技術士第一次試験 専門科目演習問題(土質及び基礎) |
最終更新:2004.10.05 |
2004.09.20 問題18を修正 2004.10.05 問題23を修正 |
次の25問について、それぞれ正しい記述であれば○、誤った記述であれば×を解答欄に記入せよ。
- 土の含水比を徐々に上げていくと、土は半固体状態から塑性状態、さらに液性状態へと変化していく。半固体状態から塑性状態へ変化する時の含水比を塑性限界、塑性状態から液性状態へ変化する時の含水比を液性限界という。
- 液性限界と塑性限界の比を塑性指数という。
- スウェーデン式サウンディング試験は代表的な静的貫入試験であり、標準貫入試験などに比べ測定値の精度が細かく、やわらかい粘性土やゆるい砂などの調査に適している。
- 標準貫入試験によって得られる「N値」は、土の締まり具合・硬軟を判定する指標として広く用いられている。しかし、N値の低い領域の精度は良いが、N値の高い領域の精度はあまり良くなく、信頼性に欠けるので、高いN値を土質特性の換算等に用いるのは適当でない。
- 三軸圧縮試験のうち、非圧密非排水試験(UU試験)とは、ある側圧のもとで圧密した後、供試体内の水の出入りを許さない状態で、間隙水圧の発生をかまわずに上下方向に軸力を加えて土をせん断する方法である。
- 砂質土のせん断強度を測定したい場合には、UU法による三軸圧縮試験が適している。
- 一軸圧縮試験は、シルトなど低塑性の細粒土には不向きである。
- 粘性土でも固結していなければ非排水せん断力は、粘着力cuは0で内部摩擦角φuにより決定される。
- 土の圧密特性を表す特性値の1つに圧縮指数がある。これは、荷重〜間隙比の関係曲線の傾きのことで、荷重増分あたりの間隙比の減少量、すなわち沈下量を表しており、圧縮指数が大きい土は、荷重増加に対する沈下が大きいいうことができる。なお、荷重は対数軸で表す。
- 土は含水比の上昇とともに、半固体状態から塑性状態、さらに液性状態へと変化していくが、塑性状態と液性状態の境界にあたる含水比を塑性限界という。
- 室内CBR試験の土の供試体は、96時間水浸させてから貫入試験を行うことになっている。これは、道路路床あるいは路盤が供用期間中に、経年変化・気象条件などにより含水量が増すことを想定して、最悪条件でのCBR値を推定しようとするためである。
- 「土の含水比」とは、土中に含まれる水の重さを、土粒子のみの重さで除したものである。したがって、含水比は100%を超えることもある。
- 高有機質土や火山灰土を除く一般的な土の土質分類を行う場合、まず粗粒分(砂分・礫分)と細粒分(粘土分・シルト分)のいずれの割合が多いかによって、粗粒土と細粒土に分ける。次に、粗粒土については砂分と礫分、細粒土については粘土分とシルト分のいずれが多いかによって、砂・礫・粘土・シルトに細分する。
- 「間隙比」とは、間隙の土粒子に対する体積の比であり、通常「e」で表す。一方、「間隙率」とは、間隙の土全体に対する体積の比であり、通常「n」で表す。よって、eは1より大きい値をとることがあるが、nは1より大きい値にはならない。
- 土の締め固め特性は、締め固めエネルギーと乾燥密度の関係で表され、含水比などの特性は関係ない。
- 土に力を加えると、それに応じて変形するものの、力を取り除くと元に戻る。このような状態にある物体を弾性体という。しかし、加える力がある程度以上になると、変形した土は力を除いても元には戻らなくなる。このような状態にある物体を塑性体といい、弾性体から塑性体に移行する時の現象を破壊という。
- 場所打ち杭工法とは、コンクリート杭もしくは鋼管杭を現地で直接打ち込む方法であり、迅速低価格ながら騒音・振動が多大であるという欠点がある。
- 杭の支持力を計算する公式としては、標準貫入試験によるN値を使った静力学的支持力公式がよく使われるが、これは、先端支持力と杭周面摩擦力を合算して極限支持力を算出するものである。
- 軟弱粘性土地盤における代表的な対策工法としてバイブロフローテーション工法がある。これは、振動によって土粒子間の水を排水し、土を締固める効果を狙ったものである。
- 軟弱地盤上に盛土を構築すると、圧密沈下が発生する。この予測沈下量をSとしよう。沈下を生じると盛土高さが規定高さより低くなるので、沈下が終息した時にちょうど規定盛土高さになるように、あらかじめ高めに盛土を構築する方法があるが、これをサーチャージ工法と呼ぶ。一方、それよりさらに高く盛土を築造して沈下を促進し、予測沈下量Sに達した時点で余分な盛土荷重を取り除くという工法もある。これをプレロード工法という。
- ドレーンは、粘性土のような排水性の悪い土の圧密排水を促すことで、沈下と圧密強度増加を促進する工法である。従って、載荷盛土と併用することで効果を増すことができる。
- 軟弱粘性土地盤上に盛土を構築した場合、圧密排水に伴う強度増加は緩やかに進行するため、盛土の安定度が最も低くなるのは一般に盛土構築直後である。
- サンドコンパクションパイル工法は、軟弱な粘性土中に砂杭を打設する工法であるが、砂杭打設時の締め固め効果による杭間粘性土強度増加も見込むことができる。
- 液状化とは、緩い砂質土などにおいて、振動に伴う上向き慣性力が砂粒子の重量を上回り、地盤が液体状になる現象で、大きな地震が起こったときに見られる。
- 液状化が生じるかどうかを予測するために有効な試験として、繰り返し三軸試験がある。一方、簡便に予測する方法として、粒度特性とN値を用いる方法がある。このとき、粒度特性の中で重要視されるのは、細粒分の含有率である。
<正解>
- ○
そのとおり。書いてある内容をそのまま覚えてください。
- ×
比ではなく差です。
- ○
そのとおり。静的貫入試験は衝撃を伴わない継続的圧入力により貫入する試験で、スウェーデン式サウンディング試験のほかにオランダ式二重管コーン貫入試験やポータブルコーン貫入試験がある。これに対して衝撃力により貫入していく動的貫入試験があり、標準貫入試験・大型コーン貫入試験・簡易動的コーン貫入試験・オートマチックラムサンドなどがある。
- ×
N値の低い領域は精度が悪く、qu値などの換算には不適当である。目安としてはおおむねN値4回以下は精度が悪い。
- ×
「非圧密」なので「ある側圧のもとで圧密」が誤り。ほかの部分の記述は正しい。
- ×
砂質土は間隙水圧がすぐに消散するので、非排水試験では現実の挙動と合致しない。排水試験(CD法)が適当。
- ○
そのとおり。塑性指数15%未満の土は、一軸圧縮試験でなく三軸圧縮試験でせん断特性を把握するのが適当である。
- ×
非排水せん断力は見かけのせん断力となるので、粘性土ならφu=0でせん断力=粘着力cuとなる。
- ○
そのとおり。荷重〜間隙比関係曲線をe〜logp曲線という。
- ×
塑性状態〜液性状態の境界含水比は「液性限界」。塑性限界は半固体状態〜塑性状態の境界含水比。
- ○
そのとおり。
- ○
そのとおり。有機質土では数100%の含水比になることも珍しくありません。
- ×
細粒土の細分は粒度組成ではなく、コンシステンシー特性によって行う。具体的には、塑性図においてA線の上下いずれにプロットされるかで粘土・シルトが決定される。荒っぽくいえば、粘りの強い土が粘土、粘りのない土がシルトである。
- ×
間隙率は%表示なので、100未満の値となる。
- ×
含水比は締め固め特性に大いに関係がある。
※子供の砂遊びを考えればいいでしょう。あまり乾いてサラサラの白い砂では「お城」は作れません。逆に砂が流れ出すほどビチャビチャの砂でも作れません。
黒くほどよく湿った砂が「お城」作りには向いています。つまり、適当な含水範囲が存在します。
- ×
弾性体から塑性体への移行は「降伏」という。
- ×
場所打ち杭ではなくて打ち込み杭のことが記されている。
- ○
そのとおり。
- ×
バイブロフローテーションは砂質土に適した対策工法である。
- ×
サーチャージとプレロードが逆である。
- ○
そのとおり。
- ○
そのとおり。
- ×
打設後に砂杭がドレーンの役目を果たし、分割荷重に応じた圧密強度増加が比較的早期に起こりますが、打設時の締め固め効果により、粘性土が直ちに強度増加することはありません。
- ×
振動の上向き慣性力ではなく、上向き浸透力が砂粒子の重量を上回ったときに起こる。上向き浸透力は、振動で揺さぶられた砂粒子が締固められることにより、粒子間の水が急激に排水されて起こる。したがって、水位以浅では一般に液状化は発生しない。
- ○
そのとおり。