H16年度二次試験
「失格条項」に関する問題について
最終報告 2004.8.19 Back
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この問題の内容と私の考え
現場実態調査(アンケート調査)
実態調査結果
技術士会への報告と要望

この問題の内容と私の考え

平成16年度二次試験より、「失格条項」が非常に多くなりました。
「受験番号を記入して、かつマークもしていないと失格」など、個人的には試験の本質的な目的から遠くなっているような気がするものもありますが、「公平性を徹底する」ための措置とのことで、それはそれで試験監理の一つの方法だと思います。
しかし実施上の問題として、
  ●受験番号等の記入開始指示の時間が、試験会場・教室によってまちまち
  ●記入許可が出ていないのに勝手に記入する受験生がおり、この監視・対応が徹底していない

といったことがあったとの指摘が掲示板で見られます。
特に今年度は全ての答案用紙に受験番号だけでなく受験科目等の記入も徹底されたため、これに要する時間が無視できない程度にかかり、これを受験開始前から記入できた人とできなかった人では、実質的な試験時間に明瞭な差が生まれたと思われます。

問題持ち帰り、配点・合否基準の公表、択一問題正答の公表、本人への成績通知などの措置に加え、今回の「失格条項の設定」は国家試験として信頼されるような公平性・透明性を確保するための一連の措置の一部であるということは理解できますが、上記のような現場実態があるとすれば、それは信頼獲得という目的に逆行するものです。
そしてその結果として、実質的な試験時間に差が付いたとすれば、公平性という点で大きな問題であるといわざるを得ません。

もしこのような現場実態が存在するのであれば、「受験番号をはじめとする必要記入事項の不備は失格」という失格条項は、今年度は適用を見合わせ、現場での公平性確保が保証できる体制を整えて、それ以後に発効すべきではないかと考えます。

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現場実態調査(アンケート調査)

以上のような考えにたって、現場における受験番号等記入の実態を把握したいと考え、主旨に賛同いただける受験生諸氏のご協力をお願いいたしました。
調査票フォームを用意し、ご記入いただける項目についてご記入いただき、送信していただきました。
なお、問題の性質上、早期に対応したいと考え、調査期間は8月18日(水)までとさせていただきました。
その結果、201名の受験者の方から、202件の情報をいただきました(併願者がお一人いらっしゃるため、人数と件数が異なっています)。
ご協力いただきました皆さん、誠にありがとうございました。
202件の内訳は、北海道16、宮城12、東京56、神奈川14、新潟6、石川4、愛知21、大阪31、広島10、香川5、福岡23、沖縄4です。

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実態調査結果調査票集計結果自由意見抜粋

【会場別状況】

会場 受験番号等記入指示時刻
北海道 直前というものから10〜15分前というものまで幅がある。
全員記入を終えてから試験を開始し、開始時間が遅れた分終了時間も延長したという例もある。
宮城 平均して5分程度前から。道路(午前中)・応用理学地質・総監は開始時刻から。
東京 早くて10〜15分前から。河川砂防は開始時刻から。港湾・土質基礎は部屋によって開始時刻からというものから10分前まで幅がある。
神奈川 5〜10分前から。総監は開始時刻からという例が大部分。
新潟 3〜10分前から。開始時刻からという報告例はなし。
石川 4〜8分前から。開始時刻からという報告例はなし。
愛知 早くて5〜10分前から、開始時刻からという例も目に付く(河川砂防や鋼構造・都市計画・施工計画)。
大阪 10分前から記入可能というところも多い。道路は開始時刻から。同一科目でも部屋によって異なる。
広島 5分程度前からでかなり揃っている。早くて8分前から。開始時刻からという報告例はなし。
香川 平均して5分程度前から。鋼構造午後は開始時刻から。
福岡 平均して5分程度前からだがばらついている。総監は開始時刻からが大部分。
沖縄 平均して5分程度前から。

【部門・科目別状況】

部門・専門科目 受験番号等記入指示時刻
建設 土質基礎 早いもので10〜15分前(北海道)、遅いもので開始時刻から(東京ほか)。
鋼構造 早いもので10〜15分前(東京)、遅いもので開始時刻から(愛知ほか)。同じ東京でも開始時刻からというものがある。
北海道ではほぼ全員記入終了確認後試験開始。開始が遅れた分終了時刻も延長。
都市計画 早いもので10分前(神奈川)、遅いもので3分前(新潟)。
河川砂防 早いもので8分前(広島)、遅いもので開始時刻から(東京・愛知など)。
港湾 早いもので10分前、遅いもので開始時刻から(いずれも東京:部屋によって違う?)。
道路 早いもので10分前(東京)、遅いもので開始時刻から(愛知、宮城・神奈川・福岡の一部)。
鉄道 5分程度前から。2例のみ。
トンネル 早いもので10分前(大阪)、遅いもので5分前(東京など)。
北海道では全員記入終了確認後試験開始。開始が遅れた分終了時刻も延長。
施工計画 平均5分前、早いもので8分前(石川)、遅いもので開始時刻から(北海道・愛知・大阪)。
建設環境 早いもので10分前、遅いもので1分前
総合技術監理 開始時刻からというのが目立つが、一部で10分前からという例もある。
農業 農業土木 5分程度前からでよく揃っている。新潟では一部10分前。
電気電子 早くて7〜8分前、遅くて30秒ほど前から。
上下水道 早くて10分前、遅くて1分前(大阪)。
応用理学 2例のみ。4分〜10分前から。
衛生工学 2例のみ。東京で5〜7分前、福岡で開始時刻から。
化学 神奈川1例のみ。5〜10分前から。
機械 0〜5分前から。
金属 大阪1例のみ。10分前から。
環境 2例のみ。いずれも5分前から。
情報工学 5〜10分前から。
森林 5〜10分前から。愛知では答案用紙への記入指示はなかった。

【勝手な記入開始などの状況】
そのような行為を見たという例は、いくつかあります。
特に目立つのが、午前中に試験開始前から記入してもよいとアナウンスされたので、午後は答案用紙が配布された直後から記入する受験生が見られたというものです。
また、封筒への記入は明瞭に指示されたが、答案用紙への受験番号記入指示は不明瞭であったというようなお話もいくつかありました。
また、これは開始前記入ではありませんが、「試験終了後も数分間書き続けていた」という例も複数ありました。

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技術士会への報告と要望

以上の調査結果を踏まえ、技術士会(試験センター)あてに調査結果報告と要望のメールを、8月16日と8月19日に送りました。

8月16日の中間メール内容 8月19日の最終メール内容

要望事項は、以下の2点です。

(1) 実質的な試験時間が不公平にならないよう配慮した措置
 例えば、試験開始10分前からの記入等、受験番号等記入開始時刻の統一と、それを可能にするような試験スケジュール。

(2) 指示に従わない受験者に対する厳格な措置
 例えば、記入指示前から勝手に記入した場合の失格規定など。

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