平成16年度技術士第二次試験問題(情報工学部門)
 ●ソフトウェア工学
提供:たっくんさん

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必須科目
情報工学一般(択一問題) 正解付
情報工学一般(記述問題)
選択科目
   経験論文(ソフトウェア工学)
専門問題(ソフトウェア工学)

必須科目

情報工学一般(択一問題)

Ⅱ-1 次の20問題の中から15問題を選んで、解答せよ。(解答欄に1つだけマークすること。)

Ⅱ-1-1 次に示す計算機システムのアーキテクチャ技術のうち、主記憶の読み出し時間を実効的に速めるものはどれか。
① インタリーブ     ② 仮想記憶     ③ スーパースカラ  ④ ディスクキャッシュ  ⑤ 命令パイプライン

正解 ①


Ⅱ-1-2 次に示す計算量のオーダーの中で、nが増加したときの増加がもっとも速いものはどれか。nは十分大きいものとする。
① O(1)   ② O(n!)   ③ O(n log n)   ④ O(n3)    ⑤ O(2n)

正解 ②


Ⅱ-1-3 次の論理式のうちで、P⇒Qと等価なものはどれか。ただし、論理演算子⇒は含意を表し、次の真理値表を満たす。∧は論理積、∨は論理和、~は論理否定をそれぞれ表す。
   P Q P⇒Q
   0 0 1
   0 1 1
   1 0 0
   1 1 1

① P∧Q    ② P∧(~Q)    ③ (~P)∧Q    ④ P∨(~Q)    ⑤ (~P)∨Q

正解 ⑤


Ⅱ-1-4 コンピュータによる画像の扱いに関する次の記述の中で、正しいものはどれか。
① レイトレーシング法は、一般にハードウェアとして実装されている。
② レイトレーシング法では、光を、その進む経路とは逆の方向に追跡する。
③ ブラウン管や液晶ディスプレイでは、減法混色の原理によって、さまざまな色を表示する。
④ 透視投影法は、X線CTで人体の内部を示す画像を作成するために開発された。
⑤ 自然画像の圧縮には、ランレングス圧縮が有効である。

正解 ②


Ⅱ-1-5 複数の処理能力の高いコンピュータをシームレスなネットワークとしてつなぎ合わせ、休んでいるコンピューティング・パワーを活用したり、剰余パワーを貸与するなどして、ネットワークの処理性能を高める技術は次のうちどれか。
① DNAコンピュータ          ② DSP(Digital Signal Processor) 
③ ウエアラブル・コンピュータ     ④ グリッド・コンピューティング
⑤ ニューロ・コンピューティング

正解 ④


Ⅱ-1-6 次の□に当てはまる、最も適切な語は①~⑤のいうちどれか。
  「一般に、プログラムの正当性は部分正当性と□性に分けて検証する。」
①安定    ②高速    ③再利用    ④停止    ⑤分解可能

正解 ④


Ⅱ-1-7 次の再帰的な関数プログラムに引数10を渡して実行した結果は①~⑤のうちどれか。
int f(int x) {
    if(x==1 || x==2)
    return(1);
    else
    return(f(x-1) + f(x-2));
}
①4    ②10    ③34    ④55    ⑤64

正解 ④


Ⅱ-1-8 あるシステムの一部を概念データモデル(UMLのクラス図で表記)とデータフロー図(DFD)で記述した。データフロー図に当てはまる語は①~⑤のうちどれか。ただし、概念データモデルのクラスシンボルはすべてDFDのデータストアとして記述する。


概念データモデル図

データフロー図(DFD)

①価格    ②顧客    ③仕入先    ④商品    ⑤注文明細

正解 ⑤


Ⅱ-1-9 ファンクションポイント法の計測法(ISO/IEC 20926)の説明として、適切なものは次のうちどれか。
① 16種の機能原始要素を数え、定められた係数を乗じたものを合計する。
② 機能ごとに入力データと出力データの項目数を数え、それらに係数を乗じる。
③ システムの状態数とアサーション(制約の宣言)の件数を数える。
④ データグループと要素処理を数え、それぞれに定められた係数を乗じて合計する。
⑤ 非機能要求を7つのコスト要因で評定し、それぞれに定められた係数を乗じる。

正解 ④


Ⅱ-1-10 ペトリネットに関する説明として適切なものは次のうちどれか。
① アローダイアグラムを用いて、スケジュールの遅れやコストを管理するスケジューリングツールである。
② 個々の作業に要する時間を確率分布を用いて表すことにより、全体作業のスケジュールを確率的に表現し分析する。
③ 非同期、並列システムの情報や制御の流れを記述するために、プレースとトランジションと呼ぶノードとトークンと呼ぶマークを用いる。
④ プロセス、ファイル、ソース及びシンクと呼ぶノードと、データフローと呼ぶアーク(矢印)を構成要素とする有向グラフである。
⑤ 横軸に日付あるいは時刻、縦軸に作業項目を書き、作業実施の予定と進捗状況を棒線で示す。

正解 ③


Ⅱ-1-11 情報システムの安全基準(通商産業省告示第518号)には、設置基準、技術基準、□基準の3つがある。□の中にあてはまる言葉は、次のうちどれか。
①運用    ②災害対策    ③情報セキュリティ管理    ④施設    ⑤不正アクセス対策

正解 ①


Ⅱ-1-12 DBMS(Database Management System)のトランザクションに関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
① 一貫性のあるデータベースにトランザクションを単独で実行した結果は、一貫性を保ったデータベースとなる。
② トランザクションのCOMMITにより、全てのデータ操作が取消される。
③ トランザクションをROLLBACKすると、その時点までのデータ操作が部分的にデータベースに反映されているので一貫性が失われる。
④ トランザクションの実行中にソフトウェア障害が発生すると、データベースの一貫性が失われてしまい回復できない。
⑤ トランザクションを複数同時に実行する場合、データベースの一貫性を保つようにする手段はない。

正解 ①


Ⅱ-1-13 WEbサイトにおけるセキュリティ上の欠陥として知られる「クロスサイトスクリプティング脆弱性」を防ぐための対策として正しいものは、次のうちどれか。
① Webブラウザからサーバに送られてきたリクエストパラメータをそのままSQL文としては用いない。
② パケットレベルで情報が盗まれないように通信経路を暗号化する。
③ 高度な処理を行うために、WebブラウザでJavaScriptを稼動させる。
④ セッション管理のためにhiddenフィールドを用いる。
⑤ Webブラウザからサーバに送られてきたリクエストパラメータをそのままWebブラウザに戻すことはしない。

正解 ⑤


Ⅱ-1-14 産業財産権(工業所有権)に含まれないものは、次のうちどれか。
①特許権    ②意匠権    ③商標権    ④著作権    ⑤実用新案権 

正解 ④


Ⅱ-1-15 情報戦略を企画した場合、その企画が実現するかどうかは、情報技術だけでなく、組織に関するさまざまな要因が関係している。組織に関する要因のうち組織能力を査定する指標として適切なものは、次のうちどれか。
①組織の男女構成比   ②組織の成熟度   ③組織の方針   ④組織の文化   ⑤組織トップの人柄

正解 ②


Ⅱ-1-16 次の情報セキュリティに関する説明のうち、適切なものはどれか。
① ハッシュ関数アルゴリズムを用いているMD5(Message Digest algorithm 5)は、この非可逆性を利用して、公開鍵暗号方式に用いられる。
② RSA(Rivest Shamir Adelman)は、代表的な公開鍵暗号方式であり、代表的な共通鍵暗号方式のDES(Data Encryption Standard)と比較して処理の負荷が重い。
③ ECC(Elliptic Curve Cryptosystem、楕円曲線暗号)は、公開鍵暗号方式に用いられる暗号アルゴリズムで、RSA暗号と比較して処理の負荷が重い。
④ DESは、可逆圧縮のハッシュ関数アルゴリズムを用いた暗号方式で、パスワードの認証などに用いられる。
⑤ 3DES(Triple DES)は、暗号強度が通常のDESよりも高いので、公開鍵暗号方式で用いられる。

正解 ②


Ⅱ-1-17 CD(コンパクト・ディスク)1枚分のデータを、ISDNのBチャンネル1回線を用いて転送した場合にかかる転送時間として、適切なものは次のうちどれか。
①約20時間    ②約2時間    ③約20分    ④約2分    ⑤約20秒 

正解 ①


Ⅱ-1-18 次のプロトコルに関する説明のうち、適切なものはどれか。
① TCP(Transmission Control Protocol)はコネクションレス形のプロトコルで、誤り訂正の機能を持つ、信頼性のあるプロトコルである。
② UDP(User datagram Protocol)はコネクションレス形のプロトコルで、フロー制御機能と誤り訂正機能を有している。
③ TCPはコネクション形のプロトコルで、誤り訂正機能はあるがフロー制御は行わない。
④ UDPはコネクション形のプロトコルで、誤り訂正とフロー制御を行なう。
⑤ UDPはコネクションレス形のプロトコルで、誤り訂正もフロー制御も行わない。

正解 ⑤


Ⅱ-1-19 複数プログラムの主記憶への要求が競合し、ページインとページアウトが繰り返し発生し、性能が低下することを何と呼ぶか、次の中から選べ。
① オーバーレイ   ② スラッシング
③ スワッピング   ④ ページフォルト
⑤ ページング

正解 ②


Ⅱ-1-20 ISO OSI 7階層参照モデルの1階層は物理層(Physical Layer)である。それでは、3階層と5階層は、それぞれ何層か、次の中から選べ。
① 3階層はネットワーク層で、5階層はセッション層
② 3階層はデータリンク層で、5階層はトランスポート層
③ 3階層はトランスポート層で、5階層はネットワーク層
④ 3階層はネットワーク層で、5階層はトランスポート層
⑤ 3階層はデータリンク層で、5階層はアプリケーション層

正解 ①

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情報工学一般(記述問題)

Ⅱ-2 次の4問題の中から3問題を選んで解答せよ。(青色の答案用紙を使用し、問題ごとに用紙を替えて解答問題番号を明記し、それぞれ1枚以内にまとめよ。)

Ⅱ-2-1 コンピュータで文字をディスプレーに表示する方式の1つであるアウトラインフォントとは、どのような方式か。また、その特徴とはどのようなものか。ビットマップフォントと対照しながら述べよ。

Ⅱ-2-2 新しい開発方法として注目されているXP(eXtreme Programming)で掲げられている12のプラクティスのうち2つ以上を取り上げ、XPの特徴について論評せよ。

Ⅱ-2-3 プログラム、データベース、画像ファイル及びマルチメディアプロダクトのそれぞれについて、法的に権利を主張する方法を述べよ。

Ⅱ-2-4 VoIP(Voice over Internet Protocol)ネットワークの概要、用途と構成要素を述べよ。

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選択科目

経験論文(ソフトウェア工学)

Ⅰ-1 次の問題について解答せよ。(答案用紙6枚以内にまとめよ。)

  あなたが受験申込書に記入した「専門とする事項」に関連して、あなた自身が体験したもの5件以内を、用紙1枚以内に簡潔に列挙せよ。時期の古いものから順に、業務名、該当期間、その業務に携わった人数、あなたの役割を記せ。
  次にそのうちから技術士にふさわしいと思う2件について、1件3枚以内、2件合計で5枚以内で詳しく説明せよ。業務内容、主要な技術課題と解決策、そこで生かした情報工学に関する専門知識、あなたが発揮した創意工夫、そして最近の技術水準からみたときの評価と将来展望に言及すること。

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専門問題(ソフトウェア工学)

Ⅰ-2 あるホテル向けに宿泊予約をインターネット(Web)で受け付けるシステムの構築を提案するものとして、次の問いに答えよ。(緑色の答案用紙を使用し、6枚以内にまとめよ。)

 (1)予約処理とそれに付随する部分について概念データモデル又は概念レベルのクラス図を描き、そのモデルについて説明せよ。
 (2)予約を受け付ける業務に関するユースケース記述又は要求仕様を書け。
 (3)当システムの開発に関する工数を見積もり、その根拠を示せ。
 (4)反復型のソフトウェアプロセスを採ることにして、フェーズ計画を立てよ。

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