平成20年度技術士第一次試験専門科目問題(環境部門) 提供:chimnさん   各部門の部屋Topへ
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Ⅳ 次の35問題のうち25問題を選択して解答せよ。(専門科目解答欄に1つマークすること。)


-1 EUの新たな化学物質管理制度REACH(Registration,Evaluation,Authorisation and Restriction of Chemicals)に関する次の記述のうち、誤っているものを選べ。

①制度が始まるまでに市場に流通していた既存化学物質よりも、新規化学物質を優先して評価を実施する。

②政府が実施してきたリスク評価を、事業者の義務に変更する。

③残留性及び蓄積性が極めて高い物質などの高懸念物質(SVHC)を使用するには、事業者は行政庁に申請して認可を得る必要がある。

④化学物質の供給者は、川下使用者に対し、化学物質に関する安全性データシートなどの情報を伝える義務がある。

⑤成形品に高懸念物質(SVHC)が一定濃度(0.1重量%)を超えて含有される場合には、成形品の供給者は、川下使用者に対し、その成形品を安全に使用できる情報を伝える義務がある。

 

-2 環境試料の分析において種々の単位が用いられる。物理化学量と括弧内に示した常用される単位(一部SI組立単位)を、他のSI単位系で表した次の組合せのうち、誤っているものを選べ。

①圧力(Pa) - Nm-2               ②電気伝導率(S/m) - AV-1m-1

③濃度(ppm) - molm-3            ④放射能(Bq) - s-1

⑤周波数(Hz) - s-1

 

-3 日用品に含まれる化学物質()とその用途の組合せとして、最も適切なものを次の中から選べ。

①クマリン - 軽油のアンチノッキング剤

②メチル-t-ブチルエーテル(MTBE) - バイオエタノール由来の転換燃料

③パラベン - 飲料の防腐剤

④キシリトール - 食品の殺菌剤

⑤トリクロサン - 手洗い用洗剤の界面活性剤

 

-4 微量無機成分の機器分析法である四重極型ICP質量分析法に関する次の記述のうち、誤っているものを選べ。

①イオン源のICPはほとんどの元素をイオン化し、CrAsCdPbなど多元素の分析が可能である。

CrAsCdPbの元素に対して、1ng/mL以下の装置検出下限を有している。

③測定質量範囲を高速に走査し、ほぼ同時にCrAsCdPbなどの多元素の質量スペクトルが得られる。

④他の元素の酸化物や塩化物などの分子イオンが、測定元素に干渉することがあるため注意が必要である。

⑤分子イオンが生成した場合、1つの質量数に複数のピークが現れる複雑な質量スペクトルを示す。

 

-5 化学物質の環境計測に用いる質量分析に関する次の記述のうち、誤っているものを選べ。

①環境大気中のダイオキシン類の測定には、多数の異性体を高感度、高選択的に測定するため、高分解能ガスクロマトグラフ質量分析計が用いられている。

②日本工業規格(JIS)で定められた排ガス及び排水中のダイオキシン類の測定では、分解能10000以上の質量分析計を使用することが決められている。

③有害大気汚染物質としてのベンゼン等揮発性有機化合物(VOCs)の測定方法には、ステンレス製の試料採取容器を用いて大気試料を採取した後、その一定量をガスクロマトグラフ質量分析計で測定する容器採取-ガスクロマトグラフ質量分析法がある。

④環境計測における液体クロマトグラフ質量分析法のイオン化法には、エレクトロスプレーイオン化法(ESI)及び大気圧化学イオン化法(APCI)が主に使用されている。

⑤液体クロマトグラフ質量分析法は難揮発性物質、熱不安定物質の分析は困難であるが、ガスクロマトグラフ質量分析法はそれらの物質を直接的に分析することができる。

 

-6 「水質汚濁防止法」に関する次の記述のうち、誤っているものを選べ。

①「水質汚濁防止法」では、「下水道法」で定義されている「公共下水道」へ排出される水は適用外である。

②「水質汚濁防止法」では、地下水は「公共用水域」に含まれないため、地下浸透水に係る規制は定められていない。

③「水質汚濁防止法」でいう「公共用水域」には、下水施設のうち分流式による雨水管や道路側溝のように下水道終末処理場を通さずに河川等に流れ込む水路が含まれる。

④「水質汚濁防止法」でいう「排出水」とは、同法で指定された特定施設を設置する工場及び事業場全体から公共用水域に排出される水のことである。そのため、特定施設以外の施設からの排水も「排出水」に該当する場合がある。

⑤この法律において「汚水等」とは、同法で指定された特定施設から排出される汚水又は廃液をいう。

 

-7 日本工業規格Q17025(試験所及び校正機関の能力に関する一般要求事項)による次の精度管理に関する記述のうち、誤っているものを選べ。

①この規格に定められている精度管理に係る要求事項は、ISOなどの国際規格を基に構成されている。

②試験方法の妥当性の確認には、測定の不確かさの推定及び試験データの分析のために用いられる統計的手法が含まれる。

③試験に用いる方法は、標準物質又は参照標準を用いた校正あるいは試験所間比較等によって妥当性を確認された方法でなければならない。

④試験及び校正においては、必ずしもSI単位へのトレーサビリティが当てはまらない場合が存在する。

⑤この規格は、試験を実施する職員の数又は試験活動の範囲が、一定規模以上の試験所に適用するものである。

 

-8 工場排水の公定試験法に関する次の記述のうち、誤っているものを選べ。

①生物化学的酸素消費量(BOD)の試験において、試料中に好気性の微生物及び細菌が存在しない場合、又はその数が不足している場合に、下水の上澄み液等を加えた希釈液を用いる。この希釈水を植種希釈水という。

②生物化学的酸素消費量(BOD)の試験において、試料に硫化物、亜硫酸塩、鉄()などの還元性物質が共存する場合には、それらの物質による15分間の酸素消費量とBODを区別しなければならない。

100℃における過マンガン酸カリウムによる酸素消費量(CODMn)の試験において、硝酸銀溶液の代わりにめのう乳鉢でよくすりつぷした塩化銀の粉末を用いても良い。

④フェノール類は変化し易いため、試料採取後直ちに試験を行わなければならないが、直ちに試験できない場合には、りん酸でpH調整し、硫酸銅()五水和物を加えて冷暗所に保存する。

⑤ふっ素化合物をランタン-アリザリンコンプレキソン吸光光度法を用いて試験する場合、一般に陰イオンの影響は少ないが、陽イオンの影響は多い。特に、アルミニウム、カドミウム、鉄、ニッケル、ベリリウム、鉛などが妨害する。

 

-9 日本音響学会の提唱する道路交通馬蚤音予測モデルにおいて、走行する自動車から発生する騒音のA特性音響パワーレベルLWA[デシベル]は、次式で与えられる。

LWA=+log10+

ここで、        :走行速度[km/h]

        :車種別に与えられる定数

        :速度依存性を表す係数

        :路面状態、道路勾配などに対する補正項

である。いま、実験用の道路で自動車を走行させて発生騒音のA特性音響パワーレベルを測定したところ、時速40km/h93デシベル、時速80km/h102デシベルであった。このとき、速度依存を表す係数の値はいくらか。また、時速が40km/hから80km/hに増加したときに、発生騒音のA特性音響パワーは何倍になったか。の値とA特性音響パワーの倍率の組合せとして正しいものを次の中から選べ。(ただし、log1020.3である。)

=102    =204    =308    =4016   =5032

 

-10 地盤沈下に関する次の記述のうち、誤っているものを選べ。

①地盤沈下の多くは、地下水の過剰な汲み上げにより地下の粘土層が収縮することにより生じる。地下水は主として工業、農業、上水道などのために使用されているが、千葉県九十九里平野のように水溶性天然ガスを含む化石海水の採取が地盤沈下の主要因となっている地域もある。

②地盤沈下は、東京都江東地区では大正初期、大阪市西部では昭和の初期から発生していた。昭和30年以降の経済発展とともに、新潟平野、濃尾平野、筑後・佐賀平野をはじめとして全国で地盤沈下が見られるようになった。昭和40年代には各地で年間20cmを超える沈下が発生し大きな社会問題となった。

③地盤沈下の防止を図るために地下水採取の規制措置がとられている。工業用水に対しては「工業用水法」が昭和31年に、冷暖房用等の建築物用地下水に対しては「建築物用地下水の採取の規制に関する法律」が昭和37年に制定された。

④地盤沈下や地下水の状況を監視するために、地盤の水準測量とともに観測井による地下水位や地盤収縮量または地盤高の測定が行われている。また、実験段階ではあるが、人工衛星に搭載したレーダーを用いて、地盤沈下の面的分布を高精度に測定する方法も提案されている。

⑤我が国では、年間2cm以上沈下した地域の数は近年では10か所前後であり、地盤沈下は沈静化の傾向をたどっている。平成14年度から平成18年度の5年間で年間2cm以上沈下した地域は、そのほとんどが新潟平野、関東平野、濃尾平野、大阪平野にある。

 

-11 地球温暖化に関する次の記述のうち、誤っているものを選べ。

IPCC4次評価報告書によれば、地球温暖化は人為起源の温室効果ガスの増加によるとされており、温室効果ガスの1つである二酸化炭素の濃度は2005年時点で379ppmであり、工業化以前の濃度約280ppmに比べて約100ppm増加している。

②工業化以降における二酸化炭素の濃度上昇の主要な原因は化石燃料の使用である。土地利用の変化も二酸化炭素の濃度上昇の一因となっているがその影響は小さい。

③南北両半球において、山岳氷河と積雪面積は平均すると縮小している。氷河と氷帽の広範にわたる減少は海面水位の上昇の原因となっている。

1906年から2005年までの100年間で、世界の平均気温は0.74℃上昇したと見積もられている。さらに、最近50年間の上昇傾向は、過去100年のほぼ2倍の速さである。

⑤都市のヒートアイランドも地球温暖化に大きな影響を与えている。ただし、陸上での影響に比べて海上での影響はさほど大きくない。

 

-12 地球環境の観測には、定期的に広範囲を観測することのできる衛星センサの利用が有効である。地球観測衛星に関する次の記述のうち、誤っているものを選べ。

①地球観測衛星が対象物から情報を得るのは、主として対象物から反射または放射される電磁波によっている。このほか、重力や磁力もその手段として使われることがある。

②電磁波は波長の短い順に、γ線、X線、紫外線、可視光線、赤外線、マイクロ波などに分けられる。地球観測衛星が使用するのは、X線からマイクロ波にわたる波長帯である。

③地表面はその被覆状態によって異なる反射特性を示す。このことを利用して、アマゾンの森林伐採、北極圏の湖沼の数や面積の減少などが観測されている。

④地球観測衛星は南北の極付近の上空を通過する極軌道をとるものが多いが、気象観測衛星のように赤道の上空に静止して見える静止軌道をとるものもある。

⑤地球観測衛星はオゾンや水蒸気など大気微量成分の観測にも用いられている。その例として南極上空のオゾンホールの観測結果などがある。

 

-13 ある河川にA工場の排水が放流されている。放流地点の上流における河川流量は100,000m3/日、BOD濃度は1mg/Lであり、A工場の排水の排水量は10,000m3/日、BOD濃度は100mg/Lである。放流地点の直下流における河川のBOD濃度を2mg/L以下にするために、A工場において排水処理を行うとすると、BOD除去率は最低限いくらにすべきか。次の中から選べ。ただし、排水処理施設において排水量は変化せず、放流地点において河川水と工場排水は完全に混合されるものとする。

92%   88%   84%   80%   76%

 

-14 水質総量規制に関する次の記述のうち、正しいものを選べ。

①水質総量規制は、「水質汚濁防止法」に基づき、汚濁が著しい広域的な閉鎖性海域の水質改善を図るため、全ての汚濁発生源について、総合的・計画的に対策を進める制度である。

②水質総量規制は、昭和54年以来6次にわたり、化学的酸素要求量を対象に実施されている。

③対象水域は東京湾、伊勢湾及び大阪湾であり、また、これら水域への流入域である20都府県の関係地域が対象地域となっている。

④「水質汚濁防止法」に基づく「総量削減基本方針」は、水質総量規制制度の根幹を成すものであり、汚濁源を生活系、産業系及びその他系に分けた上で、汚濁負荷の総量の削減目標量及び方途、目標年度等を定めるものである。

⑤環境大臣は、「総量削減基本方針」に基づき、「総量削減計画」を策定し、都府県ごとの発生源別の削減目標量及び削減の方途等を定めることとされている。

 

-15 水環境における有害物質汚染に関連した次の記述のうち、誤っているものを選べ。

①有害物質の水質基準を検討する際に用いられるLC50は、試験生物の半数に何らかの影響が認められる濃度である。

②オクタノール/水分配係数の大きい物質は、一般的に、土壌や底質に吸着しやすく、生物体内にも蓄積されやすい。

③生物を有害物質のない環境に移したとき、有害物質の体内蓄積量が半分になる時間は生物学的半減期と呼ばれ、生物による濃縮、蓄積及び排泄の総合指標として重要である。

④水俣病の原因物質はメチル水銀であり、自然界の食物連鎖を通じて魚介類に生物濃縮され、それを摂取したヒトで起きたものと考えられている。

⑤公共用水域における水底の底質の汚染に係る環境基準は、ダイオキシン類についてのみ設定されている。

 

-16 「環境影響評価法」に関する次の記述のうち、誤っているものを選べ。

①環境影響評価方法書とは、環境影響評価において、どのような項目について、どのような方法で調査・予測・評価をしていくのかという計画を示したものである。

②環境影響評価準備書とは、対象事業について調査・予測・評価・環境保全対策の検討を実施した結果を示し、環境の保全に関する事業者自らの考え方を取りまとめたものである。

③環境影響評価書とは、環境影響評価準備書に寄せられた意見について検討し、必要に応じてその内容を見直して、作成したものである。

④環境影響評価方法書及び環境影響評価準備書に対して、環境保全の見地から意見書を提出できる人は、地域住民に限られる。

⑤環境影響評価書について、環境大臣は必要に応じて事業の許認可を行う者に、環境保全の見地からの意見を述べる。

 

-17 大気の構造と循環に関する次の記述のうち、誤っているものを選べ。

①対流圏には、赤道付近から緯度30度あたりまでの低緯度地域にハドレー循環、緯度30度あたりから60度あたりまでの中緯度地域にフェレル循環、緯度60度あたりから極までの高緯度地域に極循環と、南北方向に大きな大気の循環がある。

②低緯度地域では最も穏やかな東風の貿易風が吹き、中緯度地域では強い西風の偏西風、高緯度地域では高度の低いところで極偏東風が吹いている。

③地球表面から上空への気温は高さによって大きく変化し、その傾向に沿って下から順に3つの層に分けられる。上空にいくほど気温が低下する対流圏、オゾンが太陽からの紫外線を吸収して気温が上昇する成層圏、再び気温が降下して-80℃~-90℃まで下がる中間圏に分けられる。

④紫外線(UV)は、波長によってA,B,Cに分けられ、紫外線Cが最も地表へ多く到達する。

⑤地球の大気は、高さ約80kmまでほぼ同じ組成をしている。水蒸気を除いた乾燥大気でみると、窒素、酸素及びアルゴンの3種類で99.9体積%以上を占める。その他に二酸化炭素、希ガス(ヘリウム、ネオンなど)、メタン等の微量成分が存在している。

 

-18 再生可能エネルギーに関する次の記述のうち、誤っているものを選べ。

①我が国の一次エネルギー供給に占める新エネルギー(「新エネルギー利用等の促進に関する特別措置法」に規定するもの)の割合は年々増加しつづあるが、2004年度で1.9%となっている。

②再生可能エネルギーとは、自然環境の中で繰り返し起こる現象から取り出すエネルギーの総称である。

200512月末には世界の太陽電池の5割以上を日本が生産している。

④日本の風力発電導入量は、200512月末には世界で10位となっている。しかし世界で上位を占めるドイツ、スペイン、アメリカの導入量とは大きな格差がある。

⑤廃棄物発電は、廃棄物を焼却した際に発生する高温ガスで蒸気を作り発電するシステムに代表される。連続的に電力が得られる安定した電源で、電力需要地に直結した集中型の電源である。

 

-19 越境大気汚染問題に関する次の記述のうち、誤っているものを選べ。

1960年代から欧州地域などにおいて酸性雨による森林や湖沼などの生態系への影響が報告され、その後1979年に「長距離越境大気汚染条約」が締結された。

1985年には「長距離越境大気汚染条約」に基づき「ヘルシンキ議定書」が採択され、1993年までに1980年時点の硫黄酸化物排出量の少なくとも30%を削減することを求めた。

1988年には「長距離越境大知写染条約」に基づき「ソフィア議定書」が採択され、1994年までに窒素酸化物の排出量を1987年時点の水準に凍結することを定めた。

④日本が主導して構築してきた「東アジア酸性雨モニタリングネットワーク」は、19984月に10か国の参加のもとに試行稼働を始め、20011月にこのネットワークを本格稼働させた。

⑤「東アジア酸性雨モニタリングネットワーク」では、参加各国が共通の手法により、酸性雨やその影響に関し、湿性沈着、乾性沈着、土壌・植生、陸水及び海水を対象にモニタリングが行われている。

 

-20 「特定産業廃棄物に起因する支障の除去等に関する特別措置法」に関する次の記述のうち、誤っているものを選べ。

①「特定産業廃棄物」とは、「廃棄物の処理及び清掃に関する法律の一部を改正する法律(平成9年法律第85)」の施行前に「産業廃棄物処理基準」又は「特別管理産業廃棄物処理基準」に適合しない処分が行われたものをいう。

②この法律に基づいて実施できる「支障除去等事業」は、「特定産業廃棄物」を最終処分場等から除去する事業に限定される。

③都道府県又は政令市が定める支障の除去等の実施に関する「実施計画」では、特定産業廃棄物の処分を行った者や注意義務に違反した排出事業者等の責任を明確化するよう配慮しなければならない。

④「実施計画」を定めようとするときは、環境大臣に協議し、その同意を得なければならない。

⑤香川県豊島における不法投棄事案への対応には、この法律が適用された。

 

-21 「環境情報の提供の促進等による特定事業者等の環境に配慮した事業活動の促進に関する法律」に関する次の記述のうち、誤っているものを選べ。

①「環境情報」とは、事業活動に係る環境配慮等の状況に関する情報及び製品その他の物又は役務に係る環境への負荷の低減に関する情報をいう。

②「特定事業者」としては、独立行政法人・国立大学法人とともに、政令で定めた規模以上の民間事業者が指定されている。

③この法律に基づく「環境報告書」には、事業活動に係る環境配慮についての目標及び当該目標を達成するために行う取組を定めた計画を記載し、又は記録するものとされ、当該計画の記載又は記録に当たっては、数値を用いることが望ましいとされている。

④「特定事業者」は、事業年度又は営業年度ごとに、「環境報告書」を作成し、これを公表しなければならない。

⑤「特定事業者」が「環境報告書」を公表するときは、自己評価や第三者による審査を受けることを通じて、「環境報告書」の信頼性を高めるように努めることとされている。

 

-22 「国等における温室効果ガス等の排出の削減に配慮した契約の推進に関する法律」に関する次の記述のうち、誤っているものを選べ。

①「国等」とは国、独立行政法人等、地方公共団体及び地方独立行政法人をいう。

②温室効果ガス等の排出の削減に重点的に配慮すべき契約として、「電気・ガスの供給を受ける契約」と「使用に伴い温室効果ガス等を排出する物品の購入に係る契約」が定められている。

③この法律に基づく「基本方針」には、使用に伴い温室効果ガス等を排出する物品の購入に係る契約として、自動車の購入に係る契約についての基本的事項が定められている。

④この法律に基づく「省エネルギー改修事業」とは、事業者が省エネルギーを目的として、庁舎の供用に伴う電気、燃料等に係る費用について当該庁舎の構造、設備等の改修に係る設計、施工、維持保全等に要する費用の額以上の削減を保証して、当該設計等を包括的に行う事業をいう。

⑤この法律に基づく「基本方針」に定められた建築物に関する契約に関する基本的事項の「環境配慮型プロポーザル方式」とは、温室効果ガス等の排出の削減に配慮する内容を含む技術提案を求め、総合的に勘案して最も優れた技術提案を行った者を特定する方式をいう。

 

-23 循環型社会に関する次の記述のうち、誤っているものを選べ。

①資源生産性とは、実質国内総生産を天然資源等投入量(国産・輸入天然資源及び輸入製品の合計量)で除した値であり、より少ない資源でどれだけ大きな豊かさを生み出しているかを総合的に表す指標である。

②循環利用率とは、循環利用量を廃棄物排出量で除した値であり、廃棄物のうちどれだけが循環利用(再使用・再利用)されたかを表す指標である。

③日本の最終処分量(一般廃棄物と産業廃棄物の最終処分量の合計)は、平成17年度には3,200万トンと平成2年度に比べて約7割減少しており、第1次循環基本計画に定めた平成22年度目標に近づいてきている。

11日当たりの家庭からのごみの排出量(資源回収されるものを除く)は、平成12年度から平成17年度で約10%減少している。

⑤平成17年度末における全国の産業廃棄物の最終処分場の残余年数は7.7年である。

 

-24 第三次生物多様性国家戦略(平成191127日閣議決定)に関する次の記述のうち、誤っているものを選べ。

①「生物多様性の危機の構造」として、第一の危機(地球温暖化による危機)、第二の危機(人間活動や開発による危機)、第三の危機(人間活動の縮小による危機)に加え、逃れることのできない深刻な問題として、「人間により持ち込まれたものによる危機」が挙げられている。

②中・大型哺乳類の分布の変化については、1978年頃と比べて、ニホンジカ、ニホンカモシカ、ニホンザル、クマ類、イノシシ、キツネ、タヌキの調査対象7種のすべてについて、分布域の拡大傾向が見られる。

③沿岸・海洋域については、藻場・サンゴ礁の45割程度が国立・国定公園を主とした保護地域に指定されているが、干潟のうち保護地域に指定されているものは1割程度にとどまっている。

④「生物多様性の保全及び持続可能な利用の目標」として、(1)種・生態系の保全、絶滅の防止と回復、(2)持続可能な利用、(3)社会経済活動への組み込み、が挙げられているが、このうち「(3〉社会経済活動への組み込み」は第三次生物多様性国家戦略において新たに掲げられた。

⑤「生物多様性」の意味を知っている人は約10%に過ぎないという現状を踏まえ、生物多様性の保全の重要性が子どもたちの世代も含めて広く一般的認識となるような取組を行うなど、生物多様性を社会に浸透させていくことが必要である。(平成16年、環境省調査)

 

-25 「鳥獣の保護及び狩猟の適正化に関する法律」に関する次の記述のうち、誤っているものを選べ。

①平成19年に改正された同法施行規則では、とらぱさみやくくりわななど危険性の高い猟法に関する規制が強化された。

②平成18年に改正された同法においては、網猟免許・わな猟免許の創設が行われたが、これは農家自らが行う鳥獣被害防除対策を促進すること等を意図したものである。

③同法に基づく「特定鳥獣保護管理計画」は、生息数や分布域が著しく増加して農林水産業被害や生態系の撹乱などの問題が生じている種を対象とする場合にのみ策定することができる。

④違法な網及びわなの設置を防止するため、網猟免許又はわな猟免許に係る狩猟者登録を受けた者はすべての網及びわなについて、その設置者名などの表示が義務付けられている。

⑤狩猟の取締りや鳥獣保護に関する指導を行う都道府県の非常勤職員として、鳥獣保護員が任命されている。

 

-26 近自然工法による登山道整備は・近自然河川工法を応用した人力による登山道の維持管理、補修方法であり、そこに一貫しているのは、流水のコントロールにより侵食を防止し路体の安定を図る「登山道は川である。」というコンセプトである。

この「近自然工法による登山道整備」の考え方に関する次のア)~ウ)の記述において、[A][C]に入る言葉として正しい組合せを①~⑤の中から選べ。

)どのように水が流れ、侵食が生じているのか(水みち)[A]で見極める。

)土留めや落差を設ける場合は、流れの方向に[B]するように配置する。

)歩行ルートの確保は、[B]とは別に考える。

[A]現地の観察         [B]平行         [C]橋の設置

[A]図上測定           [B]直交         [C]水の制御

[A]空中写真           [B]平行         [C]橋の設置

[A]図上測定           [B]平行         [C]水の制御

[A]現地の観察         [B]直交         [C]水の制御

 

-27 自然環境情報の整備に関する国内又は国際的な取組について次の記述のうち、誤っているものを選べ。

①「生物多様性情報システム(J-IBIS)」は、日本の生物多様性センターが自然環境保全基礎調査等のデータを収集し、電子化して提供しているものである。

②「生物多様性情報クリアリングハウスメカニズム(CHM)」は、生物多様性条約に基づき、生物多様性に関する国際的な情報交換の仕組みとして構築されているものである。

③「世界分類学イニシアティブ(GTI)」は、生物多様性の保全とその持続的利用のため、その基礎となる分類学情報を整備しようとする世界的な事業で、生物多様性条約第4回締約国会議(1998年ブラティスラバ)でその実施が決議された。

④「地球規模生物多様性情報機構(GBIF)」は、OECDの提唱により、生物多様性に関するデータを各国・各機関で分散的に収集し、ネットワークを通じて全世界的に利用することを目的として発足した科学プロジェクトである。

⑤「レッドデータブック(RDB)」は、国際連合が1966年に初めて発行した、絶滅危惧種とその分布情報等に関する冊子である。

 

-28 生態系ネットワーク(エコロジカルネットワーク)に関する次の記述のうち誤っているものを選べ。

①コアエリアとは、貴重な生物の生息地や採餌場所等、生態的に重要な地域であり、人間活動の影響を極力排除すべきである。

②コリドーは、線状の構造及び、そのような空間の持つ生態学的機能の両者を意味する場合があるが、両者が等価であるかについては、懐疑派と支持派がある。

③バッファーゾーンでは、自然性を損なわないような研究・教育やレクリエーションなどはある程度許容される。

④林野庁は国有林において「緑の回廊」の設定を進めており、平成194月現在、24か所約51haが設定されている。

⑤日本でも、オランダ等の先進事例を参考に全国レベルでの生態系ネットワーク計画が策定され、自治体レベルでのネットワーク計画に活かされている。

 

-29 日本と世界の植生分布に関する次の記述のうち、誤っているものを選べ。

①一般に森林樹木の種数は熱帯低地林で最も多く、高緯度に行くほど少なくなる。この傾向は多くの昆虫類や鳥類などでも共通している。

②日本を含む北半球の中緯度地方に分布する落葉広葉樹林は、第三紀周北極植物群と呼ばれる植物群から構成されている。

③太平洋側と日本海側のブナ林を比較すると、日本海側では高木層でのブナの優占度が低く、低木層に常緑性の植物が混在することが一般的である。

④小笠原諸島と南西諸島はいずれも亜熱帯域にある島嶼だが、大陸島である南西諸島の方が、植物の固有種率が低い。

⑤日本の草原のほとんどは、人間の影響のもとで成立している二次草原であり、暖温帯では年1回程度の刈り取りでススキ草原が成立する。

 

-30 日本の里地里山の調査・分析(平成1310)に関する次の記述のうち、誤っているものを選べ。

①里地里山は、都市域と原生的自然との中間に位置し、集落をとりまく二次林と、農地、ため池、草原等で構成され、その面積は国土の4割程度を占める。

②里地里山は、絶滅危惧種が集中的に生息・生育する地域の約5割を含み、生物多様性保全上重要であるとともに、自然とのふれあいや環境教育の場としての役割も期待されている。

③里地里山の中核をなす二次林のうち、約8割をアカマツ林とコナラ林が占める。

④里地里山では人間活動の低下や耕作放棄地の増加などに伴い、イノシシ、シカ、サルなどの生息適地が拡大し、農作物被害が深刻になっている。

⑤二次林が手入れされずに放置された場合、遷移の進行による林床植生の変化や、タケ・ササ類の侵入・繁茂による森林構造の単純化などを招く。

 

-31 生物個体群や環境の変動に関する次のA)C)の記述について、それぞれ最も関連の深い用語を組み合わせたものを①~⑤の中から選べ。

A)タンザニアのセレンゲテイ国立公園ンゴロンゴロ火口内のライオンの野生個体群は他の個体群と隔離されている。1962年にライオンに感染症を引き起こす吸血性のアブが大発生し、火口内の個体数が約70頭から10頭にまで減少した。その後個体数は回復し、1975年以降は平均約90頭で推移している。この個体群と火口外の個体群において、アロザイム、DNA多型、精子異常率に関するモニタリング調査が行われている。

B)北米で絶滅の危機に瀕したビッグホーンシープの個体数を回復させるため、カナダで捕獲された個体が移入され、その後70年にわたってその推移が追跡された。その結果、当初の移入頭数が50頭未満のグループはすべて50年以内に絶滅したが、移入頭数が100頭を超えるグループはほとんどすべて存続した。

C)琵琶湖南湖や霞ヶ浦のような浅い湖では、富栄養化がある限界値を超えると、アオコなど植物プランクトンの増殖により、透明度の急激な低下が起きることがある。いったんこのように変化した湖の状態を元に戻すためには、富栄養化の原因である栄養塩の負荷量を限界値以下に下げるだけでは不十分な場合が多い。

[A]最小存続可能個体数         [B]レジームシフト               [C]ボトルネック効果

        (MVP)                   (カタストロフィックシフト)      (びん首効果)

[A]ボトルネック効果           [B]最小存続可能個体数           [C]レジームシフト

[A]レジームシフト             [B]最小存続可能個体数           [C]ボトルネック効果

[A]ボトルネック効果           [B]レジームシフト               [C]最小存続可能個体数

[A]最小存続可能個体数         [B]ボトルネック効果             [C]レジームシフト

 

-32 日本の国立公園に関する次のA)E)の記述のうち、誤っているものがいくつあるか①~⑤の中から選べ。

A)平成19年に尾瀬国立公園が新たに指定され、我が国の国立公園の数は29になった。

B)我が国の国立公園の中で最も陸域の面積が大きい国立公園は、中部山岳国立公園である。

C)昭和9年に日本で最初の国立公園として、瀬戸内海、雲仙、霧島等が指定された。

D)世界自然遺産に指定されている白神山地、屋久島及び知床は国立公園でもある。

E)平成19年に石垣島の一部が西表国立公園に編入され、国立公園の名称が「八重山国立公園」に変更された。

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-33 日本の自然公園の保護のための制度に関する次の記述のうち、誤っているものを選べ。

①国立公園や国定公園には特別保護地区が設けられており、この地区内では落枝落葉の採取や木竹の植栽が規制されている。

②我が国の自然公園は、土地所有にかかわらず公園を指定できる地域制の自然公園の制度となっていて、公園内には多くの私有地も含まれる。

③国立公園や国定公園には海の特別地域といえる海中公園地区制度があり、海中公園内では一切の漁業が禁止されている。

④国立公園や国定公園の普通地域では、一定規模を超える工作物の新築・改築・増築について屈け出が必要である。

⑨平成14年「自然公園法」が改正され、利用調整地区の制度が設けられて、利用規制ができるようになった。

 

-34 「特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律」(外来生物法)に関する次の記述のうち、誤っているものを選べ。

①「外来生物法」による「特定外来生物」とは生きている個体に限られ、卵や種子は対象となっていない。

②実態がよくわかっていない外来生物は「未判定外来生物」に指定され、輸入する前に主務大臣に届け出る必要がある。

③「特定外来生物」に指定されると飼育、栽培、保管及び運搬することが原則禁止される。

④「特定外来生物」を許可を受けて飼養等する場合、個体識別等の措置を講じる義務がある。

⑤「外来生物法」は海外から入ってきた生物に限られ、日本国内のある地域から、もともといなかった地域への持ち込みなどは対象としていない。

 

-35 エコツーリズムに関する次の記述のうち、誤っているものを選べ。

①エコツーリズムは、もともと途上国の自然保護のための資金調達の手段として取り入れられたものである。

②エコツーリズムの推進は、「環境」「観光」「地域」が深い関わりを持ちながら取り組む社会の仕組みづくりである。

③「エコツーリズム推進法」にいう「自然観光資源」には自然環境と関連のある、風俗慣習や生活文化に関する資源も対象となっている。

④エコツーリズムは、自然豊かな地域に限って行われるものである。

⑤エコツアーにおける旅行者への情報提供や体験活動を通した働きかけを、「ガイダンス」という。



正解
問題 正解 問題 正解 問題 正解 問題 正解 問題 正解 問題 正解 問題 正解
1 1 6 2 11 5 16 4 21 2 26 5 31 2
2 3 7 5 12 2 17 4 22 2 27 5 32 4
3 3 8 3 13 2 18 5 23 2 28 5 33 3
4 5 9 3 14 4 19 5 24 1 29 3 34 1
5 5 10 5 15 1 20 2 25 3 30 3 35 4