- 2.2 一般
- (1) 一般の構造物で,維持管理の対象となる要求性能は,安全性能,使用性能,第三者影響度に関する性能,美観・景観,および耐久性能である.
- (2) 安全性能として,一般に耐震性能を含む耐荷性能を対象とする.
- (3) 使用性能として,構造物の使用性あるいは機能性に関する性能を対象とする.
- (4) 耐久性能として,安全性能,使用性能,第三者影響度に関する性能,美観・景観の4つの性能に対する各々の耐久性能を対象とする.
- 3.1 原則
- (1) 構造物は,維持管理の区分を定め,供用期間を通じて構造物が保有すべき要求性能を許容範囲内に維持するよう維持管理計画を策定し,初期点検,劣化予測,点検,評価および判定,対策,記録を適切に行える維持管理体制を構築のうえ,維持管理しなければならない.
- (2) 構造物の維持管理では,点検時での評価および判定とともに,点検に基づく劣化予測によって予定供用期間中の評価および判定を行わなければならない.
- (3) 評価および判定では,対象とする部位・部材あるいは構造物に要求される性能(要求性能)を明確にし,設計耐用期間を明らかにしなければならない.
- (4) 劣化予測,評価および判定の方法は,維持管理の区分,劣化状況などを考慮して,適切なものを採用しなければならない.
- (5) 構造物の適切な維持管理を行うために,設計,施行,初期点検,劣化予測,点検,評価および判定,対策などの結果を,記録,保存しなければならない.
- ※ 維持管理区分
- A:予防維持管理(予防保全を基にした維持管理)
- ① 劣化が顕在化した後では,対策が困難なもの.
- ② 劣化が外へ表れては困るもの.
- ③ 設計耐用期間が長いもの.
- B:事後維持管理(事後保全を基にした維持管理)
- ① 劣化が外に表れてからでも何とか対策がとれるもの.
- ② 劣化が外へ表れてもそれほど困らないもの.
- C:観察維持管理(目視観察を主体とした維持管理)
- ① 使用できるだけ使用すればよいもの.
- ② 第三者影響度に関する安全性を確保すればよいもの.
- D:無点検維持管理(点検を行わない維持管理)
- ① 直接には点検を行うのが非常に困難なもの.
- 4.1 原則
- (1) 劣化機構の推定は,適切な手順に従って実施しなければならない.
- (2) 新設構造物を対象とする場合は,設計・使用材料・施行状況などの記録と構造物の環境条件や使用条件を検討し,劣化機構を推定するものとする.
- (3) 既設構造物を対象とする場合は,構造物の環境条件や使用条件に加えて,変状の特徴を考慮して,劣化機構を推定するものとする.
- (4) 環境条件,使用条件および変状の特徴から劣化機構の推定ができない場合は,劣化指標に代表される評価項目を用いて劣化機構を推定するものとする.
表1.劣化機構と要因,指標,現象の関連
劣化機構 | 劣化要因 | 劣化現象 | 劣化指標 |
中性化 | 二酸化炭素 | 二酸化炭素がセメント水和物と炭酸化反応を起こし,細孔溶液中のpHを低下させることで,鋼材の腐食が促進され,コンクリートのひび割れやはく離,鋼材の断面減少を引き起こす劣化現象 | 中性化深さ 鋼材腐食量 |
塩害 | 塩化物イオン | コンクリート中の鋼材の腐食が塩化物イオンにより促進され,コンクリートのひび割れやはく離,鋼材の断面減少を引き起こす劣化現象 | 塩化物イオン濃度 鋼材腐食量 |
凍害 | 凍結融解作用 | コンクリート中の水分が凍結と融解を繰り返すことによって,コンクリート表面からスケーリング,微細ひび割れおよびポップアウトなどの形で劣化する現象 | 凍害深さ 鋼材腐食量 |
化学的侵食 | 酸性物質 硫酸イオン | 酸性物質や硫酸イオンとの接触によりコンクリート硬化体が分解したり,化合物生成時の膨張圧によってコンクリートが劣化する現象 | 劣化要因の浸透深さ 中性化深さ 鋼材腐食量 |
アルカリ 骨材反応 | 反応性骨材 | 鋼材中に含まれる反応性シリカ鉱物や炭酸塩岩を有する骨材がコンクリート中のアルカリ性水溶液と反応して,コンクリートに異常膨張やひび割れを発生させる劣化現象 | 膨張量 (ひび割れ) |
床版の疲労 | 大型車交通量 (床版緒元) | 道路橋の鉄筋コンクリート床版が輪荷重の繰返し作用によりひび割れや陥没を生じる現象 | ひび割れ密度 たわみ |
はり部材の疲労 | 繰返し荷重 | 鉄道橋梁などにおいて,荷重の繰返しによって,引張鋼材に亀裂が生じて,それが破断にいてる劣化現象 | 累積損傷度 鋼材の亀裂長 |
表2.環境条件,使用条件から推定される劣化機構
外的要因 | 推定される劣化機構 | |
環境条件 | 海岸地域 | 塩害 |
寒冷地域 | 凍害,塩害 | |
温泉地域 | 化学的侵食 | |
使用条件 | 乾湿繰返し | アルカリ骨材反応,塩害,凍害 |
凍結防止剤使用 | 塩害,アルカリ骨材反応 | |
繰返し荷重 | 疲労 | |
二酸化炭素 |
中性化 | |
酸性水 | 化学的侵食 |
鉄筋軸方向のひび割れ,コンクリートはく離…………………………………… 中性化
鉄筋軸方向のひび割れ,錆汁,コンクリートや鉄筋の断面欠損………. 塩害
微細ひび割れ,スケーリング,ポップアウト,変形………………………… 凍害
変色,コンクリートはく離……………………………………………………………….. 化学的侵食
膨張ひび割れ(拘束方向,亀甲状),ゲル,変色……………………………… アルカリ骨材反応
格子状ひび割れ,角落ち,遊離石灰…………………………………………………. 疲労(道路橋床版)
- 5.1 原則
- (1) 初期点検は,構造物の供用開始以前,供用中あるいは大規模対策後に行うものとする.
- (2) 初期点検は,初期欠陥,損傷,劣化の有無を把握するとともに,劣化機構の推定及び劣化予測を行うことを目的として実施するものとする.
- (3) 初期点検の結果は適切に記録しなければならない.
- 5.2 点検の方法
- (1) 初期点検は,原則として構造物全体について実施するものとする.
- (2) 初期点検の項目および方法は,目視や打音法による構造物の点検と,設計,施工に関する図書調査を原則とする.
- 5.3 劣化機構の推定および劣化予測
- (1) 初期点検結果から,構造物で生じる可能性のある劣化機構を推定するものとする.
- (2) 初期点検時に実施する劣化予測は,構造物で生じる可能性のある劣化機構を対象に,適切な劣化予測モデルを用いて実施する.その際に必要な種々のデータは,設計値や推定値を用いるものとする.
- 5.4 評価および判定
- (1) 初期点検では,構造物や部位・部材の初期欠陥,損傷,劣化の有無に基づいて,点検時の評価および判定を実施するものとする.
- (2) コンクリート片が落下することによる第三者影響度が問題となるようなコンクリートの浮きなどの劣化,損傷,初期欠陥が確認された場合には,早急に処置しなければならない.
- (3) 劣化予測の結果に基づき,予定供用期間終了時の評価および判定を実施するものとする.
- (4) (1),(3)の結果に基づき,必要に応じて詳細点検を実施するものとする.
- (5) 初期点検で確認された初期欠陥や損傷は,適切に処置しなければならない.
- 6.1 原則
- (1) 日常点検は,日常の巡回で点検が可能な箇所について,劣化,損傷,初期欠陥の有無や程度の把握を目的として実施するものとする.
- (2) 日常点検の結果は適切に記録しなければならない.
- 6.2 点検の方法
- (1) 日常点検の項目,部位および頻度は適切に定めるものとする.その際,維持管理区分,構造物や部位・部材の重要度,劣化予測結果などを考慮するものとする.
- (2) 日常点検の方法は,目視,写真,ビデオ,双眼鏡などによる目視点検および車上感覚による点検を主体とし,以上等が発見された場合は,打音法による点検を行うことを原則とする.
- 7.1 原則
- (1) 定期点検は,日常点検による点検部位に日常点検で把握しがたい構造物の細部も含めて,劣化,損傷,初期欠陥の有無や程度の把握を目的として実施するものとする.
- (2) 定期点検の結果は適切に記録しなければならない.
- 7.2 点検の方法
- (1) 定期点検の項目,部位および頻度は適切に定めるものとする.その際,維持管理区分,構造物や部位・部材の重要度,既存の維持管理の記録および劣化予測結果などを考慮するものとする.
- (2) 定期点検の方法は,目視点検や打音法による点検を主とし,必要に応じて非破壊検査やコア採取などを組み合わせるものとする.点検方法の決定に際しては,維持管理区分,構造物や部位・部材の重要度,既存の維持管理の記録,劣化予測結果などを考慮するものとする.
- 8.1 原則
- (1) 詳細点検は,初期点検,日常点検,定期点検および臨時点検で必要と判定された場合に実施するものとする.
- (2) 詳細点検は,構造物の状態や生じている劣化の状況を詳細に把握するために実施するものとする.
- (3) 詳細点検の結果は適切に記録しなければならない.
- 8.2 点検の方法
- (1) 詳細点検は,詳細なデータが必要な部位について実施するものとする.
- (2) 詳細点検の項目および方法は,劣化機構の推定結果,初期,日常,定期および臨時の各点検結果および劣化予測結果に基づき,目的に合致するものを適切に選定するものとする.
- 10.1 原則
- (1) 初期点検,日常点検,定期点検,詳細点検,臨時点検にかかる試験および調査の方法は,対象とする構造物の状況,必要とされる情報,構造物の劣化の原因などを十分考慮に入れ,適切な方法を用いるものとする.
- (2) 試験および調査の方法の標準として本章に記述する方法を用いるものとする.
- (3) 試験および調査の結果は適切に記録し保管する.
- 10.2 目視観察および打音法による試験
- (1) コンクリートの表面状況の観察は目視により行う.
- (2) 変状の定量的な評価を行う場合には簡易な計測機器を用いる.
- (3) 表層近傍のコンクリート内部の空隙などの変状を打音法により把握する
- 10.3 非破壊検査機器を用いた試験
- 10.3.1 総則
- (1) 目視観察および打音法による試験のみでは十分な情報が得られない場合,非破壊検査機器を用いた試験を実施する.
- (2) 非破壊検査機器を用いた試験を実施するに際しては,その目的,適用範囲,必要とされる計測精度を明確にした上で,適切な機器を選定する.
- 10.3.2 光ファイバースコープを用いる方法
- 光ファイバースコープを用いる方法は,狭あいな空間を通してコンクリート内部の状況を観察する方法である.
- 10.3.3 反発硬度を利用する方法
- 反発硬度を利用する方法は,コンクリート表層近傍の硬度を測定することによりコンクリートの強度を推定する方法である.
- 10.3.4 電気・磁気を利用する方法
- (1) 電気・磁気を利用する方法には,鋼材の導電性および磁性を利用する方法と,コンクリートの誘電性を利用する方法とがある.
- (2) 電気・磁気を利用する方法により,主として以下の項目に関する情報を得ることができる.
- ① コンクリート中の鉄筋の位置,径,かぶり
- ② コンクリート中の含水量
- 10.3.5 弾性波を利用する方法
- (1) 弾性波を利用する方法とは,コンクリート中を伝わる弾性波の特性を計測することにより,コンクリート内部の情報を得るものである.弾性波を利用する方法は,超音波法,衝撃弾性波法,アコースティック・エミッション(AE)法などに分類される.
- (2) 弾性波を利用する方法により,主として以下の項目に関して情報を得ることができる.
- ① コンクリートの圧縮強度
- ② コンクリートのひび割れ
- ③ コンクリートのはく離
- ④ コンクリート中の空隙
- ⑤ 構造物の荷重履歴
- 10.3.6 電磁波を利用する方法
- (1) 電磁波を利用する方法とは,コンクリートを透過あるいは反射する電磁波を利用する計測方法であり,利用する電磁波の種類により,X戦法,レーダー法,赤外線法などに分類される.
- (2) 電磁波を利用する方法を用いることにより,主として以下のような情報を得ることができる.
- ① コンクリート中の鉄筋の位置,径,かぶり
- ② コンクリート中の空隙
- ③ コンクリートのひび割れ
- ④ コンクリートのはく離
- 10.3.7 電気化学的方法
- (1) 電気化学的方法とは,鋼材の腐食現象が電気化学的現象であることを利用したものであり,自然電位,分極抵抗,分極曲線などの計測項目がある.
- (2) 電気化学的方法により,主として以下の項目に関する情報が得られる.
- ① コンクリート中の鉄筋の腐食傾向
- ② コンクリート中の鉄筋の腐食速度
- (3) 電気的方法としてコンクリートの比抵抗の計測がある.
- 10.4 局部的に破壊する試験
- (1) 局部的に破壊する試験とは,構造物のごく一部を破壊し,コンクリートの物性や劣化の状況を調査する試験である.
- (2) 局部的に破壊する試験として,主としてコア抜き試験およびはつり試験がある.
- 10.5 実構造物の力学的状態量を直接的に評価する試験
- (1) 直接的に評価可能な実構造物の力学的状態量には,ひずみ,変形量,加速度などがある.
- (2) 直接的に評価した実構造物の力学的状態量により,以下の項目に関する情報を得ることができる.
- ① 部材あるいは断面剛性
- ② 固有振動数,減衰定数
- 10.6 劣化外力を評価する試験
- 10.6.1 総則
- 構造物が置かれている環境条件を評価することにより,劣化の原因の推定および劣化予測のための情報を得る.
- 10.6.2 中性化の劣化外力を評価する試験
- コンクリートの中性化の進行,および中性化による鋼材腐食に関する劣化外力の評価は,気象条件(気温,湿度,降雨頻度,日射量)について行う.
- 10.6.3 塩害の劣化外力を評価する試験
- (1) コンクリート中への塩化物イオンの浸透,拡散に関する劣化外力の評価は以下の項目について行う.
- ① 海水および飛来塩分の影響
- ② 凍結防止材の影響
- ③ 気象条件(温度,湿度,降雨量,日射量)
- (2) 塩害による鋼材の腐食に関する劣化外力を以下の項目について行う.
- ① 気象条件(温度,湿度,降雨量,日射量)
- 10.6.4 凍害の劣化外力を評価する試験
- 凍害に関与する劣化外力の評価は,気象条件(最低気温,日射量,凍結融解回数),水の供給条件について行う.
- 10.6.5 化学的侵食の劣化外力を評価する試験
- 化学的侵食に関与する劣化外力の評価は,コンクリートが接触する溶液の種類,温度について行う.
- 10.6.6 アルカリ骨材反応の劣化外力を評価する試験
- アルカリ骨材反応に関与する劣化外力の評価は以下の項目について行う.
- ① 気象条件(温度,湿度,日射量)
- ② 雨掛かりの状況
- ③ 地盤中からの水の供給条件
- ④ アルカリの供給条件
- 10.6.7 疲労劣化の劣化外力を評価する試験
- コンクリート床版の疲労劣化に関与する劣化外力の評価は以下の項目について行う.
- ① 荷重条件
- ② 使用条件(雨水の浸透,凍結防止材の散布)
- 10.7 補修材料に関する試験
- コンクリートの補修材料に関する試験方法は,試験の目的を十分考慮に入れた上で,適切な方法を選定する.
- 11.1 原則
- (1) 構造物の性能低下が問題となる可能性があると評価および判定された場合には,維持管理区分,残存供用期間,維持管理の難易度などを考慮して,適切な対策を選定しなければならない.
- (2) 選定した対策を実行するためには,構造物の劣化機構と劣化の程度に応じて,適切な対策の計画を立案しなければならない.
- (3) 工法や材料の選定などを含めた対策の計画に当たっては,必要に応じて,目標とする性能水準を定めなければならない.
- (4) 構造物の劣化機構が明確な場合には,劣化の程度に応じた適切な種類の対策を選定し,対策の計画を立案しなければならない.
- (5) 第三者への影響など,ただちに問題となる構造物の変状などが認められた場合には,すみやかに,適切な応急処置を実施しなければならない.
- 11.2 対策の種類
- 対策として,点検強化,補修,補強,修景,使用性回復,機能性向上,供用制限,解体・撤去などの中から,適切に選択しなければならない.
- 対策として,点検強化,補修,補強,修景,使用性回復,機能性向上,供用制限,解体・撤去などの中から,適切に選択しなければならない.
- 11.2.1 点検強化
- 点検頻度の増加,点検項目の追加など,点検強化を行う場合,評価および判定の結果や残存供用期間に基づいて点検頻度や点検項目を定めなければならない
- 点検頻度の増加,点検項目の追加など,点検強化を行う場合,評価および判定の結果や残存供用期間に基づいて点検頻度や点検項目を定めなければならない
- 11.2.2 補修
- 補修を行う場合,劣化機構や補修後の維持管理を考慮して工法や材料の選定を行い,目標とする性能水準を定めて補修計画を立案しなければならない.
- 11.2.3 補強
- 補強を行う場合,劣化機構や補強後の維持管理を考慮して工法や材料の選定を行い,目標とする性能の水準を定めて補強計画を立案しなければならない.
- 11.2.4 修景
- 構造物の被覆や増打ちなどにより修景を行う場合,周囲の景観や構造物の機能,残存供用期間などを考慮して修景計画と施工計画を立案しなければならない.
- 11.2.5 使用性回復
- 構造物が保有する使用性能の回復を図る場合,その目標水準を定めて設計を行い,施工計画を立案しなければならない.
- 11.2.6 機能性向上
- 構造物が保有する機能性の向上を図る場合,その目標水準を定め,施工計画を立案しなければならない.
- 11.2.7 供用制限
- 走行荷重の制限など構造物の供用制限は,評価および判定の結果に基づいて,供用制限の程度や方法を定めるとともに,必要に応じて詳細点検を行い,実施しなければならない.
- 11.2.8 解体・撤去
- 解体・撤去を行う場合,環境条件,安全性,解体後の処理,工期,経済性などを考慮して,対象構造物に適した工法の選定を行い,解体・撤去計画を立案しなければならない.
- 11.3 補修
- 11.3.1 原則
- (1) 補修は,第三者への影響の除去および耐久性能の回復もしくは向上を目的とした対策に適用する.
- (2) 補修においては,事前に構造物の劣化状況を必要に応じて調査しなければならない.
- (3) 補修においては,補修計画を立案するとともに,補修計画に基づいた施工を行い,施工中および施工後に適切な管理と検査を実施しなければならない.
- (4) 補修においては,劣化要因を除去することが必要である.ただし,劣化要因を完全に除去できない場合には,劣化の進行を抑制することが必要である.
- 11.3.2 補修計画
- (1) 補修計画においては,事前の調査結果に基づき,劣化気候に適合した補修工法を選定しなければならない.
- (2) 補修計画においては,維持管理の区分,構造物の重要度,残存供用期間,経済性,補修後の維持管理の難易度などを考慮して,適切な補修水準を定めなければならない.
- (3) 補修計画では,的確な補修設計を行うとともに,施工計画を立案しなければならない.
- 11.4 補強
- 11.4.1 原則
- (1) 補強は,耐荷性や剛性などの力学的な性能の回復,あるいは向上を目的として維持管理対策に適用する.
- (2) 補強においては,事前に構造物の劣化状況を必要に応じて調査しなければならない.
- (3) 補強においては,補強計画を立案するとともに,補強計画に基づいた施工を行い,施工中および施工後に適切な管理と検査を実施しなければならない.
- (4) 補強後の構造物が,所要の補強水準を満足することを,補強設計の段階で適切な方法を用いて照査しなければならない.
- 11.4.2 補強計画
- (1) 補強計画においては,維持管理の区分,構造物の重要度,残存供用期間,経済性,補修後の維持管理の難易度などを考慮して,適切な補修水準を定めなければならない.
- (2) 補修工法は,点検,評価および判定に基づき,所定の補強水準を満足させる方法の中から,構造条件,施工条件,耐久性能,および補強後の維持管理の難易度を考慮し,選択されなければならない.
- (3) 補修計画では,適切な補強設計を行うとともに,施工計画を立案しなければならない.