口頭試験対策のポイント

※総監の口頭試験対策はこちら

●口頭試験の位置づけ

技術士試験は、次の3段階で行われる試験です。

(1書類審査
要は受験資格の審査です。
この段階で審査されるのは、「指導技術士・監督技術者の下で4年の修習を経たか」あるいは「科学技術に関わる業務に7年間従事したか」といった内容であり、またあくまで願書に記載された内容での審査です。よってここで落ちることはほとんどありません。
この過程をクリアすれば、受験票が発行されます。

(2)筆記試験
技術力が確認されます。確認事項は、受験部門に関する知識および問題解決能力(問題1)、受験科目における専門知識と応用能力(問題2)および問題解決能力(問題3)です。

(3)口頭試験
ここでは、経歴(経歴票および小論文)からコミュニケーション・リーダーシップ、評価、マネジメントといったコンピテンシーについて、さらに技術者倫理と継続研さんについて確認されます。

ポイント

口頭試験では、経歴と技術力については、それがウソであったことがバレた場合を除き、受験審査や筆記試験の結果が覆ることは基本的にありません。

それらについては「確認済み」ですから、自信を持って臨んでください。

●評価事項と配点

口頭試験では、下記の事項について確認されます。

  1. 業務遂行能力(コミュニケーションおよびリーダーシップ、評価およびマネジメント)
  • 概要
    受験願書に付けた経歴票詳細例=小論文を含む)に関して質問がなされ、その中で業務遂行能力が確認されます。

基本的な考え方

  • 確認する能力が専門技術力から業務遂行能力に変わったわけですが、これは「専門技術力ではなく業務遂行能力」ではなく「専門技術力を前提とした業務遂行能力」と考えましょう。
    つまり、専門技術力を駆使して技術的提案をするわけですが、現実社会では人・モノ・カネというリソースの制限や時間の制限、様々なステークホルダーの要求や社会的要請をくみ取る・両立するといったことができなければ、せっかくの技術的提案はこうの空論化します。つまり技術的提案をして、それをいかに現実社会で実現するかという能力が問われているとお考えください。
  • ほとんどの技術的提案は現実社会での実現性を最初から踏まえていると思いますから、技術的提案について、多面的な社会的要求に応えているという側面で答えればリーダーシップ(相反する利害要求の調整)になりますし、限りあるリソースをメリハリをつけて最適配分したという側面で答えればマネジメントになります。そしてリーダーシップとしての提案内容を多様なステークホルダーに説明したという部分がコミュニケーションになり、それら全部と技術的内容も含めて小論文全体を現時点評価して今後の展望を述べるのが評価になります。
  • このような考え方なので、小論文の技術的内容が妥当かどうかという評価項目はないのですが、妥当ではないと判断されてしまうと、それを前提としている業務遂行能力に関するコンピテンシーはすべて妥当ではない(妥当性はない技術提案に基づいて説明したり利害調整したりリソース配分したりしている)と判断されてしまい、業務遂行能力のコンピテンシーが全部×になってしまうことが考えられます。
  • 実際、業務の内容に納得してもらえず、全部×で不合格だったという人がおられます。

  • 2019~2022年度口頭試験での質問内容
    • 経歴及び詳細例(小論文)
      • 説明を求められないケースのほうが多い (2022年度はおそらく7~8割程度は説明なし)
      • 説明を求められる場合、両者で5分、経歴を1分、詳細例を3分といった例が多い
      • 技術的内容に触れられないまま終わることが多い
      • 技術的内容に触れられる場合、単純に知りたいと思ったわからないことへの質問、妥当性についての質問や妥当性確認をどうしたかという質問が多い
      • 「技術士にふさわしいあなた自身の工夫点は」といった質問はほとんどない

カラム:小論文の説明を求められるということはヤバイということ

小論文の説明を求められることはめったにありません。それはなぜでしょう。
説明を求められるのはラッキーだと思っている人がいるかと思いますが、おそらく真逆です。
口頭試験時間が20分しかないのに6つのコンピテンシーを確認しなければならないため、試験官は事前に経歴と小論文を読んで、本番での説明を不要として質問(それも専門技術的な異様ではあくコンピテンシーの内容)から入っていると思われます。
したがって、本番で小論文の説明を求められるということは、「事前によんだけれど理解・納得できなかったから、コンピテンシーの質問に進めない(専門技術的な妥当性がわからないから、それを前提として業務遂行能力の確認に進めない)」ということではないかと思われます。
つまり、説明なしでコンピテンシーの質問から入っている人は、「小論文を読んでおおむね理解納得できたから、その先のコンピテンシーに進んだところから試験を始めましょう」であり、説明を求められた人は、「小論文を読んでもわからなかったから、コンピテンシーには進めない」だと思われます。
ですから小論文の説明を求められたら、「試験官に技術力をアピールする機会がもらえてラッキー」なのではなく「読んでもわからなかったから説明しろと言われている。不合格の瀬戸際にいる」と思って、技術力アピールなど決してせずに、とにかく業務の内容と妥当性を理解してもらうように、わかりやすい説明をするようにしてください。

  • コンピテンシーのうちコミュニケーション
    • 「コミュニケーションについてどうのようにしたか」「コミュニケーションについて工夫した点は」「関係者とどのように意思疎通を図ったか」といった質問が多い
    • 質問の対象は、詳細例を対象とするものが多いが、「詳細例だけでなく、これまでの業務経験の中で」あるいは「業務経歴の中で」というように、業務経歴全体に対象を広げて答えればいいという場合のほうが多い

カラム:コミュニケーションはリーダーシップとワンセットで

次に述べるリーダーシップは相反する利害要求を両立するような技術的中庸案を提案することで、ステークホルダーがそれを納得してくれることでプロジェクトが前に進みます。(そういう意味で「私がプロジェクトを進めた」といいうことでリーダーシップというコンピテンシー名になっているのだと思います)
そこで、ステークホルダーに提案を納得してもらうためには、まずその提案の内容を理解してもらわねばなりません。理解してもらうためには正確に、あるいはわかりやすく説明しなければなりませんが、説明相手が誰なのかよって説明方法を変えなければなりません。専門家には正確に、専門外にはわかりやすく伝える必要があります。この能力、説明相手によって説明の仕方を変えられる能力がコミュニケーションだといえます。
そしてコミュニケーションは、リーダーシップの一部、つまり利害要求中庸案を提案して納得してもらうことがリーダーシップで、そのために説明する部分がコミュニケーションです。ですから、コミュニケーションはリーダーシップとワンセットで考えましょう。

次に述べるリーダーシップは相反する利害要求を両立するような技術的中庸案を提案することで、ステークホルダーがそれを納得してくれることでプロジェクトが前に進みます。(そういう意味で「私がプロジェクトを進めた」といいうことでリーダーシップというコンピテンシー名になっているのだと思います)
そこで、ステークホルダーに提案を納得してもらうためには、まずその提案の内容を理解してもらわねばなりません。理解してもらうためには正確に、あるいはわかりやすく説明しなければなりませんが、説明相手が誰なのかよって説明方法を変えなければなりません。専門家には正確に、専門外にはわかりやすく伝える必要があります。この能力、説明相手によって説明の仕方を変えられる能力がコミュニケーションだといえます。
そしてコミュニケーションは、リーダーシップの一部、つまり利害要求中庸案を提案して納得してもらうことがリーダーシップで、そのために説明する部分がコミュニケーションです。ですから、コミュニケーションはリーダーシップとワンセットで考えましょう。

  • コンピテンシーのうちリーダーシップ
    • 「リーダーシップをどう発揮しましたか」という質問が多く、対象はコミュニケーション同様、詳細例だけでなく業務経歴全体に広げて考えればいいものが多い
    • 「利害関係調整をどうしましたか」という形で質問されていると思われる例が多い。→ぐいぐい引っ張っていくリーダーシップではなく、調整型のリーダーシップを求めている

カラム:不合格原因で最も多いのがリーダーシップの理解不足

「リーダーシップを発揮した内容を説明してください」と言われたら、どんな内容をイメージするでしょうか。一般的な感覚だと、積極的に提案したり、あれこれ段取りしたりして自分が業務を主導した・引っ張っていったというような内容をイメージするのではないでしょうか。
それは間違いです。
コンピテンシー「リーダーシップ」の定義を見ると、「多様な関係者の利害等を調整し取りまとめる」とあります。つまり、多様なステークホルダーの利害要求を調整するのがリーダーシップだということです。これはどういうことでしょう。
皆さんの技術的提案は、「いいものを作る」ということだと思います。生産のQCD(品質・コスト・工期)のうち品質ですね。でも現実には「いいものを作ってくれる」という人もいるでしょうが、「安く作ってくれ」という人もいるでしょう。「早く作ってくれ」という人もいますね。さらに「安全なものを作ってくれ」「環境に優しいものを作ってくれ」という人もいるでしょう。QCDSEですね。
つまり、コストや工期などにも配慮した中で要求性能を満たしたものを作ることが多様なステークホルダーの要求を両立することになり、それがリーダーシップだと考えましょう。相反する利害要求を両立する技術的中庸案を提案することだと思っておけばいいでしょう。

  • コンピテンシーのうち評価
    • 詳細例を対象として「現時点評価をしてください」「振り返って、良かった点や悪かった点を」「改善点はありますか」といった質問が多い
    • 業務経歴全体を対象として「失敗例はありますか」「失敗経験を生かして改善した例は」というように、失敗例を通して確認したと思われる例もある
  • コンピテンシーのうちマネジメント
    • 詳細例や業務経歴を対象に、「業務を遂行するにあたって、人員や設備、金銭、情報などが必要になると思うが、これをどのように割り当てたか」というような、ちょっとわかりにくく長たらしい質問が多く、試験官もわかりにくいと思っているのか長々と説明してくれたという例も少なからずある
    • 逆に「マネジメントはどうしましたか」といった漠然とした質問をされた例も少しある
  • コンピテンシーのうち倫理
    • 「業務にあたり倫理についてはどういうことを重視していますか」といった、やや漠然とした質問をされた例が多い
    • 3義務2責務を言わせるという例もなくはないがレアケース
  • コンピテンシーのうち継続研さん
    • 「資質向上のためにこれまでどういったことをしてきたか」という質問をして、その回答に対して具体例を言わせる(つまり裏を取る)例が多い
    • 「技術士としてどのように資質向上を図っていくか」という質問もして、そこでは論文発表や講師など積極的な行動を求めることが多い。「技術士として」というところがポイント

カラム:マネジメントはリソースの節約ではない

マネジメントはリーダーシップに次いで不合格原因になりやすいコンピテンシーです。これは限られたリソースの配分ですが、これをリソースの節約だと思ってはいけません。コストを縮減したとか作業を効率化して省人化したなどは違うのです。
大事なところには重点的に、そうではないところには必要最小限に、メリハリをつけてリソースを割り当てるのがマネジメントです。限られた予算を大事なところにつぎ込んだとか、限られた業務期間だが重要なところの解析考察はしっかり時間をかけてやったとか、そういったことも述べつつ、そのかわり重要ではないところはできるだけコストも時間もかけず、効率化を中心に考えたといったことですね。

  • 推定される主な質問
    • 経歴/小論文/これまでの業務の中でのコミュニケーション能力・リーダーシップ・マネジメント能力の発揮内容/現時点評価と今後の展望/失敗例・成功例(コンピテンシー「評価」の一環)
  • ポイント
    • 2019年度から従来の「経歴及び応用能力」ではなく、コミュニケーション・リーダーシップ・評価・マネジメントの4つが評価項目になっています。このことから、特に小論文の技術的妥当性や「技術士にふさわしい工夫」といった従来の技術力を評価するという視点から、業務遂行能力を評価する視点にシフトしています。そのいっぽうで、だからといって技術的妥当性はまったく問題にしない(極端な話、技術的におかしいのではないかと思うような小論文であってもスルーする)こともなく、その場合は技術的妥当性を前提にした利害関係調整(リーダーシップ)や評価、マネジメントといった項目で×になっているようです。
    • 以上のことをふまえると、以下のような準備が必要であろうと思われます。
      • 経歴と小論文の内容を簡潔明瞭に説明できるようにしておく
      • 技術的妥当性について試験官が納得できるようにしておく (できれば小論文を読んで納得できるのがいいが、それが難しいようであれば補足説明ができるようにしておく)
      • 業務の中でのコミュニケーションをどのようにとったかを言えるようにしておく
      • 業務の中でのリーダーシップをどのようにとったかを言えるようにしておく
      • 業務の中で限られたリソース配分(マネジメント)をどのように行ったかを言えるようにしておく
      • 業務を振り返り、現時点評価や今後の展望が言えるようにしておく
      • 上記の4つのコンピテンシーについて答えられるためようにするため、コンピテンシーの内容をしっかり理解しておく(これが一番合否を分ける)
  • 小論文(業務内容の詳細)については、近年は3分程度で、あるいは経歴と小論文をセットで5分程度で、説明を求められた受験生が多くなっています。今年度は評価基準が変るのでどうなるかはわかりませんが、経歴2分+小論文3分程度でのプレゼン(説明)準備をしておきましょう。
    よいプレゼンができるか内容を理解してもらい、問題解決内容について評価してもらえるか)が勝負です。(そのためには、プレゼンを意識した小論文が書けているかどうかが重要です)
    この小論文評価が口頭試験の最大のヤマになると思われます。
    ただし小論文のプレゼンの中でコンピテンシーの内容まで積極的に述べなくてもかまわないと思います。なぜならコンピテンシーの質問は必ず来るのでそこで答えればいいからです。プレゼンの中で説明したからもう質問が来なくなるということはありません。ですから小論文のプレゼンは技術的な妥当性の説明にとどめ、コンピテンシーに関しては質問の中で答えると割り切ったほうがいいと思います。
    経歴票と小論文の間に矛盾がないことが最低限必要です。
    筆記答案に関して質問が来ることもあります。間違っていたところを修正しておくのは無論、一歩踏み込んだ議論(たとえば施策の実現策)にも対応できるようにしておきましょう。
  • 公表されている配点
    • 60点(コミュニケーション・リーダーシップ:30点、評価・マネジメント:30点)

  • 2.技術士としての適性(技術者倫理、継続研さん)
  • 概要
    • 技術者倫理と継続研さんについて、技術士としての適性を確認します。
  • 主な質問
    • 業務の中で技術者倫理として重要視していることは何か/3義務2責務に関連した質問(以前に比べればほとんど来なくなっています)/資質向上・CPDに関して実施していること・技術士になったらやろうと思っていること/CPDの仕組みの内容
  • ポイント
    • 倫理は、コンピテンシー「技術者倫理」の定義を読めば、ほぼ公益確保の事を言っていることがわかります。従って業務の中で重視していることとしては鋼橋の安全と環境の保全の事を述べれば良いと思われます。
    • ただしそういったお題目だけで終わらず、小論文の中で具体的にどのような配慮をしているかまでまとめておいた方がいいでしょう。これには二つの視点があります。業務が安全や環境をできるだけ損ねないようにするという配慮が一つ、業務が安全安心な社会や地球環境など持続可能な社会の形成に貢献している(例えば道路改良工事をすることにより交通安全に寄与するとともに、交通流の円滑化により温暖化ガスの排出抑制につながる)という視点が一つです。
    • 継続研さんは、資質向上のために日頃どういったことをしているかを素直に述べれば良いでしょう。専門誌の購読や講習会の参加などですね。
      「技術士になったら資質向上のためにどのようなことをしたいか」と問われることもあると思います。その場合は従来と同じような事を継続するとともに、より積極的に業務発表や論文投稿などを行うというような姿勢を見せるといいと思います。技術士会に入って交流するというのもいいですね。
  • 公表されている配点
    • 40点(技術者倫理:20点、継続研さん:20点 )
  • ポイント
    多くの場合、(1)→(2)の順で口頭試験が進みますが、まれに逆(倫理から入る)こともあります。

●合格基準は?

全項目60%以上が合格ライン
文部科学省発表によれば、口頭試験の合格条件は評価項目全てが60点以上であることです。筆記試験も合格ラインは60点であり、これは他の国家試験と同じです。
すなわち、

(1) コミュニケーション・リーダーシップ
(2) 評価・マネジメント
(3) 技術者倫理
(4) 技術士制度の認識その他

の全てが60%以上の評価を取っていることが合格条件となります。1つでも60%未満の項目があってはいけません。つまり、配点ウェイトは関係ありません

どうやって採点している?

加点方式だと考えておこう

口頭試験は評価項目ごとの総合評価あるいは加点方式であり、持ち点から減点していくような方式ではないと思われます。
すなわち、0点から始まって、評価項目それぞれで60%相当の点数を獲得するか、「これ以上の得点は無理」と判断した時点で次の項目に進んでいるのではないかと推定されます。
ただ採点は、細かくチェックシートのようなものがあって点数を刻んでいくようなものではなくて、各評価項目に関する質問を出して、その回答に対してざくっと評価して進めている可能性が高いと思われます。
全体としては項目ごとに進行しており、それぞれの中で60%以上の評価ができるまで(あるいは試験官が得点上積みをあきらめるまで)質問を繰り返すと思われます。

とにかくシンプルに短く答える

 試験時間は原則20分です。最大10分延長できますが、各受験生に通知した試験開始時間はおおむね20分おきに設定されていますから、20分後には次の受験生が入ってきます。
ですから、受験生の出入り時間・試験官のとりまとめ時間なども含めると、20分より少し短い、17~19分が実質試験時間と思われます。
その中で6つのコンピテンシーを確認していかなければなりません。少し時間的に余裕が持ちたいと思えば、コンピテンシー1つあたり3分程度で進めていかなければならなくなります。さらに経歴や小論文の説明をさせたら1つ当たり2分くらいしか取れなくなります。なのに質問への回答を2分も3分も喋ってしまったら、ひとつのコンピテンシーで1回の質疑しかできなくなり、その回答が不適切だったらもうアウトです。
100点取ろうと思ってはいけません。完璧な回答を目指してしまうと、どうしてもあれもこれもと盛り込んで回答が長くなります。1分以上喋られても人間は頭に入り切りません。増してあれもこれもと盛り込まれたらなおさらです。
 よって、短くシンプルに答えることが非常に重要になります。特にシンプルに答えること、「要はどういうことなのか」というコアの部分だけをざっくり伝えることが非常に重要になります。
制限時間内に各項目で60%の点数を獲得できるかどうかという試験になります。ですから、もたもたしていてはいけません。わからない設問に何とか答えようと考えに考えて回答が間違っていたら、貴重な時間を費やして加点なしになってしまいます。わからなければスパッとあきらめて「わかりません。勉強します」と言って、次に行ったほうがはるかに得策です。
 また、質問意図を取り違えないことも非常に大事になります。貴重な時間を的外れな回答で浪費してしまっては全く加点できませんし、自分自身が焦ってしまって力を発揮できなくなります。中には「技術士の倫理について話してください」などという非常に抽象的な、あるいは遠まわしな質問も考えられます。こういうときは「こういうことをお答えすればいいでしょうか」「ご質問の主旨がわかりません」などと確認等して、的外れにならないようにしましょう。
なお、本当のタイムリミットは30分です。これは、20分でまだ不十分と判断した場合には最大10分延長してなんとか合格させようとするといった対応を想定していると思われますが、延長をすると次の受験生を待たせることになります。おそらく20分サイクル数回ごとに「空きの20分」が設けてあって、延長時間分の調整や試験官のとりまとめ・休憩にあててあると思いますが、それでも次の受験生が待っている状況で、気軽に延長はしないと思います。まして今年度はコロナ対策で消毒作業などもあるようですからなおさらです。
ですから、20分弱で終了することを目標に試験官は質問してくるでしょう。ですから簡潔明瞭に次々に質問をこなし、効率的に加点しましょう。

ポイント

筆記試験への点数上積みではなく、口頭試験自体の点数で合否が決まります。
したがって、筆記で90点だった人も、筆記で60点ギリギリだった人も、同じスタートラインからの試験になります。
加点方式だと思って、制限時間内に効率よく点数を稼ぎましょう。わからない問題でモタモタしていては時間の浪費です。
筆記がよくできた人は油断せず、筆記がイマイチだった人は気を楽に持ってチャレンジしてください。

戻る

口頭試験が具体的日程を持って迫ってくると、質問される内容を想定していて、その範囲がどんどん拡大して「どこから手をつけたらいいかわからない」状態になって、精神的に落ち込んでしまう人がよくいらっしゃいます。
口頭試験での質問内容は、6つのコンピテンシー(コミュニケーション・リーダーシップ・評価・マネジメント・技術者倫理・継続研さん)に関する質問だけだと思ってもかまいません。
その他の質問も若干あるようですが、60%合格ラインをクリアするためには、上記の質問に対応できるようにしておけば、不合格リスクはかなり小さく出来ます。
これを踏まえて、どのように口頭試験対策を進めていったらいいか、提案します。

  1. 経歴と小論文の説明準備をしっかりと
    実際にはこれは省略される可能性のほうが高いのですが、質問は基本的に経歴と小論文に関してのものですので、まずはこの内容を整理するところから始めましょう。
  2. 経歴・小論文の内容をコミュニケーション・リーダーシップ・マネジメントおよび評価について整理
    ここがおそらく合否を決めます。最初からそういったコンピテンシーを考えて小論文を書いている人はいいですが、そうでない人はこれらのコンピテンシーをしっかりと小論文の中に落とし込みましょう。
  3. 筆記答案をしっかり再現し、不十分な箇所のフォローをしっかりと
    可能性はほぼないですが、筆記答案に関する質問が来た例はあるので、一応準備しておきましょう。問題2や3がB評価だった人は特に注意です。
  4. 想定問答や体験記をもとに、繰り返し訓練を。
    押さえるべきところを押さえたら、後は繰り返しトレーニングです。

    この4ステップで進めましょう。

●小論文をいかにコンピテンシーに落とし込めるかが最大のヤマ!

(1)小論文対策

  • 小論文の説明
  • 小論文の説明を求められる。
    試験時間が短いので、小論文についてはいきなり質問から入ってくる場合もありますが、論文だけではなかなか内容がわからないでしょうから、説明を求める可能性が高くなると思われます。
  • 説明時間は3分程度を標準にしましょう。それより短いといくらなんでも内容を把握できないでしょうし、それより長いと質疑応答時間が取れなくなってしまいます。また「簡単に」と言われた場合も3分程度なら「簡単に」の範疇です。
  • 小論文を口頭説明するとき、最悪なのは小論文の内容そのままで話すことです。である調をですます調に替えただけの説明は、読んでいるのと変わりません。
  • なぜそれが最悪かというと、退屈なことはもちろんですが、小論文を読んだのと同じ理解しか得られないことが問題なのです。
  • 試験官は、①小論文を読み、②説明を聞き、③質疑応答をして小論文の理解を深めていき、「60点程度納得できる」と判断できた時点で「OK」と評価します。
  • ですから小論文を読んでの理解度が、説明で深まらないのであればそれは時間の無駄なのです。
  • その次によくないのは3分に詰め込みすぎて試験官が理解しきれないことです。少しでも高い評価を得たいと思ってあれもこれも詰め込むと、話の展開が早すぎることになり、試験官の頭に入りきりません。「最低限これだけは伝えたい」ことを厳選して、話し手にとっても聞き手にとっても余裕のある説明をしましょう。
  • そのために、小論文の説明内容(プレゼンシナリオ)をまとめましょう。小論文に書いてある内容を話し言葉に合わせて並べ替えたり、また書ききれなかったことを補足したり余計な(制限時間の中では話しきれない)部分を省略したりして、3分で余裕をもって話せるシナリオを作ることをお勧めします。
  • どのようなことを話すといいのかということですが、以下のような構成ではいかがでしょうか。
    1. 業務概要
      初見同様の人にもわかるように説明します。30秒くらいが目安ですが、現場のシチュエーションが複雑な人もいるでしょうから、その場合は1分くらいかけてもいいかなと思います。
      ここが以外に重要で、業務内容が頭に入らないと、その後の問題点も解決策も全部頭に入りません。
    2. 立場役割
      基本的には省略してかまいません。
    3. 問題・課題
      問題(困ったこと、解決しなければならないもの)・課題(問題解決のためにやるべきこと・求められたこと)を明確にします。
    4. 解決策(方向性→具体策)
      「そこで私はこう考えてこう提案しました」というように、まずは考え方・方向性を述べ、続いて具体的な提案内容を述べます。
      提案内容だけではなく、提案の考え方を述べることが最重要ポイントです。なぜなら、技術士にふさわしいかどうかは、提案内容ではなく提案の考え方で評価されるからです。
      これは資格試験ですから、業務ではなく技術者を評価します。業務評価であれば提案内容がよければ、それが誰が・どうやって提案したものであっても関係ありませんが、技術者評価であれば、その人がどのように考えて提案したのかが大事になります。提案だけならひらめき・思いつきやパクリででもできますからね。
      小論文には提案内容しか書いてないかもしれませんが、そんなことは気にすることはありません。評価されるのは4月の自分ではなく今の自分なのですから、提案根拠となる考え方をしっかり述べましょう。
      なお、ここで無理にコンピテンシーに関する説明を入れる必要はありません。もともと入っているのであれば説明は必要ですが、そうではなく専門技術的な問題解決だけになっている場合、そこにコンピテンシーに関する事項を付け加えると話が散漫になって理解しにくくなる上、説明も長くなってしまいます。あるいは専門技術的な解決策に関する内容が薄くなってしまって、専門技術的内容に疑いを持たれることになりかねません。小論文の説明は専門技術的な内容に限定して、まずは専門技術的妥当性について理解してもらい、コンピテンシーに関しては質問に答える中で理解してもらうという順序・考え方がいいと思います。
    5. 成果
      省略してもかまいません。時間に余裕があれば、提案によって課題が解決したことだけをさらっと述べましょう。副次的効果のようなものは評価につながりませんから言わないようにしましょう。時間の無駄です。
  • 口頭説明時の注意点

プレゼンシナリオを作る場合、書き言葉(文章)と話し言葉(セリフ)の違いを十分考慮してください。

  • 話し言葉は一息の長さ
    文章でシナリオを作った場合、たいていの場合は文が長すぎます。
    話し言葉の長さは基本的に「一息の長さ」、つまり息継ぎをせずに話せる長さです。
    それ以上の長い文だと、途中で息継ぎが入り間が空くので、理解が妨げられます。それにそんなに長い文は頭にすっと入りません。
  • 話し言葉に漢字はない
    ひらがなやカタカナは表音文字ですが漢字は表意文字ですね。
    ですから同音異義であっても、音的には少々難しい表現であっても、漢字を見れば意味がわかるので、われわれは気楽に漢字を使うのですが、これは話し言葉では通用しません。
    ですから「考察しました」でも「推察しました」でもなく「考えました」と平易な表現にしたほうがいいわけです。
  • 専門用語は使わない
    試験官は同じ科目の技術士だから専門用語を使ってもいいだろう。いや、専門用語を使ったほうがレベルが高いと思われる…まったく逆効果です。
    試験官がズバリ専門分野が同じであればともかく、そうでなければ理解が難しくなりますし、何より専門用語は直感的に理解できない場合は多いので、漢字による表意もなく、また言葉の意味を考えて理解する時間もないヒアリング(試験官が口述を聞くこと)では、試験官が意味を明確に理解できないままプレゼンが先に進んでしまいかねません。
  • 身振り手振りが大事
    小論文は図表が使えませんから、それを補う視覚的表現が大変効果的です。
    身振り手振りを積極的に使って試験官の理解を促しましょう。
  • ホワイトボードを使えるようにしておこう
    会場のフォーラムエイトは貸し会議室なのでホワイトボードが会場に配備されています。マーカーペンは黒・赤・青の太いものがあります。
    小論文は図がないうえに文章も短いので、試験官も容理解がしにくくなっています。ですから、ホワイトボードを使っての説明を求められる場面が増えるものと思われます。もしそうなったら限られた時間内で効率的に理解してもらうには絶好のチャンスですが、CADの図面しか書いたことがない人はわかりやすい図が描けません。せっかくのチャンスを棒に振るばかりか貴重な時間を浪費してしまいかねません。
    わかりやすいポンチ絵がさっと描けるようにしておきましょう。
    ただし25年度以降は試験時間が短くなったこともあり、ホワイトボードを使って説明した例はあまり見なくなりました。「ホワイトボードを使ってもいいですか」と聞いたら「ダメです」と言われた例もあります。
  • 試験官の反応をよく見ながら
    試験官が理解できているかどうか、表情やしぐさをよく見ながら話しましょう。
    顔を伏せて手元資料を見ているときは、論文を読んでいる=説明を聞いていない可能性があります。もし小論文の内容と説明の内容が異なる場合(補足している場合や工夫点などの重要ポイントが変わっている場合)は、これでは困ります。なんとかして試験官に顔を上げてもらいましょう。
    そういうときに有効なのが「間」です。「~です。」などと述べて、そのあとにちょっと間を置くのです。「ん?」と思って試験官は顔を上げます。そこでアイコンタクトをとったまま(睨んではいけませんよ^^;)、話を続けます。試験官の目にこちらの目を据えたままでは怖いですが、「顔を見て話す」状態を保てば、聞き手は話し手を見続けてくれます。
  • 質問対策
    • 質問は4種類
      質問は、次の4種類のいずれかの理由・目的で発せられます。
      1. どうなってるの
        業務の内容その他、論文から読み取れない・説明ではわからない、より詳しい状況を説明してくれというものです。たいていは説明すればOKです。質問としては一番怖くない質問です。
      2. 意味わかんない
        本当に内容が理解できない場合です。説明すればいいだけですが、そうして理解できた結果、そこで評価をされます。(理解できないから評価保留になっていたということです)
      3. えー、そうかなあ
        書いてある内容が納得いきかねる場合です。「こういう場合はそうじゃなくてこうなんじゃないの?」みたいな感じですね。これには、誤解と見解の相違、こちらの間違いの3つの可能性があります。
        いずれにせよ、まずは根拠の詳細な説明です。論文に書いてない、あるいは書いてあるけれど読み落とし・説明省略がある点も含めて、「理解してもらおう」という姿勢で説明します。
        ある程度説明しても納得してもらえない場合は、どちらが引くかということになりますから、様子をみて、引くべきだと思ったら「貴重なご意見ありがとうございました。また勉強します」とでも言って引きます。くりろうさんいわく、「ほうきで掃きながら後ろに下がっていくように・・・・」
      4. わかってんのか?
        明らかに間違っている(と試験官が判断した)事項についての質問です。
        ズバリ「あなたはこう書いているが、これはおかしい」と言う場合もありますし、用語説明とか「こういう場合、普通どうしますか」みたいな一般論について質問をして、基礎知識から間違ってないか探ってくる場合もあります。
        できれば理論的な間違い・記憶違い・勘違いについては、口頭試験前に自分で見つけてフォローしておき、指摘されたら「はい。ここは間違っていました。本当はこうです」というように説明するのがベストです。
        うまくすると資質向上に関して評価をもらえます。
        本当にわからなかったが「また勉強します」と言って引きます。ただし、まれに「引っ掛け」(わざと間違ったことを言う)場合もありますから、安易に迎合する必要はありません。冷静に考えて試験官の言っていることがおかしいと思ったら、失礼のない言い方で指摘しましょう。

        以上のような質問については、ロールプレイや模擬面接であぶりだすようにしてください。模擬面接の目的は、「上手に話す練習」以上に、「問題点をあぶりだし、当日までに対処できるようにする」ことなのです。
        なお、これらは2018年度以前の専門技術力が評価対象であった頃と変わりはありません。評価対象がコンピテンシーになっても、コンピテンシーの理解そのものがおかしい(これは特にリーダーシップでよくある)、あるいは業務内容からすればコンピテンシーの内容はそうではない・もっと重要なものがあるといった視点で、同様の4種類の質問がくることが考えられます。
    • 質問の意味を理解して
      質問を受けたときに一番大切なことは、
       質問の意味を理解する
      ことです。
      焦って早とちりして見当違いの答えをしないようにしてください。
      特に、あらかじめ気になるところがあって、それに近い質問をされたり気になるキーワードが出てきたりすると、「ほらきた」とばかりに短絡的に対応してしまいがちです。
      質問は最後まで先入観なしに聞くことが大事です。
  • 評価されるのは口頭試験の場
    たとえ小論文に少々不備があっても大丈夫。論文自体は採点の対象ではありません。論文を読んで、説明を聞いて、質疑応答をして、それで試験官の疑問点が解消されればいいのです。
    ですから、提出した小論文に不備な点が後で見つかったなら、それをフォローしつつ説明すればいいと思います。説明を始める冒頭に「補足しながら説明させてください」と申し出れば、ダメだとは言わないでしょう。

●経歴票記載業務の肉付けをしっかりと

小論文がいまいちの出来だったり、受験科目の中ではちょっと偏ったテーマかなと思ったり、あるいはいっそ受験科目の内容から外れていたりして、小論文だけでは応用能力が確認できないと判断した場合、経歴票に書いてある他の期間、すなわち○をつけた(小論文を取り上げた)以外の行からピックアップしたり「どれか一つ」と言って事例説明を求め、そこから質問を転がしていくというパターンが考えられます。
このような問答に対処するため、以下のように準備されることをお勧めします。

  • 経歴票に業務名を書いた場合
    経歴票に書いた各業務について、前述の小論文のシナリオ構成(業務概要、課題問題点、解決策の方向性と具体策)に整理して説明できるようにしておきます。
  • 経歴票には職務内容を書いた場合
    各エポックごとの代表的業務について、上記と同様の整理をしておいてはどうかと思います。

    時間が経過すると業務の詳細なところは忘れていたりしますので、しっかりと思い出して、整理した状態で頭の中にいれておきましょう。そのために骨子に整理することがお勧めです。

●筆記答案のフォローを忘れずに

問題Ⅱ・Ⅲいずれか3の成績がB・Cだった人は、口頭試験で何らかの試問がされる可能性があると思って、筆記答案のフォローはしっかりとやっておきましょう。不足していた・不十分だったと思う点を抽出し、「これならA評価」と自信をもっていえる内容を用意しておきます。
その内容は部門・科目、筆記答案内容で大きく変わりますので、ここで包括的アドバイスを示せません。すなわち、質問の想定から皆さん自身の力でやらなければならないのです。したがって、ここでは考えられる質問の内容をあげておきます。

A.筆記答案の中で試験官が不十分だと思ったことについてズバリ質問する。
「これについてはどうしてこうなるの」とか「こういうことは考えられないの」といった質問です。つまりあなたの答案は間違っていると疑われているか、あるいは説明不足です。
また、「○○について説明してください」と言われたとき、その内容が筆記答案で書いたことである場合、試験官はその答案で満足していない可能性があります。
ですから、不十分だったなと思う点についてはフォローしておく必要があります。

B.筆記答案の中で取り上げた事項についてさらに深い意見を求める。
答案で解決策として書いた事項について、さらに踏み込んだ質問をすることで理解度・解決策としての妥当性を確認しようというものです。
たとえば建設部門では維持管理をとりあげた課題解決問題が出題されたのですが、アセットマネジメントやPFIを提案している人が多くいます。これらについて、ちょっと詳細な説明要求を求める質問が予想されます。つまり「理解していないのに聞きかじった方策を書いておく」ことをしていないか、という確認ですね。たとえば「PFIが有効だというけれど、なぜ・どのように有効なのか」「アセットマネジメントはどのようなシステムですか」などですね。
ですから答案に書いた内容について、表面的な理解だったもの、言葉だけ書いたようなものは、もっと深めて理解しておく必要があります。

C.「何か補足することがありますか」と聞く。
「筆記試験の課題解決問題答案について、何か補足することがありますか」と、テーマまで受験生にゆだねる場合です。これは「答案のどこが不十分でB評価になったのか、自分でわかっていますか」ということですね。ですからフォローをしっかりしておくことが重要です。

なお、上記質問に対処するためには、「これならA評価」という答案を作って覚えるというよりも、答案を構成する項目ごとに新旧対照表のようにして、筆記答案と「あるべき答案」を比較対照した形で整理しておくといいと思います。
実際には筆記試験の答案について聞かれる人は1割もいないと思いますが、よほど時間がない時以外は安心のための対応だと思ってやっておくことをお勧めします。

「よくある質問」に対する準備を万全に

「どこから手をつけたらいいかわからない」ように見えても、当然ながら質問される頻度の高いものと低いものがあります。頻度の高い質問を押さえておけば、口頭試験対策は5割以上、場合によっては7割程度できたと思っていいでしょう。
出題頻度が高く、回答を準備しておいたほうがいいと思われる質問について、以下に列挙します。

  1. コミュニケーション
    • 詳細例でもそれ以外の業務経歴でもいいので、コミュニケーションで工夫したことを何か教えてください。
      • クライアントやスタッフ・部下等との間で確実な意思疎通を行う能力を問われています。正確さとわかりやすさが重要で、専門家には正確さ、専門外にはわかりやすさを重視します。まあつまり相手に合わせて説明の仕方を変えられるかということですね 。
      • 正確さのためには、基本的には書面主義でしょう。つまりテキストや図面その他、「書いたもの」を介して確実に誤改革、またあいまいさを排除したコミュニケーションをとるということです。言い換えれば、技術力が未熟な人は口だけで伝えるとか、あいまいなことを言うなどしますよね。それではダメだということです。
      • またわかりやすさは、やはり視覚的にビジュアルに説明するということです。一般市民に説明するときなどは、三次元のイメージ図やポンチ絵など、多少正確ではなくともわかりやすさを優先して説明しますよね。
      • 技術士は業務のリーダー・指導者たる人であることを踏まえれば、「コミュニケーション能力」は、クライアントやエンドユーザー(国民)の要求を確実に聞き取り理解する力、自分の指示内容を部下やスタッフ、委託・アウトソーシング先に確実に伝える力、すなわち確実な意思疎通能力と理解することができます。
    • 詳細例でもそれ以外の業務経歴でもいいのですが、的確な説明や確実な指示といったことについて工夫したこと、工夫していることはありますか?
      • 基本的にはひとつ前の質問への回答と同じような事を述べれば良いでしょうが、的確なあるいは確実なというキーワードが付いていますからわかりやすさではなく正確さに重点を置いて説明すべきですね。
  2. リーダーシップ
    1. 詳細例でもそれ以外の業務経歴でもいいのですが、リーダーシップを発揮するにあたって実施したことは何ですか?
      • ステークホルダーとの間での利害関係調整です。これについては相反する利害関係について折衷案・中庸案を提案し理解を得てプロジェクトを前に進めることだと理解してください。
      • 例えば道路工事をしていると思ってください。事業者も工事業者も地元住民も早く工事を進めたいという点では一致しているでしょう。このように利害関係が一致している時は何の調整もいりません。しかし事業者は安く作りたいと思っているが地元住民はいいものを作ってほしいと思っている、工事業者は早く進めたいと思っているが地元住民は静かに工事をしてほしいと思っているというように、利害関係が一致しない時(相反している時)に調整が必要となります。そこで中庸案です。「安く作ってほしい」と「いいものを作ってほしい」の中庸案として「そこそこ安くて、そこそこいいもの」を提案します。
      • 安さを要求していた人には「あなたが望んでいたほど安くはないけれど、少なくともこの程度の性能はいるのだからこの程度は出してください」、いいものを要求していた人には「あなたが望んでいたほどの性能ではないかもしれないけれど、必要なだけの性能はあるのでこれで我慢してください」ということですね。
      • そして中庸案だからメリット・デメリットがもちろんあるわけですが、それをちゃんと説明して納得してもらいます。この「ちゃんと説明して」の部分がコミュニケーションです。
      • 利害関係調整というと、納得してくれない人に対して説得して納得してもらうというイメージがありますよね。それはその通りなのですが問題はどうやって説得するかです。誠心誠意を見せることで人間的に信頼してもらって「お前が言うことなら」と言ってもらうとか、一緒に酒を飲んで仲良くなるとか、そういった方法は世の中に確かにありますし、多用されてもいるでしょう。しかしこれは技術者の資格試験ですからあくまで技術力を使って説得しなければなりません。それが利害関係の異なる人たちが納得できるような中庸案の提案なのです。
      • 「黙ってオレについてこい」みたいなリーダーシップではなく、みんなが納得できるような提案(ただし技術的提案)をして業務を引っ張っていくのです。調整型のリーダーシップとはそういうことです。
    2. 業務遂行にあたっては、明確なデザインと現場感覚を持って、多様な関係者との利害調整とりまとめをすることが求められます。その視点で、詳細例あるいはそれ以外の経歴でもいいのですが、何かあなたが実施したことはありますか?
      • 明確なデザインや現場感覚はコンピテンシーの定義として書かれているキーワードです。明確なデザインは明確な計画というように読み取れば良いでしょう。問題解決のゴールやそこに至るまでのプロセスを曖昧さなく具体的に決めて、それを着実に遂行していくというイメージです。これの真逆が試行錯誤、行き当たりばったりということですね。
      • 基本的にはひとつ前の質問と同じような回答しますが、このようにキーワードを含めた質問が来た場合には、キーワードを踏まえた回答をすることが望ましいでしょう。
  3. 評価
    1. 詳細例でもそれ以外の業務経歴でもいいので、現時点での評価と今後の展望、つまり良かった点や悪かった点、次回につなげることなどを述べてください。
      • 良かった点、もっとできたと思う点などを述べた上で、その後の技術進展や社会情勢変化等を踏まえて「今ならこうする」とか、今後はこうなっていくといったことが述べられるようにしておいてください。
      • 小論文を題材にするのであれば、「あそこでドローンを使えばもっと効率的になった」みたいなテクニカルな話よりも、専門技に関する改善点がいいですね。つまり解決策の提案に関して更なる改善点はないかということです。「もっと良い方法があったかもしれない」みたいなものではないですよ。そんなことを言ったらご自分の提案を否定することになってしまいますから気をつけてください。例えば「こういった側面にも気を使った方が良かった」というようなことでもいいでしょう。「工程やコストといったものばかりを指標にしていたが、調達の容易さとか施工や製作の安全性といったものにも、もっと重きを置いた方が良かったかもしれない」みたいな感じですね。
    2. 詳細例でもそれ以外の業務経歴でもいいのですが、今ならこうするとか、もしもう一度同じ業務に携わることがあったらこうしたいというような、改善提案のようなものはありますか?
      • 基本的にはひとつ前のの回答と同じようになるわけですが、どのような技術的提案も完全無欠ということはありませんから、改善の余地が必ずあるわけです。それをしっかり認識しているかどうかというところに重きを置いた質問と言えるでしょう。
    3. 失敗例はありますか
      • 質問意図は失敗を糧にした技術者としての成長の確認なので、技術者としての未熟さによる失敗として原因とともに整理し、その後の改善につなげた形で。
      • ですから失敗原因は技術者としての未熟さがいいですね。 たとえば数字を鵜呑みにする、数字の意味を考えない、ワンデータだけで考える、現場を見ない(机上論)、経験則でやってしまう…などです。
      • 失敗した事例と同じようなことにしか応用できないのでは「せっかくの失敗がもったいない」ですよね。根本的に自分の技術力がどう未熟だったのかというところまで原因を一般化して、仕事に対する取り組み姿勢のような一般化した改善を考えましょう。
    4. 成功例はありますか
      • ただ「うまくいってよかったなあ」ではなく、成功した原因を探り一般化することで、その後の業務改善や技術者としての成長につなげた形で。
      • たとえば「現場作業の前にたまたま地元の人と話す機会があって、貴重な情報をいただき、以後の現場作業が非常にスムーズに進んだ。やはり地元を熟知している方の意見は貴重だということを学び、以後は現場作業の前に地元の方へのインタビューを手順として実施している。またエキスパートへのインタビューの有効性を学んだので、現場作業に限らず、いろいろなことでエキスパートのアドバイス等の情報をできるだけ集めるよう心がけている」などです。
      • また原因改善を一般化して成功事象に限定した改善にならないように。
  4. マネジメント
    1. 詳細例でもそれ以外の業務経歴でもいいのですが、業務成果物の要求事項を満たすため、人員・設備・金銭・情報等の資源配分に工夫された具体的な内容を説明してください。
      • 限られたリソースを最適配分するマネジメント能力です。リソースとは「人・モノ・カネ」とよく言いますが、生産の4M(Man、Material、Machine、Money)ともいいます。人・資材・機材・お金ですね。そこに情報が加わるわけです。
      • たとえば限られた人材を最適配置したとか、資機材が限られた中でなんとか業務を実行したといったことですが、そこで専門技術力を使ったというより管理技術力(マネジメント力)を使ったという話にしたほうがいいですね。
      • たとえば限られた人員や機械で業務を遂行するために、適材適所の配置や要求事項の明示等を行って効率的に業務を進めたとか、工程計画を明確にして、必要最小限のリソース配分を行う(つまりリソースが余ったり足りなくなったりしない。負荷計画といいます)ようにしているとか、そういった答えが望ましいと思われます。この、工程計画をしっかり立てる→それによって必要最小限のリソースをきっちり絞り込んで配置するという流れを基本にするといいでしょう。
      • できれば望ましいのは重点配分です。ここが重要だと思うところ(現場における場所であったり、業務工程における特定の作業であったり)に集中的にリソースを投入し、それ以外のところは言葉は悪いですが手抜きをして必要最低限で業務を流すという感じですね。リソースは限られているから重要なものには手厚くそうではないものには最小限の配分をするということです。
      • 例えば大雨が降った後山の中を走る道路の法面が崩壊しているところがないか調べなければならないとします。ところが法面の点検ができる人間が限られておりどんなに急いでも2日はかかるとします。なのに1日でやらなければならないとします。どうすればいいですか?ただし他所から応援を頼むというのは限られたリソースという前提条件が変わりますから反則だとします。地形図や道路台帳その他の情報から崩壊していそうなところをピックアップして、そこに集中的に点検に行くというのはどうでしょう。それ以外のところはざっと見て歩く程度にするわけですね。このようなメリハリ・リソースの重点配分の経験はないでしょうか。
      • あるいはとても回りきれないから最初にドローンを飛ばして概略的に観察して、崩れているんじゃないかというところをピックアップして、そこを人間が見に行くという一次スクリーニングをしてもいいかもしれません。これは人的リソースが不足しているところを物で補ったということが言えるでしょう。このようなリソース間のやり取りというのも「あり」だとと思います。
    2. 詳細例でもそれ以外の業務経歴でもいいのですが、人員・設備・金銭・情報等の資源が限られている中でそれを工夫して配分したということはありますか?
      • 前の質問に対するものと同様の回答でいいでしょう。
      • マネジメントに関する質問に対しては配分ではなく節約、例えばコストを削減したとかいった回答が結構多くあります。あるいは例えば「社内で調整して必要な人員を確保した」というような資源の配分ではなく確保について回答してしまっている例もよくあります。そうではなく、限られた資源をどのように配分したか、重要な所には手厚く、そうではないところには最小限にメリハリをつけて配分したというような答えが欲しいので、「配分」という言葉に重きを置いて質問されることがあると思います。
  5. 技術者倫理
    1. 詳細例でも今まで行った他の業務でもいいですが、技術者倫理についてどのようなことを重視したか具体的に教えてください
      • 技術士会から公表されているコンピテンシー「技術者倫理」の内容は3項目はありますが、1項目目はほぼ「公益を確保しなさい」という内容です。公益とは公共の安全と環境の保全ですが、それはそのまま技術士倫理綱領の第1項「公衆の利益の優先」(公衆の安全と健康・福利を最優先にする)と第2項「持続可能性の確保」(まあつまり環境の保全です)に該当します。そしてコンピテンシー「技術者倫理」の1項目目は、まさにこの技術士倫理綱領の第1項・第2項の文言をそのまま使っています。したがって技術者倫理としてどんなことを重要視しているかと言われたら、公益の確保を最重要と考えていると述べればいいでしょう。
      • ただしそういったお題目を述べるだけでなく、小論文の中では具体的にどういったところが公共の安全を配慮しているところであり、どういったところが環境の保全を配慮しているところなのかを答えられるようにしておきましょう。
      • これは次のような3段階で考察すると分かりやすいのではないかと思います。
      • ①基本理念として公益確保を重視するということを掲げる。
      • ②それを自分の仕事にブレイクダウンし「自分の仕事では公益確保とはどういうことか」と考える。
      • ③それを個別の業務にブレイクダウンする。例えば道路事業に従事している人であれば、道路の社会的役割を考えれば上記②は難しくはないと思います。安全に便利に使える道路を作るということが基本的な目的だと思いますから、公益の確保とは安全で便利な道路を作り運営することだというようなことになるでしょう。
        そうすると個別の業務では道路交通の安全性あるいは利便性といったことに関して妥協しないというようなことになってくるかなと思います。

ここでもう少し考えてみましょう。妥協しないということはそれが一番重要だということですよね。ですから当然そこには優先的にリソースが割り振られます。利害関係を調整するため中庸案を提案する時にもそこは引かないということになります。何かを作るときに「この機能だけはしっかり持たせるけれど他の所で譲歩して中庸案を提案する」「この機能だけはしっかり持たせるからそこには人もカネも惜しまず割り振る」というように考えればそれぞれがリーダーシップマネジメントになってきます。そして「この機能だけはしっかり持たせる」のはなぜかというと、それが公益確保のためには譲れない部分だからと考えれば、倫理もそこにつながってきます。
技術士が社会の中でしっかりとその役割を果たして信頼に応えようと思うならば、公益の確保のために譲れない部分を明確に持って、リソースや様々な利害関係の制限がある中でもそれを確実に実現していくということですね。そういう視点で小論文を整理していただければ、どういったコンピテンシーについて確認しても、しっかりと小論文における技術的提案問題解決に繋がっていくことになります。つまり芯の通った一貫性が感じられ、コンピテンシーの項目が変わるたびに答える事例が変わるというようなものに比べればずっと見栄えがするものになると思いますよ。

  • ちなみに公共の安全と環境の保全については、事業や業務が安全や環境をできるだけ損ねないようにするという視点(例えば工事に伴う第三者災害を防止し、騒音振動などを最小化する)と、事業や業務が安全や環境に寄与する(例えば道路工事の結果交通安全が向上し、交通量円滑化により温暖化ガスの排出が抑制される)という視点の二つがありますので、できればそれぞれで考えておくといいでしょう。
  • なお、コンピテンシー「技術者倫理」には、法令をしっかり守るという項目と、自分の責任を取るべき範囲においてしっかり責任を取るという項目があります。したがって小論文の業務においてどのような法令の縛りがあるか(例えば道路工事であれば騒音規制法や振動規制法など)、また自分がどこまで責任を負わなければならないか(ものづくりの業種であれば PL 法の考え方、インフラ整備の業種であれば受託者や下請けなどの行動にも責任を持つということ)についても整理をしておくことが望ましいと思います。
  1. 倫理に関して(あるいは公益確保において)、利害調整した具体的な取組を説明してください。
    • リーダーシップやマネジメントのところの回答内容を公益確保を重要視するという視点で言い直せばいいでしょう。例えばコスト抑制要求と品質要求のトレードオフだったとすれば、品質要求が公益の確保になるのですから、そちらを優先した折衷案を考えるということになります。
    • つまり基本的には品質要求自然環境保全側の要求である井戸水を採用し、井戸水利用の範囲内で出来るだけコストを抑制する方法として手押しポンプを提案するという折衷案にしたということです。まあつまり折衷案を提案するにしても公益はしっかり確保するようにしているということですね。
    • 例えばマネジメントの項でコラムに書いたようば、技術的にヤマとなる部分では業務品質を優先して工程を二の次にして、その代わり後工程では工程を最優先するというようにした場合、リソース配分を工夫したという言い方ができると同時に、品質要求と工程要求を両立するという利害調整をしたというまとめ方ができるのではないかと思います。
    • このような考え方をすれば倫理も詳細例の技術提案に直結した内容で整理できます。コミュニケーションからマネジメントまでは前述してきたような考え方で整理すればこれも詳細例の技術提案に直結した内容で整理できますから、結局継続検査以外は全て詳細例の技術提案に直結した説明ができるようになります。そのようにできれば非常に一貫した一気通貫の内容になって、試験管も理解しやすいとともに納得度の高い回答になるのではないかと思います。
  2. 3義務2責務を言ってください
    • 信用失墜行為の禁止の義務・秘密保持の義務・名称表示の場合の義務・公益確保の責務・資質向上の責務。
    • 信秘名公資(しんぴめいこうし)と覚えておくといいでしょう。
    • こういう「丸暗記言葉」は意外と出てきません。覚えたらOKと思わず、いつでもすっと出てくるように言い慣れておきましょう。
    • また、たとえば「技術士の倫理について述べてください」というようにあいまいな聞かれ方をするときもあります。質問の意図がはっきりわからなければ、「3義務2責務をお答えすればいいですか」などと確認しましょう。
  3. 3義務2責務の中では何が一番大事だと思いますか
    • 技術士倫理綱領で1つめ(公衆の利益の優先)に公共の安全、2つめ(持続可能性の確保)に環境の保全に相当する内容があげられていることから公益確保と答えるのが順当です。
  4. 公益とは何ですか
    • 条文を引用したほうが無難です。公共の安全、環境の保全等。環境を忘れないように。
  5. もし公益に反する行為を強制されたらどうしますか
    • まずは公益に反することの確認、次に説得、組織内でやれることを尽くしたうえでもだめだったら最後は内部告発になります。この場合の通報先は監督官庁です。「マスコミ」などと言ったら一発不合格の可能性があります。
    • 客先から公益に反することを強制された場合は、自分の属する組織として客先を説得したりして対応するようにしますが、そこで自組織が折れて「客先の言うとおりにしてくれ」となったら、自組織の説得→どうしてもダメなら内部告発となります。個人として客先を告発するようなことがないように。
    • ここで「会社をやめます」とか「クビだと言われたらクビを切られます」と言ったら一発不合格の可能性が高くなります。なぜならそんなことをしたら自分はそれでいいかもしれませんが、不正を防げなくなり、公衆が被害をこうむることになるかもしれないからです。
  6. 反倫理的行為の事例をあげてください。
    • 最低2つは用意しておいてください。また経営者の社会的倫理ではなく技術者倫理の視点です。経営者が反倫理的行動をとったのなら「その会社の技術者はどうすべきだったか」と考えましょう。
    • 「それは3義務2責務のどれに反していると思われますか」と聞かれることもあります。たいていは信用失墜行為と公益確保ですね。
  7. 最近、技術者倫理に反していると思われる事例が多いですが、その背景には何があると思いますか
    • 近年は過密業務や経営切迫、担い手不足等々、反倫理的行動に走りやすい原因が増えてきていますが、とどのつまりは、そういう中で私益を公益より優先させてしまったということですね。
  8. 技術士倫理綱領を知っていますか
    • 前文の内容、10項目あること、はじめの3項目くらいを説明できるといいです。平成23年3月改定で、公衆の利益優先、持続性確保、有能性重視の先頭3つを覚えておきましょう。
  9. 罰則には何がありますか。
    • 技術士法には行政罰と刑事罰があります。
    • 行政罰は、過度の義務責務不履行の場合に調査の上で資格剥奪や名称使用禁止がなされますこれについては、運転免許と同じだと思っておけばいいでしょう。ひどい交通違反(あるいは反省せず点数を積み上げてしまう)で免停、もっとひどいと免許取消ですね。でもこれらの違反をしても前科はつきません。行政罰ですからね。
    • 刑事罰は守秘義務違反で1年以下の懲役もしくは50万円以下の罰金です。正確には、告訴されて有罪になった場合に備えて刑罰の上限が設定されています。当然前科がつきます。
    • 守秘義務のみ罰金懲役という刑事罰があるのは、守秘義務は被害者が特定でき、告訴されることがあるからです。

  1. 継続研さん
    1. これまで資質向上に関して具体的にどのようなことを行ってきましたか。
      • 自己学習(学術雑誌購読やネットなどでの新技術学習)、講習会・シンポジウムへの出席、資格取得、学会等での委員、科学教育への協力などがありますし、一般教養としては日経新聞等を読むなどでもいいです。
      • 「最近気になった記事は?」というように「本当に雑誌を読んでるんだろうね」的質問が来ることもあります。最近受講した講習会や読んだ記事等は具体例を用意しておくといいでしょう。
      • さらに「技術士になったらどのように資質向上していきたいですか」といった質問もあるようです。もちろんこれまでやってきた質向上の取り組みを続けるのが基本ですが、講習会の参加や専門誌の購読といったものは基本的に受け身ですから技術士になったらもっと積極的に業務発表や論文投稿などもやってほしいですねまた後進の指導もぜひ取り組んでほしいと思いますし、技術士会に入会して交流を広げたいというのもいいですね。
    2. CPDとは何ですか。なぜ必要ですか
      • CPDは継続研さんを記録するシステムです。
      • 必要性は、「技術は日々進歩しているので研鑽を怠ってはならない」だと資質向上の必要性にとどまってしまいます。それでは「それは資質向上の責務の必要性でしょう。それなら技術士法に書かれているのだから、それで十分でしょう。なぜそのうえCPDが必要なのですか?」と言われてしまいます。
      • 研さんを記録し第三者に証明することがポイントになります。
    3. あなたは現在CPDをどれだけ持っておられますか
      • たとえば研さんはしているが登録はしていないのであればそう言えばいいですし、実際に他資格に関してCPDを溜めているときはそれを言えばいいでしょう。CPDは技術士になってから始めるものと思い込まないことが大事です。
    4. あなたは今後どうやって資質を向上していきたい(あるいはCPDを取得していきたい)と思っておられますか
      • 講習会参加、自己学習といったものだけでは受け身なので、能動的なこと(論文発表など)もおっしゃったほうがいいですね。
    5. 論文発表や特許の取得等はありますか
      • これが継続研さんに関する質問かどうかはちょっと疑問はありますが、比較的よく出される質問であることは確かです。あればあると答えますし、なければないと答えればいいだけのことなので、あまり気にする必要はありません。
      • 「今はありませんが今後はそういう機会があればぜひ取り組みたいと思います」みたいにいたずらに回答を長引かせない方が重要だと思います。
  2. その他
    1. 受験動機を教えてください
      • 自分のため(憧れ、励み、力試し)と世の中のため(自分の強みを活かしていい仕事をするなど)の2本立てがいいです。
      • 資格はあくまで看板です。技術士になったから技術力がアップしたり視野が広くなったりするものでもありませんし、別に技術士にならなくてもできることも数多くあります。そういった視点で「技術士でなければできないこと」を。「高度な専門技術を身に着ける」などは受験動機としては変ですね。
      • 「技術者最高峰の資格を取ることで社会に貢献したい」とか「社会資本整備と公益確保に力を尽くしたい」などの回答は、模範的ではありますが無個性ですし「いい子ちゃん」すぎて嘘くさいですよね。もっと前のめりで熱意ある具体的な動機は力強いものです。
      • 経歴を通して知識や経験を身につけていくわけですが、その中で自分の強み、自分ならではの技術力が身につくはずです。それを活かしていい仕事をすることで社会に貢献したい(ボランティアとしてではなくプロとして)と思うのだけれど、技術士資格という技術力の証明書がないと、そもそも土俵に上がれなかったり、話を聞いてもらえなかったりするので、資格がほしいといったことを述べると、私益と公益をバラバラに言ったり、いい子ちゃん的なありきたりでウソっぽい動機ではなく、その人の個性が表れ、熱意も見える動機になると思います。
      • 公務員の方は、国民市民の信頼を得るために資格がほしいと言ってもいいでしょう。品確法の理念も踏まえれば、「この事業の担当職員はしっかりしているのか」と国民に問われたとき、「大丈夫、私は高い技術力を持っています」だけでなく「高い技術力を持っていないと取れない資格も持っています」と言いたいですよね。
    2. 合格後の抱負を教えてください
      • 動機と抱負はセットですから整合性にも留意して整理しておいてください。特に動機が具体的であれば、合格後はそれを実行する段階になるわけですね。
      • 技術者倫理を守って社会のために努力します的な回答は模範的ではありますが、面白味がありません。「資格を生かしてこんな新しいことをしてみたい」というような前向きな夢を語ってもいいでしょう。
      • 人脈形成も試験ではウケがいいようです。

●口頭試験は避難訓練

口頭試験への回答準備は、「禅問答型」と「避難訓練型」に分けられます。
「禅問答型」は、自分の中に、理想の技術者像・インフラ整備像などがしっかりとできていれば、それに照らすことで、どんな質問にも自分のスタンスをしっかりと決められるということであり、要は、「十分な経験をつみ、様々な書物などで勉強してきた人であれば、頭の中を整理するだけでいい」ということです。しかし、頭の中のイメージをその場で言葉にするという「知の移転」が得意でなければ、お勧めしません。
「避難訓練型」は、様々なケースに対応できるよう、多種多様な「訓練」をしておくというものです。つまりトレーニングですね。イメージを言葉にするのが不得意な人向けです。具体的には、「数をこなす」ことに尽きます。
「禅問答型」でいける人は多くないと思いますので、ここでは「避難訓練型」で話を進めます。自分は「禅問答型」だと思う人は、「技術士とは」「技術者倫理とは」といったことについてできるだけ多くの文献などを読んで独りよがりになるのを避けつつ、深く考察してみてください。

さて、「避難訓練」で行くのなら、とにかくトレーニングです。

  1. 前述の「よくある質問」を、自信をもってこなせるようになるまで回答案を練る。
  2. 「よくある質問」のちょっと変化したバージョンをいくつか想定して、回答案を考える。
  3. 口頭試験体験記を読み、同じ質問をされた時の回答案を考える。
  4. できれば、模擬面接試験を受ける。身近に指導者になってくれる人がいなければ、受験生同士で質問役と回答役に分かれてロールプレイをする。

    というような手順で訓練を重ねてください。

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●試験当日までにしておくこと

(1) 受験準備

前述のように、
 (1) 経歴および小論文のプレゼン準備をしっかりと
 (2) 6つの評価基準をしっかり理解して、経歴の中から具体的事例の用意を
 (3) 筆記答案をしっかり再現し、不十分な箇所のフォローをしっかりと
 (4) よくある質問に対する準備を万全に。しっかりと掘り下げて深く理解を
 (5) 想定問答や体験記をもとに、繰り返し訓練を。

この5ステップで準備を進めましょう。

  • 技術者倫理の考え方がなかなかすっきり腹に落ちない(身につかない)人もいるかと思います。
    こういうときは、とにかく事例です。
    なぜこの行動は非難されるのか、という視点で掘り下げることが必要です。技術者倫理の書籍を一次試験・適性科目のページでも紹介していますが、これなどを読み込むことも一つの手です。
    少なくとも技術者倫理については、何かの条文などを丸暗記すればいいというものではないことを認識しましょう。

(2) 宿泊手配

  • 年末年始にかかることもあり、さらに土日の受験が多いので、早めに宿泊手配をしておきましょう。また1月になると降雪による交通トラブルもあります。公共交通トラブルを配慮してもらえる可能性は低いと考えておきましょう。数時間しか余裕のないスケジュールを組み、「雪で新幹線が止まったので遅れた。オレのせいじゃないのに認めてもらえなかった」なんて言って怒っても通じません。自らのリスク管理の稚拙さを露呈するだけです。
  • 食事や宿泊その他、受験以外のことにできるだけ気を使わなくてすむように、できるだけ早い時点で配慮しておきましょう。試験日が近づいてくると余裕がなくなってきて、思わぬ見落としをしたりすることがあります。心に余裕があるうちに手配は進めておきましょう。
  • 宿泊する場所は、試験会場への便も配慮したほうがいいでしょう。万一公共交通機関に遅れが出たり、慣れない東京で迷ったりしても、遅刻の理由として認められることはまずありません。試験時間が午後であったりして時間に余裕がある場合は、喫茶店かどこかで時間を潰せばいいわけです。たとえば渋谷のフォーラム8は、それが入っているビル自体にも、またすぐ近くにも、喫茶店がいくつかあります。

(3) 準備物

  • 筆記試験と違い、準備物は多くありません。極端な話、体一つで大丈夫です。
  • 服装の用意はきちんとしておきます。必要があれば購入します。
    基本的には、クライアントの所に出向く時の失礼でない服装にします。
    背広・ネクタイは常識です。それ以外の格好では非常に目立ち、試験官に「コイツだけだらしないなぁ」という印象を与えます。
    背広やネクタイの色は華美でなければ特にかまいません。地味系が無難ですが、明るいめのグレーなどはさわやかさを印象付ける効果もあります。
    靴はヒモ靴でなくてもかまいません。ズックはまずいですが、多少カジュアルでもいいでしょう。
    とにかく、自分に似合わないものは異様な雰囲気を出してしまいますから避けましょう。
  • 若いスレンダーな人は、あまり地味な色の背広を着ると「とってつけたような」印象になります。
    逆に年配の方があまり明るい色の背広を着ると「そのスジの人」っぽくなります。
    太っている人は淡色系の背広を着ると、さらに太って見えます。


    カッターシャツは白が無難ですが、背広・ネクタイとのコーディネートもありますから、華美でなければいいでしょう。
    全体として、不潔感・必要以上の特化した感じ(ワイルド感など)は避けたほうがいいでしょう。
  • コート、かばんなども試験室に持ち込みますので、仕事で使うような地味めのものを用意しましょう。
    また、宿泊される方で着替えなどがかさばる人は、駅のコインロッカーに入れておいてもいいと思います。待合室には置いておけません。
    なお、よほどでなければ荷物を少々多めに持って試験室に入っても咎められることはないでしょう。
  • 直前勉強のための文献等も持っていったほうが安心です。よほど自信があれば何も持っていかなくてもいいですが、直前に何かを確認する文献などが一切ないと、精神的に追い詰められたりあまりいいことがありません。
    ただし、本番では全ての荷物を持って試験室に入ることになりますから、あまりたくさんの荷物を持っていくのは避けましょう。
  • クシ・ブラシや髭剃りなどの身だしなみ用品は、持っていくか現地でコンビニなどで調達しましょう。直前になるとテンパッてしまうと自分で思う人は、そういったものに至るまで余裕のあるうちに準備してしまっておくことをお勧めします。

●試験当日の心得

 (1) 試験場にて

  • 絶対に遅刻しないこと。列車の遅れ、タクシー・バスのラッシュ遅れ、道に迷うなど、どれも理由にはなりません。
    前日から下見に行く人もいます。遅刻するかもしれないことにぬぐいきれない不安を感じる人はそれもいいでしょう。とにかく自分の不安要素をできるだけ取り除くことです。
  • 試験会場は①TKP市ヶ谷カンファレンスセンター(こちら)、②TKP新橋カンファレンスセンター(こちら)のいずれかです。市ヶ谷は中央線市ヶ谷駅を出て橋を渡ってすぐです。都営新宿線で行った場合には出口に注意してください。新橋は山手線の新橋駅7番出口からマクドナルド→ドコモショップを右→と歩くと近いですが、都営三田線のA5出口を出るとすぐそこです。
  • 受け付けの部屋が控室でもあると思われますが、おそらく重苦しい空気が流れています。非常な緊張の中にある人たちばかりがいるので当然ですが、これに耐えられない人は、ウロウロしに行くなどしたほうがいいでしょう。外へ出て喫茶店などですごすのもいいでしょう。市ヶ谷は近くにモスバーガーやマクドナルド、ルノアールがありますし、新橋はカフェ・ドクエやルノアールなどがありますし、天気が良ければ日比谷公園に行ってもいいでしょう。
    ただし、自分の予定時間の30分前には控室に入室しておくことが大切です。
    こういう雰囲気が平気な人は、イメージトレーニングをお勧めします。自分の技術者としての経歴を振り返り、今後に希望をもつ前向きなイメージを心に焼き付けます。または、技術士になってからさらに成長していこうとする自分をイメージして、気持ちを高めます。
  • 試験時間の5~10分ほど前になったら、あらかじめ指定された試験室の前に移動して、部屋の前のイスに座って待ちます。これまでにきちんとトイレに行っておきましょう。
    廊下は各試験室の前に受験生が点々とイスに座って待っているという、ちょっとなんともいえない風景になります。そして部屋の中からは口頭試験の声がかすかにもれ聞こえてくるようです。
    いやがうえにも緊張が高まりますが、イメージトレーニングなどで気持ちが切れないようにしてください。
    やがて前の人が部屋から出てきます。その間に室内では評価表の記入をするのでしょう。前の人と軽い会話を交わしたという人もいます。
    そして試験官が部屋から出てきて名前と顔を確認し、一緒に入室、試験が始まります。入室時に名前を言うことになっているようです。
  • このとき、コート、かばんなども試験室に持ち込みます。荷物は待合室には置いていけません。なぜなら、試験後待合室に戻ることは許されないからです。実際には誰も見ていませんから、戻っても大丈夫でしょうが、もし見つかったら失格対象行為となるかもしれません。
  • かならず荷物一式は持って出て、試験後はすぐエレベーターに乗って帰りましょう。

 (2) 試験室にて

  • 座るべきイスの横に荷物を置く机やイスがありますからそこにコートやかばんを置き、座るべきイスのところまで行きます。
  • いきなりイスに座らずイスの横に立ち、「○○番の○○です。よろしくお願いします」と言います。受験番号は省略せずに言います。
  • 「お座りください」といわれてから着席します。
    きちんと「ありがとうございます」「失礼します」と言ってから座ります。
    荷物を置くのと、イスのところで挨拶するのが逆になる場合もあります。イスの配置を見て、常識的に判断していいでしょう。
    ※ここまでのどこかで本人確認のために短時間だけマスクを外す場面があります。
  • まずは試験官を確認しましょう。2人か3人のはずです。
    試験管のうち誰かが全体の司会役で、あと技術的に詳しい試験官と技術士法・倫理担当の試験官などが一般的な組み合わせです。最初に「お座りください」などと言ったほうがたぶん司会役です。役所の方がチーフになっていることが多いようです。
  • 試験官にもいろいろな人がいます。「優しい、穏やか、丁寧」という印象が一番多いようですが、中には偉そうにふんぞり返った人、次々に意地悪質問をする人、何を言っているのかわからない老人・・・・いろいろいます。そういう点では運・不運というのは確かにあります。
  • しかしそんなことを言っていても始まりません。クライアントにもいろいろいるのと同じです。相手が誰であっても誠意を持って話すという姿勢を崩さずいきましょう。
  • 下を向いて話さないようにしましょう。背中が丸くなって印象が悪い上に声がこもりがちになります。
    背筋を伸ばして前を向き、はっきりした声で話しましょう。そのために、椅子には深めに腰掛けましょう。
  • 言葉使いは丁寧に、ゆっくりめにしゃべりましょう。緊張していると、どうしても早口になりますから、意識してゆっくりと。

2022年度は新型コロナ感染対策の為に試験官も受験生もマスクをしていましたが、今年度はお互い任意です。また試験官と受験生の間の距離が長めで、3mくらいあります。
このため互いの声が若干聞き取りにくく、マスクをしている場合はさらに聞き取りにくくなります
こちらが努めて大きな声でゆっくり・はっきり話すことは当然として、試験官の質問が聞き取りにくかったら遠慮せず「よく聞こえませんでした」とか「もう一度お願いします」と言いましょう。遠慮していてはいけません。あなたにとって大事な時なのですかから。
もし模擬面接で協力が得られる場合は、距離を3mくらい取って、試験官役の人はマスクをして模擬面接をしてみてください。どの程度聞き取りにくいかがわかると思います。

  • 口頭試験の時間は20分弱が原則で、まれに10分を限度として延長されます。そして加点方式です。
    簡潔明快に答えて、効率よく評価を得ていきましょう。
  • わからないことを何とかごまかそうとして時間を浪費することに一番注意しましょう。時間ばかり費やしたあげく加点できないというのが最悪です。
    わからなければ「申し訳ありません、わかりません。また勉強したいと思います」とでも言って、早々に降参しましょう。すると、試験官は次の設問を出してくれます。答えられて所要点数を稼げるまで、あるいは時間切れになるまで、設問を出してくれます。そう、試験官はあなたを合格させようとしているのです。
  • 相手の設問はしっかり聞いて、一呼吸おいてから回答します。
  • くれぐれも勘違い・早とちりしないよう、題意がよくわからなかったら、「申し訳ありません。ご質問の意味がよくわかりません」「ご質問は、○○ということでよろしいでしょうか」というように、聞きなおしてください。
  • この、質問内容をよく理解して、それから回答することが一番大切です。
    焦って質問が終わらないうちに割ってはいるような答え方は避けましょう。心証を悪くします。
  • くれぐれ議論しないようにしましょう。試験官の意見がおかしいと思ったりカチンとくることがあっても、Yes-Butで。いきなり「違います」と押し返すのではなく、「そういう考え方もあると思います」など、いったん相手の意見を受け入れて、それから「しかし私は」とやんわり押し返します。
  • 「自分の考えが正しい」という発想ではなく、「相手の意見が正しいかもしれない」「相手の意見から取り入れるべきところはないだろうか」という発想を持って、試験官の意見を反芻しましょう。
  • 試験官が誤解している場合もありますから、それが確信できる場合は誤解を解きます。
  • しかし少なくとも、試験官の意見を論破しようという姿勢では臨むべきではありません。「自分は完全ではないから、人の意見はどんどん取り入れる」という姿勢を見せることが大切です。
  • 質問した相手を見ながら答えることが大切です。別の試験官を見ながら答えると、質問者を無視したことになります。
  • 首だけそちらに向けるのではなく、上体を横に曲げ、体全体を相手のほうに向けるようにして話しましょう。
  • 試験手順は、
    • ①経歴と小論文説明→質疑応答→倫理・継続研さん
    • ②経歴説明→質疑応答→小論文の質疑応答→倫理・継続研さん
    • のどちらかの流れが多いと予想されます。
    • ただし、必ず上記順序になるとは限りません。いきなり倫理から始まる例も従来はよくあります。
    • 予想外のことを聞かれてビックリし、自分のペースを見失って後はぐちゃぐちゃ・・・・という例もあります。決め付けずに、どんな球が来ても柔軟に打ち返すという気持ちで。一つ一つの質問に集中して一生懸命答えましょう。
  • 極度に緊張すると、真っ白になるときがあります。特に回答に失敗したと思った直後などがそうです。
    深呼吸して落ち着くよう努めましょう。
    また、質問内容の理解に神経を集中させるというのも、気持ちの切り替えになります。
    極端かもしれませんが、「もうダメだ」と思ったら、「すいません。緊張しておりますので、深呼吸してもよろしいでしょうか」と言って、立ち上がり、ラジオ体操のように深呼吸するといいです。そのようなことで減点されませんし、必ず場がなごみます。
  • 落ち着いて堂々としておれればいいですが、逆に挑戦的になったりふてぶてしい印象を与えないように。あくまで謙虚な姿勢をアピールしましょう。
  • またなれなれしい印象もいけません。下卑た雰囲気になります。社会人としてキリッとしましょう。
  • ギャグっぽいエピソードや「おふざけ」は、非常に効果的な場合と非常な逆効果の場合がある諸刃の剣です。その場の雰囲気や試験官の人柄を敏感に感じ取り、それに合わせた言動ができる自信がある人以外は避けたほうが無難です。何より大切なのは誠意です。
  • 自分を等身大以上に見せようとしても、大抵は失敗します。わかったふりは禁物です。
  • 逆に自分を卑下する必要もありません。
  • 自分は自分です。まっすぐに誠意を見せましょう。

 (3) 口頭試験が終わったら

  • 記憶が残っているうちに、質問と自分の回答をメモしておくことをお勧めします。(ちなみに試験室での録画録音は禁止されています)
    後進の人たちへの参考になります。さしさわりのない範囲でネット上で公開すれば、後日程の人たちにも大変参考になります。
    また、「こんな回答をしたが、駄目だろうか」「倫理について聞かれなかったが大丈夫だろうか」というような、様々な不安が浮かび上がってくることもよくあります。そういうときに誰かに相談しようと思っても、記録がきちんとないと何ともいえません。本人は「倫理について聞かれなかった」と思っても、記録を見てもらえば「この質問で倫理について確認していますよ」と指摘してもらえることもあります。
    万一不合格であった場合、または次年度以降にさらに他部門などで受験する場合には、自らにとって参考になります。
  • さあ、これであとは発表待ちです。人事を尽くして天命を待つ。やるだけやったのですから、心静かに待ちましょう。
    そんなことよりも、自分の受験で迷惑をかけた人はいませんか?家族や会社の人たち…。
    何よりそういう人達への恩返し・罪滅ぼしをしましょう。
    自分ひとりの力でここまで来たんじゃないことは、誰よりあなたがよくご存知でしょうから。