがあるでしょう。
さらには「まちづくり」というモロに建設分野のキーワードがありますので、まちづくりを課題にあげて、コンパクト+ネットワークにもっていけば建設コンサルの役割も簡単に出てきますね。
そして「エネルギー」「気候変動」「技術革新」はセットにできるでしょう。温暖化緩和策→再生可能エネルギー→イノベーションと話をつなげるといいですね。
(骨子例)
社会的課題 | 建設コンサルタントのあり方 |
・中山間地域の過疎化と荒廃 大都市圏への人口集中の中で地方の中山間地は過疎化が進行、里地里山荒廃等による生物多様性危機、水源涵養機能の衰退による健全な水循環喪失、気候変動に伴う災害激甚化が懸念。食糧供給機能低下で食糧安保上、将来は飢餓の懸念も | ・持続可能な地域づくり 持続可能な農林業を再生することで里地里山荒廃を防止、生物多様性の保全、食料安定供給などの生態系サービス確保に寄与、健全な水循環のための地下水涵養機能確保、豪雨時の雨水流出抑制 建コンの役割:農地基盤整備計画や水理計画、林道計画、治山治水計画など |
・都市のスポンジ化 経済成長期にスプロール化した都市のスポンジ化が進み持続性に懸念 | ・コンパクト+ネットワーク 都市構造を集約し公共交通で結ぶ 建コンの役割:まちづくり計画、マネジメント |
・化石燃料依存のエネルギー源 化石燃料エネルギーに依存は温暖化に寄与するとともに経済安保上も不適切 | ・再生可能エネルギーの導入・拡大都市圏内外に再生可能エネルギーを導入・拡大し、自立分散型エネルギー源を確保VPPやZEH・ZEB等の新技術開発を含め技術革新を進める建コンの役割:自立分散型エネルギーを有し、ICT/IoTの活用により快適に生活できるスマートシティの構築計画・マネジメントなど |
- 安全な国土づくり
(6)安全な国土づくり
設問①、②について、1200~1600字の間で記述しなさい。次の8つの用語「巨大災害」「国民経済・生活」「サプライチェーン」「重要インフラ」「国土強靭化」「ハード対策」「ソフト対策」及び「災害に強いまちづくり」の中から4つ以上を用いて記述しなさい。記述文中で用いた用語は「 」で囲んで記述すること。
用語は①、②の全体を通して(「①のみ」「②のみ」「①、②併せて」のいずれも可)、4つ以上を用いていればよい。
①わが国における安全な国土づくりに向けた課題
②安全な国土づくりに向けた防災・減災及びまちづくりのあり方
まずキーワードを分類すると下表のようになります。
ネガティブなキーワード | ポジティブなキーワード | 中間的なキーワード |
巨大災害 | 国土強靱化 ハード対策 ソフト対策 災害に強いまちづくり | 国民経済・生活 サプライチェーン 重要インフラ |
ポジティブなキーワードが多いので、あり方・解決策から考えていくといいでしょう。
ハード対策・ソフト対策は、東日本大震災における大津波やその後の激甚化する水害・土砂災害の教訓からハードソフトベストミックス・多重防御が提唱され、「水防災意識社会再構築ビジョン」が策定されましたが、その後「流域治水」へと進化しました。内容は基礎知識のところに記してありますが、ハード対策とソフト対策を一体化するだけでなく、上流域でのダム再生等や中流域での遊水池整備(圃場の活用)などを組み合わせ、さらに災害リスクの低いエリアへの居住誘導などを含めた総合対策になっています。
こういった流域治水の対策の中から居住誘導も含めた部分を「災害に強いまちづくり」として取り出して詳述するといいでしょう。具体的には立地適正化計画(コンパクトシティを実現するための計画)の中に防災指針を定めることとされているのですが、それによって居住地の誘導(居住誘導区域の設定)や都市機能の誘導(都市機能誘導区域の設定)に関して取上げるといいでしょう。ここで「重要インフラ」を都市インフラとして書くという手もありますね。
また、サプライチェーン、国民経済・生活といったキーワードからは、物流幹線・緊急輸送道路といった交通インフラ(ここで重要インフラというキーワードを使ってもいいでしょう)が被災するとサプライチェーンが寸断され、国民経済・生活に影響しますので、耐震化やリダンダンシー確保によって強靱化するということを書くといいでしょう。
キーワードは国土強靭化が残っていますが、これはこれまでにあげた二つあるいは三つの課題と対応策のセットを包括して、これらの課題に対応することによって安全安心を確保した国土強靭化が実現するというようなことを書けばいいでしょう。例えば対応策の冒頭に「前述した課題に対して以下のような対応策を講じることで国土強靭化の実現を期する」みたいなことを書けばいいと思います。
(骨子例)
課題 | あり方 |
・気候変動に伴う災害の激甚化対応 気候変動に伴いかつてなかった巨大災害が発生 線状降水帯による局所的豪雨→現行防災インフラの能力を上回る事象→災害が激甚化 | 国土強靱化を実現 ・流域治水 治水計画全体でハード対策とソフト対策を一体化して多層的に防災減災対策を進める |
・災害リスクの高いエリアを避けたまちづくり 災害リスクの高いエリアに居住地・都市機能等の重要インフラがあると災害が甚大化 | ・災害に強いまちづくり 立地適正化計画に防災指針を導入し、災害リスクの低いエリアへの居住地や都市機能に係わる重要インフラを誘導 |
・サプライチェーンの確保 物流幹線・緊急避難道路が被災するとサプライチェーンが寸断、国民経済・生活に影響 | ・サプライチェーンの確保 物流幹線・緊急輸送道路の耐震化や落橋防止、迂回路(特に高速道路のネットワーク化)等のリダンダンシー確保、サプライチェーンに関わるBCPの策定 |
- 問題1と同様、とにかく読みやすい文章を書く。
- 小項目・箇条書きを使う。
前述したような入れ子構造の答案にするとともに、積極的に箇条書きを使うと、これでかなり読みお安くなります(読みにくいと点数がガタッと落ちる)。 - 事前に文章まで一度作って、ぼんやりでいいので覚えておくといい。
骨子だけ覚えていって文章は本番で考えてもいいのですが、一度文章まで作っておくと、ぼんやりとでも内容が頭に入るので、本番で文章を作りやすくなります。 - 途中で思いついたエピソードは入れない(構成が崩れやすい)。
- 長文は読みやすければかまわないが、主語と述語のねじれなど、構文エラーや読みにくさにつながりやすいので、避けたほうがよい。