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最終更新:2007.02.12

  1. 目的
    (1) 治水(災害の防止)
    (2) 利水(河川の適正利用及び流水機能の維持)
    (3) 環境(河川環境の整備と保全) ←H9法改正で追加
    ・・・・がされるように管理し、公共の安全と福祉を増進する。
  2. 対象および管理者など
適用河川一級河川二級河川準用河川
国土保安上又は国民経済上特に重要なものに係る河川一級水系以外の水系で公共の利害に重要な関係があるものに係る河川一級河川及び二級河川以外の河川
水系の指定政令で指定  
河川の指定者国土交通大臣都道府県知事市町村長
河川管理者国土交通大臣
(指定区間については都道府県知事に事務の一部を委任)
都道府県知事市町村長




河川区域
行為の制限
(1) 流水占用、(2) 土地占用、(3) 土石等採取、(4) 工作物新築改築除去、(5) 土地掘削・盛土切土 には許可が必要
河川保全区域
指定・行為の制限
河川区域に隣接し、原則として境界から50mを超えない範囲
土地掘削・工作物新築等について許可が必要
河川予定地
指定・行為の制限
河川工事により新たに河川区域となるべき土地
土地掘削・工作物新築等について許可が必要
河川立体区域都市部など河川拡幅困難→河川区域を地下または空間まで指定できる
  1. H9法改正
    (1) 環境整備保全が目的化
    (2) 河川整備計画策定に当たり必要な場合は関係住民の意見を反映させる
    (3) 堤防・ダム湖周辺に樹林帯を整備保全できる

    これだけは覚えよう!
     ●目的は治水・利水・環境
     ●対象は一級河川・二級河川・準用河川
     ●指定・管理は、一級大臣・二級知事・準用市町村長
     ●H9改正で環境整備保全・住民意見反映・樹林帯

河川治水に関する出題実績は、ほとんど洪水・河川堤防に関するものです。

  1. 河川堤防
     最低限、下図に示された名称は覚えておきましょう。


     堤防高さは計画高水位+余裕高で決まります。
    (計画高水位)
     河川計画において、基本高水から計画高水流量を求め、これから計画高水位を決定します。
       ※基本高水:計画基準点における計画規模と計画対象洪水から求められる洪水波形である。
       ※計画高水流量:基本高水をもとに河道・ダム等の施設に配分した設計用の基本流量を計画高水流量という。
        中小河川の計画高水流量を求める場合、一般的に合理式による方法が多く用いられる。

    (余裕高)
     余裕高は下表のように計画流量により決まりますが、これに関して過去に問題が出ています。
計画流量余裕高(m)
200m3/s未満0.6以上
200~500m3/s0.8以上
500~2,00m3/s1.0以上
2,000~5,000m3/s1.2以上
5,000~10,000m3/s1.5以上
10,000m3/s以上2.0以上
  1. その他
     水理も含めてそれほど多くの出題実績はありませんが、キーワードをまとめておきます。
キーワード解説
流出計算雨量から流量への変換を行うことで、雨量と流量の資料をもとに行う。
貯留関数法・タンクモデル法・合理式・準線形貯留型モデル法がある。
合理式はピーク流量算定(流域面積×降雨量×流出係数)が簡単で、比較的流域面積の小さな河川に適用される。
ハイエトグラフ降雨の時間変化をグラフ化したもの。
ハイドログラフ流量の時間変化をグラフ化したもの。
水制工流水方向規制・流砂制御・水勢緩和を目的として、流向に対して70~90°で設置される。
堰・床止工堰は洪水の安全な流下や下流河道洗掘を考慮し、川幅の狭いところは避ける。
床止工は河道縦断勾配緩和・河床維持等を目的に設置される。
堰・床止工周辺は流れが乱れ、堤防侵食の危険性が多くなるので、必ず護岸を設置する。
根固め工被覆工・護岸基礎を洗掘から保護するとともに、変形に追随する構造とする。
横帯工護岸破壊が他に波及しないよう絶縁することが役割で、一定区間ごとに設ける。
等流・不等流人工的に整備された水路では等流となるが、勾配・幅が複雑に変化する自然河川での流れは不等流となる。
  1. 種類と特徴
     ダムについては、その種類と特徴を整理して覚えておきましょう。
    ダム型式としては、アーチダム、重力式コンクリートダム、フィルダム、コンバインダム、中空重力式ダム、バットレスダムなどがありますが、出題実績のある前3者を押さえておけばいいと思われます。 これらの特徴を下表にまとめました。
ダム形式アーチ式コンクリートダム重力式コンクリートダムフィルダム
概要主として構造物のアーチ作用により、水圧等の力に耐えるように造られたダム
水平断面をとると円弧や放物線の形状をしている
ダム提体の自重により水圧等の力に耐えるように造られたダム
一般的には直線形で、横断図は基本的には三角形
ダムの材料として岩石、砂利、砂、土質材料を使って造るダム
遮水構造によってゾーン型フィルダム、均一型フィルダム、表面遮水型フィルダムがある
地形・地質的制約【高】
最もきびしい
谷幅が狭く、強固な岩盤基礎が必要
特にアーチ下流側は十分な厚みの岩盤必要
アーチ推力に対してすべる弱層がないこと
【中】
アーチほどではないがダム高に応じた基礎強度を要する
水平に近い断層・弱層に注意
【低】
基礎強さの制約は少なく砂礫基礎などでもよいが、遮水性・せん断強さ・パイピング抵抗性が要求される。
堤体断面
その他制約事項    堤体と別に洪水吐が必要
ダムサイト周辺で堤体材料を採取できる必要あり
設計手法(基本的仮定)三次元弾性体二次元弾性体二次元非弾性体
  1. 水位と容量に関する用語
    ダムの水位と容量に関する用語はややこしいので試験に出しやすいと思われます。
    下図の内容を頭に入れておきましょう。

砂防に関しては、土石流に関する問題が大部分です。他にも出題される可能性はありますが、土石流一本に絞っておいたほうが得策と思います。以下の5点のみ覚えましょう。
  ●土石流は、急勾配の谷において、水を含んだ土砂・岩石が大量に流出する現象である。
  ●土石流の発生要因・・・・地形・地質などを素因として、降雨・地震などを誘因とすることが多い。
  ●泥流型土石流と砂礫型土石流があり、移動速度は前者がより速い。
  ●我が国の土石流危険渓流(人家5戸以上)はおよそ9万箇所ほどとされている。
  ●対策として、砂防ダムがある。砂防ダムは、透過型ダム・不透過型ダムがあり、コンクリート製の不透過型ダムが一般的に多く見られる。

地すべりに関する設問としては、基礎知識(機構・種類・形成過程・地形地質の特徴・活動要因など)と調査解析手法、対策手法が考えられます。
過去問題を見ると、やはり対策手法に関する問題が多く出ています。

  1. 機構・地形上の特徴
    地盤中の特定の面(層)がすべり面を形成し、この面上を滑動する。
    すべりブロック頭部(冠頭部)では滑動土塊が地山から切り離されることで滑落崖と呼ばれる引張クラックができ、ブロック末端部では、滑動土塊が下方の地山上に乗り上げて、舌部と呼ばれる押し出し土塊を形成する。

    斜面崩壊(がけ崩れ)に比べて、移動速度が緩慢であること、規模が大きいこと、斜面勾配が緩いことなどが一般的な特徴である。

    地形上の特徴として、以下のようなものがあげられる。

    馬蹄型滑落崖/等高線不整/谷型斜面の先が凸型になる
    山腹に台地状地形/押し出しによる 河川の屈曲
①冠頂
②滑落崖
③頭部
④すべり面
⑤脚
⑥舌部
⑦舌端部
  1. 調査解析手法
    調査手法としては、動態観測(地すべりの動きを把握するための調査)が取り上げられています。
    解析方法は出題されていませんが、問題数が増える15年度は要注意ではないかと思います。
調査解析に関する名称など解説
調査手法
(動態観測)
地盤傾斜計地表面に傾斜計測器を設置し、地盤の傾きを観測する。
地盤伸縮計地表面の伸縮を測定する計器で、クラックをまたいで観測する。地すべり発生直後の観測手法として一般的。
パイプ歪計ボーリング孔中に設置して地中変位を測定する。すべり面の位置把握と運動量実測に用いる。
挿入型傾斜計同上。変位量がmm単位で測定できる。
調査手法
(地下水調査)
地下水検層ボーリング孔内に塩水を満たし、希釈されていく程度と深度を観測することで、地下水流動層を把握する。
地下水観測地すべり滑動は地下水位変動と密接に関係していることが多いため、ボーリング孔を井戸加工し、継続的に地下水位の変動を観測する。
地下水追跡蛍光染料や塩水を地すべり上流側から地下水中に混入させ、所々でこれを検出することで地下水流動経路・速度を把握する。
解析手法簡便法Fellenius法ともいう。円弧すべりなどで一般に用いられている式と基本的に同じ。安全側の計算となる。
Bishop法式両辺に安全率Fsがあり、一致するまでトライアル計算する。簡便法より高い安全率が出る傾向がある。
Janbu法過剰間隙水圧を考慮した有効応力計算法。
逆算法地すべり状況から安全率を仮定し、これに合わせてせん断強度を逆算する手法。
仮定安全率逆算法にあたって仮定する安全率。0.95~1.00の値をとることが多い。
必要安全率地すべり対策にあたって目標とする安全率。1.10~1.20の値がとられることが多い。
必要抑止力目標安全率を満たすために必要な、滑動抵抗力の不足分。
  1. 地すべり対策
    地すべり対策手法としては、ざっと下表のようなものがあります。
    一般に抑制工・地下水排除工が安価で、規模の大きい地すべりに向いているため、まず抑制工(地下水排除工)、それでダメなら抑止工に進むことが多いようです。
対策工法対策工法の一般的・代表的な内容
抑制工地下水
排除工
集水ボーリング滑動土塊中に斜め上向きボーリングで排水孔を設け、地下水を排除する。
集水井滑動土塊上部に井戸を掘り、さらに周囲に集水ボーリングを設け、地下水を排除する。集水ボーリングのみの場合より効果が大きい。
地下排水トンネル滑動土塊を横断するように地下排水トンネルを掘り、地下水を排除する。集水井よりさらに効果が大きいことが多い。
押え盛土工地すべり末端に盛土を構築し、滑動を抑える。下方にも地すべりがあるときは、この滑動を助長するので注意。
排土工滑動土塊(特に上部)を排除し、滑動を抑える。上方にも地すべりがあるときは、この滑動を助長するので注意。
抑止工抑止杭工杭(一般に鋼管杭)を滑動土塊中~下部に並べて打設し、地すべりを抑止する。
アンカー工滑動土塊中にアンカーを打設し、地すべりを抑止する。
シャフト工滑動土塊下部~末端にシャフト工(深礎)を打設し、地すべりを抑止する。

とにかく離岸堤の問題ばかりが出ています。次のような事項を頭に入れておきましょう。

用語等解説
海岸侵食近年は海岸侵食が激化しており年間160haに達している。
津波対策計画潮位原則として朔望平均満潮位とする。
養浜工人工的に海浜に砂を補給し海浜保全を図る。
消波工波を消し越波を防ぐことを主目的に構築され、ブロックを用いた勾配1:1.4程度の傾斜式が多く用いられる。
離岸堤消波・漂砂阻止・静穏域確保などの目的で、海岸線より平行に離して作られ、連続堤・不連続堤がある。