1.問題の内容
- 問題4-1は土木関連技術の必要基礎知識についての理解度を問う4択問題が20問出題されます。
- 試験時間は問題3・問題4-2と合わせて130分(試験B)で、配点ウェイトは問題4全体で推定20%(1問平均2/3点相当、あるいは問題4-1は1問0.5点、問題4-2は1問1点)です。
- なお、これまでの合格者情報からみると、問題4-1と問題4-2をまとめて正解率50%であることが科目別ボーダーになっているようです。
- つまり、どちらか一方が悪くてももう一方でカバーできるということです。
2.出願傾向
過去の問題を整理してみると、以下に示す8分野に分類できます。
番号 | 出題分野 | 出題内容 | 問題数 |
1 | 測量 | 座標、測量方法、距離や面積、作図など | 2 |
2 | 構造力学 | 力およびモーメント、解析方法、構造形式など | 3~4 |
3 | 建コン技鋼構造コンクリート | 材料および施工に際してのコンクリートの特性、鋼材 | 2~4 |
4 | 土質工学 | 土の各種特性値、土圧、せん断・変形・圧密、液状化、各種試験内容 | 2~3 |
5 | 水理 | 静水圧、ベルヌーイ式、マニング式、水理解析、限界水深、定流・不定流など | 2~3 |
6 | 施工管理 | 施工管理に関する様々な基礎的知識 | 1~2 |
7 | 理数基礎知識 | 数学や化学などの高校~大学レベル基礎知識 | 2 |
8 | その他 | 環境その他、1年限りのスポット問題が多い。27年度は火山噴火警戒レベル、PCウィルス、技術史が出題 | 3 |
- 最近の問題内容を比較してみると、だいたい似たような問題が出されており、過去問題の引用も多くあります。
- 2019(令和元)年度は全20問中、過去問題をそのまま引用したもの(つまりまったく同じ問題が過去問題にあるもの)が4問、過去問題を少し変えただけのもの(つまりほぼ同じ問題)が12問で、過去に出題例がない問題は4問だけでした。つまりまったく同じ・ほぼ同じ問題が8割を占めていたことになります。
- ちなみに2018(平成30)年度・2017(平成29)年度もまったく同じ・ほぼ同じ問題が8割を占めており、近年はこれまでにないほど過去問題引用が多くなっています。ここまでいかないとしても、半分以上は過去問題がそのまま、あるいは少し形を変えて引用されることが多いようです。
- また問題レベルは、分野にもよりますが、大学で習う内容の中でも基礎レベルです。
- 工学系大学へ行っていない(あるいは行ったけれど忘れている)人、自分の専門分野以外の分野の知識が乏しい人、先輩・上司から教えてもらったことを、基礎理論(なぜそうなっているか)を学ばず丸暗記してきただけの人は、50点取れないということもあるかもしれません。
- それならそれで、まずそういった現状を受け入れましょう。その上で自分の弱点を補強することが合格への最短ルートです。「これだけ覚えたら合格する」というインスタント合格パックのようなものはありませんが、最短ルートはあります。
3.24年度問題の対策
- 全般的な対策
20問すべて、出題ジャンル・出題内容ともある程度一定しています。基本的には、工学系大学で習得する知識のうち、基礎的部分に徹して出題されている感覚です。(特に構造力学と水理工学)
このようにジャンルが一定で、さらに過去問題の引用が半分以上あることも踏まえると、過去問題を中心にジャンル・内容を絞り込んで勉強し、余裕があれば、出題範囲がやや広がったり、出題傾向を変えてきたりした場合に備え、補強していくという勉強法が妥当ではないかと思います。
対策としては、①過去問題で実力チェック、②不得意分野の抽出と補充勉強、③PDCAサイクルで効果確認と次ステップ計画、④過去問題の出題ジャンル・内容に重点を置いた勉強といったことに留意してください。2級土木施工試験出題内容が参考になるでしょう。
なお、過去問題が半分以上ということは、オンライン練習問題や100本ノックもかなり有効だということになります。ただし100本ノックはその性質上、たとえば数学問題や構造力学問題は扱いにくいので、100本ノックばかりではちょっと偏ってしまいますから、オンライン練習問題も数多くこなしていただけると効果的ではないかと思います。
また、過去問題を使って勉強等する場合に重要なことは、丸暗記するのではなく、考え方・解き方を理解すること、すなわち覚えるのではなく理解することです。 - 分野別の出題予想と対策
- 測量
主な測量(水準、平板、GPSなど)と器具(レベル、トランシット、トータルステーションなど)と座標系、基準点などに関する問題が出るものと予想されます。言い換えれば、これらの内容を包括的に理解していれば十分です。
試験対策については、
・出題内容は測量士補試験に出題されるものと似たようなものであり、国土地理院のホームページで試験問題が公開されていますので、これを入手して練習問題として活用
・測量士補の試験対策テキストも多く市販されていますから、これを購入して勉強
といったことが有効ではないかと思います。
なお近年は、測量の知識がなくても単純な算数レベルの計算で解ける簡単な問題が増えてきています。また、過去問題の引用が比較的多く見られます。 - 構造力学
工学部系大学の授業で習うような構造力学の基礎的事項に関する問題が出ています。すなわち、梁や柱といった構造物に、集中荷重や等分布荷重がかかったときの応力やモーメントなどについて正解選択肢を選ぶというもので、これらの出題傾向は今後も続くものと予想されます。
試験対策としては、工学部系大学テキストで勉強していただくのが一番です。インターネットで「構造力学 本」というように検索すればたくさん見つかります。
また、2級建築士の試験テキスト、過去問題なども参考になります。過去問題引用も目につきます。 - 鋼構造コンクリート
コンクリートに関する問題が2問、鋼構造が1問という出題パターンが続いています。いずれも工学系大学テキストあたりがいいテキストになるでしょう。「コンクリート」、「鉄筋コンクリート」などをキーワードにインターネットで検索していただければいいテキストが見つかると思います。
また、コンクリート標準示方書も参考になります。
過去問題が引用されることもあります。 - 土質工学
頻出問題は土のせん断・圧密であり、また土の物理特性も出題されやすいので把握しておいたほうがいいでしょう。
私のホームページである「技術士受験を応援するページSUKIYAKI塾」の一次試験専門科目・土質及び基礎の基礎知識のページが参考になるかと思います。
また、工学系大学の土質工学テキストも基礎知識の理解には好適です。ただし、土質試験や原位置試験といった実務色の強い問題も出されていますので、「地盤調査法」や「土質試験の方法と解説」(いずれも地盤工学会)などの実務マニュアルも参考になると思います。
また、過去問題が引用されることも多々ありますから、過去問題はしっかりやっておきましょう。 - 水理
水理工学をしっかりやっておけば大丈夫です。ベルヌーイ式、流体に関する各種知識、マニング式・ストークス式・ダルシー・ワイスバッハ式など、ダルシー則・フック規則などでしょうか。
実務向けというより基礎理論に近い問題が出ますので、工学系大学テキストの水理工学関連のもので勉強しておけば問題ないと思います。
過去問題が引用されることもあります。 - 施工管理
施工管理全般、統計管理、工程管理などに関する問題が出ると思われますが、少なくともRCCMを受けようとする熟練技術者であれば、常識感覚で解けると思います。毎年2問しか出ません(平成26・27年度は1問でした)が、ここで稼いでおきましょう。
テキストとしては、工学的大学テキストの中に施工管理や施工計画に関するものもありますので、そのあたりが参考になると思います。 - 数学等
基本的には高校数学を復習しましょう。私のホームページである「技術士受験を応援するページSUKIYAKI塾」の一次試験基礎科目の情報・論理に関するページが参考になるかと思います。
また、単位に関する問題がよく出ます。これに関してはインターネットで簡単に資料が探せます。覚えることも少ないので、負担なく勉強できるでしょう。 - その他
情報については、電子納品・CALS、GIS、ADSL、ネット用語など、常識あるいは実務でよく耳にする知識であり、管理技術者としては押さえておかなくては困るテーマも多いので、これを機会にひととおり勉強しておきましょう。
環境については、境基準、気象現象、暖化ガス、環境影響評価用語、放射性物質、エネルギー、水質汚濁と幅広く出題されています。私のホームページの、一次試験専門科目の建設環境に関するページなどが参考になるかと思います。
なお、土木史や土木遺産、住民参加、地震などのスポット的出題もたまにありますが、出たとしても1問かせいぜい2問でしょうし、準備のしようもないですから、特に勉強しなくてもいいと思います。(逆にせっかく勉強しても出題されない可能性が高い)
- 測量
4.解答のコツ
- とりあえずどんどん答えて、本当にわからないものだけ後で見直す。
とにかくどんどん答えていく。わからない問題で長時間立ち止まらない。わからない問題は「後で見直す」フラグを立てておいて、最後に残り時間を使って考える。リズム良く解いていくことが大事。
わからない問題も、選択肢を何度も見直して悩んでいると、アツくなって思考がヘンな方向に行き、間違った答えに直してしまうことのほうが多いので、どこかで思い切ってスパッと切る。
腕時計もロッカーに預けるので、時間管理は画面上の残り時間のみ。問題1も含めてどのくらいの時間でどのていどの問題数が解けるかを把握しておく必要あり。
- 次のような手順でやると効率がよい。
- 自信があるものは即解答して、一切見直さない。
- これかな?と思うけれどいまいち自信がないものはひとまず答えて「後で見直す」フラグを立てておいて、最後の最後に(cも終えた後で)時間があれば見直す。
- ぜんぜんわからないものは「後で見直す」フラグを立てておいて、最後にまとめて考える。
それでもわからなかったら、他の問題の配分から予想するなどヤマカンで決める。
- 「誤りはどれ?」と「正しいのはどれ?」を間違えないこと。
最初にそのことだけで問題を分類し、ノートボードにメモしたり、誤り探しだけまとめて解くなどするとよい。 - 誤りはどれ?問題の特徴
a.「~しなくてもよい」といった「責任逃れ」「怠け」的なものがアヤシイ。
b.「~のみ」、「~しかない」といった断定的・限定的なものがアヤシイ。
c.届出先・申請先にワナがある。大臣・知事・その他を入れ替えてある。
d.数値にワナがあるものは、一番国交省が関心のなさそうな事項がアヤシイ。
- 誤りはどれ?問題の特徴
a.一番まじめで誠実そうなことが書いてあるのが正しいことが多い。
b.一番役所風の文章(きれいな言葉がちりばめてある)のがアヤシイ。
c.一番短い文・一番長い文がアヤシイ。